- 2013⁄07⁄08(Mon)
- 01:59
ミサトさんのパンティ
自分の下着は洗濯してて穿く物がなかったから仕方なく。
でも、その日は運悪く体育。
担当教師はいくらエヴァパイロットでも分け隔てなく
厳しくしてくれる心温まる鬼教師。
そんな授業なのに体操服も忘れたうっかりさんのシンジくん。
鬼教師は言いました。
「シャツとパンツで授業に出ろ」と。
人格尊重の欠片も感じさせないある意味素晴らしい
考えを持つ鬼教師。
シンジは泣きながら体育の授業に出たのでした。
同級生の蔑む視線に耐えながら!
つるつるの御足を見せながら!!
でも、その日は運悪く体育。
担当教師はいくらエヴァパイロットでも分け隔てなく
厳しくしてくれる心温まる鬼教師。
そんな授業なのに体操服も忘れたうっかりさんのシンジくん。
鬼教師は言いました。
「シャツとパンツで授業に出ろ」と。
人格尊重の欠片も感じさせないある意味素晴らしい
考えを持つ鬼教師。
シンジは泣きながら体育の授業に出たのでした。
同級生の蔑む視線に耐えながら!
つるつるの御足を見せながら!!
どうして俺はこうも変態なんだ…?
鬼教師の異名を取る本郷は心の中で呟いた。
体操服を忘れたということで、
エヴァパイロットの碇シンジは今日の授業を休まして欲しい、
と言ってきた。碇シンジは今まで真面目に授業に出ていたし、
サボるというような考えを持つ生徒ではないと、本郷は知っている。
素行が良い彼なら一度くらいは目を瞑ってもよい、と一瞬思ったが、
もじもじと顔を赤らめる彼に本郷は直感的に何かを感じた。
「駄目だ、出ろ。体操服を忘れるなんてたるんでいる証拠だ」
極めて冷静に授業に出るように告げる。厳しく律する視線も忘れない。
「で、でも…」
「『でも』じゃない。体操服を忘れたならシャツ、パンツ一丁出ろ。
俺はエヴァパイロットだからって、そんな甘えは許さんぞ!」
少しばかり大声で怒鳴ったらすぐに俯いて口を閉ざした。
その瞳は潤み、半ベソをかいている。
ゾクゾクとした快感が鬼教師の背筋を昇っていく。
一年に一人はいる女のような男子生徒。
そんな生徒を温かく見守るのが本郷の趣味だ。
しかし、碇シンジは違った。今まで本郷が見てきた男子生徒とはかけ離れている。
碇シンジの可愛い顔が、恐怖で歪むのが、疲弊しきった顔を観るのが
鬼教師を楽しませるようになっていた。
案の定、碇シンジは苦悶の表情で授業に出ていた。
転校してきた彼には体操服を借りる友人は他のクラスにはいないのだろう。
シャツと下着一枚で体育に出てきた。
グラウンドの一角にで
本郷の前に整列する生徒の中で、彼はとびきりに異質だった。
眉を八の字に曲げて、顔を耳まで真っ赤にしていた。
ただ、下着一枚ならそんな顔はしまい。
彼の穿いている下着は明らかに女物のショーツだった。
碇シンジはそんな肌を隠す面積の小さい布地を、
少しでも見られまいと、シャツの裾を引っ張り、
必死に隠していた。
本郷は心の中で快哉を挙げた。
碇シンジのこんな姿を見られるなんて夢にも思っていなかったのだ。
「何だ、碇。そんなパンツを穿いて寒くないか?」
鬼教師のその言葉で生徒達は笑う。
チラチラと彼を見る男子生徒までいる。
それが一層恥ずかしいらしく、俯いて、震えていた。
男子生徒で笑い声で、男子生徒とは逆側にいた
女子生徒もこちら側を見て、指をさしていたりする。
無論、碇シンジの格好について何か言っているのだろう。
「よーし、それじゃあ、まずは学校の周りを走れ」
笑い声が落ち着いた後、授業を開始する。普段はグラウンドを二周程、走らせるだけだが
今日はそんなことでは勿体無い。学校の周りを走らせることにした。何周、学校の周りを走るかなど言明しない。
いつ終わるか分からない恥辱こそが人を苦しめるということを 本郷は本能で知っていた。
本郷が笛を鳴らすと、生徒達は走り始めた。もちろん碇シンジも。困った表情が印象的だ。
いつもなら走る生徒を眺めているが、今日は生徒達と一緒に走ることにした。
正常な状態なら前の方を走る碇シンジだが シャツでパンティを隠すという格好も手伝ってか、
碇シンジは最後尾を走っていた。 やや太った運動ができない生徒にも遅れをとっている。
本郷は最後尾から少しばかり離れた所から
碇シンジのプリッと張った魅惑的なヒップを眺めていた。
あんな瑞々しい肌は、あと何年もすれば筋肉質に変わると
思うと、本郷は寂しく感じた。
可愛い碇シンジを楽しめるのは今だけだ。
本郷は今日の彼を目に焼き付けて、忘れまいと心に誓った。
無理な体勢で走っているので、
くなくなと身体が誘うように揺れている。
それがなんともエロティックに映る。
時折、周りの視線を気にしてか、ちらちらと辺りを伺う。
その表情も何とも言えず魅力的だ。
(最高だよ、お前は…)
本郷は今にも背中から抱き締めてやりたい衝動に駆られる。だが、必死にそれを自制する。
一分ぐらい走った頃だろうか?
碇シンジのペースは明らかに落ちていき、ハアハアと荒い呼吸を交え、ノロノロと歩き始めた。
極度の辱めが彼の体力を奪っているのだろう。本郷はそんな彼に近づいて、
この時ばかりと、桃のような臀部をはたいた。
「ほら、早く走れ。他の生徒に迷惑かかるだろ!」
「あうっ!」
昼下がりの道には場違いな声が木霊した。
「どうした、碇? いつもはもっと速く走れるだろ?
手を抜いてるのか?」
心の中で笑いながら本郷は真面目そうに言う。
「そ、そんなわけじゃ…」
首をふるふると振るい、碇シンジは懇願の表情で本郷を見た。
唇の色はは淡く、おまけに半開きで、その奥にある濡れた舌は
とても柔らかそうだ。吸いつきたくなってくる。
「だったら、速く走れ。ほら!」
パンともう一度強く桃尻を叩く。
「うぅんっ! や、やめてください。走る…、走りますから…」
碇シンジは疲弊しきった身体に鞭を打って、
ペースを上げた。やはり、彼もこの恥辱を終えたいのだろう。
通行人もじろじろと女物のパンティ一枚で走る彼に訝しげな視線を投げかけている。
碇シンジはシャツで隠しながら、本郷の前から走り去っていった。本郷も大急ぎで彼の後ろを追っていきたかったが、
いつの間にか、本郷の男根は大きく屹立していて、彼を追うことを困難にしていた。
本郷は心の中で舌打ちする。
(くそッ、もう少し、優しく甚振れば良かったかな?)
屈み走りをしながら、本郷は少しでも追いつこうとペースを上げた。
本郷は鍛え上げた身体で道を駆け抜ける。
流石、若い体育教師というだけあって無理な体勢でも
すぐに碇シンジの背中を視界に捉える事が出来た。
碇シンジも今度という今度は、フラフラで、よろめきながら、重い足取りで走っていた。
まるで泥濘の中を走っているようにノロノロとペースは落ちている。
どうやら、先程の走りは、最後の力を振り絞っていたらしい。
それにしても…、と本郷は思った。
あれだけヨロヨロと疲弊しきっても、穿いている女物のショーツをシャツの裾で
隠すことを忘れていない。普段から自分が女っぽいと自覚していることもあるのだろう。
そういう少年に限って、自分が女の子のように見られることを極端に嫌う。
そして、その隠すという仕草が本郷にはとてつもなく健気で、
変態性欲を満たしてくれるのだ。
鬼教師は背後から、再びじっくりと碇シンジのぷりぷりの美臀を観賞する。
その時であった。
(おいおい、嘘だろ!?)
なんという僥倖か?
碇シンジは極度の緊張と疲れからか、アスファルトの上に倒れこんでしまった。
本郷はすぐに碇シンジの元に駆け寄る。
「おい、碇、大丈夫か!?」
うすぼんやりと瞼を閉じ、口からは荒い呼吸が止まないが、
意識は失っていないらしく、本郷の問いに頷いた。こういったことも本郷はお手の物だ。
意識さえしっかりとしていればどうという程ではない。休めば治るのだ。
しかし、碇シンジは頷くだけならまだしも、彼はその少女のような唇から
「ごめんなさい…、先生…すぐ、走ります…から…」
などと、ゆっくりと言葉を紡ぐではないか。
このような仕打ちを受けた原因である男に謝罪の言葉を述べるのだ。
中学生、高校生の時分なら、陰では教師の悪口を言うのが普通だ。
そういった事を言っている生徒は普段の言動から読み取る事ができる。
だが、碇シンジは違う。本郷の変態染みた申し出も、
自分が悪いからと思い込んでいるのだ。
(くくく、こいつは使えるな…)
本郷は碇シンジに見えぬようほくそ笑む。
「馬鹿、何を言ってるんだ。走らなくていい。
先生と一緒に保健室に行くぞ」
本郷はショーツを隠すため着ていたジャージで碇シンジの腰を巻くと
華奢な身体を背負った。そして、ここぞとばかりに本郷は、
碇シンジの柔らかな肉体を擦り、尻を撫で回した。
だが、疲れ切った碇シンジは気付かない。
「あ、あの…、先生、いいです。平気ですから…」
まだ呼吸が荒い。その熱い吐息が首筋に当たり妙にくすぐったい。
「碇、今日はもう保健室で休んでくれ。
すまんな、そんな格好で走らせて。
だが、他の生徒の手前、お前だけを特別扱いするわけにはいかないんだ」
もっともらしい言い訳を口にする。
優しく語りかける口調で、彼の動揺を誘う。
狙い通り、普段は厳しい教師とのギャップで
碇シンジはその言葉を信頼しかかっていた。
グラウンドを横切り、本郷は生徒達に告げる。「今日は自習だ」と。
ほとんどの生徒は喜んだ。「やったー!」などとあからさまに口にする生徒もいる。
(そりゃ糞つまらない俺の授業よりかは自習の方がなんぼかマシか)
本郷が自嘲すると、一人の生徒が前に出てきた。
「あの、センセ。シンジの奴、どないしたんでっか?」
鈴原トウジだ。確か、碇シンジとは仲が良いと記憶している。
「ああ、途中で倒れちまってな。これから保健室に連れていくんだ」
本郷が言うと、トウジは予想もしないことを口にした。
「ほんなら、ワシが連れて行きますわ」
(ば、バカ! 何を言うんだ、コイツ? 俺の計画を壊す気か!?)
動揺を隠すように本郷は一度、息を大きく吸う。そして、吐く。
「いや、俺が行く。責任は俺にあるんだ」
「で、でも…」
教師権限をフルに使うように、やや睨みながら本郷は言うが、トウジは食い下がる。
しばらく押し問答が繰り返された。普段から仲が良いし、先生も授業をした方がいい、などと
もっともなことをトウジに言われ、本郷はやや形成不利になる。
しかし、そんな本郷に助け舟を出したのは意外にも碇シンジだった。
「大丈夫だよ、トウジ。先生は本当は優しいんだ…」
碇シンジはトウジに目で訴えかける。『だから、心配しないでよ…』
そう彼は目で言っていた。トウジもまたシンジが本郷に叱責されないかと
心配しての申し出だったのだろう。
心で通じ合うような素振りを見せる彼らに、本郷は嫉妬に似た黒い炎が胸の中で燃え上がった。
保健室の扉を開ける。消毒液などの独特の臭いが鼻腔をつく。
保健室には誰もいなかった。この時間、保健医はサボっているのだ。
本郷はそれを知った上で碇シンジを保健室に運んだのだ。
「何だ、誰もいねーよ。たくっ、しょうがねーな」
わざとらしく喋る本郷。背負っていた碇シンジをベッドの縁に座らせた。
既に幾ばくか呼吸は落ち着いていた、が、
優しい教師のふりをする本郷は、碇シンジを授業に戻すことはしなかった。
腰に巻いていたジャージを外す。すると、彼の膝小僧から血が滲み出しているのが分かった。
「ん? 碇、怪我をしてるのか」
アスファルトに倒れこんだ時に、擦り剥いたのだろう。
本郷は薬箱を持ってきて、中から消毒液を取り出した。
「あ、自分でやりますから」
「碇、これぐらいのことはさせてくれよ」
「は、はぃ…」
碇シンジみたいな生徒は強く言えば逆らう事はしない。
本郷は今までの教師生活の経験からそれを知っていた。
そう言いながら、腰を下ろすと消毒液を傷口に付ける。
「ちょっと、染みるぞ」
「痛っ…」
鋭い痛みに、碇シンジの顔は歪む。だが、その表情も何とも堪らない。
ゾクゾクと嗜虐の心を揺さ振る表情だ。目を瞑り、歯を噛み締めて、痛みに耐えている。
もっと見ていたかったが、そうも言えない。脱脂綿で消毒液を拭き取ると、絆創膏を傷口に貼った。
しかし、碇シンジという生徒を改めて見てみると、本当に少女のような可愛らしさがあった。
とりわけ美人の部類に入るというわけではない。
だが、鼻はすっきりと通り、瞳も大きくくりっとしている。
腕もほっそりと華奢で、最初に彼を見たときなど女の子と見間違った程だ。
滅多に笑顔を見せることはないが、時折、見かけるその笑った顔は
天使のようで、本郷の心をくすぐり続けた。
「せ、先生?」
碇シンジの不思議そうな声で本郷は我に返る。
どうやら、彼の太腿を握りながら、見蕩れていたらしい。
「ん、ああ。スマンな。考え事をしていた」
咄嗟に言い訳をして、立ち上がろうとすると、
閉じた膝の間から垣間見える女物の下着が視界に入った。
そうだ、そういえばなんで彼はこんな物を穿いているんだ?
「そういえば、碇? なんだそのパンツ? 女物だな!?」
今気付いたかのごとく白々しい言葉だったが、
指摘された碇シンジは、その白々しさを気付くことができなかった。
ただ、慌てて、シャツの裾でそれを覆い隠すだけだった。
「いえ、これは…、その…、着替えの下着が無くて…」
「本当か? 怪しいな。まさか盗んだものじゃないだろうな!」
大方、親族の物だろう。碇シンジに下着泥棒ができるなどとは本郷も考えていなかった。
「ち、違います。そんなんじゃないです!」
慌てて反論する碇シンジ。相当、盗みをしたなどとは思われたくないのだろう。
「本当か? 慌てている所が怪しいな。嘘を吐いてもすぐに分かるんだぞ」
「嘘じゃ…、嘘じゃないです!」
顔を真っ赤にしている。耳までも。下着姿で走った時と同じくらいに。
「じゃあ、碇。調べてみるから、それを脱いでみろ」
「え!? 下着をですか?」
「当たり前だろ、それともやっぱり盗んだ物なのか、んん?」
本郷に詰め寄られて、碇シンジは渋々頷いた。
腰骨に手を遣り、ショーツのゴムを摘み、するすると下腹部を滑らせるように下ろす。
(うおっ! シンジが…、シンジの奴が俺の前で下着を下ろしてやがる!)
本郷は興奮する自分を抑えて、その様子を凝視する。
視線に気付いたのか、まるで羞恥を感じる生娘のようにくなくなと腰を曲げて、
「み、見ないで下さい」と泣きそうな顔で懇願する。
「バカ、何言ってるんだ、男同士で。俺は証拠を消されないか見る義務があるんだ」
強く凄むと、碇シンジはまたショーツを下ろすことに集中する。そして、身体を捻り、背中を見せる。
男といえどせめて自分の男性器は見せたくないのだろう。しかし、生尻は丸見えだ。
本郷はじっくりとそれを堪能する。
いつの間にか、本郷の男根ははち切れんばかりに、下半身のジャージを圧迫していた。
「ほら、脱いだら、早くよこせ」
「はい…」
碇シンジの温もりがまだ残る女物のショーツが本郷の手に渡った。
すぐにでも、むしゃぶり吐きたいが、まだそれは早い。
本郷はじっと碇シンジを睨みながら点検するように、
ショーツのクロッチ部分の上。つまり、碇シンジのペニスがあった所を注視した。
(ん? これは!)
少しだけ染みができていた。汗なんかじゃない。
(まさか!)
「おい、碇。まさかさっき学校の周りを走っていたとき、勃起してたのか?」
本郷の問いに、シーツを腰に巻き、陰部を隠す碇シンジは俯いていた。
それが答えだった。碇シンジは走りながら下半身を屹立させていたのだ。
ショーツの内側に付着していたのはカウパー汁なのだ。
見られていたことに興奮を覚えたのか、脚を動かす度に擦れる、
女性物の下着の内側の滑らかさに気持ち良くなったのか、それは分からない。
だが、女性物の下着を穿いて勃起していたのは紛れも無い事実なのだ。
「決まりだな。碇、お前の親御さんに今度学校に来て貰おう。
普段から、女性物の下着を穿いているどうしようもない奴だと、知ってもらおう」
本郷はすっと碇シンジに背中を見せて、その場から立ち去ろうとした。
きっと彼なら追い縋るだろう。違います、誤解だ、と説得してくるだろう。
一見、か弱く見えるが実は芯は強いのだ。本郷は彼の本質を本能的に見抜いていた。
「ま、待ってください。誤解なんです! その下着は同居している葛城さんという人の物で!」
シーツで前を隠しながら、本郷の腕に纏わり付く碇シンジ。
(同居している葛城? シンジ、それは墓穴だ)
「だったら、なおさらだ。その葛城さんとやらにも話さなくてはいかないな。
全く、碇、お前にはがっかりだよ」
首をゆっくりと横に振るう。
「うぅぅ、違う、違うんです…、うっ、うっ…」
腕に縋りつきながら碇シンジは泣きだした。
後悔しているのだろう。家を出た時は、まさかこんなことになるとは思わなかったはずだ。
急に舞い降りた異常事態のはずだ。こんな混乱している人間ならば、
多少の無理なことでも、受け入れるだろう。
例え、芯が強くても、その周りをコーティングするモノが軟弱だったら長続きはしないものだ。
本郷は笑いを噛み締めながら、碇シンジの方を向き直ると、両肩を優しく掴んだ。
「分かったよ、碇。お前がそこまで言うのなら誤解なんだろう。
でも、俺が信じても、他の教師は信じないかもしれないよな?」
「え? ぐすっ…」
涙で頬を濡らしながら本郷の話を真剣に聞く。
「分かるな、この理屈?」
「え!? あ、はい…」
優しく諭しながら、さり気なくベッドの方へ誘導する。そして、白いカーテンを引き、外から見えないようにする。
まだ碇シンジは泣いていた。啜り泣きをしながら、潤んだ瞳で本郷を見ていた。
「分かるな、お前がおかしな性欲を持っていたことを知っているのは
今のところ、俺だけだ」
わざとおかしな性欲を強調する。
碇シンジは反論もせずに、本郷の話に聞き入っていた。
まだ相当、混乱をしているみたいだ。
「だからな、ここで、二人だけの秘密を作ろう。
俺は碇のことを黙っている。碇も俺の秘密は黙っててくれ」
本郷は碇シンジの手を握り、そのまま、はち切れんばかりに
怒張している自分の股間へと導いていった。
碇シンジの手の平は女のようにすべすべときめ細かく、
それでいて、柔らかく温かかった。
ジャージ越しの熱い本郷の男根に触れた途端、
碇シンジの肩はビクッと揺れた。
これから自分が何をさせられるのか察したのか、
未だ涙で潤んだ瞳で不安そうに本郷を見ていた。
「な、何をす…、させるつもりですか!」
気丈にも声を張り上げる。だが、肝心の声は震え、
無理に声を張り上げたのがみえみえだ。
それが何とも言えず、興奮する。
「だから二人だけの秘密を作るんだよ。
俺だって本当はこんなことをしたくないんだ。
生徒にこんなことをさせたら問題だからな。
だけど、碇、俺はお前のためにさせているってことを忘れるなよ?」
碇シンジのため、ということを優しく諭すように教え込む。
「分かったら、ほら、俺のを握ってくれよ。
お前が取り出すんだ、俺のジャージの裾から」
碇シンジは再び泣きそうになりながら、
下のジャージを、ついで、本郷の下着を下ろした。
既にギンギンに反り勃った大人の肉棒を目の当たりにして、
碇シンジは息を呑む。
「うぅ…、できない…、こんなのできないよ、先生…」
口を押さえ、首をふるふると振るう。
「バカ、今更、できないで済むか!」
本郷は無理やり碇シンジの手の平を掴むと、
強引に己の怒棒を握らせた。
「うぁぁ、やめて、やめてよ、先生!」
「観念しろ、後は目でも瞑って、自分のを扱いているように
動かしてればいいから!」
「うっ、うぅ…。ぐすっ…」
目の前の教師を満足させれば、拒絶するよりかは
早く終わると悟ったのか、碇シンジは言いつけ通り、瞼を下ろし、
本郷の怒棒を上下に擦り始めた。
(うおお! すげぇ、まさかシンジの奴が俺のチンポを扱いてくれるなんて!)
感極まって、本郷はすぐに発射しそうになった。
だが、それでは勿体無い。この甘美なひと時を長く持続させるように、
ぐっと射精を堪える。碇シンジの肩を抱き、自分の方に寄せる。
すると、あからさまに嫌そうに眉を顰める。
普段なら、そんな顔をする生徒に腹立たしさを覚えるが、
碇シンジがすると逆だった。それが魅惑的に映ってしまう。
しかし、なんというか、碇シンジの懸命に扱くその姿は
なんという官能美だろうか。これが14歳の中学生には到底見えない。
目を瞑る姿はあまりにも無防備。唇を半開きにして、
中から覗く桃色の舌は誘っているようにも見える。
(ああっ、くそっ! もう、どうなってもいいや!)
瞼を閉じて、油断している碇シンジの隙を突いて、
本郷はその柔らかそうな唇を、濡れた舌ごと奪う。
全く予想していなかったのか、碇シンジは目を見開いて、
目の前の起こった事象を確かめようとした。
自分がキスされていると分かって、本郷を突き放そうとしたが無駄たった。
所詮は子供なのだ。屈強な体育教師の腕力に敵うはずもなく、
碇シンジはベッドの上に押し倒されてしまった。
本郷の怒張から手を放して、両手両脚をバタバタとさせる。
「んぅー、んぅー」苦しそうにもがく様を見て、
本郷はいよいよ、どうしようもなくなった。
唇を唇で塞いだまま、本郷はまだ剥け切らぬ、
シンジの男性器に手を這わすと、グッと握った。
(うお! 嘘だろ!?)
全く信じられないことだが、碇シンジの男性器は硬くなっていた。
先っぽだけ、剥けていたが、それだけで、いわゆる仮性包茎だ。
恐らくは男とのこういった行為は初めてではないのだろう。
そして少なからず同性にも惹かれているはずだ。
ノン気ならば、嫌悪感から、勃つ所ではなくなる。
本郷は一旦、唇を放す。
「も、もうやめて下さい。お、大声出しますよ!」
声は相変わらず恐怖で震えている。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
「別にいいさ。だが、もし助けを呼ぶなら、
お前の大事な奴を酷い目にあわせるぜ。俺は執念深いからな、くく」
「ト、トウジは関係ないだろ!」
(そうか、畜生! シンジの相手はあの関西弁か!)
メラメラと嫉妬の炎が本郷の胸の中で燃え上がる。
(奪ってやる。あの関西弁からシンジを奪ってやる)
「そうだ。鈴原の奴は関係ない。お前がいうことを訊くなら何もしないさ」
「うぅ…、本当にトウジには手を出さないって約束してくれますか?」
「あぁ、俺は約束は守るよ」
本郷の手の平は再び、シンジの男性器を弄りだした。
「あぅ…、ん、はぁ…」
可愛らしい少年の喘ぎが聴こえる。
「ほら、まずは一回出せよ、シンジ。イキ顔を俺に見せてくれよ」
「んんぅ…、あぅ…」
ブルブルと碇シンジの肉体は奮える。絶頂も間近だろう。
本郷は笑いながら、射精する瞬間を眺めていた。
「あ…、んくぅ…っ! せ、先生! 僕、もう…」
「何だ、我慢できねえのか? へへ、いいぜ。見ててやるよ」
「嫌だ…、嫌だよぉ…」
ぎゅっとシーツを握り唇を噛み締めるが、
訪れる絶頂の波には抗う事はできなかった。
大袈裟とも言えるほど、肉体を震えさせると、
握っていた碇シンジの男精器の先端からは白濁液が吐き出された。
びゅっ、びゅうっ、と吐瀉される度に碇シンジの身体は揺れる。
「あ、うぅ…」
か細い声とは裏腹に少年の射精は勢いがよかった。
本郷は満足げに、シーツを汚れる様を見届けると、
碇シンジの唇を再び奪う。
今度は生半可なキスではない。
柔らかな唇を、ぬめる舌を唾液ごと吸い尽くす。
じゅる、じゅるる、と碇シンジの口腔の分泌液を嚥下する。
(うお、うおお! すげえ、柔らけぇ…)
碇シンジのイキ顔を見ながらのキスはまた格別だった。
絡める舌は蕩けるように、甘く、美味だ。
逆らえぬと悟ったのか、それとも射精を促されたばかりで、
満足に抵抗できないのか分からないが、
碇シンジは本郷の舌に従順だった。
それに気を良くした本郷は、ここぞとばかりに
己の唾液を、碇シンジの小さな口の中に送り込む。
流石にそこで、自分を取り戻したシンジは、
必死に体育教師の唇を払おうとしたが、
そんなことは無論、本郷は許さなかった。
握ったままでいた碇シンジの男性器を、
残った精液を搾り出すように、上下に動かす。
それだけのことで、碇シンジは抵抗らしい抵抗はできなくなった。
(そうだ、おとなしくしてろよ、シンジ)
ついに碇シンジの喉は動く。
こくこくと少しずつ、本郷の唾液を体内に送り込んでいた。
そこで、やっと本郷は唇を放した。
「どうだ、俺の唾は美味しかっただろう、くく」
口端から垂れる涎を拭うこともせず、
碇シンジは本郷の問いに頷いた。
味など分かるはずも無い。ただ、逆らわぬようにしただけだ。
もちろん本郷もそれは分かっている。
しかし、理屈では割り切れぬ感情が本郷の中で沸き起こる。
「どうした? 顔が赤いぞ、風邪か?」
「え?」
不意に投げかけられた質問に碇シンジは慌てて本郷の方を見向く。
何かまたよからぬことを考えているだろうということは、
ニヤニヤと笑う本郷の顔で直感した。
一瞬でも彼に気を許した自分が情けない。
厳しくても本当は優しい先生などと。
今では単なる陵辱者だ。せっかくトウジが助けてくれようとしてたのに。
碇シンジはまた瞳に涙を溜める。
だが、もう涙を流すわけにはいかない。そんなことをすれば本郷が喜ぶだけだ。
ぐっと涙を堪えると、本郷は驚くべきことを口にした。
「ケツを向けろよ、シンジ。先生が熱を計ってやるよ」
「嫌だ。嫌だよ! もうやめてよ、先生!」
碇シンジは嫌だ、と懸命にかぶり振る。
「何、言ってやがる。俺の手で一回、イッた癖に今更、恥ずかしがるなよ」
本郷はぐいっと碇シンジを抱き、軽々と身体を反転させた。
もっとなじっていたいが、今は時間は限られている。
本郷は碇シンジを苛めながら次回への繋ぎを画策していた。
「へへ、可愛いケツだな」
ぴちぴちと肉の詰まった淫桃を、軽くはたく。
「それに、綺麗なもんだ。今日、鈴原の野郎とするつもりだったのか、ん?」
合わさった肉を割り、中心の窄まりを空気に晒す。
「ああ、やめてください。そんな所、見ないで…、んんぅ…」
抵抗しているつもりなのだろう。ヒップをふるふると振るその姿は
淫猥として、自分を誘っているように見える。
すぐにでも己のいきり立つ怒張を捻りこみたいが、
流石に無理だろう。トウジとはできているらしいが、碇シンジはまだ処女だ。
閉じられている小さな菊門から、それは察すられる。
ゆっくりと時間をかけて拡張をしなければ、挿入することなどできない。
まずは自分にひれ伏させる事が肝要だ。
本郷は、先ほど、絆創膏を取り出した際に、
一緒に持ってきた体温計を碇シンジの、お尻に窄まりに宛がった。
「ひっ、先生、何を…」
後ろを向いている碇シンジにとって、急に冷たい感触は恐怖だろう。
本郷は無言で、体温計を碇シンジの中に推し進める。
「うっ、くぅ…、あ、やぁぁ…」
初めての異物の混入に、嗚咽を吐きながら、
シーツをガリガリと掻き毟る。
冷たい無機物が徐々に窄まりへと埋まっていく。
ずずっと人差し指ぐらい入ったところで、本郷は声をかけた。
「どうだ、冷たくて気持ちいいだろ?」
「あ、ぅぅ、気持ちよくなんか…、な、ないよ」
「そうか、凄いな、シンジのお尻は一本じゃ満足しないのか…」
ポケットからもう一本、体温計を取り出して、
入り口をくすぐるように、なおかつ、
腸壁が傷つかぬようにゆっくりと挿入する。
「あくっ、うぅ…、ぐっ…。苦しいよ。ぬ、抜い…てぇ」
旧式で太めの体温計だから、二本入れてしまえば、
初めての碇シンジには限界だろう。
きゅうきゅうと体温計を締め付け、いかにも苦しそうだ。
いつかシンジの中に挿れることを思い描くと
想像しただけで異様に昂ぶってしまう。
「どうだ、これで満足したか? 気持ちイイだろ? くくく」
あまりの苦しさに、満足に喋れず、うんうんと数回頷く。
「ちゃんと口で応えろよ。うんうん頷くんじゃなくて、
『気持ちいいです』ってよ」
なじりながら、二本の体温計を、腸壁にわざと当てるように
更に推し進める。
「あぐぅぅ! き、気持ちいいです。だから、もう…、お願いします…、
抜いてぇっ、抜いてくださいぃ!」
「気持ちいいのに、なんで抜くんだよ、あぁ!?
そんなにいいなら、もう一回、ヌいてみろよ」
出したばかりで、射精には時間がかかると碇シンジ自身、思っていたが、
握っただけで、快感は一気に押し寄せてきた。
尻を弄られ、最も恥ずべき箇所を触られ、碇シンジは興奮していたのだ。
こうなってしまえば、最早、恥も外聞もなかった。本郷は喋っている内も、
体温計を深く捻りこんでいるのだ。その痛みから早く解放されたかった。
だが、恐ろしいことにそれだけではない。
腸壁に異物がくすぐられているうちに、
言いようの無い感覚が碇シンジの体内を駆け巡っていくのだ。
甚振られることで快感を感じてしまう自分が怖かった。
「イきそうな時は、ちゃんと教えろよ」
「は、はい」
自分のモノを扱きながら、碇シンジは返事をする。
返事をしたのも束の間、一瞬で、碇シンジは絶頂へと駆け上っていく。
「あぅ、出す。イキます、先生っ!」
「よーし、おら、出せ! 全部、出しちまえ!」
射精と同時に本郷は、串刺しにしている体温計を激しく弄りだす。
碇シンジの目の前はしぱしぱと、火花が散った。
目の前が真っ白になる。
今までに感じたことのない、快楽だった。
「あぁ…、っ!」
ビクンビクンと碇シンジは身体を痙攣させる。
何度も何度も、男性器は動かされ、射精が繰り返された。
小さな胸を上下して、熱い吐息も往復される。
「どうだ、良かったか?」
声が聴こえた。頭がぼんやりとして誰がしたかは認識できない。
しかし、誰がしたとも分からぬ質問に、碇シンジは一度だけ微かに頷いてしまった。
不器用な、手慣れぬ仕草で惣流=アスカ=ラングレーは
まな板の上に置いてある野菜を切っていた。
「もう、何だってアタシがこんなことしなくちゃならないのよ!」
観たい番組があったのに、とアスカは手に持った包丁で
ニンジンを一刀両断する。
同居人の碇シンジは随分と遅い帰宅だった。
帰ってくるなり、今日の夕食当番を代わって欲しいと頼まれた。
余りにも消沈した面持ちの碇シンジに、アスカは承諾してしまったが、
それでもやり切れない思いをブツブツと口にしながら、手を動かす。
何があんなに碇シンジを落ち込ませるのか。
普段から明るいとは言えない性格だが、今日は度を増して酷い。
だが、一応、心当たりはある。
今日の体育の授業で、碇シンジは体操服も着ずに、
下着姿で走っていたのだ。それも女性用の下着で。バカなヤツ、そう呟きながら、
アスカは心配そうに、碇シンジの部屋の方向に目を向けた。
大方、洗濯をして穿いていく下着がなかったのだろう。
その上、悪いことに体操服を忘れてしまって。
それにしても…、
あの体育教師は何を考えているのだろうか?
前時代的、古い、これだからセカンドインパクト世代は、と
アスカは本郷に対してどうしようもない腹立たしさを覚えた。
女性物の下着を必死に隠しながら走る姿は
全員が笑っていた。男子生徒も女子生徒も。
何をやっているんだ、碇シンジは、と。
思春期の少年少女らの嘲笑の的だった。
だが、アスカはその笑いの下に隠されていた意味をはっきりと見て取れていた。
全員が全員、健気に走る碇シンジの妖艶さに胸を高鳴らしていたのだ。
息を切らし、しっとりと汗を肌に伝わらせるその姿に。
事実、アスカもそうだった。誰も本郷に対して抗議をしなかったのは
碇シンジの艶姿を見ていたい心の底の願望を現しているにすぎなかった。
同年代の少年らしからぬあのいやらしさ。
隠す行為がいじらしさを演出していた。
誰も彼もが、何度も唾を飲み込んでいたことだろう。
アスカも碇シンジに惹き付けられてしまっていた。
それが何より悔しかった。
「あ~、もう!」
唯一、抗議らしきものを本郷にしたのが、鈴原トウジというのも気に入らない。
それは自分の役目のはずなのに。
同じエヴァパイロットなのだから、碇シンジを庇うことができるのは自分しかいない。
なのに女子生徒に囲まれて見ていることしかできない自分自身が歯痒くて仕方なかった。
アスカは周りの目が気になって、どうしても動けなかったのだ。
あっさりと碇シンジと夕食当番を代わったのは
彼に対しての贖罪意識がそうさせたのかもしれない。
アスカはふと様子が気になって、碇シンジの部屋へと向かう。
部屋から碇シンジのすすり泣く声が聴こえてきた。
やはりあの仕打ちは相当、恥ずかしかったのだろう。
声をかけるべきか。慰めるべきか、悩んでいると、
部屋内から碇シンジの携帯電話が鳴る音が、襖越し微かに耳に届いた。
碇シンジはベッドの上にうつ伏せになり、
シーツを顔に抱き、泣いている声が外に漏れださないようにしていた。
羞恥から、悔しさから、自然と瞳から涙を零してしまう。
そこにピピピと携帯電話の電子音が鳴り響き、
その音に碇シンジは肩を震わせた。
上身を起こし、ベッドの縁に座り込む。
袖で涙を拭った後、携帯電話を手に取り、通話ボタンを押す。
「よお、シンジ」
声を聞いて、碇シンジはくらくらと眩暈に似た感覚に囚われた。
電話の主は本郷だ。
「何のようですか…?」
極めて冷静に努めて、用件を問う。
強がりだと自分でも分かっている。
実際、全身が冷たくなるほど血の気が引いていた。
「つれないなぁ、俺の前でオナニーまでした癖に、
そんな態度を取るのか?」
その言葉で今度は血が逆流したように顔を赤くさせる。
カァっと頭に血が昇り、耳まで真っ赤にしていた。
「し、知らないよ、そんなこと!」
「くく、碇シンジくんは今、どんなパンツを穿いているのかな?
女物、それとも男物かな?」
慌てふためく碇シンジをまるで嘲笑うかのような本郷の声。
碇シンジは言葉を失い、俯いた。
「今から外に出れるか? 保健室の続きをしようぜ」
「やだ! なんで僕が、そんなことしなくちゃいけないんだよ!」
「嫌か? アナルに棒を挿れられて、嬉しそうに、ヒイヒイよがってたと思ってたのにな」
自分の痴態を指摘されてブルブルと携帯電話を持つ手が震える。
戦慄く唇をもう一方の手の平で押さえる。
これ以上、本郷とは関わりたくない。碇シンジは痛切に感じた。
キスをされて、お尻の穴を弄られ、絶頂を迎えさせられてしまったのだ。
あれは一時の気の迷いだ。おかしな興奮を覚えたのは
下着姿で走っている内に身体が少しだけ変になってしまったからだ。
頭の中でそう言い聞かせても、恥ずべき事実は変わらない。
あんな犬のような姿はこれ以上誰にも見せたくはなかった。
自分が自分でなくなるような、そんな恐れが碇シンジの心の底にあるのだ。
認めたくないのだ、そんな自分を。
本郷に対して、自分に対しての恐怖感から反射的に電話を切ろうとすると、
本郷は驚くべきことを口にした。
「今の世の中は便利だよな?
何せ、携帯で写真を撮れたりできるんだから」
その言葉を聞いて、ビクンと碇シンジは身体を揺らす。
撮られていたのだ。あの痴態を。
「あ、あぁぁ…、そんなぁ…」
「返して欲しいだろ? あんな姿を人に見られたら
恥ずかしくて、生きていけないよなァ?」
「か、返してよ!」
「『返して下さい』、だろ?」
グッと言葉を詰まらせる。
だが、ここで逆らうことはできない。
ここは従順にいうことを訊くべきなのだ。
保健室の一時で、碇シンジは本郷のサドスティックな性格を理解していた。
「返してください、本郷先生…。お、お願いします…」
唇を噛み締める。悔しくて仕方なかった。
自分を甚振った人間に媚を売ることなど屈辱以外の何物でもない。
「くくく、いいぜ。可愛い生徒に頼まれたら仕方ねぇ。
マンションの入り口の前で待ってるからな。
色っぽい格好をしてこいよ、同居人の惣流さんから制服でも借りてよ」
「な…!?」
反論する前にブッ、と電話が切れる。
碇シンジは、しばし茫然と携帯電話を見つめていた。
アスカから服を借りる?
冗談ではないことは本郷の性格から分かる。
ゴクリと唾を飲み込み、碇シンジはベッドから立ち上がった。
襖を開けた瞬間、アスカがいたので碇シンジは激しくうろたえてしまった。
「ア、アスカ!」
声を張り上げ、同居人の名を口にする。
「な、何よ、大声出して」
アスカもアスカで、張り合うように声を出す。
「何? 僕に用?」
「ち、違うわよ! いや、違くなくて…。
そう! もうすぐ夕飯ができるから呼びに来ただけよ」
「そうなんだ、ありがとう…」
「シンジ、アンタ顔色悪いわよ、大丈夫?」
「そ、そうかな?」
これからする行為に罪悪感を覚えているのだろう。
しばし、借りるだけだが、それでも許されることではない。
女の子の服を借りるなんてことは。
ましてやそれを男が着る気なのだ。
そんな男に大抵の女の子なら嫌悪を覚えるだろう。
碇シンジはアスカの顔を見られずに無意識に俯いてしまう。
「何よ! アタシの料理じゃ不満なの?」
「ううん、そういうわけじゃないんだ。楽しみにしてるよ。ホントだよ」
碇シンジは首を振って応える。
「ならいいけどさ…」
「う、うん」
ぎこちない空気のまま、会話は終わった。
碇シンジはアスカが台所で料理を作っている内に、
彼女の部屋へと忍び込んだ。
心の中では自分に対する嫌悪感で一杯だ。
ハンガーにかかっている制服を手に取り、自分の部屋へと戻った。
慌てて服を脱ぎ、ブラウスに袖を通す。
ふわりと女の子の甘い匂いが碇シンジの鼻腔を掠める。いい匂いだった。
こんな芳しい香りを放つ美少女の制服を自分が着ていいものだろうか?
僕みたいに男が…。ゴクリと唾を飲み込む。
倒錯した感情が碇シンジの劣情を促進させるのか。
制服を着ただけで、まだ剥け切らぬ小さな男性器はむくむくと大きくなってしまう。
これでは女装癖のある変態ではないか。
まさか、期待しているのだろうか?
本郷の手によって、またアナルの悦楽を味わうことに。
いや、そんな筈はない。僕は写真のデータを返して欲しいだけだ。
自分にそう言い聞かせて、碇シンジはアスカに気付かれないように
念のため自分の服を持って玄関から外に出た。
顔を隠して、下の階下へと向かう。
エレベーターで誰かと鉢合わせになるかもしれないので、階段を使う。
それにしても、と碇シンジは思った。
女の子の制服とはどうしてこんなに無防備なのだろう。
足元から風が忍び込みスースーとする。
女物で走る姿も恥ずかしかったが、
女子の制服で歩くことはまた違った意味で恥ずかしかった。
この姿が万が一知り合いに見られぬよう、
神経を遣いながら階段を下りる。
マンションの入り口から少し離れた場所に黒いジープが止まっていた。
この辺では見かけぬ車でエンジンがかかったままだ。
窓にはスモークガラスが張られている。
まさか、と思いつつ、碇シンジは車に近づいていった。
窓が開く。車内には思った通り本郷がいた。
上から下まで舐めるように視線を這わせる。
まるで視姦されているような感覚。
ぞくぞくと背筋に悪寒が走ってしまう。
きっと保健室の時よりも、もっと酷い事をされるんだ、とシンジは感じた。
「いい格好だな、シンジ。すげぇ可愛いよ。
どうやって借りてきたんだ?
女の子の格好が好きだから貸して、って頼んだのか?」
「・・・・・・」
何も言わない碇シンジに肩を竦めて、助手席に乗るように首で促した。
助手席に回り、ジープに乗り込む。
無言のまま碇シンジは本郷に眼差しを向けた。
逆らえぬ碇シンジのせめてもの抵抗だった。
膨らむ男性器を隠しながら、ジッと本郷を見据える。
これは意思とは無関係な生理的な物だと、自分に言い訳をしながら。
本郷は運転席に座り、落ち着かない面持ちで碇シンジを待っていた。
ちゃんと自分のいいつけを守るのか?
もしも、誰かに自分との関係をばらされたら、
本郷の教師生命、いや人生は全てご破算となる。
このジープにやって来るのは、碇シンジではなく警察かもしれないのだ。
本日、何本目のタバコだろうか?
ボックスから一本取り出し、火を着けようとした時、
マンションの入り口から、一人の少女が出てきた。
本郷が少女と判断できたのは、彼女が身に付けている服装だ。
第壱中の女子の制服で、入り口から照り出される光で、
淡い青色の制服が容易に見て取れた。
本郷はゴクッと唾を飲み込む。
顔はよく見えないが黒髪のショートカットという事だけは分かる。
腕に何か抱えている。服だろうか?
少女がジープに近づいてくる。最も緊張する一瞬だ。
だんだんと顔の輪郭がはっきりとしてくる。
やはり、少女は碇シンジだった…。
思わず溜め息を吐きたくなる。
快哉を上げて、喜ぶべきだろう。
碇シンジは自分の命令通り、女子の制服を身に纏って、
ここにやって来たのだから。
ジープから少し離れた位置から、こちらの様子を伺っている。
無論、彼はこの黒いジープが本郷の物だということを知らない。
不安そうな表情でジープをちらちらと見ていた。
小動物を思わせるその仕草が堪らない。
そんな碇シンジを見ていると、どうしても苛めたくなってくる。
碇シンジにとって自分は絶対的な強者なのだ。
最早、ちょっとやそっとのことで自分を警察に突き出すという
考えは持たないだろう。その隙に碇シンジをオトすべきだ。
これからするこ行為を思い、本郷は胸を高鳴らせた。
「いい格好だな、シンジ。すげぇ可愛いよ。
どうやって借りてきたんだ?
女の子の格好が好きだから貸して、って頼んだのか?」
窓を開けて、開口一番、碇シンジにそう告げる。
だが、何も言い返してこない。
少しばかり肩透かしを喰う。
だが、キッと自分を見据える碇シンジを見て、
本郷は女装少年の考えをすぐに理解した。
これはせめてもの抵抗なのだ。
無言で、何も言わないことで、反抗の意志を本郷に示しているのだ。
彼は、碇シンジは怒っている。それも相当。
惣流アスカラングレーの制服を着せたことで、
間接的にも自分の同居人を巻き込んでいることに対して。
本郷はそんな彼の考えを見抜き、ほくそ笑む。
その態度がいつまで持つのか見物である、と
本郷は顎で助手席に乗るように、促した。
碇シンジは従順にそれに従い、助手席に乗り込んできた。
助手席に座っても彼は何も口にしなかった。
ただ、その円らな瞳を本郷に向けているだけだった。
本郷は改めて、碇シンジの女装姿を観察する。
間近で見ても印象が変わることはない。
女子の制服は彼にピタリとフィットしていて、何ら違和感を覚えない。
全く男にしておくのは勿体無いほどの愛くるしさだ。
いや、男だからこそか、と本郷は苦笑する。
いじらしくスカートをきゅっと握っているのも、堪らない。
その裾から伸びる柔らかそうな太もも。
そして、綺麗な脚線美。思わず、そこにいきり勃った肉棒を
擦りつけたくなる。だが、それはまだ早い。
もう少し、碇シンジの身体に教え込ませてからでも遅くはないだろう。
本格的に肉体に覚えこませる前に、碇シンジにさせたいことがあった。
まずは昼間の続きだ。途中で体育の時間が終わってしまって、
本郷はあの時から一滴たりともスペルマを放出していないのだ。
ギンギンに屹立するイチモツは苦しそうにスラックスの下で呻き声を上げている。
碇シンジのすべすべの手の平で一度、精を出したかった。
いや、それだけでは飽き足らない。口に含ませてやろう。
「ほら、シンジ、ボーっとしてないで、俺のを扱けよ。
渡して欲しいんだろ? 犬みたいな格好でよがっているお前のデータを」
再び、碇シンジは本郷を睨み付ける。
悔しくて、口惜しくて仕方ないのだろう。
だが、その生意気そうな目もまた本郷の嗜虐心を昂ぶらせるだけだった。
構わないのだ。アドバンテージが本郷自身が握っている内は。どんな目で見られようが。
それに、どうせそれぐらいの抵抗しか碇シンジにはできないのだ。
そして、それすらも出来なくなるように仕向ける。
その過程が本郷にとって最大の愉悦なのかもしれない。
碇シンジは小さな上体を丸め、やはり無言のままスラックスのファスナーに指をかけた。
本郷は碇シンジの横顔を見ながら、自分の男根を扱く様を見届けることにした。
保健室の一件から、未だ精を放出していない本郷のイチモツは
異様な興奮の中、碇シンジを狙うように凶暴に反り勃っていた。
ついに碇シンジは、スラックスから本郷のモノを取り出す。
瞬間、可愛らしい唇から「うっ!」と驚きの声をあげる。
無理もない。ここまで蒸れている他人の性器など触ったこともないのだろう。
本郷の男根は牡の臭気を発し、先端からは我慢汁が滲み出している。
そして、碇シンジを催促するようにグロテスクにピクピクと脈動を繰り返していた。
「おら、どうした? 知らないモノでもないだろ。
早く、シンジの手で優しく扱いてくれよ」
グイッと腰を動かし、碇シンジの清らかな白い手の平に、汚汁を塗りつける。
滑め付く不快感に碇シンジは思わず、手を引っ込める。
「おいおい、焦らすなよ。ったく、流石だな。
男心をわかってやがる」
言いながら、少年の尻の辺りをさすってやると、「ひっ」と声を上げた。
スカート越しでも極上の肉の感触だ。
ギリギリまで極められたような、繊細な肉付きに本郷は震える思いだった。
臀部とシートの間に挟まれている、スカートの裾を捲くってみる。
「や、やめてよ!」
ここで、碇シンジはやっと声らしい声を出し、腰を振る。
塞がっていない下半身で本郷の手を撥ねつけ、拒絶の意志を見せた。
だが、本人にはそんなことを少しも思っていないだろうが、
たっぷりと柔肉の詰まった二つの房をグラインドさせる仕草は、まるで男を誘う猥らな売春婦さながらだ。
それを眺めているだけで、危うく硬い勃起物は発射しそうになってしまう。
「うるせぇよ! やめて欲しいなら、早く扱け!」
パンッ、と思い切り柔らかな尻を叩く。
叩いた感触も素晴らしい。
本郷は我慢できず、肉房を直に触れたくなる。
スカートを捲り、中の下着に指先を這わしてみた。
女性のショーツを穿いているのではないかと、はんば期待はしていたが、
碇シンジの穿いている物は男物のブリーフだった。
まあ仕方ない。女子制服の下にまでは条件をつけていなかったのだ。
それに逆に言ってしまえば、そのアンバランス差がそそられる。
本郷は迷いもなく、ブリーフをずり下げ、太腿で止める。
すると、触られることを察して、無意識に碇シンジのヒップの肉はきゅっと締まりだす。
本郷はこの瞬間が好きだった。つい反応してしまう、肉の動きが。
「へへへ、そんなに尻を触られるのが好きなのか?」
「ち、ちが…」
違うということも本郷は分かっている。
本郷はシンジの言葉を無視して、先ほど、叩いて桃色に充血している臀部をさする。
実に美味そうな尻だ。白い肌が色っぽく桃色に染まっている。
「違わないさ、今から自覚させてやるよ。お前は尻を弄られて興奮する犬ってことをな」
本郷はダッシュボードに手を伸ばし、中からチューブを取り出す。
塗り薬を入れる形状で、ちょうど歯磨き粉に似ている。
無論、中身はそんな物ではない。表面には何も書かれていない、無印だ。
これを手に入れるのに大金を取られた本郷だった。
行き着けのバーで、知り合った怪しい人物。
カタコトの日本語を話す、おかしな外国人だ。
だが、おかしなことでそいつが売る商品は、その店の常連に絶大な信用を得ていた。
本郷の買ってきたチューブもその商品の内の一つだ。
「な、何ですか、それ?」
「なんでもねーよ。尻の穴を滑りやすくするローションのようなモンだ」
碇シンジは手を休めている。本郷の持つ物が気になっているらしい。
本来なら無断で奉仕を中断した碇シンジを叱る所だが、
射精しそうだった本郷には逆に都合が良かった。
本郷はチューブのキャップを開けて、中から薬剤を捻り出す。
白色のゼリーのような物が入り口から這い出てきた。
(こんな物が本当に効くのかよ?)
媚薬と銘打った代物もほとんどはブラシーポ効果だと訊く。
本郷が大金を叩いて買ったのは最高級の媚薬だった。
少量、水に溶かして使えるし、肌に、特に陰部に塗っても効くと、
怪しい外国人は嬉しそうに言っていた。
今は怪しんでいる時じゃない。あの外国人を。
外国人を信用する人々を信頼して、本郷はゼリーを指に付け、
碇シンジのお尻の割れ目に塗りつけた。
ぬるぬるとした感触に碇シンジの身体は僅かに仰け反った。
不快感より、くすぐったさの方が大きいのだろう。
「くぅ…」と言いながら、肩を小刻みに震わせている。
ぐいっと肉の割れ目を指で開いて、小さな窄まりの側にも塗りたくる。
「ひぅっ…、んんぅ…」
大袈裟に身体を揺らした。大方、保健室で異物を突っ込んだことでも思い出したのだろう。
「ん? どうした、そんなに気持ちいいか?」
「き、気持ち良くなんか…、ん……、ないよ…」
「そうだよな、これから気持ち良くなるんだからな」
本郷はそう言うと、後部座席から黒い棒を手に取った。
妖しい光沢を放つそれを見た瞬間、何を意味するのか、碇シンジはすぐに悟った。
「む、無理だよ、そんなのっ!」
慌てて、顔を上げて、かぶりを振るう。
本郷は、ぐっと碇シンジの頭を押さえつけ、
手に持つ、棒を碇シンジの尻に宛がった。
「安心しろよ、これは一番細い奴だからよ。
それに保健室じゃ二本も入ったじゃねーか、シンジなら、こんなの簡単だ」
だが、本郷の持つアナル拡張器は体温計よりも明らかに太い。
黒く艶光りする、フォルムも碇シンジの恐怖を煽る一因だった。
「やだよ、先生、お願いだから、それだけは──、ひぅっ…!」
最後まで聞かず、本郷は先端をほんの数センチばかり押し込んだ。
それだけで碇シンジは小さく呻き、額にどっと脂汗をかいた。
だが、潤滑剤の役目も果たすゼリー状の媚薬のおかげで、
ぬるりと先っぽは簡単に入ってしまう。
「くく、全く、エロイケツだなぁ。本当に入っちまったよ。
これだけ簡単に入るなら、もっと押し込んでも平気だろ。そら!」
「うぅ…、ぐぅ、やめ、やめて…下さ…。それ以上は、あ、あぁぁ…」
本郷は、アナル棒をずずずっと、一気に押し込もうとする。
あまりの圧迫感に声すらも出ない様子で、
碇シンジは唇を結び、痛さを、恐怖を耐えている。
歯の根が合わなくなりカチカチと歯を鳴らす。
肉体の自然な反応で、時折、締め付けてアナル棒の行く手を括約筋が
阻むが、潤滑剤のおかげで難なく奥まで押し込むことができた。
「あぅ…。ん、ん。ぐぅ…」
「おら、どうした? 気持ち良過ぎて、喋れねーか?」
碇シンジは今、握っているのが憎むべき本郷の脚であることも忘れ、
縋りつくように、纏わり付いている。
瞳からぽろぽろと涙まで流し、悶絶していた。
人間とは不思議なものだ。肛門に異物を挿入されただけで
睨む気力も、抵抗する気概も奪ってしまうのだ。
「ぬ、抜いてぇ…、抜いて、お願いだ、からぁぁ…」
首を左右に振るい、顔を本郷の脚に擦り付ける。
すぐ側に本郷の硬くそそり勃つ肉棒があることもあまりの痛みで気付いていない。
恥も外聞もなく泣きじゃくるシンジを見て、本郷はブルブルと奮え立たせる。
今まで生きてきた中で、こんなにも嗜虐心を掻き立てる人間がいただろうか?
本郷は興奮を隠しきれず、目を爛々と輝かせ、
シンジの臀部を叱責する気持ちで思い切り叩いた。
「あぅっ! うぐぅっ!」
「何、言ってやがるんだ。今、挿れたばかりだろ?
そうだな。後、10分は我慢しろ」
叩かれたことで、シンジの肉は反応してますます締まる。
アナル棒がきりきりと腸内を痛めつけ、シンジに嗚咽を吐かせる。
苦悶の表情を浮かべるシンジを見ながらにやにやと笑う本郷。
だが、そんな教師とは逆にシンジは必死だった。
10分と聞いて、それが一生到達できない未来に思えていた。
「じゅっ、10分? ムリ、できないよぉ…、抜いて、あぐぅ…」
泣き声を出している間に、
碇シンジの肛門からじんじんと熱い疼きが広がり始めた。
確かに挿入されている棒は激痛を呼んでいる。
だが、別の感覚も紛れもなく碇シンジに与えていた。
不可解な感覚を碇シンジは媚薬効果とは気付かない。
「どうしても、抜いて欲しいなら、俺のチンポを口で咥えろよ。
ケツマンコが気持ちイイから抜きたくないってんなら、別だけどな、クク」
困惑している碇シンジの耳に、天からの声のように本郷の声が上から聴こえてきた。
このままではおかしくなる。自分が分からなくなりそうだった。
お尻の穴を弄られてよがる自身に、なってしまうのではないかと。
怖かった。どす黒い快感に飲み込まれるのでは、と。
碇シンジはとっさに陵辱者のペニスの先端に唇を触れさせていた。
早く済ませたい。終わらせたい。
その一心で最も許しがたい男のペニスを口に含む。
苦く、口に広がる気持ちの悪い味。
おまけにむせ返りそうな臭いで、シンジは吐き出しそうになる。
「おぅ、そうだ。抜いて欲しいなら、上手くしゃぶれよ」
「ふぁい…」
シンジは咥えながらも返事をする。
初めてフェラチオをするのだろう。
舌も使わず、ただ口に含んでいるだけだ。
見よう見まねで顔を動かしで、口腔の粘膜に亀頭を擦り付けているだけだ。
時折、舌が当たるが、当然ながら、全くの初心だった。
だが、今はそのぎこちない技巧が本郷には堪らない。
あの碇シンジが。エヴァパイロットの少年が自分の命令でペニスを
咥えているのだ。そのことに感動して、
異様に快感が昂ぶってしまっている。
「おお、すげぇぞ。もう出そうだ。
いいか、飲めよ。抜いて欲しいなら俺のを飲むんだ」
シンジは咥えながら首を横に振る。
無理だと言っているのだ。
だが、そんなことを本郷が許すわけはない。
がしっと頭を押さえ、快楽の赴くまま、腰を揺すり始める。
「んんぅ…、ンぅ…、ぐ、ぅぅ…」
口端から唾液が零れる。
眉間に深い縦じわを刻ませて、苦しそうに呻く。
「おら、出すぞ!」
本郷の腰は一際大きくうねった。今から出すという合図だ。
シンジの口に中で、本郷の肉が暴れまわる。
奮え、欲望のままに射精し始めた。白い弾丸がシンジの喉を汚す。
「んー、うっ、んん…」
シンジは円らな瞳を見開いて、襲い掛かってくるスペルマを耐える。
口中に出される驚きと恐怖、苦しさで、何も考えられなかった。
またもや、きゅっと一度だけアナルが締まる。
そこで、嵌っているアナル棒をぐっと引き締めた。
それだけだった。たった、それだけでシンジは
射精せずに僅かに達してしまった。ビクビクと身体を痙攣させる。
イッたことも本人は気付かず、シンジは自分の異変に恐怖した。
黒い欲望に飲み込まれていく気がした。
言葉では形容できない程、ヌルヌルとした不気味な物が
シンジの細い足首に纏わりついていく。
(なんだコレ…? なんだコレ…っ? なんだコレ…っ!?)
シンジは纏わり付く物を取り払おうと、足首に手を回したが、
不気味な物は大きく膨張して、しゅるしゅると巻きつき始めた。
この物体が何処から来るのかシンジには分からなかった。
自分のいる場所も定かではないのだ。
ただ深い暗闇の中に座っていることだけは分かる。
立とうとしても、地面は泥濘のようにその存在は不正確で、
二本の脚を自由に動かすこともできない。
満足に身体を動かせなかったが、
それでも気持ちの悪い感触を少しでも取り除こうと、
足首に絡み付く物体を外そうとした。
「ひっ!」
手で触れてみて初めて分かった。不気味な物体は、
まるで軟体生物の脚のように、足首に執拗に絡まっていた。
「わぁっ! 何だよコレ!? 嫌だよ、外れてよ!」
脚に絡み付く物体の正体が分かって改めてシンジは恐怖した。
慌てて、両手で触手を外そうとしたが、
時は遅く、軟らかい物体は、シンジの学生ズボンの中に入り、
どんどんと上の方に昇って来るではないか。
ぬるつく感触にシンジは全身粟立つ。
今まで経験したことのないような感覚だ。
触手はゆっくりだが、シンジの肌に纏わり付き、
ふくろはぎ、太腿を這うように上がってくる。
「うぅ…っ」
あまりの気持ちの悪い感触に慄きながらも
必死に触手を掴み、取り払おうとする。
しかし、触れると返って触手は反応するように、
昇るスピードは速まっていく。
いや、それだけではない。暗闇から新たな触手が何本も来襲してくる。
シンジの柔らかな肉体を狙うかのごとく、
無数の触手は少年の腕までも纏わり付いて、そのまま昇り始めた。
「うわぁーっ! だ、誰か…、ヤダ! 誰か、助けて!」
悲痛な面持ちで叫ぶシンジ。
だが、声は呆気なく暗闇に掻き消され、何処へと飛んでいってしまった。
孤独の恐怖に打ち震えている暇はシンジにはなかった。
その間も休まず、触手はシンジの身体を這い昇ってくるのだ。
既に腕は浸食され満足に動かせない。
下半身も同様だった。脚に纏わりつく二本の触手は完全にシンジの
自由を封じていた。
四肢をバタバタと振ろうとしたが、もう満足に動けなかった。
触手は動けぬシンジを甚振るように、大事な性器の周りを動いている。
感触のおぞましさにシンジは震えた。
「あっ…。うくっ…」
脚の付け根。シンジの穿いているブリーフの裾から触手が侵入してきた。
シンジは思わず泣きそうになる。
不気味な触感からではない。ぬるぬるとした触手の感触が
敏感な少年の性感帯を刺激してしまい、不覚にも勃起をしていたからだ。
剥け切らぬ包皮を細い触手の先端が螺旋状に昇っていく。
「あっ…、かっ…」
ビクンと一度、シンジは身体を痙攣させる。
経験のしたことのない感触。いや、快楽に近かった。
汚れの知らないシンジのペニスの先っぽのピンク色を愛でるように、
触手はつつく。
「こんなのヤダよ! や、やめッ…、お願いだか、ら…」
シンジは触手に哀願するように切ない声で叫んだ。
言葉が通じぬ生き物であることは、その形容から分かる。
だが、言わぬわけにはいかなかった。
綺麗な包皮を被った綺麗なピンク色のペニスを突かれるたびに
背中に電流のような痺れが走り、徐々にシンジの性感を狂わしていくのだ。
「あ! いや、だ…よぅっ」
触手の動きは激しくなり、一本だったペニスで遊ぶ触手は三本に増え、
シンジの射精を導くようにくねくねと纏わり付く。
シンジは唇を噛み締め、ぐっと堪える。
最早、油断をすると、危うく射精をしそうな勢いだった。
そこで、前だけに神経を集中していたシンジは、
もう一本、触手が脚を昇ってくるのに気付いた。
その蛸の脚のような物は、シンジのブリーフの後ろ側を
探るように動いていた。
まさか、とシンジは思った。
一際太い触手は臀部の周りを執拗に這っている。
再び、助けを呼ぶため叫びそうになった。
だが、次の瞬間、シンジは声すら出なくなるほどの恐怖に襲われた。
「くっ、んんっ…!!」
目がしぱしぱとする。額に玉の汗をどっとかいた。
不自由な身体も構わず、全身の筋肉を使ってシンジは仰け反った。
太い触手はシンジのヒップの縦割りに入り込み、
小さな窄まりへと侵入してきたのだ。
触手にはまるで遠慮という言葉はなかった。
そこが目指していた箇所だと言わんばかりに、
シンジの熱い腸内を駆け上っていく。
腸壁にぬるぬるとした感触を感じ、
シンジは例え無理だと分かっていても、
触手を取り出そうと、お尻を力の限り振ろうとした。
「う、わぁぁ…、ンぅ…」
だが、うまく動けない。
激しく動くと逆に触手は深く入っていく気がする。
その間も、可愛く膨張したペニスに纏わり付く触手は休もうとしなかった。
それが余計にシンジの理性を取っ払ってしまう。
(へ、変だよ、僕…)
こんなことは気持ちの良いはずがない。
身体の自由を奪われ、汚らわしい排泄管を不気味な物体に弄られ、
挙句の果てに男の子にとって大事な性器をもてあそばれているというのに、
シンジはどうしようもない快楽を感じてしまっていた。
「んんぁ……!」
そんなシンジを嘲笑うかのように、窄まりに入っていた触手は
ズボズボと抜き差しを繰り返し始めた。
「あ、ダメぇ…、ううぁ…」
ある程度、奥まで入ると、今度は勢い良く出て行く。
腸壁を擦られ、菊型の入り口を広げられ、
その度にシンジは小さな肩を小刻みに痙攣させる。
「出ちゃう…、あぅ…、も、う…」
もう我慢の限界だった。
射精の臨界点はとうに過ぎ去っている。
それを押し留めていたのはシンジのプライドだった。
人外の物に、訳の判らぬまま絶頂を促されるなど、
どうしようもない程の恥辱だ。
だが、最早、恥も外聞もなかった。射精欲はシンジの意志では
抗え切れないぐらい高まってしまっている。
「あ、ぁぁぁ…っ!」と女のような声を唇から発して、
シンジはビクンビクンと大きく身体を揺らす。
腸内で蠢く、ぬる付くような感触を感じながら、
欲望のままにそのペニスを卑猥に脈動させ
白いミルクのようなスペルマを放出してしまった。
「うわぁっ!」
碇シンジはベッドから跳ね起き、
その昏々とした眠りから目を覚まさせた。
身体からは大量の汗をかき、
着ている寝巻きをびっしょりと濡らしていた。
ハアハアと荒い呼吸を交えて、シンジは辺りを伺う。
ベッド、机、ノートパソコン、チェロケース。
「僕の部屋だ……」
夢か、とシンジは心から安堵する。
なんていう悪夢を観るのだろう。
昨日の本郷教諭と交わした屈辱の行為の所為だ。
シンジは身体にかけている布団をぎゅっと握り、
思い出して、唇をわなわなと震えさせた。。
ここが自分の部屋であることが分かって安心する反面、
昨夜の陵辱者の欲望の白濁液の感触が、
未だに口の中にこびり付いているような気がして、
悪夢で流した汗で濡れる身体の不快さに相乗をして一層、鬱蒼な気分となった。
いくら口を漱いでも離れることのない、汚されたという証。
昨夜は最悪だった。念のため、自分の服を持ってきたため
アスカに制服を借りたことは、ばれる事はなかった。
本郷教諭との、饗宴でかかされた汗の匂いが悟られぬよう
ブラウスだけは新しい物と取り替えたが、それ以外は
昨日のままだ。リボンもスカートも、何もかも。
何時、アスカに制服を借りたことがばれるのではないないかと、
シンジは気が気ではなかった。
昨夜はベッドの上で、アスカが部屋にやって来るのではないかと不安で一杯だった。
きっと知られたならば、「変態だ」「最低だ」と罵られることだろう。
緊張をして、中々、寝付けなかったが、
昨日の出来事が相当、シンジの体力、精神共々、奪っていたのだろう。
いつの間にか疲弊した身体を休めるように、深い眠りについていたようだ。
シンジは机の上に置いてあった時計を見遣る。
毎朝、自分が起きる時間だ。疲れていても、体内時計は正確に覚えているらしかった。
気だるい上体を起こし、軽く深呼吸をする。
朝食を、昼食のお弁当を作らねばならない。
気分は最低であったが、日課をここで変えるわけにもいかない。
アスカも、ミサトも鋭いのだ。
二日続けて、おかしな態度を取れば、きっと怪しむだろう。
気付かれるわけにはいかなかった。
このことは自分で解決しなければならない。
アスカにも、ミサトにも、そして、父にも迷惑をかけたくなかった。
知られれば、きっと悲しむだろう。失望されるだろう。
彼らだけではない。
トウジにも、ケンスケにも、綾波にも、委員長にも、
奇異な目で見られることは確実だった。
知り合いの冷たい目、蔑む視線を想像して、
シンジはブルッと体を震わせ、首を振るった。
それだけは嫌だった。人に拒絶されることが碇シンジにとって
最も忌むべき事柄なのだ。
円らな瞳から、熱い滴が零れ落ちそうになる。
何度、流しても枯れることはあるまい。
だが、シンジは唇を噛み締め、涙をグッと堪えた。
ここで泣いても、本郷教諭が喜ぶだけだ。
「泣くなよ…、泣いてどうなるっていうんだよ」
ベッドの端に腰を落ち着け、袖で涙目になっている瞳を拭った。
例え、本郷が見ていなくとも、泣くわけにはいかない。
悲しみの涙は自分の心を折るだけだ。
こんな時だからこそ、自分をしっかり保たなくてはいけない。
立とうとした時、ぬるりとした感触がシンジの下半身に感じられた。
しかも、その感触はブリーフの中だ。
慌てて、寝巻きのズボンを捲ってみた。
内部を見た瞬間、くらりと眩暈がした。
同時に途方も無い恥ずかしさに包まれ、
顔を完熟トマトのように赤らめて、急いで洗面所に向かった。
まだ誰も起きていないのが幸いだった。
シンジは自分の汗と精子が混ざり合い
異様な匂いを放つ汚れたブリーフを洗いながら、
もう一度、シャツの袖で目元を拭った。
はしたない夢は自分の願望なのだろうか。
本当は自分が望んでいるのだろうか?
