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  • 2014⁄02⁄08(Sat)
  • 13:28

将太の寿司

「まずは僕の包丁技を堪能してもらうよ。」
股間の柳刃包丁をぞろりと抜き出す奥万倉。その細長くも鋭い包丁は、ぴちぴちとサヨリのように暴れている。
「行くよ関口君!」
「うああっ!」
堪らない速さで奥万倉は将太の菊門を刺し貫く。鮮血が飛び散り将太の菊門と奥万倉のサヨリを朱に染める、その艶やかな姿はまさに大輪の菊。
「これぞサヨリ万寿菊の型!」
喜悦の声を高らかに上げる将太。
「ああっ。皮ぎしの脂が!滑らかで!いいっ!」
そう、奥万倉は左手で己の柳刃の皮をすばやく剥く事で、滑らかな亀頭を作り出していたのだ!
バオッ!ガオッ!状況に似つかわしくない轟音を響かせながら、奥万倉は将太の直腸に見事な鹿の子包丁を刻んでいく。
「くっ…。見事なしまりだ関口君!」
おもむろに、奥万倉は右手の人差し指を、既に柳刃の突き刺さった穴に突き立てた。
「ひああっ…!つ、冷たい!」
「氷水に右手を浸していたのはこのためさ。」
突然の冷感によって急激にしまる将太の尻穴。その圧力に奥万倉は限界を迎える。
「父さん、母さん、親方…。見ていてください!」
絶頂のその時、奥万倉は将太からその包丁を引き抜き、赤黒い血液の混じった白濁を、将太の臀部全体に放った。将太の尻に豪奢な花が咲き誇る。
「これぞサボテンの花!」
全身の力を放ち切った奥万倉はその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。
将太は開会式での上着の臭いを思い出し、鼻の奥につんとしたものを感じた。

「次は、俺だな――」
その黒さ、その太さ、そしておじ様うっとりの見事な五分刈り。
マグロ哲。清水哲也であった。
「関口。そろそろ決着をつけよう。俺のマグロとお前の頑張り、どちらが上かを。」
すでに清水は、ご自慢のクロマグロをぶらりと無造作に放り出していた。
何という黒さだろう。そして何という艶だろう。これこそまさに近海のクロマグロ。しかも極上の大物であった。
「行くぞ関口。年季の入った職人なら必ずできる、これがナナメのペニスだ!」
何と清水は斜め45度の角度から将太の菊門を貫いたのである。
「うわああああっ!」
予想外の角度からの侵略に、獣の本性をくすぐられる将太。喉が嗄れるほどに叫んでいた。
「フフ、奥万倉。お前のサヨリは赤軸。俺のマグロは青軸なのさ。」
そう、清水のクロマグロは余りの充血ゆえに、海綿体の圧力により裏筋が青くなってしまっているのだ。
これが仕上がりで大きな差となる!さすが清水!いちばんの年季は伊達じゃないぜ!
「ああっ!し、しかし、青軸というだけではこの快感は…。」
「マグロでいちばん旨いのはその皮ぎし。俺はじっくり時間を掛けて、ゼラチン質のうまみを残しつつ、その皮ぎしをやわらかくしたのさ。坊ンズ…!」
「あっ!あっ!ああーー!なんて技術だ!」
しかし将太も負けてはいない。未成熟な将太の尻穴のしまりは、ヅケにした位では全くだれない。つい先日まで男子中学、即ちチュウボウだった面目躍如といった所か。
「こ、こいつは…。初美!初美――!」
予想を超えた新鮮な締め付け。将太のひたむきな頑張りが、今、マグロ哲を倒そうとしている。
「ああっ!」
しかし、清水は只では終わらなかった。将太の直腸の中に放った精液は、余りの充血によって赤色を呈し、その強い味わいによって将太に最後の快感を与えた。
「くふう!」
勝負は引き分け。レッツプレーオフ。もりのみんなが二人をたたえます!おめでとうおめでとう!コングラッチュレーション!スタンディングオベーション!
しかし、その時何者かの放った吹き矢が清水の頚椎を貫いた。
音も無くうち伏す清水。その姿はまさにマグロそのもの。
彼の両腕が愛しい初美をかき抱く日はもう来ない。
涼やかに輝く銀皮作りの包皮だけが、マグロ哲の最後の矜持を示していた。

「ヘヘン、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。」
その男、永遠のライバル木下藤吉――
彼の股間には見事な米俵がぶら下がっていた。
イタリア仕込みのこの俺を舐めてもらっちゃ困るぜ!そうりゃ!」
「な、何だこの快感は!」
本場イタリアでならした藤吉のじゃじゃ馬が、将太の中をかき回す。えぐり倒す。角度、大きさ、リズム、その全てが予想を超えたベクトルから将太の柔肉を蹂躙する。
「由紀姉!俺頑張るよ!」
将太の中で更に膨らむ藤吉のペニス。さすがは米農家の息子。精巣も同じ米偏である以上、その扱いは完璧に決まっていた。
「ひいっ!いい!いいよう!」
オウイッツアビューティフルサタデー。将太の理性はもはや欠片も残っていない。
うまみの泡を逃がさないように自分から腰を振る将太。米が見事に立っている。
「へへっまだまだこれだけじゃねえぜ。」
己の巨大でぬるぬるしたアナゴを自在に操りながら、時折将太の耳をガリっと噛む藤吉。ガリの刺激でアナゴのしつこさを消そうという細心の配慮。次代を担う見事な才能。
「と、藤吉…。もっと…。」
「へへっ。可愛い赤貝は真ん中からきれいに開かなくっちゃな。」
藤吉の指が将太のひくつく尻穴を広げてゆく。その美しさはチューリップの花のよう。
将太の心は花の精となってお母さんの元へと飛んでゆく。将太将太。可愛い将太。晩御飯までには帰っておいで。
「由紀姉!おれ由紀姉の事が大好きだったよ!」
何ということか。ここまでの将太と藤吉のやり取りは電話線を通じ、遠く新潟の結婚式場へと送り届けられていたのだ。
「ありがとう藤吉ちゃん。最高のスピーチだったわ。」
俺は、顔も知らない女の人に己のよがり声を聞かれていた、しかも人妻――!
キタコレ!
将太の興奮は頂点に達した。関口将太の努力の才能が最後の奇跡を起こす。
「――今、将太の未来を切り開くような、清冽な音が。」
遥か小樽の父の元までも届く澄んだ音とともに、将太の菊門は藤吉のアナゴをちぎり取っていた。
「由紀姉、俺、一番になれなかったよ…」
全力投球の男。木下藤吉、散った。
「おめでとう!」
「おめでとう!」
どこからともなく賞賛の声が降り注ぐ。
良く分からないがこれは東京の地方予選に過ぎなかったらしい。
――ああ、次は全国大会だ。
全国で、あの男たちが待っている。
大阪の輸血男が、神の右手が、最強の素人が、恐怖のヨン包丁が、傷の男が。
そして、同じ鳳寿司で修行を積んだ、あの男が。
将太の菊門を今か今かと待ち構えているのだ。
関口将太。
今や東京中のウホッいい職人の頂点に立った、若干16歳の少年。
彼の戦いは始まったばかりだ。
油断した。
決勝戦の舞台、包丁塚に向う電車。その中が既に戦場だったとは。
「へへっ兄ちゃん。東京もんなんて屁えぷーやで」
大阪弁の、この男。坂田。さっきから巧みなフィンガーテクで将太の皮をきれいに剥き続けている。
吹き抜ける快感。これがうわさの六甲おろしか。
「入れるで。」
ぬぶぶうっ。通天閣が突き抜ける。
「うああっ!ビ、ビリケンさん!ビリケンさーーん!」
将太の体内で坂田のビリケンさんがサンバを踊る。
「これが俺の十年の修行の成果や!」
サンバサンバビリケンサンバ。将太の心もサンバを踊る。
「な、何故だ!この男には僕の締め付けが通用しないんだ!」
その時だった。
「トシ!がんばれー!」「トシィーー!」「パンおいしいねん!」
子供たちだ。将太とて歴戦の兵。瞬時に悟った、坂田の力、その源を。
「わいにケツを貸してくれたこの子達のためにも、わいは負けるわけにはいかんのやー!!」
成人よりも遥かに狭い子供の尻穴。その穴に比べたら将太の締め付けなど――
「見い!俺の包丁を!」
見せつけらせた。
「こ、これは――」
黒い縞。
ブラックストライプ。
余りに狭い子供の菊穴で鍛えたがために、坂田のカツオには黒い縞が浮き出ていたのだ。
「フハハ!ワイの勝ちや!」
敗北。その言葉が将太の玉を掠めた。
「…うっ」
その時だった。坂田、倒れた。
「トシは、トシはサトシに輸血をしてやってボロボロの体やねん!」
そう、海綿体に多量の血液が流入する事で、脳幹部への血液供給が不足し、貧血を起こしたのである。
ふらつきながらも、行為を続けようとする坂田。
「さぁ…ちんちん立ったで…気もちよおて金玉落ちるで…。」

