2ntブログ
  • 2015⁄12⁄12(Sat)
  • 00:50

 中学2年のときの話

2年前中学2年のときの話です。

:前置き:
僕の教室は3階建て校舎の1番上の端にありました。
夏休みに教室に忘れ物を取りに行ったときの話です。

教室の前に来たとき教室のドアは閉まっていました。
中で声がしていたので誰かいるのかなと思ってドアを開けました。
そこには学校で有名な不良5人と孝志君がいました。
孝志君はいじめられっこでよくいじめられてました。
今も不良達に囲まれていじめられていました。
しかし、いつもと少し違いました今日は素っ裸にされていたんです。
「Kじゃないか。何してんだよ」
不良の1人に声をかけられて我に返ったとき逃げようと思ったのですが、
すでに、後ろに2人立っていて逃げれれませんでした。
「逃げるこたないだろ。」
大野先輩は僕に近づいてくるとズボンに手をかけました。
「安心しろよ。おまえもついでに遊んでやるからよ!」
「先輩っ!やめてくださいっ!」
僕はズボンをおろそうとする先輩に必死で抵抗しましたが、
後ろにいた2人に腕をつかまれてズボンを下ろされてしまいました。
「おい。子供ちんこだぜ、こいつ」
そういうと、孝志君を押さえていた高橋先輩が
「記念に1枚撮ってやるよ。」
といって、ポラロイドカメラで写真を撮ったんです。
「よし。誰かこいつにあれを飲ませておけ。」
大野先輩がそういうと、僕は教室の中に入れられました。
手を後ろで縛られていすに固定され、
不良が持ってきた変なものを無理矢理飲まされました。
今でもそれが何かわかりません。。。
しかし、それを飲まされると体が熱くなってきてちんちんが勃ってしまいました。
「なかなか、立派だぜ。孝志よりは大きいよ。」
大野先輩は勃起したちんちんの付け根の尿道のある辺りに小さく丸めた布をあてると、
それをちんちんごと強く縛りました。
「しばらくおまえはそこで見てな」
大野先輩はそういうと孝志君の方に向き直りました。
「待たせたな。今日は観客付きだぜ?気分はどうだよ」
孝志君は僕の方を見ると哀れそうな顔をしたような気がしましたが、
僕はさっき飲まされたもののせいで、ちんちんをかまいたくて仕方がありませんでした。
その頃、僕はまだオナニーを知りませんでしたが無性に触りたかったんです。
大野先輩は、ズボンを脱ぐとすでに勃起していたちんちんにオイルみたいなものを塗ると、
机の上に寝せられていた孝志君を起こし、けつの穴に挿し込みました。
孝志君は小柄でやせていたので、体格のよい大野先輩に良いように遊ばれていました。
「Kにおまえがイクところを見せてやれよ」
というと、大野先輩は孝志君のちんちんをしごきはじめました。
はじめてみる光景で僕のちんちんは爆発寸前でした。
後ろにいた不良が僕のドクンドクンと脈打っているちんちんを握ってきました。
「まことっ!触るなっ!」
と、大野先輩は言ったのでまこと先輩は手を放しました。
その時、何かが出るっ!と思ったのですが、なにも出ませんでした。
ただ、ちんちんがびくびく痙攣しているだけでした。
「ほら見ろ。イっちまったじゃねぇか。おまえもイケよっ」
大野先輩は孝志君のちんちんをしごく手を早くして、腰もいっそう強く動かしました。
「ふぁあっ」
孝志君は声をあげると、ちんちんの先から精液を放出しました。
精液は向かいに座らされていた僕に、思いっきりかかりました。
「俺も出すぞっ」
大野先輩は孝志君の中に注いだみたいです。
ちんちんを抜くと、孝志君のけつから、精液がもれていました。
「K。おまえ、なんで射精できなかったかわかるか?」
と、大野先輩に聞かれて、僕は首を振りました。
「尿道を押さえられてるからだよ。」
高橋先輩が教えてくれました。
大野先輩は僕の勃起したままのちんちんを触ると、
「良いおもちゃになりそうだよな。おい、孝志。Kのちんこなめてやれ。」
そういうと、孝志君は僕に近づいてきました。
「た、孝志君。。。」
僕は、孝志君を見ましたが孝志君はごめんと言うと、僕のちんちんをなめはじめました。
オナニーをした事が無かったので、すごく気持ちよかった。
けど、大野先輩が孝志君を僕のちんちんから離しました。
「どうだ。きもちいだろ。」
僕は答えませんでした。
「黙っていてもわかるぜ。おまえのちんここんなに脈打ってるじゃないか。」
僕は、顔が赤くなっていくのがわかりました。
「おお、おお。かわいいぜ。赤くなっちゃってよ」
そういうと、また高橋先輩に写真を撮られました。
「おまえが、自分でしごいてイったら、またしゃぶらせてやるよ」
といって、大野先輩は手を自由にしてくれました。
しかし、僕にはどうする事もできなかったんです。
「やれって言ってるんだよ!」
そう言われて、ちんちんを握らされましたがどうすれば良いのかわからなかったんです。
「おまえオナニー知らないのか?しまったな。。。。」
大野先輩はそう言って、さっき俺が孝志にやったみたいにするんだよ。と教えてくれました。
僕は、手を上下に数回動かしただけでイッてしまいました。
「もういったのか。はやいなー」
不良達に笑われて、とても恥ずかしかったのですがどうしようもありませんでした。
そのあと、また孝志君にちんちんをなめられて、2回ほどイカされました。
「おい、まことおまえがしごいてやれ。」
大野先輩がそういうと、まこと先輩が後ろからちんちんを握ってしごいてきました。
けつに、まこと先輩の勃起したちんちんがあたっているのがわかりました。
何回もイッていたので、僕がなかなかイカないと、先輩はけつの穴の中に指を入れてきました。
「で、でちゃうよぉぉぉ」
と、思わず声を出すと、大野先輩がすかさずちんちんを縛っていた紐をはずしました。
その瞬間すごい量の精液がぶちまけられました。
初めて、ちんちんの中をおしっこ以外のものが通る感覚を覚えました。
1度に全部でず、何回かに分けてでて椅子や机に付いた精液や床にまかれた精液を
孝志君がなめさせられているのを見ていました。
射精の余韻をあじわっていると、今度はトイレに連れて行かれました。
「おい。カテール2本持ってこい」
大野先輩が言うと、一人教室へ帰っていって、変な管を持ってきました。
それを、飲まされた怪しげなもののせいで萎える事無く、
勃起していたちんちんの先に突っ込まれました。
「痛いっ痛いですっ止めてくださいっ」
あまりの痛さに、涙まで流して抵抗しました。僕が暴れると、また後ろで手を縛られました。
管を奥まで入れられると、大野先輩は先端に付いていた栓をひねりました。
すると、おしっこが管を通って便器へと排出されました。
全部で終わると、孝志君も同じ事をされていました。
僕のちんちんの先から伸びている管を孝志君に加えさせると、
ひつにょうざい?というものを飲まされて大量の水を飲まされました。
しばらくすると、管を通ってまたおしっこが出始めました。
それを、孝志君が全部飲んでいくんです。驚きました。
孝志君の管からおしっこが出るまで水を飲まされました。
孝志君からおしっこが出始めると、今度はその管をくわえさせられました。
僕は、普通に孝志君のおしっこを飲んでいました。
先輩達はそれを見て楽しんでいました。オナニーをしている先輩や、
孝志君のけつにちんちんを突っ込んでいる先輩もいました。
僕は壊れたみたいにおしっこを飲みつづけました。

その日はそれで、帰してもらえましたが最後に、
「明日も来い。誰にも言うな。約束を破ったら写真をばら撒く。」
といわれました。帰してもらった後も2時間くらいちんちんは勃起したままでした。
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イジメ2
  • 2015⁄12⁄12(Sat)
  • 00:45

M少年調教学園

部屋に戻ると貴之は身体を引きずり、ベッドに崩れるようにうずくまった。もう何日になるんだろうか?頭がはっきりしてないため記憶も定かではない。膝の上に肘をつき、しばらく背中を丸めて頭を抱えていたが、呼吸を落ち着かせると、やがてユニフォームのサカパンの中に手を入れシゴき始めた。貴之は一般生徒のような貞操帯をはめられていない。最初の頃は一般生徒たちから羨ましがられたものだった。しかし貴之自身はというと、貞操帯をはめた生徒たちの方が羨ましかった。理由は今の状況が全てだ。口から淫靡な声が漏れ出ている。不思議なもので、ここに来る前は毎晩のようにオナニーをして、その度ごとに卑猥な声が出ていたのだが、どこかにプライドのようなものがあり人に聞かれたくないという恥ずかしい気持ちがあった。ところが今はそのかけらもない。逆に声を出すことを日々鍛えており、どのように声を出せば人が喜んでくれるのかを、無意識のうちに考えながら聞こえるように、いや聞こえて欲しいかのように喉・舌・口を悶えさせている。そして勃起の度合いから見ると、今にも射精しそうなはずなのに、なぜか先走りより先に進んでいない。頭の中では出る寸前の崖っぷちの瀬戸際まで追いつめているのだ。…しかし最後の一歩が踏み出せなかった。打ち続く苦しみ、さらに快感、一般生徒に理解できない苦悩があった。しばらくすると貴之は射精を諦めたのか、腕の力を抜き、足を延ばして仰向けの格好で天井を見る。ハアハアという荒い呼吸を収めつつ、視線を天井から壁に下げ、壁からもっと近づけ、自分の頭からの至近距離1m以内に焦点を合わせた。自分のチンポはサカパンの下でテントのような盛り上がりを見せている。またチンポを握り二三度シゴき、その手をサカパン・シャツまで滑らせて胸の辺りをさすった。胸の鼓動が手を伝わり再び身体に戻る。呼吸が収まると気だるそうに身体を持ち上げ、勃起した身体のまま部屋にあったタンスの中を物色し始めた。だんだん焦っていくように何かを探すその目は何かに取り憑かれた獣のようだ。ようやく見つかったのか、奥からサカパンとシャツを取り出した。着ているユニフォーム−貴之の高校のサッカー部のユニフォーム−と似たようなデザインだが、細部が異なっており、さらによりイヤらしいツヤの光沢を放っている。汗を吸ってまとわりつくサカパン・シャツを脱ぎ捨てる。覚悟を決めぼんやりと目を半分閉じ、力なく頭を下げその新しいユニフォームを身体にまとい始めた。穿いているときから先ほどと様子が違う。裾が太股を通るとガクッとふるえ、袖が腕をかすめるとブルブルッと痙攣したようだ。そして、そのまま微かにふるえる足を動かし、ベッドに身体を投げ出すと、サカパンの上からシゴき始める。今度は数回シゴくだけで卑猥な声を出し始め、ものの1分もしないうちにザーメンをサカパンの内側に放出した。目を瞑りながら身体を広げ、大の字型に仰向けになり、肩と胸で大きく呼吸をしている。

「あっ、射精した。…構わないんですか?」
「うむ、貴之は一般生徒とは違って特別な訓練を課しており、射精は自由に行ってもいいことになっている。ただし『できれば』、の話だが。」
「『できれば』、ですか…?」
「前の処置坊の手術を見たかね?」
「はい見ました。」
「ならば射精したくてもできないことも聞いているだろう。」
「あっ…そう言えば。」
「睾丸の訓練により、普通のオナニーやセックスによる刺激に鈍くなる。つまり数倍の生成能力により作られた精子が行き場を求めて勃起させるが、普通のオナニーのようにシゴくだけでは射精ができない身体になっているのだ。前立腺の直接刺激で、トコロテンによる射精が最も効率よく刺激される。」
「でも今できましたよ?」
「まだ訓練の途中だからな。すぐに完成させるよりも自分で自覚しながら鍛えていく方が楽しい。貴之はサッカー部員、部活のサカパンで刺激を増幅させる技を教えた。もちろんそんな惨めで恥ずかしいこと、やらないでいられるものならやらないでいたい。」
「しかしそれだと射精できない。」
「うむ、そうやってて回を重ねるごとに自分がより惨めで恥ずべき存在であることを認識していくのだ。さらに刺激に対する慣れも出てくる。それまでのユニフォームでは感じなくなり、今日偶然にも新たな道を踏み始めた生の場面へとなっていくのだ。」
「着替えたユニフォームは特別なんですか?」
「学園が総力を挙げて開発した新科学繊維を用いて、総力を挙げてデザインしたユニフォームの試作品だ。普通にスポーツをするにあたっても高い能力を持ち、もちろん身体に与える刺激、他人が見たときの訴求性なども計算されている。後で制服・ユニフォーム部門の責任者に説明させよう。それより貴之の教官が来たようだ。」

「ほう、今日は射精できたのか。良かったな。」
「……」
「……無言、か…。」
「うるせぇ、とぼけたこと言いやがって…、俺を監視して、見てから来たんだろう。」
部屋に入ってきた教官はまだ20代半ばと思われ、ジャージ姿の下はすらっとしていて無駄のない筋肉を持っているのだろう。喋りながら油断なさそうな動きでベッドの横まで歩き、貴之の顔を静かに見下している。この学園では本来考えられない生徒の反抗にも、まるで動じる素振りを見せない。智也が今まで見てきた教官とは少し異なる雰囲気を持っていた。
「彼は相田譲治教官だ。元公安警察の特殊部隊所属という変わった経歴を持っている。貴之の再教育にあたっては肉体的精神的にも、また技術的にも思想的にも様々な面を徹底的に強化する必要があり、恐らく彼以上の適任者はいないだろう。」
「ああ、なるほど、だから少し変わった動き方をするんですね。」
「本来普通の人間になりきることもできるハズだが、彼によれば身のこなし方を教育するためにわざと隙を作らない素振りをしているそうだ。」
「ふん、反抗意識が今だに抜け切れてないみたいだな。それならお前のオナニーは当分禁止…そろそろまた処置坊で博士に手術して貰う必要もあるか…」
「うっ?そ、それは…それは…」
仰向けに寝て、真上にある教官の顔を見ている貴之の目が引きつった。同様に声にも恐怖が感じられる。
「だったら教官に対する礼儀ってもんがあるだろ?…え?」
引きつる身体を動かしながらベッドからぎこちなく飛び起き、教官の前で直立不動の姿勢をとる。射精したにもかかわらず、相変わらずサカパンのテント上の出っ張りは勢いを保ったままだ。
「い、淫乱で恥知らずな貴之はサカパンでオナニーをしてしまいました!生意気な貴之は相田教官のありがたいお慈悲にもお礼を申し上げることができず、無礼な態度をとってしまいました!罪を償うために相田教官のご指導をお願いします!!」
貴之は腰から前に頭を傾けちょうど教官の股間を凝視しながら大きな声で謝罪する。
「できるんなら最初からすることだ。神聖なサカパンをお前の邪な欲望で穢した罪は大きい…できる限り体内に戻した後、俺に奉仕しろ。」
教官は視線のみを貴之の背番号に向け、静かに冷たく言い放った。
「神聖なサカパンを貴之の邪な欲望で穢れさせた罪としてできる限り体内に戻した後、相田教官に奉仕させていただきます!!」
貴之はサカパンを脱ぎ、膝を地面に付けてテカテカなサカパンの内側についているザーメンを舐めすすって口に戻している。股間の勃起はさらに勢いを増しているようだ。一通り拭いきるとサカパンの内側を教官に向ける。
「ご確認をお願いします!!」
「…よし。」
「ありがとうございます!!」
腕を組みながら見下げていた教官は、サカパンを向けられると一瞥して一言言い放つ。貴之は大声で感謝の意を述べ、サカパンを穿くと、肘を床に付けたまま手も床に付けて教官の方向に進んでいく。すぐそばにいると思われた教官だが、いつの間にかイスに座って腕を組んで足を広げてこちらを見ているではないか。それを確認した貴之はそのままの姿勢で教官の元に進み寄って行った。
「し、失礼させていただきます!!」
頭を教官に向けて下げると、歯を当てないように慎重に唇を使って口で教官のジャージをズリ下ろす。ジャージの下はノーパンのようだ。「変態」、と思うより「ありがたい」、そう思いながら貴之は教官のチンポにしゃぶりつき尺八を始める。いつ聞いても卑猥な音を響かせながら、しばらく後に勃起した教官のチンポは果てを迎えた。もちろん貴之は床や教官の身体や衣類を汚さないように丁寧に吸い込み飲み込む。