「誰か、……教えてよ」
洗面台に手を突き項垂れるシンジとは対照的に、
彼の部屋では、携帯電話がバイブ機能で、
音を立てながら机の上で震えていた。
電話の向こう側で、本郷教諭は碇シンジが電話に出るのを
いまかいまかと楽しみに待ち構えていた。
今朝はどんな声を聞かせてくれるんだ、シンジ? 、と笑いながら。
替えの下着を穿くため、一旦、部屋に戻ると、
携帯電話が己の存在を誇示するように震えているのに気付いた。
それを見た瞬間、シンジの中には嫌な予感が走った。
ゴクリと白い喉を鳴らし、まるで、未知なる物体に接するかのように、
携帯電話に近づく。待ち受けで相手を確認すると、
下着を身に付けるのも忘れて、寝巻きの下はノーパンのまま、
その場に膝から崩れ落ちてしまった。
「なんで・・・、アイツ・・・」
シンジの予感は的中していた。
憎々しげに、そう呟くシンジだが、
携帯電話を持つ手は震え始めている。
最初は携帯のバイブ機能が自分に伝播しているだけだと
思っていたが、それは違っていた。
少年の肉体が、性の花芯が、昨日受けた仕打ちを覚えているのだ。
味わえば自制が利かなくなるほどの強烈な媚薬を施されたとは知らず、
恐怖と快楽の織り交ざられた、シンジ自身も理解できぬ不可解な震えが、
彼を無意識に竦みあがらせてしまっていた。
「バカ、しっかりしろよ。こんな態度じゃ、アイツに勝てないよ・・・」
一度でも信頼してしまった教師なだけに、
シンジの心中は裏切られたという気持ちが大きい。
そんな奴に弱みを見せることも、屈する姿も見せたくはなかった。
シンジは震える手を抑え、恐怖を打ち消すようにぎゅっと電話を強く握り、
通話ボタンを押す。
「何の用ですか?」
開口一番、シンジは本郷にそう切り出した。
最初に強く出て、ペースを取ろうという胎だ。
だが、そんな物は子供の浅知恵。あっさりと本郷教諭に看破される。
「今日、朝一番に体育準備室に来い」
本郷は端的に用件を伝えると、すぐさま電話を切った。
言葉を挟む隙も、反論する猶予も与えてはくれなかった。
一瞬、シンジは呆然としてしまう。ネチネチと言葉で責められると思っていた
シンジは肩透かしを喰う格好となってしまった。
間違って切ったのではないかと、考えてもみたが、電話はそれきりかかってこなかった。
かけ直そうとしたが、本郷の携帯の電源は切られていた。
ここで、本郷教諭の命令に背けることができたならば、どんなに良いか。
しかし、弱味を握られているシンジには、
拒否権など、もとより持ち合わせてはいないのだ。
悔しさのあまり、唇をぎゅっと噛み締め、
その小さな肩を小刻みに震わせることとなった。
本郷教諭に会う前にシンジはその魅惑的な身体を清めるため、
シャワーを浴びることにした。着ている物を脱ぎ、バスルームに入る。
シャワーのノズルから飛散する細かな水の粒が
シンジのきめ細かい肌に届くと、瑞々しく弾く。
昨夜も、本郷に嬲られた後、
帰宅してから何度も何度も肉体を洗い清めたが、
それでも足りはしなかった。本郷の掌の感触。
ぬるりとした気味の悪い舌の感じ。生温かい年上の男の息。
それらはシンジの肉体を浸食するように、
こびり付いてしまい離れる事はなかった。
今日も、またあの陵辱を受けると思うと恐怖で身体が竦み上がる。
シンジは自分の肩を抱き、落ち着こうとしたが、ぶるっと身体を戦慄いてしまう。
「なんで…、なんで…」
本郷のために身体を洗っているようで、嫌な気分になる。
それでも、汗ばみ汚れた肉体を本郷教諭の前に差し出すことは嫌だった。
本郷のあの恐ろしい顔が頭に浮かび、
シンジはその想像を払拭するようにボディソープで、手早く全身を洗う。
そして、少し考えた後、頬を赤く染め、
誰もいるはずがないのにキョロキョロと辺りを警戒してから、
自分の臀部に手を遣り、肉の割れ目に指を差し込み、
その小さな窄まりを洗い始めた。
ここもきっと弄られるだろう。ならば綺麗に洗浄しなければ。
不浄の排泄器官を弄られることはシンジにとって何よりの恥辱なのだ。
「んんぅ…」
付着したボディソープが潤滑剤として働いたためか、
シンジの排泄器官はあっさりと指を受け入れた。
ぬるりと人差し指が入った瞬間、
シンジは華奢な身体を反らし、天井を仰いだ。
「あぅッ…」
鮮烈な電気がシンジの脊髄を駆け上る。
昨夜も感じた黒い炎がシンジの身体をプスプスと燻る。
それは背徳の誘惑であった。
無論シンジには、こんな所に指を入れた経験など一度もない。
なのに自分の指で感じてしまうのだ。
本郷教諭の手によって一日で淫らな肉体になったのかと思い、
シンジは怖くなり、すぐさま指を引き抜いた。
ぬちゃっとボディソープの泡の音がいやらしく響く。
はあはあ、と息を少しばかり切らしながら、
今しがた感じた快美な背徳感を、首を振るい拒否した。
「…違うよ。こんなの僕じゃないよ……」
偽りだと、自分に言い訳をする。
しかし、そのか細い声は、シャワーの音により掻き消されてしまった。
シャワーを浴び終えると、シンジは急いで学校へと向かった。
だが、体育準備室の扉の前で、シンジは身体を強張らせた。
ノックをしようにも金縛りにあったように身動きができなかった。
この部屋の中に本郷教諭がいると思うと、怖くて身体が動かないのだ。
だけど、ぐずぐずはしていられない。
一分、一秒、遅れるごとに本郷教諭の機嫌は損なわれていくのだ。
本郷の機嫌。それは、この後の自分自身への甚振りの加減にも比例するであろう。
シンジは意を決して、体躯準備室のドアをノックして、
中に入っていった。
「よお、遅かったな、シンジ」
入るやいなや、本郷は脚を大きく広げながら椅子に座り、シンジに軽く手を振った。
体育準備室に入室するのはシンジは初めてだった。
というより、誰もここには近寄らない。
本郷という、生徒から畏怖される存在がいるからだ。
体育準備室は思っていたより、清潔だった。
教師の机が四個ほどあり、部屋の奥には茶色のソファーがある。
独特のカビ臭さがあるものの、それでも想像していたのとは違っていた。
「何、ボーっとしてんだよ、こっち来いよ」
本郷教諭はにやけながら、シンジを手招きする。
シンジはゆっくりと椅子に座る陵辱者に近づく。
自分自身を勇気づけながら。一歩一歩、床を踏みしめるように。
『体育準備室に来い』
用件を端的に伝えただけの本郷だったが、
昨夜のように不安な気持ちを抱くことは、一切なかった。
シンジは必ず、ここにやって来るであろう確信があった。
あんなにも感じやすく、甚振られて悦びの声を上げる人間に
出会ったのは本郷は初めてだった。
おまけに溜息がでるような美貌を携え、
華奢な身体を持ち、それでいて、肝心の所はいやらしいぐらい
むっちりと肉が詰まっている。
シンジのような極上の素材に会うのは、これより先ないだろう。
本郷は椅子に座る自分に近づいて来るシンジを見ながら、
俺はなんて幸運なんだ、と嗤いを隠し切れなかった。
自分とは数歩、離れた所でシンジは立ち止まる。
これが、今の本郷とシンジにとっての距離なのだろう。
(まあ、いいさ。今に自分から近づきたくさせてやるよ)
本郷は脚を組み、じっと目の前の美少年を見据える。
壱中の生徒を震え上がらせる鋭い眼光だ。
その眼光に一瞬、目を逸らしたシンジだったが、
すぐに本郷の方へと向き直り、
本郷に負けまいと、必死に視線を返す。
(おー、おー、怖い、怖い)
本郷は心の中でおどけながら、
その視線にゾクゾクと身体をふるわせた。
無論、それは悦びの奮えだった。
この小生意気な態度を自分に屈服させた時、どれほどの快感か?
心を折って、自分に従順にさせた時、どれほどの悦びか?
想像しただけで、本郷は心を打ち奮わせた。
「おい、シンジ。勘違いするなよ。
お前をここに呼んだのは、身体検査をするためだ。
昨日みたいに、同居人とやらのパンツを穿いてきていないか、
俺には調べる権利があるんだ」
「くっ…」
ある程度、考えていた言い訳を口にすると、シンジの表情は赤く染まった。
こんな言葉は繕いでしかないと分かってはいるが、
それを言われると、シンジも大きく出られない。
俯きながら、震える手で制服のベルトを外し始めた。
「そうだ。早く脱げ。確認させろ。俺は別に下心なんてないんだぜ。
これはお前のためにやってることなんだ、くくく」
羞恥で顔を背け、自ら衣服を剥ぎ取っていく様を
眺めながら、本郷は心を躍らせた。
最高の少年の、極上のストリップショーだ。
ゆっくりと脱ぐ姿が、男を焦らし、
誘惑しているようで興奮してしまう。
本郷の肉塊はジャージの下でむくむくと盛り上がり、
欲望の血流を漲らせた。
シンジが制服のズボンを脱ぎ捨てる。
その下に穿いていたのは、当然ながらブリーフである。
「こ、これでいいだろ? 満足しただろ?」
本郷の肌にひりつくような視線が嫌なのか、
両手でブリーフを隠しながら言う。
「おいおい隠すなよ。ちゃんと見せろ。手は後ろに組め、バカ」
言われた通り、シンジは後ろに手を回す。
「ほう…」
本郷は椅子の背もたれに寄り掛かり、思わず感嘆の声を漏らした。
露わになった太腿が、部屋の湿気を纏って、瑞々しく見える。
丸みを帯びた脚の曲線はすべるように滑らかだ。
改めて眺めても、変わらずシンジの脚は…
いや、身体は本郷をいやらしく引き寄せる魅力を無自覚に発していた。
まばゆい白さに満ちているはずの肌も、
恥じらいの為か、今はほんのりとピンク色に染まってきている。
それでも清純な煌きは損なわれず、美しさを常に放っていた。
「この最低教師…」
気付かぬ内に見蕩れてしまっていた本郷は、
シンジの呟くような声で我に返る。
「お、おう。今日は大丈夫のようだな」
平静を装うとする本郷だったが、
彼の下半身は、既にギンギンに反り勃ち、
自制できぬ程、大きく硬化してしまっていた。
(駄目だな、こりゃ。朝は我慢しようとしてたが、無理みてぇだ)
「よし、下着チェックは終わりだ」
本郷の言葉でシンジは安堵の溜息を吐いた。
ホッとした空気が、本郷には確かに伝わった。
「じゃ、じゃあ、僕は帰るからな。も、もう呼ぶなよ!
僕は大嫌いなんだよ、オマエのことが」
吐き捨てるように言うシンジだが、その唇は微かに震えていた。
精一杯、頑張って汚い言葉遣いを使っているのが
あからさまに分かる。口汚く罵って、本郷を大きく拒絶しようとしているのだ。
弱みを握らられているくせに、その強気な態度が面白い。
だが、ここでシンジに部屋を出られたら、この屹立する肉棒は
誰が鎮めるというのだ。
「おい、待てよ! まだ、俺の教育は終わっちゃいないぜ。
さっきから気になってたんだが、その言葉遣いはなんだ?
教師を舐めてんのか! あぁん!?」
急いで制服のズボンを履こうとするシンジを尻目に
バンと机を叩きながら、本郷はドスの利かせた声で怒鳴った。
「ひっ…」
本郷のあまりの態度の急変にシンジは腕を抱き、
身体を硬直させた。
「ったく。どうやらお前には、仕置きが必要なのようだな」
すくっと立ち上がり、本郷はシンジの小さな身体に近づいた。
「い、嫌だ。来るなよ!」
身を翻し、逃げようとしたが、本郷はすかさずシンジの細い腕を掴んだ。
「嫌だ、嫌だ」
必死で暴れるが、本郷の腕力には敵わない。
そのままシンジは部屋の奥にあるソファーの上へと連れて行かれた。
「へへ、大人しくしてろよ」
「やめろよ、変態!」
シンジを腕に抱くと、ボディソープに混じった芳しい体臭が
本郷の鼻腔をくすぐる。鼻先をシンジの珠肌に擦りつけ胸一杯に吸ってみると、
純度の高い酒を飲んだように深い酩酊を感じ、
それだけで、本郷は堪らなく気分が昂ぶってくる。
「何するんだよ、やめろ! やめろよ!!」
本郷は小生意気な少年をひとまず黙らせるため
顎に指先を添えて、顔をこちら側に向けさせると、
淡い色合いを放つ可愛らしい唇を、己の唇で塞いだ。
本来なら頬に一発でも平手でもかまして黙らせる所だが、
今はそんな気分ではなかった。
柔らかい舌の粘膜を自分の舌で掬い取る。
甘い唾液が本郷の口一杯に広がった。
夢を観ているかのように足取りがふわふわと浮く感触だ。
陶酔したように唇を被せていた本郷だったが、
ガリッと鈍い音と共に唇に痛みを感じ、慌ててシンジから顔を放した。
甘い味とは打って変わって、鉄の味が口に広がる。
本郷が自分の唇に触れると、少量の血が滲んでいるのが分かった。
シンジはハアハアと息を切らし、本郷を睨んでいた。
その表情で本郷は、すぐに理解できた。
そうシンジが本郷の唇を思いきり噛んだのだ。
今の今まで余裕だった本郷だったが、
そのことで頭に血が昇り、激しく激昂した。
「お、オマエが悪いんだ。僕に変なことを──あぅッ!」
パアンッ、と大きな音が響き渡る。
本郷はシンジの言葉を最後まで訊かず、
当初の予定通り彼の頬を平手打ちしたのだ。
咄嗟にしたことだが、本郷に後悔はない。
思いの外、力を込めたつもりだったのが、
無意識にセーブできていたらしい。
これならしばらく赤みがかるが、頬が腫れることはない。
そんなことよりも、見ろ。シンジのこの茫然とした顔を。
汚辱はされこそ、まさか叩かれるとは夢にも思っていなかったのだろう。
頬を押さえ本郷を見る瞳は、あの強気な態度を微塵も感じられなかった。
涙を溜めて、震えていた。そんな瞳で見られていると思うと、
自然に気分は高揚してくる。
もしかしたら、大人に叩かれるのは初めてかもしれない。
「いいか、よく覚えておけよ。大人を舐めると、どうなるかをな」
だが、無論、そんなことでシンジを許すわけにはいかない。
正確に言うと許す態度を取るわけにはいかない。
あの表情を見ただけで、本郷は満足だったのだが、
シンジには反抗すればどうなるか、しっかりと身体に教え込ませなければならない。
本郷は口元を拭いながら、椅子に座り、
折れそうなぐらいのシンジの華奢な腰を腕に回すと、
膝の上にうつ伏せにさせた。
「何するんだよ!?」
「………」
シンジの問いに本郷は無言だ。
だが、その沈黙にシンジは目の前の教師に言いようのない迫力を感じて、
すぐに押し黙ってしまった。
本郷はシンジのブリーフを膝裏辺りまで下ろし、
ミルクを溶かし込んだような淡く綺麗なヒップを露にした。
「やめろ」と抵抗する間も与えないように、本郷は柔肉に平手をかまし、打ち据えた。
「あぅッ…!」
パンという渇いた打撃音と、シンジの悲痛な声が
体育準備室に木霊する。
シンジの形の良いお尻に、本郷の手跡が痛々しく刻まれた。
「どうだ、痛いか?」
「うぅ…、なに、するんだよ…」
もう一度、強く叩く。今度は一回ではなく、
間隔を置かずに数回、腕を振り下ろした。
叩いた数だけ渇いた音が鳴り響き、
叩いた数だけシンジの苦悶の声が部屋に流れる。
量感のあるシンジの臀部に叱咤しているだけで、本郷は興奮してくる。
そして、昨夜も見たこの見事な尻に本郷は改めて欲情をする。
ごくりと唾を飲み込み、いますぐにでもぶち込みたい衝動に駆られた。
だが、今はそんなことをしている場合ではない。
そもそも、まだ拡張も完璧ではないのに挿入したりしたら、
可愛い窄まりは裂けてしまうであろう。
挿れるのは尻穴調教に快感を覚えるときだ。
その時に挿入すれば、シンジの身も心も自分の物になるはずだ。
本郷のジャージの下で硬くなる肉棒から、
先走りの汁が溢れだしてきた。
本郷は嗤いながら、シンジの肉丘に照準を合わせる。
「痛ッ。あぅ…、やめ…ろ…よ、あぐッ!」
哀願するシンジを余所に、本郷はまたもや、パァンと大きな音を響かせる。
シンジの柔らかくむっちりと肉の詰まった臀丘は
鮮やかなぐらい美しく波打つ。
「いいか? これは罰だ! 二度と生意気な口を利かないように躾けてるんだ。
これに懲りたら、俺に舐めた口をきくんじゃねーよ!」
本郷は鉈のような重々しい一発を振り下ろす。
一際大きな痛みに、シンジは身体を仰け反らした。
「こんなのッ! やめ、やめて…もう、あぅッ…」
あまりの痛みにシンジはいつの間にか涙していた。
今朝、泣かぬと決心したはずなのにあっさりと、
その決意は壊されてしまった。
だが、それは仕方ないかもしれない。
昨夜、車の中で行われた陵辱とは明らかに質が違うのだ。
車の中では、痛みこそ味わされたが、暴力的な痛みではなかった。
変態染みた肛虐。だが、その痛みの中にはシンジは認めたくはなかったが、
間違いなく快感があった。
「やめて欲しかったら謝れ!
『許してください』って、俺に請え!」
「だ、誰が、そんなこと…、言うもんか!? くッ…、うぅ…」
シンジは唇を噛み締めながら、涙をポロポロと流す。
熱い水滴は頬を伝い、ソファーのカバーの上に小さな水溜りを作っていた。
「ほお、いいのか? 次からは本気でいくぞ?」
「ほ、『本気』?」
既に、シンジのヒップの白い肌は痛々しく赤く腫れ上がり、
じんじんと疼かせ、シンジの呼吸を荒くさせていた。
呼吸困難のように「ヒック、ヒック」としゃっくりのような
嗚咽を上げ、懸命に堪えていたが、これよりも更に強烈な
一撃が来ると思うと、シンジは震え上がった。
「ほら、イクぞ! 覚悟しろよ」
本郷は大きく振り被り、渾身の力を込めて
シンジの臀部にスパンキングをかました。
この一撃に限り手加減など一切しなかった。
部屋の外にも聞こえるのではないかというぐらいの
バァァン! という破裂音が本郷の鼓膜にまで響いた。
「あッ、ぐぅぅッ!」
何度も叩かれて麻痺しかけていたと思われた
シンジの下半身の神経も、この強烈な一撃で一気に目覚めてしまった。
失神してしまうかのような鋭痛に、シンジは目の前をシロクロさせた。
電撃が脊髄を流れ、痛みが頭にきた感じがして、くらくらと目眩すら覚えた。
「おら! もう一発だ!」
再度、大きく振り被る。本郷の口元には笑みさえ浮かべていた。
それを涙でぼやける視界で見たシンジは恐怖で全身を慄かせた。
「や、やめて。もう叩かないでぇ! ゆ、許して…く、ください!」
小刻みに痙攣する唇で、声を震わせながらシンジは言う。
泣きじゃくりながら、シンジは最も憎むべき相手に哀願していた。
いくら堪えても無駄なのだ。この男は人を傷つけることで悦びを、快感を覚えている。
「ほお、どういうことだ? もう俺に逆らわないってことか、それは?」
痛みで肩を揺らしながら、シンジはうんうんと頷いていた。
「くく、まあいいだろう。今日はコレで勘弁してやるよ」
本郷はシンジをソファーでうつ伏せにさせたまま、
立ち上がり自分の席に行くと、円形の容器を持ってきた。
その容器のキャップを開け、中の白い軟膏のような物を
指で掬うと、痛々しく腫れ上がったシンジの臀部にそれを塗り始める。
「ひぅ…」
じんじんと熱く腫れる肉にぬるぬるとした軟膏の感触が
どうもくすぐったい。思わず、シンジは声を上げる。
だが、そのぬめる感触が焼け付く痛苦を癒してくれる気がした。
「安心しろよ。痛み止めだ。これさえ塗れば痛みも引くよ」
そう言いながら、さっきの本郷とは打って変わって、
優しく軟膏を塗りつける。
もちろん、これは普通の軟膏ではない。
既存の商品に、昨夜の強力な媚薬も混合済みだ。
あの媚薬は肌に塗っても効果があるらしい。
「あ、ありがとう、ございます…」
元来の生真面目さからか、つい甲斐甲斐しく礼を言ってしまうシンジ。
こんなにヒップを腫れ上がらせたのも本郷なら、今、媚薬を塗っているのも本郷なのだが。
効き目はすぐに現れてきた。
涙で潤んでいた瞳は、艶めかしく黒く色づき、
肌もしっとりと濡れてくる。
治まってきていた呼吸も徐々に荒くなり、
身体中から甘い色香がむんむんと漂ってきた。
媚薬の存在を知らぬ、シンジはその身体の異変を
隠そうと、小さな肩を抱き、懸命に堪えていた。
シンジにしてみれば自分の肉体をどうしよもなく恥じていることだろう。
さっきまでヒップを叩かれて、泣いていたのだ。
それなのに興奮している。欲情をしている。
自分はもしかしたら変態かもしれない、と。
「どうした、シンジ? 顔が赤いぞ?」
下半身に何も穿くことを許されていないシンジは、
自分でも制御できない、男性器を両手で恥ずかしそうに隠していた。
小さなペニスはぴんぴんに天井を突くように、反り勃ってしまっている。
そんなシンジの真正面のソファーに座りながら、
本郷は葛藤する少年の一部始終を、面白おかしく眺めていた。
彼の裸体を見なくとも、その困惑する姿を見るだけで、最高の愉悦だった。
シンジは本郷の問いに小さく首を振り、何も答えなかった。
「分かってるさ。発情してるんだろ?
俺に尻を叩かれて、気持ち良くなってきてるんだ」
本郷の言葉にシンジは大きく目を見開き、顔を上げた。
すっかりと見透かされているのだ、この男に。
少年の黒く光る瞳はそう言っていた。
「そ、そんなわけない、よ……」
だが、言い当てた本郷に「はい、そうです」などと言えるわけもない。
またもや俯き、制服のシャツの裾をきゅっと握った。
「正直に言えば、昨日と同じ気持ち良さが味わえるかもしれないぜ?」
ニヤニヤと嗤いながら本郷は言う。
まさに悪魔の問いかけだった。
頷けば、きっと自分は戻れなくなる。
首を横に振れば、このもどかしさが一日中続くのだろう。
胸の中で激しい動悸を繰り返しながらシンジは自問自答する。
どうすればいいのか?
媚薬に犯されているシンジの思考の大半はこのまま欲望に身を任せてしまいたかった。
そして、めくるめく快感に委ねたかった。
だが、そういうわけにはいかない。
もじもじと腰を揺らし、甘い匂いを身体中から発しながら、
必死にシンジは黒い欲望を堪える。
だが、しかし、悪魔はシンジの想像以上に狡猾だった。
「うう、駄目だ、もう我慢できねぇ。
シンジ、もう一度、尻を向けろよ。昨日と同じことをしてやるよ。
おっと、逆らうなよ。逆らったらどうなるか分かるよな?」
一度、問いかけて、その後に揺れかかっていた心の天秤を
一気に傾ける。あたかも、本郷自身が望むような言葉で。。
「は、はい…」
小さく答えるシンジだが、その心中はどうしようもなく弾んでしまっていた。
喜んではいけないと思いつつ、昨夜の黒い快感が、シンジの肉体を
思いの外、蝕んでいたようだった。
命令されているから仕方が無いのだ。
シンジは自分に言い訳をしながら、本郷に自分の臀部を差し出す。
「おお、相変わらず、いやらしそうな穴だ。
ぷっくりと膨れ上がって、物欲しそうにヒクヒク動いてやがる」
本郷はシンジの二つの房肉を縦割り、中の窄まりを批評する。
そんななじりにシンジはかぶりを振りつつも、
犬のように、よつんばになって本郷に従順にお尻を向けていた。
「おお、しかも綺麗に洗ってきてるな。
ひょっとして期待してたのかぁ、シンジ?」
鼻先を小さな穴に近づけてくんくんと匂いを嗅ぐ。
指で突くと、「あぁ…」と艶っぽい声をシンジは洩らす。
本郷はあらかじめ用意していたアナル用の道具を
シンジの菊座に宛がった。
じんじんと疼く、シンジの尻に金属の冷たさが当たっただけで
ひんやりとした気持ち良さが包んだ。
本郷は焦らすように、肛腔の縁を、金属でなぞり、
ひくひくと淫らに動く、括約筋を見て楽しんだ。
「せ、先生…、その…、はや…」
『早く』と言いそうになってシンジは慌てて口を噤んだ。
それだけは言ってはならぬ言葉だ。
「ああ、すまん。早く挿れて欲しかったか、くくく」
だが、そんなシンジの心などお見通しだった。
本郷はメタリックに光る小さな突起をシンジの菊にずぶずぶと挿入させた。
最初の末広がりの大きな突起もなんのその。
貪欲な生き物のように簡単に入っていく。
「はァァ…」
シンジは背中を弓なりに反らし、火のような吐息を唇から洩らす。
じゅくじゅくに熟れたようなシンジのお尻の穴は
すんなりとアナルプラグを飲み込んだ。
「どうだ、気持ちイイだろ? 素直に言ってみろよ」
「うくッ、うぅん…」
ピンと本郷が金属を指で弾くと、シンジは甘い声を上げた。
腸粘膜を刺激しながら、面白おかしく揶揄してみる。
「ほら、言え。『気持ちイイです』って。
『お尻の穴は感じます』ってよ、ほらほら」
「気持ち良くなんかないよ! 感じていなんかない!」
シンジは首を振りつつ、何かに抗うかのように叫ぶ。
だが、時間が経つと、菊座の周りは焦げるように、熱くなってくる。
シンジの身体からは不快感はとうに消えていた。
あるのは魔性の愉悦だけだ。
本郷はヒップの柔らかな肉に指を食い込ませて、
ぐいっと持ち上げた。そして、ジャージを下ろすと、
その美味しそうな青い果実に自分のペニスを擦り付けた。
ムンと男の牡臭を放つ肉棒の汚れを拭うように、
ぐいぐいと何度も押し付けた。
灼熱の男を感じ、シンジは尻を振り、肉棒を払おうとする。
「あぅン…、先生、やめて。臭いが付いちゃうよぉ…」
「へへ、安心しろよ。たとえ俺のザーメンがお前の身体に付いたまま
授業を受けても、お前の発情した、エロイ匂いが強くて
誰も気付きやしねーよ」
「ぼ、僕…。そんな匂いなんて…、し、て…ないよ…」
「どうだかな? おい、そろそろ出すぞ。お前の口の中に出してやるからな」
本郷はペチペチとシンジの臀部を軽く叩く。
「ボケッとするな。俺のチンポを咥えろってんだよ。
俺のザーメンを有り難く頂戴しろよ」
シンジは体勢を代えて、恐ろしく反り勃つ本郷の勃起物の目の前に
顔を寄せた。そして、目をきゅっと瞑り、
本郷の言葉どおり、口を開けて、その亀頭を口腔に入れた。
「いいか、シンジ。今日は一日中、その道具を付けてろよ?
文句は許さねぇぞ。これは俺に逆らった罰なんだからな」
「うんッ。うぅんッ。あふぅ」
相変わらず甘い芳香を放つシンジは、鼻で息をしながら、小さくかぶりを振る。
本郷はそんなシンジを眺めながら、心の底から嗤いが込み上げてきた。
腰を動かし、口の粘膜に肉棒の先端を擦り付ける。
「嫌か? なら一分以内に俺のザーメンを搾り出してくれたら
考えてやってもいいぞ」
それを訊いて、シンジの口の性戯に熱が篭る。
稚拙なテクニックだが、その懸命さが伝わる。
舌が裏筋を這っていく。シンジは思い切って根元まで飲み込もうとした。
だが、巨大すぎる本郷のペニスはシンジの嗚咽を誘発してしまう。
「ゴホッゴホッ」とむせながらも、時間が惜しいのか
一心不乱にしゃぶり続ける。
「ぅン…、うん…。うぐッ…」
「おぉう。出すぞ。しっかり飲めよ。
飲み込むまでタイムに入れるからな。そら!」
本郷はシンジの喉を甚振るように激しく腰を揺らす。
ビクンビクンと本郷の熱い肉塊がシンジの口内で脈動をする。
鈴口から多量の白濁液が飛び出す。
コレを全て飲むのに、どれぐらいかかるのだろうか?
不安に駆られながらも、それでもシンジは呑み込まなければならなかった。
シンジは色っぽく眉を顰め、鼻で息をする。
唾液を使い、喉をこくこくと鳴らし、
健気に口内発射されたスペルマを嚥下していく。
本郷が発射した時点で、すでに一分はとうに過ぎたとは知らずに。
シンジにとって授業の間は恥辱の地獄に近かった。
教師の話す声も耳には入らない。
頬を赤らめ、耳まで真っ赤にして、シンジは自分の席に座っていた。
教室という公共の場で、排泄穴を塞がれていることは、
想像以上に辛い責めとなり、シンジを襲った。
ぷっくりと充血したように膨れ上がる菊座に宛てがられたアナルプラグは、
シンジの呼吸を否がおうにも乱れさせ、肌から汗を噴きださせる。
「んんぅ…」
シンジはもどかしげに太腿を擦り合わせ、切なそうな声を上げた。
外そうと思っても、アナルプラグは本郷の手によって、
革の拘束具でしっかりと留められており、
シンジには堪えるしか術はなかった。
しかも、こんな時に限って他の教師は授業中シンジに質問をしてくる。
教師というのは、困っていそうな生徒に質問をするものである。
一時限目に教師から名指しで当てられてから、
シンジは勉めて授業を聞こうと、努力をしてみたが、
教師の言葉はアナルを刺激する淫具に掻き消され、全く頭には受け入れる事が出来なかった。
故に、授業の度にシンジは恥をかき、
その都度、泣きそうな顔で「分かりません…」と
掠れるような声で、謝った。
おまけに授業の合間の休み時間には、本郷のもとへ向かうために、
長い廊下を歩かなければならなかった。
無論、シンジは本郷に会いたいわけがない。
強制的に来るように、本郷から言いつけられているのだ。
だが、それが辛い。歩くと、塞がれた菊座の周りは擦られ、
中の腸粘膜まで、その刺激は伝播してしまう。
お腹はヒリヒリと痛み、満足に歩くこともままならない。
教室から体育倉庫までは、普段は何でもない距離なのだが、
その日のシンジにとっては拷問に等しい道のりとなっていた。
やっとの思いで体育倉庫に着くと、本郷が待ち構えている。
本郷は今朝のように、たっぷりと媚薬入りのローションをシンジのアナル周りに
塗りたくると、嵌めているプラグよりも太いプラグを、
シンジの中に押し込んでいく。本郷好みの大きさになるまで拡張しているのだ。
「う、あァァッ!」
痛そうに叫ぶが、その声は倉庫の中の暗闇へと消えていく。
くなくなと尻を振り、その異物の挿入に必死に堪える。
だが、その痛みも束の間。次第に魔悦のような黒い快感がシンジの肉体を支配していく。
強力な媚薬に犯されているシンジは、こんな淫具の責めも
極上の悦びへと変わってしまっている。
それを本郷に悟られぬよう、わざと痛そうに声を出すが、
本能的な身体の動きは隠せなかった。
アナル責めで強烈な劣情に襲われているシンジは、
アナルプラグを簡単に呑み込むと、
無意識に、キュッ、キュッと窄まりを締めて、
快感を増そうとしてしまうのだ。
「へへへ。俺に弄られるのがそんなに嬉しいのか?
それとも、挿れただけじゃ物足りないか?
安心しろよ、お前の才能なら今日の放課後までには
俺のを挿れても、平気になるはずだ。
だから、次の休み時間もちゃんと来いよ、シンジ」
何もかも本郷にはお見通しだった。
否定しようにも、淫らな肉体が全てを物語っていた。
強力な媚薬を使用されているとも知らず、
シンジは自分の身体が自分ではなくなっているような感覚に囚われていた。
シンジは授業に間に合うように、急いで教室へと戻る。
しかし、来た時よりも野太いプラグがシンジを刺激して、
走ろうにも足取りはフラフラだった。
それでも、何とか授業には間に合わせると、
ハアハアと息を切らし、シンジは自分の席へと腰を下ろした。
まだ、教師は来ていなかった。
シンジはホッと安堵の溜息を吐いて、気だるそうに顔を机に伏せた。
今は少しでも、休みたかった。熱く火照る肉体を鎮めるように、
シンジはしばしの休息に入った。
「大丈夫、碇君?」
そんな尋常でないシンジの態度に気付いた、クラス委員長である洞木ヒカリは、
心配そうに声をかけてきた。
「え?」
声をかけてきたのが一瞬、誰か分からなかったシンジは顔を上げて
相手を確認した。委員長だと分かったが、うまく言葉を返すことができずに、
ただ、もじもじと太腿を擦り合わせる。
「具合、悪そう…、保健室に行った方がいいんじゃないかな?」
有難い気遣いであったが、シンジは首を横に振った。
「大丈夫だよ、そんなに気分が悪いわけじゃないし…。
もう少し時間が経てば、き、きっと体調も戻ると思うから」
戻るわけが無い。今のシンジの肛門には卑猥な淫具が埋まっているのだ。
それに、保健室という場にはシンジは苦い経験がある。無意識にそこは避けていた。
今は、人がいる場で、このアナル責めに馴れることが大事だ。
まさか媚薬に蝕まれているとは思いもよらないシンジは、
火照る肉体は、馴れていない刺激のせいだと思っていた。
「うん、碇君がそう言うならいいけど。でも、本当に辛くなったら
私に言ってね。保健室に連れてってあげるから」
「あ、ありがとう、洞木さん」
優しいクラスメートに、シンジは礼を言いつつも目を逸らしてしまった。
今も公衆の場で排泄穴を開発されている自分とはあまりにも違いすぎた。
ヒカリの純粋な優しさは今のシンジには直視できぬ程、眩く映る。
お尻の穴で感じてしまっている自分は、
なんだかひどく薄汚れてしまっている気がして滅入ってしまう。
「ん、ぅぅ…」
またアナルがキュキュッと窄まり、締め付けをきつくする。
甘い声を必死に押さえ、シンジは太腿を摺り寄せ、
周期的にやって来る切ない快感を帯びた肉体の反応を抑える。
だが、いくら堪えてもむんむんとした色香がシンジから漂いだす。
ヒカリはきょとんとした瞳で、そんなシンジをじいっと見ていた。
とても真っ直ぐな瞳だ。それがシンジにとって何より辛かった。
トウジもアスカも、今日、学校を休んでいることはシンジには幸運だった。
昼食の弁当当番を結果的にサボってしまったので、
アスカの怒りを静める事は今のシンジの状態では困難だった。
恐らくは、今朝、シンジが朝食も、弁当も作らなかったことで
ふてくされて、今日は学校を休んだのだろう。
大学を出ているアスカは最初から学校に来なくとも良い人間なのだ。
休もうと思えば、いつでも休める。彼女が中学校に通うわけは気まぐれに近いのだ。
トウジは妹のお見舞いで、今日は休むとケンスケが言っていた。
当のケンスケはシンジの体調が悪いと分かると、
気を遣ってか、話しかけてはこなかった。
そして、ついに放課後となってしまった。
結局、シンジは放課後まで何も解決策は思いつかず、
本郷のなすがままとなっていた。
あまりの悔しさに、ぎゅっと手の平を握るが長くは続かない。
シンジの頭の中は魔淫薬に犯され、陶酔にも似た面持ちで放課後を迎えてしまった。
席から立ち上がろうとしても、
ふにゃふにゃと身体中から力が抜けてしまい、やけに億劫だった。
既に、シンジは今の状況をまともに考える事はできなかった。
太いアナルプラグで拡張されたシンジの菊座は
爛れているように熱く膨れ上がり、
最早、本郷好みの穴と化されてしまっていた。
シンジは夕暮れの橙色に染まる廊下を歩みながら、
何故、自分は本郷のもとへ向かっているのか考えていた。
今の状態では、本郷に打ち勝つこともできない。
対抗する手段を持っていないというのに。
だが、そんな疑問は、歩くたびに擦られる内粘膜の刺激に、
あっというまに掻き消えてしまう。
プラグはぎちぎちに締め付け、シンジの内部を抉り続けるようだった。
シンジはその刺激を感じる度に艶めかしい火のような熱い吐息を吐いてしまう。
そう、一日中、アナルの色責めにあったシンジは、
現在、受けている仕打ちが快楽へと変わってきているのだ。
強力な媚薬がなせる力だった。
散々、朝から嬲られ続け、媚薬の色責めにあった菊座は卑猥な器官と化し、
シンジの幼い理性ではどうにもならない地点にまで行き着いてしまっている。
朝のように、本郷の下へと向かうシンジは、
おぼつかない足取りで廊下を進む。
本郷のいる体育準備室に辿り着いた時には、シンジはハアハアと息を荒げ、
疲労困憊だった。精神的にも疲労を受けたシンジは
目的地に着いた安堵感にふっと身体の力が抜けてしまい、
最も憎むべき相手に身体を預けてしまう。
「おいおい、どうした碇? 気分でも悪いのか?」
体育準備室は放課後なだけあって、
周りに他の教師がいるためか、
流石の本郷もできるだけ紳士な態度に努めていた。
「せ、先生…。約束どおり来ました…、だ、だから早くぅ…」
時刻は既に六時を回っていた。
放課後の教室で、本郷の帰宅時間まで待っていたシンジは小声で
本郷に甘えるようにすり寄ってくる。
そんなシンジの様子に本郷はニヤリとほくそ笑んだ。
本郷もまたシンジの耳元に小声で囁く。
「ん、『早く』なんだ? 抜いて欲しいのか、それとももっと太いのが欲しいのか?」
本郷の問いに、シンジはただ首を横に振るだけだった。
少年自身もどうして欲しいのか分からないのだろう。
「俺が家まで送ってやるよ。ったく、仕様がねえ奴だな」
本郷のこの言葉に、まだ居残っていた他の体育教師はぎょっとした目で本郷を見遣る。
本郷のような教師がそんな事を言うとは思ってもいなかったのだろう。
周りの視線の意味を感じ取った本郷は心の中で、うるせえな、と呟いた。
無論、本郷はシンジを保護者のマンションにまで送ってやる気など、さらさらなかった。
本郷はシンジを自分の車の助手席に乗せると、
シンジに断りもいれずに、真っ直ぐと自宅に向かって車を走らせた。
運転の最中もシンジは切なそうな声を上げ、押し寄せる波を堪えていた。
その声がやけに艶っぽく、色めかしいので、
本郷は助手席の少年が気になり、危なく事故を起こしそうになる。
「へへへ、シンジ。もうちょっと我慢してろよ。
家に着いたら、思う存分、遊んでやるからな」
本郷は赤信号で停まっているとき、シンジのシャツの中に手を差し込み、
しっとりと汗で濡れている官能的な柔らかさを充分に堪能しながら言う。
シンジには抵抗はない。ただぷっくりと膨れた乳首が彼の感度の度合いを教えてくれた。
自宅に着いた本郷は駐車場に車を停めると、すぐに降りて助手席側に回った。
シンジをエスコートするようにドアを開けて、少年を外に出す。
最早、立ってもいられないシンジは、
くにゃりと上半身を曲げて、糸の切れた人形のように再び本郷に身体を預けた。
卑猥な芳香が本郷の鼻腔をくすぐる。汗の中に入り混じるムンとしたフェロモンだ。
本郷ははち切れんばかりに股間を脹らませて、シンジを自分の部屋へと運んだ。
部屋に入るなり、本郷はシンジの薄い唇を奪った。
ねっとりと舌を絡ませて、口腔の粘膜を吸い寄せるように唾蜜を嚥下する。
「んんぅッ…、んッ!」
本郷の唾液を送り込まれた所で、シンジは本郷を力なく両手で突く。
これには流石にシンジも抵抗の意を示した。
それが本能的な行動か、意図的な行動かは本郷には分からなかったが、
本郷の屈強な肉体はそれしきの衝撃ではビクともしなかった。
逆に、その反動で、シンジはふらふらと玄関にへたり込んでしまった。
「無理するなよ。安心しろ。約束通り、尻に入ってる棒を抜いてやるよ。
おら、ケツをこっちに向けろ」
シンジはコクリと頷くと、言われるままに本郷に円いヒップを向ける。
少年の瞳は淀み、生気をまるで失っていた。
「おい、ズボンを履いたままじゃ、取れねーだろ!
制服も脱ぐんだよ、バカ!」
本郷は制服の上から軽く尻肌を叩く。
「あぅ…、ご、ごめん…なさい」
今朝の折檻の恐怖を思い出したシンジは慌てて、
ベルトを外し、制服のズボンを膝の辺りまでずり下げた。
「ようし。へへへ…」
もう、シンジはまともな思考能力を失われているだろう。
今がチャンスだ。正常な意識が戻った時に、引き返せない程、
貶めたらシンジはどんな貌をするか。
本郷は嗤いながら、ブリーフを下げる。
シンジの桃尻はいやらしい菊座を中心に、
朱革のボンデージが巻かれていた。本郷がやったのだ。
シンジのミルクを溶かし込んだような鮮やかな肌にその色はやけに映える。
幾重にも張り巡らせたそれは、シンジの窄まりに挿さっているプラグを
ぎちぎちに締め付け容易には外せない仕様になっていた。
しかも、密閉された下半身の汗を吸い込み、革は異様な臭いを発していた。
「おお臭ぇ。おいおい一個しかないのに、
お前の汗の臭いが移っちまったじゃねーか、どうしてくれんだよ!?」
本郷はもう一度、シンジの尻をはたく。もちろん軽くだ。
あれ以上、強く叩く必要など無い。これだけで、今のシンジは従順になるはずだ。
「あんッ…、ご、ごめんなさい…、痛くしないでよぉ…」
「ふんっ。まあいいか。許してやるよ。
ただし、これ以上、俺に逆らうなよ。さっきみたいに俺がキスをしたら拒むな。
唾を送り込んだら、喜んで飲めよ!」
小刻みに震える、尻肉をぷるんぷるんと波打たせるシンジに気をよくした本郷は、
ここぞとばかりに命令をする。
今に限って、あの気が強い少年はいない。
ここにいるのは痛みを畏れながら、それでも快感を貪りたい一匹の犬がいるだけだ。
シンジは本郷の命令に力無く項垂れる。いや、頷いたのか。
本郷はいよいよ革のボンデージを、取り払い、
深々とシンジの局部に突き挿さったアナルプラグを掴んだ。
「ひ、ぐぅぅ…。ん、んぅ…」
掴まれたため強い衝撃がシンジの排泄穴から伝い、背中に駆け昇った。
シンジは弓なりに反り返り、天井を仰ぎながら、
ひいひいと悲痛な喘ぎを淡い唇から洩らす。
だが、その憐れな声の中に見え隠れする快感が入り混じった声質を本郷は見逃さない。
「おっとっと。悪いな、痛くしねぇ約束だったな」
本郷は少し笑いながらゆっくりとプラグを菊座から引き抜き始めた。
媚薬入りのローションと、強い匂いを発する縦割りに溜まった汗が、
ぬるぬるとした感触を帯びて、出し入れも容易に出来そうだった。
「はあァ……」
本郷はくいくいと意地悪く肛門の内粘膜を刺激しながら、引き抜く。
先端まで引き抜いた時、シンジのお尻に感じていた圧迫感は取り払われ、
少しだけ安堵の息を吐いた。
だが、それも束の間。本郷は短いプラグを用いて、シンジの中を抽送し始めた。
「あ、ぅぅ…、な、なんで…。あんッ!」
少女のようなソプラノ調の甲高い声を上げて、シンジは肉体を細かく痙攣させる。
休み時間の毎に抜かれていたアナルプラグだったが、
このように抜き挿しをしたのは今回が初めてだった。
長い時間、開かれていたシンジの菊門は解れきっており、
簡単に異物の出し入れを許してしまう。
くちゅくちゅと汗の入り混じった媚薬入りローションは
シンジの可愛らしい鳴き声とともに妖しく奏でられる。
「や、やめてよ、先生…。こんなの、あ、あぁぁ…」
拒む言葉とは裏腹に、シンジの身体はどんどんと高みに昇り詰めていく。
あまりの快感に口端からはだらしなく涎が垂れる。
胸は高まり、きめ細かい珠肌からは、むっと発情しきった汗の匂いが漂った。
「おっと、忘れてた。おい、シンジ、家に電話したか? してねーよな?」
プラグを弄る手は休めずに、本郷はポケットから携帯電話を取り出した。
あらかじめ設定していたダイヤルを選ぶと、シンジの耳元に携帯電話を差し出した。
何のことか理解できないシンジは、潤んだ瞳で本郷の携帯電話を見つめる。
「今日は遅くなるって電話しなきゃ、保護者の方が心配するだろ。
ちゃーんと、保護者に伝えるんだぞ、いいな?」
プラグをぐいっと奥まで押し込み、再びシンジの菊を塞いだのを最後に、
本郷は今まで散々、動かしていた指を一旦、止めた。
媚薬に犯されていたシンジの異常なまで昂ぶり、
火照りきった花芯は、中途半端な責めで、切ない悲鳴をあげる。
無意識に尻はくねくねとよじり、もっと刺激を欲するように、
貪欲に蠢きだす。彼の小さなペニスは快感に従順に勃起してしまっている。
もう自分の力ではどうにもならない。それは分かっている。
今が携帯電話に繋がる先に助けを呼ぶ千載一遇の機会であった。
だが、今のシンジには、そんな思考には至らなかった。
ふわふわと宙を浮いた感覚が、未だ少年を支配している。
いくら考えようとしても、思考の点と点は結びつかず、線になることは決してなかった。
「な、なんて言えばいいんですか?」
電話のコール音が鳴り響く中、シンジは本郷に質問をする。
「そんなこと自分で考えろよ。友達の家に泊まるとか、言えばいいだろうがよ。おら!」
「あぅッ」
尻肌を軽く叩く。パチンと小さな音と少年の声が玄関に響く。
同時に、コール音が止み、電話が葛城邸に繋がった。
「はい、葛城です」
出たのはシンジの保護者の葛城ミサトだった。
こんな時間に家に帰ってきているのは珍しい。
「あ、あの。僕…、ですけど…」
『ん、シンちゃん? どうしたの? 今日は帰るの遅いのね。
あんまり遅いんで、アスカったら、すご~く心配してるのよ』
「してない!」と、電話の後ろからアスカの声が聴こえた。
なんだが、ひどく昔に思える懐かしい光景が浮かび、シンジは泣きそうになった。
だが、背後にいる本郷はそんな感傷を受ける時間も許してくれない。
ぎゅっと深く挿入されたプラグを軽く捻ってくる。
「んぅ…。あの、その…、ミサトさん。僕、あの…、
今日はケンスケの家に泊まるから、その…、帰りませんから…」
『え~、そうなの!? 今日は二人にご馳走しようと思ってたのに。
ほら、最近、私、帰りが遅かったじゃない?
だから、お詫びも込めて、今日は外で食べようとか、考えてて…』
「ご、ごめんなさい」
『そんな謝ることじゃないわよ。そうね、外食はまた今度ね。
相田君の家に迷惑かけちゃ駄目よ。明日、休みだからって
ハメを外さないようにね』
「は、はい。それじゃあ」
シンジは電話を切る。次の瞬間、本郷はシンジの身体に覆い被さり、
プラグの抽送を再開しながら、良く出来た、と言わんばかりに、
シンジの顎をひょいと摘み、唇を奪った。
鋼のように硬く勃起した本郷のイチモツが、臀部に当たる。
「へへへ、よくやったなシンジ。
褒美に今日は一日中可愛がってやるぜ」
可愛がる、その言葉にシンジの菊座はきゅんと疼いた。
菊穴を弄る動きが一際、早くなる。
激しいピストン運動を繰り返し、シンジの内粘膜を抉る。
「う、あぁ…ッ、せ、先生ぃ! んぁっ!」
電話の最中、お預けをくらっていて燻っていたシンジの性感は一気に暴発する。
ガクガクと肉体を痙攣させて、四つんばのまま、大きく喘いだ。
「なんだイキそうなのか?
ケツ穴を穿られて。とんだ淫乱なヤローだな」
「ち、違うよ。僕はそんなんじゃ…、ひゃぅッ!」
本郷の言葉にシンジは首を振り、
声も掠れさせて、必死に否定をする。
だが、やって来る快感の波には抗えなかった。
視界が真白くなり、何も考えられなくなる。
ただ、うわ言のように「違う…、違う…よ」と呟くだけだ。
「何が違うってんだよ。いいか、お前は変態なんだよ!
俺に嬲られて喜ぶマゾなんだよ。認めろよ、おら!」
「ひっ…」
深々とアナルにプラグを押し込みながら、
シャツの中に手を差し込む。
最早、シンジの肌は全体が性感帯と化してしまっていた。
本郷の指先が、臀部に感じる熱い肉塊が、
今のシンジにとっては最高の愉悦になっている。
「あ、ダメ! それ以上、し、たらぁ…、あぁ…」
アナルを中心に熔けていくような気がした。
軽い目眩を覚えたと同時に、シンジは絶頂に達してしまった。
あろうことか本郷の手で。本郷の望み通りに。
「ひひひ、イッたかよ。んん?」
本郷の問いにシンジはまだ首を振って否定する。
「ほう、まだか。それじゃあ、もっと愉しまなくちゃな」
本郷の手が休むことはなかった。
シンジの肉体の筋肉は弛緩して、四つんばの体勢も保ってはいられなくなり、
床の上に突っ伏してしまう。
「せ、先生、もう…、許してぇ…。
こ、これ以上は、これ以上は辛いんです…、はぁぁ…」
弓なりに、背中を反らしたと思うと、
シンジはまたもや身体をガクンガクンと揺らした。
どうやら、連続で気を遣ったようだった。
菊座を責められて、射精せずの絶頂は、
シンジを奈落の底へと堕とすには充分だった。
シンジは従順に、本郷に許しを請う今の状況も受け入れてしまっていた。
時間が経ち落ち着いてこの事を思い出したら、酷く絶望をするだろうな。
そんなシンジを想像して、本郷はおかしくなり、腹の底から嗤いが込み上げてきた。
「んん、なんで辛いんだ? まだイってないんだろ?」
「イキました! 僕、イッちゃたんです。だ、だから…、もう…」
「へへへ、そうか。それならそうと早く言えよ」
シンジが正直に言うと、本郷は意外にも手を放してくれた。
とりあえず絶頂地獄から解放されたことで、
シンジは床に頬を付けながら、安堵した。
本郷は立ち上がり、家の奥に入っていく。
シンジが本郷の行動を疑問に思う前に、彼はすぐに戻ってきた。
本郷は巨大な注射器のような物を抱えていた。
それを見た瞬間、シンジの背中にはゾクッと悪寒が走った。
半裸の状態で、力が入らない身体のまま、床を這いずりながら、
本郷から逃げようと試みたが、もちろん、すぐさま捕まってしまった。
「おいおい、逃げんなよ。自分だけ、気持ち良くなって
俺を満足させない気か? あぁん?」
本郷は熟れたようなむっちりとしたシンジの尻朶を鷲掴みすると、
左右にむんずと開き、激しい責めによって爛れたシンジの肛門を露わにさせた。
熱く爛れた窄まりは、外界の空気が窄まりに当たりひんやりとする。
「いやだぁ…、やめてよ、そんなにじっくり見ない…、はんッ」
だが、シンジの顔は羞恥により真っ赤に火照る。
「へへへ。十分、解れてきていい具合になったな。
これならあっちの世界でも通用するぜ」
あっちの世界と訊いても何のことか分からないシンジだったが、
口ぶりからしていかがわしい世界であることは明白だった。
シンジは何と言ったらいいか分からず、瞼を下ろし、小さく首を振った。
「よおし。それじゃあコレを入れるからな。ちっとは我慢しろよ」
持っていた注射器の先端をシンジのアナルに射し込んだ。
と言っても先は針ではなく、プラスチックの注入口になっており危険はない。
「ひゃうッ…、なに…、何だよ、こ、コレ? あ、あ…」
ぬるりとした粘膜性の物体が肛門を通して、シンジの腸内に侵入していく。
注射の先からどろどろと、押し込まれ、あっという間に注射器の中身は無くなった。
本郷は全て入るのを見届けると、その物体が零れないように、
アナルプラグで再度、シンジの菊座に蓋をして、
外れないように、ボンデージでぎちぎちに締め付けた。
「ふふふ、俺のを挿れる前に、お前の腹ン中を綺麗にするんだよ。
30分もすれば、何を入れたか分かる」
だが、五分もしない内に、シンジのお腹はゴロゴロと鳴り始める。
そういった知識をまるで持ち合わせていないシンジでも、
何を入れられたのか、容易に察しが付いた。
犬のようにくぅんと鼻を鳴らし、もじもじとヒップを揺らし、
奥歯を噛み締めながら、訪れる鈍痛を必死で堪える。
肛門陵辱とは違った意味での、脂汗をシンジは額に掻いた。
その間も、本郷はじいっとシンジを観察するように見下ろしていた。
苦痛に歪むシンジの表情を眺め、心の底から愉しんでいるのだ。
シンジは今更ながら、本郷のサドスティックな性格にゾクリと悪寒を感じた。
「せ、先生…。僕…も、もう」
恐怖に駆られ、憐れみを含んだ声質でシンジは懇願した。
トイレに行きたい、と。
だが、その潤んだ瞳も、冷酷な本郷の嗤いに一蹴される。
「なんだ、まだ十分も経ってねぇぞ。もう少し、我慢しとけや」
「あぅ…、そ、そんなぁ…」
眉を八の字に顰め、シンジは魅惑的に首を振る。
「どうしても便所に行きたいってんなら、そうだな…。
俺を気持ち良くさせて貰おうか?」
本郷はシンジの顔に己の股間を持って行き、
スラックスの上から、硬く膨れ上がった怒張をぐいぐいと突き立てた。
しゃぶれ、と命令しているのだ。
シンジは自らの手で、スラックスを下ろし、
本郷の男根を取り出した。
切迫した心理状況が、媚薬の効能が、シンジの羞恥心を取り払っていた。
何度も咥えているのだから、一度ぐらいその回数が増えたといってどうということはない、
と自分に暗示をしているのかもしれない。
シンジは本郷の男根の根元を握った時、上から声がかかってきた。
「咥える前に、まずは挨拶しろよ。今だけじゃないぞ。これからずぅっとだ」
「あ、挨拶?」
何のことか分からぬ、シンジは腹に抱える鈍痛に堪えながら、聞き直す。
「そうだ。俺のチンポをしゃぶるんだぜ?
しゃぶらせて貰います、ってぇ、断るのが当然だろう?
先っぽにキスでもしてから、丁寧に舐めるんだ」
なんて奴だろう。本郷のその言葉で奥底に眠っていたシンジの怒りは蘇ってきた。
悔しくて、悔しくて、かあっと頭の中が熱く煮えたぎってくる。
かといって、今、怒りを露わにしてもどうにもならない。
唇を噛み、震える声で、シンジは声を出していた。
「しゃ、しゃぶらせて…も、貰いま、す」
シンジが喋っている間に、ポタポタと熱い滴が床に零れ始めた。
それが何なのか、気にも留めなかったが、
本郷の言葉で、その熱い滴に気を払った。
「へへへ、俺のをしゃぶるのが、泣くほど嬉しいのか、シンジぃ?」
「え?」
気付くとシンジの円らな瞳から涙が滴り落ちていた。
あまりの屈辱。あまりの悔しさで、シンジは泣いていたのだ。
制御できない感情の波に、シンジは困惑する。
泣き顔を見られないように、視線を逸らすがもう遅い。
しっかりと泣いた顔を見られてしまっていた。
「おら、こんなことで時間を潰してもいいのか?
まだ、我慢ができるならいいがな」
「うぅ…」
腹部の痛みの既に限界だった。
泣き顔を見せたくはなかったが、仕方がない。
なるべく本郷には見えないように顔を伏せながら、
シンジはグロテスクにそそり勃つ肉塊の先端にちゅっと口付けをした。
「おおぅ…。堪らねぇな、おい」
思わず本郷は声を出した。
だが、それは無理からぬことだ。
顔を伏せても、シンジの表情は観察できてしまう。
頬に涙の跡を残しながら、瞳を潤ませてながら、
今まで、密かに狙っていた美少年が己の陰茎にキスをしているのだ。
本郷がどんなに頑張っても決して手の届かぬはずの存在のシンジが。
それを思うと昂ぶって、射精したくなる。
そして、今にもシンジの頬に、鼻先に、唇に、髪に、
自分の欲望のスペルマをかけたくなってくる。
だが、その思いを本郷はグッと堪えた。
それをするのはもっと愉しんでからでも遅くはない。
本郷は、シンジを観察しながら、彼の慣れない口戯を堪能しようとする。
シンジの舌が亀頭の上を這う。
被虐の貌を眺めながら味わうと、それだけでぞくぞくしてしまう。
竿を一通り舐めると、次に亀頭を咥え込む。
何だが、ひどく義務的な動きだった。
後で、徹底的にフェラチオ仕方も教え込んでやるとしよう。
「うんッ…、うぅんッ…、んぅ…」
シンジの小さな口の中に、肉塊はずっぽりと埋まっていく。
柔らかい口内。相変わらずの名器だった。
息苦しそうに鼻を鳴らし、口端からは唾液が零れだす。
なのに頬張るのをやめようとはしない。またシンジの瞳からポロリと涙が落ちる。
圧倒的な立場の差に本郷のサドスティックな心はまたくすぐられた。
「お!? お前のチンポもビンビンだな」
本郷は爪先で、シンジの勃起したペニスをつつく。
それだけでは飽き足らず、ぐいぐいと何回か擦った。
「んんぅ…、ぅあ、ぁ…」
シンジは眉をしかめて、切なそうに首を横に振る。
そういえば今日は射精していないはずだ。
それならば相当、堪っているのだろう。
「くく、尻穴ばかり感じさせて、こっちはお預けだったな。すまねえなシンジ」
十数秒、擦ってやると、あっという間に、シンジは射精をした。
ドクンドクンと、一丁前に小さな勃起物の先っぽを濡らし、
陶酔した表情を一瞬だけ、浮かべ、口の動きが止まった。
「こっちは早えな、おい。もうイッちまったのか?」
情けなそうな貌をした後、また、一心不乱に本郷の肉塊のおしゃぶりを再開した。
それが今のシンジにとっての逃避なのだろう。
口の中に根元まで呑み込み、先端まで戻す。
しっとりと濡れた手の平を遣い、繊細な指で本郷のおとこを扱き上げる
「おう、俺も出ちまいそうだ」
本郷はシンジの頬を両手で掴むと、
自分の欲望通り、ちゅぽんといやらしい音をさせて、唇から男性器を引き抜き、
鈴口をシンジの顔に向けた。
何をされるか分かっているのだろう。
本郷の白い弾丸を受け入れるように、シンジは瞼をきゅっと下ろした。
「そぅら、喜べよシンジ!」
本郷は吼えながら、シンジの頬に自分のスペルマをぶつける。
びゅっびゅっと、飛散する己の精液で汚れるシンジの様を眺めながら、
本郷は今までにない絶頂を迎えた。
容赦なく腹部に襲い掛かる便意を耐え忍びながら、
本郷の汚辱の白濁液を浴び続ける。
長い睫毛は涙で濡れて、シンジの悲愴感をより一層、讃えていた。
本郷は腰をぶるっと戦慄かせ「ふう」と満足そうに溜息を漏らした。
「うぇっへっへ、最高の口マンコだったぜ、シンジ」
そう言いながら、本郷はシンジの柔らかな黒髪を撫でる。
やっと終わったという安堵の気持ちが、
本郷にしては珍しい優しい愛撫を安らぎへと変えていった。
だが、安心をすると、下腹部の痛みが激しくなってくる。
「うぅ…、先生ぃ、それより早くぅ…」
お腹を押さえ、もじもじと太腿を摺り寄せるシンジ。
そうとう我慢をしているのだろう。
額にはじっとりと脂汗が浮かび、彼の必死さを物語っていた。
「お、何だ? 何を早くして欲しいんだ?」
余裕のないシンジに向かって、本郷はしらりととぼけてみせる。
「と、トイレに行かせて下さい…、もう、が、我慢できないんです…」
ハアハアと息を切らし、顔に付着している本郷の濃いザーメンも満足に拭かず、
シンジは目の前の教師に哀願をする。
「なんだ、あれぽっちの浣腸でもう限界か? ったく、根性のねぇ奴だな」
散々、馬鹿にしたような口調で揶揄をする。
初めて多量の薬剤を腸内に押し込められたのだ。
数分で全てを吐き出すのを本郷は分かっていた。
だが、いかにも自分が人より劣っていると思わせるのがサドスティックの狙いだった。
本郷は面倒臭そうに顔を歪め、
再び部屋の奥に入り、メタリックに光る金属の洗面器を持ってくる。
それを見た瞬間、シンジは自分の恐ろしい考えに、軽く目眩を覚えた。
まさか、と思った。幾ら何でもそんなことをさせるわけがない、と。
「おら、四つんばになって、脚を開けよ」
シンジは未だ信じられぬという面持ちで、言われた通り脚を開く。
すると、本郷は開かれた脚の間に、金属の洗面器を宛がった。
「せ、先生、あの…」
「お前みたいな淫乱なガキが俺と同じトイレを使うなんておこがましいんだよ。
犬みたく玄関でするのがお似合いだ」
「そ、そんな、嫌だッ! トイレに…、はぅッ!」
シンジの懇願も空しく、窄まりに嵌っていたアナルストッパーは外された。
つかえを失ったシンジの排泄穴からは、情けのない放屁音が飛び出してくる。
羞恥を感じ、お尻の穴を引き締めてみるものの、無駄な抵抗だった。
強制的な便意はまるで嵐のように、シンジを襲いかかる。
下腹部は音が鳴り、痛みも増してくる。
きゅうっと唇を噛み締めて、床をカリカリと爪で掻く。
最早、一刻の猶予もなかった。せめて視線を遠ざけるためにシンジは本郷に
哀願をする。
「あ、あぁ…、見ないでよぉ…」
「おいおい。見られたくないんなら我慢しろよ。
別に糞をしろって頼んだ覚えはねーんだぞ?」
暴れまわる腸の辛さ、人前で排泄の我慢に悶絶する所を見られ、
シンジの頬は真っ赤に染まる。
呼吸の間隔が短くなる。ひぃひっと、まるでしゃくりあげるような息の仕方だ。
「も、もう。だめ、ぇ…、あぁぁ…」
シンジの身体からふっと力が抜ける。
今まで力を入れていた括約筋が緩む。
可愛らしい唇から零れ落ちる声とは不釣合いな
下品な排泄音が玄関に木霊した。
「へへへ、やっぱり、見て欲しかったんだろ?
とんでもねえガキだな。こんな奴が地球を救うエヴァパイロットなんてな、
ちゃんちゃら可笑しくて、笑っちまう」
「み、見ないでぇ…、や、やぁぁ…」
幾ら小馬鹿にされても、一度や駆動し始めた腸は止まらない。
シンジは咽び泣きながら、排便を続けていた。
汚れた窄まりを浴室で洗い落とす。
いくらシャワーで、汗や汚物を流しても爽やかな気持ちには為り得る筈もなかった。
本郷は「一人で洗えるだろう?」とからかうような口調で、
シンジを浴室に行くように命じた。
途中まで、本郷も一緒に浴室内に入っていた。
その際には、シンジの身体に指一本触れることはなかった。
代わりに、すぐ横でシンジが汚してしまった洗面器を顔を顰めながら洗っていた。
狭い室内では、本郷の洗う様が否が応でも目に入る。
それがシンジの恥辱を余計に煽った。
洗面器を汚したシンジには全く否がなかった。
多量の浣腸をされたのだから仕方ない。
しかし、自分の汚物を拭き取る本郷を見て、
申し訳ない気持ちが湧いてくるのも、また事実だった。
浴室からあがると、家の奥から声が聴こえてきた。
どうやら先に上がった本郷が誰かに電話をしているみたいだ。
やけに丁寧な口調で、恭しく電話の相手に一応は敬意を払っているようだった。
「ええ。大丈夫です。この調子なら、一週間もあれば…。
お願いしますよ、その際は。
そう…、ええ…、はい、期待してて下さい。
ん? あぁ、来ました。話しますか?