いつの間にか、電車は駅についていた。
無言のまま将太は列車を下りた。風が吹いていた。
決戦の地、包丁塚に将太は今降り立った。
「俺たち笹鮨4包丁には問題が一つある。」
それは――
「4包丁なのに三人しかいないことだ(男が)」
それはそうと、鋼の精次郎は将太の菊門に襲い掛かった。
全国大会は応用問題。いついかなる時に襲われても文句は言えないルールだ。
「非膨張カマイタチ!」
あまりのすばやいピストン運動により、ペニスが膨張していないかのように見えてしまうという非膨張カマイタチ。
素材の力を活かしきった快感に将太は既にとろけるステーキ。
「くわあああっ!いい、いいよう!」
「お次はこれやき!」
「あっ!な、何かざらざらする!ざらざらっ!ざらざら良い!ざらざら良いよう!」
「ペニスは肉か、それとも魚か?」
驚く無かれ、叶崎は己のペニスを火であぶる事により、そのうまみを活性化していたのだ。
「そして、これがウチワエビやき!」
続けざまに奥義を連発する精次郎。荒海で鍛えたペニスはまさに燃えるダイヤ。
うちわで扇ぐように己の海老を躍らせる。あえぐ将太。歯を食いしばって耐えても旨さのサブいぼが体中に走り抜ける。
将太の敗北は目前に見えた。
「飛男!その特別審査員の爺さんを持ってきてくれ!」
「分かったっス将太君!」
そう、何か今まで出てこなかったけど、そしてこの先出てくるかは分からないけど、審査員はいたのだ。
「何をする気じゃ少年!」
貫いた。
「はっ!そんな小さな海老で何をする気やき!」
「いや、ペニスの味噌と、先端をおろし金で下ろした香ばしさ…!うおおっこれはなんたる至上の快楽じゃあーーっ!」
「これは…鬼海老です!」
小さい海老でも工夫を凝らせばおいしくなる。
将太の頑張りが特別審査員の心をついにとらえたのだ。
「やるやないけ。しかしそれでも俺の寿司とは互角!まだ勝負はついとらんきに!」
「いや、少年の勝ちじゃ。」
愕然。鋼の精次郎は思わずその動きを止めた。
何故―――?俺の海老と小僧の海老と、何処が違うというのだ―――?
「理由は一つ。少年はわしを気持ちよくしてくれたが、叶崎は別に何もしてくれなかったからじゃ。」
そう、勝負の判定の権利を持つ審査員を誑かす。
援助交際にヒントを得たこの包丁こそが、包丁の奥義「援の包丁」であった。

「負けてしもうたな。おめでとうよ坊ンズ。」
鋼の精次郎。負けて尚、爽やかな男であった。
鳳寿司。床に広がる精液。
栗の花の臭い。敗北の臭い。
将太はただ快感に背筋を震わせながら、その男のことを思い出していた。

老人が叫ぶ。
「アキラ!10だ!」
しゅっしゅっしゅっ…。ぴたり10回の刺激で将太は射精していた。
「15!」
しゅっしゅっしゅっしゅ…。15回、シンコのペニスから精液が飛び出した。
神の右手。
その男の右手は、触るだけでそのペニスが何回の刺激で射精するのかが分かるのだという。
「おまえ…たいした事ねえな…。」
月岡アキラ。将太の三回戦の相手。
名刺代わりというには、刺激の強すぎる挨拶であった。
「あんな男と、僕は戦うのか…!」
将太は未だ残る快感の余韻を味わいながら、とりあえず精液の垂れた辺りにファブリーズをかけた。
「歓喜べよ。お前には本気を出してやるからよ。」
白魚が、跳ねる。
「ひいいん!ゆ、ゆるんじゃうよう!」
己の白魚で将太の尻穴を犯しつつ、必殺の神の右手で将太の白魚を責める。
白魚への快感で将太は尻穴をしめることができない。
「洗い」とよばれる高度なテクニックであった。
「いい!また、また出ちゃうよっ!」
既に将太の足元には精液の雪が積もっている。誰の目にも将太の敗北は明らかに見えた。だが。
「親方――あの大根は、こういうことだったんですね!」
将太の脳裏に、閃くものがあった。
「今から十秒後、この快感は逆転する!」
その瞬間。アキラはごぶとい違和感を己が尻穴に感じた。
激痛。
「うあああああっ!」
月岡アキラの菊門に、大根が深々と突き刺さっていた。
「ぬううう!ふ、太くて壊れちゃうよう!」
アキラの動きが止まる。
その隙を見逃さず、将太は大根を動かした。
動けないアキラ。それもそのはず、将太を犯すことでペニスに快感を与えられ、そして今やや間を置いてアナルに大根を挿されている。
この状態を「男ざまし」といい、通常よりもスムーズに快感が通ってしまうのである。
「ひいいいん!こんなの初めて!」
アキラの脳内で踊る白魚、アキラの神経を断ち切る松葉蟹。
さあ海のファッションショーだ。君もステージに上がっておいでよ。
マリンブルーの日差しに酔って、アキラ今夜は帰りたくないよ。アキラ今夜は帰りたくないよ。
月岡アキラが目を覚まして最初に見たのは、くすんだ色の病院の天井だった。
ふ、と隣を見る。そこに寝ていたのは岡田老人であった。
「あんたが、助けてくれたのか――」

大根をアナルに挿入する、その事実が何を表すか、岡田は知っていた。
肛門括約筋の断裂、陰部神経の障害。
いずれも寿司職人にとって致命的な障害である。
「このままではアキラが俺の二の舞になっちまう!」
動いていた。何かに押されるように。そう、二十年前鳳清五郎の大根に貫かれたアナルの痛みに押されるように――
アキラの尻穴から大根を引き抜くと、ためらわずに己の尻穴に差し込んだ。
そして――師弟は抱き合うように崩れ落ちた。

救急車を呼んだのは関口だという。
敗北。体でも、心でも負けた。完膚なきまでにやられてしまった。
アキラは眠っている岡田の背に向けて、言った。
「また、俺に寿司を教えてくれないか――」
老人は、起きない。もう起き上がることは無い。
穴フィラキシーショック。将太の大根の温もりは、親方によって付けられた直腸の古傷をえぐり、一瞬にして老職人のヒトとしての機能を奪い去っていたのだ。
返事をしない老人に背を向け、アキラはもう一眠りする為、布団にその身を任せた。
闘気が吹き抜けていた。
目の前の男。大年寺三郎太。
俺たち笹寿司4包丁の標的の一人である。
威風堂々たるその姿は、三面六臂の鬼神アシュラマンを思い起こさせる。
「な、何、しかし恐れる事は無い。」
そう、この男はつい昨日俺たちの策略により、地下鉄に引かれ瀕死の重傷をおっているのだ。
「そ、そのコンディションでは立つも立つまい。俺の修羅の包丁で片付けてくれるわ!」
大年寺を抱え込み、貫く。そして、高々と持ち上げる。
修羅の包丁の炸裂である。
良く分からないが周囲の外人が歓声を上げる。
「カブキ!」「ウタマーロ!」
勝った。この俺が。そう確信した瞬間であった。
――掴まれている。俺の。フォワグラが。
一息に握られた。はじけるキャビア。こぼれるトリュフ。
「次はわたしの番で良いか――?」
将太は震えていた。
思い起こしていたのだ。先程の大年寺の戦いを。

武市の背後に回ると、今までふんどしで隠していた己のアンコウをまろび出した。
ごろり。鈍い音だった。ペニスをさらしだけで音を鳴らす男など、この男しかいないだろう。
「な、何故だ!何故立つんだ!」
「お前は強い、しかしミスを犯した。経験がないとわからないかもしれないが、病院というのは何か立ってしまうのだ。」
太い。太いものが貫く。外人が喜ぶ。
「アンキモ!」「アンキモ!」「アンキモ!」
「トイレの大のほうでで一人でしていても人が入ってきて音を聞かれそうな気がするし、
カーテンを閉めていても検査や検温の時は平気でカーテンを開けるし。」
――俺のような趣味の男には、たまらぬ場所なのだ。
筆者の経験を交えて、大年寺が語り終えたとき、武市半平太の意識は既に無かった。

あの男と、再び交わる。
奥歯をかみ締める。修行の日々を、只思い返す。
三度の呼吸で、震えは止まった。
悪夢の一夜が明けようとしている。
絶海の孤島であの大年寺三郎太と二人きり。
大年寺と二人きりになる事は、生肉でできたドレスを着て、ライオンの檻に飛び込む事と似ている。
何度と無く、貫かれた。今も、犯されている。
頭が、ぐらぐ、ら、と、ゆ、れ、る。
走っているのだ。だから揺れている。しかし、その走る距離が並ではないのだ。
1キロ?2キロ?そんなものではない。
5キロ?10キロ?もっとだ。
20キロ?もっともっと長い。
35キロ。フルマラソンにも匹敵する距離を、この男は駅弁の体勢で駆け抜けているのである。
「ぬふう。」
果てた。汁が将太の腸壁を濡らす度、将太の脳にありえないほどの快感が走る。
「熟れ」に由るものである。長距離を走り、ペニスと直腸を熟れさせることでうまみを引き出す。
「熟れ」を完璧にする為に、大年寺は林檎の果汁を使ったのだという。
「また、来る。」
岩棚に将太を寝かせると、大年寺は何処かへと消えていった。
こうして将太の回復を待つのである。
情けではない。将太の感度を元に戻し、己の肉棒の味を最大限に味わわせるにするのである。
去り行く大年寺の尻穴から、将太の挿したビール瓶が毀れ落ちる。
「――敵わない…。」
夢を見ていた。
悪夢を。
この島に来て、何日たったのか。
僕は、この島に来てから、彼に犯されることしか、していない。
まず、白衣をはがされ、これまでの経験を鋭く言い当てられた。体を見るだけでだ。経験をつむと分かるのだという。
そして、船の上で犯された。嵐の中でだ。体中をシャブシャブされ、内蔵がミンチになるほど貫かれた。
大年寺が果てると同時に、周囲の海からは鯛が浮かび上がり、舞を舞った。
このあたりで僕はようやく事態の異常さに気がついた。
そして、昨日。
悪夢だった。悪夢の連続だった。
こんな事が現実のわけが無い。夢だ。幻だ。
目を覚ましたらきっととなりにシンコ君が――
目を覚ました将太の目に飛び込んできたのは、己の肛門に突き刺さった大年寺のマダコだった。
「これは伝通挿しといってな、一晩ペニスを肛門に漬け込む事により――」

神様なんていない。この世界は終わらない。
吹きぬける風の中。犯されたままの姿で横たわる将太。
もう夢は見ていない。逃げられないと知ったから。
蓄えているのだ。力を。
あの男をブチ犯すための力を。