「よっぽど睾丸手術はこたえたみたいですね。」
「だが特別生徒として入学してから実はすでに二回処置坊に戻されている。」
「に、二回もですか?」
「うむ、最初の手術後相田教官と初めて会ったとき、健気にも相田教官にケンカを売って見事に叩きのめされた時だ。意識の上では反抗できないことが分かっていても、身体が勝手に動いたと供述している。二回目は絶望的な脱走事件を起こして、当然の結果として捕らえられた時だ。」
「反抗に脱走ですか?!それは凄い。」
「もちろん計画的に行ったものではなく、場当たり的な発想だろうが、どちらにせよ脱走は登校始まって以来の出来事だろう。」
「さすがキャプテン。」
「うむ、だが所詮自分の部活内で率先してイジメをして後輩を慰み物にする程度のキャプテンだ。素質は十分だから再教育をすることによってモノになろう。」
モノになるとはどうなることなのか…。今まで色々な調教を見て何となく想像がつくような、しかし具体的にどうなるのかはまるで分からなかった。またさらに特別生徒は一般生徒と異なり、個別の調教が行われているらしく、詳しいことは話してくれない限り分からないのだ。
「そのうち認識することになる。それまでは無理に知ろうと焦らないことだ。」
心の中を見透かされたような、ナイの言葉だった。

 教官を送った後、俺は部屋の机に向かいイスに腰をかけ、両肘を机の上に置き安定させ、両腕で頭を挟んで抱え込む。…特にすることはない。いつものことだ…。いつも…って、一体どれくらいがたったのだろうか?17人が一緒に閉じこめられていたときは、外界と閉ざされていて、正確な時間はよく分からなかった。「処刑」を執行されてからは、太陽が出ているのに眠らされてたり、あるいは夜なのに起きて「拷問」をされたり…。そう、拷問だ。あいつらは「調教」とか「再教育」と言ってるが実質は拷問そのものだ。もうすでに時間という概念がぼんやりとしていてはっきりしない。でもそれでもどうでもいい。俺は、どうせ、もう今までの世界に帰ることはできないのだから…。僅かな可能性を考え、その度に同じ答えが導き出され、諦めのため息をつくのも何度目になるのか。力なく目を開ける。机の上に置いてある鏡に目が止まる。何気なく視線を鏡に映してみる。と、そこにはやせ衰え力なく生気もない俺の顔が映っている。…はずだった。……、…何かが違う。よくよく見ると予想に反して、俺の顔は、無駄なく引き締まった筋肉に、眼光が鋭く輝いていて少し血走った、力のみなぎった顔つきだった。これほど生きている感じがしない生活をしてるのに、どうしてなんだろう?ふと映っている姿の首から下を視線が捕らえる。俺は真新しいユニフォームに身を固めていた。…身体の動悸が激しくなる。理由はこれか。このユニフォームは取り上げられていた本物のユニフォームと同時に教官から渡されたものだ。普通のオナニーで射精ができないことを知った時、教官からユニフォームオナニーという「必殺技」を教わった。インナーを穿かないでユニフォームを生穿きし−俺が監禁されていた時と同じ格好だ−、勃起したチンポをツヤツヤのサカパンでシゴくと、驚くほど刺激が増幅されるのだ。そんな恥ずかしいこと…とためらう俺の心は次第に麻痺していった。もちろんいつでも射精ができるわけではない。午前は一般生徒と同じような「授業」を受け−一般生徒とは異なり射精は自由だったが勃起したチンポを普通にシゴいても射精できなかった−、午後の教官から個人的な指導を受けている際の射精も厳禁というか、許可を得なければならなかった。自由時間のみは射精が無制限に許可されており、一般生徒からは果てしなく羨ましがられたが、勃起して我慢汁があふれているのにシゴいても射精できないというのは、もしかしたら物理的に射精ができない状態よりもつらいかもしれない。いやもしかすると、教官はわざと苦しめるために自由時間を設定し射精を許可してるかもしれないのだ。最初はジャージを生穿きしてオナニーをした。ユニフォームよりも身体を隠すことができるからだ。だんだんジャージでは感じなくなってきて、次が公式戦用のユニフォームだった。刺激に慣れていくせいかだんだん感じなくなっていくのが怖い。でも身体は射精を求めて行動していく…。今着ているユニフォームは、本当は部活公式のものではなく、他人がどこかで勝手に作ったはずのいわばニセモノのユニフォームだ。俺はそれをインナーも穿かず素肌の上に生穿きしている。こんなあられもない姿を、どこかで監視されているはずなのだが、俺はそんなことよりも射精がしたかった。前の俺を知ってる部活関係者が「目を覚ませ!」とばからいにこのユニフォームを剥ごうとすれば、俺は逆にムキになって絶対に脱ぐまいと必死に抵抗するに違いない。こういうのを悪魔に魂を売ったというのだろうか?それくらいこのユニフォームは力を持っていた。具体的にどこというのは分からないけど、このツヤツヤ感、僅かにダボッとした通気性、雄々しさを感じさせるデザイン、生地の内側と肌が擦れる時の鳥肌が立つような感触…、あれこれ考えているとサカパンの中に先ほどの湿り気とは別の新たなシミを作っていた。俺は目を瞑り、片手をシャツの上からメーカーのロゴマーク・学校名のプリント・胸の番号と伝わらせていき、さらにサカパンの方に向かってゆっくりと下ろしていった。大きく暖かい息が口から漏れている…。

「なるほど、睾丸調教されている貴之には射精できるというのは逆に苦痛なんですね?許されていて、さらにやりたくても、できないのだから。」
「そう、貴之は一般生徒のように射精を禁止する必要は全くない。むしろ積極的に公認することで逆に別の苦しみを味わうことになる。そんな時逃げ道を用意しておくことによって、貴之の進路を自在にコントロールできるわけだ。」
「進路をコントロールする…、これが再教育ということですか?」
「近い。人間はすることがなくなり、余計なことを考えなくなると、手持ち無沙汰を解消するために性機能が活発化する。これは娯楽の有無や質量と出生数が反比例することからも窺える。ここを押さえることによって思考そのものをコントロールすることができ…さらに、コントロールされた思考や自己に対して、積極的に正当化する心理が働く。こうしてコントロールされた後の自分を受け入れること、これこそが再教育だ。これは何も当学園オリジナルというわけではない。歴史上『再教育』と呼ばれる活動の裏には、多かれ少なかれこの原理が貫かれている。特にある程度成功したものについては顕著だ。」
「なるほど…。」
曖昧にうなずいたものの、智也には「歴史上の『再教育』」と言われてもピンとこない。
「相田教官の前歴は先ほど話したね?彼は警察のエリートとして固い思想教育を受け、また厳しい訓練に耐え強靱な精神力を持っていた。その思想を元に今度は協力者という名のスパイを養成し、様々な組織に植え込んでいく…。そんな彼が今では我々の強力なスタッフとして自らの使命を果たそうとしている。そういうことだ。」
智也にも何のことかぼんやりながら分かる
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部活
  • 2015⁄12⁄12(Sat)
  • 00:32

祥司と陽平

名前 祥司(12歳)中1
身長 150cm
体重 39kg
部活 テニス部
精通/オナニー 小6/中1
実は同性愛で同級生が好きだった時期があったが今はあきらめて、
毎晩ネットで拾った動画をおかずにしている。
背が小さいことが悩み。

名前 陽平(12歳)中1
身長 165cm
体重 49kg
部活 サッカー
精通/オナニー 小4/小4
小4の頃からショタビデオの出演している。
同性愛であり、実は祥司と同じ中学であった。
祥司の学校はマンモス校で学年の人数が多いため祥司が気付いていないが、
陽平は気づいている。

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あぁ、なんて幸せなんだろうか。
こんなことで簡単にお金がもらえてタイプの子とこんなことができる…

5時間ほど前。
「ねぇ、君?」
「はい?」と突然若い男性に声を掛けられた。
「お金欲しくない?」と淡々とその男性は言う。
(え?)と思いつつもボクは「はい」と答えた。
いったいなんだろう…?
「ちょっと気持ち良い仕事をあのお兄さんとするだけなんだ。」
すると向こうの黒い車から出てきたお兄さんとはボクと同い年くらいの少年じゃないか!!
「えっ…どんな仕事なの…?」
「危なくないよ。っていうか多分ハマるかもね」
とニヤニヤしながら男性は言う。
何も言わずにボクの手を引っ張り車に乗せられた。

隣にはその仕事を一緒にするという同い年かも知れない少年が乗っていて
ボクは心臓がバクバクして声が掛けられない…
そのとき
「君の名前なんていうの?」と少年が突然聞いてきた。
はっ!とボクはびっくりしたが、すぐに
「祥司です…君は…?」
「陽平。よろしくな。祥司はいくつなの?」どんどん質問攻めだ。
「12歳だよ、陽平さんは?」
なぜか分からないが心臓がバクバクして止まらない。目を合わせる事ができないから走ってる
外の風景を見ていた。
「おぉ!同い年じゃん!俺も12歳」
実を言うと、ボクは同性愛だった。だからこれは一目ぼれなのかもしれない…
と思いつつ少し沈黙が車内に走った。
しばらくするとさっきボクを誘った男性が話し始めた。
「仕事の内容って言うのがね、ビデオの撮影なんだけどさ、ビデオの内容がね…」
ボクは何のビデオか分かったような気がした。
実を言うとその系統の動画をたくさん持っていて毎晩のおかずにしているからである。
「ショタビデオなんだ。」とまた淡々に言っていた。
ボクは少しなぜだかうれしかった。
なぜならこの一目ぼれの子と出来るからである。
顔にうれしそうなのが出ていたからなのか
「うれしいのか?」と陽平に聞かれて赤面させてしまった。
「陽平さん…とするの…?」
「そうだよ、俺、かなりタイプw後、俺は陽平で良いからな」
「うん、陽平」
…そういえばお金いくらくれるのか聞いてなかったな…
そのまま車はある部屋へと走り続けていった。

「さぁ、着いたぞ、降りろ」またもや淡々にいう。
(この人感情あんのかな~?)と思いつつ
着いたところはマンションだった。
「何でマンションなの?」と男性に言ったつもりだったけど
陽平が「マンションだと色んな設備が整ってるからだよ」
と答えてれた。
すぐに「バクバク…ドキドキ…」になる。
マンションの最上階の一番奥まで歩く間ボクはずっと陽平と一緒に歩いていた。
ドキドキ… 緊張…?それとも恋…?
この前の恋で散々だったのに…また…
陽平はボクのことどうみてるのかな…
初めてだからなんとも思ってないよねきっと…
部屋に入るとそこにはベッドと小さい棚と別室には箪笥が置かれていた。
「普通の部屋じゃないか…」と小さい声で言ってしまった
「なんか期待したの~?」陽平がボクに顔を近づけて言ってきたので
「そっそそんな…そういうことじゃないよ」とドキドキになりながら答えた。
テーブルがおいてある部屋に陽平が座った後座ってしばらくすると
さっきの男の人がカメラと三脚を持って部屋に来た。
「とりあえず自己紹介のシーンを撮影してキスをしてもらおうと思うから、お風呂入って着てね。」
「え?一緒に…?」と聞くと「どっちでもいいよw」って陽平が言ってきた。
またドキドキドキドキ…が始まった…
すると突然「あっ、洗面所に衣装があるからそれ着たら奥のベッドがある部屋にきて」と淡々に。
もう慣れた…あの淡々さには。
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ショタ小説2
  • 2015⁄12⁄12(Sat)
  • 00:30

夏の日、監房

「うあぁっ…!」
ついに捕まった。僕は全力疾走中に後からシャツをつかまれて倒れ込んだ。もう逃げられない。
その瞬間、僕の心を支配したのは、恐怖と絶望と羞恥心、そして後悔。
「約束は守ってもらうからな!」
僕の視界のなかで、陽に灼けた男の子が僕を見下ろしてそういった。ヒロ。僕のクラスメートで小学6年生。
普段は学校の野球部で活躍している。すこし癖のある髪を短めに刈ったヒロが口元を歪ませている。
こういうヒロの表情をなんて言うんだろう。シギャクテキ?
いつもなら整った感じのする彼のほっそりとしたあごも、今の僕にはひどく攻撃的に見える。
「………」
むしあつい夏の公園のグラウンドに座り込んで、僕はなにも言えなかった。
あまりにも高まった緊張のせいかなのかぼやけてしまった視界に、今度は二人の人影が入り込んできた。
二人もやっぱり僕のクラスメートだ。その片方は不満そうな表情を、もう片方は期待に満ちた表情を僕に向けている。
それぞれが、僕が途中で逃げ出したことへの怒りと、これから起こることへの好奇心の現れなんだと僕は思った。
三対一。これで僕が逃げ出すチャンスは完全に失われた。これから僕の身に起こることを想像して、僕は心の底から後悔した。
もし全力疾走でなんとかヒロから逃げ切れていれば。もしこの賭けに負けていなかったら。
いや、野球部のヒロの足に僕が勝てるわけは最初からなかったし、このカケだって勝てる保証はなかったんだ。
僕がそもそもこんなゲームに参加していなければこんな恥ずかしい目に遭うことは…
ぐらり。両うでを痛いぐらいにつかまれてひっぱられ、僕ははっとした。
心の中に今までに感じたことのないほどの苦い感情が広がった。僕がどんなに後悔しても目の前の現実ってものは変わらないんだ。
両脇のクラスメートが僕を立ち上がらせ、「目的」の方向へ向けた。公園のすみにあるコンクリート造りでタイルばりの四角い建物が見える。
公園におとずれた人が用を足す為だけにあるそれは、今日、僕の為の監房に、なる。

きっかけは些細なできごとだった。僕ら四人は近所の公園に集まっていた。
「ここの遊具でいつものように鬼ごっこ。ただし…」
普通の遊びに飽きたヒロたちが、賭けを思いついたんだ。
「…一番最後に鬼だった人は、トイレでシコってもらいまーす!」
公園の時計でながい針が0分の所に来るまで鬼ごっこをして、最後まで鬼だった子がトイレで…
…他の三人が見ている前でマスターベーションをする。そういうことらしい。
本気なの…?と思ったけど、本気らしい。ヒロが、異存はないね?と一応確認を取る。
僕は…正直あまり乗り気じゃない。もちろん僕はマスターベーションというものを、したことはある。
初めてそれを知ったのは、合宿で一緒になった中学生から話を聞いた時だった。
できない。他の人にそんなところを見せるなんて。一人でもあんなに悪いことをしたような気分になるのに…
でも…今ヒロ達に僕が反対したら?クラスメートの反論が思い浮かぶ。
「それじゃあ、俺ら3人だけで遊ぶから、お前は好きにすれば?」「みんなの前でしたくないんだったら、鬼にならなければいいんだよ。」
何故か、あんなに嫌悪感があった僕の心が、賭けに参加する方に急激に傾き始めていた。
大丈夫。実際にしなきゃいけないのは四人にひとり。僕は鬼ごっこには自信があるし、それこそ本当に鬼にさえならなければ全く問題無い。
その時は、勝手に三人でトイレにでも何にでも入ってればいいんだ。それに…ちょっとだけエッチなことにも興味があるし、その時はその時だし…
「それで、お前もやるんだな?」
聞かれた。
「あ…、うん。僕、やる。」
答えた。
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SS
  • 2015⁄12⁄09(Wed)
  • 00:39

