- 2013⁄04⁄12(Fri)
- 00:07
元日の午前2時
元日の午前2時、中学1年の翼と早苗は、南葛中サッカー部のチームメイトとの初詣を終え帰る途中だった。
「マネージャーをしっかりエスコートしろよ」
グラウンドに差しかかったとき、石崎が冷やかすように言った。ここから先はみんなと別れ、ふたりだけになる。
並んで歩くふたりの白い息を、空のてっぺんから満月が銀色の光で照らし出す。晩生の翼もさすがに胸が高鳴る。
身長はほぼ同じ、翼のほうがやや低かった。声がうわずるのを押し隠すように、早苗が言った。
「明日の初蹴会、がんばってね」
南葛市では、1月2日に市内のサッカーチームが一堂に会すイベントがある。
プログラムには、南葛中と宿敵の修哲中の試合も組み込まれていた。
「まかしといて!」
翼は小さなこぶしで胸をどんとたたいた。
そのとき、深夜の静寂を破るように、改造された2台の軽自動車が近づいてきた。
車はふたりのそばで停まると、ヤンキーが3人降りてきた。翼は早苗をかばって身構えた。
「乗れ!」
ふたりは3人がかりで後部座席に押し込まれた。
後部座席には、女がタバコをふかしていた。カーステレオからヘビメタがけたたましく垂れ流れる車内で、
ヤンキーの男女に挟まれた翼と早苗は、体をこわばらせて座った。
「おれを覚えているよな」
男がサングラスを外した。翼は「あっ」と声をあげた。
翼の入部と同時にレギュラーの座を追われて、1ヵ月後に退部した吉田という元先輩だった。
「あのときの礼をたっぷりさせてもらうぜ」
吉田がタバコに火をつけた。
「降ろしてください!」
気丈にも早苗が大声で抗議した。すぐさま吉田が翼の顔面に肘鉄を見舞った。
翼の鼻からだらりと血が流れた。
「大声を出したら、こいつが痛い目に遭うんだぜ」
「マネージャーをしっかりエスコートしろよ」
グラウンドに差しかかったとき、石崎が冷やかすように言った。ここから先はみんなと別れ、ふたりだけになる。
並んで歩くふたりの白い息を、空のてっぺんから満月が銀色の光で照らし出す。晩生の翼もさすがに胸が高鳴る。
身長はほぼ同じ、翼のほうがやや低かった。声がうわずるのを押し隠すように、早苗が言った。
「明日の初蹴会、がんばってね」
南葛市では、1月2日に市内のサッカーチームが一堂に会すイベントがある。
プログラムには、南葛中と宿敵の修哲中の試合も組み込まれていた。
「まかしといて!」
翼は小さなこぶしで胸をどんとたたいた。
そのとき、深夜の静寂を破るように、改造された2台の軽自動車が近づいてきた。
車はふたりのそばで停まると、ヤンキーが3人降りてきた。翼は早苗をかばって身構えた。
「乗れ!」
ふたりは3人がかりで後部座席に押し込まれた。
後部座席には、女がタバコをふかしていた。カーステレオからヘビメタがけたたましく垂れ流れる車内で、
ヤンキーの男女に挟まれた翼と早苗は、体をこわばらせて座った。
「おれを覚えているよな」
男がサングラスを外した。翼は「あっ」と声をあげた。
翼の入部と同時にレギュラーの座を追われて、1ヵ月後に退部した吉田という元先輩だった。
「あのときの礼をたっぷりさせてもらうぜ」
吉田がタバコに火をつけた。
「降ろしてください!」
気丈にも早苗が大声で抗議した。すぐさま吉田が翼の顔面に肘鉄を見舞った。
翼の鼻からだらりと血が流れた。
「大声を出したら、こいつが痛い目に遭うんだぜ」
吉田が鼻を押さえる翼の髪を乱暴に掴み、タバコの煙を顔に浴びせた。女も早苗に煙を吐きかけた。
車は40分ほど走って、海岸に着いた。夏は海水浴でにぎわうが、いまは閑散としている。
ヤンキーたちが車から降りてきた。男が5人、女がふたりだった。
翼は砂浜に引っ立てられた。早苗は逃げられないように、女のヤンキーに両脇から腕を掴まれた。
「ひとりだけ逃げるとか、よけいなことをしたら、あいつを輪姦すからな」