「ほほう――!」
目つきが違う。
関口将太の目が、今日は闘志に萌えている。
こうでなくてはいけない。
男と男が交わる時は、こういう目をしていなけれはいけない。
「いざ!」
飛び掛る。菊門を広げる。挿入る。この間わずか2秒。
「あああっ!ギシギシくるよう!何かギシギシ来るよう!」
「どうした!こんなものか!」
動く。ギシギシ。将太のペニスの皮エビに刺激を加えながら、ギシギシと動く。
ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。
既に何度写生したかもわからない。ギシギシ。ギシギシ。ギシギシ。
トロリ。精液が将太の菊門から零れる。
「この瞬間を待っていたんだ!」
突如。将太が動いた。
「関口将太――!」
大年寺も。動いた。
お前の狙いは分かっている。精液を潤滑油代わりにして、俺の息子を引き抜き、逆に俺を犯そうというのだろう?
だが。惜しい。
残念だが、俺の息子は、抜けない。
噛み付く。
「うつぼ――!」
「きゃるうううん!?何これ!ちょ!あああああん!噛まれてる!」
うつぼ――
本来自律神経の領域である尿道口の開閉すら、己の意思で行う。
超人大年寺三郎太の、最後の奥の手だった。

「残念だったな。関口将太――」
しかし、勝利を確信した大年寺が見たものは、赤黒く燃える将太の瞳だった。
まだ、何か、あるのか。
動悸。鉄人大年寺三郎太。その生涯で初めての恐怖。1秒にも満たない僅かな硬直。
――そして、その一瞬の硬直が勝負を決めた。
触れていた。将太の指が。その部分に。
「終わりです。大年寺さん。」
指が、入る。ぬるりと。
それは肛門ではなかった。紛れも無く、女性器。あわび。
睾丸性女性化症候群。まれに見る奇病。両性具有。
彼の神話的な力、その源泉はこれだったのである。
「いいんですか――?初めてですよね。」
「かまわん。初めては愛する男に捧げると決めている。」
無言。動いた。
「ひいっ。い、痛い!」
破瓜の声。しがみつく。将太の肩に。肩が外れても、骨が折れても、将太は大年寺がしがみつくがままにしておいた。

無言。星が流れた。
島の夜は更けてゆく。

大年寺、行為の最中、一言だけ言った。
「なぎさ――そう呼んでくれるか。」
四人。
全国約2万のウホッいい職人の中から選ばれた。四人。
傷の男、切島傀。
最強の素人童貞、高田早苗。
絶対尻覚、佐治安人。
努力の天才、関口将太。
決着をつけるため、この地九州へと集まってきた。
四人。
控え室。
時計の針は十一時五十分を回った所だ。
この時計が午前零時を指せば、火蓋が落ちる。
将太は決勝で戦う三人の顔を思い浮かべていた――

佐治安人。もはや鳳寿司にいたこととは別人。
包丁鬼を打ち破った試合では、最高級の真珠や最新型のエアーポンプを埋め込んだ、450万のペニスをその絶対尻覚で容易に下したという。最強の、そして運命の男である。
高田早苗。最強の素人童貞の名は伊達ではない。
「これがオイの師匠とよ!」
ぬけぬけと取り出した本はふたりエッチ。並みの胆ではない。
傷の男、切島傀。この男が振るうは、針麻酔。
その針麻酔で相手の動きを止め、自由自在にもてあそぶのだという。
ペニスに深い傷を持つ男。その傷の由来を知って、なお命のある男は、いない。

皆、化け物だ。
しかし、だからこそ思いっきりぶつかっていける。
さあ行こう。
このドアを開けて――
カチリ。時計の針が午前零時、丁度を知らせた。
関口将太。電車に揺られていた。
決勝戦は四者による「九州穴取り合戦」。九州全土を股にかけた尻子玉の奪い合いである。
尻穴の奥。直腸の最奥に存在するという尻子玉。
お互いの尻子玉を奪い合い、最後に残った二者が最終決戦へと進む。
「ピンクローターをもらえるかね」
向かいの老人が売り子に声をかける。
「申し訳ありません。ピンクローターは売り切れで…」
「そんなはずは無い、あるはずだよ…ほら、ここに。」
老人の指は売り子のショーツの中に侵入し、尻穴の奥に潜むピンクローターを探り当てていた。
「あっそんな所に有ったなんて。五百円になります。」
「うむ。」
「…何て人だ。あんな菊門の奥のローターを探り当てるなんて。」
将太の驚愕をよそに、老人はホクホク顔でローターを尻に埋める。
まだ、生暖かい。
「ホッホッホ。さて、このローターはわしの尻識の眉を上げる事ができるかのう…。」
ブウウン…。動き始める。
「こ、これは…。」
老人の眉が上がってゆく。
いや、眉だけではない。目、鼻、口、全てがべりべりと音を立てて持ち上げられてゆく。
ホタルイカのタンパク質を駆使した特殊メイク。その下からもう一つの顔が現れる。
「尻子玉!頂くとよ!」
奇襲。高田早苗。
「な、何これ?ひいいん!ひぇ、変なところに当ってるのおおおお!
嬌声。狂声。驚声。将太はこれまで味わった事の無い快感に、叫ぶ事しかできなかった。
しかしそれも無理は無い。
高田の亀頭は有り得ない角度に折れ曲がっており、将太の腸壁にセオリーに無い刺激を与えているからだ。
「これがおいの首折れサオとよ!」
「きゃううん!」
動く、高田。快感で将太は身動きできない。
「一気に行くとよ!へアッ!イカシューマイ!」
高田のイカの触感が変る。
皮だ。高田は将太の菊門の中で己の亀頭に、あたかもシューマイのごとく包皮をかぶせたのだ。
「プ、フ゜リ、プリプリぃいつ!」
プリプリプリプリプリンセス天功。
将太の直腸は今まさにファンタジックイリュージョン。
ここまでか。関口将太ここまでか――?
その時であった。
「おい。何だこの臭い?」「くせえよなあ。」「どこからだよこれ。」
乗客が集まってきた。
臭いの力――
快感で手も足も動かない絶体絶命の状況で、将太はプリプリという音と共に臭いを発し、乗客を惹き寄せたのである。

「フッ。なかなかやるとね。続きはまた、後日――」
高田の去った車内。先程のピンクローターだけが、いつまでも鈍い音をたてていたと言う。
九州最南端。佐多岬。
向かい合っていた。
佐治安人。切島傀。
切島傀のピストンから、辛くも佐治が逃れた直後である。
「やるじゃねえか。」
佐治の肛門から、腸液がもれている。
ピストンから抜ける際、切島の針麻酔で、内肛門括約筋を麻痺させられているのである。
「俺の狙いは関口将太だ。前座のお前はさっさと終わらせてやるよ。」
不適に笑う切島。ここまでの攻防は圧倒的に切島優位。
「散れい!!」
切島、飛び掛る。よけきれぬ間合い。かわし切れぬ速度。だがしかし。
一陣の突風が、砂塵と共に佐治の姿を隠した。
「何ィ!」
「俺の尻は感じとっていた…この風が吹くことを。」
佐治、切島の背後。狙いは当然真ん中の井戸。
「ふぐう!み、みじゅがちがうのお!」
「終わりだ…ぬうっ!」
懇親の力を下腹に込め、奥まで突き入れた時、佐治のキジハタに切り裂かれるような痛みが走った。
「ぬあああっ!な、何だ」
「ふっ…。かかったな。これぞ直腸深層液!」
恐るべきは直腸深層液。通常より遥かに豊富なプランクトンに蝕まれ、佐治の息子は今にも崩れ落ちそうだ。
息子に触る。裏筋、尿道、袋。神経はどうやらまだつながっている様だ。
「クカカカ。その息子では俺の相手は務まるまいな。尻子玉は頂くぞ。」
「ふざけた事を抜かすな…。」
殺気。佐治の懐からだ。まだ隠し玉があるというのか。
「覚えておけ。俺の名は佐治安人だ!」
取り出した。佐治の切り札。何だ?ゴムだ!
確かにゴムをはめれば多少息子のダメージを緩和できる。
それにペニスに傷がついた状態でのアナルセックスは、非常に感染の危険性が高い。セーフセックス・ウィズコンドーム。
「フ…ならばゴムにはゴムと行こうか!」
何と切島もゴムを取り出す。目には目を。ゴムにはゴムを。しかし、このゴムは只のゴムではなかった。
「これぞ神のゴム!通常よりも遥かに快感が増す!」
疾風。挿入。快感。
「ぴいいいいいっっ!にゃあん!黄金色の…黄金水の小宇宙(コスモス)ううううううう!」
「そして、神のゴムの力を最大限に引き出す体位はこれだっ!」
動く。揺れる姿はまるで松葉。
松葉崩し。四十八手の中でも最難関と呼ばれる絶技である。
「ほ、ほのおおおおお!燃えちゃうにゃあああん!」
「クハハハハ!寿司は人を幸せになどしない!」
動きながら切島は佐治の全身を針で刺激する。麻酔ではない。その逆の、感度を高めるツボである。
「俺の寿司の前には何者もひれ伏すのだ!」
勝利を確信し、怒涛のラッシュをかける切島。その姿、まさしく寿司の悪魔。
動く。動く。佐治は余りの快感に口を利くことさえかなわない。
鬼笑。切島傀。悪鬼の笑顔。

これより十秒後、その笑顔が凍りつく。
おかしい。
佐治安人を圧倒しながら、しかし切島は違和感を感じていた。
何故、落ちない。
神のゴム、快感の針、そして松葉。ありとあらゆる手立てでこの男を責めているのに。
むしろ時間が経つに連れて、不敵な笑みさえ浮かんできている。
一体何を――その時だ。
動かぬ筈の腕が、切島の陰毛――熊本では沢蟹と呼ばれる自慢の陰毛を掴んでいた。
引き抜かれた。一気に。痛みに切り島がひるんだ隙に、佐治は松葉崩しから脱出する。
「何故だ!何故貴様は動けるんだ!」
「フ…甘いな。」
ずるり。佐治が菊門から引きずり出したのは女性用コンドーム。ペッサリーであった。
先程のゴムは攻撃の為ではなく、防御の為のものだったのだ。
「このペッサリーで快感を相殺していたというわけさ。ホウアッ!」
今度は佐治が早かった。背後に回り、ゴムをつけ、貫く。
「先程の二の舞にしてくれる!そんなゴムなど直腸深層液で溶かしきってくれるわ!」
「フフ…。このゴムをか?」
切島の脳。揺れた。未知の快感。
「ううううううう!はん!これ!これ何?」
直腸に走る初めての感覚。祭りだ祭りだイカ焼きだ。
可愛いあの子と金魚をすくい、共におどろよ盆踊り。

佐治の秘策とは一体!?