五感で洗脳

「どうもー」
軽いノックの直後、間を置かず『トレーナー室』という札が掛けられた扉が勢い良く開けられた。
部屋の主は椅子に座ったま、椅子を回転させて訪問者の方を振り返った。
「シュウ、お前また5分遅刻だぞ」
シュウと呼ばれた少年は、上下とも青いサッカーシャツとサッカーパンツを身に付け、足には踵を踏み潰したスニーカーを突っ掛けていた。膝下まで伸ばされたサッカーストッキングの脛部分は盛り上がり、シンガードを装備していることが分かる。シュウはシューズケースを片手でぶら下げながら、もう一方の手でくせっ毛が跳ねる頭を掻いた。頭の中心線をやや長めに残した髪の毛が、フラフラと揺れた。部屋の窓から差し込む陽光を反射し、サッカーシャツとサッカーパンツの生地が輝く。シャツに縦に走るシャドーストライプとVネックの首周りの白い筋が、デザイン上のアクセントとなっていた。
「すんません。でも、時間ピッタリに来られても、ムカイせんせも困るっしょ?」
部屋の主は椅子から立ち上がると、シュウを一睨みしてから苦笑した。
「お前らしい屁理屈だな。部活や試験で遅刻してなけりゃいいけどさ」
シュウは肩を竦めながら笑って応えた。
「今日はいつもと違う部屋を使うから、付いてきな」
「ほーい。了解っす。ムカイせんせ」
廊下を歩くムカイの横に並び、シュウはムカイを勝手に世間話相手にしながら歩き始めた。
シュウが招き入れられた部屋は、普段シュウ達高等部の生徒が足を踏み入れることの無い大学院研究棟の地下にあった。
壁や床はコンクリート打ちっ放しのままで、蛍光灯の白々しい光が殺風景な室内を無機質に照らしていた。何も無ければフットサルコートくらいは取れそうな部屋だったが、中央にはフリーアクセスのために床上げされた巨大な台が陣取っている。金属の床と本来のコンクリートの床との間で大量のケーブルが波打っている様子が見えた。ムカイは数段の金属製の階段を昇り、幾つも並んだコンピュータラックの一つの扉を開けた。トレイを引き出し、液晶ディスプレイを立てると、キーボードで何やら操作を始めた。
室内をキョロキョロと見回していたシュウは、ムカイが弄るコンピュータラックよりも、その横に並ぶ白い卵状の何かに強く興味を惹かれていた。その全高はムカイの背よりも高く、全周は大人一人では抱え切れない程の太さで、人一人であれば立ったまま入れそうに思える程の大きさだった。そんな巨大が卵が、全部で5つ、台の上に並んでいた。
ムカイはキーボードを操作しながら、シュウに話し掛けた。
「指示通り、ちゃんとユニフォーム着てきたんだな」
シュウは頭の後ろで両手を組みながら、空調や機械群の冷却ファンの風切り音に負けないよう、声を張り上げて答えた。
「本番に近い状況を作る必要があるから、って言われりゃ、そりゃね」
蛍光灯の灯りの下で、シュウのサッカーシャツとサッカーパンツは強い光沢を放っていた。
「スパイクも持ってきただろ?」
「もちろん」
「じゃあ、ちゃっちゃと履き替えて、上がっといで。床がコンクリや鉄だから、歩き辛いだろうけど」
「りょーかい」
シュウはスニーカーを無造作に脱ぎ捨てると、床に膝をつきスパイクに履き替え始めた。
シュウは高等部のサッカー部員で、試合ではよくボランチのポジションを務め、周りのMFやFWを巻き込んで守備から一気に攻撃に転じる起点役を得意としていた。
シュウが通う高等部は、大学に付属しキャンパスも隣接していることから、大学の教員陣が高校生の指導に当たることも少なくなかった。ムカイもそうした内の一人で、人間環境工学部に講師として勤務する傍ら、高等部の部活動のトレーナー役も務めている。
シュウも一人の運動選手として、フィジカルとメンタルの両面でムカイの世話になっていた。
そのムカイから声を掛けられたのが数日前。動体視力と空間把握力を鍛えながらも、目にかかるストレスを緩和するトレーニングも行なえるという新たな技術と装置を開発したので、その実験に参加してほしい、という内容だった。シュウは、普段から気軽な兄のように接してくれるムカイに全幅の信頼を置いていたため、二つ返事で快諾した。
台の上に並ぶ巨大な卵が、その装置なんだろうな。面白そう。早く使ってみたいな。
そんなシュウの期待を後押しするかのように、プシュッと空気が漏れるような音を立てながら、卵の内の一つが割れ始めた。
「おっ」
シュウは思わず声を上げていた。卵の殻に長方形の筋が生じ、その部分が手前に迫り出し、やがて上方に向かってスライドし始めた。その長方形は扉であり、姿を現わしつつある卵の内部は、純白の殻とは対照的に漆黒だった。扉の上辺が卵の頂点と同じ高さまで達すると、今度は扉が左右のアームに支えられてほぼ水平に跳ね上がった。蛍光灯の灯りが卵の中を照らすようになると、そこには黒色の革かビニルで覆われた一人分の座席が設けられているのが分かった。
「これが、動体視力と空間把握力を訓練するための新装置」
期待に浮き足立つシュウに対して冷静な表情のムカイが、説明を始めた。
「シュウはボランチとして、時にはゲームメイクしなければならない立場であるからな。何よりもピッチ全体を立体的に認識しながら自分と周囲を動かさないとならない。これはサッカーのコートや試合の動きのシミュレータみたいなもんだが、完全に集中して取り組むためには、先ず外界の情報を遮断した状況を作らないとならない。そのための装置ってわけだ」
「へぇー、すげぇ」
想像以上の大掛かりな仕掛けを前に、シュウは素直に感嘆の声を上げた。
「さぁ、この中に座ってごらん」
シュウは卵の中の黒いシートに腰掛けた。このシートはソファのようなゆったりとした座り心地で、フットレストやアームレスト、そしてヘッドレストを備えていた。シートは卵型の下部から上部にかけて斜めに設置されていたため、深く腰掛けるとリクライニングした体勢で全身をシートに預ける状態となる。
「座り心地はどうだ?」
「すげー。良過ぎっすよコレ。このまんま寝ちゃいそう」
ムカイの問い掛けに答えると、シュウはニッと笑って見せた。少しずれたサッカーシャツの襟元からは白いインナーシャツが、そしてサッカーパンツの裾からは同色の青いスパッツが見え隠れした。光沢感に富んだユニフォームから伸びる腕と脚には、日頃の基礎練習の成果かバランスの取れた筋肉が付いていた。シュウは特に恵まれた体格ではなかったが、その体は着実の大人の漢として成長しつつあった。
「この装置は完全防音だし光も完全に遮蔽するからなぁ。シュウのことだから本当に寝ちまうかもな」
ムカイの言葉にシュウは少し不貞腐れて見せた。
「んなワケないっしょ」
「ま、視覚のリラックスも目的の一つだから、状況によっては寝てくれてもいいんだ。装置の中の様子は全てモニタリングしてるから、訓練に戻るタイミングでも寝てるようなら呼び掛けてやるよ。異常が生じたらすぐに蓋が開くようになってるし、それでも起きないようなら直接俺が殴ってやる」
シュウはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。ムカイは説明を続ける。
「先ずその上のヘルメットを被るんだ。ゴーグル部分は内側がスクリーンになっていて、視野全体を覆うように映像を表示することができる。蓋が閉まると無音になるけど、慌てるなよ。先ずサッカーのコートを模した映像が表示されて、その中をシュウ自身が走ったり飛び回ったりするような動画が流れる。他のプレイヤーもてんでバラバラに動いているから、それらとの距離感を常に意識しながら映像を見続けるんだ。途中、高速で動いたり高く蹴り上げられた状態のボールが登場する。それは動体視力の訓練なので、しっかり目で追うこと。視覚のリッラクスのためには、サッカーとは関係の無い映像が流れるので、それはボケッとしながら眺めてればいいよ。時には文章も表示されるけど、それも特に意味を考えずに眺めてればいい。分かったか?」
「んー、思ったより複雑なんすね」
考え込むような表情でムカイの言葉を反芻するシュウの前に、ムカイは顔を突き出した。シュウは思わずムカイの顔を至近に見詰めた。
「ま、あまり考えず、映像に身を任せてれば大丈夫。これは俺が作った装置なんだから」
視線を合わせたムカイから力強く言われ、シュウの表情が急に柔らいだ。
「そっすね。ムカイせんせ」
シュウの素直な言葉を聞いたムカイは、満足そうな笑みを浮かべて装置から一歩退いた。
「じゃあ、シュウ、そのヘルメットを被って」
「りょーかい」
シュウは上に手を伸ばすと、フルフェイスのヘルメットを引き下ろして頭に被った。ヘルメットはアームによって装置の天井からぶら下げられ、アームには多くのケーブルや管が巻き付けられていた。
「ムカイせんせ、OKっすよ」
「うん。じゃあ、始めるよ」
ムカイがキーボードを操作すると、卵の蓋がゆっくりと閉まり始めた。シュウは頭部をヘルメットに覆われた状態で、全身をシートに預けた。蓋が密着した瞬間、それまで聞こえていた風切り音が全て途絶え、一方でシュウの視界には広大なサッカーコートが広がった。
ムカイが見詰めるディスプレイには、微弱な赤外線の投射と反射によって捉えられたシュウの瞳の動きがトレースされており、またスピーカーからは装置内の音が流れ続けていた。当初は視界を覆うスクリーンの全ての領域に目を配っていたシュウであったが、視覚以外が無感覚な状況が続き、またスクリーン上の世界に埋没している内に、全ての知覚をスクリーンの映像に支配されるようになっていた。他のプレイヤーが誰もいなくなったコートの上で、シュウはひたすらボールの動きを追っていた。シュウの瞳は、ボールが動くように動き、ボールが止まると共に止まる。正面の位置に止まったままのボールを、シュウは何らの疑問も抱くこと無くじっと見詰め続けていた。ムカイの前のディスプレイ上で、シュウの瞳を示す表示は一箇所に留まったままで、スピーカーからは規則正しい呼吸音が微かに聞こえてきていた。
ムカイは微かに笑い、呟いた。
「映像に対する被暗示性が極限に達したら、いよいよ本番開始だな」
スクリーン上の映像を制御するプログラムが、自動的に次のフェーズへ移行した。
シュウの前に広がるサッカーコートが、次第に暗い闇の中へ落ち込んでいく。同時に、サッカーボールは一つの光点へと変化していった。やがてシュウが見る世界は、星がたった一つだけ輝く闇深い宇宙へと姿を変えた。それでも、シュウは唯一の星を見詰め続け、そこから目を離そうとはしなかった。
突然、星を中心に白い文字が浮かび上がった。
【私に従え】
文字はすぐに消え、シュウの視界は星が一つ輝くだけの静謐な宇宙へと戻った。しかし再び、文字が現われる。
【私に従え】
そして暗転。
文字の表示と暗転とが数回繰り返される。だがそれでも、シュウの瞳は星を見詰める位置のまま、動かずにいた。シュウの知覚に於いては、まるでサッカーボールであった星が、シュウに語り掛けてくるように認識されていた。シュウの視線がぶれないことを確認したプログラムが、次々と文字を描き出す。
【私の言葉に従え】
【私の言葉は絶対だ】
【お前は私の言葉に従う】
【お前は忠実な下僕だ】
【お前は…
やがて、スピーカーからはシュウの声が聞こえ始めた。
『私はあなたに従います…あなたの言葉は絶対です…私はあなたの忠実な下僕です…』
シュウはスクリーンに表示された言葉を自分自身の立場に受け入れ、それを無表情に繰り返していた。その内容が、次第に変わっていく。
『私は…トレーナーのムカイ先生の下僕です…俺はムカイ先生のものです…ムカイ先生は俺のご主人様です…ご主人様の命令は絶対です…』
ある瞬間からスクリーン上の文言が一変し、シュウが呟く言葉にも大きな変化が生じた。
『俺はご主人様を愛してます…俺は仲間になるみんなのことを愛してます…俺は男が…男がっ好きっです…俺はっ男で抜いてっますっ…』
シュウの言葉には感情を滲むようになっていた。シュウの瞳は視界の中を激しく動き出した。
『俺っ、好きっ、男っ、はぁっ、ご主人様っ、んっ、仲間っ、あっ、んっ…』
装置内に設置された赤外線カメラは、シュウが両手でサッカーパンツの上から陰茎をこする様子を映し出していた。
『んはっ、俺っ、気持ちいっ、男のことっ、ユニ、サカパンっ、気持ちいぃっ、あっ、俺っ、射精っ、下僕っ、抜いたらっ、下僕になれっるっあああっ』
シュウの全身がビクビクと痙攣し、ヘルメットに繋がったアームとケーブル群が大きく揺れる。射精の瞬間、シュウの瞳は再び視界の中心に固定され、そして消えた。
卵型の装置の蓋が開く。蛍光管の灯りに照らされたのは、ヘルメットを被ったまま涎を垂らし、勃起によって盛り上がったサッカーパンツを精液で濡らして気絶するシュウだった。
ムカイがヘルメットを外してやると、シュウは手の甲で目をこすりながら周囲の様子をうかがった。そしてムカイが自分のことを見詰めていることに気付くと、シートから上半身を起こして姿勢を正した。
「ご主人様」
シュウは表情を失った目を真っ直ぐにムカイに向け、一礼した。
「俺は、ご主人様の忠実な下僕です」
その平坦な口調に、感情豊かな本来のシュウの面影は無かった。
「俺は、ご主人様を愛しています。だから…。んっ」
シュウの両手は再び自身の股間へと伸びる。精液で濡れたサッカーパンツ越しに、シュウは勃起した陰茎をこすり始めた。
「俺はっ、ご主人様でっ、抜きますっ。俺っ、下僕だからっ、抜くっ、抜きますっ、抜く抜くっ」
シュウは上半身を少し前傾させながら、そしてムカイの顔を見詰めながら、手を激しく動かしていた。
「これはこれで、いい感じの壊れ方だな、シュウ」
ムカイは独り言ちた。
「俺、サカパン穿いて抜きますっ、気持ちいいですっ、ご主人様っ、見てくだっさいっ俺の勃起っ俺のオナニーっ俺のあっあっあぁっ…」
シュウは再び射精した。全身をガクガク震わせながらも、視線はムカイのことを捉えようと必死で泳いだ。
「視覚への刺激だけだと、柔軟性に欠けた暗示になっちまうな。他の実験結果が揃ったら、ちゃんと作り直してやるからな」
ムカイは装置内部に手を伸ばすとヘルメットを引き下ろし、射精直後で放心状態のシュウの頭部に被せる。シュウは「ご主人様」と呟きながらも、ムカイにされるがままになっていた。
「ンムッ」
シュウがくぐもった声を上げた直後、シュウの全身が脱力した。ムカイはシュウをシートの上に寝かせると、装置の蓋に手を掛けた。
「疲れたろ。暫くこの中で寝てるんだ」
再び、シュウは卵の中に密封された。
「さぁ、この中に座ってごらん」
ムカイの声に従い、一人の少年が卵の中のシートに腰を下ろした。彼は、横に並ぶ卵の中に精液にまみれ人格を破壊された少年が囚われていることに、そして自分も同様の姿に変えられることに、気付いていない。一方、スクリーンから与えられる映像の世界で快感と休息を交互に貪るシュウもまた、新たな少年の来訪を感知することは無かった。
シュウが装置から出たのは、ムカイによる処置が全て完了してからのことだった。シュウには、視覚・触覚・味覚・嗅覚・聴覚の全てに働きかける洗脳プログラムが施された。このプログラムは、少年達を被験者とした実験に基いて完成されたものだった。五感全体に絶え間無い快感を与えられながら暗示による教育を刷り込まれた結果、卵の中から立ち上がったシュウは、自我を保ちながらもムカイに絶対の服従を誓う下僕として生まれ変わっていた。
汚れたユニフォームを脱ぎシャワーで体を清めるシュウは、共にシャワーに浴びる4人の少年達に欲情していた。少年達は目を合わせ、誰ともなくお互いの肉体に手を伸ばし始めた。
お互いの味を知った5人の少年は、それぞれが所属する部活動のユニフォームを身に付け、彼らの主の前に整列していた。
「シュウ」
「はい。ご主人様」
新しく与えられた青いサッカーシャツとサッカーパンツを身に付けたシュウは、ムカイからの呼び掛けに嬉しそうに笑いながら応えた。
(おわり)
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ショタ小説2
  • 2015⁄12⁄02(Wed)
  • 00:37