……くく、冗談ですよ。それでは」
電話をしていた本郷がシンジの存在に気付くと、
挨拶をそこそこに受話器を置いた。
そして、本郷はまたシンジの菊座の周辺に媚薬入りのローションを
たっぷりと塗り込んだ。ぬるぬるとした感触が心地良く思わず、声を上げてしまう。
以前までは不浄の穴に触れられても不快感しか残らなかったが、
今や、本郷好みの穴へと調教されつつあった。
情けない気持ちになるも、強力な媚薬が効き始めると、
シンジの思考能力は衰え、まともに物を考える事もできなくなり、
その気持ちも頭の片隅に追いやられていく。
逆にシンジの肉体は熱を帯び、ムズムズと下腹部は疼き、
じっとりと肌はいやらしく濡れ始める。
また、あのプラグを欲してしまう。認めたくはなく首を振るが、
朦朧としてきて、頭がうまく働かない。
火のような息を吐き、足取りがふらふらとなる。
朝からのむごい仕打ちにシンジの体力も限界なのだ。
隣にいる本郷に寄り掛かりそうになったが、最後の理性で何とか踏み止まった。
狭い室内に連れて行かれる。服も着させては貰えなかった。
白い裸身で、天井から舞い落ちる電灯の明かりを浴びながら、辺りを伺った。
部屋には簡素なベッドが一つあった。パイプベッドで実に古そうだ。
シーツも汚い。ベッドの近くには電気スタンド立てがあったが、電球は付いていなく
その役割を果たしてはいなかった。
「さあ、お愉しみの時間だぜ、シンジ」
本郷はそう言うとシンジの肩を抱き、馴れ馴れしく唇を寄せ、
ねっとりとシンジの舌に吸い付き、唾液を絡ませた。
従順に云う事を訊くか試しているかのように。
「う、ぅん……、んんぅ…」
先程の言いつけ通り素直に唾液を嚥下するシンジだが、
その心中は嫌悪で満ち溢れていた。
正に本能だった。無意識下で、本郷を敵と認識しているのだ。
それでも悲しいかな、媚薬に蝕まれているシンジの肉体は
口内の粘膜の刺激に、ゾクゾクとした快感をもたらせる。
「へへへ、これなら前戯はいらねえなぁ」
「ふぁ…、あ、あぁ…」
本郷はぽってりと膨らむシンジの菊座を擦りながら言う。
柔らかな尻朶をたぷたぷと弄んだ後、
横に開き、劣情を誘うアヌスを明るい蛍光灯の下へ曝け出した。
シンジのソコはぬるぬると濡れそぼり、本郷の言葉どおり準備万端であった。
おまけに少し触れただけで、ソプラノ調の喘ぎを奏でるシンジ自身の感度も抜群だ。
「それにいい匂いだ。俺の為によぉく洗ったみてぇだな」
本郷はシンジの両脚を広げて、ピンク色の窄まりに鼻先を近づけ、
くんくんとあからさまに鼻を鳴らし嗅ぐ。
何とも言えぬ、汗と石鹸が混同した甘酸っぱい匂いがした。
シンジは最早、抵抗する気力も無いのか、いやいやとかぶりを振るだけだ。
「へへ、さて…」
そう言って、ベッドに膝を突き、本郷はスラックスのベルトを外し、
己の肉棒を取り出した。絶倫の本郷のソレは先ほど欲望の液体を
吐き出したばかりだというのに、大きく反り勃ち、凶悪さを醸し出していた。
「あぁ…」
シンジはちらりとそれを見て、溜息を洩らす。
ここから幾ら抵抗をしても無駄だろうと悟ったのか、シンジの表情は曇った。
かくんと項垂れて、じんわりと目端を潤ませる。
それを見て、本郷は少しばかり残念に思った。
もう少し、足掻くなり、泣いて懇願するなりしてくれれば、
更に燃えただろうに、と自分勝手な考えを頭の中に巡らせる。
だがすぐに、まあいいか、と本郷は取り直した。
あの生意気なシンジが意気消沈している所を
散々、嬲るのもまた一興だ。
くくく、と含み笑いをする。
本郷は元来の冷酷さで、今のシンジに対して違う喜びを瞬時に見出した。
「挿れちまうぞぉ。へへ、シンジの処女は俺の物ってわけだ」
凶悪なイチモツの先端を局部に近づけ言うが、シンジに反応は無い。
本郷は腕をにゅっと伸ばし、シンジの顎先を掴む。
「あッ・・・」
「『僕の処女を貰って下さい』だろ?
俺のチンポをお前の中に挿れてやるんだ。
『お願いします』ってぇ言葉も聞きてぇーなぁ」
グッと声を詰まらせる。死んでも言いたくのない言葉だろう。
でも、シンジは言わざる得ないのだ。
きついおしおきに耐える体力も、気力も、少年の中には残っていやしまい。
「ぼ、僕の・・・処女を、も、貰ってください…」
「お願いします、だろ?」
「お、お願いします、ほ、本郷先生ぃ・・・」
言いながらいつの間にか目端に溜めていた涙をボロボロと
頬に流していた。口惜しいのだろう。悔しいのだろう。
その表情を眺めるだけで本郷の嗜虐心は大いに擽られる。
ひっくひっくとしゃくり上げ、憂いた表情のまま本郷と視線を合わそうとしない。
おそらくはそれがシンジのせめてもの抵抗。
まだそんな気概が残っているとは、本郷は素直にシンジの精神の強さを認めた。
「お願いをされたら仕様がねえなぁ」
認めながらも、最後の仕上げはしなければならない。
仕上げというより、とりあえずの本郷の欲望の到達点だ。
艶やかな稜線を描く少年のヒップを鷲掴みに割って、
硬化した肉の棒をシンジの菊門に宛がい、
ずいっと腰を押し出し、先端部分だけ挿入を試みる。
拡張の甲斐があって、にゅるりとローションと分泌液が合わさった
禁断の入り口は容易に本郷のモノを歓迎した。
「おぉうッ!」
思わず本郷は短く吼えた。念願のシンジとの交合なのだ。
感嘆の咆哮を上げたくもなる。
ついに入ったのだ。自制が利かなくなるまで、
このまま奥までぶち込み、気を失うまで腰を叩きつけたかった。
だが、それでは勿体無い。挿れるまではじっくりとシンジの顔を愉しもう。
本郷はゆっくりとシンジの中を堪能して、
少年の表情を見ながら、腰を押し進めた。
「あッ、うっ!」
シンジは眉をしかめ悩ましげに苦悶の表情を浮かべる。
それがあまりにも悩ましげで、本郷は感激した。
こんなに色っぽい顔を出来る中学生はいない。
喘ぎが零れるたびに、きゅっきゅっと中が締まり最高の愉悦を味わう事が出来た。
お世辞でもなんでもなく、本当にシンジは極上のアナルの持ち主だった。
ズンと一突きさせて、シンジの反応を愉しむ。
「んんぅッ!」
また入り口がいやらしく締まる。本郷は嬉しくて堪らなかった。
この犯し甲斐のある少年をこれから陵辱し続けられる現実に。
目の前の男は腰を押し進め、
今まさに欲望の肉塊をシンジの中に挿れようとしていた。
朝から酷使され続け、体力も精神も完全に磨耗して、抵抗する気も起きなかった。
唯々諾々とこの現場を受け入れて、本郷のモノを受け入れよう。
辛いのは最初だけさ、酷い仕打ちを受けるよりかは少しはマシだ。
シンジは半場自暴自棄な気持ちで、事の成り行きを伺っていた。
既に心を閉ざし、シンジの中にいるもう一人の自分が、無関心を決め込もうとした。
これは幼少の頃より培った生活が生み出したシンジに付き纏う悪癖だ。
何ら解決しない。そんなことは分かっている。
だけど、仕方ない、どうしようもならない。
それだけの理由で現実から目を背けてしまっている。
この第三東京市に来て、少しは変わったとシンジは自分で思っていた。
ミサトに会って、綾波に会って、トウジに会って、ケンスケに会って、
ヒカリに会って、アスカに会って、エヴァに乗って少しは変われたと。
だが、それはどうやら勘違いだったのだ。
人はそう簡単には変われはしない。
「お願いします、だろ・・・」
顎を掴まれた。そして、言葉を復唱させられた。
無関心を決め込もうとしたのにボロボロと涙が零れる。
言いたくなかった。でも、言わなくては酷い目にあう。
復唱する事に少しも葛藤しない自分が情けなかった。
「お、お願いします。本郷先生ぃ」
おまけに本郷の神経を逆撫でしないように媚びるような声を出していた。
自分にこんな適応能力があるとは思ってもみなかった。
本郷は下卑た嗤いをして、じりじりと腰を推し進めた。
にゅるっとローションが滑り、
シンジの菊門は本郷のペニスをいとも簡単に受け入れてしまった。
今までの無機質の物体とは違う極太の本郷のイチモツは
シンジの中を圧迫させる。
「あッ、うっ!」
声が出る。なんとも鼻にかかる甘ったるい声だった。
自分が嫌になる。苦しいはずなのに、
快感が排泄穴に集中してしまう。
肉の快楽だけがよぎったのは入り口までだった。
奥に進むごとに痛みは増し、快感は遠くにいく。
無機質とは違う脈動する肉塊のシンジは弓なりに仰け反り、
その熱い本郷のペニスを強制的に自分の中で味わされてしまった。
きっと本郷もそこそこの太さのプラグを使用していたのだろう。
本郷のおとこにぴっちりと吸いついてしまい、シンジの菊座を強く圧迫する。
ズンと一度、腰を動かされただけで、
シンジの腰骨は中から刺激されたように響いた。
あまりの痛さにシンジは目をしぱしぱさせた。
「あぐぅッ! 痛ぃよ、抜い、て、抜いて先生ぃ!」
正に魔性の快感だった。
苦痛を声に出すシンジだったが、少しばかり時間が経つと、
媚薬のおかげで肉体は痛さの中に快楽を、
苦しさの中に最高の愉悦を見出している。
それが怖いのだ。不浄の穴との交合で感じてしまう自分に。
シンジはいやいやと首を振り、泣いて目の前の男に情けを請う。
恥も外聞もなく縋りだす。
無論、本郷が許す筈もなく、逆にニヤリと嗤い、
ついに腰を大きくグラインドし始めた。
「あんッ、いや、だぁ! 許して、お願いし、ますからぁ」
声が途切れ途切れになる。
「へへへ、これぐらいで音をあげちゃあ、これからがキツイぜ」
朝からシンジに奉仕させた本郷はまだ余裕があるようだった。
涙でぐちゃぐちゃの顔を見ながら、激しく腰の律動を繰り返す。
「許し…んんぅ、んぅッ、あぁッ!」
本郷は己の鍛え上げられた腹筋をシンジの腰にぶつけるように
下半身を動かす。動かす度にシンジはいい声で啼き、
きゅんとアナルを締めるので、本郷は益々、動きを激しくした。
「おぉう。すげぇ。やっぱりお前のケツは最高だ。
今日、明日、いや、これからずっと一日中抱いてやるからよ。有難く思えよ!」
「はふッ…っあぁ、うくぅっ!」
もう懇願する余裕も無い。
ただ本郷を喜ばせるだけの喘ぎ声を発し、
迫り来る快感を必死で拒絶するだけだった。
下半身は敏感なのに、頭が朦朧としてくる。
アナルは無意識に収縮を繰り返し、本郷のおとこを締め付ける。
うおお、と本郷は吼えた。
「いいぞ、シンジ。とうとう俺を悦ばせる穴になってきたな」
本郷はそっとシンジの頬を撫でる。
「お前も気持ちいいだろ? 正直に言ってみろよ」
「あンッ…はいぃ…、気持ちいいですぅ…
あ、あぁ…、やんッ!」
嬲られ続けたシンジはついに思考を放棄して、
今の快感を正直に告白する。
言葉にしてしまえば不思議とすっと痛みも和らぎ、
肉の愉悦が下腹部を中心に拡がっていく。
もっと痛みを緩和させたかった。
苦痛なんていらない。気持ちいいことだけを感じていたかった。
シンジは「あんッ」と、快楽にだけ身を委ね、艶っぽい喘ぎを出す。
それだけで、楽になった。もっと楽になりたくて、
シンジは本郷を悦ばせるような声を次から次へと発した。
「よぉし、正直なお前にご褒美をやるよ!」
本郷はシンジの両の太腿を肩にかけて、
思う存分体重をかけ、直腸をガンガンに突いてきた。
おまけに本郷はシンジの男性器を扱き、同時責めを開始した。
頭が真っ白になる。男性器は溶けるように気持ち良かった。
一瞬にして快楽の頂に昇りつめる。
「あ、ぐぅ…、あんッ、あんッ! だめぇ、弄んないでよぉ」
まるで少女のようにハスキーな声を零しながら、
シンジはその容赦無く降りかかる性の愉悦を享受した。
何も考えられない。考えたくない。
「ぐうッ…、すげぇ締め付けだぜ、シンジ」
自然とアナルは締まったようだ。だが、今の性に狂ったシンジには関係ない。
ただ、肉の快楽を味わうだけだ。
本郷の腰は震え、びゅるっとシンジの中に先走りの汁が吐き出された。
「あぁん、あんッ、先生、先生ぃ…」
「お、イクのか? 初めてなのにエロイガキだな!
そんなに俺のチンポがいいのかよ!?」
「はいぃ…、いいです。今までのよりずっとぉ…」
無機質なアナルプラグよりも何倍も気持ち良かった。
腰の動きを早められる。結合部はぬちゃぬちゃと音を立てている。
「すげえ音だな。お前のケツが出してんだぜ!?」
「ご、ごめんな…、さぃ…」
本郷の揶揄ももうどうでもよい。
口端から涎を垂らし、相変わらず顔は涙で濡れている。
だが、その表情は本郷を昂ぶらせる淫靡な物だった。
ますますやる気を出してシンジにありったけの奔流を与える。
熱くマグマのような肉をお腹の中に感じ、
シンジの性感は更なる高みに昇りつめた。
「あッ、はぁぁっ!」
シンジは妖しく笑いながら、ビクンビクンと身体を仰け反らせ、絶頂に達した。
本郷の手にはべっとりとシンジのミルクが付着している。
前と後ろを同時に達してしまった。
それは人を狂わす禁断の快楽だった。
「なんだイッちまったのか? 俺はまだだぞ」
「あ、あぁぁ…っ…んぅ…」
シンジがアクメに達しても本郷の腰はの動きは緩む事はなかった。
少年は本郷が射精するまで、何度もイキながら、
だらしない喘ぎを、本郷に聞かせていた。
「くひぃッ…、あ、あんッ。ふぁぁ…」
「もっと聴かせろよ、いい声を。おらおら!!」
「また、イッちゃぅん…、あ、やぁぁッ!」
がしがしと執拗に腰をぶつけ、シンジの腸壁を肉の腸壁で抉る。
一度、肉の交合の甘美さを知れば、もう耐える術は無い。
しなやかな肢体をくなくなと揺らし、何回も絶頂を味わさせられた。
「ほら、イクぞ。俺のザーメンをしっかり呑めよ!」
一際、大きく吼えて本郷は己の欲望をシンジの中に飛散させた。
びゅるびゅると今までに無いぐらいの量を、シンジの腸内にぶつける。
だが、その時にはシンジは既に気を失っていた。
「なんだ、だらしねぇ」
気を遣りながら気を失ったシンジを見下ろし、
本郷は満足そうな声を室内に響かせた。
シンジがその重い瞼を上げる前、何もかもが夢であればと心から祈った。
身体の節々は酷使されズキズキと痛む。
なのに頭は朦朧としていて、思考を纏めるのに苦労をした。
媚薬の効力が切れかかっているとはシンジには知る由もない。
うっすらと瞼を上げて寝たまま今の状況を把握しようと努めた。
汚れたシーツに包まっている。窓が無い部屋のようで、辺りは薄暗かった。
ベッドの脇に役割を果たしていない電気スタンドがポツンと置いてあった。
やはり夢ではなかったのだ。
シンジは覚醒する前に行った嬌態を思い出す。
恥ずかしくて恥ずかしくて死にたくなるような行為だ。
あろうことか卑劣男に鼻を鳴らし媚を売ってしまった。
シンジは己の肩を抱き、悔しさで溢れる涙を堪えようとした。
ジャラリと音がした。
そこでシンジは初めて自分の腕に何かが巻かれていることに気付いた。
鈍く光る手錠が右手首に付けられ、その手錠から重そうな鎖が生えている。
鎖はベッドの柱に繋がれて、シンジの自由を奪っていた。
「あ…、くそ……」
おそらくは本郷の仕業だ。逃げられないようにと。
しっかりと鍵がかけられ外すこともできない。
シンジはしばらくジャラジャラと鎖を鳴らしながら、
四苦八苦しながら脱出を試みたが、徒労に終わった。
相変わらず身体は気だるかったが、状況が分かってくると次第に頭が冴えてきた。
やはりここは大人しくしていて、助けを待つ方が懸命なのだろう。
連絡が無いまま日々が過ぎれば葛城家の面々も不審に思って、捜索してくれるはずだ。
第三東京市に来て初めて家出をした時に捜索してくれたあの黒いスーツを着たネルフ職員。
諜報部員だっただろうか?
きっと彼らが助けてくれるはずだ。実に他力本願だがシンジは彼らに縋るしかなかった。
本当を言うと彼らに頼るのは嫌だった。
しかし、自力で逃げ出すのが困難な状況になってしまっている。
シンジは縋るべき希望が欲しいのだ。誰かが自分を救うという希望を。
本郷が現れたのはシンジが覚醒をしてからしばらく経った頃だ。
監禁されている部屋には時計は無く時間の経過を確認する事も不可能だった。
おまけに窓も無いので、夜なのか朝なのか昼なのか、シンジには判断できない。
恐らくは本郷は意図的にシンジの時間という概念を奪っているのだ。
ここに来たのは金曜の夜。あれから一日ぐらい経ったかもしれない。
だが、断定は出来ない。シンジは無駄だと知りつつ本郷に日にちと時間を訊いてみた。
案の定、本郷は答えなかった。そんな事を言う義務は無い、とでも言いたげな表情で。
それに、例え本郷が時間を答えたとしてもそれが真実かどうか調べる手段はシンジには
持ち合わせていないのだ。日付を表示する携帯電話も制服のポケットの中だ。
─携帯電話?
そうだ。携帯電話にGPS機能が付いているのだ。
助かる。調べればここの居場所は容易に知れることだろう。
シンジは心の奥底でホッと安堵の溜息を吐く。
もう少し。もう少しだけ我慢をするんだ。
この男はもうすぐ捕まる筈だ。
シンジは潤んだ瞳を肩で拭った。
もう泣く必要は無い。本郷に心から媚びを売る必要も。
シンジは己を奮い立たせ、今度こそ悪教師と立ち向かう気概を心の中で打ち立てた。
「へへ、一緒に風呂でも入るか? そこで思う存分、愉しもうぜ」
そんなシンジの心情の変化を知らない本郷は変わらぬ高圧的な態度で命令をする。
彼の言う通りシンジの全身は汗や体液でどろどろだった。
身体には本郷の臭いが染み付いているようで大いに不快でもある。
全てを洗い流したいというのはシンジの正直な気持ちだった。
それに表面上は本郷に従っていた方がいい。
携帯の機能に気付かれて、場所を移されたら全てがご破算になってしまうのだ。
シンジが黙って頷くと、本郷は下卑た嗤いをした。
手錠は外され、シンジは本郷に抱きかかえられたまま浴室に向かうことになった。
逃げる気を起こさないように後ろ手に手錠で両手を拘束されたまま。
本郷は歩きながら愛らしく丸みがあるヒップを揉みしがれながら、キスをせがんでくる。
まるで恋人気分だ。嫌々ながらシンジは本郷の舌を受け入れる。
ぬるりとした大きな舌がシンジの口内を這い回る。
舌と舌を無理矢理絡ませて、シンジの口粘膜を舐りまわす。
もう少しの我慢だ。シンジは自分に言い聞かせて、
本郷の魔手も口付けへの不快感にも何とか堪えた。
「おッ!? 昨日のが残ってたか?」
歩きながら揉まれるシンジのお尻の窄まりからは
本郷の欲望の残骸が太腿を伝ってとろりと滴り落ちてくる。
本郷はそれに気付いてエロイ尻だ、とまたもや嗤った。
浴室でも本郷はシンジを玩具にして遊んだ。
石鹸を身体中に塗させ、シンジの肌をスポンジ代わりにさせて
本郷の肉体を洗わせたのだ。
その男好きの娼婦がするような卑猥な行為は、
少しでも本郷の臭いを断ち切りたかったシンジにとって屈辱以外の何物でもなかった。
本郷の肌に触れる度に臭いが身体に染み付くようで、嫌悪する。
「シンジの肌は本当にすべすべで柔らけぇなぁ。
これから毎日してもらうか。お前の身体も同時に洗えて一石二鳥だ」
シンジが自分の思うが侭になっていると思い込んでいる本郷は
全身を遣って奉仕する少年をいたく気に入って頭を撫でる。
シンジは黙って頷く。もちろん演技だ。
唇を噛み締め、屈辱を隠す。
我慢だ。堪えるんだ。
「黙って頷くんじゃなくて、声を出して返事しろよ」
シンジは本郷の言葉で顔を上げる。
本郷のにやける面がシンジを恐怖させる。
身体が硬直する。シンジの肉体が昨夜の陵辱を覚えているのだ。
「は、はい。ごめんなさい…」
シンジは慌てて返事をする。反射的な行動だった。
そして、つるりと滑らかな肌を遣ってせっせと奉仕に励む自分に自己嫌悪をする。
身体を遣って目の前の教師を満足させるのは演技だ。いや、演技のつもりだ。
だが、頭で演技と言いつつも、心で従属していたら意味が無いのではないか。
シンジは一瞬そんな事を思ったが、自分が分からなくなりそうで怖くて思考を放棄した。
ただ義務的に本郷の身体を綺麗にさせる、その一心で肢体を動かした。
胸で本郷の背中を洗うまではまだマシだった。
だが、腹や脚まで洗うとなると本郷のペニスが間近に来ることもあり
不快の極みだった。本郷はそれを分かってか、時折、シンジの柔らかな頬に
己の肉塊を擦り付けて少年の反応を愉しんだ。
ひとしきり身体を動かすと本郷の許しが出て、やっと身体を休める事が出来た。
終息した安心感と、義務的な仕事を終えたような満足感がシンジを包んだ。
その満足感が知らず知らずの内に隷従していくことにシンジは気付かない。
休む時間もそこそこに、今度は本郷の肉棒への奉仕を強要された。
今さっきまで手の平に石鹸を塗して綺麗に扱き洗い立てたペニスは
昨日の荒淫への疲労も見受けられず、完全に復活をしていた。
鎌口はシンジを狙い、その凶暴な性をギンと誇示していた。
「まずは訓練しないとな。お前には才能があるんだからな、シンジ」
本郷は浴室のタイルの上にドシリと胡坐をかくと、シンジの唇を待った。
咥えろと本郷は顎で命令をする。シンジは今にも隙を見て逃げ出したかった。
だが、両手を後ろ手で拘束されていては、本郷が目の前にいる今、脱出も難しい。
シンジは悲痛な面持ちでタイルに膝を付くと、
本郷のオトコに花びらのような小さい唇を近づけていった。
「馬鹿野郎! もう忘れたのか!?」
吐息が近づく距離までペニスに顔を寄せると本郷の怒声が飛んできた。
何故、怒鳴られたか分からぬシンジは顔を上げた。
本郷は悪鬼の如くシンジを見下ろしながら、手を振り上げている。
「す、すみませ…ッ」
シンジは無様にも頭を下げる。怖い。やはり怖かった。
あの手の平がいつ飛んでくるか。シンジは恐怖で全身を硬直させた。
「しゃ、しゃぶらせて戴きます」
シンジはそれを口にすると、殴られないように慌てて先端にキスをする。
これは媚びじゃない。自分を守るためだ。
シンジが幾らそう心に言い聞かせても、本郷にとってはそう変わらない。
命令どおり奉仕をしているのだ。何の問題があろうか。
「ふんッ、まあいい。まずはフェラチオの練習だ。俺の言う通りにしろよ」
「はい…」
射精するまでシンジは本郷に奉仕していた。
両手が不自由なので、以前よりもやり難くかなりの時間がかかってしまい、
顎が疲れ、息をするのも億劫になりそうだった。
しかも、長時間フェラチオの仕方まで教え込まれ、
今やアヌスに続いて口までも本郷用のおしゃぶり穴に調教されつつある。
「ツボを掴んだか?」
本郷の心無い言葉にシンジはブルッと身体を震わせた。
未だに服を着させてもらえず、バスタオル一枚身体に巻いている所為ではない。
怖いのだ。本郷に殴られる恐怖ではない。
自分がひどくいかがわしい物となり、
そのまま戻れなくなってしまうという絶望感がシンジを襲っているのだ。
シンジは早く助けに来てくれることを心から祈った。
浴室から上がると、軽い食事を受けさせられた。
全く食欲は無かったが、食べなければ身体が持たないだろうと思い、
無理をして食べ物を胃の中に押し込んだ。
そんなシンジとは対照的に本郷は無神経にガツガツと食事をしていた。
食後、時間を置かずに本郷はシンジを襲った。
両手を手錠で拘束させたまま、後ろからシンジを突いた。
今回はシンジの全身にあのローションを塗りたくり、
ぬらつくシンジを眺めながら、本郷は思う存分シンジを犯した。
最初こそ声を殺していたが、やはり媚薬が効いてしまっているのか
シンジはその内、濡れた声を出し、いやらしく喘ぎ始めた。
叩かれる恐怖も覚えていたが、あの快楽も肉体に染み付いてしまっているのだ。
「あんッ、あんッ!」
「へへへ、そんなにいいのかよ?」
「うくっ、いいで、すぅ。あふぁぁ…」
長時間、敏感な内部を抉られてしまってはシンジに堪える術もない。
怒涛のように快楽は押し寄せオルガズムの波に溺れていく。
昨夜と同じく何度もイキ、今日抱いた気概も忘れるぐらい本郷に媚びを売る羽目になった。
「ダメっ、そんなに強くし、たらぁ、やぁ!」
「ったくエロイガキだ。この前まで何も知らねーって顔してやがったのによ。
おら! イっちまうごとに、イクって言ってみろよ。
何回イったか数えてやるよ」
ガシガシと荒々しく本郷はシンジの腸壁を突きまくる。
「あぅん、イクっ! イっちゃいますぅ!」
ビクンビクンと肢体を震わせてシンジは叫ぶ。
本郷が一度射精するまで何度もイキ、
本郷はその度にスケベな奴だ、などとシンジをからかった。
計三回ほど中に出すと、本郷は満足して休憩に入った。
しかし、シンジには休む時間を与えてはくれなかった。
菊座に人間のペニスを模したバイブを挿入されたのだ。
革のベルトでしっかりと固定された上に、
前で両手を拘束されたのでは外すことも出来ない。
シンジはひぃひ、と蚊の鳴くような声を出しながら、その仕打ちを受けていた。
しかも、そのバイブはランダムに震えてシンジの粘膜を刺激してくるから始末が悪い。
いくら細くてもシンジのアナルに挿さっているのには変わらない。
うつらうつらと刺激に馴れ、やっと睡魔がやってくると、
バイブが絶妙のタイミングで震えてシンジの睡眠を阻害する。
こうしてシンジは満足に寝ることも出来ず、
永遠とも思える長い調教を受けることとなった。
その日を基点に何十回とシンジは犯された。
眠られぬシンジは時間の流れが不鮮明で、今日が何日目かも分からなかった。
寝不足気味な頭もそれを増長させていた。
もう一週間経ったかもしれない。
いや、まだ一日も経過していないのかも。
時間の感覚を奪われたシンジにはそれすらも分からなかった。
だが、確かな事は結局、助けは来なかった。
数日経った頃だと思う。正確には分からない。
シンジが一際激しく犯された後、制服を着るように云われた。
力が入らない身体に鞭を打ってシンジは本郷の命令に従った。
陵辱され続けたシンジはもう逆らう気も起きない。
ここに来て以来、久しく袖を通すそれにシンジは不可思議な感慨を覚える。
そして制服を着たまま本郷とマンションを降りた。
外は暗かった。懐かしい匂いを孕んだ外の風がシンジの肌に触れた。
感慨もそこそこにシンジはそのまま本郷のジープに連れ込まれた。
「ど、どこに?」
助手席に座ってやっとシンジは口を開かせた。
相変わらずアナルにはプラグを嵌められているので解放されるわけではないだろう。
本郷はシンジの質問に面倒くさそうに答える。
「ああ、そろそろ頃合だ。お前をある人の所に連れて行く」
「ある人?」
「訊くな。会えば判るんだ」
本郷はいたく機嫌が悪かった。
無言のまま車は走り続け、大きなビルに到着した。
「何処なんですかここ? 僕をどうする─」
言い終わる前に車から下ろさせられる。
本郷はシンジの腕を掴んだままそのビルに入っていった。
本郷が向かったのは地下だった。
エレベーターを使わずに、階段で降りていき、広い廊下へと出た。
突き当たりには頑丈そうな扉があった。
その横には1から9までのボタンが備えられている。
どうやら暗証番号を押さなければ入れない仕様になっているらしい。
本郷はそのボタンを押す。
インターホンから声が聴こえてきた。
本郷は「例の少年を連れてきました」と悔しそうに云った。
扉が開く。中は薄暗かった。
部屋にはいくつかのブースが点在している。
室内を歩く時、中を覗くと男女の交合が垣間見え、シンジは慌てて目を逸らした。
ここは男女の戯れの場所だ。
もしかしたらここで酷い目にあわされるのだろうか?
シンジの菊穴はきゅんと切なく疼いた。
既に一週間という過酷な色責めでシンジの情欲は制御できぬ程、膨れ上がっていた。
お尻の絶頂とは裏腹に射精は数える程しかさせて貰っていないのだ。
否が応でも貪欲に性を欲する肉体に仕上げられていた。
だが、シンジの期待が入り混じった不安とは裏腹に、更に奥へと連れて行かれた。
途中で、そのビルの従業員らしき人物が現れた。
話が通っているらしくシンジはそこで本郷と別れた。
「またな」
本郷は呟く。シンジは何も答えない。
本郷と別れられてシンジは一瞬、言い様の無い解放感に包まれた。
だが、良く考えてみれば事態は解決したわけではないのだ。
これからどこに連れて行かれるのか不安が再びもたげてくる。
やや前を歩く従業員の後をシンジはついていく。
従業員はタキシードを着て、髪の毛をピシッとポマードか何かで固めている中年の男だ。
でっぷりと腹が出ていて、あまり好感の持てるタイプではなかった。
それは本郷と知り合い─かどうかは判らないが─ということに起因しているかもしれない。
かなり話しかけづらい。本郷のようにこの男も豹変するかもしれない。
「あの…」
しかし、何処に連れて行かれるのかという不安に押し潰されそうになった
シンジは意を決して従業員に声をかけた。
「どうしました?」
男は振り向かなかったが、丁寧な口調だった。物腰も柔らかい。
その態度に肩透かしを喰ったシンジは続く言葉を言いあぐねた。
「今日は…、何日ですか?」
出てきたのはどうでもいい質問だった。
確かに気になるが今は関係ない。
男はこちらを振り向き、やや面を食らった表情をした。
そして、前を向き直り今日の日付を教えてくれた。
本郷のマンションに連れ込まれてから一週間経っていた。
シンジは急に恐怖に駆られた。
そんなに時間が経過しても誰も助けてはくれなかったのだ。
シンジは異世界に放り込まれたような気分になった。
一度、家出したときも位置を割り出して迎えに来た筈なのに。
そんな事を考えている内にその部屋の奥に着いた。
奥の壁には扉があり、その脇には二人の黒服を着たSPのような男が立っていた。
中年が手を上げるとSPの片割れは扉を開け、更に奥に進むように促した。
再び大きな廊下に出る。
廊下には番号が振り分けられた扉が何枚も並んでおり、まるでホテルのようだ。
太った中年はそこで止まりシンジが向かうべき部屋の番号を告げて、出てきたドアへ戻っていった。
「くれぐれも失礼のないように。機嫌を損ねたら大変なことになりますよ」
中年はそうとも告げた。
シンジは最早、逃げられなかった。
この廊下に出てきた以外の扉を探そうとしても、あるのは壁と番号が振り分けられた
部屋だけで非常口も見当たらない。
シンジはガタガタと脚が震えている自分に気付いた。
怖かった。恐怖が胸の中を浸食していく。
シンジは目元に涙を溜めながら、告げられた番号の付いた扉をノックした。
扉が開く。開いた瞬間、シンジは我が目を疑った。
「ようこそ、おいでくれました…」
迎えてくれたのは自分とはさして年も変わらぬぐらいの少女だった。
シンジは思わず目の前の女性から視線を逸らし、彼女の足元に目を遣った。
自分の目を疑った理由は…。
扉を開けた少女が半裸に近い格好をしていた訳ではない。
恐る恐る視線を上げていく。
露わになっている太腿。お腹。はだけている胸元。
見てはいけない。それでも凝視してしまう。
視線を背けた理由は…
肌に痛々しい縄の痕が付けられているからでもない。
鎖骨。首。顎。
視線を上げていく。
少女と目が合った。
少女は虚ろな瞳だった。憔悴し切って、生気が感じられない。
ふわりと愛らしい柔らかな髪も、今の彼女には不釣合いだ。
それでも来客を迎えようと無理矢理造り笑いをしていた。
それはおそらくは仕込まれた笑顔だった。
口調が慣れているのだ。ヒドク義務的な感じがする。
だが、シンジと視線が合うと、
みるみる焦点が定まり、口元を小さな手の平で覆った。
「シンジ…」
少女は抑揚の無い小さな声で少年の名を呼ぶ。
霧島マナがそこにいた。
『本日、わたくし、霧島マナはシンジ君のために
朝6時に起きて、この制服を着てまいりました』
目の前の少女の表情はあの日あの時あの時間、
霧島マナが見せた健康的で美しい笑顔とはあまりにも違いすぎた。
シンジは彼女の格好を改めて下から上へと視認して、魅入ってしまっていた。
肩にかけられている極細のストラップは申し訳程度な面積の布を垂れ下げ、
マナの小ぶりな乳房を何とか覆っている。
そのまま両肩から降りる布地は下腹部まで交わることは無い。
マナは臍まで外に曝け出す露出の激しい黒のドレスを着ていた。
ひらひらと薄いスカート部位は太腿のほとんどを見せるほど短い。
刺激的過ぎるマナの大胆な姿にシンジは、しばらくの間、身動きが取れなかった。
霧島マナもまた動かなかった。まるで静止画像のように二人はじっと見つめ合っていた。
「さあ、お客様こちらに…」
先に動いたのはマナの方だった。
マナはシンジを部屋の奥へと招き入れる。
やはり義務的な仕草だったが、マナの瞳の色が先ほどとは違っていた。
目の奥には生気が宿り、さっきの危うさは幾ばくか薄れていた。
「う、うん」
シンジはこの異様な雰囲気に当てられたのか、
マナの後にさして疑問を湧かずについていってしまう。
というより、マナがここにいるとなると逃げ出したい気持ちなど
シンジの中で何処かに消えうせてしまっていた。
マナを一人残して逃げるなど出来る筈もない。
マナの後ろを歩きながら廊下を進む。
ぷりぷりと肉の詰まった臀部が揺れるのを見てシンジは
マナがノーパンである事に気付いた。
少女とは思えない濃厚なフェロモンを放つマナの後姿に
かつて見た健康的な美しさを重ね合わせてシンジは苦悩した。
きっとここで酷い目に合っているのだ。
年端もいかない少女の扇情的な格好がそれを物語っていた。
あのような姿を強制されているに違いない。
シンジはそう確信しつつも、少女の魅力的なヒップを
見続けていると邪念がよぎってしまう。
頭を振り、マナに対して抱く邪な劣情を振り払うが、
マナが向かった先はバスルームだった。
「あっ、マナ!」
脱衣場に着くなりマナはするすると着ているドレスを脱ぎ始めた。
シンジは慌てて目を手の平で翳し、その姿を見ないようにした。
「お願いシンジ。貴方も脱いで」
マナは何とも色っぽい声を出す。
指の隙間からは彼女の着ていた黒色のドレスは全く見えず肌色だけが見える。
マナは既にドレスを脱ぎ終え、生まれたままの姿らしい。
やはりシンジの予想通りブラジャーもパンティも身に付けていなかったようだ。
脱衣する時間があまりにも早すぎる。
「だ、ダメだよ、マナ…」
シンジの声はか細い。マナは静かにシンジの制服のシャツのボタンを外し始めた。
ぴったりとシンジに密着されるマナの肢体からは
見ていなくても魅力的な曲線が容易く想像できる。
「うふふ、平気よ。わたしは痛い事なんかしないわ」
マナは気になる一言を告げ、あっという間に制服のシャツは脱がされる。
次にマナはズボンのベルトに手をかけた。
触れられた瞬間、シンジは不味いと思った。
何故なら少年の男性器はマナの肉体に反応をして勃起してしまっているからだ。
「あ、あぁ…」
マナの指先がそっとシンジの局部に触れる。
それだけでシンジは抵抗が出来なくなった。
男の指とは違う端正なそれにシンジは溜息を吐いた。
シンジの腕は弛緩してだらりと垂れ下がった。
すると間近にマナのヌードが視認できて、小さなペニスはピクピクと震えた。
マナはその動きに乗じてブリーフと共にズボンを下ろされると、
ピンと小さな男性器が露わになる。
陰部の周りには繊毛も少なく、剥けきっていない未成熟なペニスを
マナに見られシンジは頬を羞恥に染める。
「はぁ、これがシンジのおちんちん…」
火のような吐息をシンジのうなじに投げかけると
その小さな男性器を目の当たりにしてマナは労わるように下腹部を撫でる。
蔑むというより、膨張しているシンジのおとこを鎮めることの出来ない自分を
歯痒く思っているような印象を受けた。
「ああ、辛そう。おちんちんをこんなにして、苦しいのねシンジ。
でも、ごめんね。今、貴方を慰めることは出来ないの」
声が外に漏れぬように耳元で囁くと、マナはシンジの背中に腕を回す。
そして、ゆっくりと臀部のくぼみを撫でるように指先を這わし、
縦割りの中心にある窄まりに触れた。
「あ…っ」
思わず濡れた声を漏らすシンジ。
少年のソコにはぴっちりとアナルプラグを嵌められている。
敏感な腸内粘膜は僅かな刺激でも感じてしまう。
そう少女の指先がプラグに触れただけでも鋭敏に。
だが、そればかりではない。
アナルが封じられている今の自分を少女に気付かれたことに
シンジはどうしようもなく恥じた。
耳まで紅くして、シンジは今にも泣きそうなぐらい瞳に膜を張った。
「大丈夫。分かってるわ。シンジもあの人から罰を受けたのね。
だけど仕方ないの。悪いのはわたし達なのよ。
でも、ここに来られた事は幸せよ。ここの御主人様はとても良くしてくれるわ」
マナの瞳はまた生気を失っていた。
とろんと陶酔したかのように、あらぬ方向を見ている。
「ま、マナ、どうしたんだよ! し、しっかりしてよっ!」
密着されながらもシンジはマナの肩を抱き、軽く揺する。
肛門に挿入されているプラグに触れられているというのが何とも情けない。
それでも、シンジはマナの異常な態度を心配する。
「ふぁぁ・・・、あぅ・・・」
だがシンジの言葉はマナの行動で中断された。
ぬぬぬとマナの細い指先でゆっくりとシンジのアナルプラグを引き抜く。
肛門には快感と羞恥が入り混じり熱く疼いた。
短期間ではあるが本郷に調教された結果である。
「マナぁ・・・」
女の子のような声でシンジは目の前の少女の名を呼ぶ。
マナの肩をひしっと掴み、肛門から淫具を抜かれる快感に堪えようとする。
マナは実にエロティックに微笑み、
当のシンジが喘ぐ姿を「可愛い」と眺めている。
もっと見たいと言うかのように瞳を淫惑に滲ませながら、
マナはピンク色の舌を覗かせた。
やや体勢を落として、ぺロリと濡れた舌でシンジの淡い乳首を舐める。
啄ばむような絶妙な刺激にシンジは背中を仰け反らせた。
もう片方の乳蕾を指先で軽く擦り、シンジの劣情を促進させる。
「ふぁ…、マナ、やめ、てぇ…」
そんなマナの淫らな責めに晒されて、
悶えながらもいよいよ彼女に強い不審をシンジは抱いた。
おかしい。いやそもそも何故マナがここにいるのか。
『あの事件』以来、シンジはマナに会っていない。
居ない筈の少女がここにいること自体、実に不可解で、
それがシンジから根こそぎ現実感を奪っているのだ。
時間の感覚を奪われ、現実感すらも。
まるでシンジは悪夢にうなされているような錯覚を受けた。
「大丈夫、わたしは平気よ。悪い娘なのわたしは。
ここにシンジが来てくれた時は吃驚したけど、
きっと御主人様が貴方を誑かした罪を償うために呼んでくれたのね」
最後にちゅっと乳首にキスをしてからシンジの頬を優しく撫でた。
そして、マナはガラス張りの扉を開けて、「おいで」とシンジをバスルームに誘い入れる。
「僕を誑かしたって─、マナ!」
シンジはマナに追う格好で浴室に入っていった。
中は6畳程の広さを持つ浴室だった。
浴槽には湯が張り、もうもうと湯気が立っている。
「さあ、座ってシンジ」
マナはタイルの上に膝を付き、腰掛けを持ち、
しなやかに腕を舞わせ、そこにシンジが座るように促した。
「マナ、マナ。いいんだよ。僕に嘘をついてたことなんてもういいんだ。
だから、そんなことしなくても…、君が償う必要なんて無いよ。
そんなことよりマナが生きててくれた事の方が僕は嬉しいんだ」
シンジはマナの手を引き、立たせようとしながら必死の説得をする。
どう見てもマナの様子は尋常じゃない。正気ではない。
洗脳。マインドコントロール。聞き慣れぬ単語がシンジの脳裏を掠める。
「うふふ、いいの。シンジはやっぱり優しいね。
だから、わたしはシンジのこと──」
言い終わる前にマナはシンジの口に花びらのような唇を寄せた。
不意の行動にシンジは目をしぱしぱとさせた。
マナとのキスは本郷のソレとは違っていた。
「ん、ぅん、ちゅっ」
唇は柔らかく、舌の感触が気持ちいい。
そして、なにより女の子の唾液の甘い事。
マナは自分の舌を積極的に絡め、シンジの口内粘膜を刺激する。
猫がじゃれあうかのようなその動きにシンジは翻弄され、
まるで口腔をマッサージされている感覚に次第に身体の力が抜けていく。
シンジは異性とのキスに酔いしれ、酩酊したかのように頬を赤らめた。
マナはそんなシンジの肩をそっと抱き、
キスをしながらゆっくりと姿勢を落とさせて、
先ほどから持っていた腰掛けに座らせた。
「ふふ、どうだった、シンジ?」
唇を外して、唇と唇の間に銀色の糸を引かせる。
マナはシンジの呆気に取られながらもキスに感じた表情を見て
蠱惑的に笑った。そして、背後に回ると膝をつき、
シャワーのノズルを開き、熱い湯をシンジに浴びせかけた。
スポンジを泡立て、弄るように洗う。
そして、優しい手付きでシンジの身体を清め始める。
「んんぅ…」
今まで本郷により酷使され続けていたシンジの身体の芯は
くすぐったいような柔らかいスポンジの感触に甘い声を漏らした。
「痛い?」
マナが訊いてくる。
痛い筈が無い。シンジは首を振るう。
「身体を綺麗にしなくちゃね。
初めて御主人様と会うのに汗臭かったら嫌われちゃうわ」
そう言いながら、マナは汗と体液でどろどろの身体を拭う。
久方ぶりにさっぱりとできて嬉しいが、
元通りの綺麗な肌になる一方で、どうにもシンジは落ち着かなくなる。
今のマナの待遇を訊かなければならないというわだかまりが
シンジの胸中に澱のように溜り、小さな警鐘を鳴らしているのだ。
場合によってはここを今すぐ脱出しなければならない。
マナが何を言っても、彼女と一緒に。
ここは危険だ。本郷との体験で成長した第六感が警告をする。
「あの先生に犯されるのは試練なのよ」
「あの先生?」
「本郷先生」
唐突にマナは喋る。本郷の名前を聞き、瞬間、くらっと目眩がした。
マナも本郷に陵辱されたのだ。シンジは本郷の手によって連れてこられた。
このビルと本郷が繋がっているのは明白だ。
もしかしたらシンジが犯された部屋で彼女も厳しい責めにあったのかもしれない。
そう思うと、シンジは喉がカラカラに渇くのを感じ、
本郷に対して強い怒りを覚えた。
絶対に許すことができない。本郷も、御主人様なる人物も。
──だけど
シンジに何が出来るのだろうか。
女の子のように華奢な身体で、彼らに向かっていけるとは思えなかった。
助けを呼ぼうにも外との連絡が取れないであろう今の状況では、それも無理だろう。
しかも、当の陵辱されたマナに至っては、先程、一瞬だけ正気に戻ったように見えたが、
今は瞳の色はすっかりと変わり、まるで暗示をされているかの如く、とろんとさせている。
シンジの身体を清める彼女は中学生らしさが微塵も感じられず、
男好きの娼婦のような雰囲気さえ醸し出していた。
丹念にスポンジで身体中を愛撫され、シンジの白い肌はすっかり綺麗になった。
結局、浴室では有力な情報は手に入らなかった。
下手に質問を投げかけて、マナの機嫌が損なわれれば
後の脱出にも彼女は抵抗するかもしれない。
マナはシンジの肌に付着する水滴すらもタオルで拭った。
シンジには余計なことはさせたくないのか、
恐らくは御主人様の命令なのだろう。
相変わらず全裸で魅力的でスレンダーな肉体を見せつけるマナ。
シンジはそんな彼女を極力、視界に入れないようにしたが、
どうしても見てしまう。見なくても、そんな女の子が近くにいると思うと
少年は痛いぐらいペニスを膨張させてしまう。
男の本能であったが、シンジは欲情してしまう自分を猛烈に恥じた。
─これじゃあ、本郷と変わらないじゃないか!
マナを助けようとしているのに、勃起させているなんて。
前を隠すが、マナには気付かれているようだった。
「シンジ、苦しそうだね。大丈夫。許しが貰えればいつでも
鎮めてあげれるから、それまで我慢してね」
シンジの肌を拭いながら耳元で熱い吐息を吹きかけるように囁く。
それだけでゾクゾクとしてしまう。
そして、悲しいことに窄まりの空白感にどうしようもない物足りなさも感じた。
腋窪も、どこもかしこも拭われる。シンジの敏感な反応を愉しむように、
マナは丁寧にタオルをシンジの肌に這わせていった。
─変だよ。僕…、おかしいよ。
下腹部が疼く。早く欲しのだ。もっと直接的な刺激が。
やっと拭き終わった。最後にお尻のあわいまで拭われてシンジは感じてしまっていた。
小さな包茎ペニスをタオル越しとはいえ触れられた時など、
包み込まれているタオルに危うく射精をしそうになった。
ぐっと歯を噛み締めて、なんとかそれに堪えると、哀れな瞳でマナを見遣った。
胸を熱くさせながら、出したいとペニスは揺れる。
そんなシンジを尻目にマナが着替えを渡してくれた。
「マナ、これって…」
「うふ。シンジにきっと似合うって御主人様が。
わたしも似合うと思うな。さ、着てみて」
「で、でも、これ…」
丁寧に畳まれた紺色の衣服の上に女物のパンティがあった。
嫌な予感がして、服を広げてみると、
まずはひらひらのスカートが目に入った。
純白のパンティを床に落としたことも気付かずに肩部分を摘んで
服の全体を見回してみた。
全身を隠すように布面積は大きい服だった。
スカートの裾からはみ出る白いフリルが愛らしい。
もう一着、マナは身に付ける物を渡す。
こちらも純白の色をしたエプロンだった。
エプロンと一緒にやや紅いリボンも付いている。
シンジはこの衣服を知っている。
コスチュームプレイでなければ一般の女性でも永遠に切る機会が無い代物だ。
これを着ろ、と言うのか。
シンジはちらりとマナの様子を伺った。
「大丈夫よ。きっと御主人様も褒めてくださるわ」
妖しく笑いながらマナはシンジに近づき、衣服を着させようとする。
「じ、自分で着れるよ」
「そう? なら、いいんだけど…」
こうしてシンジはこの状況に流されるように女物の服に袖を通した。
最後に散々悩んで純白のシルクのパンティも穿いた。
ここは御主人様という人物に表面上従ったように見せた方がいい。
つるりとした船底の部分が、膨張しているシンジのペニスを擽る。
先端から出る汁がパンティを濡らす。
マナの前で女物のショーツを穿くという行為が
シンジの倒錯した愉悦をもたらした。
「ん、ぅ…、見ないでよ…、マナ…」
「あぁ…、可愛いシンジ。見ないなんて無理。
やっぱり御主人様の見立て通りとっても似合う」
マナはシンジの黒い髪を優しく撫でて、キスを仕掛けてくる。
─ああ、またぁ…
巧みな少女の口内愛撫にシンジは抵抗が出来なかった。
マナの錯乱に付け込んで恋人のような接吻を興じていることに
シンジは自分自身を嫌悪する。
「ちゅっ、くちゅっ、うぅん…。シンジ、好きよ…」
「あ…、んんぅ…、僕も…、あぁ…、僕もだよ…」
だが、どうにもならない。倒錯した状況に昂ぶったシンジに抗う事はできなかった。
異性とのキスがこんな気持ちの良い物だとはシンジは知らなかった。
熔けるような唇の感触とマナの甘い言葉。
「んふぅ…、んんぅ、ん…、ひんじぃ…」
マナの鼻息も艶めかしい。
滑るようにマナの舌は侵入して、シンジの舌と絡んでくる。
吸われ、舐められ、唾液を流し込まれる。
本郷に対しての憎しみも、マナを召し使う御主人とやらへの怒りも
あえなくシンジの頭からは消えていった。
少年の思考は次第に蕩けていく。
メイド服を着て従順に仕えているように錯覚する被虐の炎がシンジの芯を焼くのだ。
シンジは奈落に堕ちていくかのように、
女装したままマナとの密戯を数分にかけて行った。
広い空間だ。
その空間の中心に三人の男達が一人の少女を取り囲み、嗤っている。
天井から艶めかしい色合いのライトが男女達を照らす。
ふわりと愛くるしい筈の少女の栗色の髪は、汗や男達の体液でべっとりと濡れていて、
今や見る影もない。少女はそれに構わない態度でエロティックに裸体を揺らし、少女は三人の男達の陰茎に奉仕をしていた。
獣欲で漲らせた男の屹立したイチモツは触るだけで、先端から汚汁が滲み出し、
マナの身体を汚している。あまりの濃厚な性臭でマナは、時折、眉を顰めている。
屈強な体躯の男達を一生懸命、射精に導こうとする彼女は実に辛そうだ。
少女の瞳はうんと媚びを含み、少しでも発射を早めるように努力をしていた。
むふんむふん、とねっとり頭にこびり付くような甘ったるい鼻息は、
つい数時間前、シンジに施した口内奉仕よりも情愛を帯びているように感じるのは、何故だろうか。
栗色の髪の少女は、その薔薇のような唇に男のペニスを咥えている。
右手にはもう一人の男の肉刀が。左手も同じように握って、扱いている。
その様子をシンジは為す術もなく見続けていた。
瞼をきつく閉じても、否応にも卑猥な唾液の音が耳に届いてくる。
「クク、見なくていいのかね?
君の所為で霧島マナは犯されようとしているのだよ」
シンジの背後にピタリと付いている老人が愉快そうに嗤う。
「へへ、本当にいいんですか? 俺がこの娘の処女をいただいても」
「ああ、いいとも。さあ青葉、思う存分に姦り賜え」
男の一人、青葉シゲルがマナの頭を撫でながら、老人に尋ねる。
許しが出ると、青葉はもう我慢できないと訴えるかのように、
少女の唇から己の肉刀を外し、他の二人に目配せをした。
少女の咥内から抜き放たれる時、絶妙な部分を刺激されたのか、
青葉は、おう、と小さく呻いた。
そして、にやけた顔でマナの小さな身体を押し倒し、硬い床の上に仰向けにさせた。
青葉は霧島マナの脚を開脚させ、
己の屹立する肉棒を乙女の秘腔に宛がった。
「あぁ…、青葉さん…、やめて、もうこんな事、やめて下さい…」
シンジは何とか声を絞り出し、青葉の行為を止めようとした。
だが、その声は震えている。
その震えはマナに対する男達の暴虐への憤慨でも、怒りでもなかった。
ましてや何も出来ぬ己への不甲斐無さに対する情けなさでもなかった。
怖いのだ。恐怖がシンジの芯を支配して、無意識に震えを起こしている。
怖い。この場にいる男達の存在が。いや、この獣欲の臭いが漂う、この空間が。
逃げ出したかった。すぐにでも、ここから逃げたかった。
「ほぅら、マナちゃん。先っぽ、入ったよう」
青葉はマナの乳房を両手で揉みながら、徐々に腰を押し進めていく。
シンジは俯き、その凶行から視線を背けようとしたが、
背後にいる男がくいっと顎を摘み、無理矢理、マナに目を向けさせる。
「シンジ君、見なさい。きみの所為なのだよ。
きみの所為で霧島マナは、きみの前で、きみに捧げる筈だった純血を
他の男に奪われることになったのだ。
ほら、しっかり見なさい。きみの罪を霧島マナが代行して償っているんだ
見ないふりはないだろう」
「マナ…っ、マナッ、マナ! 僕の…、僕のせいで…」
──きみの所為、きみの所為、きみの所為きみの所為。
しわがれた老人の声が頭の中で折り重なり、リフレインする。
青葉は乙女の純血を愉しむように、ゆっくりと貫いていく。
──僕の所為、僕の所為、僕の所為僕の所為ぼくのせいぼくのせい。
シンジの視界がぼやける。泣いているのだ。
その霞む視界で、マナの秘腔から、赤い鮮血が流れ出るのをシンジは確かに見た。
ぶぅん、と耳障りだけれども、ひどく聞き覚えのある振動音がシンジの耳に届いた。
「大丈夫だったかね、シンジ君? 全く、あの男は加減と云う言葉を知らんな…」
不安で表情を曇らせているシンジを気遣いながら初老の男は目尻に皺を寄せて嗤う。
だが、細める目の奥に潜む蛇のような眼光はシンジを簡単に射竦めた。
目の前の男もまた本郷と似た気質を持ち合わせているのだろう。
鈍く光る両眸にシンジは本郷に今まで受けていた仕打ちを思い出し、肩を抱き細かく身震いさせた。
年老いた男は椅子に座って、シンジをじっと見据えている。
真っ白なテーブルクロスを張られた長いテーブルを挟んでシンジも同じように席に着いている。
テーブルの真ん中には趣味の悪い磨きかかれた金の燭台が一つ。それに血のように紅い数本のキャンドルが灯されている。
その横には細長く恐ろしいまでにバランスの悪そうな花瓶が一つ。
下品な装飾が施されていて、見ているだけで不快になりそうだった。
美しい白い百合が活けているのがせめてもの救いかもしれない。
男は自分の前に並べられている食事に手を付け、
時折、女装姿のシンジを眺め、肴にするように実に美味そうに咀嚼している。
嫌味なぐらい豪勢な食事だった。シンジのお腹は、脳の中枢を刺激されコロコロと音が鳴った。
「どうしたのかね、食べなさい。お腹が減っているのだろう?」
男はかくも優しくシンジに語りかける。確かに、老人の言う通りシンジはひどく空腹だった。
本郷宅では食事の時間はおろか、飲み水も満足には取らせては貰えなかったのだ。
だから、シンジはどうしようもなく飢えていた。このまま目の前の食事を胃に流し込み、
ベッドで眠れたらどんなに幸せだろうか。シンジは美味しそうな食事を眺め、ゴクリと喉を鳴らす。
きつい調教で、心が折れかけているシンジはその誘惑に一瞬、身を任せたくなった。
─だけど。
シンジは顔をもたげ、目の前の老いた男に再び視線を送った。
男の傍らには恥ずかしげもなく裸身を晒しているマナを侍らしていた。
年端もいかない少女に正座をさせて、絨毯の上に座らせている。
マナは小首を傾げて、シンジに笑顔を見せる。
そんな彼女と視線がかち合いそうになると、シンジは目を逸らしてしまった。
逸らした後、視線が絡み合うことを避けてしまった自分自身にシンジは嫌悪する。
シンジは従者のように傅くマナを視界に入れることすら辛いのだ。
過去に瞼に焼きつくような屈託の無いマナの笑顔と、
今の彼女がどうしても重なり合い、比べてしまう。
もうシンジはそんな彼女を見ていられないのだ。
胸がざわざわとざわめく。ついに居た堪れなくなり、男に進言をする。
「あ、あの…、マナが…、その…。服を着させて、…辛そうだし…、それに、
ちゃんと椅子に座らせて…、あげて、下さい」
言葉が切れ切れになる。きちんと文脈が繋がっているのかどうかも怪しい。
シンジは正確に伝わったのか不安に満ちた顔をする。
男は目を細めシンジの言葉に何度か頷いて、納得したような素振りを見せる。
そして、シンジに対するのとは打って変わり、鋭い眼光でマナをねめつけた。
「霧島マナ。裸で座っていて辛いかね? そんなことはなかろう。
淫乱な身体をシンジ君に見ることができて、幸せだろう?」
「は、はい。マナは幸せです。それに可愛らしいシンジを見れて、嬉しいです。有難うございます」
そうだろうそうだろう、と男は再び数回頷く。
「確かに、よく似合う。もしシンジ君のお母さんが着たのならば、
今の君に負けずとも劣らず、とても似合っていただろうなぁ…」
男は感慨深そうに目尻に皺を作り、嗤う。
「それはそうと、霧島君。君のような女がシンジ君を呼び捨てにするとはどういう了見かね?
君は売られたんだ。私にね。いや、私の組織にね。
淫売の牝犬風情が、シンジなどと気安く呼ぶんじゃあない」
男の目はギラリと鈍い光を帯びる。シンジはその冷酷な両眸を見てゾッと背筋を凍らせた。
マナは即座にその声に、その眼光に反応をして、老人の方を向き直り、
床に両手を突きながら、半身を折り曲げて、額を床に密着させた。
「も、申し訳ありません。つ、つい…」
マナの声は恐怖で震えている。土下座をしたまま、
身体を硬直させて状態でブルブルと小刻みに震えさせた。
「謝るのは私じゃあないだろう。シンジ君に謝り賜え。許しを乞うのだよ。申し訳ございませんシンジ様、とね」
「は、はいッ」
マナは再びシンジの方向を正面に捉える。そして、老人にしたのと同じように深々と頭を下げる。
土下座だ。シンジにはその惨めな姿が正視できなかった。
「申し訳ございませんでした、シンジ様」
言われた通りに復唱をする。
マナの透明な声。以前教室で聞いた時と同じ声質だ。
可愛く澄んでいて、耳に温かい名残を残してくれる少女の声。
だが、その処女性を帯びた声の持ち主は、まるで奴隷のように頭を下げている。
居た堪れない。ぎゅっと胸が締め付けられるようだ。シンジは老人の方を見た。
老人は嗤っていた。口端を上げて、眉間に深々と皺を刻ませて、
困惑するシンジの様子を、さも面白そうに眺めていた。
「ふ、冬月さん、やめさせて下さい。こんなの…、マナ…が、可哀想です」
ついにシンジは目の前の男の名を呼ぶ。
信じたくなかった。そして、信じられなかった。
言葉にしてみれば全てが壊れてしまいそうで、
この部屋に招き入れられてから接見するまで、
彼の名前をどうしても呼べなかったのだ。
─冬月コウゾウ。ネルフの副司令。
「ふふふ、土下座ぐらいじゃあ、君の気が済まんのかね?
そうだろうそうだろう。この牝犬は君を誑かした女なのだからな」
冬月は立ち上がり、燭台から蝋燭を抜いた。
そして、何ら躊躇なく先端を下げて、マナの丸い臀丘めがけて蝋を垂らした。
シンジが声を発する間もない。煮え滾った蝋は重力の通り下に落ち、白い肌に紅い液体がポタリと付着した。
「ひぃッ」
瞬間、マナの身体は弓なりに仰け反った。
悲痛の叫びがシンジの耳に届く。
シンジは茫然とその光景を眺めている。何も言えない。止めることができない。
「熱いか、んん?」
冬月は床に片膝を付き、しわがれた声で訊く。グイッとマナの髪を引っ張り己の方に無理矢理、美貌を向けさせた。
老人の問いにマナは答えられなかった。ひぃひぃと息も絶え絶えに
うんと憂いを帯びた瞳で老人を見た。そして、当たり前の行為のように
冬月に唇を寄せて、当たり前のように老人の舌を貪った。
シンジはその姿を愕然と見届ける。見たくなどなかった。
先ほど自分とキスをした唇が老人の舌を味わう場面など。
だが、シンジの視線は魅入られたように二人の接吻に釘付けとなってしまっていた。
淫らな、卑猥な唾液音が広い室内に木霊する。
「やめッ─」
やめて下さい、とシンジは立ち上がりながら言いかけたが、
マナの恍惚そうな表情が視界に飛び込んできて、
中途半端に腰を浮かし、ピタリと動きがそこで止まってしまった。
─悦んでいる? いや、そんなはずは。でも…。
そう考えている内に熱いロウがもう一滴、マナの柔らかそうな双丘にかかる。
じゅっと音がしてマナのきめ細かな肌の上で少しの間、蝋が踊った。
「うぅんッ・・・、んんぅッ」
マナは苦悶するように眉間を寄せる。
辛いのだ。熱いのだ。痛々しい嬌態を見てるだけでシンジも同じ心持ちになる気がした。
蝋は空気に触れ、固まり、マナの尻肌にこびり付く。
だが、彼女は一向に接吻を止めようとはしない。
寧ろ、より興奮するかのように、マナは乱れ、悩ましく鼻で息をする。
互いの口内粘膜を舐らせあい、舌と舌を絡ませる。
「ふふふ、じゃれ付きおって。困った雌だ。シンジ君の前じゃないか」
老人はそう言いながらも、マナの口内を味わうようにゆっくりと唇を離し、
銀色の梯子を伸ばしていった。
キスの音が止むと、ぶぅん、と不快な振動音がより大きくなった気がした。
冬月は蝋燭を燭台に戻す。そして、やはり優しい微笑みをシンジにする。
「どうだね、もう霧島を許してやるかね?」
冬月の問いにシンジは中途半端に立ち上がろうとした姿勢で幾度も頷く。
頷けば、願いが聞き入れられるというように必死に。
無言で何度も何度も。マナを見る。マナは正座のまま、冬月の方を向いていた。
その横顔は冬月との接吻に酔いしれたようにうっとりとしていた。
それだけじゃない。熱い蝋燭に。犬のような仕打ちに彼女は花芯を焦がしていたのだ。
もう正視できない。既にシンジから正常な判断能力は消え失せていた。
ぶぅん、と不快で何処か耳障りな振動音がエンドレスで室内に流れ続ける。
音の出所は分かっている。シンジはマナの真白いヒップに視線を運ぶ。
やはり紅いロウがマナの尻肌にまばらな跡を作っている。
痛々しそうに、その周りはロウとは別に赤くなっている。
少女の縦割りの間から、ピンク色のコードが延びている。
マナが移動をしたおかげで、それが確認できた。
彼女の排泄穴には、おそらく異物が埋まっているのだろう。
それが休むことなく振動をしている音だ。本郷に自ら挿入されたローター音と相違している。
シンジは思い出し、頭痛がした。目眩も、だ。
酷いというよりもいつの間にかそれが埋め込まれたのか、という馬鹿な疑問が浮かぶ。
そんな意味の無い疑問など、この異常な空間では数秒も頭の中では維持できない。
夢なら早く醒めろ、と心の中で叫ぶ。
だが、紛うことない現実だ。
細かな振動にマナは感じてしまっている。
瞳が潤んでしまっている。
心から悦んでしまっている。
マナ、とシンジは心の中で少女の名を呼んだ。
だが、少女は振り向くことはない。ただ、冬月を見上げ切なそうに太腿を擦り合わせていた。
「気付いたかね? そうなのだよ。この牝犬は四六時中、尻が塞がれていないと
満足できぬ変態でな。さっきも早く挿れてくれと急かしよる。面白いぞ。後ろの穴は開発済みだ。
今や棒を挿れるだけでそこいらの娼婦にも負けんぐらいに、淫らに悶えよる。
だが、な」
そこで冬月は言葉を止めた。含み笑いをする。
下卑だった。どうしようもなく下品に口元を歪める。
全く本郷も面白い物を作りおる、と冬月は言う。
本郷…、やはりこの二人は繋がっているのだ。
ここに連れてこられ、冬月と会ったときから、予想はできていた事だったが、
シンジはショックだった。これで逃げ道は完全に断たれたことになる。
シンジへの調教も冬月が本郷に依頼したのだろう。
冬月は淀みの無い口調で、実に愉しそうに続ける。
「この犬は処女なのだ。まだ完全な牝には成り切れていない。
可笑しいだろう。尻に挿れれば、ひぃひぃよがるのに」
「そ、そんなの…、ひどいよッ」
シンジは思わずそう言葉を漏らす。だが、何が酷いのかすらシンジには分からない。
とうにこの世界はシンジの想像の範疇を越えていた。
「酷いものか。シンジ君、これは本郷の優しさであるのかもしれんのだぞ?」
「…、な、何が…」
言葉を返す事も出来ない。シンジはただ喉を息で詰まらせる。
「君に処女を与えてやろう。マナのおんなを君にやろう、という事だよ。
その真意が汲めなんだら、既に面白い趣向で霧島を完全な牝にしてやっただろうな」
─何を…、何を言っているのだ、この人は。
目が尋常ではない。だが、本気で言っているのだ。
ギラギラと双眸を光らせて、老人は口元を緩め、幽かに嗤う。
そして、マナの窄まりに指を挿し入れ、異物をますます深く埋め込んだ。
「あぅッ…、やぁ…」
「嫌かね?」
「…ふっ。んんぅ…、いいで、す…」
マナはうんと男に媚びる濡れた声で冬月の問いに応える。
最早、シンジにその刺激的過ぎるマナの嬌態から目を背けることはできなかった。
シンジの小さな男性器は、むくむくと盛り上がりスカートの中のシルクショーツの形を卑猥に変形させる。
シンジの様子を凝眸していた冬月は少年の身体の変化をすぐに気付く。
「くくく、どうやらシンジ君は、君の淫らな姿に興奮してしまったようだ」
冬月の言葉に慌てて小さなテントを作っていたスカートを隠す。
だが、もう遅い。ばっちりとマナにも冬月にも見られてしまった。
マナはまたもや媚びるような瞳で冬月を見上げた。
呼気は荒い。唇をだらしなく開き、何かを訴えている。
「あんっ、嬉しいです。でも、ご、御主人様…、もうマナは、マナは我慢できません。あぁ、お願いします…」
冬月は、構わんよ、と言いながら顎でシンジを指す。
マナは深々と頭を下げると、四つんばのままシンジの処まで這って来る。
臀部から出ているようなピンク色のコードはまるで尻尾のようだ。
まさに犬。冬月の言う通りマナは犬だった。
「マナ…」
搾り出すようなシンジの声もマナには届かない。
足元に来ると、目元を細め、シンジに微笑みかける。
「えへへ、お許しが出たの、シンジ様も聴いていたでしょ?