「いいいいイボッ!イボイボが!ッハアッ!当たってるぴょん!」
そう、答えはイボ。
佐治はイボイボコンドームを使うことで、直腸深層液に由る浸襲を防ぎ、さらに快感を増していたのだった。
状況によってゴムの種類を変える周到な配慮。だが佐治安人という男、これだけでは終わらない。
「そ、それに…暖かい!暖かいの!暖かくてとろけちゃうぴょん!」
温もり――
海からの寒風が吹きすさぶ佐多岬。そんな中で下半身をもろ出しにして何時間も戦っているのだ。
当然、動くごとに熱は奪われ、太ももにはセクシーなサブイボが浮かんでくる。
佐治はゴムを暖めておく事で、切島の肛門だけではなく、心をもとろけさせたのである。
「将太…。この心づかいはお前に教わったんだぜ。」
寿司の温もり――
心の温もり――

ぬるり。切島の肛門から尻子玉が落ちる。
「悪いな。もらってくぜ。」
佐治はそう言って尻子玉を掴むと、切島の唇に一度優しく口付けをした。
強かったぜ。お前。
そう言いたかったのだ。

佐治安人。切島傀を撃破。
「高田さん。決着をつけましょう。」
福岡。デパートの地下食品売り場が、関口将太と高田早苗の戦場であった。
「フフ…。いつでも来んしゃい。」
突っかけた。高田の言葉が終わらぬ内に。疾風の速度で。
滑らかな動きで息子を高田の菊門に挿入する。入った。奇妙なくらいにスムーズに。
「おやおや。こりゃあまいったばい。」
必死に腰を打ちつける将太。だが高田は全く感じていないように不敵な笑みを浮かべたままだ。
「さてと、脱出たい。」
抜けた。ぬるりと。高田は苦も無く将太のペニスを抜いてしまった。
「漬け込みばい――」
高田の尻からサラダオイルが漏れる。
高田は尻をオイルに漬け込む事で、直腸の摩擦係数を限りなくゼロに近づけ、将太のピストンを防いだのである。
「今度はこっちから行くとよ!」
迂闊――
ペニスについたサラダオイルをふき取っている隙に、将太は高田にホタルイカをぶち込まれてしまった。
「みゅうううう!はおう!プ、プリンプリン帝国の逆襲!」
しっとり甘いとろけるようなピストン。
「空気ばい。直腸から空気を追い出すことで密着感が高まり、この快感を生み出すとよ。」
Every Bady Putti`n!
いつの間にかお客さんたちが集まってきている。
皆さん見てください。僕です将太です。お尻とっても気持ちがいいんです。
ほら僕のハマグリ真っ黒でしょう?おいしいお汁がぴゅっぴゅとでますよ。
お願いだから見てってください。僕のお尻お尻お尻お尻お尻お尻お尻
僕の お尻。
終わった。
将太の笑顔を見て、高田早苗は確信した。
目の焦点が合っていない。
この笑顔は、人が壊れた時に浮かべる笑顔だからだ。
「すまん。関口しゃん。違う立場で出会えたら、親友になれたかもしれんけどね。」

誰だ?この人。よくわかんないけど、お尻気持ちーからお尻お尻気持ちーから気にしないの
関口将太。夢の中。覚めることのない夢の世界に心までもとらわれてしまったのか?
さっきから誰だよこの人。僕のお尻がきもちよくてきもちよくて多分あのお尻の漬け込みは二度漬けだからあんなに良い臭いで
山を登る将太。連山の型。鰹節シート。海に飲まれる将太。夢の世界は何処までも広く、しかし朝日の昇ることは無い。
きもひいいいきもひいいぽくはこの世の王様だ。王様だから偉いんだ。
大臣も怖くない官僚も怖くない軍人も怖くない大将も中将も少将も…少尉も総長も軍曹も。
…軍曹?
軍曹、怖い。軍曹怖い。
怖い。怖い怖いよ!サージェントは怖いよ!!
「起きやがれ将太!」
「サージェントコワイコワイ!」
跳ね起きた。
「な…!」
幽霊を見るような目で、高田は将太を見つめる。

「ラウンド2ゥ~。」
その双眸。燃えていた。

サージェントとサーヴァントは似ている。主に字面が。
そんなことを考えながら高田は将太に貫かれていた。

「どうやって戻ってきたか知らんが、何度でも夢の世界に突き落としてやるとよ!」
最速で、最短距離を。高田の動きに無駄は無かった。
ただ、関口将太のその動きが速すぎただけである。
将太。高田の背後を取り、入れた。
「またオイルで引き抜いてやるばい!」
摩擦係数0。科学はどうでも良い、問題はペニスが抜けるかどうかだ――
抜けない。
「な、何故!」
結合部から白い粉が舞い落ちる。
塩だ。
ペニスに塩をまぶし、カマを掘る。
所謂塩釜の技法で、将太は高田の漬け込みを破ったのだ。

「ううん。ひぐうっ!か、感じてなんかいないもん…!」
耐える高田。耐えろ。耐えろ。この動きならまだ耐えられる。
耐えて、耐えて、一瞬の隙をついて逆転だ。
できる。耐えられる。この程度の快感ならば――

「ひゃううううううん!?な、何?」
快感が、変った。
変ったのは、皮のめくれ具合だった。
これまでのペニスは、下ざわりを重視した五分剥き。
今のペニスは全剥き。
亀頭の露出度を高める事で、食べ味を増す。うまみも格段に変ってくるというわけだ。
「いやああああっ!もうやだっ!放してよ!放しなさいよ!」
何とかせねば。高田は己の意識と皮膚感覚を切り離す事で、この快感から逃れようとした。
そう、関係ない。俺とこの快感は関係ない。
関係ない。何も。二人が幼馴染である事も。
毎朝弁当を作ってあげていることも。
風邪をひいて修学旅行にいけなかった私に、山ほどのお土産を買ってきてくれた。
そんなことももう関係ない。
偶然だ。他の女の子と話しているとき足を踏む事も。
キスをしたあと、いつも「あんた歯磨きしなさいよね」と憎まれ口をたたく事も。
関係ない。二人は只の腐れ縁だ。
「馬鹿あ!馬鹿あっ!強がってるだけだって気付きなさいよ!もう知らない!あんたなんか知らないーーっ!!」

医務室で、意識を取り戻した。関口将太は、居なかった。
直腸に手を突っ込み、尻子玉を確かめる。無かった。
「負けた――か。」
枕元に、手紙。
手紙には「良い戦いでした。ありがとうございます。」
こんな時まで、生真面目で――
「…馬鹿。」
医務室の窓。手紙に一度口付けをして、紙飛行機にして、飛ばす。
紙飛行機。わたしの口付け。アイツのとこまで、飛んでゆけ。
私立寿司協会病院、肛門科病棟。
高田と切島は同じ病室で敗戦の傷を癒していた。
切島は入院してすぐは、あいつは卑怯だ、今度は勝つ、と喧しかったが最近は静かなものである。
まるで憑き物が落ちたようだ――
高田はそう思っていた。
「きっと佐治しゃんがあいつの憑き物を祓ってくれたとね。」
午前六時。病院の一日が始まる。今日も良い天気でお洗濯日和だ。
切島のベッドのカーテンを開ける。いつものように、静かにうつむいている切島。
しかし――
今日の切島は、違っていた。殺気。身のこなし。息子の大きささえも。
言った。当たり前のことのように。
「今から、関口将太を殺しに行く。」
傷の残るはずの体で、高々と舞い上がり、病室を出て行こうとする切島。
「ま、待ちんしゃい!大体あんたもう尻子玉が…」
手を掴まれ、切島の尻穴にねじ込まれる。高田の指が触れたのは、確かに尻子玉だった。
「佐治に取られたのは切島傀の尻子玉。ここに居るのは、切島由太さ――」
切島。飄然と消え去った。
震えが止まらない。
「切島傀…。切島由太…。」
二重の、鬼面。
佐治は、確かに切島傀という憑き物を祓ったのだろう。
しかし、憑き物という仮面をはがしたその奥に居たのは、それ以上の化け物、切島由太だった。
「――関口しゃん!!」
決戦の時、迫る。
マライアキャリーの歌声が、二人を包む。
沈み行く船。抱き合う二人。
世界の全ては二人だけで、だからこそ無限だった。

宮崎-川崎間、マリンエキスプレス。
六時半に出航したこのフェリーは、そろそろ瀬戸内海に入ろうとしている。
関口将太は九州での決戦を終え、一旦東京の鳳寿司に帰る為このフェリーに乗り込んでいた。
――来る。
「何の用です。切島傀さん。」
その顔を忘れるはずも無い。幽鬼の如きその男。
「あなたが佐治さんに破れ、尻子玉を失ったことは聞いています。僕は余計な戦いをするつもりは有りません。」
紳士的に、たぎる肉茎を抑えながらあくまでジェントルにそう答える。
男は不敵に笑い、尻ポケットに突っ込んでいた右手を、そしてその手に握りこんでいたものを露わにした。
「尻子玉――!」
「切島傀はもういない。切島由太。僕の名前だ。そう呼べ。」
一体どういうことだ。しかし尻子玉をこの男が持っている以上、戦うは宿命。交わるは運命。
「デッキに行こうか――ここじゃあ物が壊れる。」
関口将太。久し振りに、切れてしまった。
切島由太。陽炎のごとく、笑っていた。