正義の味方

1

午前中の部活動の練習を終えて、久々に下校が一緒になった僕達五人は色々おしゃべりしながら歩いていた。
五人というのは、サッカー部の秀士(しゅうじ)と、陸上部の陸(りく)と、バスケ部の悟(さとる)と、柔道部の和道(かずみち)、そして水泳部に属している僕。市立の中学校だけど屋内プールを備えたうちの中学校では、一年を通して水泳の練習をすることができる。生乾きでまだ塩素の臭いがする髪の毛が、春の暖かい風に吹かれて少し気持ちがいい。
五人は小学校時代からの友達同士で、家もお互いに近い。中学校も二年生になる頃だと、新しい友達もできて行き来が減ってくるけれど、それでも登下校のタイミングが合えば固まって動くのがこの五人だった。
「英太(えいた)、何ニヤニヤしてんだよー」
ノリが一番軽くて、すぐに人にちょっかいを出してくる秀士が、僕の濡れた頭をちょんちょんと指先で突いてくる。
「な…なんでもないよ」
「きめー」
秀士が笑う。勿論、本気でキモいなんて思っているワケではないことは分かる。実際は、ちょっとキモい想像をしていたのではあるけれど。
日曜の朝のテレビ番組で、特撮の戦隊ものってのがある。五人くらいの選ばれた戦士が色とりどりの全身タイツのヒーローに変身して戦う、ってヤツ。今じゃ女の子向けの似たような発想のアニメもあるくらいで、うん、今でもまだ結構好きだったりする。小学校時代は、この五人で戦隊ヒーローをやる、なんていう妄想もよく働かせていた。小学校の地下に実は基地があって、なんてね。実際の子供になんて大した力は無い。だから、変身して悪いヤツらを倒す力を手に入れられるなんて夢みたいな妄想、ちょっとは持ってもいいんじゃないか、って思う。
久々に五人が揃ったものだから、そんな妄想を思い出してちょっと笑ってしまった、というのが実際のところ。まさか正直に告白できる筈が無い。
「今日さー、これからうちに来てみんなで昼飯食わん?」
みんなより頭一つ大きい悟が前触れ無く持ち掛けてきた。
「マジ?助かる、今日は親二人ともいないし。あ、でも他の人は?家にお昼用意してもらってんじゃないの?」
すぐにニコニコと笑顔で応じたのは陸。周りへの気遣いも忘れない。
「俺んとこは店やってっから。勿論行くよ」
小柄な僕の横に立つと、兄弟か下手すれば親子か、って感じにガッシリした体格の和道が、モソッと答えた。
「んじゃ俺も行くー。ちょっと待ってメールしとっから」
秀士はジャージのポケットから携帯電話を取り出すと、あっという間にメールを送った。恐らく一言二言くらいしか打っていないんだろうけど。
「で、英太はどうすんだ?」
秀士が僕の肩に腕を回してきた。どうすんだ、じゃなくて、来るだろ?だよねその態度は。
「うん…、悟んちが迷惑じゃなければ」
「迷惑だったら最初から誘ってないって」
って、なんで悟じゃなくて秀士が答えるんだよ。
「秀士の言う通り、気にすんな」
悟が穏やかに苦笑しながら口を挟んできた。悟は昔から何となく大人びていて、五人の中でもお兄さんキャラだった。五人のリーダーやるならやっぱり悟かなぁ。秀士っていう大穴もあるかもだけど。いや、そんな妄想働かせてる場合じゃなかった。
「あー、うん、じゃあ、ちょっと家に電話してみる」
僕は秀士の腕を振りほどくと、スクールバッグに突っ込んだPHSを探し始めた。
「うちの兄貴がさ、急に料理に凝り始めちゃって、色んなカレー作り過ぎたんだよ」
肩をすくめながら言う悟のお兄さんとは、数回だけ会ったことがある。結構歳が離れていて、どこかの研究所に勤めてる、って紹介されたことがある。顔立ちは悟とそっくりで、髪が短めの悟を長髪気味にさせて眼鏡をかけさせた感じ。
俺カレーすっげぇ好き!と騒ぐ秀士は、確かに泊まりがけの移動教室でも真っ先にカレーのおかわりに行ってたな。でも一々うるさい、こっちは電話かけてるのに、と思っていたら親が出た。
「あ、…お母さん…?あのさ、」
街なかのサラリーマンがよくやるように、口許を手で押さえて、みんなには少し背を向けて小声で話す。お互い家族同士知り合いだけど、親との会話を聞かれるのはちょっと照れ臭い。
「悟がさ、お昼呼んでくれたから…、うん、お昼いらない…。帰り?うん…夕方…かな…」
お昼を食べたら、きっとそのまま悟の部屋でウダウダ過ごすことになると思う。
「まぁ、晩ご飯までには、帰るよ。んじゃ」
そう言って電話を切ると、僕は悟に向かって言った。
「悟んちでお昼食べさせてもらうね」
「ありがとな。良かった」
ニッコリ笑いかけてくる悟に顔を見て、僕も笑って見せたけれど、この時僕はちょっとした違和感を抱いていた。お礼?気にすんな、とは悟がよく言う言葉だけれど、わざわざお礼を言い合う仲だっけ?
結局、作り過ぎたカレーの始末にお礼を言われたのだと解釈したのだけれど、後から思えばこの違和感は間違ってはいなかった。悟は別の目的のために、僕達を自宅に誘っていたのだった。
2

悟のお兄さんが作ったというカレーは四種類くらいあって、なんでも本場のインドカレーに凝っているらしく、豆と野菜のカレーとか、チキンカレーとか、バターを使って甘めにしたバターチキンカレーとか、羊肉の挽肉のキーマカレーとか、そういうのを真っ黄色なサフランライスにかけたり、ホットプレートで焼いた偽物ナンにつけたりして、食べさせてもらった。ナンのことを偽物ナンと呼んだのはお兄さん自身だったけれど、僕は本物のナンを食べたことが無かったし、とてもモチモチしていて美味しかったので、それはそれでいいかな、と。秀士と和道は相当気に入ったのか、僕や陸の二倍は食べていたような気がする。
食後、悟の部屋でゲームをしたりマンガを読んだりしている内、秀士は悟のベッドを占領してスースーと寝始めてしまった。和道は「食い過ぎた。うんこ。トイレ貸してくれ」と、カレーを食べた直後としてはちょっと声に出してほしくないことをストレートに言いながら部屋を出ていって、僕は悟とゲームの対戦を続けていた。
ふと声を上げたのは陸だった。読んでいたマンガから顔を上げて、
「カズちゃん、なんか時間長くないかな。まさか腹壊したのかな」
と訊いてきた。ゲームに没頭していた僕は時間の感覚が分からなくなっていたけれど、陸によれば三十分は帰ってきていないとのことだった。
ちょっと見てくる、と言いながら、陸は悟の部屋を出て階段を駆け下りていった。僕もゲームを中断して立とうとしたところを、悟に止められた。
「何人もで行ってもしょうがないし。なんかあったら兄貴もいるから」
僕はまた少し違和感を感じた。いつもはのんびりしているのに、こういう時に一番最初に動くのは悟じゃなかったっけ。ただ、悟の制止は間違っていなかった。数分して陸が苦笑しながら部屋に戻ってきた。
「カズちゃん、ったらさ、用足して、眠いって…まんま…ソファーれ…寝れ…ら…」
和道についてはホッとしたけれど、今度は陸の様子がおかしかった。ろれつが回らなくなっていて、おまけに立っていることができなくなったのか、部屋の入り口の柱にしがみついている。
「は…れ…、俺…目…まわれる…ろ…」
僕は驚いて、ゲーム機を放り出すと立ち上がって陸に駆け寄った。つもりだった。僕の視界は急に暗くなっていった。立ちくらみだ。そう感じた次の瞬間、僕は床に転がっていた。
「り…りっくん…?」
腹と胸に重みを感じて瞬きすると、視界に光が戻ってきた。どうやら、倒れ込んできた陸の体をなんとか受け止めて、僕は床に倒れたらしい。陸の頭が僕の胸に乗っていて、陸は少し荒い寝息を立てていた。
「ら…らいろ…ぶ…?」
おかしい。大丈夫、と言ったつもりだったのに、僕もろれつが回らなくなっていた。僕の顔を覗き込んでくる顔があった。悟だった。
「ら…らろ…る…?」
悟、と呼び掛けられない。
「体動かしたから、薬が回り易くなったんだな」
何を言ってる?僕は悟の言葉の意味を理解できていなかった。理解したくなかったのかも知れない。
「ぁ…ら…る…」
助けて、と言いたかったのに、唇や喉が痺れて動かなくなってきた。
「そろそろだよ、兄貴」
悟のそんな言葉を聞きながら、僕の視界は完全に真っ暗になった。
3