吉田が翼にささやく。人質をとられ、翼の抵抗は封じられた。
「脱げ! ここでマッパになるんだ」
翼は着ているものをのろのろと脱いでいく。パンツ一枚になったとき、早苗を一瞥した。
「早くしろ!」
翼は唇をかんでパンツに手をかけた。
「ちいせぇ、皮、被ってやがる」
「まだ毛も生えてねぇぞ」
ヤンキーたちが言葉で翼を辱めた。
「こんなチビにレギュラー取られたのかよ、吉田」
挑発された吉田が宣言した。
「これから大空翼のリンチを始めま~す!」
全裸の翼は、自分を取り囲む5人のヤンキーから殴る蹴るの暴行を受けた。
跳び蹴りを食らい、翼の小さな体は砂を跳ね上げながらもんどりうった。
夜明けまでまだ3時間以上あるのに、月明かりは翼への暴行の模様をつぶさに照らしだした。
「自分のカレシがいたぶられているところを、しっかり見ときな!」
少し離れてにやつきながらながめるヤンキーの女たちに挟まれ、早苗は泣きじゃくった。
羽交い絞めされ腹にラッシュを浴びた翼は、神社の境内で食べた五平餅とたこ焼きを吐いた。
「このボケがぁ!」
翼の吐しゃ物がかかり、ヤンキーの目がイッた。たて続けに急所を膝で蹴りあげられ、翼の息が止まる。
羽交い絞めが解かれ、砂浜に崩れ落ちた翼は、ヤンキーたちにところかまわず蹴りつけられた。
靴底で顔面を踏みにじられた。口から血を流し、ひしゃげる頬に涙が伝った。
傷だらけにされた翼は、早苗たちの前まで歩かされた。
「ほら、見てもらえよ。ちっこいちんちん」
ヤンキーが翼の性器の皮をむしるように剥いた。
「ぎぎっ」
激痛が走り、翼は思わず股間を抑えて跪いた。血と涙と鼻水でぐしょぐしょになった翼の顔が、一瞬早苗の目と合った。
「ここでオナニーしろ」
吉田が翼に命令した。翼はいやいやするように首を左右に振った。
「やらないと、こいつを輪姦したあと、殺して山に埋めるぞ」
別のヤンキーがすごんだ。
「や、やめて、翼くん……」
早苗が声を振り絞った。でも、翼は寒さで縮こまった性器に手をかけた。
露出した亀頭がひりひりするうえ、手には砂粒がついていた。
「3分以内に射精しないと、ふたりとも死刑な」
亀頭がすりむけて血がにじむのもおかまいなしに、翼は必死でこすり続けた。
「顔をあげろ!」
「マスをかいているときの顔を、こいつに見せろ!」
ぎゅっと目を閉じ、翼は自慰を続けた。
「うっ、う、あぁ」
翼の性器の先からようやく精液が飛び出し、早苗の爪先に少しかかった。翼は放心状態になった。
「自分の出したものをなめろ」
「みんなの海岸は、きれいにしないとな」
ヤンキーの非情な命令が下った。翼は早苗の前で泣きながら精液をなめ取り、砂粒ごと飲み下した。
「次は翼君の初泳ぎ、いきます!」
「大空翼の水責め、開始!」
ヤンキーが胴上げのように翼を担ぎ、波打ち際に運ぶ。
「そうれぃ!」
翼は手足を1本ずつ掴まれ、大きく揺られて勢いよく投げられた。小さな体が宙を舞い、海に落ちる。
全身にすり傷を負った翼の肌に海水が染みこむ。亀頭にも染みた。
「ぐあああっ」
思わず叫ぶと、翼の口に容赦なく海水が入る。かすかな意識の向こうで、浜に立たされる早苗の姿が見える。
「もっと沖へ行け!」
「こいつも海に投げこむぞ!」
ヤンキーたちの恫喝に、翼は辛うじて背の立つところまで行った。
「歌を歌え!」
「聞こえねえぞ、もっと大声を出せ!」
口々にがなりたてるヤンキーに、翼は凍えながら声を振り絞った。
30分後、ようやく海から上がることを許された翼の第一声は、「おなかが痛い」だった。
かじかんだ両手で腹を押さえ、老朽化したエンジンのようにしきりに体を震わせている。
「トイレは無いぜ」
「ここでしろよ」
翼は朦朧としながら四つ這いになり、海に向けて脱糞した。
その様子を、ヤンキーたちに拘束された早苗も涙目で見おろした。
「くせぇ、汚ねぇ!」