豪雨。
切島由太。降りしきる雨風の中、その針先に微塵の狂いも無い。
既に将太の全身には無数の針が突き刺さっている。あるものは神経節をとらえ、あるものは将太の動きによって僅かにツボを外し。
確かな事は、もはや関口将太の肉体には、言う事を聞く部位よりも聞かない部位の方が多いということだ。
「頑張るねえ――笹寿司の坊ちゃんが恐れるわけだよ。」
笑いながら言う。
膝を突く将太。いや、今まで立っていたのが奇跡なのだ。
しかし、その隙を見逃す切島由太では無かった。
突く。その股間のムツはまさしく深海からの使者。
「ええええええう!ふ、深い!深いの!こんな奥まで来ちゃってどうしよう!」
尻穴の海の果て無き深海。圧力と闇と、そして孤独。
いずれも、切島傀には無かったものである。
腰を振りながら、由太が、語り始めた。
ドパアン!デッキに波が打ち寄せる。
「聞こえなかったか?俺は父を殺したといったんだ。」
「そ、そんな。君たち親子に一体何が。」
「俺はドパアン!父ドパアン!ドドドドパアン!ドドパアン!というわけだ。俺は寿司で人の心を支配するのだ!」
肝心な所は波の音で聞こえなかったが、どうやら由太の家庭も複雑らしい。
「良く分からないがあんたの寿司は間違ってる!僕は寿司で人を幸せにしてひゃん!ちょ、急に動かないで!やん!」
快感に身をよじる将太。
お互いの価値観をかけて戦う二人。これはまさに寿司の宗教戦争。
月は夜の真上。ビッキーは呟いた。
この世は全て作りモノ。だから、ネエ仕方なミャン!急に動くなってば!
挿入から三十分。
ペニスの表面の銀が全く落ちない。切島由太のペニスコントロールの何と言う見事さか。
「俺の勝ちだ!」
関口将太は、目をつぶっている。静謐なその表情は弥勒菩薩を思わせる。
「どうした勝負を投げたか!」
由太の罵声も今はもう聞こえない。地表を越え、マントルを過ぎ去り、将太は果て無き深さへとその心を潜らせているのだ。
「――これだ!」
「くわああああっ!な、何だこの快感は!と…溶ける!」
「聞こえたんだ…ペニスの声が!」
全裸でスピードスケートをするような。
全裸でビロードをまとうような。
全裸で豹と戦うような、そんな快感。
ペニスの腰。ペニスの中でも最も運動が激しく、快感を感じやすいこの部位を、将太は絶人的な陰部神経の集中で発見したのである。
「きゅううううん!きゅきゅきゅううううん!パパー!パパー!見て見て!キリンさんだよ!キリンさんが好きです!でもゾウさんはもっと好きです!」
尿道の中を滑る、滑る。汲め尽きぬ泉のように、由太の太刀魚が精液を吐き出す。
「…くぅっ!」
関口将太のダメージも深い。
体の何処にも無事なパーツは存在せず、ぐったりと力を抜いた姿はまさにマグロ。
そう、僕のマグロ尽くしはこれから始まるんだ。
残った力。精巣に残っている最後の力をかき集めて、将太は重い口を開く。
「そろそろ、ケリにしよう。」
「聞こえなかったか?決着(ケリ)にしようと言ったんだ。」
神経節をか細い電流が走る。シナプスにアセチルコリンが満ちる。
――まだ動く。三分後には動かないかもしれないが、僕の体はまだ動く。
「貴様あ!調子に乗るな!」
切島由太。その修羅が牙を剥いている。
「秘奥義!瞬殺乳首!」
針で貫く。乳首を貫く。光よりも速く。日本刀よりも鋭く。
「弾む…!はじゅむ…!いきていりゅ…!おおおおおおおお!り…輪廻っ! 」
この瞬間将太の魂は六道輪廻を駆け巡った。同時に、由太も最後の奥義のモーションに入っている。
「兄さん…これ、最後の技です。」
針を構え深い呼吸を一度。危険な技だ。しかしリスクを抱え、前に。
「300年間…外国人相手に寿司を握ってきた『きりしま』の、これが答えだ!」
突き刺した。針を。己の息子に。
途端、由太のペニスは怒涛の勢いで膨張してゆく。
この大きさ、この太さならば確かに外人も納得だ。
「兄さん…兄さんならできたはずの技だ…!」
異常な膨張。腰をグラインドさせるたび、炎で焼かれるような激痛が由太自身を襲う。
「ディック!ジョンソン!ジュニア!オオオオオオ!ボナンザアアアアア!」
「どうだ!俺は帝王だ!ナポレオン・ボナパルトですよ。私がだ!」

漆黒。
もう届かない。この男には敵わない。このペニスには敵わない。
絶望が、傷つけられた将太の脊髄に深い影を落とした。
――皮肉な事に、その影が将太の探すかすかな光を際立たせた。




2005/08/06(土) 14:03:27
その日、◆6T4IJnuB7g 氏の才能が爆発した
カオス文学キタコレwwwww

現行スレ:うわあ・・・将太の寿司のエロ小説を書いてしまったなり・・・
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1123304607/
html(途中まで)

マリオSSはこちらから



1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:03:27 ID:PzDqOYfP0
「まずは僕の包丁技を堪能してもらうよ。」
股間の柳刃包丁をぞろりと抜き出す奥万倉。その細長くも鋭い包丁は、ぴちぴちとサヨリのように暴れている。
「行くよ関口君!」
「うああっ!」
堪らない速さで奥万倉は将太の菊門を刺し貫く。鮮血が飛び散り将太の菊門と奥万倉のサヨリを朱に染める、その艶やかな姿はまさに大輪の菊。
「これぞサヨリ万寿菊の型!」
喜悦の声を高らかに上げる将太。
「ああっ。皮ぎしの脂が!滑らかで!いいっ!」
そう、奥万倉は左手で己の柳刃の皮をすばやく剥く事で、滑らかな亀頭を作り出していたのだ!
バオッ!ガオッ!状況に似つかわしくない轟音を響かせながら、奥万倉は将太の直腸に見事な鹿の子包丁を刻んでいく。
「くっ…。見事なしまりだ関口君!」
おもむろに、奥万倉は右手の人差し指を、既に柳刃の突き刺さった穴に突き立てた。
「ひああっ…!つ、冷たい!」
「氷水に右手を浸していたのはこのためさ。」
突然の冷感によって急激にしまる将太の尻穴。その圧力に奥万倉は限界を迎える。
「父さん、母さん、親方…。見ていてください!」
絶頂のその時、奥万倉は将太からその包丁を引き抜き、赤黒い血液の混じった白濁を、将太の臀部全体に放った。将太の尻に豪奢な花が咲き誇る。
「これぞサボテンの花!」
全身の力を放ち切った奥万倉はその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。
将太は開会式での上着の臭いを思い出し、鼻の奥につんとしたものを感じた。

「次は、俺だな――」
その黒さ、その太さ、そしておじ様うっとりの見事な五分刈り。
マグロ哲。清水哲也であった。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:05:58 ID:PzDqOYfP0
「関口。そろそろ決着をつけよう。俺のマグロとお前の頑張り、どちらが上かを。」
すでに清水は、ご自慢のクロマグロをぶらりと無造作に放り出していた。
何という黒さだろう。そして何という艶だろう。これこそまさに近海のクロマグロ。しかも極上の大物であった。
「行くぞ関口。年季の入った職人なら必ずできる、これがナナメのペニスだ!」
何と清水は斜め45度の角度から将太の菊門を貫いたのである。
「うわああああっ!」
予想外の角度からの侵略に、獣の本性をくすぐられる将太。喉が嗄れるほどに叫んでいた。
「フフ、奥万倉。お前のサヨリは赤軸。俺のマグロは青軸なのさ。」
そう、清水のクロマグロは余りの充血ゆえに、海綿体の圧力により裏筋が青くなってしまっているのだ。
これが仕上がりで大きな差となる!さすが清水!いちばんの年季は伊達じゃないぜ!
「ああっ!し、しかし、青軸というだけではこの快感は…。」
「マグロでいちばん旨いのはその皮ぎし。俺はじっくり時間を掛けて、ゼラチン質のうまみを残しつつ、その皮ぎしをやわらかくしたのさ。坊ンズ…!」
「あっ!あっ!ああーー!なんて技術だ!」
しかし将太も負けてはいない。未成熟な将太の尻穴のしまりは、ヅケにした位では全くだれない。つい先日まで男子中学、即ちチュウボウだった面目躍如といった所か。
「こ、こいつは…。初美!初美――!」
予想を超えた新鮮な締め付け。将太のひたむきな頑張りが、今、マグロ哲を倒そうとしている。
「ああっ!」
しかし、清水は只では終わらなかった。将太の直腸の中に放った精液は、余りの充血によって赤色を呈し、その強い味わいによって将太に最後の快感を与えた。
「くふう!」
勝負は引き分け。レッツプレーオフ。もりのみんなが二人をたたえます!おめでとうおめでとう!コングラッチュレーション!スタンディングオベーション!
しかし、その時何者かの放った吹き矢が清水の頚椎を貫いた。
音も無くうち伏す清水。その姿はまさにマグロそのもの。
彼の両腕が愛しい初美をかき抱く日はもう来ない。
涼やかに輝く銀皮作りの包皮だけが、マグロ哲の最後の矜持を示していた。

「ヘヘン、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。」
その男、永遠のライバル木下藤吉――
彼の股間には見事な米俵がぶら下がっていた。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:13:06 ID:PzDqOYfP0