「…いた!…えいた!」
僕は自分の名前を呼ばれて目を覚ました。そして、全身が拘束されていて動かないことに気付いた。
「こっ、これはっ!?」
混乱する頭でなんとか記憶を辿り、自分が、そして友達が悟の家で倒れたことを思い出した。
「りっくんっ、カズちゃんっ、秀士っ、悟はっ?」
僕は思わず友達の名前を呼んでいた。特に、様子が際立っておかしくなっていた陸のことが心配だった。
「悟の兄貴だよっ、あいつが俺達に変な薬飲ませたんだっ」
首を横に向けると、そこには歯医者にあるような斜めのベッドに縛り付けられた和道がいた。和道は何故か柔道着の上下を着ており、また柔道着の下には黒いインナーが見えていた。ハイネックで長袖のインナーシャツによって、和道の太い首や厚い胸板、そして手首までが黒く光沢感のある生地で覆われていた。それは下半身についても同様で、柔道着のズボンの裾からは足首までを覆う黒いタイツが見えていた。
「カズちゃん、そのかっこ…」
「知らねーよ。それにお前だって、よく見てみろ自分のかっこを」
和道に怒ったように言われて、僕もまた和道と同様の状態に置かれていることに気付いた。首や手足や胴体をベルトでベッドに固定された僕は、ピッチリと肌に張り付く黒い全身タイツのようなものを着せられ、その上に水泳部で使っているスパッツ型の競泳パンツを穿かされていた。この格好の意味が、全く分からなかった。
「っざけんなっ、離せっ、このヤロっ、ちっくしょ、戻せっ、悟と陸を元に戻せっ」
秀士の怒鳴り声が聞こえてきた。なんとか頭を持ち上げて和道の向こう側を見ると、そこには僕や和道同様に拘束された秀士の姿があった。秀士もまた、黒い生地で頭や手の先以外を覆われ、その上に青いサッカーシャツやサッカーパンツを着させられていた。裸足の僕や和道と違うのは、足にスパイクやストッキングを履かされていたことで、またストッキングの膨らみを見るとシンガードまで着けさせられているようだった。
そして秀士の向こう側には、自分の目を疑ってしまったのだけれど、頭や足の先までスッポリと黒く光る生地に覆われ、身動きしない人の姿が一つ、あった。
「悟や陸をどうするつもりだっ」
秀士の言葉にハッとする。
「まさかあれっ」
「陸だよ」
怒気を含んだ和道の言葉に、僕は息を飲み、そして叫んでいた。
「そんな…っ、りっくん、まさか死んでっ…」
「死んでるワケじゃねーよ。でも、ああなるらしい」
和道が顎を微かに動かした先を見ると、そこには奇妙な人影が一つ、直立していた。こんな時におかしな発想だけれど、僕はその姿を見た時、特撮のメタルヒーローものを思い出していた。胸や腕や足を甲冑のように覆う黒光りする防具、そしてフルフェイスヘルメットのようなもので覆われた頭部。その喉元は首にぴったりはまり、普通のヘルメットのように脱げるような状態にはなっていない。全体が樹脂のような光沢を持っていて、ゴーグル部分がどこか分からないのっぺりとした外観。そして、ヘルメットや防具の間で全身を覆う黒光りする革のようなビニールのような生地。今僕達が着せられている全身タイツが、もっと厚ぼったくなったような。これで、ヘルメットなどにもっと装飾があって黒一色ではなく色でも付いていたら、正に特撮に出てくる正義の味方だった。だが、視線の先で直立したまま微動すらしない人影は、正義の味方には思えなかった。まるで、悪役の戦闘員だった。その中に入っているのは、まさか。
「あれは悟が改造されちまった姿なんだってよ」
和道が吐き捨てるように言う。
「悟を戻せっ、陸を戻せっ」
秀士の怒鳴り声が響き続ける。
「かい…ぞう…?」
現実味の無い言葉を、僕はオウム返しに聞き返していた。
「あぁ、悟の兄貴にな」
「えぇっ」
僕は素っ頓狂な声を上げるしかなかった。
「少年戦闘員一号だってよ。ダメだ、俺頭狂ってきたかも。ワッケわっかんねぇ。悟は兄貴に改造されて洗脳されて、今日は俺達四人を誘拐して改造するために昼飯に誘ったんだってよ、兄貴の命令でっ。俺夢でも見てんじゃねーのか。言ってて笑えてきた」
「やれやれ、目が覚めたらうるさいねぇ」
室内に細いけれどよく通る声が現れた。悟のお兄さんだった。秀士も、和道も、僕も、拘束ベルトが首に食い込むのもお構いなしに頭を上げ、怒鳴って、喚いて、叫んだ。だけれど、耳許でカチリという音が聞こえて、僕達は声を失った。声を出そうとするのに、喉が全く動かなくなった。室内が一気に静かになる。
「秀士くん、和道くん、英太くん、君達の神経ももう僕の手の内にあるんだよ?そろそろ新しい人生を喜んで受け入れる準備をしてほしいもんだね。ほら、陸くんがそろそろ完成だ」
声は出せないけれど、頭や指はまだ動く。僕達は一斉に陸の方へ目を向ける。僕はこの時恐らく目を丸くしていたと思う。頭まで黒いものに覆われていた陸の体は、徐々に元に戻っていっていた。いや、戻っている筈が無い。黒いものが陸の体に吸収されていっているのだから。やがて、陸は全裸になった。全裸になった陸の股間では、その、えと、ち…、チンコが、大きく、ぼ…勃起して、下腹部に付く勢いで突き立っていた。
陸が寝ていたベッドの拘束ベルトが外される。陸は目を開けるとゆっくりと起き上がりベッドから降りた。意識を取り戻した陸は、でも、陸ではなかった。無表情でガランと空っぽのような瞳で悟のお兄さんの姿を見付けると、その方向へスタスタと歩き出した。なんとか声を掛けようと身悶えする僕達三人のことなんて全く視界に入っていないような雰囲気で。陸は全裸で勃起していたけれど、もう一つ普通でなかったのは、陸の胸だった。胸の中央にはまるで刺青されたかのような印が黒々と刻み込まれていた。細い円を二つ同心円状に重ねたマーク。まるで陸の改造終了を示す印であるかのようなそのマークは、和道の柔道着の下のアンダーシャツにも、同じ場所に白く印刷されていた。サッカーシャツに隠れて見えない秀士にも、そして僕にも、同じところに同じ印があるんだろう。そしてそれが体に転写された時、僕達はもう僕達ではなくなっているんだろう。僕の目は涙を流し始めていた。
陸は悟のお兄さんの前に立つと、ゆっくり頭を下げた。
「いい子だ」
悟のお兄さんはそう言いながら悟の頭に手を置いた。そして、
「変身してごらん」
「はい」
陸の声は、ゾッとする程に平坦で、まるで機械が棒読みしたようなものだった。陸が返事した直後、陸の体に変化が生じた。全裸だった体は、染み出すように現れたランニングシャツとランニングパンツを身に付けた。足には短めのソックスとランニングシューズが現れる。シューズと赤いユニフォームは、陸が部活動の時にいつも着ているものだった。続いて、陸の体からは黒いものが染み出してきた。それが、一旦陸の中に染み込んでいった黒い全身タイツであることはすぐに分かった。全身タイツは陸上部のユニフォームを溶かすように飲み込み、陸を再び頭から手足の先まで包んでしまった。更に、頭部や胸部を初めとしてあちこちの部位がどんどん厚みを増し、最終的には鎧のように固い素材に変化した。その姿は、既に改造を終え戦闘員と化した悟と全く同じだった。
「陸くんはまだ洗脳が完了していないからね、暫く頭の中を綺麗にして教育を続けよう。教育プログラムはユニカバーが実行してくれるから、そこに並んで待機しておくように」
ユニカバーとはなんだろう。陸や悟の体を覆っている黒いもののことだろうか。
「はい」
マイクとスピーカーを通したような陸の声は、ますます人間離れしていた。陸は戦闘員の姿でゆっくり歩くと、悟の横に並んで気を付けの姿勢で固まった。陸は、完全に陸ではなくなってしまった。
「じゃ、次は秀士くんの番だ。うるさい子から先に改造しておけば良かったかな」
悟のお兄さんは、さっきカレーをよそってくれた時と変わらない笑顔で、恐ろしいことを言い放った。秀士は声を出せないまま身をよじり、抵抗の意志を示そうとしていた。
「ちょっとローテクなんだけど、僕はこれが好きなんだよな」
そう言いながら、悟のお兄さんは一つの機械を手に取った。それはただの電気マッサージ器だった。モーターによって卵型の頭の部分が振動し、肩凝りを治すという普通に売られているマッサージ器。一体何に使うのか、僕には想像できなかった。
「気持良くしてあげるよ」
悟のお兄さんはマッサージ器のスイッチを入れる。ブーンという振動音が静かな室内に響く。お兄さんは、その振動部分を秀士のサッカーパンツに、秀士の股間に、押し当てた。秀士は目を見開き、首を横に勢い良く振りながらなんとか逃げようとする。でも、しっかり固定された体がマッサージ器から逃げられる筈が無かった。秀士は声の出ない口をパクパクと動かし、鼻水や涙を流しながら首を振り続けたけれど、限界はすぐに来た。秀士は見開いた目を天井に向けながら一旦固まり、そして今度は腰を小刻みに上下に動かし始めた。射精だ。僕も何度もマスターベーションをしたことがある。だけれど、他人から強制的に振動を与えられて射精するというのは…。気持いいんだろうな。僕はそう考えてしまった自分に、競泳パンツと全身タイツの下でチンコを固くしている自分に、驚愕して自己嫌悪を覚えた。僕はバカな想像を振り捨てて、秀士の様子をうかがった。悟のお兄さんは、射精を一通り終えたらしい秀士の体からマッサージ器を離すと、手で秀士の股間を掴んだり、撫で回し始めた。光沢感があって滑らかな生地のサッカーパンツ越しに秀士の膨らみを触るお兄さんの手に、僕はどうしようもない羨ましさを感じていた。
「気持ち良かったろ。君達少年の精液を吸収したユニカバーは、すぐに君達の体を改造し、洗脳してくれる。秀士くん、君もすぐに立派な戦闘員に生まれ変われるからね」
秀士は天井を見詰めたまま、全く身動きをしなくなっていた。その一方で、黒い生地の表面は泡立ったように激しく動き始め、ユニフォームを同化し、秀士の頭や手足に触手のように伸びて秀士の全身を包み込んでいった。
暫くして秀士の全身は真っ黒に覆われてしまい、そして、後は陸と同じだった。全裸で目覚めてベッドから降り立った秀士は、胸に黒い印を入れられ、悟のお兄さんが命じるままに動いた。笑ったり怒ったり表情豊かだった秀士は、陸や悟の姿に憤って怒鳴り散らしていた秀士は、今はただの人形のようになって、勃起したチンコを晒しながら悟のお兄さんの前に立っていた。
「いい子だ」
陸の時と同じように、秀士の頭に手を置く。
「はい。ありがとうございます。司令」
秀士の言葉に、僕はまた驚愕した。悟のお兄さんはクククと笑いを漏らしていた。
「反抗的だった分、洗脳が進んでいるようだね」
「はい。司令。俺は司令に忠誠を誓います」
僕は耳を疑った。洗脳が進むとこんなになってしまうのか。
「じゃあ、秀士くんも変身してあそこに整列しなさい」
「はい。司令。変身して整列します」
秀士の姿はまたたく間に戦闘員に変わり、三人目として悟や陸の列に加わった。
「さて、声を出すことを許してあげようか」
「あ…」
また耳許で小さな音がして、僕は声を取り戻した。
「な、なんでこんなことっ」
僕は悟のお兄さんに食って掛かった。
「なんで?それはこの世の中をより良くするためだよ。僕が思い描く通りにね」
「それと僕達がどう関係あるんだよっ」
「大有りだよ。この世の中を変えていくのは若い力だ。でも、若い子達には力が無い。腕力も権力もね。だから、僕が君達を改造して力を与えてあげる。そして僕の思うがままに動くように、力を使って間違いを犯さないように、教育してあげる。君達は悟の友達だからね、最初に僕の部下となる栄誉を与えてあげたんだよ。喜びなよ。君達は僕の忠実なしもべとなり、この世の中を直していく正義の味方として超常的な力を与えられたんだから」
「ワケ分かんないよっ」
「君達の世代はもうテレビは見ないかなぁ。正義の変身ヒーローになって活躍する、なんて想像を働かせたことは無いかなぁ」
僕は言葉を失った。僕の妄想と似ている。でも、僕のとは、違う。違う筈だった。
「僕の頭の中には理想郷の姿がある。その理想郷を実現していくことがこれからの正義なんだ。その正義のために働く。君達はこれから正に正義の味方の変身ヒーローになるんだよ」
「変だよ、それなんか変…」
僕の言葉に、悟のお兄さんは憐れみの表情を浮かべた。
「そう、僕の教育を受けないと、そう思っちゃうだろうね。悟だってそうだったよ。悟の場合は先ず洗脳を優先したから、喜んでユニカバーを着て改造を受け入れてくれたけどね」
僕は背筋に寒いものを感じた。
「さ、君はどうだい、和道くん?」
僕はハッとして隣の和道の様子をうかがった。声を出せる筈なのに、和道は静かなままだった。
「…」
和道の口が微かに動いた。
「なんだい?聞こえないよ」
悟のお兄さんが面白そうに訊き返す。
「…だ…」
「だから、聞こえないって」
悟のお兄さんはニヤニヤ笑いながら、いたぶるように和道を問い詰めた。和道は急に大声を上げた。
「もうやだっ、もう、やめてくれっ、こんなおかしなことっ、もうたくさんだっ」
そして、和道はボロボロと大粒の涙を流し始めた。
「もう…やだ…よ…おれ…」
「カズちゃんっ」
僕は思わず叫んでいた。小学生時代から体格が良くて、上級生や中学生から売られた喧嘩は必ず買ってお釣りを付けて返していた和道が、泣いている。そのこと自体が信じられなかった。和道の嗚咽は止まなかった。
「うっ、うぅ…、悟も…っ、陸もっ、秀士もっ…俺、もう、もう…」
「カズちゃんっ、こんなベッド壊してさっ、逃げよっ」
どうせできないことは分かっていたが、気休めの言葉でもかけたくなるくらいに和道の横顔は情けない表情に変わっていた。その和道が、次の瞬間、信じられない言葉を吐いた。
「もう、俺、いいよ…、早く、一緒になりたい…」
「…え?…えぇっ?」
「俺も改造される。俺も戦闘員になる」
「ちょっ、カズちゃんっ」
気が付くと、和道の瞳はただ虚ろに天井を見上げていた。もう涙を流してはいなかった。
「俺も司令のしもべになりたいですっ」
今度ははっきりと、和道は宣言した。悟のお兄さんはクックックッと嬉しそうに笑った。
「精神に負荷かかり過ぎちゃったかな。洗脳が先行していたようだね。いいかい、英太くん」
悟のお兄さんは僕の顔を覗き込んできた。
「ユニカバーは着用の瞬間から、徐々に人体に浸透し始める。和道くんは肉体より先に精神をユニカバーに委ねてしまったみたいだよ」
和道をベッドに押さえ付けていたベルトが全て外れた。和道はゆっくり上体を起こした。僕は最後の望みをかけて怒鳴った。
「カズちゃんしっかりしてっ。早く逃げてっ」
けれど、和道は僕の声には耳を貸さず、逃げ出そうともせず、悟のお兄さんが手渡してきたマッサージ器を素直に受け取った。
「さぁ、気持ち良くなろう。ユニカバーの中に射精したら、君もすぐに秀士くん達と一緒になれる」
和道は返事もせずにマッサージ器のスイッチを入れ、それを自分で自分の股間に押し当てた。
「あ、あ、あ、あ、あぁ、ああぁ、あああぁ、ああっ、あっ、あっ、ああっ、ああああああああっ!」
吼えるような声を上げて和道は全身をビクッ、ビクッ、と揺らし、それが収まると、ガクリと首を垂らして気を失ってしまった。マッサージ器がゴンと音を立てて床に落ちる。和道の口からツーッと涎が糸を引いて落ち、そしてユニカバーという名のアンダーウェアは、すぐに和道の全身を侵食していった。
改造された四人の戦闘員が整列した様子を見せ付けながら、悟のお兄さんは僕に尋ねてきた。
「さて、と。英太くんが最後だね。君はどうしたい?」
僕はあらん限りの怒鳴り声を上げた。
「四人を元に戻せ!僕はあんな風になりたくない!みんなを元に戻して家に帰せよっ」
すると悟のお兄さんは不思議そうに首を傾げ、僕に近付いてきた。
「おかしいね、君も洗脳が先行して進んでいたのかと思ったけど」
そして、突然僕のチンコを競泳パンツの上から掴んできた。
「ひゃっ、やっ、やめろっ」
「ほら、こんなにしっかり勃起してるのに」
そう言われて、僕もやっと自分のチンコが勃っていることに気付いた。なんでこんな時に。僕は一気に顔が赤くなるのを自覚していた。
「もしかして、元々こういうのが好きだったのかな?」
悟のお兄さんは僕のチンコを握ったまま、話を続けた。
「友達五人で選ばれし戦士になるとか、変身ヒーローになる力を授けられるとか、ピッチリした揃いのヒーロースーツを着るとか、でも仲間が敵に捕まって洗脳されて敵に回っちゃうとか、敵の戦闘員や怪人として改造されて敵の首領の命じるままに味方を苦しめるとか、最後に自分まで敵に洗脳されてしまって、喜んで敵の首領の足許に跪くとか…」
何を子供じみた話を。と話を聞きながら僕は思っていた。思おうとしていた。でも、悟のお兄さんには見透かされていた。
「ほら、やっぱり好きだったんだね。英太くんのおちんちん、ますます固くなってきちゃったね」
そう言って、悟のお兄さんはアッハッハと声を上げて笑い出した。
「元から素質のある英太くんには、ご褒美をあげよう。英太くんはどんなエッチなことをしたい?」
意味の分からない質問に対して、僕は無視を決め込んだ。悟のお兄さんの視線から逃げるように、僕は目を逸らした。けれど、僕の頭の中には急に性的な欲望が具体的に溢れ出した。おかしい。なんでだろう。フェラチオ?アナルセックス?変だよ、僕はそんな言葉は知らない。どんな風にやるのかも分からない。裏筋を舐め上げてほしい。パンパンパンパンと壊れるくらいに肛門に出し入れしてほしい。奥の奥を突き上げてほしい。なんで?なんで僕はこんなことを知っているんだ?乳首を吸い上げてほしい。耳の穴をベロベロ舐めまくってほしい。キスしてほしい舌を思い切り絡めて舌と舌をザリザリこすり合わせてくれたら凄く気持ちいい。いや、そんなことは僕は知らない。悟に乳首を胸を掴んで揉んでもらいたいバスケットボールを掴み慣れたその手で僕の胸を鷲掴みにしてよ乳首摘んでコリコリしてよ。何考えてんだ僕はそんな筈無い。陸とキスしたい陸と舌絡み合わせたいニコニコ笑顔が似合う陸のその口を犯すのは僕だし僕の口を犯すのは陸であってほしいそうでなきゃダメだ。おかしいよ僕はそんなこと望んでない。和道にはその大きな手で僕の頭をがっしり掴んで耳の穴の奥まで舌で犯してほしいいつも僕の頭をポンポンって撫でてくれるように手と舌で僕の頭を愛しまくってよ。ダメだよ僕は変になってる変態になってる。秀士には、あぁ、秀士、セックスしたいよ秀士、いつもバカみたいなスキンシップしてさ、いっそのこと僕の肛門を犯してよ秀士にガバガバにしてもらいたいんだ秀士になら全部あげたい全身グチャグチャにされたい秀士のザーメンなら上の口でも下の口でもいっぱいいっぱい飲み干したいんだ犯して犯して犯して犯して…っ。
「そうなんだ」
僕はハッとしていつの間にか目の前に迫っていた悟のお兄さんの顔を見詰めた。まさか、僕のおかしな妄想を見抜かれていた?
「見抜かれたも何も、君は全部話してくれたよ。英太くんのエッチな願望」
「えっ…」
まさか。
「英太くんは友達みんなのことを愛しちゃってたんだね。友達みんなから全身を犯されたいんだ」
「う、うそだっ」
僕が怒りの抗議をしても、悟のお兄さんはニヤニヤといやらしい笑みを深くするばかりだった。
「ユニカバーを着せられた君は、まだ僕のしもべとしては洗脳されてはいないけれど、ユニカバーの侵食は確実に受けているんだよ。君の頭の中にはエッチな知識がたくさん流れ込み、君の潜在的な願望を抉り出した。そして妄想に駆られた君は全てを口に出して、いや、叫びながらそのエッチな妄想を僕達に教えてくれたよ」
「そんなっ」
「悟には胸を、和道くんには耳を、それぞれ攻められたいんだね。陸くんとはキスしたくてしょうがない。そして、秀士くんのことが一番好きなのかな。お尻の穴を犯されたくて、秀士くんの精液を飲みたくて、たまらないんだね。英太くんって、見た目と違ってかなりエッチだねぇ」
「…!」
僕は声にならない叫び声を上げていた。
「いいよ。かなえてあげる君の願いを。でも、秀士くんとのセックスは改造完了後だね。まだ君の体はユニカバーと同化していないから、先ずは競泳パンツの上から秀士くんにフェラチオしてもらおう」
僕の頭は沸騰していた。怒りによってではなく、興奮によって。その興奮は、友達四人に囲まれた時、その姿を見た時に絶頂に達した。秀士は、陸は、和道は、悟は、闘員用に強化されたユニカバースーツを着せられつつ、顎から上のヘルメット部分だけは装備を解除していた。いつもの友達の顔が、戦闘スーツと共にある。それはとても、
「かっこいいっ、みんなかっこいいっ、僕も改造されたいっ」
僕はこの時はまだ洗脳されたわけではなかったと思う。僕の本心だったのだと思う。それくらいに、戦闘員として、悪のヒーローとして、改造された友達の姿は魅力的だった。
主な性感帯の全てを同時に刺激され、僕はこれまでにない量の精液をユニカバーに捧げることができた。僕は至福に包まれながら、自分の体が変えられていく感覚を楽しんでいた。
4

司令のしもべとしての改造と教育を終えた僕達五人は、毎日のように司令から与えられた任務を遂行し続けている。
例えば、クラスメートや部員達にユニカバーでできた洗脳用のチップを埋め込み、いつでも司令の忠実な兵士として行動するように準備を進めている。対外試合のように他校と交流を持てる場合には、洗脳チップの施術を行ないつつ、僕達のような戦闘員にスカウトするに値する候補者を探しリスト化している。学校の範囲を出ると、警察が取り締まらない犯罪者に私刑を加えたり、警察が捜査に行き詰まっている事件については当事者を洗脳して全てを自白させたり、汚職警官を見付けたら司令のしもべとして洗脳して更生させると共に、警察内部の情報を流させる使命を与えるようにしている。報道機関や芸能界も相当に腐っているから、目ぼしい関係者を見付けると洗脳を施し、情報源にしたり具体的な行動を起こさせたりしている。実効性の高い連中の中にしもべを増やしつつあるので次は永田町や霞が関だ、というのが司令の今後の作戦だ。
これらの任務を実行できているのは、やはりユニカバーという素晴らしい素材によって強化された僕達の体、そして戦闘スーツのお陰だった。また、ユニカバーは僕達に任務のための力を与えてくれるだけじゃない。ユニカバーは僕達に悦楽も与えてくれる。僕達五人はいつも悟の家に集まってお互いにセックスしたり精液を飲み合ったりしているのだけれど、ユニカバーと一体化した僕達は、戦闘スーツを着ながら、或いは部活動のユニフォーム姿で、フェラチオやアナルセックスを行なうことができる。僕が一番好きなのは、サカユニ姿の秀士に競パンを穿いたままの僕を犯してもらうこと、あとはお互い戦闘スーツ姿で兜合わせをすること。和道や陸も、それぞれ好きな性戯を持っている。
また、僕達は週に一回は司令が詰める研究所に行き、地下の秘密基地で司令に奉仕し精液を飲ませてもらいながら、司令の戦略や戦術を脳に記録して帰ってくる。
改造していただく直前、僕は自分が悪のヒーローに変えられる様を想像して興奮していた。でも、実際には違っていた。僕は悪のヒーローに悪堕ちしたわけではなかった。僕達は司令が描く理想世界を現実のものとするために、司令から与えられた使命に従って行動している。これは正義のために行動するヒーローそのものだ。仲の良い友達五人で正義の変身ヒーローになれたら、などという妄想を楽しんでいた時期もあったけれど、もう妄想じゃない。これは紛れもない現実だ。
僕は誇らしい気持ちを胸に抱きながら、隣の市の代表選手の首筋から細長い端子を引き抜いた。うっ、と呻き声を上げながら、新たなしもべは小さく痙攣した。これで君も僕達の仲間だ。ユニカバーの繊維が寄り集まって形成された洗脳用の端子は、素早く僕の腕の中に吸収されていく。県大会が行なわれた県営プールの更衣室で、僕は出場選手全員への洗脳チップ埋め込みを終え、無線通信で仲間達にそのことを報告した。
「グッ、ジョーブ。さすが英太。仕事早いなー」
頭の中に秀士の声が響く。僕の報告に一番に反応してくれるのはいつも秀士だった。
更衣室の中では、意識を取り戻した選手達がノロノロと立ち上がっていた。
みんな今日から、正義の味方の一員だよ。僕の言葉に、全員が無表情だけれど素直な返事を返してくる。いい子達だな。正義の味方はこうでないとね。僕の胸は嬉しい気持ちでいっぱいになり、またチンコも元気に勃起し始めた。司令に直接紹介したい選手については、後日研究所に自ら赴くように行動プログラムを刷り込んでおく必要がある。僕は良さそうな子に近付くと、再度洗脳用の端子を腕から伸ばした。
(おわり)
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄28(Sat)
  • 00:34