貴方の辛そうにピクピクしてるおちんちんをやっと鎮めてあげられるわ」
頸を僅かに傾げながら、シンジのスカートを捲り上げる。
紅い花びらのような唇がショーツの膨らみに近づく。
マナの濡れた吐息を感じて、シンジは思わず溜息を洩らした。
すんすんと膨らむフロント部分に鼻先を近づけてマナは臭いを嗅ぐ。
我慢汁が先端から溢れかえっており、マナの鼻先にあるシルクショーツは
恥ずかしいぐらい、完全に濡らしていた。
マナの鼻息を感じる度にシンジは鼓動が跳ね上がり、羞恥で耳まで真っ赤にした。
「感じてくれてたのね…、うぅん…、いい匂い」
指先で摘み、腰骨に引っかかるシルクを下げていく。
すると、ピンと未だ剥け切らぬ子供ペニスが露わとなった。
あられもないマナの嬌態を見続けたシンジのペニスは元気良く反り勃ち、
ひくひくと脈打っていた。
「うふふ、可愛いね。でも、おつゆが出てて、凄く苦しそう。すぐに楽にしてあげるからね」
「あ、ダメだよ、こんなこと…」
シンジの抵抗の声は弱い。最初から拒む様相を見せていなかった。
マナは唇を開き、竿部分をしっかりと手に添え、シンジのペニスの先端部分を口に含む。
一度憧れた少女が己の性器を呑み込む様はシンジを異常に昂ぶらせた。
ちゅう、と鈴口から先走りの汁を吸う。
下半身が呑み込まれる感覚。深く吸引されてシンジは声を漏らす。
同時に、お尻の筋がきゅっと締まり、腰を少し浮かせた。
「どうかね、シンジ君の味は?」
「あぁ…、美味しいです」
テーブルの向かいから冬月が言う、とマナは一旦、口を放し答える。
「ちゃんと皮を剥いてあげるのだよ。舌で綺麗に清めて、射精に導いてあげなさい」
「は、はい…」
マナは冬月の言いつけ通り、シンジの包茎ペニスの形を変えていく。
優しく先端の皮を舌であやし、丁寧に剥いて、ピンク色の亀頭を外界に晒していく。
「うッ…」
慣れない皮剥きに鋭痛が走った。シンジは僅かに顔を顰める。すると、足元に跪くマナと視線がかち合った。
上目遣いで心配そうに見つめるその瞳は、シンジを狂わすには充分な効果を発揮した。
「い、痛い…?」
マナが訊いてくる。マナの問いに応える前に、冬月は再び椅子から腰を上げた。
椅子の引く音を聞いて、マナの身体はビクンと震えた。
「全く、奉仕も満足に出来んのか?」
冬月がマナに近づいていく。手には、手には先程の蝋燭がある。
瞳はギラギラと獣のように光り、マナを同時に凝眸していた。
シンジに一瞥をくれると、ニヤリと嗤った。
「あぁ…、お許し、お許し下さい…」
シンジは唖然とその光景を見続ける。
止めなくては、そう思っても何故か声が出ない。
─怖いのか?
そう、シンジはあの蝋燭が自分に来るかもしれないことに恐怖を感じているのだ。
蝋責めが自分に来ないという保証は何処にも無い。むしろ、来る確率の方が高い。
一度それに気付くと、シンジは恐怖で身が竦み、何も言えなくなった。
蝋燭がマナの背中の上で斜めにされる。
真っ赤な蝋が背中めがけて落ちていく。
「ひぃッ!」
マナの悲鳴。熱い蝋が再び、マナの健康的な肌を焼いた。
目を背ける。とても見てられない。
それは冬月の凶行を止められぬ己の不甲斐なさから来る罪悪感からではなく、
熱い蝋がかけられる度にマナが浮かべる陶酔した表情に堪えられないからだ。
間近で見て確信した。マナはこの責めに快感を覚えているのだ。
マナには少女のような透明性も、初々しさも無かった。
ただ淫らに身体をくなくなと揺するだけだ。
シンジは口惜しさに唇を噛んだ。
「さあ、もう一度やりたまえ。今度、失敗をしたら承知はせんぞ」
「も、申し訳ございません…」
マナの目端から涙が零れていた。
熱かったから泣いたのか、気持ち良くて泣いたのか、シンジには判断がつかない。
また暖かで柔らかな舌がシンジの男性器に纏わり付く。
敏感な亀頭部分を舌で丁寧になめしていく。
舌先が鈴口に当たる。どんどんと溢れてくる汁を吸う。
そして、口を開いて先端に唇を当てると、ゆっくりと口内にペニスを入れていく。
シンジは見下ろし、その光景を眺めていた。
自分の男性器が消えていく。いや、マナの口腔に呑み込まれる。
小さなペニスは、あっという間に根元までマナの中に入っていった。
口内粘膜がシンジの全体を包み込む。ペニスが蕩けるような感覚だった。
これから少しでも動かされたら暴発しそうに、シンジは昂ぶっていた。
あまりの気持ち良さに声が出ない。ドクンドクンと心臓が蠢く。
マナは唇を根元から亀頭まで抽送しようとしてか、その美貌を動かそうとした。
舌の腹が竿に触れる。柔らかな粘膜がシンジを刺激する。
細い指先が陰嚢を軽く揉み込み、擽る。
マナは実に巧みな淫戯で、シンジの性感を煽る。
「あ…、ぅ…ッ」
シンジは仰け反った。ドッと額に汗をかく。腰が震える。
ペニスが熔けるようだった。
マナは眉を顰め、苦しそうに目を見開いた。
冬月は一瞬、訝しげな視線をシンジに送った。
が、すぐに得心がいったかのように嗤うと、席に戻っていった。
「ふふ…、シンジ君には刺激が強すぎたかな?」
「は、はいぃ…」
ビクンと身体が震える。
そう。少し動かされただけで、シンジは達してしまったのだ。
溜まっていたシンジのスペルマは、あっけなく暴発してしまった。
鈴口から勢いよく、スペルマが放たれるが、マナはペニスを一向に放す気配はない。
小さな排泄穴は本郷に陵辱され、生殖器は恋慕を抱いた少女に犯されてしまった。
「あぁ、マナぁ…」
硬く屹立するペニスが温かな唇に包まれる快感に、
発射する毎に、スペルマが呑み込まれるという心地良さに、
シンジは背を逸らし、天井を仰いだ。
そして、今まで溜まりきっていたザーメンを飛散するかの如く、
彼女のあえかな口腔に注ぎ込む。
何度も目の前で自分のペニスを頬張っている少女の名を呼ぶ。
「ふぐぅ…ッ、んぐぅ、うん…、うぅん…」
苦しそうだ。だが、一滴も零すまいと、一生懸命、飲み下している。
手で扱き、中の精液を余すことなく吐き出させようとしていた。
苦悶に満ちた表情で…、
でも、その顔は…、
やはり、シンジの目からは、
気持ち良さそうに見えた。
相変わらずマナは苦しそうでいて、それでいて悦楽の表情を崩さずに
シンジのペニスから、あどけない美貌をゆっくりと引き抜く。
「ん…、ぐむぅ…」
シンジの口からは声にならない声が漏れだす。
異性の奉仕はシンジに並々ならぬ快楽をもたらしたのだ。
惚けた顔で、シンジはマナを見下ろしていた。
「うん…、んんぅ…」
未だに口の中にシンジの濃厚なザーメンが残っているのだろう。
それほど大量に射精をしてしまったのだ。
マナは唾液を使い、瞳をうっすらと閉じて、懸命に飲み干そうとしていた。
無理をしなくていい。
そんな気遣いの言葉も出てこない程、彼女の精液を呑もうとする表情は官能的だった。
シンジはマナのいやらしい嚥下顔に見蕩れていたのだ。
まだあどけなさの残る少女の相貌に、
男のスペルマはあまりにも刺激的過ぎた。
絶妙のハーモニーになり、一層、マナの卑猥さを増長させている。
ゴクリと音を立てて、最後に残ったシンジの精の残骸を飲み下した。
あぁ、とシンジは溜息を出す。
「シンジ様のミルク…、大変、美味しかったです。ありがとうございました」
一歩、下がってマナは深々と頭を下げた。
いや、それは土下座だった。完璧に服従の意志を示す行為だ。
シンジは口元をだらしなく弛緩させ、そのマナの格好をぼんやりと見つめていた。
何も言えない。言うことなど……、無い。
マナの口腔を、不可抗力ながら溜りに溜まっていた欲望の捌け口としてしまったのだ。
情けない。恥ずかしい。だが、吐精した時の鮮烈な快感は、口では表せないほど甘美な物だった。
「くくく、どうやらシンジ君は、お前の口に出しただけでは物足りぬらしいぞ」
冬月が含みを持たす嗤いをする。そして、知らない内に何処からか持ってきたのか、
黒色のショーツをマナに手渡した。
シンジはそのショーツを視界に入れた瞬間、その円らな瞳を見開き震えだした。
ただのショーツではない。股間の部分に大きな張り型が備え付けられているのだ。
張り型は人間のペニスの形を模しており、隆々とその存在を知らしめている。
「え、いいんですか? 私なんかがシンジ様を…、その…」
「ああ、構わんよ。許可しよう。思う存分に愉しみ賜え」
狂った老人の考えている趣向はすぐにシンジは理解した。
マナはいそいそとそのディルドー付きのショーツに脚を通している。
シンジは恐怖で身体が竦みあがり、満足に身体を動かせないでいた。
「い、嫌だよ。そんなのっ! ─あっ!」
やっとの思いでシンジは椅子から立ち上がるが、
恐怖が浸食した脚はもつれ、慣れない衣服に身を包んでいたのが手伝ってか、
膝まで下げているシルクのパンティに足を取られ、
柔らかな絨毯の上に突っ伏してしまった。
うつ伏せで倒れこみ、マナに自分の臀部を捧げるように見せつけてしまった。
這って二人から遠ざかろうとしたが、すぐにマナにヒップを掴まれ、捕まってしまう。
「あぁん、逃げないで、シンジ様。大丈夫、お口でするよりも何倍も気持ち良くしてあげるから」
マナの指はシンジの丸尻に優しく食い込む。
「こらこら、いきなり挿れたら、シンジ君は痛がるだろう。
まずは優しく解してあげなさい」
「はい、御主人様」
マナは冬月に従って、シンジのお尻を手で開き、縦割りに唇を近づけていく。
「あぁ…、やめてよ。マナ…、そんなところ…、あぅ…」
「うふふ、シンジ様のココ、ひくひくしてて可愛いね。
待ってね、すぐに気持ち良くしてあげるから、きゃ」
シンジは窄まりに柔らかな感触を覚えた。
不浄の穴にキスをされたのだ。
ペニスをしゃぶられるよりも、数段上の辱めだった。
火のような息を吐きながらも、シンジは倒れこんだまま小さく喘ぐ。
「あ…ん、ダメ。汚いよぅ…」
口では拒んでも、シンジは感じてしまう。
今まで荒々しく扱われていただけのシンジの菊座は
マナの唇の愛撫にあっという間に篭絡していく。
たっぷりと唾液を塗し、腸管を舌で舐める。
こちょこちょと擽るように動かし、
シンジを小さく呻かせた。
「やぁ…、マナぁ…」
細波のように快感はシンジに打ち寄せてくる。
窄まりを中心にじんじんと疼き、ゆっくりと高みへと昇っていく。
それでなくてもシンジの菊座は、本郷の調教によって、
ただの排泄器官から性感帯に変貌してしまっているのだ。
敏感な内部を舌でしゃぶられてしまったら、シンジは喘ぐしかない。
事実、シンジは少女にお尻の穴を舐められるという辱めを受けながら、
身体は徐々に燃え上がり、肛門は物欲しそうに、ぷっくりと膨れ上がってきていた。
その快感を求める貪欲な肉体が、どうしようもなく忌々しい。
「あっ…、うぅ…」
シンジの背中が刹那、しなやかな弧を作るように弓なりに仰け反った。
マナの柔らかな舌が、ついにシンジの内部に侵入してきたのだ。
ぬるりとした感触が菊皺を伸ばし、窄まりがきゅっと収縮する。
シンジの菊門はいとも簡単に少女の可憐な舌を受け入れた。
あまりの恥ずかしさに。あまりの仕打ちにシンジの頭は焼き切れるように熱くなる。
マナの濡れた舌で菊座を弄られるという事実は、
それは本郷の責めよりも羞恥を呼び覚まし、シンジを恥辱の沼に貶めた。
「うふん、ちゅっ。可愛い、私の舌で感じてくれてるのね」
菊座を舐りながら、マナは問い掛けてくる。
「感じてなんかないよ…、あはぁっ、お願いだから、こ、こんなこと、もうやめてよ…」
嘘だ。少女の柔らかな舌が内部を抉るたびにシンジは甘美な快感を覚えている。
身体は正直な物だった。敏感な性感帯になっているシンジの菊門は、
みるみる熱くなり、爛れたように紅く変色していく。
少女ならではの柔らかい舌で突かれ、シンジは翻弄される。
ついにシンジの快楽は飽和状態になり、スカートの下ではシンジの未成熟なペニスはぴんぴんに勃起してしまっている。
先端から汁が滲み出し、スカートの内部をぬるぬるに濡らしている。
悟られぬように、太腿を合わせるようにもじもじと擦り付け、屹立を隠すよう試みるが、
やはり、マナにも冬月にもあっさりと看破されているようだった。
「ふふふ、どうやらシンジ君はきみの舌で発情してしまったようだ。
脚を擦り合せて、いじらしく勃起を抑えているみたいだな」
「そうですね。うふ。隠さなくていいんだから。大丈夫。また、すぐに気持ち良くしてあげる」
マナは舌を窄まりに差し入れながら、スカートの中に手の平を忍び込ませる。
きめ細かい太腿を擦りながら、シンジの下腹部へと昇らせて、
小さな膨らみにそれを被せる。
「あ、触らないでっ! 今、触っちゃったら…っ」
ビクンとシンジの身体は派手に跳ねる。
露わになる臀部の柔らかな肉は、いやらしく波打った。
マナの手にどっと熱い何かの感触で溢れた。
「あぁ…、すごいね…、さっき出したばかりなのに…」
はあ、と溜息を吐いた後、マナはスカートから手の平を取り出した。
その小さな手の平には白いヌルついた性の樹液がべったりと張り付いていた。
「うぅ…、触らないでって、言った、のに…」
発射してしまった。不意を突かれた格好だったため、
また菊座の舌愛撫の快感も相乗して、あっという間に射精へと導かれてしまった。
本郷の調教は中々、射精をさせて貰えず、相当、溜まっていたという理由もあるだろうが、
それでもシンジは恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなかった。
「ほら、見て下さい、こんなに一杯」
マナは冬月に見せつけるように精液で汚れた手を掲げた。
それを見て冬月は、ほう、と一言、息を吐いた。
「なんだなんだ。嫌そうに見えて、その実、この状況を愉しんでいるんじゃないか?
ならば遠慮はいらんな。おい、霧島マナ、そろそろいいだろう」
違う。愉しんでなんかいない。いない筈、だ。
そう頭で強く思っても、事態は好転などするわけもなく、
たとえ、似非だとしてもマナはシンジと繋がることが嬉しい、と云わんばかりに少年の桃尻を抱いた。
「さあ、見せておくれ、シンジ君。
きみの可愛い喘ぎを。きみが尻で恥をかく処を!」
「あ、あぁ、嫌だよ…、うぅ…んぐっ」
逃げようとする。だが、敏感な二点。つまり、ペニスと菊座を弄られた直後、
シンジの身体の筋は弛緩していて、満足に動かせなかった。
「あん…、逃げないで。あの先生のおかげで
お尻で感じることが出来るんでしょ。
大丈夫、私は優しくしてあげるから…、だから、安心して、ね?」
「でも…、でもぉ─、ふ、ぐぅ」
シンジが躊躇いを見せた時、マナが装着する張り型の先端がシンジの窄まりに侵入してきた。
ちょうど亀頭の部分を模していて、エラが張った部分である。
シンジはその野太い異物が身体の中に入ると、瞬いて、悲痛の呻きを漏らした。
解しが足りないのか。それとも侵入したのが異物ということが、シンジの痛覚を刺激するのか。
確かなことは、慣れぬディルドーでは、慣れぬマナの腰つきでは
快感よりも痛さの方が勝ってしまう。
「うぅ…、マナぁ…、あ、ぐぐぅ…」
身体の内部が圧迫されているようで、うまく声が外に出てこない。
マナもそんなシンジを気遣ってか、おっかなびっくりで腰を押し進め、
腸壁が抉られ、痛さが倍増する。
どうやらマナは慣れていないのだ。貫く行為は初めてなのかもしれない。
「ど、どうして? ねえ、痛いの、シンジ?」
「う、ぐぅぅ…、マナ、お願い、抜いて…、抜いてよっ!」
やっと声が出た。いや、口から発せられたのは哀願だった。
無機質の異物の侵入にシンジの菊門は悲鳴を上げた。
めりめりと大きく広げられ、激痛が走る。
シンジは泣き叫び、許しを請う。
「ほう、痛いのかね?」
「え?」
冬月が問い掛けてくる。怒気を強める口調だ。
シンジは鋭い痛みの中、老人の声を頭で反芻して、なんとか噛み砕き理解に努める。
「その牝犬にまた仕置きが必要かね?
きみが痛いと訴えるなら、やめさせよう。
しかし、霧島マナには、きみを苦しめたとして、それ相応の罰を受けることになるがね」
「そ、そんなぁ…」
老人はまたしても下卑た嗤いをする。
「シンジ…、私なら平気よ。どんな罰も受ける。
それが貴方を誑かした贖罪だもの。だから、正直に言ってもいいの…」
そう言いながら、マナは優しくシンジの肉丘をさする。
少しでも痛みを和らげようとする気遣いなのだろう。
だが、シンジの丸い臀部を撫でるマナの手が小刻みに震えているのが、分かってしまう。
どんな痛みも慣れる筈かないのだ。そんなことはシンジが一番、分かっている。
きっとシンジが肛虐を拒否してしまえば、
マナには辛く過酷な『罰』が待っているのだ。
でなければ、こんなにも手の平が震えることなどないだろう。
そんな仕打ちを我が身かわいさに、マナに受けさせるなんて。
──そんなこと、出来ないよ! 「う、ううん。痛くないよ。もっと…、もっとしてよ、マナぁ…」
非力なシンジに出来ることは、
マナを守るために出来ることは、
痛さに耐え、冬月が悦ぶような反応を見せることだけだった。
鼻にかかるような甘い息を吐き、シンジはわざと感じているような演技を始める。
ディルドーが入り口を抉る度に、腫れ上がるようにじんじんと痛む。
腸壁を異物が擦る。嗚咽を吐くような痛みに耐えて、シンジは声を出す。
「あんっ、マナ、気持ちいいよぉ…、あ、ぐぅっ…」
「本当? 本当にいいの?」
マナの問いにシンジはうんうんと頷く。
その少年の反応を見て、マナの腰つきはいやらしく、激しくなる。
腰を回転させて、ねっとりとシンジの中を弄る。
「うふ、嬉しい。もっと…、もっともっと気持ち良くなってね、シンジ」
ぶぅんと大きな音が部屋に木霊した。
同時にマナは、ひゃう、と呻く。
「ご、御主人様ぁ…、何を…」
「ふふふ、シンジ君と一緒にイけるようにしてやったのだ。
良い心地だろう。抉りながらナカで振動するのは…」
どうやら冬月が、マナの菊座に挿入しているローターの激しさを強にしたらしい。
振動する音が一際でかい。マナは喘ぎながらも、腰を振り続ける。 「んんぅ…、御主人様ぁ…、マナも気持ちいいですぅ…。あ、ぁ。ひぐ…」
「ふふふ、愛しの君と一緒に気を遣りそうか? いいだろう許可しようではないか」
たがが外れたように、マナは一心不乱にディルドーでシンジの腸壁を抉る。
恍惚の表情で、濃厚な汗の匂いを身体から撒き散らしている。
「ふッ…、んんぅ…、ぐッ…、あんっ! マナぁ、マナぁ…」
マナの匂いに中てられてか、シンジの切なそうな声が室内に響きだす。
いや、これが本郷の調教の賜物なのだろう。
痛さの中に快感を、屈辱の中に悦びを見出す。
そんな身体にシンジは変貌してしまっているのだ。
敏感な腸内を刺激され続けては、シンジも堪らない。
いつの間にか、痛みよりも甘美な悦楽がシンジを支配していた。
「あんっ、気持ちいいのね? 私も…、あぁ…」
やや痙攣しながらもマナは懸命に腰を振りたくる。
かつての少女の可愛らしさは既に無い。
貪欲に性を貪り、少年の尻を抉る牝がそこにはいるだけだ。
「ひぐっ、マナぁ…、うぅん…」
「シンジ、シンジ、シンジぃ…」
二人の艶っぽい声が室内に響く。
マナの抽送は衰えなかった。
懸命にシンジを痛みと性の高みの狭間を彷徨わせる。 老人はその狂乱の様を高らかに嗤いながら観察し続ける。
マナもシンジのよがりぶりを、ピストン運動をしながら見続けている。
二人の視線に晒されながら、シンジは少女の奥を抉る最後の一突きで、
絶頂を迎えさせられた。
「あ、うぅ…、んんぅっ!」
背を仰け反らせ、小さく呻く。
イッたことを隠すために唇を噛み締めて、声が外に漏れ出すのを防ぐ。
少女のお尻を弄られて達してしまうなど、屈辱以外の何物でもなかった。
「あぁ…、シンジぃ、私、ひゃうっ…」
一際大きく振動する機械音がシンジの耳を掠める。
少年の臀部を掴んだまま、びくびくとマナは身体を痙攣させた。
ほぼ同時に二人は肛辱の快感で絶頂を迎えてしまったのだ。
マナはガクガクと膝を震わせて、シンジの臀部を抱える姿勢を保ってられず、
少年の背中めがけて突っ伏した。
柔らかな少女の乳房を背中に感じ、シンジも床に倒れこむ。
二人は折り重なり、床にうつ伏せになった。
身体中にかく珠のような汗を塗り合わせ、
実に芳しい匂いを二人は発していた。
「マナぁ…」
「うふん…、シン…」
倒れこみ重なりながら寝そべるその姿は、
醒めぬ悪夢に怯え、少しでも恐怖を和らげるために
張りのある若い肌を擦り合わせながら、二人は達したばかりの身体を慰め合っているようだった。 絶望の淵に立たされても、霧島マナは深い充足感に包まれていた。
偽りの交合だとしてもシンジと一体になる幸せが感じられたのだ。
屈辱よりも、恥辱よりも、先立って彼女の心は幸福に満ち満ちていた。
マナは名残惜しそうに、さっきまで手に収めていた柔らかな尻肉を掴み、
ずるりと男の性器を模した黒いディルドーを引き抜いた。
「あ…、ぅん…っ、くっ…」
抜く際、シンジの色っぽく掠れた鳴き声が堪らなかった。
ぞくぞくと背中に電気に似た快感が走るのが分かる。
未だに腸内で振動するアナルローターの動きと相乗して、
マナは軽く達しそうになり、「うぅんっ」と切ない声を洩らした。
「あはぁ…、シンジぃ、すき、好き…」
霧島マナの思考が正常に働くことはなかった。
かつて自らの意志で、親友を助けようとした彼女の能動的な性格は、
今や見る影もなくボロボロに崩されていた。
本郷による肉調教と、老人の蛇のような苛酷な責めにより、
少女は望まぬ内に、身も心も男の性玩具へと堕ちてしまっていた。
何故、自分がこのような目に合っているのか。
マナはここに連れてこられてから、何度も繰り返された思考を
再び頭の中で積み重ね試みるが、
脳内は薄い膜が張られたようにぼんやりとして、
熟考する事が困難になっていた。深く考えるといつもこうである。
記憶がまともに再生されることはないのだ。
彼女の脳内で流れる映像はいつも唐突なのであった。
分断された記憶のテープがランダムに再生されてしまう。
最初の内は、この不可思議な現象に戸惑い、
自分は狂ってしまったのではないかと危ぶみもした。
少女のか弱い肉体と脆弱な精神では、おおよそ耐えられぬ色責めと
碇シンジに対する罪悪感が合わさり、マナという自我をとてつもない速さで壊れていった。
─シンジを裏切ったのだ。彼の純真な心を踏み躙ってしまった。
最初は裏切るという概念すらなかった。
自分の同僚を救うためにしたことで、
自身の行いは正しいとすら思っていた。
今となっては認めたくないが、初号機パイロットを利用することに
マナは何ら罪悪感を抱いてはいなかったのである。
時折、フラッシュバックするその事実がマナの胸を締め付けた。
苦しかった。シンジの顔を思い出すと息をすることも困難になる時があった。
本郷による調教の合間にも、その罪悪感に苛まれることがあり、
マナは心を休める時間は皆無に近かった。
この冬月のいる部屋に連れて来られてから、
その強迫観念に似た思いは、より一層増していった。
ここでは名も知らぬ、自分の父親と同じくらいの歳の男達に身体を売らなければならぬ
生活が待っていた。つい数ヶ月前まで少年兵の仲間達と
辛いが楽しい訓練に明け暮れていた少女にはその落差は嫌でも実感できた。
何故か前の穴で男に相手をさせられることはなかった。
いずれも少女嗜好者の男の肉具を受け入れる穴は、
彼女の花びらのような小さな朱唇と、不浄の菊門だった。
まともな性交を経験する前に、マナはアナルセックスを何十人という男達に強要されたのだ。
そんな生活が繰り返され、すっかり肉責めに甘く反応する肉体に開発されたマナは
シンジがここに来るまで、十数リットルもの精液を直腸へと注がれたことになる。
濡れた声を出し、口腔でおとこを慰め、アヌスで受け入れる。
それがマナの日々の日課となっていた。
明日も今日と同じ日。昨日も同じ。昨日も今日と同じ。
今日も明日と、昨日とイコールならば時間とは何だろう。
昨日も明日も今も同等の価値しかない。
いや、価値すらもマナには見出す事が出来なかった。
一ヶ月でマナから時間という概念が消えていた。
延々に繰り返される日々は少女の果敢ない精神を壊し続けていった。
だが、全てが等符号で支配される日々の中、シンジとの再開は、
久方ぶりに感じられるマナの現実だった。
従順に、御主人──冬月の命を受けるだけの時間、
父と同じ年代の男共におぞましい肛門性交を強要されるだけの時間、
シンジだけがマナにリアルを感じさせたことは確かだった。
631 :鬼教師ミスター本郷 ◆N3KfCzebuQ [sage]投稿日:2007/03/24(土) 07:42:49 ID:???華奢な身体を折り重ねる少年と少女は、
まるで寄り添う二輪の花のように美しく、
ムンと雌とも雄とも付かぬ濃厚な匂いを立ち込めるその媚態は絶景であった。
舌なめずりしながら、少女の肌の珠の汗と少年の痛苦の表情を眺める冬月は
己の腐った臓腑を外に曝け出すように、口元を醜く歪ませた。
メイド服姿という倒錯的な出で立ちである碇シンジのスカートは露わに捲り上がり、
その白き内腿を冬月の眼前に差し出しているようである。
彼に奉仕してもらえれば冬月や本郷のような特殊な性癖を持たぬ者すら心を奪われ、
狂ったように少年にのめり込んでしまうであろう。
本人こそ気付かぬが、それほどの魅力を持ち合わせていたことが
少年にとって最大の不幸である。
─全く、初物を本郷にくれてやるとは惜しいことをした…。
冬月は口惜しそうに眉間に深い皺を刻ませ、改めて少年の肉体に魅入るが、
彼にはシンジを我が物に出来ないある理由がある。
シンジのしどけない姿に、かつて想いを寄せた女性を見ているのか
ギラギラと性欲に塗れた双眸を光らせ、
触れれば蕩けてしまうのではないかと見紛うばかりの柔らかそうな脚を注視した。
まるで挑発するかのごとく波打つ姿態に老人の恐ろしき被虐心はより一層煽られた。
「ふ、ふ、ふ。さあ、次はシンジ君の番だぞ」
冬月老人は相変わらず口端を上げて下卑な嗤いを保ったまま、
シンジの背後に回り、下半身を通しているひらひらとしたスカート生地に手を這わせた。冬月自身も己の焦燥感が分かるほど慌てている。
もっとこの少年の鳴き声を聞きたい。もっと派手に乱れさせたい。
切なる思いが、老人の狂った心を逸らせるのだ。
「ああ…、い、嫌です。これ以上、何をする気なんですか?」
億劫そうに冬月の方を見遣るのは、疲弊のためである。
かつての想い人にアナルを貫かれる事は想像以上にシンジの精神共々、
体力も同時に削る結果となった。
「私がするんじゃない。君がするんだよ。
さあ、霧島マナの純潔を奪ってあげなさい」
冬月はマナを床に仰向けにさせ、無理矢理シンジを少女の柔な肉体の上に跨らせた。
「い、嫌だよ、こんなの…。ふ、冬月さん、やめて…」
懸命に身を捩り、逃れようとするが疲労しきった身体は中々いうことをきいてくれない。
たとえ何と言われようと、シンジは強制的に女性を犯すなど出来る筈がなかった。
立て続けに射精したばかりで、ペニスが勃起していないことがせめてもの救いか。
萎えているシンジのモノではマナを貫くことは適わない。
「んぅ…、いいの、シンジ。シンジに初めてを奪われるなら、私、幸せ。
だから、お願い。貴方が私の初めてを…」
語尾は淀んだが、何を言いたいかはシンジには痛いほど分かる。
下にいるマナの瞳はうっすらと濡れていた。
彼女もまたこのような形で純潔が無くなるのは望んでいないだろう。
だが、このシンジと繋がる機会を逃せば、名前も知らぬ男に処女を奪われる事は必定であった。それならば、どんなに酷いシチュエーション。
それが淡く思い描いた処女喪失の状況と遠くかけ離れていたとしても、
想いを寄せた少年に奪われた方が良い。
マナはそう考え、涙をしたのだろう。
「駄目だよ…、マナ、正気に戻ってよ。こんなの…、違うよ…」
だが、シンジはこの期に及んでもまだ懸命に抗った。
真摯な目で訴えかけても、今の彼女には無駄であった。
口元を綻ばせ、うっとりとした表情でシンジを魅入っていた。
くなくなと柔らかな太腿をシンジの身体に擦り合わせている。
「あぁ…、シンジ。好き。すき、すき」
そんなことをされれば、シンジの意志とは正反対におかしな気持ちになり、
萎えていた幼いペニスはむくむくと大きくなり始める。
未だに淫薬の効果が少年の身を焼いているのだ。
「ダメだよ! ダメだよ! あぁ…、こんなのぉ…、うっ」
声は次第に艶めかしい喘ぎに変わっていた。
シンジは己の欲望に堪えられぬ肉体を心底呪った。
自分の下にいる少女の相貌を見る。
最早、マナは諦観にも似た表情でシンジを待っていた。
「くく、どちらも準備万端のようだ。
ほれ、思う存分、快楽を享受し賜え」
冬月老人はがっしりとシンジを羽交い絞めにしながら、白い首筋を吸った。
「やぁ…、やめて下さい。あんッ」オルガズムの頂付近を往復しているシンジは
淫薬の効力も相成って全身性帯感である。
肌に粘膜を感じれば、ぽうっとそこだけ火が点いたように熱くなり、
嫌でも声が溢れ出す。
「どこに挿れるか分かるかね? 牝に挿れるのは初めてだろう。
ふふふ。そこではないよ。もっと下だ。そこ、そこだ。
押さえててあげるから、腰を前に進めたまえ」
冬月は羽交い絞めを止めて、片腕でシンジの胸を後ろから抱く。
もう一方の手はシンジの子供ペニスに宛がい、マナの蜜壺に照準を合わせてやった。
「あぁ…、シンジ、嬉しい」
マナは目端からポロポロと涙を零す。
何が嬉しいのかと、冬月は苦笑する。
無理やり処女喪失の憂き目にあうのだ。
まあ、この牝は通常の神経ではない。
おそらくは頭の中で勝手に物語を作り、今のこの状況すら酔えるのだろう。
冬月は深奥から込み上げる圧倒的な愉悦に口をこれでもかというぐらい
綻ばせた。
「ほう、嬉しいのか。いや、嬉しいだろうなぁ
お前みたいな意地汚い牝がシンジ君と交われるのだからな」」
冬月は片方の手を少年から外し、
マナのこぶりな乳房の先端にあるつんと尖ったいやらしい蕾に移し、
きりりと千切れるぐらい強く捻った。
それだけでマナは肉体を仰け反らせ、派手に喘ぐ。「あはぁっ。は、はい、嬉しいです。シンジと一つになれるなんて…、
御主人様、ありがとうございます。マナは世界一幸せな──」
マナの声はそこで止まった。続く言葉を呑み込んだ。
目の前で起こった光景に目を奪われたのだ。
冬月がマナと会話している隙を突いて、シンジは懸命に身を捩った。
不意を突かれた冬月は、シンジを一旦離したが
少年の肘が老人のこめかみに直撃した。その衝撃で絨毯に倒れこむ。
「うぐッ」
「し、シンジッ!」
マナは咄嗟に少年の名を呼ぶ。
シンジは答えずに、よろめきながらテーブルの上にある趣味の悪い模様の花瓶を
手に取ると、冬月の頭目掛けて振り下ろした。
ガシャン、と甲高い音が室内に木霊した。
花瓶の破片が辺りに飛び散る。
少年は肩で息をしながら、冬月老人を見下ろしていた。
老人の頭から血が滲み、絨毯を黒色に汚している。
マナは信じられないといった表情で茫然自失と見続けている。
シンジは壊れた花瓶だった物を持ち続け、その場に座り込んだ。
「ま、マナ…」
泣きそうな顔で少年はマナの方を見遣る。
無意識に息が弾む。自分がしたことに気付いて、
慌てて花瓶を床に投げつけるように置いた。「ど、どうして、シンジ? どうして御主人様を…? あぁ…、しっかりして下さい」
事の重大さにやっと気付いたのだろう。
マナはシンジと冬月を交互に見遣ると、肉体を起こし、
絨毯の上を這いずりながら冬月のもとへ慌てて駆け寄り、揺り動かした。
「何言ってるんだよ、マナ。こんな奴にそんな呼び方しなくていいんだ。
それより、逃げよう、ここから。急いで」
ふらふらと立ち上がり、絨毯に丸いヒップを乗せながら
冬月の体を揺すっている少女に手を差し伸べた。
「で、でも。こんな事して…」
マナは立ち上がり、ちらりと冬月を見下ろす。
冬月はうつ伏せに倒れピクリとも動かない。
「いいんだ。とにかくここから逃げるんだ」
そう言ってシンジは自分がメイド服を着用していて、
それもかなり肌蹴ていることに気付く。
同時にマナも生まれたままの姿であることを思い出して、
脱衣場にあった一番露出の少ないドレスをマナに宛がった。
マナは着替えながら、「でも…」とか「だけど…」と呟きながら
ちらちらと冬月を眺めていた。マナの手を握り、シンジは廊下を歩く。
「戻らなきゃ、御主人様が死んじゃう…」
マナが幾度も戻ろうとするのをシンジはなだめ、手を引いて半ば強引に連れたった。
朱雀色の絨毯が床一面に敷かれている。柔らかな絨毯の感触が足に感じる。
幾枚もの木製の扉には荘重なナンバープレイト。
等間隔に壁には仰々しいほどの装飾がなされた電燈が灯されている。
幸いにも最初の通路では、ここの従業員に見咎められることが無かった。
前方に一際、大きな扉が見える。
あそこからシンジはこちらへやって来たのだ。
あの先はこちらとは違う異質な世界だ。
こちら側の人間とあちら側の人間とを区別したいのか、
自分が特別な人間と思いたいのか、ここの通路はやけに豪華な造りになっている。
最初の扉が問題だった。
ここにやって来る時、屈強な男が二人、門番をしていたのだ。
どうやってそこを突破するか。
シンジは少しの間、思案に暮れたが、思い切って扉を何度も強く叩いた。
叩く度にシンジの心拍数は上がった。
気を抜けば極度の緊張と疲労で倒れてしまいそうだった。
それでも何とか己を保っていられるのは、守るべき少女──マナが傍らにいるからに他ならない。
マナとの付き合いはそんなに長くはない。
ある事件で、知り合った仲で、元クラスメイトである。
共有した思い出も、事件の重さと差し引けば、
エヴァンゲリオン初号機パイロットであるシンジにとっては、
そんなに多くも、強烈なことでもないかもしれない。それでも、守れなかった悔恨は心中深く巣食ってシンジを苦しめていた。
今度こそ、少女を守ろう。シンジは扉を叩きながら、そう決心をしていた。
「そんなことしたら」
マナは驚いた顔で扉を叩くシンジを見遣る。少女には不安がありありと浮かんでいる。
が、当の本人は「僕に任せて」と言って、扉をたたき続ける。
「どうした!?」
ガチャリと重々しい鍵の開く音がする。
扉が開くと二人の男が出てきた。
深刻そうな表情のシンジを見て、
彼らも同調するように表情を変えた。
「た、大変です。冬月様が急に倒れて!」
「なッ!」
「た、大変だ!」
シンジの言葉を聞いて男達の顔色が蒼白となる。
冬月の待遇が相当vipなのだろう。
男達はさして疑問も抱かずに、
いや、疑問は抱いたのだろうが吟味する時間も惜しむように
慌てて冬月の部屋へとまろびるように向かっていった。
おそらく突飛な事件に慣れていないのだろう。
扉の付近はシンジが拍子抜けするぐらい簡単にもぬけの殻となったのは僥倖である。「マナ、行こう」
小声で言うとマナは頷いた。
シンジはマナの手を引き、扉を抜けて広い室内を歩く。
ブース内では、シンジの想像を遥かに上回る乱痴気騒ぎが行われているようだった。
所々から、女性の艶めかしい喘ぎ。そして、悲鳴。
男の嘲笑を含む、笑い声。やはり──ここは異世界だ。
よく見ると室内の中心におおきな舞台装置が設置されている。
天井から黒い麻縄が蛇のように舞台へと垂れている。
その麻縄に裸の女性が吊るされていた。
十数人の男達が周りを取り囲むように配置されたソファーに座り、その女性を眺めている。
シンジはその光景に絶句して、目を背け歩き続けた。
「あった」
シンジはそう呟いたのは、広い室内の端にある鉄の扉に目を遣った時だった。
扉の横には1から9のボタンが備え付けられている。
そして、そばに黒服の男が暇そうに佇んでいた。
シンジは少しばかり逡巡する。ここも突破しなくては逃げる事が出来ない。
他の出口を探している時間もない。
マナには「ちょっとここで待ってて」と言い含めて、意を決してシンジは男に近づく。
きょとんとシンジを見ていたマナだったが、
シンジの言葉を理解したかしていないか分からない困惑した表情で
少年の後姿を黙って見送った。「ね、ねぇ…、お兄さん」
シンジは出来る限りしなを作って歩を進める。
うんと甘えた声を出し、シンジは男の腕に擦り寄った。
男は驚いた顔をしたが、すぐに表情を戻し、シンジの身体を上から下まで
ゆっくりと舐め回すように無遠慮な視線で射抜いた。
「なんだい、お嬢ちゃん?」
シンジのメイド服姿を見て、男は自分の顎をさすった。
「あの…、ごめんなさい。す、少しだけお兄さんのアソコを貸してくれませんか?」
口許を押さえ、気恥ずかしそうに男の股間に視線を遣りながらシンジは言う。
シンジのたどたどしい初心な声と、陰部に注がれる視線に気付いて男はニヤニヤと嗤った。
「ほう、アソコってココのことかい?」
男はやはり嗤ったまま、己の股間を指し示す。
「はぁぁ…、そ、そうです」
シンジは俯きながら、更に身体を摺り寄せる。
熱い吐息をこぼしながら、濡れたような眼差しを向ける。
これは皮肉にも本郷に仕込まれた雄を惑わす仕草だった。
体格の良い屈強な男である。どこか本郷を彷彿させる厳めしい印象を受ける。
男の口から煙草の臭いがした。
「ご、御主人様にここの従業員を労って来いと命じられて…、その…」
「へぇ…。お嬢ちゃんの御主人様はい~いことを命令してくれるね。へへ、いいぜ。好きなだけ使ってくれよ」 こんな場所である。狂った情交が日常茶飯事の筈だ。
シンジは一か八か、そのような命令も普段通っていると
当たりを付けて、カマをかけたのだ。
だが、嘘とはいえ、自ら恥ずかしい言葉を吐いていることに
シンジは頬を屈辱で紅潮させ、恥辱のため視線をあちこちに飛ばした。
男はそんな生娘のようなシンジの反応に興奮したのか、
頭を掻いて、シンジの頬を煙草臭い舌で舐めた。
「ひゃっ、お兄さん…」
「ったく。こんなところで見張るなんて無意味なんだよ。
今となっちゃ、どうせ警察もここに手を出せやしねぇ。
昼からずっとここで立ちんぼだ。下っ端だと思って舐めやがって。
これぐらいのいい目にあってもバチは当たらんよな」
男はシンジのさらさらの黒髪を指で梳き、忌々しそうに愚痴を零す。
幸いにもこの扉の男は真面目に仕事をする気はないらしい。
男は下品な口笛を鳴らし、シンジの華奢な肩を無骨な手で抱き、
その場に恭しく跪こうとするシンジを立つように留める。
「あんっ、なにを…」
「いきなり、しゃぶるのも品がねーだろ?
まずはムードを盛り上げねーとよ」
男はそう言い、シンジの紅唇に、己の厚い唇を重ね、
あっという間に男の舌は少年の粘膜を犯し始める。
「んっ、ぷっ。や、やめて下さい!」
胸を押しのけ、抵抗をするシンジ。
だが、男は凶悪な眸で睨み、ドスの利いた声で凄んだ。「おいおい、誘ったのはそっちだろうが、あ゛?」
「うっ…、それは…」
言い争っている暇は無い。
部屋に残してきた冬月はベッドの中に隠したが、
外傷を見れば、すぐに故意に頭部を強打された事が分かるはずだ。
あの二人の門番が自分達の存在に気付くのはそう長くはかからない。
シンジとマナには時間があまりにもないのだ。
シンジは仕方なく男のするがままに唇を許すことにした。
「ご、ごめんなさい。どうぞ、好きなだけお口を吸って下さい」
「へへ、分かればいいんだよ、お嬢ちゃん」
ねっとりと生臭い舌に咥内を舐られるのは不快以外の何物でもなかった。
シンジの円らな瞳に涙が滲む。そういえば遠くでマナが見ていることを思い出し、
ますます遣り切れない気分に陥った。
美味しそうに少年の唾液を嚥下する音がする。
相当興奮しているようで、男は荒っぽい鼻息をシンジの美貌に吹きかけている。
「んんぅ。ふっ…、うんっ…」
「いい声じゃねぇか。それにこの味。最高だ」
シンジの色っぽい悶え声が周囲に響く。
男は調子付きシンジの唇の柔らかさと甘さに酔いながら
少年の太腿に己の脚をすり寄せてきた。「あっ…」
股間に男の膝が当たりシンジが目を瞬かせた。
男への嫌悪を我慢するあまり、脚の動きに注意を払い損ねたのだ。
男は自分の脚に触れた感触に、驚嘆の表情を浮かべ、唇を離した。
「ご、ごめんなさい…、あの…、その…僕…」
「なんだ、お前、男かい?」
門番が呟くが、にやりと嗤いながら「俺ぁ、どっちでも構わねぇがな」と言い、
再び、シンジに深い接吻をし、口腔を舐りまわす。
事実、男にとってはこの目の前の人物が少年だろうが少女だろうがどうでもよかった。
唇を交わせば交わすほど。抱き締め肉体の柔らかさを味わえば味わうほど、男は飢えてきた。
それは老若男女問わずに惑わす少年の魔力でもある。
「お嬢ちゃん──、じゃねぇか。お前、名前は何て云うんだ?」
再度、口を離し、頬に生臭い息を吹きかけながら男が問う。
少年の下半身に手を伸ばし、しこしこと子供ペニスを扱く。
「し、シンジです…、ひゃうっ」
男の勢いに押されて、何のてらいも無く言葉が出てきた。
荒々しい指遣いながら、粘膜で汚れているぬるぬるのシンジのペニスは
性感が高まっており、嫌でも感じてしまう。「シンジか。シンジくんはいつもこんな格好で男を誘うのか?」
くくく、と嗤いながら男はどこか馬鹿にするように質問を投げかける。
こんな格好。シンジのメイド服姿──、いや、女装の事を言っているのだ。
シンジは首を左右に振るい、否定する。
「違います。僕はそんなんじゃ…。あぁ…、そんな擦らないで…、痛いで──」
言い終える前に、男の手がにゅっとシンジのスカートの裾を上げ、伸びてくる。
躊躇いなく男のゴツゴツした手の平は、双尻を撫で、
その中心にある割れ目に指先を差し入れてきた。
「へへ、エロいガキだな。ほれほれ、どうだ。気持ちいいのか、変態め!」
「あ、あぁ…。駄目、またイッちゃうよぉ…」
しこしことシンジのペニスを覆う、手の平を上下に運動させながら、
もう一方の男の指が、ぬるりとした淫薬入りのローションが塗られた菊座に触れた。
未だ熱が孕み、ぷっくりと膨れ上がっている窄まりは
微かな刺激を貰っただけで、シンジの性感を大いにうねらせ、
その少女のような肉体を弓なりに仰け反らせた。
尻肉を撫で回し、たぷたぷと弄んだと思うと、
柔らかな耳朶に吸い付き飴玉を舐めるように舌で転がす。
「あふっ…。さ、触らないで…。舐めないでくだ、さい、あぁ…」
「何言ってんだよ。スゲーぬるぬるしてるじゃねぇかよ。
一発で目も潤んでるしよ。好きなんだろ、触られんのが、ええ!?」
「そ、そんなの好きじゃ、ないです…、ひっ」最初は抵抗感と開き具合を確かめるような指の動きだったが、
拡張済みだと分かると、にゅっと内部に指が侵入してくる。
第一関節。第二間接。シンジの菊門は簡単に男の指を許す。
腸壁までローションは塗られていた。
強制的にマナと深く交合した時に付着した物だ。
「やぁ…、やめ…、やめてよぉ…、あんっ」
いやいやと首を左右に振るうが、拒んでもシンジの肉体は燃え上がる。
嫌でも感じてしまう自分の身体をシンジは心底厭うた。
熱い息が唇から溢れ出す。男の言う通り瞳はうっとりと濡れている。
「おおぅ。すげぇな! 簡単に指が入りやがる。
それに、この締め付け。くく、お前の御主人様とやらが羨ましいぜ」
「あっ…、あんっ、抜いて、抜いてよぉ!」
何たる貪欲な肉体だろう。拒絶すればするほど、シンジの括約筋は激しく収縮し、
それだけで男を愉しませる器官と変貌していた。
既に根元まで指は挿入されてしまった。
「おいおい、いったい何本入るんだ、お前のマンコ。ひひ、試してやる」
「あぅっ…。いぐっ…、ぐ、ぅぅ…」
男の指が次々とシンジの菊座を犯す。
思いもよらない異物の挿入に堪らずシンジは男の腕に縋り付く。
そのシンジの行為に男は調子付き、
ぐちゅぐちゅとローションが泡立つ程、抜き差しを繰り返す。その間、男はスラックス越しに己の熱い肉棒をシンジの身体にぐいぐいと
押し付け、柔肉に当たる感触を堪能している。
「許してぇ…。も、もうやめて下さ、い…。ひっ、ひぅっ」
甘い濡れそぼった少年の上擦った声。言葉の意味とは正反対に
もっとして欲しいとおねだりしているように聴こえるのは何故だろうか。
「本当にやめて欲しいのか、声が悦んでるぜ、このエロガキが!」
「よ、悦んでないよ…、あんっ、あんっ!」
シンジはもう立ってはいられず、腰が砕けたように、
その場にへたり込む羽目になった。
「ふぁぁっ…」
情けない叫び、いや、声ともつかぬ喉から絞り出される空気と共に
シンジはずるずると身体を落とす。
その際、指は抜かれたが、シンジの下半身には不完全燃焼のような
わだかまりが残ることになったが、やっと床に座る事が出来た。
これこそが当初、シンジが思い描いていた体勢であった。
火照る菊座、刺激を渇望するようにじくじくと疼くが唇を噛み締めシンジは堪える。
スラックス越しに男の盛り上がった股間がシンジの視界に入った。
男のペニスは大して刺激を与えずとも、深い接吻で完璧に欲情していた。
夢遊病者のような虚ろな瞳で、ジッパーを下ろし、硬化した肉竿を取り出した。「おっとっと。もう我慢できなくなったのか?
そりゃあ、待たせちまったな。おら、待望のチンポだぜ。
ちょっと汗臭ぇと思うけどよ、まぁ、淫乱のお前には差し支えねぇだろ?」
男の言う通り、肉竿は異様な臭いを放っていた。
昼からずっと立っていたのだろう。
汗が入り混じった雄臭はむんと熱気すら籠もっていた。
先っぽからは先走りの汁が垂れて、濡らしている。
解き放たれた肉棒のきつい臭いがシンジの鼻腔を突く。
思わず眉を顰めて、シンジは顔を背け、嘔吐感を必死に堪えた。
「綺麗にしゃぶってくれよぉ」
男は少年を見下ろし、うひひと嗤う。
相当の屈辱だろう。シンジは眉根を蠱惑的に曲げ、男を見上げた。
だが、シンジはその異臭を放つ物体を両手に添えると微かに笑った。
本郷の調教と冬月の凶行で、ついに心の底から、男に屈服するようになったのか。
いや──、違う。
「マナ!」
シンジはちらりと横に目配せをするとマナを呼んだ。
マナは慌てて駆け寄ってくる。
男は、その露出の多いドレスを着た少女を見て、
一瞬、戸惑ったが、すぐに少女の怯える表情を確認して、厳めしい目付きに戻った。「なんだぁ!? おい、シンジ、何だよ、こいつはよ!?」
男はもう馴れ馴れしくシンジの名を呼んでいる。
「暗証番号を教えてください、そこのドアの」
静かに、そして丁寧な口調でシンジは言葉を紡ぎ、
射竦めるような瞳で、男を見上げた。
未だ欲情の火は少年の瞳に灯ったままだが、理性で必死に堪えている。
「あ゛!? 何言ってんだ。
そうか! 最初からこれが目的なのか。
くそう! 舐めやがって。ふざけるな。ふざけんじゃ──」
男の言葉が途切れた。彼の額には脂汗が滲んでいる。
そして、同時に己の立場にやっと気付いたのだ。
いや、シンジに暗証番号を問われた時から、分かってはいたが、
まさか、今さっきまで自分に腸壁を弄ばれていた少年に
そんな気概があるなど思いもしなかったのだ。
シンジの手の平は男の急所を力強く握っていた。
体は鍛えても、ここを触られれば成す術もない。
男ははくはくと口を金魚のようにパクつかせた。
あの余裕ぶったニヤケ面は完全に雲散霧消していた。
「早く、時間が無いんです…。
あなたのコレがどうなるか保証しませんよ? 僕は本気です」
シンジはあえかに紅唇を開き、硝子細工のように美しく光る歯を覗かせた。
その白い歯に噛み千切られる様を想像して、男はゾッとする。
静かな口調だけに、得も知れぬ迫力を感じた。「分かった、分かったよ」
男は冷や汗を掻きながら、暗証番号を口にする。
マナは言葉通り、番号を押し、最後のボタンを押すと
ガチャンと重い開閉音が、響いた。
「ほら、教えたぞ。離せよ、シンジ!」
急所を握られ続けている男は背筋が凍る思いだった。
だが、シンジが手を離せば、すぐにこの二人を捕まえようという
思案を頭に描いているのも事実だ。
二度と舐めた事が出来ないように、大人の怖さを教えてやろうと。
まさか、この少年と少女が、ネルフ総司令──、
つまり、この店の最上級客の持ち物とは思いもしていない故に出来た想像である。
「ごめんなさい!」
「お、おい。ちょっっ───」
シンジは沈痛そうな表情を浮かべ詫びた。
と、同時に男の悲痛な声が店内に響いたが、その声は店の喧騒に紛れて簡単に掻き消えた。
男は地べたにうずくまり、悶えた。
「うぐぉぉぉ、ま、待ちやがれぇ…」
そして、そのままの体勢で、シンジとマナが扉を開け、
階段を昇っていく様を、掠れるような視界で見続けた。ビルから出ると、そこがやはり見覚えの無い場所でシンジは動揺した。
夜だった。上空には星が散らばっている。
右、左と辺りを窺うが、どちらに行けば良いか見当もつかない。
「シンジ、どうするの?」
マナは舌足らずの声で聞いてくる。
どうやら、先ほどの店の熱気にあてられて興奮しているらしかった。
シンジの嬌態を見たせいもある。シンジを見る目はうっとりとしていて
明らかに欲情をしている感があったが、見ないふりをした。
「離れよう、とりあえずこのビルから」
シンジはマナの手を引き、出来るだけこの場から離れようとした。
走りながら、マナは聞いてくる。
「どこに? どこへ逃げるの?」
どこに──。
考えがあって飛び出したわけではなかった。
確実なのはあの店にいればマナも自分も壊れていく
それだけの恐怖を感じていたため、まさに突発的な行動だったのだ。
行く当てをシンジは思案する。
──ネルフも危険だ。
──警察も危ないかもしれない。
──学校なんてもっての外だ。
シンジの脳裏にすぐに浮かんだ人物がいた。
優しく美しく、シンジに家族の暖かみを教えてくれた女性。
葛城ミサトである。ミサトもネルフの関係者である。作戦本部長。
いや、もっといえば、一応は冬月の部下でもある。
それでも、シンジはミサトを信用していた。
葛城ミサトに会えさえすれば、何とかなる。
シンジはそう思い、マナにその考えを伝えた。
「ミサトさん?」
マナはそれが誰か分からぬようだった。
「ほら、マンションにマナが来たとき、会ったことがあるだろ?」
マナは首を振るう。覚えていないようだった。
その事実にシンジはゾッとする。
あの部屋はマナの精神を破壊していたのは、もう明白だ。
尚更、捕まるわけにはいかない。
大通りも安全とは限らない。
それならば縦横無尽に張り巡らされた小さな道を使った方が
まだ、見つかる確率は低いかもしれない。
シンジは思案の末、シンジはビルの隙間の路地裏を進むことにした。
汚い。塵芥がそこら中に散らばっていて
第三東京にもこんな場所があるのかと、シンジは驚いたぐらいだ。
これが失敗だった。
長い監禁生活で疲れていたマナは、地面に置いてあったゴミで
足を滑らせ転んでしまった。
素肌が露出していたマナのふくろはぎには痛々しい擦り傷ができた。「だ、大丈夫、マナ?」
「うん、平気」
立ち上がろうとしてマナは眉を顰めた。
「痛ぅ…」
挫いたらしい。それでも我慢してマナは歩いたが、
数百メートルも進まぬ内に、マナの足首は腫れ上がってしまい、
歩くこともままならなくなってしまった。
「ごめん、僕が気を付けてれば、こんなことにならなかったのに…」
「ううん。いいの。私が悪いの。これは罰なの。だから、私を置いてって。
一人で逃げて、シンジ」
シンジは首を振るう。そんな言葉聞ける訳がなかった。
マナを背負ってみたが、体力が著しく低下しているシンジでは
やはり歩くことすら困難だった。
全く移動できないまま、シンジは後ろからいつ追手が来るか、不安で堪らなかった。
それでも少しずつ動いたが、ここが何処かも分からないシンジにとっては
無事に葛城宅に到着できるとは、最早、思ってもいなかった。
だが、僅かでも希望があるならとシンジはマナに肩をかし、歩き続けた。
どうか、どうかマナを。
シンジは心の底からマナを案じる。
どうしてもシンジはマナを救いたかった。
それが義務感なのか使命感なのか、
憐憫なのか共感なのか、同情なのか愛情なのか
シンジには判然としない。そもそも、そんな感情の機微にとんと疎い性格なのである。数十メートル移動した頃だろう。路地裏を抜けて、小路に出た。
シンジの願いが神に通じたのか、少年は懐かしい声をそこで聞いた。
「シンジ君じゃないか!?」
若い男の声である。男の目がシンジを認めると自分の長髪を掻いた。
男はたまたま出てきたシンジと鉢合わせたようで、心底驚いた顔をしていた。
ネルフの職員、青葉シゲルである。
シンジは咄嗟に名を呼ばれて、マナを守るように抱き締めていたが、
声の主が青葉と分かり、張っていた糸を弛めるように息を吐いた。
「青葉さん…、よかった」
「なんだい、その格好は? いや、そんなことより良かった。
諜報部員が君をロストしたみたいで、みんな必死に探してたんだよ。
今まで、何処にいたんだい?」
「それは、その─」
青葉はすぐそこに車を停めているようで、すぐにそれを持ってきて二人を乗せた。
シンジもマナも後部座席に着き、抱き締めあうように寄り添った。
シンジがこれまでに起こった事を運転している青葉に説明をした。
マナが辱しめられた部分は濁したが、自分が陵辱されたことを
言わねば信じて貰えぬような内容だったので、火を吐く思いでシンジは言葉にする。
最初は些細なことだった筈なのに、あれよあれよという間に事態は
有り得ない方向に向かっていた。言葉にすると嘘みたいだったが、
幸いにも青葉は真剣な声で相槌を打ち、真面目に聞いてくれた。
一通り説明をすると、青葉は「やっぱりなぁ」と溜息を吐いた。「やっぱり?」
「あぁ…。最近分かったことだけど
実はね、第壱中学校に戦略自衛隊のスパイがいるらしいんだ」
「スパイ?」
現実感のない出来事を更に上塗りするような聴き慣れない言葉だ。
「そう。スパイと言っても目的はチルドレンの監視。
シンジ君は知らないだろうけど、第壱中にはネルフの職員が在籍してるんだ。
そこには戦自の奴は一人もいない筈だった」
「はず?」
「そう『筈』。監視の意味は使徒を全て撃退後のチルドレンの確保。
パイロットがいなきゃ、エヴァも大きな人形だからね。
パイロットを捕獲しなくちゃ、後々、ネルフがエヴァを使って
国を乗っ取る可能性があるかもしれない。未然に防ぐために今から
戦自の奴らが入り込んだのさ。もちろん、奴らが侵入しないように
最善の注意を払ったけど、無理だったみたいだ」
青葉は首を捻って、後ろを見て、
「大丈夫」と気遣ってくる。話を理解しているか、という意味ではなく
ストレートに二人の体調を聞いているのだろう。
シンジは素直に頷いた。
「で、だ。こともあろうにそのスパイと繋がっているネルフ職員がいるらしいんだ」
「冬月副司令…」
「いや、もう司令だよ。気の毒だけどさ、碇司令は急に倒れて
今、ネルフの病院に入院してるんだ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、ごめん。俺って言葉を選ばないよな」青葉はゴンゴンとハンドルに頭を打ちつけた。
確かにショックだが、ゲンドウは一応、無事らしい。
シンジはホッと安堵の息を吐く。
「いえ、いいんです。それより、冬月司令が…」
「そうなんだ。今、シンジ君の話を聞いて分かったけど、
戦自と繋がっているネルフ職員は、やっぱり冬月司令だろうな」
「じゃ、じゃあ──」
本郷は戦略自衛隊。その本郷と繋がっている冬月。
「だけど」とシンジの出かかった声を青葉が止める。
「『だけど』?」
「理由が無い。戦自とネルフが通じ合うことによる
冬月司令のメリットってなんだ?」
「え? それは」
確かに、もし、冬月が使徒殲滅後、国家クーデターを画策しているなら、
スパイと通じ合うより、そのスパイを泳がせて、
使徒殲滅後、スパイを捕まえたほうが理に適っているような気がする。
──僕?
メリットは自分なのだろうか。
そんな馬鹿げた考えがシンジの脳裏に浮かんだ。
しかし、本郷を使ってシンジとマナを陵辱し、
その後、二人を強引に交合させて愉しむ。
冬月がしたいことは、単なる性の狂宴ではないか。─そんなわけがない!
それの意味する所が皆目分からない。だからすぐに頭の中で否定した。
仮にそうだとしても、それは目的ではなく手段であろう。
でなければ、そんなくだらないことで、無駄な労力を使い過ぎているのが腑に落ちない。
「し、シンジ…」
シンジが考えていると、今まで黙っていたマナが
震える声で名を呼び、シンジの肩を揺すった。
そこで車が止まっていることにやっと気付いた。
葛城宅があるマンションに着いたのか、と思い、
窓越しに周囲を見回した瞬間、シンジは息を呑んだ。
「あっ!」
車の周りに、いかつい男達が張り付いていた。
窓ガラスをコンコンと叩いた男の顔を見て、シンジは愕然とした。
電子ロック式の門番の男である。先ほどの報復の炎をギョロリとした眸に宿らせながらも、
ニヤニヤと口端を上げて、微かに嗤っていた。
「あ、青葉さん。取り囲まれてますよ!
さっき言った店の人達です。車、出してください!」
慌てて叫ぶが、青葉はこきこきと首を鳴らし、出す素振りを全く見せない。
「あ、青葉さん?」
か細い声で、呼びかけると青葉はやっと振り向いた。「駄目だよぉ、シンジ君。あんな目にあっても人を信用しちゃあ。
冬月司令はご立腹だよ」
はは、と青葉は嘲笑する。
男達に取り囲まれて、よく分からなかったが
ここはあの店があったビルの前である。
顔を蒼白にさせながらシンジはまだ信じられないといった風に叫ぶ。
「う、嘘でしょ、青葉さん!」
「だったら、良かったのにな、シンジ君」
シンジはひしとマナを抱き締める。
車の中の話は、シンジを考えさせるためにされた事に、やっと気付いた
土地勘の無い場所を動くのだ。
少しでも外への関心を中へ向けさせれば、大丈夫だろうと思ったのだろう。
結局、二人は煉獄に、いや性の地獄に舞い戻ることとなってしまった。
シンジはくらりと目眩を覚えたが、倒れるわけにはいかなかった。
きゅっと手を握り、車から逃げ出す少ない好機にかけようと
隙を窺うために、わざと絶望的に顔を伏せ、マナの耳元に唇を寄せた。
「マナ、ごめん…。でも、諦めないで。まだチャンスはあるよ」
耳元で心底、申し訳なさそうに呟くシンジだが、
まだ希望を捨てていなかった。
油断。そう油断だ。
今、車の周りの男達が圧倒的な優位に立っている。
ならば、彼らはきっと気を抜いているに違いないのだ。
現に窓の外の男達はにやにやと嗤い、表情が緩みまくっている。
この包囲を抜け出せる可能性は少ないが──、まだあるのだ。ゴクリと喉を鳴らし、その瞬間を静かに窺う。
だが、マナはそんな言葉も、シンジの内心も理解していないようにうっとりと
少年の熱い吐息と、触れられている腕の感触に瞳を蕩けさせている。
「あぁ、シンジ好き、好き…すきすき」
シンジがハッと気付いた時には遅かった。
狂ったようにマナは己の花びらのような唇を、少年の唇に重ね、
その柔らかな少女の肉体でシンジに覆い被さった。
状況をわきまえず、マナはシンジの舌を貪り、
鼻から「むふん、むふん」と色っぽい息を出していた。
マナとて、自分の置かれた立場を理解はしているのだが、
それよりも性欲が勝ってしまったのか、
現にマナの行動は今まで我慢していた劣情が急に暴発したような感があった。
「吸って、シンジ。マナの口を、舌を吸って…、お願い…」
「マナ、こんなことしてる場合じゃ…。んんぅ…」
まるで色に狂った獣であった。
吸い付きは舌を取られるようのでは、と危ぶむほど強烈である。
マナは乳房を押し付け、シンジの頬を押さえ、唇を舐める。
あまつさえ、股間にまで手が伸びてくる。
「マナ、離れて…、んぷっ…、ふ、ぐ…」
「大丈夫、きっと御主人様も謝れば許してくれるから…、
あぁ…、やっぱりシンジの唇は柔らかいわ…、んんぅ…」
濃厚な接吻に興じる二人を尻目に、男達は車のドアを開け、
二人の身体を引き離した。少年と少女の唇からは妖しいぐらいに
光る銀色の唾液の梯子が伸びたが、すぐにプツンと切れた。
鬼教師の異名を取る本郷は心の中で呟いた。
体操服を忘れたということで、
エヴァパイロットの碇シンジは今日の授業を休まして欲しい、
と言ってきた。碇シンジは今まで真面目に授業に出ていたし、
サボるというような考えを持つ生徒ではないと、本郷は知っている。
素行が良い彼なら一度くらいは目を瞑ってもよい、と一瞬思ったが、
もじもじと顔を赤らめる彼に本郷は直感的に何かを感じた。
「駄目だ、出ろ。体操服を忘れるなんてたるんでいる証拠だ」
極めて冷静に授業に出るように告げる。厳しく律する視線も忘れない。
「で、でも…」
「『でも』じゃない。体操服を忘れたならシャツ、パンツ一丁出ろ。
俺はエヴァパイロットだからって、そんな甘えは許さんぞ!」
少しばかり大声で怒鳴ったらすぐに俯いて口を閉ざした。
その瞳は潤み、半ベソをかいている。
ゾクゾクとした快感が鬼教師の背筋を昇っていく。
一年に一人はいる女のような男子生徒。
そんな生徒を温かく見守るのが本郷の趣味だ。
しかし、碇シンジは違った。今まで本郷が見てきた男子生徒とはかけ離れている。
碇シンジの可愛い顔が、恐怖で歪むのが、疲弊しきった顔を観るのが
鬼教師を楽しませるようになっていた。
案の定、碇シンジは苦悶の表情で授業に出ていた。
転校してきた彼には体操服を借りる友人は他のクラスにはいないのだろう。
シャツと下着一枚で体育に出てきた。
グラウンドの一角にで
本郷の前に整列する生徒の中で、彼はとびきりに異質だった。
眉を八の字に曲げて、顔を耳まで真っ赤にしていた。
ただ、下着一枚ならそんな顔はしまい。
彼の穿いている下着は明らかに女物のショーツだった。
碇シンジはそんな肌を隠す面積の小さい布地を、
少しでも見られまいと、シャツの裾を引っ張り、
必死に隠していた。
本郷は心の中で快哉を挙げた。
碇シンジのこんな姿を見られるなんて夢にも思っていなかったのだ。
「何だ、碇。そんなパンツを穿いて寒くないか?」
鬼教師のその言葉で生徒達は笑う。
チラチラと彼を見る男子生徒までいる。
それが一層恥ずかしいらしく、俯いて、震えていた。
男子生徒で笑い声で、男子生徒とは逆側にいた
女子生徒もこちら側を見て、指をさしていたりする。
無論、碇シンジの格好について何か言っているのだろう。
「よーし、それじゃあ、まずは学校の周りを走れ」
笑い声が落ち着いた後、授業を開始する。普段はグラウンドを二周程、走らせるだけだが
今日はそんなことでは勿体無い。学校の周りを走らせることにした。何周、学校の周りを走るかなど言明しない。
いつ終わるか分からない恥辱こそが人を苦しめるということを 本郷は本能で知っていた。
本郷が笛を鳴らすと、生徒達は走り始めた。もちろん碇シンジも。困った表情が印象的だ。
いつもなら走る生徒を眺めているが、今日は生徒達と一緒に走ることにした。
正常な状態なら前の方を走る碇シンジだが シャツでパンティを隠すという格好も手伝ってか、
碇シンジは最後尾を走っていた。 やや太った運動ができない生徒にも遅れをとっている。
本郷は最後尾から少しばかり離れた所から
碇シンジのプリッと張った魅惑的なヒップを眺めていた。
あんな瑞々しい肌は、あと何年もすれば筋肉質に変わると
思うと、本郷は寂しく感じた。
可愛い碇シンジを楽しめるのは今だけだ。
本郷は今日の彼を目に焼き付けて、忘れまいと心に誓った。
無理な体勢で走っているので、
くなくなと身体が誘うように揺れている。
それがなんともエロティックに映る。
時折、周りの視線を気にしてか、ちらちらと辺りを伺う。
その表情も何とも言えず魅力的だ。
(最高だよ、お前は…)
本郷は今にも背中から抱き締めてやりたい衝動に駆られる。だが、必死にそれを自制する。
一分ぐらい走った頃だろうか?