さんざん罵声を浴びた翼は、首と肩の間を蹴り上げられた。翼の体が再び仰向けで海に落ちる。
水没した顔面の上を、自分の排泄物が漂っていく。
「翼君!」
早苗があわてて翼の足首を掴み、海から引きずり出す。
雄叫びのような高笑いをあげ、ヤンキーは去っていった。翼の着衣は跡形もなく砂浜から消えていた。
のどかな正月の昼下がり、暇を持て余した翼はドリブルしながら町を散策していた。
雑木林のそばの池で、南葛小の下級生が釣りに興じていた。
「みんな、サッカーしよう」
翼は屈託なく下級生に声を掛けた。
「誰、こいつ?」「あの有名なサッカー馬鹿だよ」「目を合わすなよ、無視しようぜ」
サッカーに関心のない下級生には、翼はヒーローでもなんでもなく、6年生のただのチビだ。
それでも天性のKY、翼は半ば強引に少年達を誘った。下級生たちはしぶしぶ林の中の空き地に散らばった。
みんなのノリの悪さは意に介さず、翼は嬉々としてパスを出す。ひとりがトラップし損ね、ボールが池に落ちた。
水面が盛り上がり、なぜかあねごに似た女神が両手にボールを持って現れた。
片やすり切れた使い古しのサッカーボール、片や金のサッカーボール。
「あなたの落としたボールはどっち?」
とっさに翼は、新しいスパイクや遠征の費用、欲しかったオフィシャルブックなど、頭の中で電卓を弾いた。
元気よく「金!」と答える翼に、女神は鬼のように形相を変え、怒号を浴びせた。
「うそつきはこの池に沈めてしまうよ!」
驚いた下級生のひとりが、翼のサカパンを掴んだまま腰を抜かした。
その拍子にサカパンが下着ごと足元にずれ、翼は女神の前で縮こまった陰部をさらした。
「おまえはもう、豆粒みたいな金の玉をふたつも持っているじゃないか」
せせら笑う女神に、翼は唇をかんだ。下級生たちが思わず翼の股間をのぞきこむ。
「ほんとだ」「ちいせえ……」
「それを大きくできたら、褒美をやろう」
女神が下級生たちを見回した。みんなは翼を羽交い絞めにして、性器の皮をむいてもてあそんだ。
「ちょっと……、やめろよ」
うろたえる翼の性器が勃起した。ひとりが翼の睾丸をつまんだあと、コリコリと力いっぱい握った。
「いたっ、痛い!」
翼は悲鳴をあげ、涙目になった。女神は目を細めて翼の蹂躙を堪能したあと、ボールを思いっきり投げた。
「じゃあ、ボールを返してあげる」
「うっ!」
ボールは硬く起立した翼の性器に命中し、翼は一声うなってバタリと倒れてそのまま動かなくなった。
金のボールを抱えた女神は、褒美のことを忘れたのか、いつのまにか姿を消した。
「うわっ、どうしよう」「こいつ、死んじゃったかも」「バカ、死んだらケツの穴が開くんだぞ」
下級生たちはあわてて翼の体をうつ伏せに引っくり返し、恥丘を割った。
「これって、開いてんの?」「どうかな?」「なにか突っこんでみようぜ」
ひとりが直径2㎝の棒切れを翼の肛門にグサリと挿した。激痛が脳天まで走った。
でも、恥ずかしくて彼らの顔を見られない翼は耐えた。翼が気絶したと思い込んで早く立ち去って欲しかった。
肛門に挿した棒切れをグリグリと回されたが、翼は呻き声ひとつあげなかった。
翼を取り囲んで観察していた下級生のひとりが、おもむろに微かに上下する翼の背中に土足を乗せた。
「ほんとは気がついてるって知ってるんだよ、バーカ」
それでも翼は沈黙を守った。
「あいつ、なんにもくれなかったな」「かわりにこれをもらっていこうぜ」
下級生達は翼のサカパンとパンツを掴むと、池をあとにした。
しばらくして、翼はむくっと起き上がり、肛門に刺さったままの棒切れを抜いた。
あたりは薄暗い。少し離れた場所にボールが転がっていた。
シャツの裾を延ばして片手で性器を覆うように隠すと、翼はべそをかいてドリブルしながら家路を急いだ。
車は40分ほど走って、海岸に着いた。夏は海水浴でにぎわうが、いまは閑散としている。
ヤンキーたちが車から降りてきた。男が5人、女がふたりだった。