教団の少年達

1.囚われた少年

尾高拓己(おだか・たくみ)は腕や手首の痛みで目を覚ました。頭もジンジンと不快に痛む。白く冷たい光の中で、拓己は半ばパニックを起こしながら自分が置かれた状況と周囲の様子を確かめた。
自宅の自分の部屋と恐らくほぼ同様の広さ、つまり四畳半程の狭さの四角い部屋。部屋の中には、自分と自分が縛り付けられた簡素な椅子の他には何も無い。しかし椅子は床に直付けされているらしく、拓己がどれだけ体を動かしてもビクともしなかった。拓己が座らされた正面には扉が一つ。背後の壁も含めて窓は一切無かった。
拓己は自身を縛めるナイロンロープをなんとか緩めようと腕に力を入れたが、中学二年生の少年の力ではどうともならなかった。寧ろ拓己が暴れれば暴れるほどロープが肉に食い込んでくるようで、拓己は溜息をつくと無理に体を動かすのをやめた。
拓己は顔を落とすと、鈍痛が続く頭で記憶を辿った。冬休みの一日目の夜、中学校のサッカー部の練習を終えて帰宅した拓己は、母親が作り置きしていた料理を電子レンジで温め一人で夕食をとった。両親は数年前に相次いで職を失って以来、入信する教団で仕事に就き家を空けがちになった。二歳年上の兄である弘己(ひろみ)は、自分と共に教団や教団を心底信奉する両親に否定的であったにも関わらず、教団が運営する高校に何の前触れも無く進学し、それ以来夏休みにも帰らなくなった。全寮制の別学制高校の生徒として常に教団の施設内で生活しているらしく、恐らくこの年末年始にも自宅には姿を見せないだろう。両親は時折面会に訪れており、拓己もよく誘われはするものの、恐らく弘己はもう自分が知る兄ではなくなっている、そう直感する拓己は絶対に応じずにきた。
数年前までは家族四人で囲んでいた食卓に、今では拓己の姿しか無かった。きっと仕事の合間を見付けて帰宅した母がクリスマスのケーキとして残してくれたのであろうロールケーキをつつきながら、拓己は泣いた。そして、急な眠気に襲われた拓己は風呂にも入らずに自身のベッドに潜り込んだ。
ロープで縛られた拓己は、部屋着と寝間着兼用のジャージ姿のままだった。首を巡らして臭いを嗅ぐと、乾いた汗の臭気が上がってくる。今が何時であるのかは分からなかったが、拓己は自分が拉致されたタイミングを理解した。そして急な眠気の原因にも、拓己自身敢えて避けていた可能性に、思い至った。
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄21(Sat)
  • 00:31

クリスマスは我がチで

0. metaphor

アメリカ合衆国ケンタッキー州の名前は、一説にはチェロキー族の言葉「暗い血まみれの大地」に由来するという。(参考:Wikipedia日本語版)
この地は新たな種族の聖地となり、その名もまた新たな意味を持つこととなるだろう。
その日は、もう間近に迫っている。
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄21(Sat)
  • 00:24

支配の発端

金曜日の夕方、中学校のサッカー部の活動を終えた荒木俊太(あらき・しゅんた)と吉井広登(よしい・ひろと)は練習着姿のまま、家までの道を並んで歩いていた。二人とも中学二年生で、対外試合ではベンチを暖める時間の方が長い控えの選手。サッカーが好きな気持ちは他のチームメイトにも負けないつもりだったが、技能や試合での判断力がやや劣っているのも事実だった。
特に最近焦っているのは俊太の方で、いつもつるんでいる広登が技術的な欠点を確実に潰しつつあり、また交代要員として試合に投入された時の動きが適確になってきていることに対し、急に劣等感を抱き始めていた。
「…って、やっぱり評判通り面白いよ。今度貸そっか?」
広登は自分よりも背が高い俊太の顔を見上げながら、小遣いをはたいて購入したばかりのゲームソフトの話を続けていた。
「あ、うん、さんきゅ…」
俊太は半分上の空で返していた。俊太は広登に対して素朴な疑問を投げかけるべきかどうか、僅かな自尊心に足を引っ張られながら逡巡していた。
俊太が今の中学校に転校してきたのは、一年生の秋のこと。緊張していた彼に最初に声を掛け、周囲に溶け込むきっかけを作ってくれたのは広登だった。自宅が近所で、同じくサッカー好きであったことが手伝い、また何より広登がいつもニコニコ笑いながら俊太の強がりや弱音を受け入れてくれていたお陰で、二人は今ではお互いを一番の友人と認め合う間柄になっていた。二年生になってクラスが分かれてもその関係は変わらず、同級生の女の子に想いを寄せるようになった俊太が、顔を真っ赤にしながらそのことを相談したのも広登だった。但し、この時広登が「俊太だったら絶対大丈夫だって」と告白を勧めたものの、俊太は結局何もできずに今日に至っている。
「えーと、さ、広登…」
俊太は校内の噂話を始めようとする広登をさえぎった。
「ん?なに?」
「ちょっと恥ずかしいこと訊いちゃうんだけどさ…」
広登は不思議そうな表情で首を傾げた。
「広登って最近サッカー色々うまくなってんだろ?」
「えー、そんなことないって」
そうは言いながらも、広登はまんざらでもない顔をした、ように俊太には見えた。
「こんなこと訊いてもしょうがないかも知んないけど、なんで?なんか練習のコツあんの?あるんなら、俺も真似させてもらっていい?」
広登はポカンと口を開けて俊太の顔を見上げ、ややあってから笑みを浮かべた。
「僕なんかより俊太の方が元々うまいよ。僕は全然背も伸びないし」
「でもさ…」
食い下がろうとした俊太に向かって、広登はグイと顔を寄せてきた。
「敢えて言うと、一つだけ、やり始めたことがあるよ」
「え」
広登は顔を寄せたまま、やや小声で続けた。
「僕、カウンセリング受けてるんだよ。最近」
「え?カウンセ…、って何だっけそれ」
「カウンセリング。僕の義理のお兄さんがね、心理学かな?なんかそっちに詳しくて、メンタル含めて一対一の反省会やってくれるの。次の練習や試合ではどういう風にやればいいか、ってこと含めて」
「へーっ」
そういえばプロのスポーツ選手もそうしたものを受けているって耳にしたことがあるかも、と俊太は感心した。
「その義理のお兄さんって、サッカーの選手だったとか?」
「ううん、全然。陸上はやってたらしいけど、球技は全然ダメだったんだってさ。だけど、反省会のカウンセリングは僕の記憶を元に僕自身がイメージトレーニングするもので、兄さんはその手伝いするだけだから、あんま関係無いよ」
「ふぅん。そっか。そういうことしてたんだ」
「俊太も受けてみる?兄さんのカウンセリング」
「え?いいの?」
驚く俊太に対し、勿論、と広登はにっこり笑った。
「でも俺、お金なんて払えないよ」
「お金なんていらないよ。僕なんて、逆に色々おごってもらってるくらいだし」
「うーん…」
「兄さんも、友達連れてきていいぞ、って言ってるし、土曜日の数時間だけだし、続ける必要なんて無いし」
その時丁度、二人の帰路が分かれる交差点に差し掛かった。二人は立ち止まり、俊太は腕を組みながら考え込み、広登は黙ったまま俊太の決断を待った。俊太は少し慌てながら、やや強引に結論を急ぐことになった。
「そっか…。義理のお兄さんの家って近い?」
「うん。自転車で15分くらいかな。明日の午後も行くつもりなんだけどさ、どうする?」
広登の顔を見返すと、決断を煽るでもなく、いつも同様の笑顔があった。
「じゃあ…、行ってみようかな」
俊太の合意に、広登は笑みを深くした。
「そしたら、1時半くらいにいつもの公園でいい?」
「うん、分かった。チャリで?」
「うん、チャリで。あ、あとね、2つだけお願い」
「なに?」
俊太は微かに不安を覚えた。やっぱり、何か条件があるんじゃないか。しかし不安はすぐに好奇に変わり、寧ろ俊太の背中を押すことになる。
「兄さん、その道だとちょっと有名なので、内緒にしてもらっていい?」
「へーっ、そうなんだ。もしかしてテレビとか出てんの?」
「そこまでは行かないんだけど、本とか実名で書いてるんだって」
「すげ」
「あとね、イメージトレーニングし易いように、ってことで、ユニフォーム、ってかサッカーやる時の格好してった方がいいよ」
「え、まじ?」
俊太が面倒臭いと言わんばかりの表情を浮かべた。
「うん。僕は脚の感覚も分かり易いように、ソックス履いてレガースも付けてるくらい」
「ふぅん…。まぁ、うん、分かった。でもさすがに、スパイクはいらないだろ?」
「あ、そだね。スパイクはね。普通のマンションの中だしね」
じゃあまた明日。お互いに声を掛け合って、俊太と広登は分かれた。振り返ること無く小走りに去っていく俊太を眺めながら、広登は笑みを浮かべていた。
俊太の姿が民家の塀に隠れて見えなくなると、広登は溜息を一つついて踵を返した。
「俊太ぁ…」
自宅に向かいながら、広登はいとおしむように俊太の名前を呟いた。そして、肩から斜めに掛けていたエナメルバッグを前に引き寄せ、股間を隠すように腰の前辺りで抱える。バッグの陰で、広登の白いサッカーパンツは固くなった彼自身によって膨らみを増していた。
「あぁ…そうだ…明日のこと、兄さんに報告しとかないと…」
ぼそっと呟く広登の顔からは、ほんの数瞬の間ではあったが表情が消え去った。すぐに元の顔を取り戻した広登は、顔を上げ自宅への道を走り出した。
「早く…兄さんに…報告…」

興味

土曜日の昼下がり。俊太は集合時間より少し早めに公園に来ていた。薄手の半袖パーカーとハーフ丈のカーゴパンツという出で立ちではあったが、その中には広登の指示通りにプラクティスシャツと、スパッツ、サッカーパンツを着込んでいた。また、スニーカーを履いた足首には、サッカー用の黒いストッキングが丸められていた。
広登が現れたのは集合時間間際のことだった。お待たせー、と手を振る広登は、上下共に紺色の半袖ピステシャツとハーフピステパンツをまとい、いかにもサッカーをしに行くかのような姿だった。
「ばりばりサッカーの格好だなー。ボールとスパイク持ってないのがおかしいくらいだ」
俊太が言うと、広樹は少し照れ臭そうに笑った。
「半袖のピステってあんまり着ること無いから…。兄さんところ行く時は、これ着ることにしてるんだよね」
「確かに、長いのなら寒い時に着ることあるけど」
「俊太はどうした?ソックスは穿いてきたみたいだけど」
俊太はパーカーの裾をめくり、ハーフパンツを下げてみせた。脇に黒い切り返しが入った白いプラクティスシャツと、黒いサッカーパンツが見える。
「いつものヤツ着てきた」
「あ、だね。僕も今日は上が白で下が黒。一緒だ」
サッカー部のゲームユニフォームは黒を基調にしており、部員達が各々で購入する練習着も自然と白や黒が多くなっていた。膝下まで伸ばした広登のストッキングもまた、俊太と揃いの黒だった。
「レガースもちゃんとあるよ」
俊太はパーカーのポケットからレガースを引っ張り出した。広登はいつものようにニッコリ笑ってみせた。
広登が言った通り、広登の義理の兄が住むマンションまでは自転車で15分だった。木目調の大きな扉の前で、俊太は圧倒されていた。
「え、この高級マンションがお兄さん家?」
「高級なのかなぁ。うん。ここの14階だよ」
広登は扉を開けると、自転車を押したまま入っていく。
「ちょ、おい、チャリも?」
「うん、駐輪スペースは中にあるから」
広登はインターフォンのパネルを慣れた手付きで操作する。
「はい?」
すぐにスピーカーから応答がある。まだ若い感じの声だった。
「あ、僕です。広登です。今日は友達も連れてきましたー」
「待ってたよ。どうぞー」
広登の横で遠隔操作の自動ドアが開く。
「いいよ。入って」
「あ、うん、はい」
俊太は慌てて自転車を押した。
「広登の義理のお兄さんって、すごいな」
エレベータに乗り込みながら、少し興奮気味に俊太が尋ねる。
「うん。お金に余裕あるみたい」
「もう結婚してるのかな」
「まだ独身だよ。28歳だし」
「へー。えっと、この前広登の姉ちゃん結婚しただろ?その旦那さんの?」
「うん。姉ちゃんの相手の弟さん。こんな近所に住んでるとは思わなかった」
広登には5歳離れた兄と10歳離れた姉がいる。姉は社会人になって知り合った男性と昨年結ばれ、広登には姉よりも更に年上の兄弟ができたのだった。
「それも高級マンションにねぇ。やっぱり有名人なんだなー」
エレベータを下り廊下を歩きながら感心しきりの俊太に、広登は苦笑いした。
間も無く「真田」という表札が掛けられたドアの前に到り、広登は呼び鈴のボタンを押した。ボタンの近くにはカメラが備え付けられているのが分かる。俊太は何となく覗き込んでみた。
インターフォンでの確認も無く、やがて扉が開けられた。
「兄さん、こんにちは。また来ちゃいました」
「いらっしゃい、待ってたよ。広登くんと、えーと…」
「あ、あの、荒木、俊太ですっ。よろしくお願いしますっ」
俊太は緊張でやや噛みながらも挨拶し、頭を下げた。
「荒木くんか。真田諒(さなだ・まこと)です。よろしく。どうぞ、上がって」
諒は、グレーのデニムパンツに黒い長袖Τシャツという格好のためでもあろうが、大学生にも見間違えそうな童顔の持ち主だった。
二人が通されたリビングルームは広く明るく、大きなガラス窓の向こうには町並みが広がっていた。俊太は緊張していたことも忘れて思わず感嘆の声を上げてしまった。
「風景はいいだろ?」
「は、はいっ」
諒に声を掛けられ、俊太はまた固くなってしまった。
「緊張することはないって。とりあえず飲み物でも出そうか。そこのソファーに座ってて」
「はい、ありがとうございますっ」
「俊太、カチコチだよ」
広登は俊太の袖を引っ張ってソファーに座らせた。
「え、だってさ…」
中学生の目にも、室内の調度品や家電製品が高価なものばかりであることが容易に分かった。
ソファーは窓の近くにあり、座った目の高さからもバルコニーの柵を通して風景を見ることができる。諒がキッチンで準備する間、俊太は町並みと部屋の中とに交互に目を走らせていた。
「冷えた飲み物って、スポーツドリンクとお茶しか無くて。お茶が良ければ言ってくれよ」
諒は二人の前のガラステーブルにコースターとスポーツドリンク入りのグラスを置いた。自分自身も同じものを飲みながら、俊太と向かい合うソファーに座る。
「ありがとうございますっ」
「すみません」
俊太と広登がそれぞれ礼を言いながら、グラスに口を付ける。
「あれ、凄いですね」
俊太はグラスを持ちながら、リビングルームの端に設置された大型の薄型ディスプレイとリラックスチェアを指差した。ディスプレイの脇には筐体デザインで有名なメーカーのパソコンが置かれており、ディスプレイ上部にはウェブカメラと覚しき機材も据え付けられていた。リラックスチェアはリクライニング機能付きの高い背もたれとフットレストを備えた柔らかそうなものだった。
「あれでネットやったり、映画見たりとか、するんですか?」
「そうだね。自分でも使うけど、カウンセリングの時に相談者に座ってもらう椅子、と言った方が正確かな」
「へぇー」
俊太は広登の顔を覗き込んだ。
「うん。いつもあそこに座ってカウンセリング受けてるよ」
座ってみたいな、と思っていただけに、俊太の顔が期待で明るくなる。
「丁度カウンセリングの話になったから、じゃあ早速広登くんから始めようか」
「ですね。お願いします」
広登はグラスを置き、ソファーから立ち上がった。
「あ、そうだ、荒木くんにカウンセリングのやり方を説明しておかないとね」
諒は俊太の顔を真っ直ぐに見詰めながら言った。
「は、はい、お願いします」
俊太はまた少し緊張する。一方の広登は、ピステパンツのポケットから取り出したレガースをストッキングの中に差し込み、位置を調整していた。
「僕のカウンセリングは、催眠術を使います」
「え…、催眠、術、ですか?」
俊太は思いも掛けなった言葉に目を丸くした。
「そう。催眠術。ちょっと信じられなくなっちゃったかな?」
諒は苦笑しながら尋ねた。
「いや、その…」
俊太は口籠った。
「催眠術って、変なイメージが付いてしまってるからね。でも、臨床心理学や医学の世界でちゃんと認められた手法で、アニメやドラマにあるような荒唐無稽なものではないんだよ」
「はぁ…」
「僕のカウンセリング手法は、メンタルコーチングとでも言えばいいのかな」
「メンタル…コーチング?」
「そう、コーチングというのは本来、ただ教えるのではなく、選手それぞれが元々持っている力を引き出す指導方法のことを言うんだよね。部活のコーチもそうなんじゃないかな?」
「うーん…」
高校や大学でもサッカーを続けているOBが時々コーチという名目で指導にあたってくれてはいるが、諒が言うコーチングには合致しないかも知れない。俊太はそう感じ、曖昧な返事しかできなかった。諒はそれ以上問い掛けることも無く、説明を続けた。
「メンタルコーチングというのは、精神的な面から選手の潜在能力を発掘したり、実力を抑え付けている要因を取り除こうとするものなんだ」
俊太は頷く。
「でも、人間というのは自分自身の気持ちや記憶や潜在能力について、結構無自覚だし、自分だけで考え込んでしまうとますます分からなくなってしまうものなんだよ」
確かに。俊太にも思い当たることはある。深く頷いた。
「それを引っ張り出すために、催眠術を使う、というわけ。ま、とにかく広登くんのカウンセリングを見てもらって、納得してから受けてもらえればいいよ。そもそも、かかりたくない、って拒絶している人にはかけられないものだしね。安心してもらっていいよ」
「はい、分かりました」
諒の説明に安堵と納得を覚えつつも、俊太はまた少し不安になり広登の様子をうかがった。広登は既にピステの上下を脱ぎ、白いプラクティスシャツと黒いサッカーパンツという出で立ちになっていた。パンツの下から、同色のスパッツの裾を引っ張り出しながら、広登は笑った。
「心配しなくていいって。とにかく見ててよ。絶対次の部活に役立つから」
諒も笑いながら立ち上がる。
「荒木くんはそこで座って見ていてくれるかい?なお、広登くんが催眠状態から醒めるまで、絶対に音を立てたり喋ったりしないようにね。中途半端に催眠状態から抜けてしまうのは、良くないことだから」
「は、はい、気を付けます」
俊太は思わず背筋を伸ばし居ずまいを正した。
「固くなる必要は無いからね。さ、広登くん、椅子に座って、リラックスして待っててくれるかい」
広登は返事をしながらリラックス・チェアに座り、ヘッドレストに頭を埋めた。俊太の位置からはリラックス・チェアを丁度を真横に見ることができた。広登の顔はヘッドレストの縁に隠れていたが、深呼吸しているらしき胸の動きや、力を抜いてフットレストに委ねた脚の様子は見ることができた。
諒が窓にかかったカーテンを閉める。遮光性の高いカーテンらしく、部屋の中は薄暗くなった。
「じゃあ、広登くんのが終わるまで辛抱しててね」
諒は俊太に優しく声を掛けると、小さな丸い椅子をリラックス・チェアの横に置き、座った。俊太からはリラックス・チェアに隠れた諒の顔をうかがうことはできなかったが、諒の顔が広登の顔を覗き込むような位置関係になっていそうなことだけは分かった。
「広登くん、今、リラックスできているかい?」
「はい、でも、まだちょっと…」
静かな部屋で、二人の声が静かに響いた。
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄15(Sun)
  • 00:28