イタリア仕込みのこの俺を舐めてもらっちゃ困るぜ!そうりゃ!」
「な、何だこの快感は!」
本場イタリアでならした藤吉のじゃじゃ馬が、将太の中をかき回す。えぐり倒す。角度、大きさ、リズム、その全てが予想を超えたベクトルから将太の柔肉を蹂躙する。
「由紀姉!俺頑張るよ!」
将太の中で更に膨らむ藤吉のペニス。さすがは米農家の息子。精巣も同じ米偏である以上、その扱いは完璧に決まっていた。
「ひいっ!いい!いいよう!」
オウイッツアビューティフルサタデー。将太の理性はもはや欠片も残っていない。
うまみの泡を逃がさないように自分から腰を振る将太。米が見事に立っている。
「へへっまだまだこれだけじゃねえぜ。」
己の巨大でぬるぬるしたアナゴを自在に操りながら、時折将太の耳をガリっと噛む藤吉。ガリの刺激でアナゴのしつこさを消そうという細心の配慮。次代を担う見事な才能。
「と、藤吉…。もっと…。」
「へへっ。可愛い赤貝は真ん中からきれいに開かなくっちゃな。」
藤吉の指が将太のひくつく尻穴を広げてゆく。その美しさはチューリップの花のよう。
将太の心は花の精となってお母さんの元へと飛んでゆく。将太将太。可愛い将太。晩御飯までには帰っておいで。
「由紀姉!おれ由紀姉の事が大好きだったよ!」
何ということか。ここまでの将太と藤吉のやり取りは電話線を通じ、遠く新潟の結婚式場へと送り届けられていたのだ。
「ありがとう藤吉ちゃん。最高のスピーチだったわ。」
俺は、顔も知らない女の人に己のよがり声を聞かれていた、しかも人妻――!
キタコレ!
将太の興奮は頂点に達した。関口将太の努力の才能が最後の奇跡を起こす。
「――今、将太の未来を切り開くような、清冽な音が。」
遥か小樽の父の元までも届く澄んだ音とともに、将太の菊門は藤吉のアナゴをちぎり取っていた。
「由紀姉、俺、一番になれなかったよ…」
全力投球の男。木下藤吉、散った。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:20:46 ID:PzDqOYfP0
「おめでとう!」
「おめでとう!」
どこからともなく賞賛の声が降り注ぐ。
良く分からないがこれは東京の地方予選に過ぎなかったらしい。
――ああ、次は全国大会だ。
全国で、あの男たちが待っている。
大阪の輸血男が、神の右手が、最強の素人が、恐怖のヨン包丁が、傷の男が。
そして、同じ鳳寿司で修行を積んだ、あの男が。
将太の菊門を今か今かと待ち構えているのだ。
関口将太。
今や東京中のウホッいい職人の頂点に立った、若干16歳の少年。
彼の戦いは始まったばかりだ。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:00:57 ID:PzDqOYfP0
油断した。
決勝戦の舞台、包丁塚に向う電車。その中が既に戦場だったとは。
「へへっ兄ちゃん。東京もんなんて屁えぷーやで」
大阪弁の、この男。坂田。さっきから巧みなフィンガーテクで将太の皮をきれいに剥き続けている。
吹き抜ける快感。これがうわさの六甲おろしか。
「入れるで。」
ぬぶぶうっ。通天閣が突き抜ける。
「うああっ!ビ、ビリケンさん!ビリケンさーーん!」
将太の体内で坂田のビリケンさんがサンバを踊る。
「これが俺の十年の修行の成果や!」
サンバサンバビリケンサンバ。将太の心もサンバを踊る。
「な、何故だ!この男には僕の締め付けが通用しないんだ!」
その時だった。
「トシ!がんばれー!」「トシィーー!」「パンおいしいねん!」
子供たちだ。将太とて歴戦の兵。瞬時に悟った、坂田の力、その源を。
「わいにケツを貸してくれたこの子達のためにも、わいは負けるわけにはいかんのやー!!」
成人よりも遥かに狭い子供の尻穴。その穴に比べたら将太の締め付けなど――
「見い!俺の包丁を!」
見せつけらせた。
「こ、これは――」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:03:20 ID:PzDqOYfP0
黒い縞。
ブラックストライプ。
余りに狭い子供の菊穴で鍛えたがために、坂田のカツオには黒い縞が浮き出ていたのだ。
「フハハ!ワイの勝ちや!」
敗北。その言葉が将太の玉を掠めた。
「…うっ」
その時だった。坂田、倒れた。
「トシは、トシはサトシに輸血をしてやってボロボロの体やねん!」
そう、海綿体に多量の血液が流入する事で、脳幹部への血液供給が不足し、貧血を起こしたのである。
ふらつきながらも、行為を続けようとする坂田。
「さぁ…ちんちん立ったで…気もちよおて金玉落ちるで…。」

いつの間にか、電車は駅についていた。
無言のまま将太は列車を下りた。風が吹いていた。
決戦の地、包丁塚に将太は今降り立った。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:23:42 ID:PzDqOYfP0
「俺たち笹鮨4包丁には問題が一つある。」
それは――
「4包丁なのに三人しかいないことだ(男が)」
それはそうと、鋼の精次郎は将太の菊門に襲い掛かった。
全国大会は応用問題。いついかなる時に襲われても文句は言えないルールだ。
「非膨張カマイタチ!」
あまりのすばやいピストン運動により、ペニスが膨張していないかのように見えてしまうという非膨張カマイタチ。
素材の力を活かしきった快感に将太は既にとろけるステーキ。
「くわあああっ!いい、いいよう!」
「お次はこれやき!」
「あっ!な、何かざらざらする!ざらざらっ!ざらざら良い!ざらざら良いよう!」
「ペニスは肉か、それとも魚か?」
驚く無かれ、叶崎は己のペニスを火であぶる事により、そのうまみを活性化していたのだ。
「そして、これがウチワエビやき!」
続けざまに奥義を連発する精次郎。荒海で鍛えたペニスはまさに燃えるダイヤ。
うちわで扇ぐように己の海老を躍らせる。あえぐ将太。歯を食いしばって耐えても旨さのサブいぼが体中に走り抜ける。
将太の敗北は目前に見えた。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:42:52 ID:PzDqOYfP0
「飛男!その特別審査員の爺さんを持ってきてくれ!」
「分かったっス将太君!」
そう、何か今まで出てこなかったけど、そしてこの先出てくるかは分からないけど、審査員はいたのだ。
「何をする気じゃ少年!」
貫いた。
「はっ!そんな小さな海老で何をする気やき!」
「いや、ペニスの味噌と、先端をおろし金で下ろした香ばしさ…!うおおっこれはなんたる至上の快楽じゃあーーっ!」
「これは…鬼海老です!」
小さい海老でも工夫を凝らせばおいしくなる。
将太の頑張りが特別審査員の心をついにとらえたのだ。
「やるやないけ。しかしそれでも俺の寿司とは互角!まだ勝負はついとらんきに!」
「いや、少年の勝ちじゃ。」
愕然。鋼の精次郎は思わずその動きを止めた。
何故―――?俺の海老と小僧の海老と、何処が違うというのだ―――?
「理由は一つ。少年はわしを気持ちよくしてくれたが、叶崎は別に何もしてくれなかったからじゃ。」
そう、勝負の判定の権利を持つ審査員を誑かす。
援助交際にヒントを得たこの包丁こそが、包丁の奥義「援の包丁」であった。

「負けてしもうたな。おめでとうよ坊ンズ。」
鋼の精次郎。負けて尚、爽やかな男であった。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:57:25 ID:PzDqOYfP0
鳳寿司。床に広がる精液。
栗の花の臭い。敗北の臭い。
将太はただ快感に背筋を震わせながら、その男のことを思い出していた。

老人が叫ぶ。
「アキラ!10だ!」
しゅっしゅっしゅっ…。ぴたり10回の刺激で将太は射精していた。
「15!」
しゅっしゅっしゅっしゅ…。15回、シンコのペニスから精液が飛び出した。
神の右手。
その男の右手は、触るだけでそのペニスが何回の刺激で射精するのかが分かるのだという。
「おまえ…たいした事ねえな…。」
月岡アキラ。将太の三回戦の相手。
名刺代わりというには、刺激の強すぎる挨拶であった。
「あんな男と、僕は戦うのか…!」
将太は未だ残る快感の余韻を味わいながら、とりあえず精液の垂れた辺りにファブリーズをかけた。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 16:35:24 ID:PzDqOYfP0
「歓喜べよ。お前には本気を出してやるからよ。」
白魚が、跳ねる。
「ひいいん!ゆ、ゆるんじゃうよう!」
己の白魚で将太の尻穴を犯しつつ、必殺の神の右手で将太の白魚を責める。
白魚への快感で将太は尻穴をしめることができない。
「洗い」とよばれる高度なテクニックであった。
「いい!また、また出ちゃうよっ!」
既に将太の足元には精液の雪が積もっている。誰の目にも将太の敗北は明らかに見えた。だが。
「親方――あの大根は、こういうことだったんですね!」
将太の脳裏に、閃くものがあった。
「今から十秒後、この快感は逆転する!」
その瞬間。アキラはごぶとい違和感を己が尻穴に感じた。
激痛。
「うあああああっ!」
月岡アキラの菊門に、大根が深々と突き刺さっていた。
「ぬううう!ふ、太くて壊れちゃうよう!」
アキラの動きが止まる。
その隙を見逃さず、将太は大根を動かした。
動けないアキラ。それもそのはず、将太を犯すことでペニスに快感を与えられ、そして今やや間を置いてアナルに大根を挿されている。
この状態を「男ざまし」といい、通常よりもスムーズに快感が通ってしまうのである。
「ひいいいん!こんなの初めて!」
アキラの脳内で踊る白魚、アキラの神経を断ち切る松葉蟹。
さあ海のファッションショーだ。君もステージに上がっておいでよ。
マリンブルーの日差しに酔って、アキラ今夜は帰りたくないよ。アキラ今夜は帰りたくないよ。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 16:49:48 ID:PzDqOYfP0
月岡アキラが目を覚まして最初に見たのは、くすんだ色の病院の天井だった。
ふ、と隣を見る。そこに寝ていたのは岡田老人であった。
「あんたが、助けてくれたのか――」