碇シンジのペースは明らかに落ちていき、ハアハアと荒い呼吸を交え、ノロノロと歩き始めた。
極度の辱めが彼の体力を奪っているのだろう。本郷はそんな彼に近づいて、
この時ばかりと、桃のような臀部をはたいた。
「ほら、早く走れ。他の生徒に迷惑かかるだろ!」
「あうっ!」
昼下がりの道には場違いな声が木霊した。
「どうした、碇? いつもはもっと速く走れるだろ?
手を抜いてるのか?」
心の中で笑いながら本郷は真面目そうに言う。
「そ、そんなわけじゃ…」
首をふるふると振るい、碇シンジは懇願の表情で本郷を見た。
唇の色はは淡く、おまけに半開きで、その奥にある濡れた舌は
とても柔らかそうだ。吸いつきたくなってくる。
「だったら、速く走れ。ほら!」
パンともう一度強く桃尻を叩く。
「うぅんっ! や、やめてください。走る…、走りますから…」
碇シンジは疲弊しきった身体に鞭を打って、
ペースを上げた。やはり、彼もこの恥辱を終えたいのだろう。
通行人もじろじろと女物のパンティ一枚で走る彼に訝しげな視線を投げかけている。
碇シンジはシャツで隠しながら、本郷の前から走り去っていった。本郷も大急ぎで彼の後ろを追っていきたかったが、
いつの間にか、本郷の男根は大きく屹立していて、彼を追うことを困難にしていた。
本郷は心の中で舌打ちする。
(くそッ、もう少し、優しく甚振れば良かったかな?)
屈み走りをしながら、本郷は少しでも追いつこうとペースを上げた。
本郷は鍛え上げた身体で道を駆け抜ける。
流石、若い体育教師というだけあって無理な体勢でも
すぐに碇シンジの背中を視界に捉える事が出来た。
碇シンジも今度という今度は、フラフラで、よろめきながら、重い足取りで走っていた。
まるで泥濘の中を走っているようにノロノロとペースは落ちている。
どうやら、先程の走りは、最後の力を振り絞っていたらしい。
それにしても…、と本郷は思った。
あれだけヨロヨロと疲弊しきっても、穿いている女物のショーツをシャツの裾で
隠すことを忘れていない。普段から自分が女っぽいと自覚していることもあるのだろう。
そういう少年に限って、自分が女の子のように見られることを極端に嫌う。
そして、その隠すという仕草が本郷にはとてつもなく健気で、
変態性欲を満たしてくれるのだ。
鬼教師は背後から、再びじっくりと碇シンジのぷりぷりの美臀を観賞する。
その時であった。
(おいおい、嘘だろ!?)
なんという僥倖か?
碇シンジは極度の緊張と疲れからか、アスファルトの上に倒れこんでしまった。
本郷はすぐに碇シンジの元に駆け寄る。
「おい、碇、大丈夫か!?」
うすぼんやりと瞼を閉じ、口からは荒い呼吸が止まないが、
意識は失っていないらしく、本郷の問いに頷いた。こういったことも本郷はお手の物だ。
意識さえしっかりとしていればどうという程ではない。休めば治るのだ。
しかし、碇シンジは頷くだけならまだしも、彼はその少女のような唇から
「ごめんなさい…、先生…すぐ、走ります…から…」
などと、ゆっくりと言葉を紡ぐではないか。
このような仕打ちを受けた原因である男に謝罪の言葉を述べるのだ。
中学生、高校生の時分なら、陰では教師の悪口を言うのが普通だ。
そういった事を言っている生徒は普段の言動から読み取る事ができる。
だが、碇シンジは違う。本郷の変態染みた申し出も、
自分が悪いからと思い込んでいるのだ。
(くくく、こいつは使えるな…)
本郷は碇シンジに見えぬようほくそ笑む。
「馬鹿、何を言ってるんだ。走らなくていい。
先生と一緒に保健室に行くぞ」
本郷はショーツを隠すため着ていたジャージで碇シンジの腰を巻くと
華奢な身体を背負った。そして、ここぞとばかりに本郷は、
碇シンジの柔らかな肉体を擦り、尻を撫で回した。
だが、疲れ切った碇シンジは気付かない。
「あ、あの…、先生、いいです。平気ですから…」
まだ呼吸が荒い。その熱い吐息が首筋に当たり妙にくすぐったい。
「碇、今日はもう保健室で休んでくれ。
すまんな、そんな格好で走らせて。
だが、他の生徒の手前、お前だけを特別扱いするわけにはいかないんだ」
もっともらしい言い訳を口にする。
優しく語りかける口調で、彼の動揺を誘う。
狙い通り、普段は厳しい教師とのギャップで
碇シンジはその言葉を信頼しかかっていた。
グラウンドを横切り、本郷は生徒達に告げる。「今日は自習だ」と。
ほとんどの生徒は喜んだ。「やったー!」などとあからさまに口にする生徒もいる。
(そりゃ糞つまらない俺の授業よりかは自習の方がなんぼかマシか)
本郷が自嘲すると、一人の生徒が前に出てきた。
「あの、センセ。シンジの奴、どないしたんでっか?」
鈴原トウジだ。確か、碇シンジとは仲が良いと記憶している。
「ああ、途中で倒れちまってな。これから保健室に連れていくんだ」
本郷が言うと、トウジは予想もしないことを口にした。
「ほんなら、ワシが連れて行きますわ」
(ば、バカ! 何を言うんだ、コイツ? 俺の計画を壊す気か!?)
動揺を隠すように本郷は一度、息を大きく吸う。そして、吐く。
「いや、俺が行く。責任は俺にあるんだ」
「で、でも…」
教師権限をフルに使うように、やや睨みながら本郷は言うが、トウジは食い下がる。
しばらく押し問答が繰り返された。普段から仲が良いし、先生も授業をした方がいい、などと
もっともなことをトウジに言われ、本郷はやや形成不利になる。
しかし、そんな本郷に助け舟を出したのは意外にも碇シンジだった。
「大丈夫だよ、トウジ。先生は本当は優しいんだ…」
碇シンジはトウジに目で訴えかける。『だから、心配しないでよ…』
そう彼は目で言っていた。トウジもまたシンジが本郷に叱責されないかと
心配しての申し出だったのだろう。
心で通じ合うような素振りを見せる彼らに、本郷は嫉妬に似た黒い炎が胸の中で燃え上がった。
保健室の扉を開ける。消毒液などの独特の臭いが鼻腔をつく。
保健室には誰もいなかった。この時間、保健医はサボっているのだ。
本郷はそれを知った上で碇シンジを保健室に運んだのだ。
「何だ、誰もいねーよ。たくっ、しょうがねーな」
わざとらしく喋る本郷。背負っていた碇シンジをベッドの縁に座らせた。
既に幾ばくか呼吸は落ち着いていた、が、
優しい教師のふりをする本郷は、碇シンジを授業に戻すことはしなかった。
腰に巻いていたジャージを外す。すると、彼の膝小僧から血が滲み出しているのが分かった。
「ん? 碇、怪我をしてるのか」
アスファルトに倒れこんだ時に、擦り剥いたのだろう。
本郷は薬箱を持ってきて、中から消毒液を取り出した。
「あ、自分でやりますから」
「碇、これぐらいのことはさせてくれよ」
「は、はぃ…」
碇シンジみたいな生徒は強く言えば逆らう事はしない。
本郷は今までの教師生活の経験からそれを知っていた。
そう言いながら、腰を下ろすと消毒液を傷口に付ける。
「ちょっと、染みるぞ」
「痛っ…」
鋭い痛みに、碇シンジの顔は歪む。だが、その表情も何とも堪らない。
ゾクゾクと嗜虐の心を揺さ振る表情だ。目を瞑り、歯を噛み締めて、痛みに耐えている。
もっと見ていたかったが、そうも言えない。脱脂綿で消毒液を拭き取ると、絆創膏を傷口に貼った。
しかし、碇シンジという生徒を改めて見てみると、本当に少女のような可愛らしさがあった。
とりわけ美人の部類に入るというわけではない。
だが、鼻はすっきりと通り、瞳も大きくくりっとしている。
腕もほっそりと華奢で、最初に彼を見たときなど女の子と見間違った程だ。
滅多に笑顔を見せることはないが、時折、見かけるその笑った顔は
天使のようで、本郷の心をくすぐり続けた。
「せ、先生?」
碇シンジの不思議そうな声で本郷は我に返る。
どうやら、彼の太腿を握りながら、見蕩れていたらしい。
「ん、ああ。スマンな。考え事をしていた」
咄嗟に言い訳をして、立ち上がろうとすると、
閉じた膝の間から垣間見える女物の下着が視界に入った。
そうだ、そういえばなんで彼はこんな物を穿いているんだ?
「そういえば、碇? なんだそのパンツ? 女物だな!?」
今気付いたかのごとく白々しい言葉だったが、
指摘された碇シンジは、その白々しさを気付くことができなかった。
ただ、慌てて、シャツの裾でそれを覆い隠すだけだった。
「いえ、これは…、その…、着替えの下着が無くて…」
「本当か? 怪しいな。まさか盗んだものじゃないだろうな!」
大方、親族の物だろう。碇シンジに下着泥棒ができるなどとは本郷も考えていなかった。
「ち、違います。そんなんじゃないです!」
慌てて反論する碇シンジ。相当、盗みをしたなどとは思われたくないのだろう。
「本当か? 慌てている所が怪しいな。嘘を吐いてもすぐに分かるんだぞ」
「嘘じゃ…、嘘じゃないです!」
顔を真っ赤にしている。耳までも。下着姿で走った時と同じくらいに。
「じゃあ、碇。調べてみるから、それを脱いでみろ」
「え!? 下着をですか?」
「当たり前だろ、それともやっぱり盗んだ物なのか、んん?」
本郷に詰め寄られて、碇シンジは渋々頷いた。
腰骨に手を遣り、ショーツのゴムを摘み、するすると下腹部を滑らせるように下ろす。
(うおっ! シンジが…、シンジの奴が俺の前で下着を下ろしてやがる!)
本郷は興奮する自分を抑えて、その様子を凝視する。
視線に気付いたのか、まるで羞恥を感じる生娘のようにくなくなと腰を曲げて、
「み、見ないで下さい」と泣きそうな顔で懇願する。
「バカ、何言ってるんだ、男同士で。俺は証拠を消されないか見る義務があるんだ」
強く凄むと、碇シンジはまたショーツを下ろすことに集中する。そして、身体を捻り、背中を見せる。
男といえどせめて自分の男性器は見せたくないのだろう。しかし、生尻は丸見えだ。
本郷はじっくりとそれを堪能する。
いつの間にか、本郷の男根ははち切れんばかりに、下半身のジャージを圧迫していた。
「ほら、脱いだら、早くよこせ」
「はい…」
碇シンジの温もりがまだ残る女物のショーツが本郷の手に渡った。
すぐにでも、むしゃぶり吐きたいが、まだそれは早い。
本郷はじっと碇シンジを睨みながら点検するように、
ショーツのクロッチ部分の上。つまり、碇シンジのペニスがあった所を注視した。
(ん? これは!)
少しだけ染みができていた。汗なんかじゃない。
(まさか!)
「おい、碇。まさかさっき学校の周りを走っていたとき、勃起してたのか?」
本郷の問いに、シーツを腰に巻き、陰部を隠す碇シンジは俯いていた。
それが答えだった。碇シンジは走りながら下半身を屹立させていたのだ。
ショーツの内側に付着していたのはカウパー汁なのだ。
見られていたことに興奮を覚えたのか、脚を動かす度に擦れる、
女性物の下着の内側の滑らかさに気持ち良くなったのか、それは分からない。
だが、女性物の下着を穿いて勃起していたのは紛れも無い事実なのだ。
「決まりだな。碇、お前の親御さんに今度学校に来て貰おう。
普段から、女性物の下着を穿いているどうしようもない奴だと、知ってもらおう」
本郷はすっと碇シンジに背中を見せて、その場から立ち去ろうとした。
きっと彼なら追い縋るだろう。違います、誤解だ、と説得してくるだろう。
一見、か弱く見えるが実は芯は強いのだ。本郷は彼の本質を本能的に見抜いていた。
「ま、待ってください。誤解なんです! その下着は同居している葛城さんという人の物で!」
シーツで前を隠しながら、本郷の腕に纏わり付く碇シンジ。
(同居している葛城? シンジ、それは墓穴だ)
「だったら、なおさらだ。その葛城さんとやらにも話さなくてはいかないな。
全く、碇、お前にはがっかりだよ」
首をゆっくりと横に振るう。
「うぅぅ、違う、違うんです…、うっ、うっ…」
腕に縋りつきながら碇シンジは泣きだした。
後悔しているのだろう。家を出た時は、まさかこんなことになるとは思わなかったはずだ。
急に舞い降りた異常事態のはずだ。こんな混乱している人間ならば、
多少の無理なことでも、受け入れるだろう。
例え、芯が強くても、その周りをコーティングするモノが軟弱だったら長続きはしないものだ。
本郷は笑いを噛み締めながら、碇シンジの方を向き直ると、両肩を優しく掴んだ。
「分かったよ、碇。お前がそこまで言うのなら誤解なんだろう。
でも、俺が信じても、他の教師は信じないかもしれないよな?」
「え? ぐすっ…」
涙で頬を濡らしながら本郷の話を真剣に聞く。
「分かるな、この理屈?」
「え!? あ、はい…」
優しく諭しながら、さり気なくベッドの方へ誘導する。そして、白いカーテンを引き、外から見えないようにする。
まだ碇シンジは泣いていた。啜り泣きをしながら、潤んだ瞳で本郷を見ていた。
「分かるな、お前がおかしな性欲を持っていたことを知っているのは
今のところ、俺だけだ」
わざとおかしな性欲を強調する。
碇シンジは反論もせずに、本郷の話に聞き入っていた。
まだ相当、混乱をしているみたいだ。
「だからな、ここで、二人だけの秘密を作ろう。
俺は碇のことを黙っている。碇も俺の秘密は黙っててくれ」
本郷は碇シンジの手を握り、そのまま、はち切れんばかりに
怒張している自分の股間へと導いていった。
碇シンジの手の平は女のようにすべすべときめ細かく、
それでいて、柔らかく温かかった。
ジャージ越しの熱い本郷の男根に触れた途端、
碇シンジの肩はビクッと揺れた。
これから自分が何をさせられるのか察したのか、
未だ涙で潤んだ瞳で不安そうに本郷を見ていた。
「な、何をす…、させるつもりですか!」
気丈にも声を張り上げる。だが、肝心の声は震え、
無理に声を張り上げたのがみえみえだ。
それが何とも言えず、興奮する。
「だから二人だけの秘密を作るんだよ。
俺だって本当はこんなことをしたくないんだ。
生徒にこんなことをさせたら問題だからな。
だけど、碇、俺はお前のためにさせているってことを忘れるなよ?」
碇シンジのため、ということを優しく諭すように教え込む。
「分かったら、ほら、俺のを握ってくれよ。
お前が取り出すんだ、俺のジャージの裾から」
碇シンジは再び泣きそうになりながら、
下のジャージを、ついで、本郷の下着を下ろした。
既にギンギンに反り勃った大人の肉棒を目の当たりにして、
碇シンジは息を呑む。
「うぅ…、できない…、こんなのできないよ、先生…」
口を押さえ、首をふるふると振るう。
「バカ、今更、できないで済むか!」
本郷は無理やり碇シンジの手の平を掴むと、
強引に己の怒棒を握らせた。
「うぁぁ、やめて、やめてよ、先生!」
「観念しろ、後は目でも瞑って、自分のを扱いているように
動かしてればいいから!」
「うっ、うぅ…。ぐすっ…」
目の前の教師を満足させれば、拒絶するよりかは
早く終わると悟ったのか、碇シンジは言いつけ通り、瞼を下ろし、
本郷の怒棒を上下に擦り始めた。
(うおお! すげぇ、まさかシンジの奴が俺のチンポを扱いてくれるなんて!)
感極まって、本郷はすぐに発射しそうになった。
だが、それでは勿体無い。この甘美なひと時を長く持続させるように、
ぐっと射精を堪える。碇シンジの肩を抱き、自分の方に寄せる。
すると、あからさまに嫌そうに眉を顰める。
普段なら、そんな顔をする生徒に腹立たしさを覚えるが、
碇シンジがすると逆だった。それが魅惑的に映ってしまう。
しかし、なんというか、碇シンジの懸命に扱くその姿は
なんという官能美だろうか。これが14歳の中学生には到底見えない。
目を瞑る姿はあまりにも無防備。唇を半開きにして、
中から覗く桃色の舌は誘っているようにも見える。
(ああっ、くそっ! もう、どうなってもいいや!)
瞼を閉じて、油断している碇シンジの隙を突いて、
本郷はその柔らかそうな唇を、濡れた舌ごと奪う。
全く予想していなかったのか、碇シンジは目を見開いて、
目の前の起こった事象を確かめようとした。
自分がキスされていると分かって、本郷を突き放そうとしたが無駄たった。
所詮は子供なのだ。屈強な体育教師の腕力に敵うはずもなく、
碇シンジはベッドの上に押し倒されてしまった。
本郷の怒張から手を放して、両手両脚をバタバタとさせる。
「んぅー、んぅー」苦しそうにもがく様を見て、
本郷はいよいよ、どうしようもなくなった。
唇を唇で塞いだまま、本郷はまだ剥け切らぬ、
シンジの男性器に手を這わすと、グッと握った。
(うお! 嘘だろ!?)
全く信じられないことだが、碇シンジの男性器は硬くなっていた。
先っぽだけ、剥けていたが、それだけで、いわゆる仮性包茎だ。
恐らくは男とのこういった行為は初めてではないのだろう。
そして少なからず同性にも惹かれているはずだ。
ノン気ならば、嫌悪感から、勃つ所ではなくなる。
本郷は一旦、唇を放す。
「も、もうやめて下さい。お、大声出しますよ!」
声は相変わらず恐怖で震えている。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
「別にいいさ。だが、もし助けを呼ぶなら、
お前の大事な奴を酷い目にあわせるぜ。俺は執念深いからな、くく」
「ト、トウジは関係ないだろ!」
(そうか、畜生! シンジの相手はあの関西弁か!)
メラメラと嫉妬の炎が本郷の胸の中で燃え上がる。
(奪ってやる。あの関西弁からシンジを奪ってやる)
「そうだ。鈴原の奴は関係ない。お前がいうことを訊くなら何もしないさ」
「うぅ…、本当にトウジには手を出さないって約束してくれますか?」
「あぁ、俺は約束は守るよ」
本郷の手の平は再び、シンジの男性器を弄りだした。
「あぅ…、ん、はぁ…」
可愛らしい少年の喘ぎが聴こえる。
「ほら、まずは一回出せよ、シンジ。イキ顔を俺に見せてくれよ」
「んんぅ…、あぅ…」
ブルブルと碇シンジの肉体は奮える。絶頂も間近だろう。
本郷は笑いながら、射精する瞬間を眺めていた。
「あ…、んくぅ…っ! せ、先生! 僕、もう…」
「何だ、我慢できねえのか? へへ、いいぜ。見ててやるよ」
「嫌だ…、嫌だよぉ…」
ぎゅっとシーツを握り唇を噛み締めるが、
訪れる絶頂の波には抗う事はできなかった。
大袈裟とも言えるほど、肉体を震えさせると、
握っていた碇シンジの男精器の先端からは白濁液が吐き出された。
びゅっ、びゅうっ、と吐瀉される度に碇シンジの身体は揺れる。
「あ、うぅ…」
か細い声とは裏腹に少年の射精は勢いがよかった。
本郷は満足げに、シーツを汚れる様を見届けると、
碇シンジの唇を再び奪う。
今度は生半可なキスではない。
柔らかな唇を、ぬめる舌を唾液ごと吸い尽くす。
じゅる、じゅるる、と碇シンジの口腔の分泌液を嚥下する。
(うお、うおお! すげえ、柔らけぇ…)
碇シンジのイキ顔を見ながらのキスはまた格別だった。
絡める舌は蕩けるように、甘く、美味だ。
逆らえぬと悟ったのか、それとも射精を促されたばかりで、
満足に抵抗できないのか分からないが、
碇シンジは本郷の舌に従順だった。
それに気を良くした本郷は、ここぞとばかりに
己の唾液を、碇シンジの小さな口の中に送り込む。
流石にそこで、自分を取り戻したシンジは、
必死に体育教師の唇を払おうとしたが、
そんなことは無論、本郷は許さなかった。
握ったままでいた碇シンジの男性器を、
残った精液を搾り出すように、上下に動かす。
それだけのことで、碇シンジは抵抗らしい抵抗はできなくなった。
(そうだ、おとなしくしてろよ、シンジ)
ついに碇シンジの喉は動く。
こくこくと少しずつ、本郷の唾液を体内に送り込んでいた。
そこで、やっと本郷は唇を放した。
「どうだ、俺の唾は美味しかっただろう、くく」
口端から垂れる涎を拭うこともせず、
碇シンジは本郷の問いに頷いた。
味など分かるはずも無い。ただ、逆らわぬようにしただけだ。
もちろん本郷もそれは分かっている。
しかし、理屈では割り切れぬ感情が本郷の中で沸き起こる。
「どうした? 顔が赤いぞ、風邪か?」
「え?」
不意に投げかけられた質問に碇シンジは慌てて本郷の方を見向く。
何かまたよからぬことを考えているだろうということは、
ニヤニヤと笑う本郷の顔で直感した。
一瞬でも彼に気を許した自分が情けない。
厳しくても本当は優しい先生などと。
今では単なる陵辱者だ。せっかくトウジが助けてくれようとしてたのに。
碇シンジはまた瞳に涙を溜める。
だが、もう涙を流すわけにはいかない。そんなことをすれば本郷が喜ぶだけだ。
ぐっと涙を堪えると、本郷は驚くべきことを口にした。
「ケツを向けろよ、シンジ。先生が熱を計ってやるよ」
「嫌だ。嫌だよ! もうやめてよ、先生!」
碇シンジは嫌だ、と懸命にかぶり振る。
「何、言ってやがる。俺の手で一回、イッた癖に今更、恥ずかしがるなよ」
本郷はぐいっと碇シンジを抱き、軽々と身体を反転させた。
もっとなじっていたいが、今は時間は限られている。
本郷は碇シンジを苛めながら次回への繋ぎを画策していた。
「へへ、可愛いケツだな」
ぴちぴちと肉の詰まった淫桃を、軽くはたく。
「それに、綺麗なもんだ。今日、鈴原の野郎とするつもりだったのか、ん?」
合わさった肉を割り、中心の窄まりを空気に晒す。
「ああ、やめてください。そんな所、見ないで…、んんぅ…」
抵抗しているつもりなのだろう。ヒップをふるふると振るその姿は
淫猥として、自分を誘っているように見える。
すぐにでも己のいきり立つ怒張を捻りこみたいが、
流石に無理だろう。トウジとはできているらしいが、碇シンジはまだ処女だ。
閉じられている小さな菊門から、それは察すられる。
ゆっくりと時間をかけて拡張をしなければ、挿入することなどできない。
まずは自分にひれ伏させる事が肝要だ。
本郷は、先ほど、絆創膏を取り出した際に、
一緒に持ってきた体温計を碇シンジの、お尻に窄まりに宛がった。
「ひっ、先生、何を…」
後ろを向いている碇シンジにとって、急に冷たい感触は恐怖だろう。
本郷は無言で、体温計を碇シンジの中に推し進める。
「うっ、くぅ…、あ、やぁぁ…」
初めての異物の混入に、嗚咽を吐きながら、
シーツをガリガリと掻き毟る。
冷たい無機物が徐々に窄まりへと埋まっていく。
ずずっと人差し指ぐらい入ったところで、本郷は声をかけた。
「どうだ、冷たくて気持ちいいだろ?」
「あ、ぅぅ、気持ちよくなんか…、な、ないよ」
「そうか、凄いな、シンジのお尻は一本じゃ満足しないのか…」
ポケットからもう一本、体温計を取り出して、
入り口をくすぐるように、なおかつ、
腸壁が傷つかぬようにゆっくりと挿入する。
「あくっ、うぅ…、ぐっ…。苦しいよ。ぬ、抜い…てぇ」
旧式で太めの体温計だから、二本入れてしまえば、
初めての碇シンジには限界だろう。
きゅうきゅうと体温計を締め付け、いかにも苦しそうだ。
いつかシンジの中に挿れることを思い描くと
想像しただけで異様に昂ぶってしまう。
「どうだ、これで満足したか? 気持ちイイだろ? くくく」
あまりの苦しさに、満足に喋れず、うんうんと数回頷く。
「ちゃんと口で応えろよ。うんうん頷くんじゃなくて、
『気持ちいいです』ってよ」
なじりながら、二本の体温計を、腸壁にわざと当てるように
更に推し進める。
「あぐぅぅ! き、気持ちいいです。だから、もう…、お願いします…、
抜いてぇっ、抜いてくださいぃ!」
「気持ちいいのに、なんで抜くんだよ、あぁ!?
そんなにいいなら、もう一回、ヌいてみろよ」
出したばかりで、射精には時間がかかると碇シンジ自身、思っていたが、
握っただけで、快感は一気に押し寄せてきた。
尻を弄られ、最も恥ずべき箇所を触られ、碇シンジは興奮していたのだ。
こうなってしまえば、最早、恥も外聞もなかった。本郷は喋っている内も、
体温計を深く捻りこんでいるのだ。その痛みから早く解放されたかった。
だが、恐ろしいことにそれだけではない。
腸壁に異物がくすぐられているうちに、
言いようの無い感覚が碇シンジの体内を駆け巡っていくのだ。
甚振られることで快感を感じてしまう自分が怖かった。
「イきそうな時は、ちゃんと教えろよ」
「は、はい」
自分のモノを扱きながら、碇シンジは返事をする。
返事をしたのも束の間、一瞬で、碇シンジは絶頂へと駆け上っていく。
「あぅ、出す。イキます、先生っ!」
「よーし、おら、出せ! 全部、出しちまえ!」
射精と同時に本郷は、串刺しにしている体温計を激しく弄りだす。
碇シンジの目の前はしぱしぱと、火花が散った。
目の前が真っ白になる。
今までに感じたことのない、快楽だった。
「あぁ…、っ!」
ビクンビクンと碇シンジは身体を痙攣させる。
何度も何度も、男性器は動かされ、射精が繰り返された。
小さな胸を上下して、熱い吐息も往復される。
「どうだ、良かったか?」
声が聴こえた。頭がぼんやりとして誰がしたかは認識できない。
しかし、誰がしたとも分からぬ質問に、碇シンジは一度だけ微かに頷いてしまった。
不器用な、手慣れぬ仕草で惣流=アスカ=ラングレーは
まな板の上に置いてある野菜を切っていた。
「もう、何だってアタシがこんなことしなくちゃならないのよ!」
観たい番組があったのに、とアスカは手に持った包丁で
ニンジンを一刀両断する。
同居人の碇シンジは随分と遅い帰宅だった。
帰ってくるなり、今日の夕食当番を代わって欲しいと頼まれた。
余りにも消沈した面持ちの碇シンジに、アスカは承諾してしまったが、
それでもやり切れない思いをブツブツと口にしながら、手を動かす。
何があんなに碇シンジを落ち込ませるのか。
普段から明るいとは言えない性格だが、今日は度を増して酷い。
だが、一応、心当たりはある。
今日の体育の授業で、碇シンジは体操服も着ずに、
下着姿で走っていたのだ。それも女性用の下着で。バカなヤツ、そう呟きながら、
アスカは心配そうに、碇シンジの部屋の方向に目を向けた。
大方、洗濯をして穿いていく下着がなかったのだろう。
その上、悪いことに体操服を忘れてしまって。
それにしても…、
あの体育教師は何を考えているのだろうか?
前時代的、古い、これだからセカンドインパクト世代は、と
アスカは本郷に対してどうしようもない腹立たしさを覚えた。
女性物の下着を必死に隠しながら走る姿は
全員が笑っていた。男子生徒も女子生徒も。
何をやっているんだ、碇シンジは、と。
思春期の少年少女らの嘲笑の的だった。
だが、アスカはその笑いの下に隠されていた意味をはっきりと見て取れていた。
全員が全員、健気に走る碇シンジの妖艶さに胸を高鳴らしていたのだ。
息を切らし、しっとりと汗を肌に伝わらせるその姿に。
事実、アスカもそうだった。誰も本郷に対して抗議をしなかったのは
碇シンジの艶姿を見ていたい心の底の願望を現しているにすぎなかった。
同年代の少年らしからぬあのいやらしさ。
隠す行為がいじらしさを演出していた。
誰も彼もが、何度も唾を飲み込んでいたことだろう。
アスカも碇シンジに惹き付けられてしまっていた。
それが何より悔しかった。
「あ~、もう!」
唯一、抗議らしきものを本郷にしたのが、鈴原トウジというのも気に入らない。
それは自分の役目のはずなのに。
同じエヴァパイロットなのだから、碇シンジを庇うことができるのは自分しかいない。
なのに女子生徒に囲まれて見ていることしかできない自分自身が歯痒くて仕方なかった。
アスカは周りの目が気になって、どうしても動けなかったのだ。
あっさりと碇シンジと夕食当番を代わったのは
彼に対しての贖罪意識がそうさせたのかもしれない。
アスカはふと様子が気になって、碇シンジの部屋へと向かう。
部屋から碇シンジのすすり泣く声が聴こえてきた。
やはりあの仕打ちは相当、恥ずかしかったのだろう。
声をかけるべきか。慰めるべきか、悩んでいると、
部屋内から碇シンジの携帯電話が鳴る音が、襖越し微かに耳に届いた。
碇シンジはベッドの上にうつ伏せになり、
シーツを顔に抱き、泣いている声が外に漏れださないようにしていた。
羞恥から、悔しさから、自然と瞳から涙を零してしまう。
そこにピピピと携帯電話の電子音が鳴り響き、
その音に碇シンジは肩を震わせた。
上身を起こし、ベッドの縁に座り込む。
袖で涙を拭った後、携帯電話を手に取り、通話ボタンを押す。
「よお、シンジ」
声を聞いて、碇シンジはくらくらと眩暈に似た感覚に囚われた。
電話の主は本郷だ。
「何のようですか…?」
極めて冷静に努めて、用件を問う。
強がりだと自分でも分かっている。
実際、全身が冷たくなるほど血の気が引いていた。
「つれないなぁ、俺の前でオナニーまでした癖に、
そんな態度を取るのか?」
その言葉で今度は血が逆流したように顔を赤くさせる。
カァっと頭に血が昇り、耳まで真っ赤にしていた。
「し、知らないよ、そんなこと!」
「くく、碇シンジくんは今、どんなパンツを穿いているのかな?
女物、それとも男物かな?」
慌てふためく碇シンジをまるで嘲笑うかのような本郷の声。
碇シンジは言葉を失い、俯いた。
「今から外に出れるか? 保健室の続きをしようぜ」
「やだ! なんで僕が、そんなことしなくちゃいけないんだよ!」
「嫌か? アナルに棒を挿れられて、嬉しそうに、ヒイヒイよがってたと思ってたのにな」
自分の痴態を指摘されてブルブルと携帯電話を持つ手が震える。
戦慄く唇をもう一方の手の平で押さえる。
これ以上、本郷とは関わりたくない。碇シンジは痛切に感じた。
キスをされて、お尻の穴を弄られ、絶頂を迎えさせられてしまったのだ。
あれは一時の気の迷いだ。おかしな興奮を覚えたのは
下着姿で走っている内に身体が少しだけ変になってしまったからだ。
頭の中でそう言い聞かせても、恥ずべき事実は変わらない。
あんな犬のような姿はこれ以上誰にも見せたくはなかった。
自分が自分でなくなるような、そんな恐れが碇シンジの心の底にあるのだ。
認めたくないのだ、そんな自分を。
本郷に対して、自分に対しての恐怖感から反射的に電話を切ろうとすると、
本郷は驚くべきことを口にした。
「今の世の中は便利だよな?
何せ、携帯で写真を撮れたりできるんだから」
その言葉を聞いて、ビクンと碇シンジは身体を揺らす。
撮られていたのだ。あの痴態を。
「あ、あぁぁ…、そんなぁ…」
「返して欲しいだろ? あんな姿を人に見られたら
恥ずかしくて、生きていけないよなァ?」
「か、返してよ!」
「『返して下さい』、だろ?」
グッと言葉を詰まらせる。
だが、ここで逆らうことはできない。
ここは従順にいうことを訊くべきなのだ。
保健室の一時で、碇シンジは本郷のサドスティックな性格を理解していた。
「返してください、本郷先生…。お、お願いします…」
唇を噛み締める。悔しくて仕方なかった。
自分を甚振った人間に媚を売ることなど屈辱以外の何物でもない。
「くくく、いいぜ。可愛い生徒に頼まれたら仕方ねぇ。
マンションの入り口の前で待ってるからな。
色っぽい格好をしてこいよ、同居人の惣流さんから制服でも借りてよ」
「な…!?」
反論する前にブッ、と電話が切れる。
碇シンジは、しばし茫然と携帯電話を見つめていた。
アスカから服を借りる?
冗談ではないことは本郷の性格から分かる。
ゴクリと唾を飲み込み、碇シンジはベッドから立ち上がった。
襖を開けた瞬間、アスカがいたので碇シンジは激しくうろたえてしまった。
「ア、アスカ!」
声を張り上げ、同居人の名を口にする。
「な、何よ、大声出して」
アスカもアスカで、張り合うように声を出す。
「何? 僕に用?」
「ち、違うわよ! いや、違くなくて…。
そう! もうすぐ夕飯ができるから呼びに来ただけよ」
「そうなんだ、ありがとう…」
「シンジ、アンタ顔色悪いわよ、大丈夫?」
「そ、そうかな?」
これからする行為に罪悪感を覚えているのだろう。
しばし、借りるだけだが、それでも許されることではない。
女の子の服を借りるなんてことは。
ましてやそれを男が着る気なのだ。
そんな男に大抵の女の子なら嫌悪を覚えるだろう。
碇シンジはアスカの顔を見られずに無意識に俯いてしまう。
「何よ! アタシの料理じゃ不満なの?」
「ううん、そういうわけじゃないんだ。楽しみにしてるよ。ホントだよ」
碇シンジは首を振って応える。
「ならいいけどさ…」
「う、うん」
ぎこちない空気のまま、会話は終わった。
碇シンジはアスカが台所で料理を作っている内に、
彼女の部屋へと忍び込んだ。
心の中では自分に対する嫌悪感で一杯だ。
ハンガーにかかっている制服を手に取り、自分の部屋へと戻った。
慌てて服を脱ぎ、ブラウスに袖を通す。
ふわりと女の子の甘い匂いが碇シンジの鼻腔を掠める。いい匂いだった。
こんな芳しい香りを放つ美少女の制服を自分が着ていいものだろうか?
僕みたいに男が…。ゴクリと唾を飲み込む。
倒錯した感情が碇シンジの劣情を促進させるのか。
制服を着ただけで、まだ剥け切らぬ小さな男性器はむくむくと大きくなってしまう。
これでは女装癖のある変態ではないか。
まさか、期待しているのだろうか?
本郷の手によって、またアナルの悦楽を味わうことに。
いや、そんな筈はない。僕は写真のデータを返して欲しいだけだ。
自分にそう言い聞かせて、碇シンジはアスカに気付かれないように
念のため自分の服を持って玄関から外に出た。
顔を隠して、下の階下へと向かう。
エレベーターで誰かと鉢合わせになるかもしれないので、階段を使う。
それにしても、と碇シンジは思った。
女の子の制服とはどうしてこんなに無防備なのだろう。
足元から風が忍び込みスースーとする。
女物で走る姿も恥ずかしかったが、
女子の制服で歩くことはまた違った意味で恥ずかしかった。
この姿が万が一知り合いに見られぬよう、
神経を遣いながら階段を下りる。
マンションの入り口から少し離れた場所に黒いジープが止まっていた。
この辺では見かけぬ車でエンジンがかかったままだ。
窓にはスモークガラスが張られている。
まさか、と思いつつ、碇シンジは車に近づいていった。
窓が開く。車内には思った通り本郷がいた。
上から下まで舐めるように視線を這わせる。
まるで視姦されているような感覚。
ぞくぞくと背筋に悪寒が走ってしまう。
きっと保健室の時よりも、もっと酷い事をされるんだ、とシンジは感じた。
「いい格好だな、シンジ。すげぇ可愛いよ。
どうやって借りてきたんだ?
女の子の格好が好きだから貸して、って頼んだのか?」
「・・・・・・」
何も言わない碇シンジに肩を竦めて、助手席に乗るように首で促した。
助手席に回り、ジープに乗り込む。
無言のまま碇シンジは本郷に眼差しを向けた。
逆らえぬ碇シンジのせめてもの抵抗だった。
膨らむ男性器を隠しながら、ジッと本郷を見据える。
これは意思とは無関係な生理的な物だと、自分に言い訳をしながら。
本郷は運転席に座り、落ち着かない面持ちで碇シンジを待っていた。
ちゃんと自分のいいつけを守るのか?
もしも、誰かに自分との関係をばらされたら、
本郷の教師生命、いや人生は全てご破算となる。
このジープにやって来るのは、碇シンジではなく警察かもしれないのだ。
本日、何本目のタバコだろうか?
ボックスから一本取り出し、火を着けようとした時、
マンションの入り口から、一人の少女が出てきた。
本郷が少女と判断できたのは、彼女が身に付けている服装だ。
第壱中の女子の制服で、入り口から照り出される光で、
淡い青色の制服が容易に見て取れた。
本郷はゴクッと唾を飲み込む。
顔はよく見えないが黒髪のショートカットという事だけは分かる。
腕に何か抱えている。服だろうか?
少女がジープに近づいてくる。最も緊張する一瞬だ。
だんだんと顔の輪郭がはっきりとしてくる。
やはり、少女は碇シンジだった…。
思わず溜め息を吐きたくなる。
快哉を上げて、喜ぶべきだろう。
碇シンジは自分の命令通り、女子の制服を身に纏って、
ここにやって来たのだから。
ジープから少し離れた位置から、こちらの様子を伺っている。
無論、彼はこの黒いジープが本郷の物だということを知らない。
不安そうな表情でジープをちらちらと見ていた。
小動物を思わせるその仕草が堪らない。
そんな碇シンジを見ていると、どうしても苛めたくなってくる。
碇シンジにとって自分は絶対的な強者なのだ。
最早、ちょっとやそっとのことで自分を警察に突き出すという
考えは持たないだろう。その隙に碇シンジをオトすべきだ。
これからするこ行為を思い、本郷は胸を高鳴らせた。
「いい格好だな、シンジ。すげぇ可愛いよ。
どうやって借りてきたんだ?
女の子の格好が好きだから貸して、って頼んだのか?」
窓を開けて、開口一番、碇シンジにそう告げる。
だが、何も言い返してこない。
少しばかり肩透かしを喰う。
だが、キッと自分を見据える碇シンジを見て、
本郷は女装少年の考えをすぐに理解した。
これはせめてもの抵抗なのだ。
無言で、何も言わないことで、反抗の意志を本郷に示しているのだ。
彼は、碇シンジは怒っている。それも相当。
惣流アスカラングレーの制服を着せたことで、
間接的にも自分の同居人を巻き込んでいることに対して。
本郷はそんな彼の考えを見抜き、ほくそ笑む。
その態度がいつまで持つのか見物である、と
本郷は顎で助手席に乗るように、促した。
碇シンジは従順にそれに従い、助手席に乗り込んできた。
助手席に座っても彼は何も口にしなかった。
ただ、その円らな瞳を本郷に向けているだけだった。
本郷は改めて、碇シンジの女装姿を観察する。
間近で見ても印象が変わることはない。
女子の制服は彼にピタリとフィットしていて、何ら違和感を覚えない。
全く男にしておくのは勿体無いほどの愛くるしさだ。
いや、男だからこそか、と本郷は苦笑する。
いじらしくスカートをきゅっと握っているのも、堪らない。
その裾から伸びる柔らかそうな太もも。
そして、綺麗な脚線美。思わず、そこにいきり勃った肉棒を
擦りつけたくなる。だが、それはまだ早い。
もう少し、碇シンジの身体に教え込ませてからでも遅くはないだろう。
本格的に肉体に覚えこませる前に、碇シンジにさせたいことがあった。
まずは昼間の続きだ。途中で体育の時間が終わってしまって、
本郷はあの時から一滴たりともスペルマを放出していないのだ。
ギンギンに屹立するイチモツは苦しそうにスラックスの下で呻き声を上げている。
碇シンジのすべすべの手の平で一度、精を出したかった。
いや、それだけでは飽き足らない。口に含ませてやろう。
「ほら、シンジ、ボーっとしてないで、俺のを扱けよ。
渡して欲しいんだろ? 犬みたいな格好でよがっているお前のデータを」
再び、碇シンジは本郷を睨み付ける。
悔しくて、口惜しくて仕方ないのだろう。
だが、その生意気そうな目もまた本郷の嗜虐心を昂ぶらせるだけだった。
構わないのだ。アドバンテージが本郷自身が握っている内は。どんな目で見られようが。
それに、どうせそれぐらいの抵抗しか碇シンジにはできないのだ。
そして、それすらも出来なくなるように仕向ける。
その過程が本郷にとって最大の愉悦なのかもしれない。
碇シンジは小さな上体を丸め、やはり無言のままスラックスのファスナーに指をかけた。
本郷は碇シンジの横顔を見ながら、自分の男根を扱く様を見届けることにした。
保健室の一件から、未だ精を放出していない本郷のイチモツは
異様な興奮の中、碇シンジを狙うように凶暴に反り勃っていた。
ついに碇シンジは、スラックスから本郷のモノを取り出す。
瞬間、可愛らしい唇から「うっ!」と驚きの声をあげる。
無理もない。ここまで蒸れている他人の性器など触ったこともないのだろう。
本郷の男根は牡の臭気を発し、先端からは我慢汁が滲み出している。
そして、碇シンジを催促するようにグロテスクにピクピクと脈動を繰り返していた。
「おら、どうした? 知らないモノでもないだろ。
早く、シンジの手で優しく扱いてくれよ」
グイッと腰を動かし、碇シンジの清らかな白い手の平に、汚汁を塗りつける。
滑め付く不快感に碇シンジは思わず、手を引っ込める。
「おいおい、焦らすなよ。ったく、流石だな。
男心をわかってやがる」
言いながら、少年の尻の辺りをさすってやると、「ひっ」と声を上げた。
スカート越しでも極上の肉の感触だ。
ギリギリまで極められたような、繊細な肉付きに本郷は震える思いだった。
臀部とシートの間に挟まれている、スカートの裾を捲くってみる。
「や、やめてよ!」
ここで、碇シンジはやっと声らしい声を出し、腰を振る。
塞がっていない下半身で本郷の手を撥ねつけ、拒絶の意志を見せた。
だが、本人にはそんなことを少しも思っていないだろうが、
たっぷりと柔肉の詰まった二つの房をグラインドさせる仕草は、まるで男を誘う猥らな売春婦さながらだ。
それを眺めているだけで、危うく硬い勃起物は発射しそうになってしまう。
「うるせぇよ! やめて欲しいなら、早く扱け!」
パンッ、と思い切り柔らかな尻を叩く。
叩いた感触も素晴らしい。
本郷は我慢できず、肉房を直に触れたくなる。
スカートを捲り、中の下着に指先を這わしてみた。
女性のショーツを穿いているのではないかと、はんば期待はしていたが、
碇シンジの穿いている物は男物のブリーフだった。
まあ仕方ない。女子制服の下にまでは条件をつけていなかったのだ。
それに逆に言ってしまえば、そのアンバランス差がそそられる。
本郷は迷いもなく、ブリーフをずり下げ、太腿で止める。
すると、触られることを察して、無意識に碇シンジのヒップの肉はきゅっと締まりだす。
本郷はこの瞬間が好きだった。つい反応してしまう、肉の動きが。
「へへへ、そんなに尻を触られるのが好きなのか?」
「ち、ちが…」
違うということも本郷は分かっている。
本郷はシンジの言葉を無視して、先ほど、叩いて桃色に充血している臀部をさする。
実に美味そうな尻だ。白い肌が色っぽく桃色に染まっている。
「違わないさ、今から自覚させてやるよ。お前は尻を弄られて興奮する犬ってことをな」
本郷はダッシュボードに手を伸ばし、中からチューブを取り出す。
塗り薬を入れる形状で、ちょうど歯磨き粉に似ている。
無論、中身はそんな物ではない。表面には何も書かれていない、無印だ。
これを手に入れるのに大金を取られた本郷だった。
行き着けのバーで、知り合った怪しい人物。
カタコトの日本語を話す、おかしな外国人だ。
だが、おかしなことでそいつが売る商品は、その店の常連に絶大な信用を得ていた。
本郷の買ってきたチューブもその商品の内の一つだ。
「な、何ですか、それ?」
「なんでもねーよ。尻の穴を滑りやすくするローションのようなモンだ」
碇シンジは手を休めている。本郷の持つ物が気になっているらしい。
本来なら無断で奉仕を中断した碇シンジを叱る所だが、
射精しそうだった本郷には逆に都合が良かった。
本郷はチューブのキャップを開けて、中から薬剤を捻り出す。
白色のゼリーのような物が入り口から這い出てきた。
(こんな物が本当に効くのかよ?)
媚薬と銘打った代物もほとんどはブラシーポ効果だと訊く。
本郷が大金を叩いて買ったのは最高級の媚薬だった。
少量、水に溶かして使えるし、肌に、特に陰部に塗っても効くと、
怪しい外国人は嬉しそうに言っていた。
今は怪しんでいる時じゃない。あの外国人を。
外国人を信用する人々を信頼して、本郷はゼリーを指に付け、
碇シンジのお尻の割れ目に塗りつけた。
ぬるぬるとした感触に碇シンジの身体は僅かに仰け反った。
不快感より、くすぐったさの方が大きいのだろう。
「くぅ…」と言いながら、肩を小刻みに震わせている。
ぐいっと肉の割れ目を指で開いて、小さな窄まりの側にも塗りたくる。
「ひぅっ…、んんぅ…」
大袈裟に身体を揺らした。大方、保健室で異物を突っ込んだことでも思い出したのだろう。
「ん? どうした、そんなに気持ちいいか?」
「き、気持ち良くなんか…、ん……、ないよ…」
「そうだよな、これから気持ち良くなるんだからな」
本郷はそう言うと、後部座席から黒い棒を手に取った。
妖しい光沢を放つそれを見た瞬間、何を意味するのか、碇シンジはすぐに悟った。
「む、無理だよ、そんなのっ!」
慌てて、顔を上げて、かぶりを振るう。
本郷は、ぐっと碇シンジの頭を押さえつけ、
手に持つ、棒を碇シンジの尻に宛がった。
「安心しろよ、これは一番細い奴だからよ。
それに保健室じゃ二本も入ったじゃねーか、シンジなら、こんなの簡単だ」
だが、本郷の持つアナル拡張器は体温計よりも明らかに太い。
黒く艶光りする、フォルムも碇シンジの恐怖を煽る一因だった。
「やだよ、先生、お願いだから、それだけは──、ひぅっ…!」
最後まで聞かず、本郷は先端をほんの数センチばかり押し込んだ。
それだけで碇シンジは小さく呻き、額にどっと脂汗をかいた。
だが、潤滑剤の役目も果たすゼリー状の媚薬のおかげで、
ぬるりと先っぽは簡単に入ってしまう。
「くく、全く、エロイケツだなぁ。本当に入っちまったよ。
これだけ簡単に入るなら、もっと押し込んでも平気だろ。そら!」
「うぅ…、ぐぅ、やめ、やめて…下さ…。それ以上は、あ、あぁぁ…」
本郷は、アナル棒をずずずっと、一気に押し込もうとする。
あまりの圧迫感に声すらも出ない様子で、
碇シンジは唇を結び、痛さを、恐怖を耐えている。
歯の根が合わなくなりカチカチと歯を鳴らす。
肉体の自然な反応で、時折、締め付けてアナル棒の行く手を括約筋が
阻むが、潤滑剤のおかげで難なく奥まで押し込むことができた。
「あぅ…。ん、ん。ぐぅ…」
「おら、どうした? 気持ち良過ぎて、喋れねーか?」
碇シンジは今、握っているのが憎むべき本郷の脚であることも忘れ、
縋りつくように、纏わり付いている。
瞳からぽろぽろと涙まで流し、悶絶していた。
人間とは不思議なものだ。肛門に異物を挿入されただけで
睨む気力も、抵抗する気概も奪ってしまうのだ。
「ぬ、抜いてぇ…、抜いて、お願いだ、からぁぁ…」
首を左右に振るい、顔を本郷の脚に擦り付ける。
すぐ側に本郷の硬くそそり勃つ肉棒があることもあまりの痛みで気付いていない。
恥も外聞もなく泣きじゃくるシンジを見て、本郷はブルブルと奮え立たせる。
今まで生きてきた中で、こんなにも嗜虐心を掻き立てる人間がいただろうか?
本郷は興奮を隠しきれず、目を爛々と輝かせ、
シンジの臀部を叱責する気持ちで思い切り叩いた。
「あぅっ! うぐぅっ!」
「何、言ってやがるんだ。今、挿れたばかりだろ?
そうだな。後、10分は我慢しろ」
叩かれたことで、シンジの肉は反応してますます締まる。
アナル棒がきりきりと腸内を痛めつけ、シンジに嗚咽を吐かせる。
苦悶の表情を浮かべるシンジを見ながらにやにやと笑う本郷。
だが、そんな教師とは逆にシンジは必死だった。
10分と聞いて、それが一生到達できない未来に思えていた。
「じゅっ、10分? ムリ、できないよぉ…、抜いて、あぐぅ…」
泣き声を出している間に、
碇シンジの肛門からじんじんと熱い疼きが広がり始めた。
確かに挿入されている棒は激痛を呼んでいる。
だが、別の感覚も紛れもなく碇シンジに与えていた。
不可解な感覚を碇シンジは媚薬効果とは気付かない。
「どうしても、抜いて欲しいなら、俺のチンポを口で咥えろよ。
ケツマンコが気持ちイイから抜きたくないってんなら、別だけどな、クク」
困惑している碇シンジの耳に、天からの声のように本郷の声が上から聴こえてきた。
このままではおかしくなる。自分が分からなくなりそうだった。
お尻の穴を弄られてよがる自身に、なってしまうのではないかと。
怖かった。どす黒い快感に飲み込まれるのでは、と。
碇シンジはとっさに陵辱者のペニスの先端に唇を触れさせていた。
早く済ませたい。終わらせたい。
その一心で最も許しがたい男のペニスを口に含む。
苦く、口に広がる気持ちの悪い味。
おまけにむせ返りそうな臭いで、シンジは吐き出しそうになる。
「おぅ、そうだ。抜いて欲しいなら、上手くしゃぶれよ」
「ふぁい…」
シンジは咥えながらも返事をする。
初めてフェラチオをするのだろう。
舌も使わず、ただ口に含んでいるだけだ。
見よう見まねで顔を動かしで、口腔の粘膜に亀頭を擦り付けているだけだ。
時折、舌が当たるが、当然ながら、全くの初心だった。
だが、今はそのぎこちない技巧が本郷には堪らない。
あの碇シンジが。エヴァパイロットの少年が自分の命令でペニスを
咥えているのだ。そのことに感動して、
異様に快感が昂ぶってしまっている。
「おお、すげぇぞ。もう出そうだ。
いいか、飲めよ。抜いて欲しいなら俺のを飲むんだ」
シンジは咥えながら首を横に振る。
無理だと言っているのだ。
だが、そんなことを本郷が許すわけはない。
がしっと頭を押さえ、快楽の赴くまま、腰を揺すり始める。
「んんぅ…、ンぅ…、ぐ、ぅぅ…」
口端から唾液が零れる。
眉間に深い縦じわを刻ませて、苦しそうに呻く。
「おら、出すぞ!」
本郷の腰は一際大きくうねった。今から出すという合図だ。
シンジの口に中で、本郷の肉が暴れまわる。
奮え、欲望のままに射精し始めた。白い弾丸がシンジの喉を汚す。
「んー、うっ、んん…」
シンジは円らな瞳を見開いて、襲い掛かってくるスペルマを耐える。
口中に出される驚きと恐怖、苦しさで、何も考えられなかった。
またもや、きゅっと一度だけアナルが締まる。
そこで、嵌っているアナル棒をぐっと引き締めた。
それだけだった。たった、それだけでシンジは
射精せずに僅かに達してしまった。ビクビクと身体を痙攣させる。
イッたことも本人は気付かず、シンジは自分の異変に恐怖した。
黒い欲望に飲み込まれていく気がした。
言葉では形容できない程、ヌルヌルとした不気味な物が
シンジの細い足首に纏わりついていく。
(なんだコレ…? なんだコレ…っ? なんだコレ…っ!?)
シンジは纏わり付く物を取り払おうと、足首に手を回したが、
不気味な物は大きく膨張して、しゅるしゅると巻きつき始めた。
この物体が何処から来るのかシンジには分からなかった。
自分のいる場所も定かではないのだ。
ただ深い暗闇の中に座っていることだけは分かる。
立とうとしても、地面は泥濘のようにその存在は不正確で、
二本の脚を自由に動かすこともできない。
満足に身体を動かせなかったが、
それでも気持ちの悪い感触を少しでも取り除こうと、
足首に絡み付く物体を外そうとした。
「ひっ!」
手で触れてみて初めて分かった。不気味な物体は、
まるで軟体生物の脚のように、足首に執拗に絡まっていた。
「わぁっ! 何だよコレ!? 嫌だよ、外れてよ!」
脚に絡み付く物体の正体が分かって改めてシンジは恐怖した。
慌てて、両手で触手を外そうとしたが、
時は遅く、軟らかい物体は、シンジの学生ズボンの中に入り、
どんどんと上の方に昇って来るではないか。
ぬるつく感触にシンジは全身粟立つ。
今まで経験したことのないような感覚だ。
触手はゆっくりだが、シンジの肌に纏わり付き、
ふくろはぎ、太腿を這うように上がってくる。
「うぅ…っ」
あまりの気持ちの悪い感触に慄きながらも
必死に触手を掴み、取り払おうとする。
しかし、触れると返って触手は反応するように、
昇るスピードは速まっていく。
いや、それだけではない。暗闇から新たな触手が何本も来襲してくる。
シンジの柔らかな肉体を狙うかのごとく、
無数の触手は少年の腕までも纏わり付いて、そのまま昇り始めた。
「うわぁーっ! だ、誰か…、ヤダ! 誰か、助けて!」
悲痛な面持ちで叫ぶシンジ。
だが、声は呆気なく暗闇に掻き消され、何処へと飛んでいってしまった。
孤独の恐怖に打ち震えている暇はシンジにはなかった。
その間も休まず、触手はシンジの身体を這い昇ってくるのだ。
既に腕は浸食され満足に動かせない。
下半身も同様だった。脚に纏わりつく二本の触手は完全にシンジの
自由を封じていた。
四肢をバタバタと振ろうとしたが、もう満足に動けなかった。
触手は動けぬシンジを甚振るように、大事な性器の周りを動いている。
感触のおぞましさにシンジは震えた。
「あっ…。うくっ…」
脚の付け根。シンジの穿いているブリーフの裾から触手が侵入してきた。
シンジは思わず泣きそうになる。
不気味な触感からではない。ぬるぬるとした触手の感触が
敏感な少年の性感帯を刺激してしまい、不覚にも勃起をしていたからだ。
剥け切らぬ包皮を細い触手の先端が螺旋状に昇っていく。
「あっ…、かっ…」
ビクンと一度、シンジは身体を痙攣させる。
経験のしたことのない感触。いや、快楽に近かった。
汚れの知らないシンジのペニスの先っぽのピンク色を愛でるように、
触手はつつく。
「こんなのヤダよ! や、やめッ…、お願いだか、ら…」
シンジは触手に哀願するように切ない声で叫んだ。
言葉が通じぬ生き物であることは、その形容から分かる。
だが、言わぬわけにはいかなかった。
綺麗な包皮を被った綺麗なピンク色のペニスを突かれるたびに
背中に電流のような痺れが走り、徐々にシンジの性感を狂わしていくのだ。
「あ! いや、だ…よぅっ」
触手の動きは激しくなり、一本だったペニスで遊ぶ触手は三本に増え、
シンジの射精を導くようにくねくねと纏わり付く。
シンジは唇を噛み締め、ぐっと堪える。
最早、油断をすると、危うく射精をしそうな勢いだった。
そこで、前だけに神経を集中していたシンジは、
もう一本、触手が脚を昇ってくるのに気付いた。
その蛸の脚のような物は、シンジのブリーフの後ろ側を
探るように動いていた。
まさか、とシンジは思った。
一際太い触手は臀部の周りを執拗に這っている。
再び、助けを呼ぶため叫びそうになった。
だが、次の瞬間、シンジは声すら出なくなるほどの恐怖に襲われた。
「くっ、んんっ…!!」
目がしぱしぱとする。額に玉の汗をどっとかいた。
不自由な身体も構わず、全身の筋肉を使ってシンジは仰け反った。
太い触手はシンジのヒップの縦割りに入り込み、
小さな窄まりへと侵入してきたのだ。
触手にはまるで遠慮という言葉はなかった。
そこが目指していた箇所だと言わんばかりに、
シンジの熱い腸内を駆け上っていく。
腸壁にぬるぬるとした感触を感じ、
シンジは例え無理だと分かっていても、
触手を取り出そうと、お尻を力の限り振ろうとした。
「う、わぁぁ…、ンぅ…」
だが、うまく動けない。
激しく動くと逆に触手は深く入っていく気がする。
その間も、可愛く膨張したペニスに纏わり付く触手は休もうとしなかった。
それが余計にシンジの理性を取っ払ってしまう。
(へ、変だよ、僕…)
こんなことは気持ちの良いはずがない。
身体の自由を奪われ、汚らわしい排泄管を不気味な物体に弄られ、
挙句の果てに男の子にとって大事な性器をもてあそばれているというのに、
シンジはどうしようもない快楽を感じてしまっていた。
「んんぁ……!」
そんなシンジを嘲笑うかのように、窄まりに入っていた触手は
ズボズボと抜き差しを繰り返し始めた。
「あ、ダメぇ…、ううぁ…」
ある程度、奥まで入ると、今度は勢い良く出て行く。
腸壁を擦られ、菊型の入り口を広げられ、
その度にシンジは小さな肩を小刻みに痙攣させる。
「出ちゃう…、あぅ…、も、う…」
もう我慢の限界だった。
射精の臨界点はとうに過ぎ去っている。
それを押し留めていたのはシンジのプライドだった。
人外の物に、訳の判らぬまま絶頂を促されるなど、
どうしようもない程の恥辱だ。
だが、最早、恥も外聞もなかった。射精欲はシンジの意志では
抗え切れないぐらい高まってしまっている。
「あ、ぁぁぁ…っ!」と女のような声を唇から発して、
シンジはビクンビクンと大きく身体を揺らす。
腸内で蠢く、ぬる付くような感触を感じながら、
欲望のままにそのペニスを卑猥に脈動させ
白いミルクのようなスペルマを放出してしまった。
「うわぁっ!」
碇シンジはベッドから跳ね起き、
その昏々とした眠りから目を覚まさせた。
身体からは大量の汗をかき、
着ている寝巻きをびっしょりと濡らしていた。
ハアハアと荒い呼吸を交えて、シンジは辺りを伺う。
ベッド、机、ノートパソコン、チェロケース。
「僕の部屋だ……」
夢か、とシンジは心から安堵する。
なんていう悪夢を観るのだろう。
昨日の本郷教諭と交わした屈辱の行為の所為だ。
シンジは身体にかけている布団をぎゅっと握り、
思い出して、唇をわなわなと震えさせた。。
ここが自分の部屋であることが分かって安心する反面、
昨夜の陵辱者の欲望の白濁液の感触が、
未だに口の中にこびり付いているような気がして、
悪夢で流した汗で濡れる身体の不快さに相乗をして一層、鬱蒼な気分となった。
いくら口を漱いでも離れることのない、汚されたという証。
昨夜は最悪だった。念のため、自分の服を持ってきたため
アスカに制服を借りたことは、ばれる事はなかった。
本郷教諭との、饗宴でかかされた汗の匂いが悟られぬよう
ブラウスだけは新しい物と取り替えたが、それ以外は
昨日のままだ。リボンもスカートも、何もかも。
何時、アスカに制服を借りたことがばれるのではないないかと、
シンジは気が気ではなかった。
昨夜はベッドの上で、アスカが部屋にやって来るのではないかと不安で一杯だった。
きっと知られたならば、「変態だ」「最低だ」と罵られることだろう。
緊張をして、中々、寝付けなかったが、
昨日の出来事が相当、シンジの体力、精神共々、奪っていたのだろう。
いつの間にか疲弊した身体を休めるように、深い眠りについていたようだ。
シンジは机の上に置いてあった時計を見遣る。
毎朝、自分が起きる時間だ。疲れていても、体内時計は正確に覚えているらしかった。
気だるい上体を起こし、軽く深呼吸をする。
朝食を、昼食のお弁当を作らねばならない。
気分は最低であったが、日課をここで変えるわけにもいかない。
アスカも、ミサトも鋭いのだ。
二日続けて、おかしな態度を取れば、きっと怪しむだろう。
気付かれるわけにはいかなかった。
このことは自分で解決しなければならない。
アスカにも、ミサトにも、そして、父にも迷惑をかけたくなかった。
知られれば、きっと悲しむだろう。失望されるだろう。
彼らだけではない。
トウジにも、ケンスケにも、綾波にも、委員長にも、
奇異な目で見られることは確実だった。
知り合いの冷たい目、蔑む視線を想像して、
シンジはブルッと体を震わせ、首を振るった。
それだけは嫌だった。人に拒絶されることが碇シンジにとって
最も忌むべき事柄なのだ。
円らな瞳から、熱い滴が零れ落ちそうになる。
何度、流しても枯れることはあるまい。
だが、シンジは唇を噛み締め、涙をグッと堪えた。
ここで泣いても、本郷教諭が喜ぶだけだ。
「泣くなよ…、泣いてどうなるっていうんだよ」
ベッドの端に腰を落ち着け、袖で涙目になっている瞳を拭った。
例え、本郷が見ていなくとも、泣くわけにはいかない。
悲しみの涙は自分の心を折るだけだ。
こんな時だからこそ、自分をしっかり保たなくてはいけない。
立とうとした時、ぬるりとした感触がシンジの下半身に感じられた。
しかも、その感触はブリーフの中だ。
慌てて、寝巻きのズボンを捲ってみた。
内部を見た瞬間、くらりと眩暈がした。
同時に途方も無い恥ずかしさに包まれ、
顔を完熟トマトのように赤らめて、急いで洗面所に向かった。
まだ誰も起きていないのが幸いだった。
シンジは自分の汗と精子が混ざり合い
異様な匂いを放つ汚れたブリーフを洗いながら、
もう一度、シャツの袖で目元を拭った。
はしたない夢は自分の願望なのだろうか。
本当は自分が望んでいるのだろうか?