状態異常

彼は地元中学校の一年生。男子サッカー部に入部してから、毎朝6時には自主的に起床して朝練に向かうようになっていた。他の部が校庭を使用する日も、空き教室での筋トレのために同じ時間に登校していた。
朝ゆっくり寝ていたい、という気持ちが無いわけではない。しかし、6時には自然と目が覚め、朝練に出なくては、という義務感に背を押される。不思議なことにその義務感は、校庭を走り回れる日よりも教室に集合する日の方が強かった。
今朝も、彼は寝惚け眼でベッドから這い出した。パジャマ代わりのスウェットを脱ぎ全裸になると、チームカラーの赤いスパッツを肌に直接穿く。その瞬間全身に快感が走り、白いプラクティスシャツ、そして赤いサッカーパンツを着込む動きが早くなる。サッカー用の赤いストッキングを履くと、彼はクローゼットの扉に嵌め込まれた姿見の前に立ち、自分自身の姿を上から下へと眺めた。
「僕はサッカー部員です」
まだ眠そうな目をしばたたかせながら、無意識的に呟く。直後に、頭の中に
「お前は監督に忠実なサッカー部員だ」
という声が響いたように感じた。自分達を指導してくれる顧問兼監督の教師の声だった。彼の目がしっかりと見開かれた。
「はい。僕は監督に忠実なサッカー部員です」
彼の呟きは、意志のこもった力強いものへと変わっていた。彼は素早くスクールジャージの上下を纏うと、制服と体操服、そしてサッカーシューズとレガースをバッグに放り込み、階下へ駆け下りた。
朝食をもどかしそうに掻き込むと、彼は家を飛び出した。
校舎の隅の空き教室には、揃いの赤いサッカーパンツと白いプラクティスシャツを着たサッカー部員達が集合していた。誰もいない教壇のすぐ前で、彼は休めの姿勢で立っていた。視線は黒板の一点を見詰めたまま動かない。続々と登校してきた部員達が同じ姿勢で整列し始めても、彼は、そして彼等は、お互いに反応せずただ立ち尽していた。
男子サッカー部員が全員集合してから暫くして、ピステ姿の教師が教室に現われた。部員全員の目が、崇拝と安堵の表情を浮かべながら、教師に注がれる。
「おはよう」
「「「おはようございます。監督」」」
部員全員の抑揚に欠けた声がきれいに重なる。
「本日の指導を始める」
「「「はい、お願いします。監督」」」
「朝の宣誓、はじめっ」
教師の掛け声で、一年生から三年生までの全員が、感情を失なった口調で、しかし全く乱れること無く、心に刻まれた誓いの言葉を唱和し始めた。
「「「我々は、監督に忠実なサッカー部員です。監督は我々の主。我々は監督のしもべ。サッカー部の勝利のため、我々は監督に全てを委ね、全てのご命令に従います」」」
彼等の言葉は彼等自身の意識に刷り込まれ、暗示を強化し続ける。
校舎の隅の空き教室では、筋トレを終えた男子サッカー部員達がわいわいと騒ぎながら制服に着替え始めていた。素っ裸になった彼の肩を、顧問兼監督の教師が軽く叩く。
「は、はいっ」
彼は振り返って教師の顔を見上げると、顔を赤らめた。
「お前は次の試合からスタメン入りするからな。今日は個人指導してやる。部活の時間になったら、一人でこの教室に来るんだ」
「は、はいっ、ありがとうございますっ」
彼は全身で教師の方へ向き直り、嬉しそうに御辞儀した。周囲からは羨望の視線が集中する。
「みんな、これから毎日一人ずつ指導してやるからな、安心しろ」
教師の言葉に、部員達から歓喜の声が上がる。
顔を上げた彼の、そしてその周囲の部員達の股間では、彼等自身が力一杯天井を仰いでいた。
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄11(Wed)
  • 00:22

土曜日夕方

秋の日はつるべ落とし。この前、小学校の図書館で見付けた本で覚えたことわざ。夏休みの頃は7時になっても明るかったのに、最近はサッカーの練習が終わる5時頃にはもう東の空が青く昏くなっている。
で、覚えたばかりのことわざを言ってみたら、タカヤのヤツ、
「ツルベ?ツルベって鶴瓶?鶴瓶師匠を落とすのか?何言ってんだよ」
なんて茶化してきた。バカ、違うよ。
僕は藤原悠希(ふじわら・ゆうき)。小学5年生。土曜日の午後は殆ど毎週地元のサッカークラブの練習に参加してる。大抵は小学校の校庭を使うんだけど、今日は校内の樹木の枝落としがあるとかで、市立のスポーツセンターのグラウンドを借りての練習になった。ここは学校の校庭より広いし、ラインがちゃんと引かれてるし、自転車で家から 15 分くらいの距離だから、本当なら毎回スポーツセンターの方がいい。でも、ちょっとお金がかかるし、予約ですぐ埋まってしまうから、難しいみたい。
練習を終えて、僕達は更衣室で学年毎に固まって帰り支度を始めた。タオルで汗だらけの髪の毛を拭いて、でもそれ以上は面倒だから、練習着の上からピステの半袖シャツとハーフパンツを重ね着した。前髪がおでこに貼り付く。そろそろ切ろうかな。僕の髪はやたら真っ直ぐなので、すぐに目にかかってしまう。タカヤみたく短くすればいいんだろうけど、僕にはスポーツ刈りは似合わない気がする。
「タカヤ、一緒に帰ろ」
僕は狩野貴哉(かのう・たかや)に声をかけた。貴哉はクラスは違うんだけど、同じ小5で同じ団地に住んでる。小学校に入学した頃からずっと仲が良くて、サッカークラブに入る時にも僕の方から誘った。昔は貴哉の方が小さかったんだけど、最近は僕よりも背が高くなってサッカーもうまくなってる。いや、貴哉は運動全般が得意で、水泳のタイムも陸上の記録ももう全然かなわなくなってきた。
「わりぃ、今日は俺先に出るよ」
貴哉は練習着のままでシンガード、つまりスネ当ても外さず、エナメルバッグとボールネットを肩からかけて更衣室を出ていこうとしていた。
「え。なんかあんの?」
「ちょっとねー」
貴哉は出入口でかがむと、スニーカーの紐を結び直した。青いサッカーパンツがお尻の丸みを浮かび上がらせ、光沢のある生地が蛍光灯の明かりを白く反射した。ちょっとドキッとする。
僕達のクラブのチームカラーは青だから、練習着も青いサッカーパンツに白か青のプラクティスシャツを組み合わせることが多い。僕と貴哉の練習着は、二人で一緒にショッピングモールのスポーツショップに買いに行ったもので、幾つものメーカーの中からこれに決めたのは貴哉が「一番キラキラしてるのがいい」と言い出したからだ。あの時は「変な選び方だなぁ」としか思わなかったんだけど、最近このキラキラした光沢感が急に気になり始めた。光沢感のある練習着やユニフォームを貴哉が着ていると、ずっと見詰めていたくなる。練習や試合で走り回っている時はサッカーに夢中になっていられるのに、休憩時間になるとついつい貴哉のことを見てしまう。よく貴哉と目が合って、慌てて横を向いてしまうんだけど、やっぱり我慢できなくなってチラチラと…。夜一人で部屋にいる時も、よく貴哉のことを思い出したり、試合の日のスナップ写真を眺めたりしてる。こういう時は胸が少し息苦しくなって、あと、あそこが…、おちんちんが、なんかムズムズするような感じになる。絶対に内緒だけど、夜サッカーパンツをはいてベッドに潜り込んで、おちんちんを押さえ付けたりこすったりしてると、すごく気持ちが良くなって、やめられない。
今も、練習着を着た貴哉の背中を見ながら息苦しい感じがし始めている。僕はとにかく何かを言おうとして、慌ててちょっと不機嫌な口調で答えてしまった。
「なんだよ。一緒にモール行ってスパイク見ようと思ってたのに」
スパイクがちょっとキツくなってきているから、新しく買いたいと思っていたのは本当のこと。でも、そのことで貴哉を誘ったのは今が初めてで、こういう言い方をするのはリフジンだな、って自分でも思う。
「後でいいこと教えてやるって。スパイクは今度一緒に見に行ってやるよ」
貴哉はそう言うと、手を振りながら更衣室から出ていってしまった。
「今日は悠希の方がフられたんだな」
チームメートの誰かに言われて
「そんなんじゃない」
と怒って言い返してしまった。…え?今日は悠希の方「が」?
土曜日夜

その日の晩、テレビを見ながら家族で食事をしていると、玄関のチャイムが鳴った。お母さんが応対したら、貴哉の家のおばさんだった。
「悠希、ちょっと」
テレビが良いところだったのに、お母さんに呼ばれて渋々玄関まで出てみたら、おばさんとお母さんが心配そうな顔をこちらに向けていた。ちょっと嫌な予感がした。
「貴哉くん、まだ帰ってないんだって」
「今日は悠希くんと貴哉、一緒じゃなかったの?」
「え…」
僕は、練習が終わってすぐスポセン、つまりスポーツセンターのことだけど、そこの更衣室で貴哉と別れたことを説明した。
「なんか、用事があって急いで帰った感じだったんですけど…」
「何かしら…。あいつ、出てく時は全然そんなこと言ってなかったのに」
おばさんは腕を組みながら眉間の皺を深くした。
「クラブの監督さんとか、他の子の家とか、連絡してみましょうか。悠希、電話番号が分かるお友達いる?」
お母さんに訊かれた。クラブではメンバー表は配られるけど、コジンジョウホウホゴとかで住所や電話番号の名簿はもらえない。
「同じクラスなら学校の緊急連絡網で分かるけど、貴哉は別のクラスだよ」
「あ、クラスの友達にはうちからかけてみます。ご心配おかけしてごめんなさい」
おばさんは軽く頭を下げて帰ろうとした。
「本当に心当たり無い?」
お母さんに繰り返し訊かれたけど、貴哉は「ちょっとね」とかなんとか、そんなことしか言ってなかったし。そういえば「後でいいこと教える」なんてことも言ってたけど、そんなの手掛かりになるとは思えないし…。
そうやって考え込んでいたら、「今日は悠希の方がフられた」っていう誰かの言葉を思い出した。普段は貴哉の方「が」フられてるってこと?誰に?僕に?そんなこと無…。
いや、あった。サッカークラブの行き帰りはいつも二人一緒だけど、学校からの下校時、貴哉が教室に誘いに来ても断わってばかりだった。だって、僕はクラスの友達と帰るんだから…。
下校の時だけじゃない。時々「スポセンでサッカーの練習しね?」と誘われてたんだけど、「普段は中学生とか多いからヤだ」とか理由を付けて断わってたっけ。ショッピングモールに行くのだって、貴哉の方から誘ってくることが多い。ゲームとかパソコンとかは僕の方が詳しいから、その知識目当てだろうって思ってたんだけど、それだけじゃなかった。この前もサッカーのストッキングを買うというだけで誘ってきたっけ。「そんなの一人で買いに行きなよ」って速攻断わったんだった。
僕は貴哉と一緒にクラブに行くのが好きなのに、普段は貴哉に冷たくしてばっかりだ。
「貴哉が帰ったら連絡しますね。ごめんなさい」
「こちらも、何か心当たりを思い出したらお知らせしますね」
貴哉のおばさんとお母さんが挨拶を交わして、玄関のドアが閉められた。急に背筋が寒くなった。どうしよう、貴哉が事故に遭ってたら。どうしよう、誰かに誘拐されてたら。どうしよう、もう会えなくなったら。
「貴哉くん、別れ際に何か言ってなかったの?」
お母さんに訊かれたけど、僕は首を横に振るしか無かった。膝が急にガクガク震え出した。
その時、ドアの向こうから微かに声が聞こえてきた。「今まで何やってたのっ」とかなんとか。パタパタというサンダルの足音が戻ってきて、チャイムが鳴った。僕は玄関のドアに飛び付いて開けた。廊下には、怒った顔のおばさんと、俯いた貴哉が立っていた。
「すみません、貴哉のヤツ、今帰ってきました」
貴哉は、昼間一緒にスポーツセンターに行った時と同じ、長袖とハーフパンツのジャージ姿だった。本当に帰宅したばかりのようだった。
「良かった」
僕とお母さんがほぼ同時に安堵の溜息を吐いた。
「ほらっ、藤原さんと悠希くんに謝りなさいっ。心配かけてっ」
おばさんが貴哉の頭を押さえ付ける。
「ごめんなさい…。ちょっと空き地で練習してて…」
貴哉が俯きながらボソボソと説明する。
「イテッ」
「ちょっとじゃないでしょっ」
貴哉のおばさんが貴哉の頭にゲンコツを落とした。
「まぁまぁ。貴哉くん、わざわざ連絡しに来てくれたの?」
お母さんがなだめながら話題を変えようとした。
「うん…。玄関で父ちゃんに殴られて。母ちゃんが悠希のうちに行ってるから挨拶してこい、って」
貴哉はやっぱり俯いたままで答えた。怒られてるからだろうけど、なんだかいつも貴哉らしくない。それに、ちょっと気になることもあった。空き地ってどこだろう。スポーツセンターと家との間にサッカーの練習に使えそうな空き地なんて無かったと思うけど。それとも、もっと遠くに行ってたのかな。
「ねぇ、貴哉、空き地って…」
その疑問を口にした瞬間、貴哉は伏せていた顔を急に上げ、すごい目付きで睨んできた…。気がした。いや、目付きがすごいわけでも睨んできたわけでもなくて、冷たいというか固いというか、ヒヤッとするような視線を向けてきた…。ように思ったんだけど、気付いたらいつもの笑顔で
「今度は悠希も一緒に行って練習しような」
と返してきた。あれ?
「二人で行けばきっと怒られないしイテッ」
「なにバカなこと言ってんの」
貴哉はまたおばさんに殴られた。普段と変わらないおばさんと貴哉なんだけど、なんだか違和感がある。貴哉の顔を覗き込む。
「な、なんだよ」
「あれ?ねぇ、貴哉、顔色悪くない?」
日焼けした顔に血の気が無くて、なんだか土色っぽい。
「え?平気だよ。…ちょっとダルいけど」
おばさんが貴哉のおでこに手の平を当てた。
「あんた、熱出てきてるじゃないっ。汗かいたままほっつき歩いてるからっ」
「だいじょぶだって」
貴哉は強がってみせたけど、おばさんに追い立てられてバタバタと帰っていった。
違和感を感じたのは顔色のせいだったんだろうな、と僕は考えることにした。空き地の場所は明日にでも訊きに行こう。もし本当に練習に使える空き地があるなら嬉しいし。
でも…、とまた気になることを思い出した。この時期だと貴哉は練習着のまま帰ることが多い。「暑い」とか言って、練習帰りにジャージを羽織ることなんて殆ど無い。それなのに、さっきは喉元までファスナーを上げていた。どうしたんだろう。
あ、そっか。更衣室で別れた時、練習着だったのはいつものことだけど、シンガードも付けたままだったんだ。やっぱりどこかに練習できる空き地を見付けていて、そこにそのまま行ったんだ。で、夜になるまで外にいたから風邪引いちゃって、ジャージを着て帰ってきたんだ。殆ど俯いてたのは、怒られてる上に風邪でダルかったからだろうな。
さっきの貴哉には変な感じがしたけど、考えてみれば納得できることばかりだった。僕は一人で頷くと、夕食に戻った。空き地を教えてもらうのを楽しみにしながら。
日曜日~木曜日