大根をアナルに挿入する、その事実が何を表すか、岡田は知っていた。
肛門括約筋の断裂、陰部神経の障害。
いずれも寿司職人にとって致命的な障害である。
「このままではアキラが俺の二の舞になっちまう!」
動いていた。何かに押されるように。そう、二十年前鳳清五郎の大根に貫かれたアナルの痛みに押されるように――
アキラの尻穴から大根を引き抜くと、ためらわずに己の尻穴に差し込んだ。
そして――師弟は抱き合うように崩れ落ちた。

救急車を呼んだのは関口だという。
敗北。体でも、心でも負けた。完膚なきまでにやられてしまった。
アキラは眠っている岡田の背に向けて、言った。
「また、俺に寿司を教えてくれないか――」
老人は、起きない。もう起き上がることは無い。
穴フィラキシーショック。将太の大根の温もりは、親方によって付けられた直腸の古傷をえぐり、一瞬にして老職人のヒトとしての機能を奪い去っていたのだ。
返事をしない老人に背を向け、アキラはもう一眠りする為、布団にその身を任せた。


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:03:36 ID:PzDqOYfP0
闘気が吹き抜けていた。
目の前の男。大年寺三郎太。
俺たち笹寿司4包丁の標的の一人である。
威風堂々たるその姿は、三面六臂の鬼神アシュラマンを思い起こさせる。
「な、何、しかし恐れる事は無い。」
そう、この男はつい昨日俺たちの策略により、地下鉄に引かれ瀕死の重傷をおっているのだ。
「そ、そのコンディションでは立つも立つまい。俺の修羅の包丁で片付けてくれるわ!」
大年寺を抱え込み、貫く。そして、高々と持ち上げる。
修羅の包丁の炸裂である。
良く分からないが周囲の外人が歓声を上げる。
「カブキ!」「ウタマーロ!」
勝った。この俺が。そう確信した瞬間であった。
――掴まれている。俺の。フォワグラが。
一息に握られた。はじけるキャビア。こぼれるトリュフ。
「次はわたしの番で良いか――?」


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:15:13 ID:PzDqOYfP0
将太は震えていた。
思い起こしていたのだ。先程の大年寺の戦いを。

武市の背後に回ると、今までふんどしで隠していた己のアンコウをまろび出した。
ごろり。鈍い音だった。ペニスをさらしだけで音を鳴らす男など、この男しかいないだろう。
「な、何故だ!何故立つんだ!」
「お前は強い、しかしミスを犯した。経験がないとわからないかもしれないが、病院というのは何か立ってしまうのだ。」
太い。太いものが貫く。外人が喜ぶ。
「アンキモ!」「アンキモ!」「アンキモ!」
「トイレの大のほうでで一人でしていても人が入ってきて音を聞かれそうな気がするし、
カーテンを閉めていても検査や検温の時は平気でカーテンを開けるし。」
――俺のような趣味の男には、たまらぬ場所なのだ。
筆者の経験を交えて、大年寺が語り終えたとき、武市半平太の意識は既に無かった。

あの男と、再び交わる。
奥歯をかみ締める。修行の日々を、只思い返す。
三度の呼吸で、震えは止まった。


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:36:49 ID:PzDqOYfP0
悪夢の一夜が明けようとしている。
絶海の孤島であの大年寺三郎太と二人きり。
大年寺と二人きりになる事は、生肉でできたドレスを着て、ライオンの檻に飛び込む事と似ている。
何度と無く、貫かれた。今も、犯されている。
頭が、ぐらぐ、ら、と、ゆ、れ、る。
走っているのだ。だから揺れている。しかし、その走る距離が並ではないのだ。
1キロ?2キロ?そんなものではない。
5キロ?10キロ?もっとだ。
20キロ?もっともっと長い。
35キロ。フルマラソンにも匹敵する距離を、この男は駅弁の体勢で駆け抜けているのである。
「ぬふう。」
果てた。汁が将太の腸壁を濡らす度、将太の脳にありえないほどの快感が走る。
「熟れ」に由るものである。長距離を走り、ペニスと直腸を熟れさせることでうまみを引き出す。
「熟れ」を完璧にする為に、大年寺は林檎の果汁を使ったのだという。
「また、来る。」
岩棚に将太を寝かせると、大年寺は何処かへと消えていった。
こうして将太の回復を待つのである。
情けではない。将太の感度を元に戻し、己の肉棒の味を最大限に味わわせるにするのである。
去り行く大年寺の尻穴から、将太の挿したビール瓶が毀れ落ちる。
「――敵わない…。」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:48:23 ID:PzDqOYfP0
夢を見ていた。
悪夢を。
この島に来て、何日たったのか。
僕は、この島に来てから、彼に犯されることしか、していない。
まず、白衣をはがされ、これまでの経験を鋭く言い当てられた。体を見るだけでだ。経験をつむと分かるのだという。
そして、船の上で犯された。嵐の中でだ。体中をシャブシャブされ、内蔵がミンチになるほど貫かれた。
大年寺が果てると同時に、周囲の海からは鯛が浮かび上がり、舞を舞った。
このあたりで僕はようやく事態の異常さに気がついた。
そして、昨日。
悪夢だった。悪夢の連続だった。
こんな事が現実のわけが無い。夢だ。幻だ。
目を覚ましたらきっととなりにシンコ君が――
目を覚ました将太の目に飛び込んできたのは、己の肛門に突き刺さった大年寺のマダコだった。
「これは伝通挿しといってな、一晩ペニスを肛門に漬け込む事により――」

神様なんていない。この世界は終わらない。
吹きぬける風の中。犯されたままの姿で横たわる将太。
もう夢は見ていない。逃げられないと知ったから。
蓄えているのだ。力を。
あの男をブチ犯すための力を。


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 19:08:53 ID:PzDqOYfP0
「ほほう――!」
目つきが違う。
関口将太の目が、今日は闘志に萌えている。
こうでなくてはいけない。
男と男が交わる時は、こういう目をしていなけれはいけない。
「いざ!」
飛び掛る。菊門を広げる。挿入る。この間わずか2秒。
「あああっ!ギシギシくるよう!何かギシギシ来るよう!」
「どうした!こんなものか!」
動く。ギシギシ。将太のペニスの皮エビに刺激を加えながら、ギシギシと動く。
ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。
既に何度写生したかもわからない。ギシギシ。ギシギシ。ギシギシ。
トロリ。精液が将太の菊門から零れる。
「この瞬間を待っていたんだ!」
突如。将太が動いた。
「関口将太――!」
大年寺も。動いた。
お前の狙いは分かっている。精液を潤滑油代わりにして、俺の息子を引き抜き、逆に俺を犯そうというのだろう?
だが。惜しい。
残念だが、俺の息子は、抜けない。
噛み付く。
「うつぼ――!」
「きゃるうううん!?何これ!ちょ!あああああん!噛まれてる!」
うつぼ――
本来自律神経の領域である尿道口の開閉すら、己の意思で行う。
超人大年寺三郎太の、最後の奥の手だった。


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 19:25:52 ID:PzDqOYfP0
「残念だったな。関口将太――」
しかし、勝利を確信した大年寺が見たものは、赤黒く燃える将太の瞳だった。
まだ、何か、あるのか。
動悸。鉄人大年寺三郎太。その生涯で初めての恐怖。1秒にも満たない僅かな硬直。
――そして、その一瞬の硬直が勝負を決めた。
触れていた。将太の指が。その部分に。
「終わりです。大年寺さん。」
指が、入る。ぬるりと。
それは肛門ではなかった。紛れも無く、女性器。あわび。
睾丸性女性化症候群。まれに見る奇病。両性具有。
彼の神話的な力、その源泉はこれだったのである。
「いいんですか――?初めてですよね。」
「かまわん。初めては愛する男に捧げると決めている。」
無言。動いた。
「ひいっ。い、痛い!」
破瓜の声。しがみつく。将太の肩に。肩が外れても、骨が折れても、将太は大年寺がしがみつくがままにしておいた。

無言。星が流れた。
島の夜は更けてゆく。

大年寺、行為の最中、一言だけ言った。
「なぎさ――そう呼んでくれるか。」


135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/07(日) 00:41:41 ID:Nb4bquB+0
四人。
全国約2万のウホッいい職人の中から選ばれた。四人。
傷の男、切島傀。
最強の素人童貞、高田早苗。
絶対尻覚、佐治安人。
努力の天才、関口将太。
決着をつけるため、この地九州へと集まってきた。
四人。


136 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 00:47:34 ID:Nb4bquB+0
トリ付け忘れた。

控え室。
時計の針は十一時五十分を回った所だ。
この時計が午前零時を指せば、火蓋が落ちる。
将太は決勝で戦う三人の顔を思い浮かべていた――

佐治安人。もはや鳳寿司にいたこととは別人。
包丁鬼を打ち破った試合では、最高級の真珠や最新型のエアーポンプを埋め込んだ、450万のペニスをその絶対尻覚で容易に下したという。最強の、そして運命の男である。
高田早苗。最強の素人童貞の名は伊達ではない。
「これがオイの師匠とよ!」
ぬけぬけと取り出した本はふたりエッチ。並みの胆ではない。
傷の男、切島傀。この男が振るうは、針麻酔。
その針麻酔で相手の動きを止め、自由自在にもてあそぶのだという。
ペニスに深い傷を持つ男。その傷の由来を知って、なお命のある男は、いない。