翼は砂浜に引っ立てられた。早苗は逃げられないように、女のヤンキーに両脇から腕を掴まれた。
「ひとりだけ逃げるとか、よけいなことをしたら、あいつを輪姦すからな」
吉田が翼にささやく。人質をとられ、翼の抵抗は封じられた。
「脱げ! ここでマッパになるんだ」
翼は着ているものをのろのろと脱いでいく。パンツ一枚になったとき、早苗を一瞥した。
「早くしろ!」
翼は唇をかんでパンツに手をかけた。
「ちいせぇ、皮、被ってやがる」
「まだ毛も生えてねぇぞ」
ヤンキーたちが言葉で翼を辱めた。
「こんなチビにレギュラー取られたのかよ、吉田」
挑発された吉田が宣言した。
「これから大空翼のリンチを始めま~す!」
全裸の翼は、自分を取り囲む5人のヤンキーから殴る蹴るの暴行を受けた。
跳び蹴りを食らい、翼の小さな体は砂を跳ね上げながらもんどりうった。
夜明けまでまだ3時間以上あるのに、月明かりは翼への暴行の模様をつぶさに照らしだした。
「自分のカレシがいたぶられているところを、しっかり見ときな!」
少し離れてにやつきながらながめるヤンキーの女たちに挟まれ、早苗は泣きじゃくった。
羽交い絞めされ腹にラッシュを浴びた翼は、神社の境内で食べた五平餅とたこ焼きを吐いた。
「このボケがぁ!」
翼の吐しゃ物がかかり、ヤンキーの目がイッた。たて続けに急所を膝で蹴りあげられ、翼の息が止まる。
羽交い絞めが解かれ、砂浜に崩れ落ちた翼は、ヤンキーたちにところかまわず蹴りつけられた。
靴底で顔面を踏みにじられた。口から血を流し、ひしゃげる頬に涙が伝った。
傷だらけにされた翼は、早苗たちの前まで歩かされた。
「ほら、見てもらえよ。ちっこいちんちん」
ヤンキーが翼の性器の皮をむしるように剥いた。
「ぎぎっ」
激痛が走り、翼は思わず股間を抑えて跪いた。血と涙と鼻水でぐしょぐしょになった翼の顔が、一瞬早苗の目と合った。
「ここでオナニーしろ」
吉田が翼に命令した。翼はいやいやするように首を左右に振った。
「やらないと、こいつを輪姦したあと、殺して山に埋めるぞ」
別のヤンキーがすごんだ。
「や、やめて、翼くん……」
早苗が声を振り絞った。でも、翼は寒さで縮こまった性器に手をかけた。
露出した亀頭がひりひりするうえ、手には砂粒がついていた。
「3分以内に射精しないと、ふたりとも死刑な」
亀頭がすりむけて血がにじむのもおかまいなしに、翼は必死でこすり続けた。
「顔をあげろ!」
「マスをかいているときの顔を、こいつに見せろ!」
ぎゅっと目を閉じ、翼は自慰を続けた。
「うっ、う、あぁ」
翼の性器の先からようやく精液が飛び出し、早苗の爪先に少しかかった。翼は放心状態になった。
「自分の出したものをなめろ」
「みんなの海岸は、きれいにしないとな」
ヤンキーの非情な命令が下った。翼は早苗の前で泣きながら精液をなめ取り、砂粒ごと飲み下した。
「次は翼君の初泳ぎ、いきます!」
「大空翼の水責め、開始!」
ヤンキーが胴上げのように翼を担ぎ、波打ち際に運ぶ。
「そうれぃ!」
翼は手足を1本ずつ掴まれ、大きく揺られて勢いよく投げられた。小さな体が宙を舞い、海に落ちる。
全身にすり傷を負った翼の肌に海水が染みこむ。亀頭にも染みた。
「ぐあああっ」
思わず叫ぶと、翼の口に容赦なく海水が入る。かすかな意識の向こうで、浜に立たされる早苗の姿が見える。
「もっと沖へ行け!」
「こいつも海に投げこむぞ!」
ヤンキーたちの恫喝に、翼は辛うじて背の立つところまで行った。
「歌を歌え!」
「聞こえねえぞ、もっと大声を出せ!」
口々にがなりたてるヤンキーに、翼は凍えながら声を振り絞った。
30分後、ようやく海から上がることを許された翼の第一声は、「おなかが痛い」だった。
かじかんだ両手で腹を押さえ、老朽化したエンジンのようにしきりに体を震わせている。
「トイレは無いぜ」
「ここでしろよ」