翌日の昼過ぎに貴哉の家に行ったら、貴哉は熱を出して寝込んでいるとのことだった。伝染ったらマズいから、と会わせてもらえなかった。
仕方が無いので、空き地のことは週明けに学校で教えてもらおうと思う。
でも、結局貴哉が登校できたのは木曜日のことだった。
クラスが分かれてから一緒に登下校することは殆ど無くなっていたのだけれど、今回はなんだか心配になって、月曜日から毎朝誘いに行っていた。ようやく木曜日の朝にランドセルを背負って出てきた貴哉は、ケロッとして
「のんびり休めてラッキー」
なんて言い出して、またおばさんに殴られていた。
「ほんとにだいじょぶ?」
学校に向かいながら尋ねたら、
「へーきへーき。ちょっと熱出てただけだって。バカでも風邪引くってこと」
なんて言って、デカい口で笑っていた。
「それよりさ、悠希、いい空き地見付けたんだ。あさっての練習の後、連れてってやるよ」
いつ訊こうかな、と考えていた空き地のことを貴哉の方から持ち出してくれた。練習の後だと暗くなっちゃうよ、と一瞬思ったんだけど、貴哉からの誘いを何度も断わっていることを思い出して、僕は思わず「うん」と頷いた。そしたら、貴哉はすごく嬉しそうな顔をしてくれた。時間のことは気になるけど、ま、いっか。家族への言い訳を考えておかないと。そんな僕の考えに気付いたのか、貴哉はニヤッと笑いながら続けた。
「そしたらさ、あさっての練習はチャリで行こうな。空き地までちょっと距離あるし。あと、おばさん達には『スポセンの方で二人で練習するから遅くなる』って言っておこ。空き地ってさ、スポセンの向こうなんだ。嘘は言ってないだろ?」
貴哉にしては行動前によく考えていると思った。こりゃ、土曜日は相当に怒られたんだろうな。
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ショタ小説2
  • 2015⁄11⁄08(Sun)
  • 00:27

束縛の臭気

夏の熱気がこもる薄暗い部屋の中。土埃が積もったコンクリートむき出しの床に、全裸の少年が一人転がされていた。彼は両方の手首を後ろ手に縛られ、また両脚を幅の広いテープで巻かれ、逃げる手段を封じられていた。助けを呼ぼうにも、詰め物をされた口からは低く小さな呻き声を漏らすのが関の山だった。その彼のことを取り囲み、腕を組んだまま見下ろす幾つもの人影は、自身らが首謀者であることを見せ付けるように無言を貫いていた。
数分続いた呻き声と沈黙との対立に、鉄の扉が開くガチャリという音が割り込んだ。薄暗かった室内に白い陽光が差し込む。床の少年の体が光に曝され、その肉体が大人の筋肉を徐々に獲得しつつあることを見せ付けた。
少年は土埃に汚れた顔を上げ、救いの手の出現を期待した。しかし、現れた人物の声と言葉に、彼は再び絶望する。
「まだ済んでねぇのかよ」
「すみませんっ」
扉に背を向けていた一人が、振り返りながら頭を下げる。
「とっとと仕込めよ。練習始めっぞ」
その人物は扉を大きく開け、部屋の中を光で満たした。そこに集まっていたのは、揃いのユニフォーム姿のサッカー少年達だった。全員が、赤いサッカーストッキングとプラクティスシャツ、そして白いサッカーパンツを身に付けていた。
謝罪の言葉を口にした少年が、エナメルのシューズケースから薄汚れたサッカースパイクを取り出した。
「分かるだろ?俺のスパイク、今日はずっとお前のために使ってやるよ。感謝しろよな」
そう言いながら、彼はスパイクの片方を手に持ち、その履き口を全裸の少年の顔に押し当てた。鼻をすっぽりとスパイクに覆われた少年は、首を振って拒絶しようとするものの、傍らに駆け寄ったもう一人によって頭を押さえ付けられ、スパイクとその臭気から逃れられなくなってしまった。
一際大きく呻き声を上げる少年の周囲で、サッカー少年達は一様に笑みを浮かべた。
スパイクを押さえ付けた少年は、恐れに満ちた目で鼻先のスパイクを睨み付ける相手に対し、朗らかな口調で声を掛けた。
「深呼吸してみな。すぐ楽になる。気持ちくなって、逃げてた自分がバカバカしくなるから」
そして、斜め後ろに立つ別の少年に顎をしゃくって見せた。指示を受けた少年は、2cm幅の弾力性のあるベルトを手に全裸の少年に歩み寄り、スパイクもろとも、そのベルトを頭部に巻き付け始めた。全裸の少年は一瞬身をよじったものの、それきり抵抗することを諦めてしまった。いつしか、全裸の少年は半ば目を閉じ、リラックスしたかのようにゆっくりと呼吸を繰り返すようになっていた。深く息を吸う彼の鼻孔は、使い込まれたスパイクの臭気を確実に取り込んでいた。
「お待たせしましたっ。準備終わりましたっ」
周囲を取り囲んでいた少年の一人が声を上げる。
「集合急げよっ」
「っす!」
扉の外からの声に答えながら、サッカー少年達はスパイクの金具の音を立てながら、足早に室外へと出ていった。しんがりとなったのは、スパイクの持ち主の少年だった。彼は、室内に残された全裸の少年を振り返った。
全裸の少年の全身を陽光が白く浮かび上がらせる。両脚の自由を奪っているのは、幾重にも巻かれたテーピング。そして両手を縛めるのは、何本もの靴紐。口の詰め物は赤いサッカーストッキングを丸めたものであり、スパイクと共に頭部を締め上げるベルトは、シンガードストッパーをマジックテープで繋ぎ合わせたものだった。
「後で来てやるからな。俺の足の臭い、しっかり覚えろよ、カズヨシ」
そう声を掛ける少年の視線は、全裸の少年の股間に向けられていた。そこでは、それまで縮こまっていた陰茎が、徐々に首をもたげ始めていた。そのことを確かめた少年は、口許を微かに歪め室外へと出た。鉄の扉が閉められ再び薄暗くなった室内には、本来はサッカーのために作られた道具によって拘束された一人の少年が、置き去りにされた。
ホイッスルの音が、室内にも微かに響く。小さな窓と鉄の扉の出入口を持ち、コンクリートブロックを積み重ねて作られたこの建物は、中学校の校庭に設置された二つ目の体育倉庫だった。
全裸で囚われた少年は、中澤和良(なかざわ・かずよし)。そして己れのスパイクを和良の顔に押し当てた少年は、青木正継(あおき・まさつぐ)。いずれもサッカー部の一年生部員だった。
実質的にサッカー部専用と見做されている体育倉庫の床で、和良の腰がピクンと動く。正継のスパイクの臭いを深く吸い込みながら、彼の若い陰茎はますます固くなっていた。
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ショタ小説2
  • 2015⁄10⁄25(Sun)
  • 23:12

初犯

私は48才で西田菊太郎。
普通のサラリーマンだ。
高校生の時から幼い子どもが好きだった。昔は見てるだけで良かった対象だったが ロリコン友達から借りたビデオで4才くらいの男の子がレイプされる動画を見てからは子どもをレイプしたいと思うようになった。

初めてレイプしたのが38才の夏
レイプをする為に田舎へ車を走らせて獲物を探していた。
ハンドルを握る手は汗ばみ、興奮のせいか頭がぼーっとしていた。3時間くらい田舎町を走り周りやっと一人で歩く小学生低学年の男の子を見つけた。

私は先回りをし、路肩に車を止め少年をまった。
少年はプールバックを振り回しながらこちらに歩いてきた。
周りに誰もいないことを確認すると私は 少年の口をふさぎ腹を殴った。少年は小さな悲鳴をあげたが本当に小さな悲鳴だった。
少年の声に私のペニスに血液が集まるのを感じた。
急いで車に乗せて調べていたラブホに向かった。
ガレージ式のラブホでカメラがない汚いホテルだが犯罪を犯すには最適なホテルだった。
少年を右肩で抱き抱え左手は玩具が入ってるバックを持ちホテルに入った。
私は玄関に少年を乱暴に下ろした。床にたたきつけられた少年はまた悲鳴をあげた。
少年は何かをしゃべったがそれどころじゃなかった。
ペニスは今までにないくらい怒張していて我慢汁でパンツは濡れている。
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鬼畜
  • 2015⁄10⁄21(Wed)
  • 00:34

生徒指導

舞台と登場人物

以下のような設定を行なった上での試し書きです。設定を先出しするという手抜き…。
市立なんちゃら南中学校に設定。略称「南中(なんちゅう)」。
武内新(たけうち・あらた)
陸上部員。3年E組の生徒。2年時もE組で、一年生から二年生にかけて生徒会役員を担当。成績は良かった筈が、最近やや停滞気味。
小学校以来の友人である大地とはやや微妙な間柄。仲良しだった筈が、苛めのような扱いを受けたり、関係修復してからは大地が勉強に集中するために新から距離を置くようになり、そのことが新の新しいストレスになったり。
小宮山大地(こみやま・だいち)
サッカー部員。3年E組で新の同級生だが、小学校以来の付き合い。2年時はA組だった。元々あまり成績は良くなかったが、最近伸び盛り。
一時期、新のことを苛めてしまっていた。
三浦真司(みうら・しんじ)
理科担当の若手教諭。今年度は3年E組担任、つまり新と大地の担任。前年度は2年A組で大地の担任は二年連続。生徒会役員会の顧問もしている。
頻繁に個人面談を行なうが、生徒からの人気は高い。自腹で飲み物やお菓子を用意して面談に臨み、特に男子生徒相手ではカーペットが敷かれソファが置かれた生活指導室を借り、割と個人的な相談にもざっくばらんに対応している。という普段からのカモフラージュにより…
関野聡(せきの・さとし)
数学担当の教諭で、真司よりも更に若い。今年度は3年B組担任で、真司と三年生の担任団を形成。前年度は2年E組で新の担任であった。

以下試し書きは、受験生となったにも関わらず成績が停滞気味となってきた新が、生活指導室で真司からの個人面談を受けているシーンより始まります。生活指導室には新と真司しかおらず、扉は新が気付かない内に施錠され、新はいつもの面談と変わらず真司が用意してくれたスポーツドリンクを、何ら疑うこと無く飲み干しました。
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ショタ小説2
  • 2015⁄10⁄21(Wed)
  • 00:06

闇公爵アスタロト

闇が全てを支配する中で、蒼白い月光にも似た光りが周囲を朧げながらも照らしていた。
その光りの中心に、美しい青年の姿があった。
手入れの行き届いた長い黒髪は緩やかに背を覆い、蒼白い光りの中で艶やかに輝いている。
透きとおるように白い肌は、女性以上になめらかなのだが、脆弱な甘さは微塵にも感じられない。
血の色を思わせる艶やかな緋色の双眸は妖しい輝きを放ち、尋常ではない青年の美貌をさらに際立たせている。
うすくて形の良い唇は、優雅な微笑みを浮かべているのだが、どこか視る者の魂を凍らせるような、おぞましくも凄艶な妖気を漂わせていた。
もし、なんの力も持たない者がこの青年の姿を見たら、ほんの一欠けらの躊躇もないままにその場にひれ伏し、
額を床にこすり付け、許しの言葉を口にしていたことだろう。

そう――――青年は激怒していた。

蒼白い光りの中、優雅に佇む青年は、激しい怒りに我を忘れかけている。
それは、冷静沈着で酷薄で残虐。つねに己れの感情と云うものを殆ど表さない青年にしては珍しいことだった。
激しい怒りに狂いかけている青年の正体は、悪魔の大公爵アスタロトだった。
アスタロトは、あまりに激しい怒りと苛立ちに自分を見失い、この世の全てを破壊したい衝動に駆られてしまっている。
一体、誰がこれほどまでにアスタロトを怒らせ、怠惰で美しいことを好む彼を悪鬼のごとく昂ぶらせているのだろうか。
アスタロトの激しい怒りを畏れるように、周囲の全てが凍りつき、息を潜めながら、慄き、震え、怯えている。
だが、そんな周囲の恐怖など、激しい怒りに自分を見失いかけているアスタロトにはどうでもよいことだった。
何故なら、怒りに狂うアスタロトの心を占めているのは、たった一人の少年なのだから・・・・・・
激しい憤怒に底光りしている緋色の双眸に映るのは、舌を噛まないように口枷を噛まされ、力なく目を閉じてぐったりと床の上に転がっている少年妖怪の姿だけ・・・・・・
永遠の伴侶として、地獄の世界につなぎとめた・・・・・・哀れな少年妖怪鬼太郎の姿だけしか、アスタロトの双眸には映っていない。

 フゥッ――――

怒り狂う己れの心を鎮めるように、形の良い唇が大きな息を吐いた。
そのまま優雅な動きで、黒い大理石の床の上に転がっている小柄な鬼太郎の身体を軽々と抱きかかえたアスタロトは、一瞬にして姿を消した。
意識を失っている鬼太郎を抱きかかえたまま、アスタロトが転移した場所は彼の領地である魔界の森だった。
鬱蒼とした魔界の木々が生い茂り、天高くそびえていた。
しかし、そんな魔界の木々たちも、主人であるアスタロトの訪れが判るのか、一斉に枝を振り、深い森の奥にある緑の褥へと彼らを導いていく。
従順な木々の姿に、形の良い唇をほんの少しだけ吊り上げたアスタロトは、ゆったりした足取りで褥へと向かう。
そうして、どれぐらい歩いただろうか。
一際大きな魔界樹のそびえ立つ緑の褥に辿り着いたアスタロトは、艶やかな緋色の双眸に淫虐な愉悦を浮かべると、
そのまま慣れた動きで、意識を失ったまま目覚める気配のない鬼太郎の身体を、大木の枝に吊り下げた。
――――アスタロトの魔力によって作り出された縄で――――縛り合わせたしなやかな両手をピンと上へ引っ張りあげたポーズで、
爪先がかろうじて地面につく高さに調整された華奢な肢体が魔界の宙に晒される。
脱出する際に、シーツを身につけていたのだろうか。小柄な鬼太郎の身体にはズタズタに切り裂かれたシーツが纏わり付き、殆ど全裸と云って良いほどに哀れな状態だ。
金色の柔らかな髪が白く柔らかな頬に絡まり、力なく目を閉じている鬼太郎の顔を隠していた。
乱暴に手折られた花のように無残な姿は、なまじ少女めいた可憐な顔をしているだけに痛々しく、そして被虐の色香を漂わせている。
しかし、今だ激しい怒りの嵐の中にいるアスタロトは、そんな鬼太郎の姿を目のあたりにしても、心を動かされることはないようだ。
血の色を思わせる美しい緋の双眸に、昏い怒りの焔を宿しながら、冷ややかに鬼太郎を見つめている。
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