「誰か、……教えてよ」
洗面台に手を突き項垂れるシンジとは対照的に、
彼の部屋では、携帯電話がバイブ機能で、
音を立てながら机の上で震えていた。
電話の向こう側で、本郷教諭は碇シンジが電話に出るのを
いまかいまかと楽しみに待ち構えていた。
今朝はどんな声を聞かせてくれるんだ、シンジ? 、と笑いながら。
替えの下着を穿くため、一旦、部屋に戻ると、
携帯電話が己の存在を誇示するように震えているのに気付いた。
それを見た瞬間、シンジの中には嫌な予感が走った。
ゴクリと白い喉を鳴らし、まるで、未知なる物体に接するかのように、
携帯電話に近づく。待ち受けで相手を確認すると、
下着を身に付けるのも忘れて、寝巻きの下はノーパンのまま、
その場に膝から崩れ落ちてしまった。
「なんで・・・、アイツ・・・」
シンジの予感は的中していた。
憎々しげに、そう呟くシンジだが、
携帯電話を持つ手は震え始めている。
最初は携帯のバイブ機能が自分に伝播しているだけだと
思っていたが、それは違っていた。
少年の肉体が、性の花芯が、昨日受けた仕打ちを覚えているのだ。
味わえば自制が利かなくなるほどの強烈な媚薬を施されたとは知らず、
恐怖と快楽の織り交ざられた、シンジ自身も理解できぬ不可解な震えが、
彼を無意識に竦みあがらせてしまっていた。
「バカ、しっかりしろよ。こんな態度じゃ、アイツに勝てないよ・・・」
一度でも信頼してしまった教師なだけに、
シンジの心中は裏切られたという気持ちが大きい。
そんな奴に弱みを見せることも、屈する姿も見せたくはなかった。
シンジは震える手を抑え、恐怖を打ち消すようにぎゅっと電話を強く握り、
通話ボタンを押す。
「何の用ですか?」
開口一番、シンジは本郷にそう切り出した。
最初に強く出て、ペースを取ろうという胎だ。
だが、そんな物は子供の浅知恵。あっさりと本郷教諭に看破される。
「今日、朝一番に体育準備室に来い」
本郷は端的に用件を伝えると、すぐさま電話を切った。
言葉を挟む隙も、反論する猶予も与えてはくれなかった。
一瞬、シンジは呆然としてしまう。ネチネチと言葉で責められると思っていた
シンジは肩透かしを喰う格好となってしまった。
間違って切ったのではないかと、考えてもみたが、電話はそれきりかかってこなかった。
かけ直そうとしたが、本郷の携帯の電源は切られていた。
ここで、本郷教諭の命令に背けることができたならば、どんなに良いか。
しかし、弱味を握られているシンジには、
拒否権など、もとより持ち合わせてはいないのだ。
悔しさのあまり、唇をぎゅっと噛み締め、
その小さな肩を小刻みに震わせることとなった。
本郷教諭に会う前にシンジはその魅惑的な身体を清めるため、
シャワーを浴びることにした。着ている物を脱ぎ、バスルームに入る。
シャワーのノズルから飛散する細かな水の粒が
シンジのきめ細かい肌に届くと、瑞々しく弾く。
昨夜も、本郷に嬲られた後、
帰宅してから何度も何度も肉体を洗い清めたが、
それでも足りはしなかった。本郷の掌の感触。
ぬるりとした気味の悪い舌の感じ。生温かい年上の男の息。
それらはシンジの肉体を浸食するように、
こびり付いてしまい離れる事はなかった。
今日も、またあの陵辱を受けると思うと恐怖で身体が竦み上がる。
シンジは自分の肩を抱き、落ち着こうとしたが、ぶるっと身体を戦慄いてしまう。
「なんで…、なんで…」
本郷のために身体を洗っているようで、嫌な気分になる。
それでも、汗ばみ汚れた肉体を本郷教諭の前に差し出すことは嫌だった。
本郷のあの恐ろしい顔が頭に浮かび、
シンジはその想像を払拭するようにボディソープで、手早く全身を洗う。
そして、少し考えた後、頬を赤く染め、
誰もいるはずがないのにキョロキョロと辺りを警戒してから、
自分の臀部に手を遣り、肉の割れ目に指を差し込み、
その小さな窄まりを洗い始めた。
ここもきっと弄られるだろう。ならば綺麗に洗浄しなければ。
不浄の排泄器官を弄られることはシンジにとって何よりの恥辱なのだ。
「んんぅ…」
付着したボディソープが潤滑剤として働いたためか、
シンジの排泄器官はあっさりと指を受け入れた。
ぬるりと人差し指が入った瞬間、
シンジは華奢な身体を反らし、天井を仰いだ。
「あぅッ…」
鮮烈な電気がシンジの脊髄を駆け上る。
昨夜も感じた黒い炎がシンジの身体をプスプスと燻る。
それは背徳の誘惑であった。
無論シンジには、こんな所に指を入れた経験など一度もない。
なのに自分の指で感じてしまうのだ。
本郷教諭の手によって一日で淫らな肉体になったのかと思い、
シンジは怖くなり、すぐさま指を引き抜いた。
ぬちゃっとボディソープの泡の音がいやらしく響く。
はあはあ、と息を少しばかり切らしながら、
今しがた感じた快美な背徳感を、首を振るい拒否した。
「…違うよ。こんなの僕じゃないよ……」
偽りだと、自分に言い訳をする。
しかし、そのか細い声は、シャワーの音により掻き消されてしまった。
シャワーを浴び終えると、シンジは急いで学校へと向かった。
だが、体育準備室の扉の前で、シンジは身体を強張らせた。
ノックをしようにも金縛りにあったように身動きができなかった。
この部屋の中に本郷教諭がいると思うと、怖くて身体が動かないのだ。
だけど、ぐずぐずはしていられない。
一分、一秒、遅れるごとに本郷教諭の機嫌は損なわれていくのだ。
本郷の機嫌。それは、この後の自分自身への甚振りの加減にも比例するであろう。
シンジは意を決して、体躯準備室のドアをノックして、
中に入っていった。
「よお、遅かったな、シンジ」
入るやいなや、本郷は脚を大きく広げながら椅子に座り、シンジに軽く手を振った。
体育準備室に入室するのはシンジは初めてだった。
というより、誰もここには近寄らない。
本郷という、生徒から畏怖される存在がいるからだ。
体育準備室は思っていたより、清潔だった。
教師の机が四個ほどあり、部屋の奥には茶色のソファーがある。
独特のカビ臭さがあるものの、それでも想像していたのとは違っていた。
「何、ボーっとしてんだよ、こっち来いよ」
本郷教諭はにやけながら、シンジを手招きする。
シンジはゆっくりと椅子に座る陵辱者に近づく。
自分自身を勇気づけながら。一歩一歩、床を踏みしめるように。
『体育準備室に来い』
用件を端的に伝えただけの本郷だったが、
昨夜のように不安な気持ちを抱くことは、一切なかった。
シンジは必ず、ここにやって来るであろう確信があった。
あんなにも感じやすく、甚振られて悦びの声を上げる人間に
出会ったのは本郷は初めてだった。
おまけに溜息がでるような美貌を携え、
華奢な身体を持ち、それでいて、肝心の所はいやらしいぐらい
むっちりと肉が詰まっている。
シンジのような極上の素材に会うのは、これより先ないだろう。
本郷は椅子に座る自分に近づいて来るシンジを見ながら、
俺はなんて幸運なんだ、と嗤いを隠し切れなかった。
自分とは数歩、離れた所でシンジは立ち止まる。
これが、今の本郷とシンジにとっての距離なのだろう。
(まあ、いいさ。今に自分から近づきたくさせてやるよ)
本郷は脚を組み、じっと目の前の美少年を見据える。
壱中の生徒を震え上がらせる鋭い眼光だ。
その眼光に一瞬、目を逸らしたシンジだったが、
すぐに本郷の方へと向き直り、
本郷に負けまいと、必死に視線を返す。
(おー、おー、怖い、怖い)
本郷は心の中でおどけながら、
その視線にゾクゾクと身体をふるわせた。
無論、それは悦びの奮えだった。
この小生意気な態度を自分に屈服させた時、どれほどの快感か?
心を折って、自分に従順にさせた時、どれほどの悦びか?
想像しただけで、本郷は心を打ち奮わせた。
「おい、シンジ。勘違いするなよ。
お前をここに呼んだのは、身体検査をするためだ。
昨日みたいに、同居人とやらのパンツを穿いてきていないか、
俺には調べる権利があるんだ」
「くっ…」
ある程度、考えていた言い訳を口にすると、シンジの表情は赤く染まった。
こんな言葉は繕いでしかないと分かってはいるが、
それを言われると、シンジも大きく出られない。
俯きながら、震える手で制服のベルトを外し始めた。
「そうだ。早く脱げ。確認させろ。俺は別に下心なんてないんだぜ。
これはお前のためにやってることなんだ、くくく」
羞恥で顔を背け、自ら衣服を剥ぎ取っていく様を
眺めながら、本郷は心を躍らせた。
最高の少年の、極上のストリップショーだ。
ゆっくりと脱ぐ姿が、男を焦らし、
誘惑しているようで興奮してしまう。
本郷の肉塊はジャージの下でむくむくと盛り上がり、
欲望の血流を漲らせた。
シンジが制服のズボンを脱ぎ捨てる。
その下に穿いていたのは、当然ながらブリーフである。
「こ、これでいいだろ? 満足しただろ?」
本郷の肌にひりつくような視線が嫌なのか、
両手でブリーフを隠しながら言う。
「おいおい隠すなよ。ちゃんと見せろ。手は後ろに組め、バカ」
言われた通り、シンジは後ろに手を回す。
「ほう…」
本郷は椅子の背もたれに寄り掛かり、思わず感嘆の声を漏らした。
露わになった太腿が、部屋の湿気を纏って、瑞々しく見える。
丸みを帯びた脚の曲線はすべるように滑らかだ。
改めて眺めても、変わらずシンジの脚は…
いや、身体は本郷をいやらしく引き寄せる魅力を無自覚に発していた。
まばゆい白さに満ちているはずの肌も、
恥じらいの為か、今はほんのりとピンク色に染まってきている。
それでも清純な煌きは損なわれず、美しさを常に放っていた。
「この最低教師…」
気付かぬ内に見蕩れてしまっていた本郷は、
シンジの呟くような声で我に返る。
「お、おう。今日は大丈夫のようだな」
平静を装うとする本郷だったが、
彼の下半身は、既にギンギンに反り勃ち、
自制できぬ程、大きく硬化してしまっていた。
(駄目だな、こりゃ。朝は我慢しようとしてたが、無理みてぇだ)
「よし、下着チェックは終わりだ」
本郷の言葉でシンジは安堵の溜息を吐いた。
ホッとした空気が、本郷には確かに伝わった。
「じゃ、じゃあ、僕は帰るからな。も、もう呼ぶなよ!
僕は大嫌いなんだよ、オマエのことが」
吐き捨てるように言うシンジだが、その唇は微かに震えていた。
精一杯、頑張って汚い言葉遣いを使っているのが
あからさまに分かる。口汚く罵って、本郷を大きく拒絶しようとしているのだ。
弱みを握らられているくせに、その強気な態度が面白い。
だが、ここでシンジに部屋を出られたら、この屹立する肉棒は
誰が鎮めるというのだ。
「おい、待てよ! まだ、俺の教育は終わっちゃいないぜ。
さっきから気になってたんだが、その言葉遣いはなんだ?
教師を舐めてんのか! あぁん!?」
急いで制服のズボンを履こうとするシンジを尻目に
バンと机を叩きながら、本郷はドスの利かせた声で怒鳴った。
「ひっ…」
本郷のあまりの態度の急変にシンジは腕を抱き、
身体を硬直させた。
「ったく。どうやらお前には、仕置きが必要なのようだな」
すくっと立ち上がり、本郷はシンジの小さな身体に近づいた。
「い、嫌だ。来るなよ!」
身を翻し、逃げようとしたが、本郷はすかさずシンジの細い腕を掴んだ。
「嫌だ、嫌だ」
必死で暴れるが、本郷の腕力には敵わない。
そのままシンジは部屋の奥にあるソファーの上へと連れて行かれた。
「へへ、大人しくしてろよ」
「やめろよ、変態!」
シンジを腕に抱くと、ボディソープに混じった芳しい体臭が
本郷の鼻腔をくすぐる。鼻先をシンジの珠肌に擦りつけ胸一杯に吸ってみると、
純度の高い酒を飲んだように深い酩酊を感じ、
それだけで、本郷は堪らなく気分が昂ぶってくる。
「何するんだよ、やめろ! やめろよ!!」
本郷は小生意気な少年をひとまず黙らせるため
顎に指先を添えて、顔をこちら側に向けさせると、
淡い色合いを放つ可愛らしい唇を、己の唇で塞いだ。
本来なら頬に一発でも平手でもかまして黙らせる所だが、
今はそんな気分ではなかった。
柔らかい舌の粘膜を自分の舌で掬い取る。
甘い唾液が本郷の口一杯に広がった。
夢を観ているかのように足取りがふわふわと浮く感触だ。
陶酔したように唇を被せていた本郷だったが、
ガリッと鈍い音と共に唇に痛みを感じ、慌ててシンジから顔を放した。
甘い味とは打って変わって、鉄の味が口に広がる。
本郷が自分の唇に触れると、少量の血が滲んでいるのが分かった。
シンジはハアハアと息を切らし、本郷を睨んでいた。
その表情で本郷は、すぐに理解できた。
そうシンジが本郷の唇を思いきり噛んだのだ。
今の今まで余裕だった本郷だったが、
そのことで頭に血が昇り、激しく激昂した。
「お、オマエが悪いんだ。僕に変なことを──あぅッ!」
パアンッ、と大きな音が響き渡る。
本郷はシンジの言葉を最後まで訊かず、
当初の予定通り彼の頬を平手打ちしたのだ。
咄嗟にしたことだが、本郷に後悔はない。
思いの外、力を込めたつもりだったのが、
無意識にセーブできていたらしい。
これならしばらく赤みがかるが、頬が腫れることはない。
そんなことよりも、見ろ。シンジのこの茫然とした顔を。
汚辱はされこそ、まさか叩かれるとは夢にも思っていなかったのだろう。
頬を押さえ本郷を見る瞳は、あの強気な態度を微塵も感じられなかった。
涙を溜めて、震えていた。そんな瞳で見られていると思うと、
自然に気分は高揚してくる。
もしかしたら、大人に叩かれるのは初めてかもしれない。
「いいか、よく覚えておけよ。大人を舐めると、どうなるかをな」
だが、無論、そんなことでシンジを許すわけにはいかない。
正確に言うと許す態度を取るわけにはいかない。
あの表情を見ただけで、本郷は満足だったのだが、
シンジには反抗すればどうなるか、しっかりと身体に教え込ませなければならない。
本郷は口元を拭いながら、椅子に座り、
折れそうなぐらいのシンジの華奢な腰を腕に回すと、
膝の上にうつ伏せにさせた。
「何するんだよ!?」
「………」
シンジの問いに本郷は無言だ。
だが、その沈黙にシンジは目の前の教師に言いようのない迫力を感じて、
すぐに押し黙ってしまった。
本郷はシンジのブリーフを膝裏辺りまで下ろし、
ミルクを溶かし込んだような淡く綺麗なヒップを露にした。
「やめろ」と抵抗する間も与えないように、本郷は柔肉に平手をかまし、打ち据えた。
「あぅッ…!」
パンという渇いた打撃音と、シンジの悲痛な声が
体育準備室に木霊する。
シンジの形の良いお尻に、本郷の手跡が痛々しく刻まれた。
「どうだ、痛いか?」
「うぅ…、なに、するんだよ…」
もう一度、強く叩く。今度は一回ではなく、
間隔を置かずに数回、腕を振り下ろした。
叩いた数だけ渇いた音が鳴り響き、
叩いた数だけシンジの苦悶の声が部屋に流れる。
量感のあるシンジの臀部に叱咤しているだけで、本郷は興奮してくる。
そして、昨夜も見たこの見事な尻に本郷は改めて欲情をする。
ごくりと唾を飲み込み、いますぐにでもぶち込みたい衝動に駆られた。
だが、今はそんなことをしている場合ではない。
そもそも、まだ拡張も完璧ではないのに挿入したりしたら、
可愛い窄まりは裂けてしまうであろう。
挿れるのは尻穴調教に快感を覚えるときだ。
その時に挿入すれば、シンジの身も心も自分の物になるはずだ。
本郷のジャージの下で硬くなる肉棒から、
先走りの汁が溢れだしてきた。
本郷は嗤いながら、シンジの肉丘に照準を合わせる。
「痛ッ。あぅ…、やめ…ろ…よ、あぐッ!」
哀願するシンジを余所に、本郷はまたもや、パァンと大きな音を響かせる。
シンジの柔らかくむっちりと肉の詰まった臀丘は
鮮やかなぐらい美しく波打つ。
「いいか? これは罰だ! 二度と生意気な口を利かないように躾けてるんだ。
これに懲りたら、俺に舐めた口をきくんじゃねーよ!」
本郷は鉈のような重々しい一発を振り下ろす。
一際大きな痛みに、シンジは身体を仰け反らした。
「こんなのッ! やめ、やめて…もう、あぅッ…」
あまりの痛みにシンジはいつの間にか涙していた。
今朝、泣かぬと決心したはずなのにあっさりと、
その決意は壊されてしまった。
だが、それは仕方ないかもしれない。
昨夜、車の中で行われた陵辱とは明らかに質が違うのだ。
車の中では、痛みこそ味わされたが、暴力的な痛みではなかった。
変態染みた肛虐。だが、その痛みの中にはシンジは認めたくはなかったが、
間違いなく快感があった。
「やめて欲しかったら謝れ!
『許してください』って、俺に請え!」
「だ、誰が、そんなこと…、言うもんか!? くッ…、うぅ…」
シンジは唇を噛み締めながら、涙をポロポロと流す。
熱い水滴は頬を伝い、ソファーのカバーの上に小さな水溜りを作っていた。
「ほお、いいのか? 次からは本気でいくぞ?」
「ほ、『本気』?」
既に、シンジのヒップの白い肌は痛々しく赤く腫れ上がり、
じんじんと疼かせ、シンジの呼吸を荒くさせていた。
呼吸困難のように「ヒック、ヒック」としゃっくりのような
嗚咽を上げ、懸命に堪えていたが、これよりも更に強烈な
一撃が来ると思うと、シンジは震え上がった。
「ほら、イクぞ! 覚悟しろよ」
本郷は大きく振り被り、渾身の力を込めて
シンジの臀部にスパンキングをかました。
この一撃に限り手加減など一切しなかった。
部屋の外にも聞こえるのではないかというぐらいの
バァァン! という破裂音が本郷の鼓膜にまで響いた。
「あッ、ぐぅぅッ!」
何度も叩かれて麻痺しかけていたと思われた
シンジの下半身の神経も、この強烈な一撃で一気に目覚めてしまった。
失神してしまうかのような鋭痛に、シンジは目の前をシロクロさせた。
電撃が脊髄を流れ、痛みが頭にきた感じがして、くらくらと目眩すら覚えた。
「おら! もう一発だ!」
再度、大きく振り被る。本郷の口元には笑みさえ浮かべていた。
それを涙でぼやける視界で見たシンジは恐怖で全身を慄かせた。
「や、やめて。もう叩かないでぇ! ゆ、許して…く、ください!」
小刻みに痙攣する唇で、声を震わせながらシンジは言う。
泣きじゃくりながら、シンジは最も憎むべき相手に哀願していた。
いくら堪えても無駄なのだ。この男は人を傷つけることで悦びを、快感を覚えている。
「ほお、どういうことだ? もう俺に逆らわないってことか、それは?」
痛みで肩を揺らしながら、シンジはうんうんと頷いていた。
「くく、まあいいだろう。今日はコレで勘弁してやるよ」
本郷はシンジをソファーでうつ伏せにさせたまま、
立ち上がり自分の席に行くと、円形の容器を持ってきた。
その容器のキャップを開け、中の白い軟膏のような物を
指で掬うと、痛々しく腫れ上がったシンジの臀部にそれを塗り始める。
「ひぅ…」
じんじんと熱く腫れる肉にぬるぬるとした軟膏の感触が
どうもくすぐったい。思わず、シンジは声を上げる。
だが、そのぬめる感触が焼け付く痛苦を癒してくれる気がした。
「安心しろよ。痛み止めだ。これさえ塗れば痛みも引くよ」
そう言いながら、さっきの本郷とは打って変わって、
優しく軟膏を塗りつける。
もちろん、これは普通の軟膏ではない。
既存の商品に、昨夜の強力な媚薬も混合済みだ。
あの媚薬は肌に塗っても効果があるらしい。
「あ、ありがとう、ございます…」
元来の生真面目さからか、つい甲斐甲斐しく礼を言ってしまうシンジ。
こんなにヒップを腫れ上がらせたのも本郷なら、今、媚薬を塗っているのも本郷なのだが。
効き目はすぐに現れてきた。
涙で潤んでいた瞳は、艶めかしく黒く色づき、
肌もしっとりと濡れてくる。
治まってきていた呼吸も徐々に荒くなり、
身体中から甘い色香がむんむんと漂ってきた。
媚薬の存在を知らぬ、シンジはその身体の異変を
隠そうと、小さな肩を抱き、懸命に堪えていた。
シンジにしてみれば自分の肉体をどうしよもなく恥じていることだろう。
さっきまでヒップを叩かれて、泣いていたのだ。
それなのに興奮している。欲情をしている。
自分はもしかしたら変態かもしれない、と。
「どうした、シンジ? 顔が赤いぞ?」
下半身に何も穿くことを許されていないシンジは、
自分でも制御できない、男性器を両手で恥ずかしそうに隠していた。
小さなペニスはぴんぴんに天井を突くように、反り勃ってしまっている。
そんなシンジの真正面のソファーに座りながら、
本郷は葛藤する少年の一部始終を、面白おかしく眺めていた。
彼の裸体を見なくとも、その困惑する姿を見るだけで、最高の愉悦だった。
シンジは本郷の問いに小さく首を振り、何も答えなかった。
「分かってるさ。発情してるんだろ?
俺に尻を叩かれて、気持ち良くなってきてるんだ」
本郷の言葉にシンジは大きく目を見開き、顔を上げた。
すっかりと見透かされているのだ、この男に。
少年の黒く光る瞳はそう言っていた。
「そ、そんなわけない、よ……」
だが、言い当てた本郷に「はい、そうです」などと言えるわけもない。
またもや俯き、制服のシャツの裾をきゅっと握った。
「正直に言えば、昨日と同じ気持ち良さが味わえるかもしれないぜ?」
ニヤニヤと嗤いながら本郷は言う。
まさに悪魔の問いかけだった。
頷けば、きっと自分は戻れなくなる。
首を横に振れば、このもどかしさが一日中続くのだろう。
胸の中で激しい動悸を繰り返しながらシンジは自問自答する。
どうすればいいのか?
媚薬に犯されているシンジの思考の大半はこのまま欲望に身を任せてしまいたかった。
そして、めくるめく快感に委ねたかった。
だが、そういうわけにはいかない。
もじもじと腰を揺らし、甘い匂いを身体中から発しながら、
必死にシンジは黒い欲望を堪える。
だが、しかし、悪魔はシンジの想像以上に狡猾だった。
「うう、駄目だ、もう我慢できねぇ。
シンジ、もう一度、尻を向けろよ。昨日と同じことをしてやるよ。
おっと、逆らうなよ。逆らったらどうなるか分かるよな?」
一度、問いかけて、その後に揺れかかっていた心の天秤を
一気に傾ける。あたかも、本郷自身が望むような言葉で。。
「は、はい…」
小さく答えるシンジだが、その心中はどうしようもなく弾んでしまっていた。
喜んではいけないと思いつつ、昨夜の黒い快感が、シンジの肉体を
思いの外、蝕んでいたようだった。
命令されているから仕方が無いのだ。
シンジは自分に言い訳をしながら、本郷に自分の臀部を差し出す。
「おお、相変わらず、いやらしそうな穴だ。
ぷっくりと膨れ上がって、物欲しそうにヒクヒク動いてやがる」
本郷はシンジの二つの房肉を縦割り、中の窄まりを批評する。
そんななじりにシンジはかぶりを振りつつも、
犬のように、よつんばになって本郷に従順にお尻を向けていた。
「おお、しかも綺麗に洗ってきてるな。
ひょっとして期待してたのかぁ、シンジ?」
鼻先を小さな穴に近づけてくんくんと匂いを嗅ぐ。
指で突くと、「あぁ…」と艶っぽい声をシンジは洩らす。
本郷はあらかじめ用意していたアナル用の道具を
シンジの菊座に宛がった。
じんじんと疼く、シンジの尻に金属の冷たさが当たっただけで
ひんやりとした気持ち良さが包んだ。
本郷は焦らすように、肛腔の縁を、金属でなぞり、
ひくひくと淫らに動く、括約筋を見て楽しんだ。
「せ、先生…、その…、はや…」
『早く』と言いそうになってシンジは慌てて口を噤んだ。
それだけは言ってはならぬ言葉だ。
「ああ、すまん。早く挿れて欲しかったか、くくく」
だが、そんなシンジの心などお見通しだった。
本郷はメタリックに光る小さな突起をシンジの菊にずぶずぶと挿入させた。
最初の末広がりの大きな突起もなんのその。
貪欲な生き物のように簡単に入っていく。
「はァァ…」
シンジは背中を弓なりに反らし、火のような吐息を唇から洩らす。
じゅくじゅくに熟れたようなシンジのお尻の穴は
すんなりとアナルプラグを飲み込んだ。
「どうだ、気持ちイイだろ? 素直に言ってみろよ」
「うくッ、うぅん…」
ピンと本郷が金属を指で弾くと、シンジは甘い声を上げた。
腸粘膜を刺激しながら、面白おかしく揶揄してみる。
「ほら、言え。『気持ちイイです』って。
『お尻の穴は感じます』ってよ、ほらほら」
「気持ち良くなんかないよ! 感じていなんかない!」
シンジは首を振りつつ、何かに抗うかのように叫ぶ。
だが、時間が経つと、菊座の周りは焦げるように、熱くなってくる。
シンジの身体からは不快感はとうに消えていた。
あるのは魔性の愉悦だけだ。
本郷はヒップの柔らかな肉に指を食い込ませて、
ぐいっと持ち上げた。そして、ジャージを下ろすと、
その美味しそうな青い果実に自分のペニスを擦り付けた。
ムンと男の牡臭を放つ肉棒の汚れを拭うように、
ぐいぐいと何度も押し付けた。
灼熱の男を感じ、シンジは尻を振り、肉棒を払おうとする。
「あぅン…、先生、やめて。臭いが付いちゃうよぉ…」
「へへ、安心しろよ。たとえ俺のザーメンがお前の身体に付いたまま
授業を受けても、お前の発情した、エロイ匂いが強くて
誰も気付きやしねーよ」
「ぼ、僕…。そんな匂いなんて…、し、て…ないよ…」
「どうだかな? おい、そろそろ出すぞ。お前の口の中に出してやるからな」
本郷はペチペチとシンジの臀部を軽く叩く。
「ボケッとするな。俺のチンポを咥えろってんだよ。
俺のザーメンを有り難く頂戴しろよ」
シンジは体勢を代えて、恐ろしく反り勃つ本郷の勃起物の目の前に
顔を寄せた。そして、目をきゅっと瞑り、
本郷の言葉どおり、口を開けて、その亀頭を口腔に入れた。
「いいか、シンジ。今日は一日中、その道具を付けてろよ?
文句は許さねぇぞ。これは俺に逆らった罰なんだからな」
「うんッ。うぅんッ。あふぅ」
相変わらず甘い芳香を放つシンジは、鼻で息をしながら、小さくかぶりを振る。
本郷はそんなシンジを眺めながら、心の底から嗤いが込み上げてきた。
腰を動かし、口の粘膜に肉棒の先端を擦り付ける。
「嫌か? なら一分以内に俺のザーメンを搾り出してくれたら
考えてやってもいいぞ」
それを訊いて、シンジの口の性戯に熱が篭る。
稚拙なテクニックだが、その懸命さが伝わる。
舌が裏筋を這っていく。シンジは思い切って根元まで飲み込もうとした。
だが、巨大すぎる本郷のペニスはシンジの嗚咽を誘発してしまう。
「ゴホッゴホッ」とむせながらも、時間が惜しいのか
一心不乱にしゃぶり続ける。
「ぅン…、うん…。うぐッ…」
「おぉう。出すぞ。しっかり飲めよ。
飲み込むまでタイムに入れるからな。そら!」
本郷はシンジの喉を甚振るように激しく腰を揺らす。
ビクンビクンと本郷の熱い肉塊がシンジの口内で脈動をする。
鈴口から多量の白濁液が飛び出す。
コレを全て飲むのに、どれぐらいかかるのだろうか?
不安に駆られながらも、それでもシンジは呑み込まなければならなかった。
シンジは色っぽく眉を顰め、鼻で息をする。
唾液を使い、喉をこくこくと鳴らし、
健気に口内発射されたスペルマを嚥下していく。
本郷が発射した時点で、すでに一分はとうに過ぎたとは知らずに。
シンジにとって授業の間は恥辱の地獄に近かった。
教師の話す声も耳には入らない。
頬を赤らめ、耳まで真っ赤にして、シンジは自分の席に座っていた。
教室という公共の場で、排泄穴を塞がれていることは、
想像以上に辛い責めとなり、シンジを襲った。
ぷっくりと充血したように膨れ上がる菊座に宛てがられたアナルプラグは、
シンジの呼吸を否がおうにも乱れさせ、肌から汗を噴きださせる。
「んんぅ…」
シンジはもどかしげに太腿を擦り合わせ、切なそうな声を上げた。
外そうと思っても、アナルプラグは本郷の手によって、
革の拘束具でしっかりと留められており、
シンジには堪えるしか術はなかった。
しかも、こんな時に限って他の教師は授業中シンジに質問をしてくる。
教師というのは、困っていそうな生徒に質問をするものである。
一時限目に教師から名指しで当てられてから、
シンジは勉めて授業を聞こうと、努力をしてみたが、
教師の言葉はアナルを刺激する淫具に掻き消され、全く頭には受け入れる事が出来なかった。
故に、授業の度にシンジは恥をかき、
その都度、泣きそうな顔で「分かりません…」と
掠れるような声で、謝った。
おまけに授業の合間の休み時間には、本郷のもとへ向かうために、
長い廊下を歩かなければならなかった。
無論、シンジは本郷に会いたいわけがない。
強制的に来るように、本郷から言いつけられているのだ。
だが、それが辛い。歩くと、塞がれた菊座の周りは擦られ、
中の腸粘膜まで、その刺激は伝播してしまう。
お腹はヒリヒリと痛み、満足に歩くこともままならない。
教室から体育倉庫までは、普段は何でもない距離なのだが、
その日のシンジにとっては拷問に等しい道のりとなっていた。
やっとの思いで体育倉庫に着くと、本郷が待ち構えている。
本郷は今朝のように、たっぷりと媚薬入りのローションをシンジのアナル周りに
塗りたくると、嵌めているプラグよりも太いプラグを、
シンジの中に押し込んでいく。本郷好みの大きさになるまで拡張しているのだ。
「う、あァァッ!」
痛そうに叫ぶが、その声は倉庫の中の暗闇へと消えていく。
くなくなと尻を振り、その異物の挿入に必死に堪える。
だが、その痛みも束の間。次第に魔悦のような黒い快感がシンジの肉体を支配していく。
強力な媚薬に犯されているシンジは、こんな淫具の責めも
極上の悦びへと変わってしまっている。
それを本郷に悟られぬよう、わざと痛そうに声を出すが、
本能的な身体の動きは隠せなかった。
アナル責めで強烈な劣情に襲われているシンジは、
アナルプラグを簡単に呑み込むと、
無意識に、キュッ、キュッと窄まりを締めて、
快感を増そうとしてしまうのだ。
「へへへ。俺に弄られるのがそんなに嬉しいのか?
それとも、挿れただけじゃ物足りないか?
安心しろよ、お前の才能なら今日の放課後までには
俺のを挿れても、平気になるはずだ。
だから、次の休み時間もちゃんと来いよ、シンジ」
何もかも本郷にはお見通しだった。
否定しようにも、淫らな肉体が全てを物語っていた。
強力な媚薬を使用されているとも知らず、
シンジは自分の身体が自分ではなくなっているような感覚に囚われていた。
シンジは授業に間に合うように、急いで教室へと戻る。
しかし、来た時よりも野太いプラグがシンジを刺激して、
走ろうにも足取りはフラフラだった。
それでも、何とか授業には間に合わせると、
ハアハアと息を切らし、シンジは自分の席へと腰を下ろした。
まだ、教師は来ていなかった。
シンジはホッと安堵の溜息を吐いて、気だるそうに顔を机に伏せた。
今は少しでも、休みたかった。熱く火照る肉体を鎮めるように、
シンジはしばしの休息に入った。
「大丈夫、碇君?」
そんな尋常でないシンジの態度に気付いた、クラス委員長である洞木ヒカリは、
心配そうに声をかけてきた。
「え?」
声をかけてきたのが一瞬、誰か分からなかったシンジは顔を上げて
相手を確認した。委員長だと分かったが、うまく言葉を返すことができずに、
ただ、もじもじと太腿を擦り合わせる。
「具合、悪そう…、保健室に行った方がいいんじゃないかな?」
有難い気遣いであったが、シンジは首を横に振った。
「大丈夫だよ、そんなに気分が悪いわけじゃないし…。
もう少し時間が経てば、き、きっと体調も戻ると思うから」
戻るわけが無い。今のシンジの肛門には卑猥な淫具が埋まっているのだ。
それに、保健室という場にはシンジは苦い経験がある。無意識にそこは避けていた。
今は、人がいる場で、このアナル責めに馴れることが大事だ。
まさか媚薬に蝕まれているとは思いもよらないシンジは、
火照る肉体は、馴れていない刺激のせいだと思っていた。
「うん、碇君がそう言うならいいけど。でも、本当に辛くなったら
私に言ってね。保健室に連れてってあげるから」
「あ、ありがとう、洞木さん」
優しいクラスメートに、シンジは礼を言いつつも目を逸らしてしまった。
今も公衆の場で排泄穴を開発されている自分とはあまりにも違いすぎた。
ヒカリの純粋な優しさは今のシンジには直視できぬ程、眩く映る。
お尻の穴で感じてしまっている自分は、
なんだかひどく薄汚れてしまっている気がして滅入ってしまう。
「ん、ぅぅ…」
またアナルがキュキュッと窄まり、締め付けをきつくする。
甘い声を必死に押さえ、シンジは太腿を摺り寄せ、
周期的にやって来る切ない快感を帯びた肉体の反応を抑える。
だが、いくら堪えてもむんむんとした色香がシンジから漂いだす。
ヒカリはきょとんとした瞳で、そんなシンジをじいっと見ていた。
とても真っ直ぐな瞳だ。それがシンジにとって何より辛かった。
トウジもアスカも、今日、学校を休んでいることはシンジには幸運だった。
昼食の弁当当番を結果的にサボってしまったので、
アスカの怒りを静める事は今のシンジの状態では困難だった。
恐らくは、今朝、シンジが朝食も、弁当も作らなかったことで
ふてくされて、今日は学校を休んだのだろう。
大学を出ているアスカは最初から学校に来なくとも良い人間なのだ。
休もうと思えば、いつでも休める。彼女が中学校に通うわけは気まぐれに近いのだ。
トウジは妹のお見舞いで、今日は休むとケンスケが言っていた。
当のケンスケはシンジの体調が悪いと分かると、
気を遣ってか、話しかけてはこなかった。
そして、ついに放課後となってしまった。
結局、シンジは放課後まで何も解決策は思いつかず、
本郷のなすがままとなっていた。
あまりの悔しさに、ぎゅっと手の平を握るが長くは続かない。
シンジの頭の中は魔淫薬に犯され、陶酔にも似た面持ちで放課後を迎えてしまった。
席から立ち上がろうとしても、
ふにゃふにゃと身体中から力が抜けてしまい、やけに億劫だった。
既に、シンジは今の状況をまともに考える事はできなかった。
太いアナルプラグで拡張されたシンジの菊座は
爛れているように熱く膨れ上がり、
最早、本郷好みの穴と化されてしまっていた。
シンジは夕暮れの橙色に染まる廊下を歩みながら、
何故、自分は本郷のもとへ向かっているのか考えていた。
今の状態では、本郷に打ち勝つこともできない。
対抗する手段を持っていないというのに。
だが、そんな疑問は、歩くたびに擦られる内粘膜の刺激に、
あっというまに掻き消えてしまう。
プラグはぎちぎちに締め付け、シンジの内部を抉り続けるようだった。
シンジはその刺激を感じる度に艶めかしい火のような熱い吐息を吐いてしまう。
そう、一日中、アナルの色責めにあったシンジは、
現在、受けている仕打ちが快楽へと変わってきているのだ。
強力な媚薬がなせる力だった。
散々、朝から嬲られ続け、媚薬の色責めにあった菊座は卑猥な器官と化し、
シンジの幼い理性ではどうにもならない地点にまで行き着いてしまっている。
朝のように、本郷の下へと向かうシンジは、
おぼつかない足取りで廊下を進む。
本郷のいる体育準備室に辿り着いた時には、シンジはハアハアと息を荒げ、
疲労困憊だった。精神的にも疲労を受けたシンジは
目的地に着いた安堵感にふっと身体の力が抜けてしまい、
最も憎むべき相手に身体を預けてしまう。
「おいおい、どうした碇? 気分でも悪いのか?」
体育準備室は放課後なだけあって、
周りに他の教師がいるためか、
流石の本郷もできるだけ紳士な態度に努めていた。
「せ、先生…。約束どおり来ました…、だ、だから早くぅ…」
時刻は既に六時を回っていた。
放課後の教室で、本郷の帰宅時間まで待っていたシンジは小声で
本郷に甘えるようにすり寄ってくる。
そんなシンジの様子に本郷はニヤリとほくそ笑んだ。
本郷もまたシンジの耳元に小声で囁く。
「ん、『早く』なんだ? 抜いて欲しいのか、それとももっと太いのが欲しいのか?」
本郷の問いに、シンジはただ首を横に振るだけだった。
少年自身もどうして欲しいのか分からないのだろう。
「俺が家まで送ってやるよ。ったく、仕様がねえ奴だな」
本郷のこの言葉に、まだ居残っていた他の体育教師はぎょっとした目で本郷を見遣る。
本郷のような教師がそんな事を言うとは思ってもいなかったのだろう。
周りの視線の意味を感じ取った本郷は心の中で、うるせえな、と呟いた。
無論、本郷はシンジを保護者のマンションにまで送ってやる気など、さらさらなかった。
本郷はシンジを自分の車の助手席に乗せると、
シンジに断りもいれずに、真っ直ぐと自宅に向かって車を走らせた。
運転の最中もシンジは切なそうな声を上げ、押し寄せる波を堪えていた。
その声がやけに艶っぽく、色めかしいので、
本郷は助手席の少年が気になり、危なく事故を起こしそうになる。
「へへへ、シンジ。もうちょっと我慢してろよ。
家に着いたら、思う存分、遊んでやるからな」
本郷は赤信号で停まっているとき、シンジのシャツの中に手を差し込み、
しっとりと汗で濡れている官能的な柔らかさを充分に堪能しながら言う。
シンジには抵抗はない。ただぷっくりと膨れた乳首が彼の感度の度合いを教えてくれた。
自宅に着いた本郷は駐車場に車を停めると、すぐに降りて助手席側に回った。
シンジをエスコートするようにドアを開けて、少年を外に出す。
最早、立ってもいられないシンジは、
くにゃりと上半身を曲げて、糸の切れた人形のように再び本郷に身体を預けた。
卑猥な芳香が本郷の鼻腔をくすぐる。汗の中に入り混じるムンとしたフェロモンだ。
本郷ははち切れんばかりに股間を脹らませて、シンジを自分の部屋へと運んだ。
部屋に入るなり、本郷はシンジの薄い唇を奪った。
ねっとりと舌を絡ませて、口腔の粘膜を吸い寄せるように唾蜜を嚥下する。
「んんぅッ…、んッ!」
本郷の唾液を送り込まれた所で、シンジは本郷を力なく両手で突く。
これには流石にシンジも抵抗の意を示した。
それが本能的な行動か、意図的な行動かは本郷には分からなかったが、
本郷の屈強な肉体はそれしきの衝撃ではビクともしなかった。
逆に、その反動で、シンジはふらふらと玄関にへたり込んでしまった。
「無理するなよ。安心しろ。約束通り、尻に入ってる棒を抜いてやるよ。
おら、ケツをこっちに向けろ」
シンジはコクリと頷くと、言われるままに本郷に円いヒップを向ける。
少年の瞳は淀み、生気をまるで失っていた。
「おい、ズボンを履いたままじゃ、取れねーだろ!
制服も脱ぐんだよ、バカ!」
本郷は制服の上から軽く尻肌を叩く。
「あぅ…、ご、ごめん…なさい」
今朝の折檻の恐怖を思い出したシンジは慌てて、
ベルトを外し、制服のズボンを膝の辺りまでずり下げた。
「ようし。へへへ…」
もう、シンジはまともな思考能力を失われているだろう。
今がチャンスだ。正常な意識が戻った時に、引き返せない程、
貶めたらシンジはどんな貌をするか。
本郷は嗤いながら、ブリーフを下げる。
シンジの桃尻はいやらしい菊座を中心に、
朱革のボンデージが巻かれていた。本郷がやったのだ。
シンジのミルクを溶かし込んだような鮮やかな肌にその色はやけに映える。
幾重にも張り巡らせたそれは、シンジの窄まりに挿さっているプラグを
ぎちぎちに締め付け容易には外せない仕様になっていた。
しかも、密閉された下半身の汗を吸い込み、革は異様な臭いを発していた。
「おお臭ぇ。おいおい一個しかないのに、
お前の汗の臭いが移っちまったじゃねーか、どうしてくれんだよ!?」
本郷はもう一度、シンジの尻をはたく。もちろん軽くだ。
あれ以上、強く叩く必要など無い。これだけで、今のシンジは従順になるはずだ。
「あんッ…、ご、ごめんなさい…、痛くしないでよぉ…」
「ふんっ。まあいいか。許してやるよ。
ただし、これ以上、俺に逆らうなよ。さっきみたいに俺がキスをしたら拒むな。
唾を送り込んだら、喜んで飲めよ!」
小刻みに震える、尻肉をぷるんぷるんと波打たせるシンジに気をよくした本郷は、
ここぞとばかりに命令をする。
今に限って、あの気が強い少年はいない。
ここにいるのは痛みを畏れながら、それでも快感を貪りたい一匹の犬がいるだけだ。
シンジは本郷の命令に力無く項垂れる。いや、頷いたのか。
本郷はいよいよ革のボンデージを、取り払い、
深々とシンジの局部に突き挿さったアナルプラグを掴んだ。
「ひ、ぐぅぅ…。ん、んぅ…」
掴まれたため強い衝撃がシンジの排泄穴から伝い、背中に駆け昇った。
シンジは弓なりに反り返り、天井を仰ぎながら、
ひいひいと悲痛な喘ぎを淡い唇から洩らす。
だが、その憐れな声の中に見え隠れする快感が入り混じった声質を本郷は見逃さない。
「おっとっと。悪いな、痛くしねぇ約束だったな」
本郷は少し笑いながらゆっくりとプラグを菊座から引き抜き始めた。
媚薬入りのローションと、強い匂いを発する縦割りに溜まった汗が、
ぬるぬるとした感触を帯びて、出し入れも容易に出来そうだった。
「はあァ……」
本郷はくいくいと意地悪く肛門の内粘膜を刺激しながら、引き抜く。
先端まで引き抜いた時、シンジのお尻に感じていた圧迫感は取り払われ、
少しだけ安堵の息を吐いた。
だが、それも束の間。本郷は短いプラグを用いて、シンジの中を抽送し始めた。
「あ、ぅぅ…、な、なんで…。あんッ!」
少女のようなソプラノ調の甲高い声を上げて、シンジは肉体を細かく痙攣させる。
休み時間の毎に抜かれていたアナルプラグだったが、
このように抜き挿しをしたのは今回が初めてだった。
長い時間、開かれていたシンジの菊門は解れきっており、
簡単に異物の出し入れを許してしまう。
くちゅくちゅと汗の入り混じった媚薬入りローションは
シンジの可愛らしい鳴き声とともに妖しく奏でられる。
「や、やめてよ、先生…。こんなの、あ、あぁぁ…」
拒む言葉とは裏腹に、シンジの身体はどんどんと高みに昇り詰めていく。
あまりの快感に口端からはだらしなく涎が垂れる。
胸は高まり、きめ細かい珠肌からは、むっと発情しきった汗の匂いが漂った。
「おっと、忘れてた。おい、シンジ、家に電話したか? してねーよな?」
プラグを弄る手は休めずに、本郷はポケットから携帯電話を取り出した。
あらかじめ設定していたダイヤルを選ぶと、シンジの耳元に携帯電話を差し出した。
何のことか理解できないシンジは、潤んだ瞳で本郷の携帯電話を見つめる。
「今日は遅くなるって電話しなきゃ、保護者の方が心配するだろ。
ちゃーんと、保護者に伝えるんだぞ、いいな?」
プラグをぐいっと奥まで押し込み、再びシンジの菊を塞いだのを最後に、
本郷は今まで散々、動かしていた指を一旦、止めた。
媚薬に犯されていたシンジの異常なまで昂ぶり、
火照りきった花芯は、中途半端な責めで、切ない悲鳴をあげる。
無意識に尻はくねくねとよじり、もっと刺激を欲するように、
貪欲に蠢きだす。彼の小さなペニスは快感に従順に勃起してしまっている。
もう自分の力ではどうにもならない。それは分かっている。
今が携帯電話に繋がる先に助けを呼ぶ千載一遇の機会であった。
だが、今のシンジには、そんな思考には至らなかった。
ふわふわと宙を浮いた感覚が、未だ少年を支配している。
いくら考えようとしても、思考の点と点は結びつかず、線になることは決してなかった。
「な、なんて言えばいいんですか?」
電話のコール音が鳴り響く中、シンジは本郷に質問をする。
「そんなこと自分で考えろよ。友達の家に泊まるとか、言えばいいだろうがよ。おら!」
「あぅッ」
尻肌を軽く叩く。パチンと小さな音と少年の声が玄関に響く。
同時に、コール音が止み、電話が葛城邸に繋がった。
「はい、葛城です」
出たのはシンジの保護者の葛城ミサトだった。
こんな時間に家に帰ってきているのは珍しい。
「あ、あの。僕…、ですけど…」
『ん、シンちゃん? どうしたの? 今日は帰るの遅いのね。
あんまり遅いんで、アスカったら、すご~く心配してるのよ』
「してない!」と、電話の後ろからアスカの声が聴こえた。
なんだが、ひどく昔に思える懐かしい光景が浮かび、シンジは泣きそうになった。
だが、背後にいる本郷はそんな感傷を受ける時間も許してくれない。
ぎゅっと深く挿入されたプラグを軽く捻ってくる。
「んぅ…。あの、その…、ミサトさん。僕、あの…、
今日はケンスケの家に泊まるから、その…、帰りませんから…」
『え~、そうなの!? 今日は二人にご馳走しようと思ってたのに。
ほら、最近、私、帰りが遅かったじゃない?
だから、お詫びも込めて、今日は外で食べようとか、考えてて…』
「ご、ごめんなさい」
『そんな謝ることじゃないわよ。そうね、外食はまた今度ね。
相田君の家に迷惑かけちゃ駄目よ。明日、休みだからって
ハメを外さないようにね』
「は、はい。それじゃあ」
シンジは電話を切る。次の瞬間、本郷はシンジの身体に覆い被さり、
プラグの抽送を再開しながら、良く出来た、と言わんばかりに、
シンジの顎をひょいと摘み、唇を奪った。
鋼のように硬く勃起した本郷のイチモツが、臀部に当たる。
「へへへ、よくやったなシンジ。
褒美に今日は一日中可愛がってやるぜ」
可愛がる、その言葉にシンジの菊座はきゅんと疼いた。
菊穴を弄る動きが一際、早くなる。
激しいピストン運動を繰り返し、シンジの内粘膜を抉る。
「う、あぁ…ッ、せ、先生ぃ! んぁっ!」
電話の最中、お預けをくらっていて燻っていたシンジの性感は一気に暴発する。
ガクガクと肉体を痙攣させて、四つんばのまま、大きく喘いだ。
「なんだイキそうなのか?
ケツ穴を穿られて。とんだ淫乱なヤローだな」
「ち、違うよ。僕はそんなんじゃ…、ひゃぅッ!」
本郷の言葉にシンジは首を振り、
声も掠れさせて、必死に否定をする。
だが、やって来る快感の波には抗えなかった。
視界が真白くなり、何も考えられなくなる。
ただ、うわ言のように「違う…、違う…よ」と呟くだけだ。
「何が違うってんだよ。いいか、お前は変態なんだよ!
俺に嬲られて喜ぶマゾなんだよ。認めろよ、おら!」
「ひっ…」
深々とアナルにプラグを押し込みながら、
シャツの中に手を差し込む。
最早、シンジの肌は全体が性感帯と化してしまっていた。
本郷の指先が、臀部に感じる熱い肉塊が、
今のシンジにとっては最高の愉悦になっている。
「あ、ダメ! それ以上、し、たらぁ…、あぁ…」
アナルを中心に熔けていくような気がした。
軽い目眩を覚えたと同時に、シンジは絶頂に達してしまった。
あろうことか本郷の手で。本郷の望み通りに。
「ひひひ、イッたかよ。んん?」
本郷の問いにシンジはまだ首を振って否定する。
「ほう、まだか。それじゃあ、もっと愉しまなくちゃな」
本郷の手が休むことはなかった。
シンジの肉体の筋肉は弛緩して、四つんばの体勢も保ってはいられなくなり、
床の上に突っ伏してしまう。
「せ、先生、もう…、許してぇ…。
こ、これ以上は、これ以上は辛いんです…、はぁぁ…」
弓なりに、背中を反らしたと思うと、
シンジはまたもや身体をガクンガクンと揺らした。
どうやら、連続で気を遣ったようだった。
菊座を責められて、射精せずの絶頂は、
シンジを奈落の底へと堕とすには充分だった。
シンジは従順に、本郷に許しを請う今の状況も受け入れてしまっていた。
時間が経ち落ち着いてこの事を思い出したら、酷く絶望をするだろうな。
そんなシンジを想像して、本郷はおかしくなり、腹の底から嗤いが込み上げてきた。
「んん、なんで辛いんだ? まだイってないんだろ?」
「イキました! 僕、イッちゃたんです。だ、だから…、もう…」
「へへへ、そうか。それならそうと早く言えよ」
シンジが正直に言うと、本郷は意外にも手を放してくれた。
とりあえず絶頂地獄から解放されたことで、
シンジは床に頬を付けながら、安堵した。
本郷は立ち上がり、家の奥に入っていく。
シンジが本郷の行動を疑問に思う前に、彼はすぐに戻ってきた。
本郷は巨大な注射器のような物を抱えていた。
それを見た瞬間、シンジの背中にはゾクッと悪寒が走った。
半裸の状態で、力が入らない身体のまま、床を這いずりながら、
本郷から逃げようと試みたが、もちろん、すぐさま捕まってしまった。
「おいおい、逃げんなよ。自分だけ、気持ち良くなって
俺を満足させない気か? あぁん?」
本郷は熟れたようなむっちりとしたシンジの尻朶を鷲掴みすると、
左右にむんずと開き、激しい責めによって爛れたシンジの肛門を露わにさせた。
熱く爛れた窄まりは、外界の空気が窄まりに当たりひんやりとする。
「いやだぁ…、やめてよ、そんなにじっくり見ない…、はんッ」
だが、シンジの顔は羞恥により真っ赤に火照る。
「へへへ。十分、解れてきていい具合になったな。
これならあっちの世界でも通用するぜ」
あっちの世界と訊いても何のことか分からないシンジだったが、
口ぶりからしていかがわしい世界であることは明白だった。
シンジは何と言ったらいいか分からず、瞼を下ろし、小さく首を振った。
「よおし。それじゃあコレを入れるからな。ちっとは我慢しろよ」
持っていた注射器の先端をシンジのアナルに射し込んだ。
と言っても先は針ではなく、プラスチックの注入口になっており危険はない。
「ひゃうッ…、なに…、何だよ、こ、コレ? あ、あ…」
ぬるりとした粘膜性の物体が肛門を通して、シンジの腸内に侵入していく。
注射の先からどろどろと、押し込まれ、あっという間に注射器の中身は無くなった。
本郷は全て入るのを見届けると、その物体が零れないように、
アナルプラグで再度、シンジの菊座に蓋をして、
外れないように、ボンデージでぎちぎちに締め付けた。
「ふふふ、俺のを挿れる前に、お前の腹ン中を綺麗にするんだよ。
30分もすれば、何を入れたか分かる」
だが、五分もしない内に、シンジのお腹はゴロゴロと鳴り始める。
そういった知識をまるで持ち合わせていないシンジでも、
何を入れられたのか、容易に察しが付いた。
犬のようにくぅんと鼻を鳴らし、もじもじとヒップを揺らし、
奥歯を噛み締めながら、訪れる鈍痛を必死で堪える。
肛門陵辱とは違った意味での、脂汗をシンジは額に掻いた。
その間も、本郷はじいっとシンジを観察するように見下ろしていた。
苦痛に歪むシンジの表情を眺め、心の底から愉しんでいるのだ。
シンジは今更ながら、本郷のサドスティックな性格にゾクリと悪寒を感じた。
「せ、先生…。僕…も、もう」
恐怖に駆られ、憐れみを含んだ声質でシンジは懇願した。
トイレに行きたい、と。
だが、その潤んだ瞳も、冷酷な本郷の嗤いに一蹴される。
「なんだ、まだ十分も経ってねぇぞ。もう少し、我慢しとけや」
「あぅ…、そ、そんなぁ…」
眉を八の字に顰め、シンジは魅惑的に首を振る。
「どうしても便所に行きたいってんなら、そうだな…。
俺を気持ち良くさせて貰おうか?」
本郷はシンジの顔に己の股間を持って行き、
スラックスの上から、硬く膨れ上がった怒張をぐいぐいと突き立てた。
しゃぶれ、と命令しているのだ。
シンジは自らの手で、スラックスを下ろし、
本郷の男根を取り出した。
切迫した心理状況が、媚薬の効能が、シンジの羞恥心を取り払っていた。
何度も咥えているのだから、一度ぐらいその回数が増えたといってどうということはない、
と自分に暗示をしているのかもしれない。
シンジは本郷の男根の根元を握った時、上から声がかかってきた。
「咥える前に、まずは挨拶しろよ。今だけじゃないぞ。これからずぅっとだ」
「あ、挨拶?」
何のことか分からぬ、シンジは腹に抱える鈍痛に堪えながら、聞き直す。
「そうだ。俺のチンポをしゃぶるんだぜ?
しゃぶらせて貰います、ってぇ、断るのが当然だろう?
先っぽにキスでもしてから、丁寧に舐めるんだ」
なんて奴だろう。本郷のその言葉で奥底に眠っていたシンジの怒りは蘇ってきた。
悔しくて、悔しくて、かあっと頭の中が熱く煮えたぎってくる。
かといって、今、怒りを露わにしてもどうにもならない。
唇を噛み、震える声で、シンジは声を出していた。
「しゃ、しゃぶらせて…も、貰いま、す」
シンジが喋っている間に、ポタポタと熱い滴が床に零れ始めた。
それが何なのか、気にも留めなかったが、
本郷の言葉で、その熱い滴に気を払った。
「へへへ、俺のをしゃぶるのが、泣くほど嬉しいのか、シンジぃ?」
「え?」
気付くとシンジの円らな瞳から涙が滴り落ちていた。
あまりの屈辱。あまりの悔しさで、シンジは泣いていたのだ。
制御できない感情の波に、シンジは困惑する。
泣き顔を見られないように、視線を逸らすがもう遅い。
しっかりと泣いた顔を見られてしまっていた。
「おら、こんなことで時間を潰してもいいのか?
まだ、我慢ができるならいいがな」
「うぅ…」
腹部の痛みの既に限界だった。
泣き顔を見せたくはなかったが、仕方がない。
なるべく本郷には見えないように顔を伏せながら、
シンジはグロテスクにそそり勃つ肉塊の先端にちゅっと口付けをした。
「おおぅ…。堪らねぇな、おい」
思わず本郷は声を出した。
だが、それは無理からぬことだ。
顔を伏せても、シンジの表情は観察できてしまう。
頬に涙の跡を残しながら、瞳を潤ませてながら、
今まで、密かに狙っていた美少年が己の陰茎にキスをしているのだ。
本郷がどんなに頑張っても決して手の届かぬはずの存在のシンジが。
それを思うと昂ぶって、射精したくなる。
そして、今にもシンジの頬に、鼻先に、唇に、髪に、
自分の欲望のスペルマをかけたくなってくる。
だが、その思いを本郷はグッと堪えた。
それをするのはもっと愉しんでからでも遅くはない。
本郷は、シンジを観察しながら、彼の慣れない口戯を堪能しようとする。
シンジの舌が亀頭の上を這う。
被虐の貌を眺めながら味わうと、それだけでぞくぞくしてしまう。
竿を一通り舐めると、次に亀頭を咥え込む。
何だが、ひどく義務的な動きだった。
後で、徹底的にフェラチオ仕方も教え込んでやるとしよう。
「うんッ…、うぅんッ…、んぅ…」
シンジの小さな口の中に、肉塊はずっぽりと埋まっていく。
柔らかい口内。相変わらずの名器だった。
息苦しそうに鼻を鳴らし、口端からは唾液が零れだす。
なのに頬張るのをやめようとはしない。またシンジの瞳からポロリと涙が落ちる。
圧倒的な立場の差に本郷のサドスティックな心はまたくすぐられた。
「お!? お前のチンポもビンビンだな」
本郷は爪先で、シンジの勃起したペニスをつつく。
それだけでは飽き足らず、ぐいぐいと何回か擦った。
「んんぅ…、ぅあ、ぁ…」
シンジは眉をしかめて、切なそうに首を横に振る。
そういえば今日は射精していないはずだ。
それならば相当、堪っているのだろう。
「くく、尻穴ばかり感じさせて、こっちはお預けだったな。すまねえなシンジ」
十数秒、擦ってやると、あっという間に、シンジは射精をした。
ドクンドクンと、一丁前に小さな勃起物の先っぽを濡らし、
陶酔した表情を一瞬だけ、浮かべ、口の動きが止まった。
「こっちは早えな、おい。もうイッちまったのか?」
情けなそうな貌をした後、また、一心不乱に本郷の肉塊のおしゃぶりを再開した。
それが今のシンジにとっての逃避なのだろう。
口の中に根元まで呑み込み、先端まで戻す。
しっとりと濡れた手の平を遣い、繊細な指で本郷のおとこを扱き上げる
「おう、俺も出ちまいそうだ」
本郷はシンジの頬を両手で掴むと、
自分の欲望通り、ちゅぽんといやらしい音をさせて、唇から男性器を引き抜き、
鈴口をシンジの顔に向けた。
何をされるか分かっているのだろう。
本郷の白い弾丸を受け入れるように、シンジは瞼をきゅっと下ろした。
「そぅら、喜べよシンジ!」
本郷は吼えながら、シンジの頬に自分のスペルマをぶつける。
びゅっびゅっと、飛散する己の精液で汚れるシンジの様を眺めながら、
本郷は今までにない絶頂を迎えた。
容赦なく腹部に襲い掛かる便意を耐え忍びながら、
本郷の汚辱の白濁液を浴び続ける。
長い睫毛は涙で濡れて、シンジの悲愴感をより一層、讃えていた。
本郷は腰をぶるっと戦慄かせ「ふう」と満足そうに溜息を漏らした。
「うぇっへっへ、最高の口マンコだったぜ、シンジ」
そう言いながら、本郷はシンジの柔らかな黒髪を撫でる。
やっと終わったという安堵の気持ちが、
本郷にしては珍しい優しい愛撫を安らぎへと変えていった。
だが、安心をすると、下腹部の痛みが激しくなってくる。
「うぅ…、先生ぃ、それより早くぅ…」
お腹を押さえ、もじもじと太腿を摺り寄せるシンジ。
そうとう我慢をしているのだろう。
額にはじっとりと脂汗が浮かび、彼の必死さを物語っていた。
「お、何だ? 何を早くして欲しいんだ?」
余裕のないシンジに向かって、本郷はしらりととぼけてみせる。
「と、トイレに行かせて下さい…、もう、が、我慢できないんです…」
ハアハアと息を切らし、顔に付着している本郷の濃いザーメンも満足に拭かず、
シンジは目の前の教師に哀願をする。
「なんだ、あれぽっちの浣腸でもう限界か? ったく、根性のねぇ奴だな」
散々、馬鹿にしたような口調で揶揄をする。
初めて多量の薬剤を腸内に押し込められたのだ。
数分で全てを吐き出すのを本郷は分かっていた。
だが、いかにも自分が人より劣っていると思わせるのがサドスティックの狙いだった。
本郷は面倒臭そうに顔を歪め、
再び部屋の奥に入り、メタリックに光る金属の洗面器を持ってくる。
それを見た瞬間、シンジは自分の恐ろしい考えに、軽く目眩を覚えた。
まさか、と思った。幾ら何でもそんなことをさせるわけがない、と。
「おら、四つんばになって、脚を開けよ」
シンジは未だ信じられぬという面持ちで、言われた通り脚を開く。
すると、本郷は開かれた脚の間に、金属の洗面器を宛がった。
「せ、先生、あの…」
「お前みたいな淫乱なガキが俺と同じトイレを使うなんておこがましいんだよ。
犬みたく玄関でするのがお似合いだ」
「そ、そんな、嫌だッ! トイレに…、はぅッ!」
シンジの懇願も空しく、窄まりに嵌っていたアナルストッパーは外された。
つかえを失ったシンジの排泄穴からは、情けのない放屁音が飛び出してくる。
羞恥を感じ、お尻の穴を引き締めてみるものの、無駄な抵抗だった。
強制的な便意はまるで嵐のように、シンジを襲いかかる。
下腹部は音が鳴り、痛みも増してくる。
きゅうっと唇を噛み締めて、床をカリカリと爪で掻く。
最早、一刻の猶予もなかった。せめて視線を遠ざけるためにシンジは本郷に
哀願をする。
「あ、あぁ…、見ないでよぉ…」
「おいおい。見られたくないんなら我慢しろよ。
別に糞をしろって頼んだ覚えはねーんだぞ?」
暴れまわる腸の辛さ、人前で排泄の我慢に悶絶する所を見られ、
シンジの頬は真っ赤に染まる。
呼吸の間隔が短くなる。ひぃひっと、まるでしゃくりあげるような息の仕方だ。
「も、もう。だめ、ぇ…、あぁぁ…」
シンジの身体からふっと力が抜ける。
今まで力を入れていた括約筋が緩む。
可愛らしい唇から零れ落ちる声とは不釣合いな
下品な排泄音が玄関に木霊した。
「へへへ、やっぱり、見て欲しかったんだろ?
とんでもねえガキだな。こんな奴が地球を救うエヴァパイロットなんてな、
ちゃんちゃら可笑しくて、笑っちまう」
「み、見ないでぇ…、や、やぁぁ…」
幾ら小馬鹿にされても、一度や駆動し始めた腸は止まらない。
シンジは咽び泣きながら、排便を続けていた。
汚れた窄まりを浴室で洗い落とす。
いくらシャワーで、汗や汚物を流しても爽やかな気持ちには為り得る筈もなかった。
本郷は「一人で洗えるだろう?」とからかうような口調で、
シンジを浴室に行くように命じた。
途中まで、本郷も一緒に浴室内に入っていた。
その際には、シンジの身体に指一本触れることはなかった。
代わりに、すぐ横でシンジが汚してしまった洗面器を顔を顰めながら洗っていた。
狭い室内では、本郷の洗う様が否が応でも目に入る。
それがシンジの恥辱を余計に煽った。
洗面器を汚したシンジには全く否がなかった。
多量の浣腸をされたのだから仕方ない。
しかし、自分の汚物を拭き取る本郷を見て、
申し訳ない気持ちが湧いてくるのも、また事実だった。
浴室からあがると、家の奥から声が聴こえてきた。
どうやら先に上がった本郷が誰かに電話をしているみたいだ。
やけに丁寧な口調で、恭しく電話の相手に一応は敬意を払っているようだった。
「ええ。大丈夫です。この調子なら、一週間もあれば…。
お願いしますよ、その際は。
そう…、ええ…、はい、期待してて下さい。
ん? あぁ、来ました。話しますか?
……くく、冗談ですよ。それでは」
電話をしていた本郷がシンジの存在に気付くと、
挨拶をそこそこに受話器を置いた。
そして、本郷はまたシンジの菊座の周辺に媚薬入りのローションを
たっぷりと塗り込んだ。ぬるぬるとした感触が心地良く思わず、声を上げてしまう。
以前までは不浄の穴に触れられても不快感しか残らなかったが、
今や、本郷好みの穴へと調教されつつあった。
情けない気持ちになるも、強力な媚薬が効き始めると、
シンジの思考能力は衰え、まともに物を考える事もできなくなり、
その気持ちも頭の片隅に追いやられていく。
逆にシンジの肉体は熱を帯び、ムズムズと下腹部は疼き、
じっとりと肌はいやらしく濡れ始める。
また、あのプラグを欲してしまう。認めたくはなく首を振るが、
朦朧としてきて、頭がうまく働かない。
火のような息を吐き、足取りがふらふらとなる。
朝からのむごい仕打ちにシンジの体力も限界なのだ。
隣にいる本郷に寄り掛かりそうになったが、最後の理性で何とか踏み止まった。
狭い室内に連れて行かれる。服も着させては貰えなかった。
白い裸身で、天井から舞い落ちる電灯の明かりを浴びながら、辺りを伺った。
部屋には簡素なベッドが一つあった。パイプベッドで実に古そうだ。
シーツも汚い。ベッドの近くには電気スタンド立てがあったが、電球は付いていなく
その役割を果たしてはいなかった。
「さあ、お愉しみの時間だぜ、シンジ」
本郷はそう言うとシンジの肩を抱き、馴れ馴れしく唇を寄せ、
ねっとりとシンジの舌に吸い付き、唾液を絡ませた。
従順に云う事を訊くか試しているかのように。
「う、ぅん……、んんぅ…」
先程の言いつけ通り素直に唾液を嚥下するシンジだが、
その心中は嫌悪で満ち溢れていた。
正に本能だった。無意識下で、本郷を敵と認識しているのだ。
それでも悲しいかな、媚薬に蝕まれているシンジの肉体は
口内の粘膜の刺激に、ゾクゾクとした快感をもたらせる。
「へへへ、これなら前戯はいらねえなぁ」
「ふぁ…、あ、あぁ…」
本郷はぽってりと膨らむシンジの菊座を擦りながら言う。
柔らかな尻朶をたぷたぷと弄んだ後、
横に開き、劣情を誘うアヌスを明るい蛍光灯の下へ曝け出した。
シンジのソコはぬるぬると濡れそぼり、本郷の言葉どおり準備万端であった。
おまけに少し触れただけで、ソプラノ調の喘ぎを奏でるシンジ自身の感度も抜群だ。
「それにいい匂いだ。俺の為によぉく洗ったみてぇだな」
本郷はシンジの両脚を広げて、ピンク色の窄まりに鼻先を近づけ、
くんくんとあからさまに鼻を鳴らし嗅ぐ。
何とも言えぬ、汗と石鹸が混同した甘酸っぱい匂いがした。
シンジは最早、抵抗する気力も無いのか、いやいやとかぶりを振るだけだ。
「へへ、さて…」
そう言って、ベッドに膝を突き、本郷はスラックスのベルトを外し、
己の肉棒を取り出した。絶倫の本郷のソレは先ほど欲望の液体を
吐き出したばかりだというのに、大きく反り勃ち、凶悪さを醸し出していた。
「あぁ…」
シンジはちらりとそれを見て、溜息を洩らす。
ここから幾ら抵抗をしても無駄だろうと悟ったのか、シンジの表情は曇った。
かくんと項垂れて、じんわりと目端を潤ませる。
それを見て、本郷は少しばかり残念に思った。
もう少し、足掻くなり、泣いて懇願するなりしてくれれば、
更に燃えただろうに、と自分勝手な考えを頭の中に巡らせる。
だがすぐに、まあいいか、と本郷は取り直した。
あの生意気なシンジが意気消沈している所を
散々、嬲るのもまた一興だ。
くくく、と含み笑いをする。
本郷は元来の冷酷さで、今のシンジに対して違う喜びを瞬時に見出した。
「挿れちまうぞぉ。へへ、シンジの処女は俺の物ってわけだ」
凶悪なイチモツの先端を局部に近づけ言うが、シンジに反応は無い。
本郷は腕をにゅっと伸ばし、シンジの顎先を掴む。
「あッ・・・」
「『僕の処女を貰って下さい』だろ?