翼は朦朧としながら四つ這いになり、海に向けて脱糞した。
その様子を、ヤンキーたちに拘束された早苗も涙目で見おろした。
「くせぇ、汚ねぇ!」
さんざん罵声を浴びた翼は、首と肩の間を蹴り上げられた。翼の体が再び仰向けで海に落ちる。
水没した顔面の上を、自分の排泄物が漂っていく。
「翼君!」
早苗があわてて翼の足首を掴み、海から引きずり出す。
雄叫びのような高笑いをあげ、ヤンキーは去っていった。翼の着衣は跡形もなく砂浜から消えていた。
のどかな正月の昼下がり、暇を持て余した翼はドリブルしながら町を散策していた。
雑木林のそばの池で、南葛小の下級生が釣りに興じていた。
「みんな、サッカーしよう」
翼は屈託なく下級生に声を掛けた。
「誰、こいつ?」「あの有名なサッカー馬鹿だよ」「目を合わすなよ、無視しようぜ」
サッカーに関心のない下級生には、翼はヒーローでもなんでもなく、6年生のただのチビだ。
それでも天性のKY、翼は半ば強引に少年達を誘った。下級生たちはしぶしぶ林の中の空き地に散らばった。
みんなのノリの悪さは意に介さず、翼は嬉々としてパスを出す。ひとりがトラップし損ね、ボールが池に落ちた。
水面が盛り上がり、なぜかあねごに似た女神が両手にボールを持って現れた。
片やすり切れた使い古しのサッカーボール、片や金のサッカーボール。
「あなたの落としたボールはどっち?」
とっさに翼は、新しいスパイクや遠征の費用、欲しかったオフィシャルブックなど、頭の中で電卓を弾いた。
元気よく「金!」と答える翼に、女神は鬼のように形相を変え、怒号を浴びせた。
「うそつきはこの池に沈めてしまうよ!」
驚いた下級生のひとりが、翼のサカパンを掴んだまま腰を抜かした。
その拍子にサカパンが下着ごと足元にずれ、翼は女神の前で縮こまった陰部をさらした。
「おまえはもう、豆粒みたいな金の玉をふたつも持っているじゃないか」
せせら笑う女神に、翼は唇をかんだ。下級生たちが思わず翼の股間をのぞきこむ。
「ほんとだ」「ちいせえ……」
「それを大きくできたら、褒美をやろう」
女神が下級生たちを見回した。みんなは翼を羽交い絞めにして、性器の皮をむいてもてあそんだ。
「ちょっと……、やめろよ」
うろたえる翼の性器が勃起した。ひとりが翼の睾丸をつまんだあと、コリコリと力いっぱい握った。
「いたっ、痛い!」
翼は悲鳴をあげ、涙目になった。女神は目を細めて翼の蹂躙を堪能したあと、ボールを思いっきり投げた。
「じゃあ、ボールを返してあげる」
「うっ!」
ボールは硬く起立した翼の性器に命中し、翼は一声うなってバタリと倒れてそのまま動かなくなった。
金のボールを抱えた女神は、褒美のことを忘れたのか、いつのまにか姿を消した。
「うわっ、どうしよう」「こいつ、死んじゃったかも」「バカ、死んだらケツの穴が開くんだぞ」
下級生たちはあわてて翼の体をうつ伏せに引っくり返し、恥丘を割った。
「これって、開いてんの?」「どうかな?」「なにか突っこんでみようぜ」
ひとりが直径2㎝の棒切れを翼の肛門にグサリと挿した。激痛が脳天まで走った。
でも、恥ずかしくて彼らの顔を見られない翼は耐えた。翼が気絶したと思い込んで早く立ち去って欲しかった。
肛門に挿した棒切れをグリグリと回されたが、翼は呻き声ひとつあげなかった。
翼を取り囲んで観察していた下級生のひとりが、おもむろに微かに上下する翼の背中に土足を乗せた。
「ほんとは気がついてるって知ってるんだよ、バーカ」
それでも翼は沈黙を守った。
「あいつ、なんにもくれなかったな」「かわりにこれをもらっていこうぜ」
下級生達は翼のサカパンとパンツを掴むと、池をあとにした。
しばらくして、翼はむくっと起き上がり、肛門に刺さったままの棒切れを抜いた。
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