俺のチンポをお前の中に挿れてやるんだ。
『お願いします』ってぇ言葉も聞きてぇーなぁ」
グッと声を詰まらせる。死んでも言いたくのない言葉だろう。
でも、シンジは言わざる得ないのだ。
きついおしおきに耐える体力も、気力も、少年の中には残っていやしまい。
「ぼ、僕の・・・処女を、も、貰ってください…」
「お願いします、だろ?」
「お、お願いします、ほ、本郷先生ぃ・・・」
言いながらいつの間にか目端に溜めていた涙をボロボロと
頬に流していた。口惜しいのだろう。悔しいのだろう。
その表情を眺めるだけで本郷の嗜虐心は大いに擽られる。
ひっくひっくとしゃくり上げ、憂いた表情のまま本郷と視線を合わそうとしない。
おそらくはそれがシンジのせめてもの抵抗。
まだそんな気概が残っているとは、本郷は素直にシンジの精神の強さを認めた。
「お願いをされたら仕様がねえなぁ」
認めながらも、最後の仕上げはしなければならない。
仕上げというより、とりあえずの本郷の欲望の到達点だ。
艶やかな稜線を描く少年のヒップを鷲掴みに割って、
硬化した肉の棒をシンジの菊門に宛がい、
ずいっと腰を押し出し、先端部分だけ挿入を試みる。
拡張の甲斐があって、にゅるりとローションと分泌液が合わさった
禁断の入り口は容易に本郷のモノを歓迎した。
「おぉうッ!」
思わず本郷は短く吼えた。念願のシンジとの交合なのだ。
感嘆の咆哮を上げたくもなる。
ついに入ったのだ。自制が利かなくなるまで、
このまま奥までぶち込み、気を失うまで腰を叩きつけたかった。
だが、それでは勿体無い。挿れるまではじっくりとシンジの顔を愉しもう。
本郷はゆっくりとシンジの中を堪能して、
少年の表情を見ながら、腰を押し進めた。
「あッ、うっ!」
シンジは眉をしかめ悩ましげに苦悶の表情を浮かべる。
それがあまりにも悩ましげで、本郷は感激した。
こんなに色っぽい顔を出来る中学生はいない。
喘ぎが零れるたびに、きゅっきゅっと中が締まり最高の愉悦を味わう事が出来た。
お世辞でもなんでもなく、本当にシンジは極上のアナルの持ち主だった。
ズンと一突きさせて、シンジの反応を愉しむ。
「んんぅッ!」
また入り口がいやらしく締まる。本郷は嬉しくて堪らなかった。
この犯し甲斐のある少年をこれから陵辱し続けられる現実に。
目の前の男は腰を押し進め、
今まさに欲望の肉塊をシンジの中に挿れようとしていた。
朝から酷使され続け、体力も精神も完全に磨耗して、抵抗する気も起きなかった。
唯々諾々とこの現場を受け入れて、本郷のモノを受け入れよう。
辛いのは最初だけさ、酷い仕打ちを受けるよりかは少しはマシだ。
シンジは半場自暴自棄な気持ちで、事の成り行きを伺っていた。
既に心を閉ざし、シンジの中にいるもう一人の自分が、無関心を決め込もうとした。
これは幼少の頃より培った生活が生み出したシンジに付き纏う悪癖だ。
何ら解決しない。そんなことは分かっている。
だけど、仕方ない、どうしようもならない。
それだけの理由で現実から目を背けてしまっている。
この第三東京市に来て、少しは変わったとシンジは自分で思っていた。
ミサトに会って、綾波に会って、トウジに会って、ケンスケに会って、
ヒカリに会って、アスカに会って、エヴァに乗って少しは変われたと。
だが、それはどうやら勘違いだったのだ。
人はそう簡単には変われはしない。
「お願いします、だろ・・・」
顎を掴まれた。そして、言葉を復唱させられた。
無関心を決め込もうとしたのにボロボロと涙が零れる。
言いたくなかった。でも、言わなくては酷い目にあう。
復唱する事に少しも葛藤しない自分が情けなかった。
「お、お願いします。本郷先生ぃ」
おまけに本郷の神経を逆撫でしないように媚びるような声を出していた。
自分にこんな適応能力があるとは思ってもみなかった。
本郷は下卑た嗤いをして、じりじりと腰を推し進めた。
にゅるっとローションが滑り、
シンジの菊門は本郷のペニスをいとも簡単に受け入れてしまった。
今までの無機質の物体とは違う極太の本郷のイチモツは
シンジの中を圧迫させる。
「あッ、うっ!」
声が出る。なんとも鼻にかかる甘ったるい声だった。
自分が嫌になる。苦しいはずなのに、
快感が排泄穴に集中してしまう。
肉の快楽だけがよぎったのは入り口までだった。
奥に進むごとに痛みは増し、快感は遠くにいく。
無機質とは違う脈動する肉塊のシンジは弓なりに仰け反り、
その熱い本郷のペニスを強制的に自分の中で味わされてしまった。
きっと本郷もそこそこの太さのプラグを使用していたのだろう。
本郷のおとこにぴっちりと吸いついてしまい、シンジの菊座を強く圧迫する。
ズンと一度、腰を動かされただけで、
シンジの腰骨は中から刺激されたように響いた。
あまりの痛さにシンジは目をしぱしぱさせた。
「あぐぅッ! 痛ぃよ、抜い、て、抜いて先生ぃ!」
正に魔性の快感だった。
苦痛を声に出すシンジだったが、少しばかり時間が経つと、
媚薬のおかげで肉体は痛さの中に快楽を、
苦しさの中に最高の愉悦を見出している。
それが怖いのだ。不浄の穴との交合で感じてしまう自分に。
シンジはいやいやと首を振り、泣いて目の前の男に情けを請う。
恥も外聞もなく縋りだす。
無論、本郷が許す筈もなく、逆にニヤリと嗤い、
ついに腰を大きくグラインドし始めた。
「あんッ、いや、だぁ! 許して、お願いし、ますからぁ」
声が途切れ途切れになる。
「へへへ、これぐらいで音をあげちゃあ、これからがキツイぜ」
朝からシンジに奉仕させた本郷はまだ余裕があるようだった。
涙でぐちゃぐちゃの顔を見ながら、激しく腰の律動を繰り返す。
「許し…んんぅ、んぅッ、あぁッ!」
本郷は己の鍛え上げられた腹筋をシンジの腰にぶつけるように
下半身を動かす。動かす度にシンジはいい声で啼き、
きゅんとアナルを締めるので、本郷は益々、動きを激しくした。
「おぉう。すげぇ。やっぱりお前のケツは最高だ。
今日、明日、いや、これからずっと一日中抱いてやるからよ。有難く思えよ!」
「はふッ…っあぁ、うくぅっ!」
もう懇願する余裕も無い。
ただ本郷を喜ばせるだけの喘ぎ声を発し、
迫り来る快感を必死で拒絶するだけだった。
下半身は敏感なのに、頭が朦朧としてくる。
アナルは無意識に収縮を繰り返し、本郷のおとこを締め付ける。
うおお、と本郷は吼えた。
「いいぞ、シンジ。とうとう俺を悦ばせる穴になってきたな」
本郷はそっとシンジの頬を撫でる。
「お前も気持ちいいだろ? 正直に言ってみろよ」
「あンッ…はいぃ…、気持ちいいですぅ…
あ、あぁ…、やんッ!」
嬲られ続けたシンジはついに思考を放棄して、
今の快感を正直に告白する。
言葉にしてしまえば不思議とすっと痛みも和らぎ、
肉の愉悦が下腹部を中心に拡がっていく。
もっと痛みを緩和させたかった。
苦痛なんていらない。気持ちいいことだけを感じていたかった。
シンジは「あんッ」と、快楽にだけ身を委ね、艶っぽい喘ぎを出す。
それだけで、楽になった。もっと楽になりたくて、
シンジは本郷を悦ばせるような声を次から次へと発した。
「よぉし、正直なお前にご褒美をやるよ!」
本郷はシンジの両の太腿を肩にかけて、
思う存分体重をかけ、直腸をガンガンに突いてきた。
おまけに本郷はシンジの男性器を扱き、同時責めを開始した。
頭が真っ白になる。男性器は溶けるように気持ち良かった。
一瞬にして快楽の頂に昇りつめる。
「あ、ぐぅ…、あんッ、あんッ! だめぇ、弄んないでよぉ」
まるで少女のようにハスキーな声を零しながら、
シンジはその容赦無く降りかかる性の愉悦を享受した。
何も考えられない。考えたくない。
「ぐうッ…、すげぇ締め付けだぜ、シンジ」
自然とアナルは締まったようだ。だが、今の性に狂ったシンジには関係ない。
ただ、肉の快楽を味わうだけだ。
本郷の腰は震え、びゅるっとシンジの中に先走りの汁が吐き出された。
「あぁん、あんッ、先生、先生ぃ…」
「お、イクのか? 初めてなのにエロイガキだな!
そんなに俺のチンポがいいのかよ!?」
「はいぃ…、いいです。今までのよりずっとぉ…」
無機質なアナルプラグよりも何倍も気持ち良かった。
腰の動きを早められる。結合部はぬちゃぬちゃと音を立てている。
「すげえ音だな。お前のケツが出してんだぜ!?」
「ご、ごめんな…、さぃ…」
本郷の揶揄ももうどうでもよい。
口端から涎を垂らし、相変わらず顔は涙で濡れている。
だが、その表情は本郷を昂ぶらせる淫靡な物だった。
ますますやる気を出してシンジにありったけの奔流を与える。
熱くマグマのような肉をお腹の中に感じ、
シンジの性感は更なる高みに昇りつめた。
「あッ、はぁぁっ!」
シンジは妖しく笑いながら、ビクンビクンと身体を仰け反らせ、絶頂に達した。
本郷の手にはべっとりとシンジのミルクが付着している。
前と後ろを同時に達してしまった。
それは人を狂わす禁断の快楽だった。
「なんだイッちまったのか? 俺はまだだぞ」
「あ、あぁぁ…っ…んぅ…」
シンジがアクメに達しても本郷の腰はの動きは緩む事はなかった。
少年は本郷が射精するまで、何度もイキながら、
だらしない喘ぎを、本郷に聞かせていた。
「くひぃッ…、あ、あんッ。ふぁぁ…」
「もっと聴かせろよ、いい声を。おらおら!!」
「また、イッちゃぅん…、あ、やぁぁッ!」
がしがしと執拗に腰をぶつけ、シンジの腸壁を肉の腸壁で抉る。
一度、肉の交合の甘美さを知れば、もう耐える術は無い。
しなやかな肢体をくなくなと揺らし、何回も絶頂を味わさせられた。
「ほら、イクぞ。俺のザーメンをしっかり呑めよ!」
一際、大きく吼えて本郷は己の欲望をシンジの中に飛散させた。
びゅるびゅると今までに無いぐらいの量を、シンジの腸内にぶつける。
だが、その時にはシンジは既に気を失っていた。
「なんだ、だらしねぇ」
気を遣りながら気を失ったシンジを見下ろし、
本郷は満足そうな声を室内に響かせた。
シンジがその重い瞼を上げる前、何もかもが夢であればと心から祈った。
身体の節々は酷使されズキズキと痛む。
なのに頭は朦朧としていて、思考を纏めるのに苦労をした。
媚薬の効力が切れかかっているとはシンジには知る由もない。
うっすらと瞼を上げて寝たまま今の状況を把握しようと努めた。
汚れたシーツに包まっている。窓が無い部屋のようで、辺りは薄暗かった。
ベッドの脇に役割を果たしていない電気スタンドがポツンと置いてあった。
やはり夢ではなかったのだ。
シンジは覚醒する前に行った嬌態を思い出す。
恥ずかしくて恥ずかしくて死にたくなるような行為だ。
あろうことか卑劣男に鼻を鳴らし媚を売ってしまった。
シンジは己の肩を抱き、悔しさで溢れる涙を堪えようとした。
ジャラリと音がした。
そこでシンジは初めて自分の腕に何かが巻かれていることに気付いた。
鈍く光る手錠が右手首に付けられ、その手錠から重そうな鎖が生えている。
鎖はベッドの柱に繋がれて、シンジの自由を奪っていた。
「あ…、くそ……」
おそらくは本郷の仕業だ。逃げられないようにと。
しっかりと鍵がかけられ外すこともできない。
シンジはしばらくジャラジャラと鎖を鳴らしながら、
四苦八苦しながら脱出を試みたが、徒労に終わった。
相変わらず身体は気だるかったが、状況が分かってくると次第に頭が冴えてきた。
やはりここは大人しくしていて、助けを待つ方が懸命なのだろう。
連絡が無いまま日々が過ぎれば葛城家の面々も不審に思って、捜索してくれるはずだ。
第三東京市に来て初めて家出をした時に捜索してくれたあの黒いスーツを着たネルフ職員。
諜報部員だっただろうか?
きっと彼らが助けてくれるはずだ。実に他力本願だがシンジは彼らに縋るしかなかった。
本当を言うと彼らに頼るのは嫌だった。
しかし、自力で逃げ出すのが困難な状況になってしまっている。
シンジは縋るべき希望が欲しいのだ。誰かが自分を救うという希望を。
本郷が現れたのはシンジが覚醒をしてからしばらく経った頃だ。
監禁されている部屋には時計は無く時間の経過を確認する事も不可能だった。
おまけに窓も無いので、夜なのか朝なのか昼なのか、シンジには判断できない。
恐らくは本郷は意図的にシンジの時間という概念を奪っているのだ。
ここに来たのは金曜の夜。あれから一日ぐらい経ったかもしれない。
だが、断定は出来ない。シンジは無駄だと知りつつ本郷に日にちと時間を訊いてみた。
案の定、本郷は答えなかった。そんな事を言う義務は無い、とでも言いたげな表情で。
それに、例え本郷が時間を答えたとしてもそれが真実かどうか調べる手段はシンジには
持ち合わせていないのだ。日付を表示する携帯電話も制服のポケットの中だ。
─携帯電話?
そうだ。携帯電話にGPS機能が付いているのだ。
助かる。調べればここの居場所は容易に知れることだろう。
シンジは心の奥底でホッと安堵の溜息を吐く。
もう少し。もう少しだけ我慢をするんだ。
この男はもうすぐ捕まる筈だ。
シンジは潤んだ瞳を肩で拭った。
もう泣く必要は無い。本郷に心から媚びを売る必要も。
シンジは己を奮い立たせ、今度こそ悪教師と立ち向かう気概を心の中で打ち立てた。
「へへ、一緒に風呂でも入るか? そこで思う存分、愉しもうぜ」
そんなシンジの心情の変化を知らない本郷は変わらぬ高圧的な態度で命令をする。
彼の言う通りシンジの全身は汗や体液でどろどろだった。
身体には本郷の臭いが染み付いているようで大いに不快でもある。
全てを洗い流したいというのはシンジの正直な気持ちだった。
それに表面上は本郷に従っていた方がいい。
携帯の機能に気付かれて、場所を移されたら全てがご破算になってしまうのだ。
シンジが黙って頷くと、本郷は下卑た嗤いをした。
手錠は外され、シンジは本郷に抱きかかえられたまま浴室に向かうことになった。
逃げる気を起こさないように後ろ手に手錠で両手を拘束されたまま。
本郷は歩きながら愛らしく丸みがあるヒップを揉みしがれながら、キスをせがんでくる。
まるで恋人気分だ。嫌々ながらシンジは本郷の舌を受け入れる。
ぬるりとした大きな舌がシンジの口内を這い回る。
舌と舌を無理矢理絡ませて、シンジの口粘膜を舐りまわす。
もう少しの我慢だ。シンジは自分に言い聞かせて、
本郷の魔手も口付けへの不快感にも何とか堪えた。
「おッ!? 昨日のが残ってたか?」
歩きながら揉まれるシンジのお尻の窄まりからは
本郷の欲望の残骸が太腿を伝ってとろりと滴り落ちてくる。
本郷はそれに気付いてエロイ尻だ、とまたもや嗤った。
浴室でも本郷はシンジを玩具にして遊んだ。
石鹸を身体中に塗させ、シンジの肌をスポンジ代わりにさせて
本郷の肉体を洗わせたのだ。
その男好きの娼婦がするような卑猥な行為は、
少しでも本郷の臭いを断ち切りたかったシンジにとって屈辱以外の何物でもなかった。
本郷の肌に触れる度に臭いが身体に染み付くようで、嫌悪する。
「シンジの肌は本当にすべすべで柔らけぇなぁ。
これから毎日してもらうか。お前の身体も同時に洗えて一石二鳥だ」
シンジが自分の思うが侭になっていると思い込んでいる本郷は
全身を遣って奉仕する少年をいたく気に入って頭を撫でる。
シンジは黙って頷く。もちろん演技だ。
唇を噛み締め、屈辱を隠す。
我慢だ。堪えるんだ。
「黙って頷くんじゃなくて、声を出して返事しろよ」
シンジは本郷の言葉で顔を上げる。
本郷のにやける面がシンジを恐怖させる。
身体が硬直する。シンジの肉体が昨夜の陵辱を覚えているのだ。
「は、はい。ごめんなさい…」
シンジは慌てて返事をする。反射的な行動だった。
そして、つるりと滑らかな肌を遣ってせっせと奉仕に励む自分に自己嫌悪をする。
身体を遣って目の前の教師を満足させるのは演技だ。いや、演技のつもりだ。
だが、頭で演技と言いつつも、心で従属していたら意味が無いのではないか。
シンジは一瞬そんな事を思ったが、自分が分からなくなりそうで怖くて思考を放棄した。
ただ義務的に本郷の身体を綺麗にさせる、その一心で肢体を動かした。
胸で本郷の背中を洗うまではまだマシだった。
だが、腹や脚まで洗うとなると本郷のペニスが間近に来ることもあり
不快の極みだった。本郷はそれを分かってか、時折、シンジの柔らかな頬に
己の肉塊を擦り付けて少年の反応を愉しんだ。
ひとしきり身体を動かすと本郷の許しが出て、やっと身体を休める事が出来た。
終息した安心感と、義務的な仕事を終えたような満足感がシンジを包んだ。
その満足感が知らず知らずの内に隷従していくことにシンジは気付かない。
休む時間もそこそこに、今度は本郷の肉棒への奉仕を強要された。
今さっきまで手の平に石鹸を塗して綺麗に扱き洗い立てたペニスは
昨日の荒淫への疲労も見受けられず、完全に復活をしていた。
鎌口はシンジを狙い、その凶暴な性をギンと誇示していた。
「まずは訓練しないとな。お前には才能があるんだからな、シンジ」
本郷は浴室のタイルの上にドシリと胡坐をかくと、シンジの唇を待った。
咥えろと本郷は顎で命令をする。シンジは今にも隙を見て逃げ出したかった。
だが、両手を後ろ手で拘束されていては、本郷が目の前にいる今、脱出も難しい。
シンジは悲痛な面持ちでタイルに膝を付くと、
本郷のオトコに花びらのような小さい唇を近づけていった。
「馬鹿野郎! もう忘れたのか!?」
吐息が近づく距離までペニスに顔を寄せると本郷の怒声が飛んできた。
何故、怒鳴られたか分からぬシンジは顔を上げた。
本郷は悪鬼の如くシンジを見下ろしながら、手を振り上げている。
「す、すみませ…ッ」
シンジは無様にも頭を下げる。怖い。やはり怖かった。
あの手の平がいつ飛んでくるか。シンジは恐怖で全身を硬直させた。
「しゃ、しゃぶらせて戴きます」
シンジはそれを口にすると、殴られないように慌てて先端にキスをする。
これは媚びじゃない。自分を守るためだ。
シンジが幾らそう心に言い聞かせても、本郷にとってはそう変わらない。
命令どおり奉仕をしているのだ。何の問題があろうか。
「ふんッ、まあいい。まずはフェラチオの練習だ。俺の言う通りにしろよ」
「はい…」
射精するまでシンジは本郷に奉仕していた。
両手が不自由なので、以前よりもやり難くかなりの時間がかかってしまい、
顎が疲れ、息をするのも億劫になりそうだった。
しかも、長時間フェラチオの仕方まで教え込まれ、
今やアヌスに続いて口までも本郷用のおしゃぶり穴に調教されつつある。
「ツボを掴んだか?」
本郷の心無い言葉にシンジはブルッと身体を震わせた。
未だに服を着させてもらえず、バスタオル一枚身体に巻いている所為ではない。
怖いのだ。本郷に殴られる恐怖ではない。
自分がひどくいかがわしい物となり、
そのまま戻れなくなってしまうという絶望感がシンジを襲っているのだ。
シンジは早く助けに来てくれることを心から祈った。
浴室から上がると、軽い食事を受けさせられた。
全く食欲は無かったが、食べなければ身体が持たないだろうと思い、
無理をして食べ物を胃の中に押し込んだ。
そんなシンジとは対照的に本郷は無神経にガツガツと食事をしていた。
食後、時間を置かずに本郷はシンジを襲った。
両手を手錠で拘束させたまま、後ろからシンジを突いた。
今回はシンジの全身にあのローションを塗りたくり、
ぬらつくシンジを眺めながら、本郷は思う存分シンジを犯した。
最初こそ声を殺していたが、やはり媚薬が効いてしまっているのか
シンジはその内、濡れた声を出し、いやらしく喘ぎ始めた。
叩かれる恐怖も覚えていたが、あの快楽も肉体に染み付いてしまっているのだ。
「あんッ、あんッ!」
「へへへ、そんなにいいのかよ?」
「うくっ、いいで、すぅ。あふぁぁ…」
長時間、敏感な内部を抉られてしまってはシンジに堪える術もない。
怒涛のように快楽は押し寄せオルガズムの波に溺れていく。
昨夜と同じく何度もイキ、今日抱いた気概も忘れるぐらい本郷に媚びを売る羽目になった。
「ダメっ、そんなに強くし、たらぁ、やぁ!」
「ったくエロイガキだ。この前まで何も知らねーって顔してやがったのによ。
おら! イっちまうごとに、イクって言ってみろよ。
何回イったか数えてやるよ」
ガシガシと荒々しく本郷はシンジの腸壁を突きまくる。
「あぅん、イクっ! イっちゃいますぅ!」
ビクンビクンと肢体を震わせてシンジは叫ぶ。
本郷が一度射精するまで何度もイキ、
本郷はその度にスケベな奴だ、などとシンジをからかった。
計三回ほど中に出すと、本郷は満足して休憩に入った。
しかし、シンジには休む時間を与えてはくれなかった。
菊座に人間のペニスを模したバイブを挿入されたのだ。
革のベルトでしっかりと固定された上に、
前で両手を拘束されたのでは外すことも出来ない。
シンジはひぃひ、と蚊の鳴くような声を出しながら、その仕打ちを受けていた。
しかも、そのバイブはランダムに震えてシンジの粘膜を刺激してくるから始末が悪い。
いくら細くてもシンジのアナルに挿さっているのには変わらない。
うつらうつらと刺激に馴れ、やっと睡魔がやってくると、
バイブが絶妙のタイミングで震えてシンジの睡眠を阻害する。
こうしてシンジは満足に寝ることも出来ず、
永遠とも思える長い調教を受けることとなった。
その日を基点に何十回とシンジは犯された。
眠られぬシンジは時間の流れが不鮮明で、今日が何日目かも分からなかった。
寝不足気味な頭もそれを増長させていた。
もう一週間経ったかもしれない。
いや、まだ一日も経過していないのかも。
時間の感覚を奪われたシンジにはそれすらも分からなかった。
だが、確かな事は結局、助けは来なかった。
数日経った頃だと思う。正確には分からない。
シンジが一際激しく犯された後、制服を着るように云われた。
力が入らない身体に鞭を打ってシンジは本郷の命令に従った。
陵辱され続けたシンジはもう逆らう気も起きない。
ここに来て以来、久しく袖を通すそれにシンジは不可思議な感慨を覚える。
そして制服を着たまま本郷とマンションを降りた。
外は暗かった。懐かしい匂いを孕んだ外の風がシンジの肌に触れた。
感慨もそこそこにシンジはそのまま本郷のジープに連れ込まれた。
「ど、どこに?」
助手席に座ってやっとシンジは口を開かせた。
相変わらずアナルにはプラグを嵌められているので解放されるわけではないだろう。
本郷はシンジの質問に面倒くさそうに答える。
「ああ、そろそろ頃合だ。お前をある人の所に連れて行く」
「ある人?」
「訊くな。会えば判るんだ」
本郷はいたく機嫌が悪かった。
無言のまま車は走り続け、大きなビルに到着した。
「何処なんですかここ? 僕をどうする─」
言い終わる前に車から下ろさせられる。
本郷はシンジの腕を掴んだままそのビルに入っていった。
本郷が向かったのは地下だった。
エレベーターを使わずに、階段で降りていき、広い廊下へと出た。
突き当たりには頑丈そうな扉があった。
その横には1から9までのボタンが備えられている。
どうやら暗証番号を押さなければ入れない仕様になっているらしい。
本郷はそのボタンを押す。
インターホンから声が聴こえてきた。
本郷は「例の少年を連れてきました」と悔しそうに云った。
扉が開く。中は薄暗かった。
部屋にはいくつかのブースが点在している。
室内を歩く時、中を覗くと男女の交合が垣間見え、シンジは慌てて目を逸らした。
ここは男女の戯れの場所だ。
もしかしたらここで酷い目にあわされるのだろうか?
シンジの菊穴はきゅんと切なく疼いた。
既に一週間という過酷な色責めでシンジの情欲は制御できぬ程、膨れ上がっていた。
お尻の絶頂とは裏腹に射精は数える程しかさせて貰っていないのだ。
否が応でも貪欲に性を欲する肉体に仕上げられていた。
だが、シンジの期待が入り混じった不安とは裏腹に、更に奥へと連れて行かれた。
途中で、そのビルの従業員らしき人物が現れた。
話が通っているらしくシンジはそこで本郷と別れた。
「またな」
本郷は呟く。シンジは何も答えない。
本郷と別れられてシンジは一瞬、言い様の無い解放感に包まれた。
だが、良く考えてみれば事態は解決したわけではないのだ。
これからどこに連れて行かれるのか不安が再びもたげてくる。
やや前を歩く従業員の後をシンジはついていく。
従業員はタキシードを着て、髪の毛をピシッとポマードか何かで固めている中年の男だ。
でっぷりと腹が出ていて、あまり好感の持てるタイプではなかった。
それは本郷と知り合い─かどうかは判らないが─ということに起因しているかもしれない。
かなり話しかけづらい。本郷のようにこの男も豹変するかもしれない。
「あの…」
しかし、何処に連れて行かれるのかという不安に押し潰されそうになった
シンジは意を決して従業員に声をかけた。
「どうしました?」
男は振り向かなかったが、丁寧な口調だった。物腰も柔らかい。
その態度に肩透かしを喰ったシンジは続く言葉を言いあぐねた。
「今日は…、何日ですか?」
出てきたのはどうでもいい質問だった。
確かに気になるが今は関係ない。
男はこちらを振り向き、やや面を食らった表情をした。
そして、前を向き直り今日の日付を教えてくれた。
本郷のマンションに連れ込まれてから一週間経っていた。
シンジは急に恐怖に駆られた。
そんなに時間が経過しても誰も助けてはくれなかったのだ。
シンジは異世界に放り込まれたような気分になった。
一度、家出したときも位置を割り出して迎えに来た筈なのに。
そんな事を考えている内にその部屋の奥に着いた。
奥の壁には扉があり、その脇には二人の黒服を着たSPのような男が立っていた。
中年が手を上げるとSPの片割れは扉を開け、更に奥に進むように促した。
再び大きな廊下に出る。
廊下には番号が振り分けられた扉が何枚も並んでおり、まるでホテルのようだ。
太った中年はそこで止まりシンジが向かうべき部屋の番号を告げて、出てきたドアへ戻っていった。
「くれぐれも失礼のないように。機嫌を損ねたら大変なことになりますよ」
中年はそうとも告げた。
シンジは最早、逃げられなかった。
この廊下に出てきた以外の扉を探そうとしても、あるのは壁と番号が振り分けられた
部屋だけで非常口も見当たらない。
シンジはガタガタと脚が震えている自分に気付いた。
怖かった。恐怖が胸の中を浸食していく。
シンジは目元に涙を溜めながら、告げられた番号の付いた扉をノックした。
扉が開く。開いた瞬間、シンジは我が目を疑った。
「ようこそ、おいでくれました…」
迎えてくれたのは自分とはさして年も変わらぬぐらいの少女だった。
シンジは思わず目の前の女性から視線を逸らし、彼女の足元に目を遣った。
自分の目を疑った理由は…。
扉を開けた少女が半裸に近い格好をしていた訳ではない。
恐る恐る視線を上げていく。
露わになっている太腿。お腹。はだけている胸元。
見てはいけない。それでも凝視してしまう。
視線を背けた理由は…
肌に痛々しい縄の痕が付けられているからでもない。
鎖骨。首。顎。
視線を上げていく。
少女と目が合った。
少女は虚ろな瞳だった。憔悴し切って、生気が感じられない。
ふわりと愛らしい柔らかな髪も、今の彼女には不釣合いだ。
それでも来客を迎えようと無理矢理造り笑いをしていた。
それはおそらくは仕込まれた笑顔だった。
口調が慣れているのだ。ヒドク義務的な感じがする。
だが、シンジと視線が合うと、
みるみる焦点が定まり、口元を小さな手の平で覆った。
「シンジ…」
少女は抑揚の無い小さな声で少年の名を呼ぶ。
霧島マナがそこにいた。
『本日、わたくし、霧島マナはシンジ君のために
朝6時に起きて、この制服を着てまいりました』
目の前の少女の表情はあの日あの時あの時間、
霧島マナが見せた健康的で美しい笑顔とはあまりにも違いすぎた。
シンジは彼女の格好を改めて下から上へと視認して、魅入ってしまっていた。
肩にかけられている極細のストラップは申し訳程度な面積の布を垂れ下げ、
マナの小ぶりな乳房を何とか覆っている。
そのまま両肩から降りる布地は下腹部まで交わることは無い。
マナは臍まで外に曝け出す露出の激しい黒のドレスを着ていた。
ひらひらと薄いスカート部位は太腿のほとんどを見せるほど短い。
刺激的過ぎるマナの大胆な姿にシンジは、しばらくの間、身動きが取れなかった。
霧島マナもまた動かなかった。まるで静止画像のように二人はじっと見つめ合っていた。
「さあ、お客様こちらに…」
先に動いたのはマナの方だった。
マナはシンジを部屋の奥へと招き入れる。
やはり義務的な仕草だったが、マナの瞳の色が先ほどとは違っていた。
目の奥には生気が宿り、さっきの危うさは幾ばくか薄れていた。
「う、うん」
シンジはこの異様な雰囲気に当てられたのか、
マナの後にさして疑問を湧かずについていってしまう。
というより、マナがここにいるとなると逃げ出したい気持ちなど
シンジの中で何処かに消えうせてしまっていた。
マナを一人残して逃げるなど出来る筈もない。
マナの後ろを歩きながら廊下を進む。
ぷりぷりと肉の詰まった臀部が揺れるのを見てシンジは
マナがノーパンである事に気付いた。
少女とは思えない濃厚なフェロモンを放つマナの後姿に
かつて見た健康的な美しさを重ね合わせてシンジは苦悩した。
きっとここで酷い目に合っているのだ。
年端もいかない少女の扇情的な格好がそれを物語っていた。
あのような姿を強制されているに違いない。
シンジはそう確信しつつも、少女の魅力的なヒップを
見続けていると邪念がよぎってしまう。
頭を振り、マナに対して抱く邪な劣情を振り払うが、
マナが向かった先はバスルームだった。
「あっ、マナ!」
脱衣場に着くなりマナはするすると着ているドレスを脱ぎ始めた。
シンジは慌てて目を手の平で翳し、その姿を見ないようにした。
「お願いシンジ。貴方も脱いで」
マナは何とも色っぽい声を出す。
指の隙間からは彼女の着ていた黒色のドレスは全く見えず肌色だけが見える。
マナは既にドレスを脱ぎ終え、生まれたままの姿らしい。
やはりシンジの予想通りブラジャーもパンティも身に付けていなかったようだ。
脱衣する時間があまりにも早すぎる。
「だ、ダメだよ、マナ…」
シンジの声はか細い。マナは静かにシンジの制服のシャツのボタンを外し始めた。
ぴったりとシンジに密着されるマナの肢体からは
見ていなくても魅力的な曲線が容易く想像できる。
「うふふ、平気よ。わたしは痛い事なんかしないわ」
マナは気になる一言を告げ、あっという間に制服のシャツは脱がされる。
次にマナはズボンのベルトに手をかけた。
触れられた瞬間、シンジは不味いと思った。
何故なら少年の男性器はマナの肉体に反応をして勃起してしまっているからだ。
「あ、あぁ…」
マナの指先がそっとシンジの局部に触れる。
それだけでシンジは抵抗が出来なくなった。
男の指とは違う端正なそれにシンジは溜息を吐いた。
シンジの腕は弛緩してだらりと垂れ下がった。
すると間近にマナのヌードが視認できて、小さなペニスはピクピクと震えた。
マナはその動きに乗じてブリーフと共にズボンを下ろされると、
ピンと小さな男性器が露わになる。
陰部の周りには繊毛も少なく、剥けきっていない未成熟なペニスを
マナに見られシンジは頬を羞恥に染める。
「はぁ、これがシンジのおちんちん…」
火のような吐息をシンジのうなじに投げかけると
その小さな男性器を目の当たりにしてマナは労わるように下腹部を撫でる。
蔑むというより、膨張しているシンジのおとこを鎮めることの出来ない自分を
歯痒く思っているような印象を受けた。
「ああ、辛そう。おちんちんをこんなにして、苦しいのねシンジ。
でも、ごめんね。今、貴方を慰めることは出来ないの」
声が外に漏れぬように耳元で囁くと、マナはシンジの背中に腕を回す。
そして、ゆっくりと臀部のくぼみを撫でるように指先を這わし、
縦割りの中心にある窄まりに触れた。
「あ…っ」
思わず濡れた声を漏らすシンジ。
少年のソコにはぴっちりとアナルプラグを嵌められている。
敏感な腸内粘膜は僅かな刺激でも感じてしまう。
そう少女の指先がプラグに触れただけでも鋭敏に。
だが、そればかりではない。
アナルが封じられている今の自分を少女に気付かれたことに
シンジはどうしようもなく恥じた。
耳まで紅くして、シンジは今にも泣きそうなぐらい瞳に膜を張った。
「大丈夫。分かってるわ。シンジもあの人から罰を受けたのね。
だけど仕方ないの。悪いのはわたし達なのよ。
でも、ここに来られた事は幸せよ。ここの御主人様はとても良くしてくれるわ」
マナの瞳はまた生気を失っていた。
とろんと陶酔したかのように、あらぬ方向を見ている。
「ま、マナ、どうしたんだよ! し、しっかりしてよっ!」
密着されながらもシンジはマナの肩を抱き、軽く揺する。
肛門に挿入されているプラグに触れられているというのが何とも情けない。
それでも、シンジはマナの異常な態度を心配する。
「ふぁぁ・・・、あぅ・・・」
だがシンジの言葉はマナの行動で中断された。
ぬぬぬとマナの細い指先でゆっくりとシンジのアナルプラグを引き抜く。
肛門には快感と羞恥が入り混じり熱く疼いた。
短期間ではあるが本郷に調教された結果である。
「マナぁ・・・」
女の子のような声でシンジは目の前の少女の名を呼ぶ。
マナの肩をひしっと掴み、肛門から淫具を抜かれる快感に堪えようとする。
マナは実にエロティックに微笑み、
当のシンジが喘ぐ姿を「可愛い」と眺めている。
もっと見たいと言うかのように瞳を淫惑に滲ませながら、
マナはピンク色の舌を覗かせた。
やや体勢を落として、ぺロリと濡れた舌でシンジの淡い乳首を舐める。
啄ばむような絶妙な刺激にシンジは背中を仰け反らせた。
もう片方の乳蕾を指先で軽く擦り、シンジの劣情を促進させる。
「ふぁ…、マナ、やめ、てぇ…」
そんなマナの淫らな責めに晒されて、
悶えながらもいよいよ彼女に強い不審をシンジは抱いた。
おかしい。いやそもそも何故マナがここにいるのか。
『あの事件』以来、シンジはマナに会っていない。
居ない筈の少女がここにいること自体、実に不可解で、
それがシンジから根こそぎ現実感を奪っているのだ。
時間の感覚を奪われ、現実感すらも。
まるでシンジは悪夢にうなされているような錯覚を受けた。
「大丈夫、わたしは平気よ。悪い娘なのわたしは。
ここにシンジが来てくれた時は吃驚したけど、
きっと御主人様が貴方を誑かした罪を償うために呼んでくれたのね」
最後にちゅっと乳首にキスをしてからシンジの頬を優しく撫でた。
そして、マナはガラス張りの扉を開けて、「おいで」とシンジをバスルームに誘い入れる。
「僕を誑かしたって─、マナ!」
シンジはマナに追う格好で浴室に入っていった。
中は6畳程の広さを持つ浴室だった。
浴槽には湯が張り、もうもうと湯気が立っている。
「さあ、座ってシンジ」
マナはタイルの上に膝を付き、腰掛けを持ち、
しなやかに腕を舞わせ、そこにシンジが座るように促した。
「マナ、マナ。いいんだよ。僕に嘘をついてたことなんてもういいんだ。
だから、そんなことしなくても…、君が償う必要なんて無いよ。
そんなことよりマナが生きててくれた事の方が僕は嬉しいんだ」
シンジはマナの手を引き、立たせようとしながら必死の説得をする。
どう見てもマナの様子は尋常じゃない。正気ではない。
洗脳。マインドコントロール。聞き慣れぬ単語がシンジの脳裏を掠める。
「うふふ、いいの。シンジはやっぱり優しいね。
だから、わたしはシンジのこと──」
言い終わる前にマナはシンジの口に花びらのような唇を寄せた。
不意の行動にシンジは目をしぱしぱとさせた。
マナとのキスは本郷のソレとは違っていた。
「ん、ぅん、ちゅっ」
唇は柔らかく、舌の感触が気持ちいい。
そして、なにより女の子の唾液の甘い事。
マナは自分の舌を積極的に絡め、シンジの口内粘膜を刺激する。
猫がじゃれあうかのようなその動きにシンジは翻弄され、
まるで口腔をマッサージされている感覚に次第に身体の力が抜けていく。
シンジは異性とのキスに酔いしれ、酩酊したかのように頬を赤らめた。
マナはそんなシンジの肩をそっと抱き、
キスをしながらゆっくりと姿勢を落とさせて、
先ほどから持っていた腰掛けに座らせた。
「ふふ、どうだった、シンジ?」
唇を外して、唇と唇の間に銀色の糸を引かせる。
マナはシンジの呆気に取られながらもキスに感じた表情を見て
蠱惑的に笑った。そして、背後に回ると膝をつき、
シャワーのノズルを開き、熱い湯をシンジに浴びせかけた。
スポンジを泡立て、弄るように洗う。
そして、優しい手付きでシンジの身体を清め始める。
「んんぅ…」
今まで本郷により酷使され続けていたシンジの身体の芯は
くすぐったいような柔らかいスポンジの感触に甘い声を漏らした。
「痛い?」
マナが訊いてくる。
痛い筈が無い。シンジは首を振るう。
「身体を綺麗にしなくちゃね。
初めて御主人様と会うのに汗臭かったら嫌われちゃうわ」
そう言いながら、マナは汗と体液でどろどろの身体を拭う。
久方ぶりにさっぱりとできて嬉しいが、
元通りの綺麗な肌になる一方で、どうにもシンジは落ち着かなくなる。
今のマナの待遇を訊かなければならないというわだかまりが
シンジの胸中に澱のように溜り、小さな警鐘を鳴らしているのだ。
場合によってはここを今すぐ脱出しなければならない。
マナが何を言っても、彼女と一緒に。
ここは危険だ。本郷との体験で成長した第六感が警告をする。
「あの先生に犯されるのは試練なのよ」
「あの先生?」
「本郷先生」
唐突にマナは喋る。本郷の名前を聞き、瞬間、くらっと目眩がした。
マナも本郷に陵辱されたのだ。シンジは本郷の手によって連れてこられた。
このビルと本郷が繋がっているのは明白だ。
もしかしたらシンジが犯された部屋で彼女も厳しい責めにあったのかもしれない。
そう思うと、シンジは喉がカラカラに渇くのを感じ、
本郷に対して強い怒りを覚えた。
絶対に許すことができない。本郷も、御主人様なる人物も。
──だけど
シンジに何が出来るのだろうか。
女の子のように華奢な身体で、彼らに向かっていけるとは思えなかった。
助けを呼ぼうにも外との連絡が取れないであろう今の状況では、それも無理だろう。
しかも、当の陵辱されたマナに至っては、先程、一瞬だけ正気に戻ったように見えたが、
今は瞳の色はすっかりと変わり、まるで暗示をされているかの如く、とろんとさせている。
シンジの身体を清める彼女は中学生らしさが微塵も感じられず、
男好きの娼婦のような雰囲気さえ醸し出していた。
丹念にスポンジで身体中を愛撫され、シンジの白い肌はすっかり綺麗になった。
結局、浴室では有力な情報は手に入らなかった。
下手に質問を投げかけて、マナの機嫌が損なわれれば
後の脱出にも彼女は抵抗するかもしれない。
マナはシンジの肌に付着する水滴すらもタオルで拭った。
シンジには余計なことはさせたくないのか、
恐らくは御主人様の命令なのだろう。
相変わらず全裸で魅力的でスレンダーな肉体を見せつけるマナ。
シンジはそんな彼女を極力、視界に入れないようにしたが、
どうしても見てしまう。見なくても、そんな女の子が近くにいると思うと
少年は痛いぐらいペニスを膨張させてしまう。
男の本能であったが、シンジは欲情してしまう自分を猛烈に恥じた。
─これじゃあ、本郷と変わらないじゃないか!
マナを助けようとしているのに、勃起させているなんて。
前を隠すが、マナには気付かれているようだった。
「シンジ、苦しそうだね。大丈夫。許しが貰えればいつでも
鎮めてあげれるから、それまで我慢してね」
シンジの肌を拭いながら耳元で熱い吐息を吹きかけるように囁く。
それだけでゾクゾクとしてしまう。
そして、悲しいことに窄まりの空白感にどうしようもない物足りなさも感じた。
腋窪も、どこもかしこも拭われる。シンジの敏感な反応を愉しむように、
マナは丁寧にタオルをシンジの肌に這わせていった。
─変だよ。僕…、おかしいよ。
下腹部が疼く。早く欲しのだ。もっと直接的な刺激が。
やっと拭き終わった。最後にお尻のあわいまで拭われてシンジは感じてしまっていた。
小さな包茎ペニスをタオル越しとはいえ触れられた時など、
包み込まれているタオルに危うく射精をしそうになった。
ぐっと歯を噛み締めて、なんとかそれに堪えると、哀れな瞳でマナを見遣った。
胸を熱くさせながら、出したいとペニスは揺れる。
そんなシンジを尻目にマナが着替えを渡してくれた。
「マナ、これって…」
「うふ。シンジにきっと似合うって御主人様が。
わたしも似合うと思うな。さ、着てみて」
「で、でも、これ…」
丁寧に畳まれた紺色の衣服の上に女物のパンティがあった。
嫌な予感がして、服を広げてみると、
まずはひらひらのスカートが目に入った。
純白のパンティを床に落としたことも気付かずに肩部分を摘んで
服の全体を見回してみた。
全身を隠すように布面積は大きい服だった。
スカートの裾からはみ出る白いフリルが愛らしい。
もう一着、マナは身に付ける物を渡す。
こちらも純白の色をしたエプロンだった。
エプロンと一緒にやや紅いリボンも付いている。
シンジはこの衣服を知っている。
コスチュームプレイでなければ一般の女性でも永遠に切る機会が無い代物だ。
これを着ろ、と言うのか。
シンジはちらりとマナの様子を伺った。
「大丈夫よ。きっと御主人様も褒めてくださるわ」
妖しく笑いながらマナはシンジに近づき、衣服を着させようとする。
「じ、自分で着れるよ」
「そう? なら、いいんだけど…」
こうしてシンジはこの状況に流されるように女物の服に袖を通した。
最後に散々悩んで純白のシルクのパンティも穿いた。
ここは御主人様という人物に表面上従ったように見せた方がいい。
つるりとした船底の部分が、膨張しているシンジのペニスを擽る。
先端から出る汁がパンティを濡らす。
マナの前で女物のショーツを穿くという行為が
シンジの倒錯した愉悦をもたらした。
「ん、ぅ…、見ないでよ…、マナ…」
「あぁ…、可愛いシンジ。見ないなんて無理。
やっぱり御主人様の見立て通りとっても似合う」
マナはシンジの黒い髪を優しく撫でて、キスを仕掛けてくる。
─ああ、またぁ…
巧みな少女の口内愛撫にシンジは抵抗が出来なかった。
マナの錯乱に付け込んで恋人のような接吻を興じていることに
シンジは自分自身を嫌悪する。
「ちゅっ、くちゅっ、うぅん…。シンジ、好きよ…」
「あ…、んんぅ…、僕も…、あぁ…、僕もだよ…」
だが、どうにもならない。倒錯した状況に昂ぶったシンジに抗う事はできなかった。
異性とのキスがこんな気持ちの良い物だとはシンジは知らなかった。
熔けるような唇の感触とマナの甘い言葉。
「んふぅ…、んんぅ、ん…、ひんじぃ…」
マナの鼻息も艶めかしい。
滑るようにマナの舌は侵入して、シンジの舌と絡んでくる。
吸われ、舐められ、唾液を流し込まれる。
本郷に対しての憎しみも、マナを召し使う御主人とやらへの怒りも
あえなくシンジの頭からは消えていった。
少年の思考は次第に蕩けていく。
メイド服を着て従順に仕えているように錯覚する被虐の炎がシンジの芯を焼くのだ。
シンジは奈落に堕ちていくかのように、
女装したままマナとの密戯を数分にかけて行った。
広い空間だ。
その空間の中心に三人の男達が一人の少女を取り囲み、嗤っている。
天井から艶めかしい色合いのライトが男女達を照らす。
ふわりと愛くるしい筈の少女の栗色の髪は、汗や男達の体液でべっとりと濡れていて、
今や見る影もない。少女はそれに構わない態度でエロティックに裸体を揺らし、少女は三人の男達の陰茎に奉仕をしていた。
獣欲で漲らせた男の屹立したイチモツは触るだけで、先端から汚汁が滲み出し、
マナの身体を汚している。あまりの濃厚な性臭でマナは、時折、眉を顰めている。
屈強な体躯の男達を一生懸命、射精に導こうとする彼女は実に辛そうだ。
少女の瞳はうんと媚びを含み、少しでも発射を早めるように努力をしていた。
むふんむふん、とねっとり頭にこびり付くような甘ったるい鼻息は、
つい数時間前、シンジに施した口内奉仕よりも情愛を帯びているように感じるのは、何故だろうか。
栗色の髪の少女は、その薔薇のような唇に男のペニスを咥えている。
右手にはもう一人の男の肉刀が。左手も同じように握って、扱いている。
その様子をシンジは為す術もなく見続けていた。
瞼をきつく閉じても、否応にも卑猥な唾液の音が耳に届いてくる。
「クク、見なくていいのかね?
君の所為で霧島マナは犯されようとしているのだよ」
シンジの背後にピタリと付いている老人が愉快そうに嗤う。
「へへ、本当にいいんですか? 俺がこの娘の処女をいただいても」
「ああ、いいとも。さあ青葉、思う存分に姦り賜え」
男の一人、青葉シゲルがマナの頭を撫でながら、老人に尋ねる。
許しが出ると、青葉はもう我慢できないと訴えるかのように、
少女の唇から己の肉刀を外し、他の二人に目配せをした。
少女の咥内から抜き放たれる時、絶妙な部分を刺激されたのか、
青葉は、おう、と小さく呻いた。
そして、にやけた顔でマナの小さな身体を押し倒し、硬い床の上に仰向けにさせた。
青葉は霧島マナの脚を開脚させ、
己の屹立する肉棒を乙女の秘腔に宛がった。
「あぁ…、青葉さん…、やめて、もうこんな事、やめて下さい…」
シンジは何とか声を絞り出し、青葉の行為を止めようとした。
だが、その声は震えている。
その震えはマナに対する男達の暴虐への憤慨でも、怒りでもなかった。
ましてや何も出来ぬ己への不甲斐無さに対する情けなさでもなかった。
怖いのだ。恐怖がシンジの芯を支配して、無意識に震えを起こしている。
怖い。この場にいる男達の存在が。いや、この獣欲の臭いが漂う、この空間が。
逃げ出したかった。すぐにでも、ここから逃げたかった。
「ほぅら、マナちゃん。先っぽ、入ったよう」
青葉はマナの乳房を両手で揉みながら、徐々に腰を押し進めていく。
シンジは俯き、その凶行から視線を背けようとしたが、
背後にいる男がくいっと顎を摘み、無理矢理、マナに目を向けさせる。
「シンジ君、見なさい。きみの所為なのだよ。
きみの所為で霧島マナは、きみの前で、きみに捧げる筈だった純血を
他の男に奪われることになったのだ。
ほら、しっかり見なさい。きみの罪を霧島マナが代行して償っているんだ
見ないふりはないだろう」
「マナ…っ、マナッ、マナ! 僕の…、僕のせいで…」
──きみの所為、きみの所為、きみの所為きみの所為。
しわがれた老人の声が頭の中で折り重なり、リフレインする。
青葉は乙女の純血を愉しむように、ゆっくりと貫いていく。
──僕の所為、僕の所為、僕の所為僕の所為ぼくのせいぼくのせい。
シンジの視界がぼやける。泣いているのだ。
その霞む視界で、マナの秘腔から、赤い鮮血が流れ出るのをシンジは確かに見た。
ぶぅん、と耳障りだけれども、ひどく聞き覚えのある振動音がシンジの耳に届いた。
「大丈夫だったかね、シンジ君? 全く、あの男は加減と云う言葉を知らんな…」
不安で表情を曇らせているシンジを気遣いながら初老の男は目尻に皺を寄せて嗤う。
だが、細める目の奥に潜む蛇のような眼光はシンジを簡単に射竦めた。
目の前の男もまた本郷と似た気質を持ち合わせているのだろう。
鈍く光る両眸にシンジは本郷に今まで受けていた仕打ちを思い出し、肩を抱き細かく身震いさせた。
年老いた男は椅子に座って、シンジをじっと見据えている。
真っ白なテーブルクロスを張られた長いテーブルを挟んでシンジも同じように席に着いている。
テーブルの真ん中には趣味の悪い磨きかかれた金の燭台が一つ。それに血のように紅い数本のキャンドルが灯されている。
その横には細長く恐ろしいまでにバランスの悪そうな花瓶が一つ。
下品な装飾が施されていて、見ているだけで不快になりそうだった。
美しい白い百合が活けているのがせめてもの救いかもしれない。
男は自分の前に並べられている食事に手を付け、
時折、女装姿のシンジを眺め、肴にするように実に美味そうに咀嚼している。
嫌味なぐらい豪勢な食事だった。シンジのお腹は、脳の中枢を刺激されコロコロと音が鳴った。
「どうしたのかね、食べなさい。お腹が減っているのだろう?」
男はかくも優しくシンジに語りかける。確かに、老人の言う通りシンジはひどく空腹だった。
本郷宅では食事の時間はおろか、飲み水も満足には取らせては貰えなかったのだ。
だから、シンジはどうしようもなく飢えていた。このまま目の前の食事を胃に流し込み、
ベッドで眠れたらどんなに幸せだろうか。シンジは美味しそうな食事を眺め、ゴクリと喉を鳴らす。
きつい調教で、心が折れかけているシンジはその誘惑に一瞬、身を任せたくなった。
─だけど。
シンジは顔をもたげ、目の前の老いた男に再び視線を送った。
男の傍らには恥ずかしげもなく裸身を晒しているマナを侍らしていた。
年端もいかない少女に正座をさせて、絨毯の上に座らせている。
マナは小首を傾げて、シンジに笑顔を見せる。
そんな彼女と視線がかち合いそうになると、シンジは目を逸らしてしまった。
逸らした後、視線が絡み合うことを避けてしまった自分自身にシンジは嫌悪する。
シンジは従者のように傅くマナを視界に入れることすら辛いのだ。
過去に瞼に焼きつくような屈託の無いマナの笑顔と、
今の彼女がどうしても重なり合い、比べてしまう。
もうシンジはそんな彼女を見ていられないのだ。
胸がざわざわとざわめく。ついに居た堪れなくなり、男に進言をする。
「あ、あの…、マナが…、その…。服を着させて、…辛そうだし…、それに、
ちゃんと椅子に座らせて…、あげて、下さい」
言葉が切れ切れになる。きちんと文脈が繋がっているのかどうかも怪しい。
シンジは正確に伝わったのか不安に満ちた顔をする。
男は目を細めシンジの言葉に何度か頷いて、納得したような素振りを見せる。
そして、シンジに対するのとは打って変わり、鋭い眼光でマナをねめつけた。
「霧島マナ。裸で座っていて辛いかね? そんなことはなかろう。
淫乱な身体をシンジ君に見ることができて、幸せだろう?」
「は、はい。マナは幸せです。それに可愛らしいシンジを見れて、嬉しいです。有難うございます」
そうだろうそうだろう、と男は再び数回頷く。
「確かに、よく似合う。もしシンジ君のお母さんが着たのならば、
今の君に負けずとも劣らず、とても似合っていただろうなぁ…」
男は感慨深そうに目尻に皺を作り、嗤う。
「それはそうと、霧島君。君のような女がシンジ君を呼び捨てにするとはどういう了見かね?
君は売られたんだ。私にね。いや、私の組織にね。
淫売の牝犬風情が、シンジなどと気安く呼ぶんじゃあない」
男の目はギラリと鈍い光を帯びる。シンジはその冷酷な両眸を見てゾッと背筋を凍らせた。
マナは即座にその声に、その眼光に反応をして、老人の方を向き直り、
床に両手を突きながら、半身を折り曲げて、額を床に密着させた。
「も、申し訳ありません。つ、つい…」
マナの声は恐怖で震えている。土下座をしたまま、
身体を硬直させて状態でブルブルと小刻みに震えさせた。
「謝るのは私じゃあないだろう。シンジ君に謝り賜え。許しを乞うのだよ。申し訳ございませんシンジ様、とね」
「は、はいッ」
マナは再びシンジの方向を正面に捉える。そして、老人にしたのと同じように深々と頭を下げる。
土下座だ。シンジにはその惨めな姿が正視できなかった。
「申し訳ございませんでした、シンジ様」
言われた通りに復唱をする。
マナの透明な声。以前教室で聞いた時と同じ声質だ。
可愛く澄んでいて、耳に温かい名残を残してくれる少女の声。
だが、その処女性を帯びた声の持ち主は、まるで奴隷のように頭を下げている。
居た堪れない。ぎゅっと胸が締め付けられるようだ。シンジは老人の方を見た。
老人は嗤っていた。口端を上げて、眉間に深々と皺を刻ませて、
困惑するシンジの様子を、さも面白そうに眺めていた。
「ふ、冬月さん、やめさせて下さい。こんなの…、マナ…が、可哀想です」
ついにシンジは目の前の男の名を呼ぶ。
信じたくなかった。そして、信じられなかった。
言葉にしてみれば全てが壊れてしまいそうで、
この部屋に招き入れられてから接見するまで、
彼の名前をどうしても呼べなかったのだ。
─冬月コウゾウ。ネルフの副司令。
「ふふふ、土下座ぐらいじゃあ、君の気が済まんのかね?
そうだろうそうだろう。この牝犬は君を誑かした女なのだからな」
冬月は立ち上がり、燭台から蝋燭を抜いた。
そして、何ら躊躇なく先端を下げて、マナの丸い臀丘めがけて蝋を垂らした。
シンジが声を発する間もない。煮え滾った蝋は重力の通り下に落ち、白い肌に紅い液体がポタリと付着した。
「ひぃッ」
瞬間、マナの身体は弓なりに仰け反った。
悲痛の叫びがシンジの耳に届く。
シンジは茫然とその光景を眺めている。何も言えない。止めることができない。
「熱いか、んん?」
冬月は床に片膝を付き、しわがれた声で訊く。グイッとマナの髪を引っ張り己の方に無理矢理、美貌を向けさせた。
老人の問いにマナは答えられなかった。ひぃひぃと息も絶え絶えに
うんと憂いを帯びた瞳で老人を見た。そして、当たり前の行為のように
冬月に唇を寄せて、当たり前のように老人の舌を貪った。
シンジはその姿を愕然と見届ける。見たくなどなかった。
先ほど自分とキスをした唇が老人の舌を味わう場面など。
だが、シンジの視線は魅入られたように二人の接吻に釘付けとなってしまっていた。
淫らな、卑猥な唾液音が広い室内に木霊する。
「やめッ─」
やめて下さい、とシンジは立ち上がりながら言いかけたが、
マナの恍惚そうな表情が視界に飛び込んできて、
中途半端に腰を浮かし、ピタリと動きがそこで止まってしまった。
─悦んでいる? いや、そんなはずは。でも…。
そう考えている内に熱いロウがもう一滴、マナの柔らかそうな双丘にかかる。
じゅっと音がしてマナのきめ細かな肌の上で少しの間、蝋が踊った。
「うぅんッ・・・、んんぅッ」
マナは苦悶するように眉間を寄せる。
辛いのだ。熱いのだ。痛々しい嬌態を見てるだけでシンジも同じ心持ちになる気がした。
蝋は空気に触れ、固まり、マナの尻肌にこびり付く。
だが、彼女は一向に接吻を止めようとはしない。
寧ろ、より興奮するかのように、マナは乱れ、悩ましく鼻で息をする。
互いの口内粘膜を舐らせあい、舌と舌を絡ませる。
「ふふふ、じゃれ付きおって。困った雌だ。シンジ君の前じゃないか」
老人はそう言いながらも、マナの口内を味わうようにゆっくりと唇を離し、
銀色の梯子を伸ばしていった。
キスの音が止むと、ぶぅん、と不快な振動音がより大きくなった気がした。
冬月は蝋燭を燭台に戻す。そして、やはり優しい微笑みをシンジにする。
「どうだね、もう霧島を許してやるかね?」
冬月の問いにシンジは中途半端に立ち上がろうとした姿勢で幾度も頷く。
頷けば、願いが聞き入れられるというように必死に。
無言で何度も何度も。マナを見る。マナは正座のまま、冬月の方を向いていた。
その横顔は冬月との接吻に酔いしれたようにうっとりとしていた。
それだけじゃない。熱い蝋燭に。犬のような仕打ちに彼女は花芯を焦がしていたのだ。
もう正視できない。既にシンジから正常な判断能力は消え失せていた。
ぶぅん、と不快で何処か耳障りな振動音がエンドレスで室内に流れ続ける。
音の出所は分かっている。シンジはマナの真白いヒップに視線を運ぶ。
やはり紅いロウがマナの尻肌にまばらな跡を作っている。
痛々しそうに、その周りはロウとは別に赤くなっている。
少女の縦割りの間から、ピンク色のコードが延びている。
マナが移動をしたおかげで、それが確認できた。
彼女の排泄穴には、おそらく異物が埋まっているのだろう。
それが休むことなく振動をしている音だ。本郷に自ら挿入されたローター音と相違している。
シンジは思い出し、頭痛がした。目眩も、だ。
酷いというよりもいつの間にかそれが埋め込まれたのか、という馬鹿な疑問が浮かぶ。
そんな意味の無い疑問など、この異常な空間では数秒も頭の中では維持できない。
夢なら早く醒めろ、と心の中で叫ぶ。
だが、紛うことない現実だ。
細かな振動にマナは感じてしまっている。
瞳が潤んでしまっている。
心から悦んでしまっている。
マナ、とシンジは心の中で少女の名を呼んだ。
だが、少女は振り向くことはない。ただ、冬月を見上げ切なそうに太腿を擦り合わせていた。
「気付いたかね? そうなのだよ。この牝犬は四六時中、尻が塞がれていないと
満足できぬ変態でな。さっきも早く挿れてくれと急かしよる。面白いぞ。後ろの穴は開発済みだ。
今や棒を挿れるだけでそこいらの娼婦にも負けんぐらいに、淫らに悶えよる。
だが、な」
そこで冬月は言葉を止めた。含み笑いをする。
下卑だった。どうしようもなく下品に口元を歪める。
全く本郷も面白い物を作りおる、と冬月は言う。
本郷…、やはりこの二人は繋がっているのだ。
ここに連れてこられ、冬月と会ったときから、予想はできていた事だったが、
シンジはショックだった。これで逃げ道は完全に断たれたことになる。
シンジへの調教も冬月が本郷に依頼したのだろう。
冬月は淀みの無い口調で、実に愉しそうに続ける。
「この犬は処女なのだ。まだ完全な牝には成り切れていない。
可笑しいだろう。尻に挿れれば、ひぃひぃよがるのに」
「そ、そんなの…、ひどいよッ」
シンジは思わずそう言葉を漏らす。だが、何が酷いのかすらシンジには分からない。
とうにこの世界はシンジの想像の範疇を越えていた。
「酷いものか。シンジ君、これは本郷の優しさであるのかもしれんのだぞ?」
「…、な、何が…」
言葉を返す事も出来ない。シンジはただ喉を息で詰まらせる。
「君に処女を与えてやろう。マナのおんなを君にやろう、という事だよ。
その真意が汲めなんだら、既に面白い趣向で霧島を完全な牝にしてやっただろうな」
─何を…、何を言っているのだ、この人は。
目が尋常ではない。だが、本気で言っているのだ。
ギラギラと双眸を光らせて、老人は口元を緩め、幽かに嗤う。
そして、マナの窄まりに指を挿し入れ、異物をますます深く埋め込んだ。
「あぅッ…、やぁ…」
「嫌かね?」
「…ふっ。んんぅ…、いいで、す…」
マナはうんと男に媚びる濡れた声で冬月の問いに応える。
最早、シンジにその刺激的過ぎるマナの嬌態から目を背けることはできなかった。
シンジの小さな男性器は、むくむくと盛り上がりスカートの中のシルクショーツの形を卑猥に変形させる。
シンジの様子を凝眸していた冬月は少年の身体の変化をすぐに気付く。
「くくく、どうやらシンジ君は、君の淫らな姿に興奮してしまったようだ」
冬月の言葉に慌てて小さなテントを作っていたスカートを隠す。
だが、もう遅い。ばっちりとマナにも冬月にも見られてしまった。
マナはまたもや媚びるような瞳で冬月を見上げた。
呼気は荒い。唇をだらしなく開き、何かを訴えている。
「あんっ、嬉しいです。でも、ご、御主人様…、もうマナは、マナは我慢できません。あぁ、お願いします…」
冬月は、構わんよ、と言いながら顎でシンジを指す。
マナは深々と頭を下げると、四つんばのままシンジの処まで這って来る。
臀部から出ているようなピンク色のコードはまるで尻尾のようだ。
まさに犬。冬月の言う通りマナは犬だった。
「マナ…」
搾り出すようなシンジの声もマナには届かない。
足元に来ると、目元を細め、シンジに微笑みかける。
「えへへ、お許しが出たの、シンジ様も聴いていたでしょ?
貴方の辛そうにピクピクしてるおちんちんをやっと鎮めてあげられるわ」
頸を僅かに傾げながら、シンジのスカートを捲り上げる。
紅い花びらのような唇がショーツの膨らみに近づく。
マナの濡れた吐息を感じて、シンジは思わず溜息を洩らした。
すんすんと膨らむフロント部分に鼻先を近づけてマナは臭いを嗅ぐ。
我慢汁が先端から溢れかえっており、マナの鼻先にあるシルクショーツは
恥ずかしいぐらい、完全に濡らしていた。
マナの鼻息を感じる度にシンジは鼓動が跳ね上がり、羞恥で耳まで真っ赤にした。
「感じてくれてたのね…、うぅん…、いい匂い」
指先で摘み、腰骨に引っかかるシルクを下げていく。
すると、ピンと未だ剥け切らぬ子供ペニスが露わとなった。
あられもないマナの嬌態を見続けたシンジのペニスは元気良く反り勃ち、
ひくひくと脈打っていた。
「うふふ、可愛いね。でも、おつゆが出てて、凄く苦しそう。すぐに楽にしてあげるからね」
「あ、ダメだよ、こんなこと…」
シンジの抵抗の声は弱い。最初から拒む様相を見せていなかった。
マナは唇を開き、竿部分をしっかりと手に添え、シンジのペニスの先端部分を口に含む。
一度憧れた少女が己の性器を呑み込む様はシンジを異常に昂ぶらせた。
ちゅう、と鈴口から先走りの汁を吸う。
下半身が呑み込まれる感覚。深く吸引されてシンジは声を漏らす。
同時に、お尻の筋がきゅっと締まり、腰を少し浮かせた。
「どうかね、シンジ君の味は?」
「あぁ…、美味しいです」
テーブルの向かいから冬月が言う、とマナは一旦、口を放し答える。
「ちゃんと皮を剥いてあげるのだよ。舌で綺麗に清めて、射精に導いてあげなさい」
「は、はい…」
マナは冬月の言いつけ通り、シンジの包茎ペニスの形を変えていく。
優しく先端の皮を舌であやし、丁寧に剥いて、ピンク色の亀頭を外界に晒していく。
「うッ…」
慣れない皮剥きに鋭痛が走った。シンジは僅かに顔を顰める。すると、足元に跪くマナと視線がかち合った。
上目遣いで心配そうに見つめるその瞳は、シンジを狂わすには充分な効果を発揮した。
「い、痛い…?」
マナが訊いてくる。マナの問いに応える前に、冬月は再び椅子から腰を上げた。
椅子の引く音を聞いて、マナの身体はビクンと震えた。
「全く、奉仕も満足に出来んのか?」
冬月がマナに近づいていく。手には、手には先程の蝋燭がある。
瞳はギラギラと獣のように光り、マナを同時に凝眸していた。
シンジに一瞥をくれると、ニヤリと嗤った。
「あぁ…、お許し、お許し下さい…」
シンジは唖然とその光景を見続ける。
止めなくては、そう思っても何故か声が出ない。
─怖いのか?
そう、シンジはあの蝋燭が自分に来るかもしれないことに恐怖を感じているのだ。
蝋責めが自分に来ないという保証は何処にも無い。むしろ、来る確率の方が高い。
一度それに気付くと、シンジは恐怖で身が竦み、何も言えなくなった。
蝋燭がマナの背中の上で斜めにされる。
真っ赤な蝋が背中めがけて落ちていく。
「ひぃッ!」
マナの悲鳴。熱い蝋が再び、マナの健康的な肌を焼いた。
目を背ける。とても見てられない。
それは冬月の凶行を止められぬ己の不甲斐なさから来る罪悪感からではなく、
熱い蝋がかけられる度にマナが浮かべる陶酔した表情に堪えられないからだ。
間近で見て確信した。マナはこの責めに快感を覚えているのだ。
マナには少女のような透明性も、初々しさも無かった。
ただ淫らに身体をくなくなと揺するだけだ。
シンジは口惜しさに唇を噛んだ。
「さあ、もう一度やりたまえ。今度、失敗をしたら承知はせんぞ」
「も、申し訳ございません…」
マナの目端から涙が零れていた。
熱かったから泣いたのか、気持ち良くて泣いたのか、シンジには判断がつかない。
また暖かで柔らかな舌がシンジの男性器に纏わり付く。
敏感な亀頭部分を舌で丁寧になめしていく。
舌先が鈴口に当たる。どんどんと溢れてくる汁を吸う。
そして、口を開いて先端に唇を当てると、ゆっくりと口内にペニスを入れていく。
シンジは見下ろし、その光景を眺めていた。
自分の男性器が消えていく。いや、マナの口腔に呑み込まれる。
小さなペニスは、あっという間に根元までマナの中に入っていった。
口内粘膜がシンジの全体を包み込む。ペニスが蕩けるような感覚だった。
これから少しでも動かされたら暴発しそうに、シンジは昂ぶっていた。
あまりの気持ち良さに声が出ない。ドクンドクンと心臓が蠢く。
マナは唇を根元から亀頭まで抽送しようとしてか、その美貌を動かそうとした。
舌の腹が竿に触れる。柔らかな粘膜がシンジを刺激する。
細い指先が陰嚢を軽く揉み込み、擽る。
マナは実に巧みな淫戯で、シンジの性感を煽る。
「あ…、ぅ…ッ」
シンジは仰け反った。ドッと額に汗をかく。腰が震える。
ペニスが熔けるようだった。
マナは眉を顰め、苦しそうに目を見開いた。
冬月は一瞬、訝しげな視線をシンジに送った。
が、すぐに得心がいったかのように嗤うと、席に戻っていった。
「ふふ…、シンジ君には刺激が強すぎたかな?」
「は、はいぃ…」
ビクンと身体が震える。
そう。少し動かされただけで、シンジは達してしまったのだ。
溜まっていたシンジのスペルマは、あっけなく暴発してしまった。
鈴口から勢いよく、スペルマが放たれるが、マナはペニスを一向に放す気配はない。
小さな排泄穴は本郷に陵辱され、生殖器は恋慕を抱いた少女に犯されてしまった。
「あぁ、マナぁ…」
硬く屹立するペニスが温かな唇に包まれる快感に、
発射する毎に、スペルマが呑み込まれるという心地良さに、
シンジは背を逸らし、天井を仰いだ。
そして、今まで溜まりきっていたザーメンを飛散するかの如く、
彼女のあえかな口腔に注ぎ込む。
何度も目の前で自分のペニスを頬張っている少女の名を呼ぶ。
「ふぐぅ…ッ、んぐぅ、うん…、うぅん…」
苦しそうだ。だが、一滴も零すまいと、一生懸命、飲み下している。
手で扱き、中の精液を余すことなく吐き出させようとしていた。
苦悶に満ちた表情で…、
でも、その顔は…、
やはり、シンジの目からは、
気持ち良さそうに見えた。
相変わらずマナは苦しそうでいて、それでいて悦楽の表情を崩さずに
シンジのペニスから、あどけない美貌をゆっくりと引き抜く。
「ん…、ぐむぅ…」
シンジの口からは声にならない声が漏れだす。
異性の奉仕はシンジに並々ならぬ快楽をもたらしたのだ。
惚けた顔で、シンジはマナを見下ろしていた。
「うん…、んんぅ…」
未だに口の中にシンジの濃厚なザーメンが残っているのだろう。
それほど大量に射精をしてしまったのだ。
マナは唾液を使い、瞳をうっすらと閉じて、懸命に飲み干そうとしていた。
無理をしなくていい。
そんな気遣いの言葉も出てこない程、彼女の精液を呑もうとする表情は官能的だった。
シンジはマナのいやらしい嚥下顔に見蕩れていたのだ。
まだあどけなさの残る少女の相貌に、
男のスペルマはあまりにも刺激的過ぎた。
絶妙のハーモニーになり、一層、マナの卑猥さを増長させている。
ゴクリと音を立てて、最後に残ったシンジの精の残骸を飲み下した。
あぁ、とシンジは溜息を出す。
「シンジ様のミルク…、大変、美味しかったです。ありがとうございました」
一歩、下がってマナは深々と頭を下げた。
いや、それは土下座だった。完璧に服従の意志を示す行為だ。
シンジは口元をだらしなく弛緩させ、そのマナの格好をぼんやりと見つめていた。
何も言えない。言うことなど……、無い。
マナの口腔を、不可抗力ながら溜りに溜まっていた欲望の捌け口としてしまったのだ。
情けない。恥ずかしい。だが、吐精した時の鮮烈な快感は、口では表せないほど甘美な物だった。
「くくく、どうやらシンジ君は、お前の口に出しただけでは物足りぬらしいぞ」
冬月が含みを持たす嗤いをする。そして、知らない内に何処からか持ってきたのか、
黒色のショーツをマナに手渡した。
シンジはそのショーツを視界に入れた瞬間、その円らな瞳を見開き震えだした。
ただのショーツではない。股間の部分に大きな張り型が備え付けられているのだ。
張り型は人間のペニスの形を模しており、隆々とその存在を知らしめている。
「え、いいんですか? 私なんかがシンジ様を…、その…」
「ああ、構わんよ。許可しよう。思う存分に愉しみ賜え」
狂った老人の考えている趣向はすぐにシンジは理解した。
マナはいそいそとそのディルドー付きのショーツに脚を通している。
シンジは恐怖で身体が竦みあがり、満足に身体を動かせないでいた。
「い、嫌だよ。そんなのっ! ─あっ!」
やっとの思いでシンジは椅子から立ち上がるが、
恐怖が浸食した脚はもつれ、慣れない衣服に身を包んでいたのが手伝ってか、
膝まで下げているシルクのパンティに足を取られ、
柔らかな絨毯の上に突っ伏してしまった。
うつ伏せで倒れこみ、マナに自分の臀部を捧げるように見せつけてしまった。
這って二人から遠ざかろうとしたが、すぐにマナにヒップを掴まれ、捕まってしまう。
「あぁん、逃げないで、シンジ様。大丈夫、お口でするよりも何倍も気持ち良くしてあげるから」
マナの指はシンジの丸尻に優しく食い込む。
「こらこら、いきなり挿れたら、シンジ君は痛がるだろう。
まずは優しく解してあげなさい」
「はい、御主人様」
マナは冬月に従って、シンジのお尻を手で開き、縦割りに唇を近づけていく。
「あぁ…、やめてよ。マナ…、そんなところ…、あぅ…」
「うふふ、シンジ様のココ、ひくひくしてて可愛いね。
待ってね、すぐに気持ち良くしてあげるから、きゃ」
シンジは窄まりに柔らかな感触を覚えた。
不浄の穴にキスをされたのだ。
ペニスをしゃぶられるよりも、数段上の辱めだった。
火のような息を吐きながらも、シンジは倒れこんだまま小さく喘ぐ。
「あ…ん、ダメ。汚いよぅ…」
口では拒んでも、シンジは感じてしまう。
今まで荒々しく扱われていただけのシンジの菊座は
マナの唇の愛撫にあっという間に篭絡していく。
たっぷりと唾液を塗し、腸管を舌で舐める。
こちょこちょと擽るように動かし、
シンジを小さく呻かせた。
「やぁ…、マナぁ…」
細波のように快感はシンジに打ち寄せてくる。
窄まりを中心にじんじんと疼き、ゆっくりと高みへと昇っていく。
それでなくてもシンジの菊座は、本郷の調教によって、
ただの排泄器官から性感帯に変貌してしまっているのだ。
敏感な内部を舌でしゃぶられてしまったら、シンジは喘ぐしかない。
事実、シンジは少女にお尻の穴を舐められるという辱めを受けながら、
身体は徐々に燃え上がり、肛門は物欲しそうに、ぷっくりと膨れ上がってきていた。
その快感を求める貪欲な肉体が、どうしようもなく忌々しい。
「あっ…、うぅ…」
シンジの背中が刹那、しなやかな弧を作るように弓なりに仰け反った。
マナの柔らかな舌が、ついにシンジの内部に侵入してきたのだ。
ぬるりとした感触が菊皺を伸ばし、窄まりがきゅっと収縮する。
シンジの菊門はいとも簡単に少女の可憐な舌を受け入れた。
あまりの恥ずかしさに。あまりの仕打ちにシンジの頭は焼き切れるように熱くなる。
マナの濡れた舌で菊座を弄られるという事実は、
それは本郷の責めよりも羞恥を呼び覚まし、シンジを恥辱の沼に貶めた。
「うふん、ちゅっ。可愛い、私の舌で感じてくれてるのね」
菊座を舐りながら、マナは問い掛けてくる。
「感じてなんかないよ…、あはぁっ、お願いだから、こ、こんなこと、もうやめてよ…」
嘘だ。少女の柔らかな舌が内部を抉るたびにシンジは甘美な快感を覚えている。
身体は正直な物だった。敏感な性感帯になっているシンジの菊門は、
みるみる熱くなり、爛れたように紅く変色していく。
少女ならではの柔らかい舌で突かれ、シンジは翻弄される。
ついにシンジの快楽は飽和状態になり、スカートの下ではシンジの未成熟なペニスはぴんぴんに勃起してしまっている。
先端から汁が滲み出し、スカートの内部をぬるぬるに濡らしている。
悟られぬように、太腿を合わせるようにもじもじと擦り付け、屹立を隠すよう試みるが、
やはり、マナにも冬月にもあっさりと看破されているようだった。
「ふふふ、どうやらシンジ君はきみの舌で発情してしまったようだ。
脚を擦り合せて、いじらしく勃起を抑えているみたいだな」
「そうですね。うふ。隠さなくていいんだから。大丈夫。また、すぐに気持ち良くしてあげる」
マナは舌を窄まりに差し入れながら、スカートの中に手の平を忍び込ませる。
きめ細かい太腿を擦りながら、シンジの下腹部へと昇らせて、
小さな膨らみにそれを被せる。
「あ、触らないでっ! 今、触っちゃったら…っ」
ビクンとシンジの身体は派手に跳ねる。
露わになる臀部の柔らかな肉は、いやらしく波打った。
マナの手にどっと熱い何かの感触で溢れた。
「あぁ…、すごいね…、さっき出したばかりなのに…」
はあ、と溜息を吐いた後、マナはスカートから手の平を取り出した。
その小さな手の平には白いヌルついた性の樹液がべったりと張り付いていた。
「うぅ…、触らないでって、言った、のに…」
発射してしまった。不意を突かれた格好だったため、
また菊座の舌愛撫の快感も相乗して、あっという間に射精へと導かれてしまった。
本郷の調教は中々、射精をさせて貰えず、相当、溜まっていたという理由もあるだろうが、
それでもシンジは恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなかった。
「ほら、見て下さい、こんなに一杯」
マナは冬月に見せつけるように精液で汚れた手を掲げた。
それを見て冬月は、ほう、と一言、息を吐いた。
「なんだなんだ。嫌そうに見えて、その実、この状況を愉しんでいるんじゃないか?
ならば遠慮はいらんな。おい、霧島マナ、そろそろいいだろう」
違う。愉しんでなんかいない。いない筈、だ。
そう頭で強く思っても、事態は好転などするわけもなく、
たとえ、似非だとしてもマナはシンジと繋がることが嬉しい、と云わんばかりに少年の桃尻を抱いた。
「さあ、見せておくれ、シンジ君。
きみの可愛い喘ぎを。きみが尻で恥をかく処を!」
「あ、あぁ、嫌だよ…、うぅ…んぐっ」
逃げようとする。だが、敏感な二点。つまり、ペニスと菊座を弄られた直後、
シンジの身体の筋は弛緩していて、満足に動かせなかった。
「あん…、逃げないで。あの先生のおかげで
お尻で感じることが出来るんでしょ。
大丈夫、私は優しくしてあげるから…、だから、安心して、ね?」
「でも…、でもぉ─、ふ、ぐぅ」
シンジが躊躇いを見せた時、マナが装着する張り型の先端がシンジの窄まりに侵入してきた。
ちょうど亀頭の部分を模していて、エラが張った部分である。
シンジはその野太い異物が身体の中に入ると、瞬いて、悲痛の呻きを漏らした。
解しが足りないのか。それとも侵入したのが異物ということが、シンジの痛覚を刺激するのか。
確かなことは、慣れぬディルドーでは、慣れぬマナの腰つきでは
快感よりも痛さの方が勝ってしまう。
「うぅ…、マナぁ…、あ、ぐぐぅ…」
身体の内部が圧迫されているようで、うまく声が外に出てこない。
マナもそんなシンジを気遣ってか、おっかなびっくりで腰を押し進め、
腸壁が抉られ、痛さが倍増する。
どうやらマナは慣れていないのだ。貫く行為は初めてなのかもしれない。
「ど、どうして? ねえ、痛いの、シンジ?」
「う、ぐぅぅ…、マナ、お願い、抜いて…、抜いてよっ!」
やっと声が出た。いや、口から発せられたのは哀願だった。
無機質の異物の侵入にシンジの菊門は悲鳴を上げた。
めりめりと大きく広げられ、激痛が走る。
シンジは泣き叫び、許しを請う。
「ほう、痛いのかね?」
「え?」
冬月が問い掛けてくる。怒気を強める口調だ。
シンジは鋭い痛みの中、老人の声を頭で反芻して、なんとか噛み砕き理解に努める。
「その牝犬にまた仕置きが必要かね?
きみが痛いと訴えるなら、やめさせよう。
しかし、霧島マナには、きみを苦しめたとして、それ相応の罰を受けることになるがね」
「そ、そんなぁ…」
老人はまたしても下卑た嗤いをする。
「シンジ…、私なら平気よ。どんな罰も受ける。
それが貴方を誑かした贖罪だもの。だから、正直に言ってもいいの…」
そう言いながら、マナは優しくシンジの肉丘をさする。
少しでも痛みを和らげようとする気遣いなのだろう。
だが、シンジの丸い臀部を撫でるマナの手が小刻みに震えているのが、分かってしまう。
どんな痛みも慣れる筈かないのだ。そんなことはシンジが一番、分かっている。
きっとシンジが肛虐を拒否してしまえば、
マナには辛く過酷な『罰』が待っているのだ。
でなければ、こんなにも手の平が震えることなどないだろう。
そんな仕打ちを我が身かわいさに、マナに受けさせるなんて。
──そんなこと、出来ないよ! 「う、ううん。痛くないよ。もっと…、もっとしてよ、マナぁ…」
非力なシンジに出来ることは、
マナを守るために出来ることは、
痛さに耐え、冬月が悦ぶような反応を見せることだけだった。
鼻にかかるような甘い息を吐き、シンジはわざと感じているような演技を始める。
ディルドーが入り口を抉る度に、腫れ上がるようにじんじんと痛む。
腸壁を異物が擦る。嗚咽を吐くような痛みに耐えて、シンジは声を出す。
「あんっ、マナ、気持ちいいよぉ…、あ、ぐぅっ…」
「本当? 本当にいいの?」
マナの問いにシンジはうんうんと頷く。
その少年の反応を見て、マナの腰つきはいやらしく、激しくなる。
腰を回転させて、ねっとりとシンジの中を弄る。
「うふ、嬉しい。もっと…、もっともっと気持ち良くなってね、シンジ」
ぶぅんと大きな音が部屋に木霊した。
同時にマナは、ひゃう、と呻く。
「ご、御主人様ぁ…、何を…」
「ふふふ、シンジ君と一緒にイけるようにしてやったのだ。
良い心地だろう。抉りながらナカで振動するのは…」
どうやら冬月が、マナの菊座に挿入しているローターの激しさを強にしたらしい。
振動する音が一際でかい。マナは喘ぎながらも、腰を振り続ける。 「んんぅ…、御主人様ぁ…、マナも気持ちいいですぅ…。あ、ぁ。ひぐ…」
「ふふふ、愛しの君と一緒に気を遣りそうか? いいだろう許可しようではないか」
たがが外れたように、マナは一心不乱にディルドーでシンジの腸壁を抉る。
恍惚の表情で、濃厚な汗の匂いを身体から撒き散らしている。
「ふッ…、んんぅ…、ぐッ…、あんっ! マナぁ、マナぁ…」
マナの匂いに中てられてか、シンジの切なそうな声が室内に響きだす。
いや、これが本郷の調教の賜物なのだろう。
痛さの中に快感を、屈辱の中に悦びを見出す。
そんな身体にシンジは変貌してしまっているのだ。
敏感な腸内を刺激され続けては、シンジも堪らない。
いつの間にか、痛みよりも甘美な悦楽がシンジを支配していた。
「あんっ、気持ちいいのね? 私も…、あぁ…」
やや痙攣しながらもマナは懸命に腰を振りたくる。
かつての少女の可愛らしさは既に無い。
貪欲に性を貪り、少年の尻を抉る牝がそこにはいるだけだ。
「ひぐっ、マナぁ…、うぅん…」
「シンジ、シンジ、シンジぃ…」
二人の艶っぽい声が室内に響く。
マナの抽送は衰えなかった。
懸命にシンジを痛みと性の高みの狭間を彷徨わせる。 老人はその狂乱の様を高らかに嗤いながら観察し続ける。
マナもシンジのよがりぶりを、ピストン運動をしながら見続けている。
二人の視線に晒されながら、シンジは少女の奥を抉る最後の一突きで、
絶頂を迎えさせられた。
「あ、うぅ…、んんぅっ!」
背を仰け反らせ、小さく呻く。
イッたことを隠すために唇を噛み締めて、声が外に漏れ出すのを防ぐ。
少女のお尻を弄られて達してしまうなど、屈辱以外の何物でもなかった。
「あぁ…、シンジぃ、私、ひゃうっ…」
一際大きく振動する機械音がシンジの耳を掠める。
少年の臀部を掴んだまま、びくびくとマナは身体を痙攣させた。
ほぼ同時に二人は肛辱の快感で絶頂を迎えてしまったのだ。
マナはガクガクと膝を震わせて、シンジの臀部を抱える姿勢を保ってられず、
少年の背中めがけて突っ伏した。
柔らかな少女の乳房を背中に感じ、シンジも床に倒れこむ。
二人は折り重なり、床にうつ伏せになった。
身体中にかく珠のような汗を塗り合わせ、
実に芳しい匂いを二人は発していた。
「マナぁ…」
「うふん…、シン…」
倒れこみ重なりながら寝そべるその姿は、
醒めぬ悪夢に怯え、少しでも恐怖を和らげるために
張りのある若い肌を擦り合わせながら、二人は達したばかりの身体を慰め合っているようだった。 絶望の淵に立たされても、霧島マナは深い充足感に包まれていた。
偽りの交合だとしてもシンジと一体になる幸せが感じられたのだ。
屈辱よりも、恥辱よりも、先立って彼女の心は幸福に満ち満ちていた。
マナは名残惜しそうに、さっきまで手に収めていた柔らかな尻肉を掴み、
ずるりと男の性器を模した黒いディルドーを引き抜いた。
「あ…、ぅん…っ、くっ…」
抜く際、シンジの色っぽく掠れた鳴き声が堪らなかった。
ぞくぞくと背中に電気に似た快感が走るのが分かる。
未だに腸内で振動するアナルローターの動きと相乗して、
マナは軽く達しそうになり、「うぅんっ」と切ない声を洩らした。
「あはぁ…、シンジぃ、すき、好き…」
霧島マナの思考が正常に働くことはなかった。
かつて自らの意志で、親友を助けようとした彼女の能動的な性格は、
今や見る影もなくボロボロに崩されていた。
本郷による肉調教と、老人の蛇のような苛酷な責めにより、
少女は望まぬ内に、身も心も男の性玩具へと堕ちてしまっていた。
何故、自分がこのような目に合っているのか。
マナはここに連れてこられてから、何度も繰り返された思考を
再び頭の中で積み重ね試みるが、
脳内は薄い膜が張られたようにぼんやりとして、
熟考する事が困難になっていた。深く考えるといつもこうである。
記憶がまともに再生されることはないのだ。
彼女の脳内で流れる映像はいつも唐突なのであった。
分断された記憶のテープがランダムに再生されてしまう。
最初の内は、この不可思議な現象に戸惑い、
自分は狂ってしまったのではないかと危ぶみもした。
少女のか弱い肉体と脆弱な精神では、おおよそ耐えられぬ色責めと
碇シンジに対する罪悪感が合わさり、マナという自我をとてつもない速さで壊れていった。
─シンジを裏切ったのだ。彼の純真な心を踏み躙ってしまった。
最初は裏切るという概念すらなかった。
自分の同僚を救うためにしたことで、
自身の行いは正しいとすら思っていた。
今となっては認めたくないが、初号機パイロットを利用することに
マナは何ら罪悪感を抱いてはいなかったのである。
時折、フラッシュバックするその事実がマナの胸を締め付けた。
苦しかった。シンジの顔を思い出すと息をすることも困難になる時があった。
本郷による調教の合間にも、その罪悪感に苛まれることがあり、
マナは心を休める時間は皆無に近かった。
この冬月のいる部屋に連れて来られてから、
その強迫観念に似た思いは、より一層増していった。
ここでは名も知らぬ、自分の父親と同じくらいの歳の男達に身体を売らなければならぬ
生活が待っていた。つい数ヶ月前まで少年兵の仲間達と
辛いが楽しい訓練に明け暮れていた少女にはその落差は嫌でも実感できた。
何故か前の穴で男に相手をさせられることはなかった。
いずれも少女嗜好者の男の肉具を受け入れる穴は、
彼女の花びらのような小さな朱唇と、不浄の菊門だった。
まともな性交を経験する前に、マナはアナルセックスを何十人という男達に強要されたのだ。
そんな生活が繰り返され、すっかり肉責めに甘く反応する肉体に開発されたマナは
シンジがここに来るまで、十数リットルもの精液を直腸へと注がれたことになる。
濡れた声を出し、口腔でおとこを慰め、アヌスで受け入れる。
それがマナの日々の日課となっていた。
明日も今日と同じ日。昨日も同じ。昨日も今日と同じ。
今日も明日と、昨日とイコールならば時間とは何だろう。
昨日も明日も今も同等の価値しかない。
いや、価値すらもマナには見出す事が出来なかった。
一ヶ月でマナから時間という概念が消えていた。
延々に繰り返される日々は少女の果敢ない精神を壊し続けていった。
だが、全てが等符号で支配される日々の中、シンジとの再開は、
久方ぶりに感じられるマナの現実だった。
従順に、御主人──冬月の命を受けるだけの時間、
父と同じ年代の男共におぞましい肛門性交を強要されるだけの時間、
シンジだけがマナにリアルを感じさせたことは確かだった。
631 :鬼教師ミスター本郷 ◆N3KfCzebuQ [sage]投稿日:2007/03/24(土) 07:42:49 ID:???華奢な身体を折り重ねる少年と少女は、
まるで寄り添う二輪の花のように美しく、
ムンと雌とも雄とも付かぬ濃厚な匂いを立ち込めるその媚態は絶景であった。
舌なめずりしながら、少女の肌の珠の汗と少年の痛苦の表情を眺める冬月は
己の腐った臓腑を外に曝け出すように、口元を醜く歪ませた。
メイド服姿という倒錯的な出で立ちである碇シンジのスカートは露わに捲り上がり、
その白き内腿を冬月の眼前に差し出しているようである。
彼に奉仕してもらえれば冬月や本郷のような特殊な性癖を持たぬ者すら心を奪われ、
狂ったように少年にのめり込んでしまうであろう。
本人こそ気付かぬが、それほどの魅力を持ち合わせていたことが
少年にとって最大の不幸である。
─全く、初物を本郷にくれてやるとは惜しいことをした…。
冬月は口惜しそうに眉間に深い皺を刻ませ、改めて少年の肉体に魅入るが、
彼にはシンジを我が物に出来ないある理由がある。
シンジのしどけない姿に、かつて想いを寄せた女性を見ているのか
ギラギラと性欲に塗れた双眸を光らせ、
触れれば蕩けてしまうのではないかと見紛うばかりの柔らかそうな脚を注視した。
まるで挑発するかのごとく波打つ姿態に老人の恐ろしき被虐心はより一層煽られた。
「ふ、ふ、ふ。さあ、次はシンジ君の番だぞ」
冬月老人は相変わらず口端を上げて下卑な嗤いを保ったまま、
シンジの背後に回り、下半身を通しているひらひらとしたスカート生地に手を這わせた。冬月自身も己の焦燥感が分かるほど慌てている。
もっとこの少年の鳴き声を聞きたい。もっと派手に乱れさせたい。
切なる思いが、老人の狂った心を逸らせるのだ。
「ああ…、い、嫌です。これ以上、何をする気なんですか?」
億劫そうに冬月の方を見遣るのは、疲弊のためである。
かつての想い人にアナルを貫かれる事は想像以上にシンジの精神共々、
体力も同時に削る結果となった。
「私がするんじゃない。君がするんだよ。
さあ、霧島マナの純潔を奪ってあげなさい」
冬月はマナを床に仰向けにさせ、無理矢理シンジを少女の柔な肉体の上に跨らせた。
「い、嫌だよ、こんなの…。ふ、冬月さん、やめて…」
懸命に身を捩り、逃れようとするが疲労しきった身体は中々いうことをきいてくれない。
たとえ何と言われようと、シンジは強制的に女性を犯すなど出来る筈がなかった。
立て続けに射精したばかりで、ペニスが勃起していないことがせめてもの救いか。
萎えているシンジのモノではマナを貫くことは適わない。
「んぅ…、いいの、シンジ。シンジに初めてを奪われるなら、私、幸せ。
だから、お願い。貴方が私の初めてを…」
語尾は淀んだが、何を言いたいかはシンジには痛いほど分かる。
下にいるマナの瞳はうっすらと濡れていた。
彼女もまたこのような形で純潔が無くなるのは望んでいないだろう。
だが、このシンジと繋がる機会を逃せば、名前も知らぬ男に処女を奪われる事は必定であった。それならば、どんなに酷いシチュエーション。
それが淡く思い描いた処女喪失の状況と遠くかけ離れていたとしても、
想いを寄せた少年に奪われた方が良い。
マナはそう考え、涙をしたのだろう。
「駄目だよ…、マナ、正気に戻ってよ。こんなの…、違うよ…」
だが、シンジはこの期に及んでもまだ懸命に抗った。
真摯な目で訴えかけても、今の彼女には無駄であった。
口元を綻ばせ、うっとりとした表情でシンジを魅入っていた。
くなくなと柔らかな太腿をシンジの身体に擦り合わせている。
「あぁ…、シンジ。好き。すき、すき」
そんなことをされれば、シンジの意志とは正反対におかしな気持ちになり、
萎えていた幼いペニスはむくむくと大きくなり始める。
未だに淫薬の効果が少年の身を焼いているのだ。
「ダメだよ! ダメだよ! あぁ…、こんなのぉ…、うっ」
声は次第に艶めかしい喘ぎに変わっていた。
シンジは己の欲望に堪えられぬ肉体を心底呪った。
自分の下にいる少女の相貌を見る。
最早、マナは諦観にも似た表情でシンジを待っていた。
「くく、どちらも準備万端のようだ。
ほれ、思う存分、快楽を享受し賜え」
冬月老人はがっしりとシンジを羽交い絞めにしながら、白い首筋を吸った。
「やぁ…、やめて下さい。あんッ」オルガズムの頂付近を往復しているシンジは
淫薬の効力も相成って全身性帯感である。
肌に粘膜を感じれば、ぽうっとそこだけ火が点いたように熱くなり、
嫌でも声が溢れ出す。
「どこに挿れるか分かるかね? 牝に挿れるのは初めてだろう。
ふふふ。そこではないよ。もっと下だ。そこ、そこだ。
押さえててあげるから、腰を前に進めたまえ」
冬月は羽交い絞めを止めて、片腕でシンジの胸を後ろから抱く。
もう一方の手はシンジの子供ペニスに宛がい、マナの蜜壺に照準を合わせてやった。
「あぁ…、シンジ、嬉しい」
マナは目端からポロポロと涙を零す。
何が嬉しいのかと、冬月は苦笑する。
無理やり処女喪失の憂き目にあうのだ。
まあ、この牝は通常の神経ではない。
おそらくは頭の中で勝手に物語を作り、今のこの状況すら酔えるのだろう。
冬月は深奥から込み上げる圧倒的な愉悦に口をこれでもかというぐらい
綻ばせた。
「ほう、嬉しいのか。いや、嬉しいだろうなぁ
お前みたいな意地汚い牝がシンジ君と交われるのだからな」」
冬月は片方の手を少年から外し、
マナのこぶりな乳房の先端にあるつんと尖ったいやらしい蕾に移し、
きりりと千切れるぐらい強く捻った。
それだけでマナは肉体を仰け反らせ、派手に喘ぐ。「あはぁっ。は、はい、嬉しいです。シンジと一つになれるなんて…、
御主人様、ありがとうございます。マナは世界一幸せな──」
マナの声はそこで止まった。続く言葉を呑み込んだ。
目の前で起こった光景に目を奪われたのだ。
冬月がマナと会話している隙を突いて、シンジは懸命に身を捩った。
不意を突かれた冬月は、シンジを一旦離したが
少年の肘が老人のこめかみに直撃した。その衝撃で絨毯に倒れこむ。
「うぐッ」
「し、シンジッ!」
マナは咄嗟に少年の名を呼ぶ。
シンジは答えずに、よろめきながらテーブルの上にある趣味の悪い模様の花瓶を
手に取ると、冬月の頭目掛けて振り下ろした。
ガシャン、と甲高い音が室内に木霊した。
花瓶の破片が辺りに飛び散る。
少年は肩で息をしながら、冬月老人を見下ろしていた。
老人の頭から血が滲み、絨毯を黒色に汚している。
マナは信じられないといった表情で茫然自失と見続けている。
シンジは壊れた花瓶だった物を持ち続け、その場に座り込んだ。
「ま、マナ…」
泣きそうな顔で少年はマナの方を見遣る。
無意識に息が弾む。自分がしたことに気付いて、
慌てて花瓶を床に投げつけるように置いた。「ど、どうして、シンジ? どうして御主人様を…? あぁ…、しっかりして下さい」
事の重大さにやっと気付いたのだろう。
マナはシンジと冬月を交互に見遣ると、肉体を起こし、
絨毯の上を這いずりながら冬月のもとへ慌てて駆け寄り、揺り動かした。
「何言ってるんだよ、マナ。こんな奴にそんな呼び方しなくていいんだ。
それより、逃げよう、ここから。急いで」
ふらふらと立ち上がり、絨毯に丸いヒップを乗せながら
冬月の体を揺すっている少女に手を差し伸べた。
「で、でも。こんな事して…」
マナは立ち上がり、ちらりと冬月を見下ろす。
冬月はうつ伏せに倒れピクリとも動かない。
「いいんだ。とにかくここから逃げるんだ」
そう言ってシンジは自分がメイド服を着用していて、
それもかなり肌蹴ていることに気付く。
同時にマナも生まれたままの姿であることを思い出して、
脱衣場にあった一番露出の少ないドレスをマナに宛がった。
マナは着替えながら、「でも…」とか「だけど…」と呟きながら
ちらちらと冬月を眺めていた。マナの手を握り、シンジは廊下を歩く。
「戻らなきゃ、御主人様が死んじゃう…」
マナが幾度も戻ろうとするのをシンジはなだめ、手を引いて半ば強引に連れたった。
朱雀色の絨毯が床一面に敷かれている。柔らかな絨毯の感触が足に感じる。
幾枚もの木製の扉には荘重なナンバープレイト。
等間隔に壁には仰々しいほどの装飾がなされた電燈が灯されている。
幸いにも最初の通路では、ここの従業員に見咎められることが無かった。
前方に一際、大きな扉が見える。
あそこからシンジはこちらへやって来たのだ。
あの先はこちらとは違う異質な世界だ。
こちら側の人間とあちら側の人間とを区別したいのか、
自分が特別な人間と思いたいのか、ここの通路はやけに豪華な造りになっている。
最初の扉が問題だった。
ここにやって来る時、屈強な男が二人、門番をしていたのだ。
どうやってそこを突破するか。
シンジは少しの間、思案に暮れたが、思い切って扉を何度も強く叩いた。
叩く度にシンジの心拍数は上がった。
気を抜けば極度の緊張と疲労で倒れてしまいそうだった。
それでも何とか己を保っていられるのは、守るべき少女──マナが傍らにいるからに他ならない。
マナとの付き合いはそんなに長くはない。
ある事件で、知り合った仲で、元クラスメイトである。
共有した思い出も、事件の重さと差し引けば、
エヴァンゲリオン初号機パイロットであるシンジにとっては、
そんなに多くも、強烈なことでもないかもしれない。それでも、守れなかった悔恨は心中深く巣食ってシンジを苦しめていた。
今度こそ、少女を守ろう。シンジは扉を叩きながら、そう決心をしていた。
「そんなことしたら」
マナは驚いた顔で扉を叩くシンジを見遣る。少女には不安がありありと浮かんでいる。
が、当の本人は「僕に任せて」と言って、扉をたたき続ける。
「どうした!?」
ガチャリと重々しい鍵の開く音がする。
扉が開くと二人の男が出てきた。
深刻そうな表情のシンジを見て、
彼らも同調するように表情を変えた。
「た、大変です。冬月様が急に倒れて!」
「なッ!」
「た、大変だ!」
シンジの言葉を聞いて男達の顔色が蒼白となる。
冬月の待遇が相当vipなのだろう。
男達はさして疑問も抱かずに、
いや、疑問は抱いたのだろうが吟味する時間も惜しむように
慌てて冬月の部屋へとまろびるように向かっていった。
おそらく突飛な事件に慣れていないのだろう。
扉の付近はシンジが拍子抜けするぐらい簡単にもぬけの殻となったのは僥倖である。「マナ、行こう」
小声で言うとマナは頷いた。
シンジはマナの手を引き、扉を抜けて広い室内を歩く。
ブース内では、シンジの想像を遥かに上回る乱痴気騒ぎが行われているようだった。
所々から、女性の艶めかしい喘ぎ。そして、悲鳴。
男の嘲笑を含む、笑い声。やはり──ここは異世界だ。
よく見ると室内の中心におおきな舞台装置が設置されている。
天井から黒い麻縄が蛇のように舞台へと垂れている。
その麻縄に裸の女性が吊るされていた。
十数人の男達が周りを取り囲むように配置されたソファーに座り、その女性を眺めている。
シンジはその光景に絶句して、目を背け歩き続けた。
「あった」
シンジはそう呟いたのは、広い室内の端にある鉄の扉に目を遣った時だった。
扉の横には1から9のボタンが備え付けられている。
そして、そばに黒服の男が暇そうに佇んでいた。
シンジは少しばかり逡巡する。ここも突破しなくては逃げる事が出来ない。
他の出口を探している時間もない。
マナには「ちょっとここで待ってて」と言い含めて、意を決してシンジは男に近づく。
きょとんとシンジを見ていたマナだったが、
シンジの言葉を理解したかしていないか分からない困惑した表情で
少年の後姿を黙って見送った。「ね、ねぇ…、お兄さん」
シンジは出来る限りしなを作って歩を進める。
うんと甘えた声を出し、シンジは男の腕に擦り寄った。
男は驚いた顔をしたが、すぐに表情を戻し、シンジの身体を上から下まで
ゆっくりと舐め回すように無遠慮な視線で射抜いた。
「なんだい、お嬢ちゃん?」
シンジのメイド服姿を見て、男は自分の顎をさすった。
「あの…、ごめんなさい。す、少しだけお兄さんのアソコを貸してくれませんか?」
口許を押さえ、気恥ずかしそうに男の股間に視線を遣りながらシンジは言う。
シンジのたどたどしい初心な声と、陰部に注がれる視線に気付いて男はニヤニヤと嗤った。
「ほう、アソコってココのことかい?」
男はやはり嗤ったまま、己の股間を指し示す。
「はぁぁ…、そ、そうです」
シンジは俯きながら、更に身体を摺り寄せる。
熱い吐息をこぼしながら、濡れたような眼差しを向ける。
これは皮肉にも本郷に仕込まれた雄を惑わす仕草だった。
体格の良い屈強な男である。どこか本郷を彷彿させる厳めしい印象を受ける。
男の口から煙草の臭いがした。
「ご、御主人様にここの従業員を労って来いと命じられて…、その…」
「へぇ…。お嬢ちゃんの御主人様はい~いことを命令してくれるね。へへ、いいぜ。好きなだけ使ってくれよ」 こんな場所である。狂った情交が日常茶飯事の筈だ。
シンジは一か八か、そのような命令も普段通っていると
当たりを付けて、カマをかけたのだ。
だが、嘘とはいえ、自ら恥ずかしい言葉を吐いていることに
シンジは頬を屈辱で紅潮させ、恥辱のため視線をあちこちに飛ばした。
男はそんな生娘のようなシンジの反応に興奮したのか、
頭を掻いて、シンジの頬を煙草臭い舌で舐めた。
「ひゃっ、お兄さん…」
「ったく。こんなところで見張るなんて無意味なんだよ。
今となっちゃ、どうせ警察もここに手を出せやしねぇ。
昼からずっとここで立ちんぼだ。下っ端だと思って舐めやがって。
これぐらいのいい目にあってもバチは当たらんよな」
男はシンジのさらさらの黒髪を指で梳き、忌々しそうに愚痴を零す。
幸いにもこの扉の男は真面目に仕事をする気はないらしい。
男は下品な口笛を鳴らし、シンジの華奢な肩を無骨な手で抱き、
その場に恭しく跪こうとするシンジを立つように留める。
「あんっ、なにを…」
「いきなり、しゃぶるのも品がねーだろ?
まずはムードを盛り上げねーとよ」
男はそう言い、シンジの紅唇に、己の厚い唇を重ね、
あっという間に男の舌は少年の粘膜を犯し始める。
「んっ、ぷっ。や、やめて下さい!」
胸を押しのけ、抵抗をするシンジ。
だが、男は凶悪な眸で睨み、ドスの利いた声で凄んだ。「おいおい、誘ったのはそっちだろうが、あ゛?」
「うっ…、それは…」
言い争っている暇は無い。
部屋に残してきた冬月はベッドの中に隠したが、
外傷を見れば、すぐに故意に頭部を強打された事が分かるはずだ。
あの二人の門番が自分達の存在に気付くのはそう長くはかからない。
シンジとマナには時間があまりにもないのだ。
シンジは仕方なく男のするがままに唇を許すことにした。
「ご、ごめんなさい。どうぞ、好きなだけお口を吸って下さい」
「へへ、分かればいいんだよ、お嬢ちゃん」
ねっとりと生臭い舌に咥内を舐られるのは不快以外の何物でもなかった。
シンジの円らな瞳に涙が滲む。そういえば遠くでマナが見ていることを思い出し、
ますます遣り切れない気分に陥った。
美味しそうに少年の唾液を嚥下する音がする。
相当興奮しているようで、男は荒っぽい鼻息をシンジの美貌に吹きかけている。
「んんぅ。ふっ…、うんっ…」
「いい声じゃねぇか。それにこの味。最高だ」
シンジの色っぽい悶え声が周囲に響く。
男は調子付きシンジの唇の柔らかさと甘さに酔いながら
少年の太腿に己の脚をすり寄せてきた。「あっ…」
股間に男の膝が当たりシンジが目を瞬かせた。
男への嫌悪を我慢するあまり、脚の動きに注意を払い損ねたのだ。
男は自分の脚に触れた感触に、驚嘆の表情を浮かべ、唇を離した。
「ご、ごめんなさい…、あの…、その…僕…」
「なんだ、お前、男かい?」
門番が呟くが、にやりと嗤いながら「俺ぁ、どっちでも構わねぇがな」と言い、
再び、シンジに深い接吻をし、口腔を舐りまわす。
事実、男にとってはこの目の前の人物が少年だろうが少女だろうがどうでもよかった。
唇を交わせば交わすほど。抱き締め肉体の柔らかさを味わえば味わうほど、男は飢えてきた。
それは老若男女問わずに惑わす少年の魔力でもある。
「お嬢ちゃん──、じゃねぇか。お前、名前は何て云うんだ?」
再度、口を離し、頬に生臭い息を吹きかけながら男が問う。
少年の下半身に手を伸ばし、しこしこと子供ペニスを扱く。
「し、シンジです…、ひゃうっ」
男の勢いに押されて、何のてらいも無く言葉が出てきた。
荒々しい指遣いながら、粘膜で汚れているぬるぬるのシンジのペニスは
性感が高まっており、嫌でも感じてしまう。「シンジか。シンジくんはいつもこんな格好で男を誘うのか?」
くくく、と嗤いながら男はどこか馬鹿にするように質問を投げかける。
こんな格好。シンジのメイド服姿──、いや、女装の事を言っているのだ。
シンジは首を左右に振るい、否定する。
「違います。僕はそんなんじゃ…。あぁ…、そんな擦らないで…、痛いで──」
言い終える前に、男の手がにゅっとシンジのスカートの裾を上げ、伸びてくる。
躊躇いなく男のゴツゴツした手の平は、双尻を撫で、
その中心にある割れ目に指先を差し入れてきた。
「へへ、エロいガキだな。ほれほれ、どうだ。気持ちいいのか、変態め!」
「あ、あぁ…。駄目、またイッちゃうよぉ…」
しこしことシンジのペニスを覆う、手の平を上下に運動させながら、
もう一方の男の指が、ぬるりとした淫薬入りのローションが塗られた菊座に触れた。
未だ熱が孕み、ぷっくりと膨れ上がっている窄まりは
微かな刺激を貰っただけで、シンジの性感を大いにうねらせ、
その少女のような肉体を弓なりに仰け反らせた。
尻肉を撫で回し、たぷたぷと弄んだと思うと、
柔らかな耳朶に吸い付き飴玉を舐めるように舌で転がす。
「あふっ…。さ、触らないで…。舐めないでくだ、さい、あぁ…」
「何言ってんだよ。スゲーぬるぬるしてるじゃねぇかよ。
一発で目も潤んでるしよ。好きなんだろ、触られんのが、ええ!?」
「そ、そんなの好きじゃ、ないです…、ひっ」最初は抵抗感と開き具合を確かめるような指の動きだったが、
拡張済みだと分かると、にゅっと内部に指が侵入してくる。
第一関節。第二間接。シンジの菊門は簡単に男の指を許す。
腸壁までローションは塗られていた。
強制的にマナと深く交合した時に付着した物だ。
「やぁ…、やめ…、やめてよぉ…、あんっ」
いやいやと首を左右に振るうが、拒んでもシンジの肉体は燃え上がる。
嫌でも感じてしまう自分の身体をシンジは心底厭うた。
熱い息が唇から溢れ出す。男の言う通り瞳はうっとりと濡れている。
「おおぅ。すげぇな! 簡単に指が入りやがる。
それに、この締め付け。くく、お前の御主人様とやらが羨ましいぜ」
「あっ…、あんっ、抜いて、抜いてよぉ!」
何たる貪欲な肉体だろう。拒絶すればするほど、シンジの括約筋は激しく収縮し、
それだけで男を愉しませる器官と変貌していた。
既に根元まで指は挿入されてしまった。
「おいおい、いったい何本入るんだ、お前のマンコ。ひひ、試してやる」
「あぅっ…。いぐっ…、ぐ、ぅぅ…」
男の指が次々とシンジの菊座を犯す。
思いもよらない異物の挿入に堪らずシンジは男の腕に縋り付く。
そのシンジの行為に男は調子付き、
ぐちゅぐちゅとローションが泡立つ程、抜き差しを繰り返す。その間、男はスラックス越しに己の熱い肉棒をシンジの身体にぐいぐいと
押し付け、柔肉に当たる感触を堪能している。
「許してぇ…。も、もうやめて下さ、い…。ひっ、ひぅっ」
甘い濡れそぼった少年の上擦った声。言葉の意味とは正反対に
もっとして欲しいとおねだりしているように聴こえるのは何故だろうか。
「本当にやめて欲しいのか、声が悦んでるぜ、このエロガキが!」
「よ、悦んでないよ…、あんっ、あんっ!」
シンジはもう立ってはいられず、腰が砕けたように、
その場にへたり込む羽目になった。
「ふぁぁっ…」
情けない叫び、いや、声ともつかぬ喉から絞り出される空気と共に
シンジはずるずると身体を落とす。
その際、指は抜かれたが、シンジの下半身には不完全燃焼のような
わだかまりが残ることになったが、やっと床に座る事が出来た。
これこそが当初、シンジが思い描いていた体勢であった。
火照る菊座、刺激を渇望するようにじくじくと疼くが唇を噛み締めシンジは堪える。
スラックス越しに男の盛り上がった股間がシンジの視界に入った。
男のペニスは大して刺激を与えずとも、深い接吻で完璧に欲情していた。
夢遊病者のような虚ろな瞳で、ジッパーを下ろし、硬化した肉竿を取り出した。「おっとっと。もう我慢できなくなったのか?
そりゃあ、待たせちまったな。おら、待望のチンポだぜ。
ちょっと汗臭ぇと思うけどよ、まぁ、淫乱のお前には差し支えねぇだろ?」
男の言う通り、肉竿は異様な臭いを放っていた。
昼からずっと立っていたのだろう。
汗が入り混じった雄臭はむんと熱気すら籠もっていた。
先っぽからは先走りの汁が垂れて、濡らしている。
解き放たれた肉棒のきつい臭いがシンジの鼻腔を突く。
思わず眉を顰めて、シンジは顔を背け、嘔吐感を必死に堪えた。
「綺麗にしゃぶってくれよぉ」
男は少年を見下ろし、うひひと嗤う。
相当の屈辱だろう。シンジは眉根を蠱惑的に曲げ、男を見上げた。
だが、シンジはその異臭を放つ物体を両手に添えると微かに笑った。
本郷の調教と冬月の凶行で、ついに心の底から、男に屈服するようになったのか。
いや──、違う。
「マナ!」
シンジはちらりと横に目配せをするとマナを呼んだ。
マナは慌てて駆け寄ってくる。
男は、その露出の多いドレスを着た少女を見て、
一瞬、戸惑ったが、すぐに少女の怯える表情を確認して、厳めしい目付きに戻った。「なんだぁ!? おい、シンジ、何だよ、こいつはよ!?」
男はもう馴れ馴れしくシンジの名を呼んでいる。
「暗証番号を教えてください、そこのドアの」
静かに、そして丁寧な口調でシンジは言葉を紡ぎ、
射竦めるような瞳で、男を見上げた。
未だ欲情の火は少年の瞳に灯ったままだが、理性で必死に堪えている。
「あ゛!? 何言ってんだ。
そうか! 最初からこれが目的なのか。
くそう! 舐めやがって。ふざけるな。ふざけんじゃ──」
男の言葉が途切れた。彼の額には脂汗が滲んでいる。
そして、同時に己の立場にやっと気付いたのだ。
いや、シンジに暗証番号を問われた時から、分かってはいたが、
まさか、今さっきまで自分に腸壁を弄ばれていた少年に
そんな気概があるなど思いもしなかったのだ。
シンジの手の平は男の急所を力強く握っていた。
体は鍛えても、ここを触られれば成す術もない。
男ははくはくと口を金魚のようにパクつかせた。
あの余裕ぶったニヤケ面は完全に雲散霧消していた。
「早く、時間が無いんです…。
あなたのコレがどうなるか保証しませんよ? 僕は本気です」
シンジはあえかに紅唇を開き、硝子細工のように美しく光る歯を覗かせた。
その白い歯に噛み千切られる様を想像して、男はゾッとする。
静かな口調だけに、得も知れぬ迫力を感じた。「分かった、分かったよ」
男は冷や汗を掻きながら、暗証番号を口にする。
マナは言葉通り、番号を押し、最後のボタンを押すと
ガチャンと重い開閉音が、響いた。
「ほら、教えたぞ。離せよ、シンジ!」
急所を握られ続けている男は背筋が凍る思いだった。
だが、シンジが手を離せば、すぐにこの二人を捕まえようという
思案を頭に描いているのも事実だ。
二度と舐めた事が出来ないように、大人の怖さを教えてやろうと。
まさか、この少年と少女が、ネルフ総司令──、
つまり、この店の最上級客の持ち物とは思いもしていない故に出来た想像である。
「ごめんなさい!」
「お、おい。ちょっっ───」
シンジは沈痛そうな表情を浮かべ詫びた。
と、同時に男の悲痛な声が店内に響いたが、その声は店の喧騒に紛れて簡単に掻き消えた。
男は地べたにうずくまり、悶えた。
「うぐぉぉぉ、ま、待ちやがれぇ…」
そして、そのままの体勢で、シンジとマナが扉を開け、
階段を昇っていく様を、掠れるような視界で見続けた。ビルから出ると、そこがやはり見覚えの無い場所でシンジは動揺した。
夜だった。上空には星が散らばっている。
右、左と辺りを窺うが、どちらに行けば良いか見当もつかない。
「シンジ、どうするの?」
マナは舌足らずの声で聞いてくる。
どうやら、先ほどの店の熱気にあてられて興奮しているらしかった。
シンジの嬌態を見たせいもある。シンジを見る目はうっとりとしていて
明らかに欲情をしている感があったが、見ないふりをした。
「離れよう、とりあえずこのビルから」
シンジはマナの手を引き、出来るだけこの場から離れようとした。
走りながら、マナは聞いてくる。
「どこに? どこへ逃げるの?」
どこに──。
考えがあって飛び出したわけではなかった。
確実なのはあの店にいればマナも自分も壊れていく
それだけの恐怖を感じていたため、まさに突発的な行動だったのだ。
行く当てをシンジは思案する。
──ネルフも危険だ。
──警察も危ないかもしれない。
──学校なんてもっての外だ。
シンジの脳裏にすぐに浮かんだ人物がいた。
優しく美しく、シンジに家族の暖かみを教えてくれた女性。
葛城ミサトである。ミサトもネルフの関係者である。作戦本部長。
いや、もっといえば、一応は冬月の部下でもある。
それでも、シンジはミサトを信用していた。
葛城ミサトに会えさえすれば、何とかなる。
シンジはそう思い、マナにその考えを伝えた。
「ミサトさん?」
マナはそれが誰か分からぬようだった。
「ほら、マンションにマナが来たとき、会ったことがあるだろ?」
マナは首を振るう。覚えていないようだった。
その事実にシンジはゾッとする。
あの部屋はマナの精神を破壊していたのは、もう明白だ。
尚更、捕まるわけにはいかない。
大通りも安全とは限らない。
それならば縦横無尽に張り巡らされた小さな道を使った方が
まだ、見つかる確率は低いかもしれない。
シンジは思案の末、シンジはビルの隙間の路地裏を進むことにした。
汚い。塵芥がそこら中に散らばっていて
第三東京にもこんな場所があるのかと、シンジは驚いたぐらいだ。
これが失敗だった。
長い監禁生活で疲れていたマナは、地面に置いてあったゴミで
足を滑らせ転んでしまった。
素肌が露出していたマナのふくろはぎには痛々しい擦り傷ができた。「だ、大丈夫、マナ?」
「うん、平気」
立ち上がろうとしてマナは眉を顰めた。
「痛ぅ…」
挫いたらしい。それでも我慢してマナは歩いたが、
数百メートルも進まぬ内に、マナの足首は腫れ上がってしまい、
歩くこともままならなくなってしまった。
「ごめん、僕が気を付けてれば、こんなことにならなかったのに…」
「ううん。いいの。私が悪いの。これは罰なの。だから、私を置いてって。
一人で逃げて、シンジ」
シンジは首を振るう。そんな言葉聞ける訳がなかった。
マナを背負ってみたが、体力が著しく低下しているシンジでは
やはり歩くことすら困難だった。
全く移動できないまま、シンジは後ろからいつ追手が来るか、不安で堪らなかった。
それでも少しずつ動いたが、ここが何処かも分からないシンジにとっては
無事に葛城宅に到着できるとは、最早、思ってもいなかった。
だが、僅かでも希望があるならとシンジはマナに肩をかし、歩き続けた。
どうか、どうかマナを。
シンジは心の底からマナを案じる。
どうしてもシンジはマナを救いたかった。
それが義務感なのか使命感なのか、
憐憫なのか共感なのか、同情なのか愛情なのか
シンジには判然としない。そもそも、そんな感情の機微にとんと疎い性格なのである。数十メートル移動した頃だろう。路地裏を抜けて、小路に出た。
シンジの願いが神に通じたのか、少年は懐かしい声をそこで聞いた。
「シンジ君じゃないか!?」
若い男の声である。男の目がシンジを認めると自分の長髪を掻いた。
男はたまたま出てきたシンジと鉢合わせたようで、心底驚いた顔をしていた。
ネルフの職員、青葉シゲルである。
シンジは咄嗟に名を呼ばれて、マナを守るように抱き締めていたが、
声の主が青葉と分かり、張っていた糸を弛めるように息を吐いた。
「青葉さん…、よかった」
「なんだい、その格好は? いや、そんなことより良かった。
諜報部員が君をロストしたみたいで、みんな必死に探してたんだよ。
今まで、何処にいたんだい?」
「それは、その─」
青葉はすぐそこに車を停めているようで、すぐにそれを持ってきて二人を乗せた。
シンジもマナも後部座席に着き、抱き締めあうように寄り添った。
シンジがこれまでに起こった事を運転している青葉に説明をした。
マナが辱しめられた部分は濁したが、自分が陵辱されたことを
言わねば信じて貰えぬような内容だったので、火を吐く思いでシンジは言葉にする。
最初は些細なことだった筈なのに、あれよあれよという間に事態は
有り得ない方向に向かっていた。言葉にすると嘘みたいだったが、
幸いにも青葉は真剣な声で相槌を打ち、真面目に聞いてくれた。
一通り説明をすると、青葉は「やっぱりなぁ」と溜息を吐いた。「やっぱり?」
「あぁ…。最近分かったことだけど
実はね、第壱中学校に戦略自衛隊のスパイがいるらしいんだ」
「スパイ?」
現実感のない出来事を更に上塗りするような聴き慣れない言葉だ。
「そう。スパイと言っても目的はチルドレンの監視。
シンジ君は知らないだろうけど、第壱中にはネルフの職員が在籍してるんだ。
そこには戦自の奴は一人もいない筈だった」
「はず?」
「そう『筈』。監視の意味は使徒を全て撃退後のチルドレンの確保。
パイロットがいなきゃ、エヴァも大きな人形だからね。
パイロットを捕獲しなくちゃ、後々、ネルフがエヴァを使って
国を乗っ取る可能性があるかもしれない。未然に防ぐために今から
戦自の奴らが入り込んだのさ。もちろん、奴らが侵入しないように
最善の注意を払ったけど、無理だったみたいだ」
青葉は首を捻って、後ろを見て、
「大丈夫」と気遣ってくる。話を理解しているか、という意味ではなく
ストレートに二人の体調を聞いているのだろう。
シンジは素直に頷いた。
「で、だ。こともあろうにそのスパイと繋がっているネルフ職員がいるらしいんだ」
「冬月副司令…」
「いや、もう司令だよ。気の毒だけどさ、碇司令は急に倒れて
今、ネルフの病院に入院してるんだ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、ごめん。俺って言葉を選ばないよな」青葉はゴンゴンとハンドルに頭を打ちつけた。
確かにショックだが、ゲンドウは一応、無事らしい。
シンジはホッと安堵の息を吐く。
「いえ、いいんです。それより、冬月司令が…」
「そうなんだ。今、シンジ君の話を聞いて分かったけど、
戦自と繋がっているネルフ職員は、やっぱり冬月司令だろうな」
「じゃ、じゃあ──」
本郷は戦略自衛隊。その本郷と繋がっている冬月。
「だけど」とシンジの出かかった声を青葉が止める。
「『だけど』?」
「理由が無い。戦自とネルフが通じ合うことによる
冬月司令のメリットってなんだ?」
「え? それは」
確かに、もし、冬月が使徒殲滅後、国家クーデターを画策しているなら、
スパイと通じ合うより、そのスパイを泳がせて、
使徒殲滅後、スパイを捕まえたほうが理に適っているような気がする。
──僕?
メリットは自分なのだろうか。
そんな馬鹿げた考えがシンジの脳裏に浮かんだ。
しかし、本郷を使ってシンジとマナを陵辱し、
その後、二人を強引に交合させて愉しむ。
冬月がしたいことは、単なる性の狂宴ではないか。─そんなわけがない!
それの意味する所が皆目分からない。だからすぐに頭の中で否定した。
仮にそうだとしても、それは目的ではなく手段であろう。
でなければ、そんなくだらないことで、無駄な労力を使い過ぎているのが腑に落ちない。
「し、シンジ…」
シンジが考えていると、今まで黙っていたマナが
震える声で名を呼び、シンジの肩を揺すった。
そこで車が止まっていることにやっと気付いた。
葛城宅があるマンションに着いたのか、と思い、
窓越しに周囲を見回した瞬間、シンジは息を呑んだ。
「あっ!」
車の周りに、いかつい男達が張り付いていた。
窓ガラスをコンコンと叩いた男の顔を見て、シンジは愕然とした。
電子ロック式の門番の男である。先ほどの報復の炎をギョロリとした眸に宿らせながらも、
ニヤニヤと口端を上げて、微かに嗤っていた。
「あ、青葉さん。取り囲まれてますよ!
さっき言った店の人達です。車、出してください!」
慌てて叫ぶが、青葉はこきこきと首を鳴らし、出す素振りを全く見せない。
「あ、青葉さん?」
か細い声で、呼びかけると青葉はやっと振り向いた。「駄目だよぉ、シンジ君。あんな目にあっても人を信用しちゃあ。
冬月司令はご立腹だよ」
はは、と青葉は嘲笑する。
男達に取り囲まれて、よく分からなかったが
ここはあの店があったビルの前である。
顔を蒼白にさせながらシンジはまだ信じられないといった風に叫ぶ。
「う、嘘でしょ、青葉さん!」
「だったら、良かったのにな、シンジ君」
シンジはひしとマナを抱き締める。
車の中の話は、シンジを考えさせるためにされた事に、やっと気付いた
土地勘の無い場所を動くのだ。
少しでも外への関心を中へ向けさせれば、大丈夫だろうと思ったのだろう。
結局、二人は煉獄に、いや性の地獄に舞い戻ることとなってしまった。
シンジはくらりと目眩を覚えたが、倒れるわけにはいかなかった。
きゅっと手を握り、車から逃げ出す少ない好機にかけようと
隙を窺うために、わざと絶望的に顔を伏せ、マナの耳元に唇を寄せた。
「マナ、ごめん…。でも、諦めないで。まだチャンスはあるよ」
耳元で心底、申し訳なさそうに呟くシンジだが、
まだ希望を捨てていなかった。
油断。そう油断だ。
今、車の周りの男達が圧倒的な優位に立っている。
ならば、彼らはきっと気を抜いているに違いないのだ。
現に窓の外の男達はにやにやと嗤い、表情が緩みまくっている。
この包囲を抜け出せる可能性は少ないが──、まだあるのだ。ゴクリと喉を鳴らし、その瞬間を静かに窺う。
だが、マナはそんな言葉も、シンジの内心も理解していないようにうっとりと
少年の熱い吐息と、触れられている腕の感触に瞳を蕩けさせている。
「あぁ、シンジ好き、好き…すきすき」
シンジがハッと気付いた時には遅かった。
狂ったようにマナは己の花びらのような唇を、少年の唇に重ね、
その柔らかな少女の肉体でシンジに覆い被さった。
状況をわきまえず、マナはシンジの舌を貪り、
鼻から「むふん、むふん」と色っぽい息を出していた。
マナとて、自分の置かれた立場を理解はしているのだが、
それよりも性欲が勝ってしまったのか、
現にマナの行動は今まで我慢していた劣情が急に暴発したような感があった。
「吸って、シンジ。マナの口を、舌を吸って…、お願い…」
「マナ、こんなことしてる場合じゃ…。んんぅ…」
まるで色に狂った獣であった。
吸い付きは舌を取られるようのでは、と危ぶむほど強烈である。
マナは乳房を押し付け、シンジの頬を押さえ、唇を舐める。
あまつさえ、股間にまで手が伸びてくる。
「マナ、離れて…、んぷっ…、ふ、ぐ…」
「大丈夫、きっと御主人様も謝れば許してくれるから…、
あぁ…、やっぱりシンジの唇は柔らかいわ…、んんぅ…」
濃厚な接吻に興じる二人を尻目に、男達は車のドアを開け、
二人の身体を引き離した。少年と少女の唇からは妖しいぐらいに
光る銀色の唾液の梯子が伸びたが、すぐにプツンと切れた。
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- category
- 版権
大長編なのに、シチュエーションが盛り沢山で全然飽きない。
正直、凄く興奮しました。大傑作‼︎
- 2015⁄03⁄03(Tue)
- 22:45
- [edit]
昨日のスーパー銭湯の話です。
以前もコメントしましたが、僕は良くスーパー銭湯に少年を観察に行きます。それは昔からのライフワークですが、昨日の子はとても印象深かったです、
その日は日曜なので、早い時間から少年達が来るだろうと思い、夕方頃から銭湯に行きました。
冬休み前という事もあり、思った程多くはいませんでしたが、良く見る常連の子以外もチラチラ少年達が来てました。
2時間ほど入浴してたので、もうそろそろ出ようかなと思っていると、僕の目を奪う、純粋系の顔立ちの美少年が露天風呂にいました。
おもむろに隣に座り観察を始めたのですが、下半身がずっと浴槽につかったままで、そのイチモツは確認できずにいました。
テレビを見る振りしながら、少年の方をチラ見してたのですが、その子も気のせいかこちらをチラチラ見た気がしました。でも目が合うことはなくどうかなぁ〜と思ってると、その子は露天風呂を後にして、寝湯に向かいました。すぐ後を付けると怪しまれそうなので、一回違う浴槽に行きころあいを見計らって彼のいる寝湯に向かってみると、ちょうど隣が空いたのでそこに寝転びました。
その寝湯を彼は気に入っているのか暫くずっとそこにいたのですが、上半身は衝立があり、顔を合わせることは無いのですが、こちらが少し身を起こすと何とか下半身は見えました。
そして、ようやくその子のイチモツを確認すると、平常時で僕の3本分はあるかなと言う位の巨根でした。身体付きも中肉中背で、決して痩せ型ではない所が、エロい感じでした。結構寝返ったりするなかで肛門が見えたりすると、触りたい衝動を抑えるのに必死でした。
僕が彼の下半身に注目しているのを知ってか知らずか、そのイチモツをもてあそんだりしてて、微妙に勃起しかかってるかなぁ〜と思い、完全に少年の虜となってる自分がいました。
何とか僕の存在や思いを伝えたくて、石製の衝立を叩いたり、彼のお尻にお湯をかけてみたりしました。そんなことをしてても立去る様子がない事に、より盛り上がる気持ちを押されられなくなり、彼が寝ている所を覗き込むと目が合いました。
彼はギヨっとした様な目をしました。
内心「しまった…💧」と思いましたが、それでもその子はそこを去ろうとはしなかったのです。
もう、本当触りたい、話しかけたい衝動が凄かったのですが、その時その場所近くに、そのこの同級生らしき子が来た様で、立ち上がり話を始めました。知り合いがいる所ではさすがに話しかけたりもしずらく、諦めて遠巻きにその子を見ていると、浴場を出て行ったので、最後に爪痕を残そうとあからさまにその子の後を追い脱衣場に向かいました。幸運にもロッカーの場所が近くその子の着替えを目の当たりにしてたのですが、残念ながらずっと後ろ姿でした。その子が着替え終わりもう出て行くんだろうなぁと思っていると、その子はロッカーのコインキーの100円玉を入れたり出したりしてていう暫く去ろうとはしなかったのでした。
その事に僕との出会い?を惜しんでくれてたのか、単に一人遊びが好きな子だったのかはわかりませんが、とりあえずそのこの巨根は目に焼き付いたのでした。
そして、その日の夢がその子のイチモツをフェラする夢だったので、目覚めた時の幸福感がハンパ無かったです。