皆、化け物だ。
しかし、だからこそ思いっきりぶつかっていける。
さあ行こう。
このドアを開けて――
カチリ。時計の針が午前零時、丁度を知らせた。


164 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 09:58:57 ID:Nb4bquB+0
関口将太。電車に揺られていた。
決勝戦は四者による「九州穴取り合戦」。九州全土を股にかけた尻子玉の奪い合いである。
尻穴の奥。直腸の最奥に存在するという尻子玉。
お互いの尻子玉を奪い合い、最後に残った二者が最終決戦へと進む。
「ピンクローターをもらえるかね」
向かいの老人が売り子に声をかける。
「申し訳ありません。ピンクローターは売り切れで…」
「そんなはずは無い、あるはずだよ…ほら、ここに。」
老人の指は売り子のショーツの中に侵入し、尻穴の奥に潜むピンクローターを探り当てていた。
「あっそんな所に有ったなんて。五百円になります。」
「うむ。」
「…何て人だ。あんな菊門の奥のローターを探り当てるなんて。」
将太の驚愕をよそに、老人はホクホク顔でローターを尻に埋める。
まだ、生暖かい。
「ホッホッホ。さて、このローターはわしの尻識の眉を上げる事ができるかのう…。」
ブウウン…。動き始める。
「こ、これは…。」
老人の眉が上がってゆく。
いや、眉だけではない。目、鼻、口、全てがべりべりと音を立てて持ち上げられてゆく。
ホタルイカのタンパク質を駆使した特殊メイク。その下からもう一つの顔が現れる。
「尻子玉!頂くとよ!」
奇襲。高田早苗。


169 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 10:27:22 ID:Nb4bquB+0
「な、何これ?ひいいん!ひぇ、変なところに当ってるのおおおお!
嬌声。狂声。驚声。将太はこれまで味わった事の無い快感に、叫ぶ事しかできなかった。
しかしそれも無理は無い。
高田の亀頭は有り得ない角度に折れ曲がっており、将太の腸壁にセオリーに無い刺激を与えているからだ。
「これがおいの首折れサオとよ!」
「きゃううん!」
動く、高田。快感で将太は身動きできない。
「一気に行くとよ!へアッ!イカシューマイ!」
高田のイカの触感が変る。
皮だ。高田は将太の菊門の中で己の亀頭に、あたかもシューマイのごとく包皮をかぶせたのだ。
「プ、フ゜リ、プリプリぃいつ!」
プリプリプリプリプリンセス天功。
将太の直腸は今まさにファンタジックイリュージョン。
ここまでか。関口将太ここまでか――?
その時であった。
「おい。何だこの臭い?」「くせえよなあ。」「どこからだよこれ。」
乗客が集まってきた。
臭いの力――
快感で手も足も動かない絶体絶命の状況で、将太はプリプリという音と共に臭いを発し、乗客を惹き寄せたのである。

「フッ。なかなかやるとね。続きはまた、後日――」
高田の去った車内。先程のピンクローターだけが、いつまでも鈍い音をたてていたと言う。


179 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 13:47:26 ID:Nb4bquB+0
九州最南端。佐多岬。
向かい合っていた。
佐治安人。切島傀。
切島傀のピストンから、辛くも佐治が逃れた直後である。
「やるじゃねえか。」
佐治の肛門から、腸液がもれている。
ピストンから抜ける際、切島の針麻酔で、内肛門括約筋を麻痺させられているのである。
「俺の狙いは関口将太だ。前座のお前はさっさと終わらせてやるよ。」
不適に笑う切島。ここまでの攻防は圧倒的に切島優位。
「散れい!!」
切島、飛び掛る。よけきれぬ間合い。かわし切れぬ速度。だがしかし。
一陣の突風が、砂塵と共に佐治の姿を隠した。
「何ィ!」
「俺の尻は感じとっていた…この風が吹くことを。」
佐治、切島の背後。狙いは当然真ん中の井戸。
「ふぐう!み、みじゅがちがうのお!」
「終わりだ…ぬうっ!」
懇親の力を下腹に込め、奥まで突き入れた時、佐治のキジハタに切り裂かれるような痛みが走った。
「ぬあああっ!な、何だ」
「ふっ…。かかったな。これぞ直腸深層液!」
恐るべきは直腸深層液。通常より遥かに豊富なプランクトンに蝕まれ、佐治の息子は今にも崩れ落ちそうだ。


184 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:13:18 ID:Nb4bquB+0
息子に触る。裏筋、尿道、袋。神経はどうやらまだつながっている様だ。
「クカカカ。その息子では俺の相手は務まるまいな。尻子玉は頂くぞ。」
「ふざけた事を抜かすな…。」
殺気。佐治の懐からだ。まだ隠し玉があるというのか。
「覚えておけ。俺の名は佐治安人だ!」
取り出した。佐治の切り札。何だ?ゴムだ!
確かにゴムをはめれば多少息子のダメージを緩和できる。
それにペニスに傷がついた状態でのアナルセックスは、非常に感染の危険性が高い。セーフセックス・ウィズコンドーム。
「フ…ならばゴムにはゴムと行こうか!」
何と切島もゴムを取り出す。目には目を。ゴムにはゴムを。しかし、このゴムは只のゴムではなかった。
「これぞ神のゴム!通常よりも遥かに快感が増す!」
疾風。挿入。快感。
「ぴいいいいいっっ!にゃあん!黄金色の…黄金水の小宇宙(コスモス)ううううううう!」
「そして、神のゴムの力を最大限に引き出す体位はこれだっ!」
動く。揺れる姿はまるで松葉。
松葉崩し。四十八手の中でも最難関と呼ばれる絶技である。
「ほ、ほのおおおおお!燃えちゃうにゃあああん!」
「クハハハハ!寿司は人を幸せになどしない!」
動きながら切島は佐治の全身を針で刺激する。麻酔ではない。その逆の、感度を高めるツボである。
「俺の寿司の前には何者もひれ伏すのだ!」
勝利を確信し、怒涛のラッシュをかける切島。その姿、まさしく寿司の悪魔。
動く。動く。佐治は余りの快感に口を利くことさえかなわない。
鬼笑。切島傀。悪鬼の笑顔。

これより十秒後、その笑顔が凍りつく。


191 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:33:26 ID:Nb4bquB+0
おかしい。
佐治安人を圧倒しながら、しかし切島は違和感を感じていた。
何故、落ちない。
神のゴム、快感の針、そして松葉。ありとあらゆる手立てでこの男を責めているのに。
むしろ時間が経つに連れて、不敵な笑みさえ浮かんできている。
一体何を――その時だ。
動かぬ筈の腕が、切島の陰毛――熊本では沢蟹と呼ばれる自慢の陰毛を掴んでいた。
引き抜かれた。一気に。痛みに切り島がひるんだ隙に、佐治は松葉崩しから脱出する。
「何故だ!何故貴様は動けるんだ!」
「フ…甘いな。」
ずるり。佐治が菊門から引きずり出したのは女性用コンドーム。ペッサリーであった。
先程のゴムは攻撃の為ではなく、防御の為のものだったのだ。
「このペッサリーで快感を相殺していたというわけさ。ホウアッ!」
今度は佐治が早かった。背後に回り、ゴムをつけ、貫く。
「先程の二の舞にしてくれる!そんなゴムなど直腸深層液で溶かしきってくれるわ!」
「フフ…。このゴムをか?」
切島の脳。揺れた。未知の快感。
「ううううううう!はん!これ!これ何?」
直腸に走る初めての感覚。祭りだ祭りだイカ焼きだ。
可愛いあの子と金魚をすくい、共におどろよ盆踊り。

佐治の秘策とは一体!?


194 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:49:02 ID:Nb4bquB+0
「いいいいイボッ!イボイボが!ッハアッ!当たってるぴょん!」
そう、答えはイボ。
佐治はイボイボコンドームを使うことで、直腸深層液に由る浸襲を防ぎ、さらに快感を増していたのだった。
状況によってゴムの種類を変える周到な配慮。だが佐治安人という男、これだけでは終わらない。
「そ、それに…暖かい!暖かいの!暖かくてとろけちゃうぴょん!」
温もり――
海からの寒風が吹きすさぶ佐多岬。そんな中で下半身をもろ出しにして何時間も戦っているのだ。
当然、動くごとに熱は奪われ、太ももにはセクシーなサブイボが浮かんでくる。
佐治はゴムを暖めておく事で、切島の肛門だけではなく、心をもとろけさせたのである。
「将太…。この心づかいはお前に教わったんだぜ。」
寿司の温もり――
心の温もり――

ぬるり。切島の肛門から尻子玉が落ちる。
「悪いな。もらってくぜ。」
佐治はそう言って尻子玉を掴むと、切島の唇に一度優しく口付けをした。
強かったぜ。お前。
そう言いたかったのだ。

佐治安人。切島傀を撃破。


201: ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:16:04 ID:Nb4bquB+0
「高田さん。決着をつけましょう。」
福岡。デパートの地下食品売り場が、関口将太と高田早苗の戦場であった。
「フフ…。いつでも来んしゃい。」
突っかけた。高田の言葉が終わらぬ内に。疾風の速度で。
滑らかな動きで息子を高田の菊門に挿入する。入った。奇妙なくらいにスムーズに。
「おやおや。こりゃあまいったばい。」
必死に腰を打ちつける将太。だが高田は全く感じていないように不敵な笑みを浮かべたままだ。
「さてと、脱出たい。」
抜けた。ぬるりと。高田は苦も無く将太のペニスを抜いてしまった。
「漬け込みばい――」
高田の尻からサラダオイルが漏れる。
高田は尻をオイルに漬け込む事で、直腸の摩擦係数を限りなくゼロに近づけ、将太のピストンを防いだのである。
「今度はこっちから行くとよ!」
迂闊――
ペニスについたサラダオイルをふき取っている隙に、将太は高田にホタルイカをぶち込まれてしまった。
「みゅうううう!はおう!プ、プリンプリン帝国の逆襲!」
しっとり甘いとろけるようなピストン。
「空気ばい。直腸から空気を追い出すことで密着感が高まり、この快感を生み出すとよ。」
Every Bady Putti`n!
いつの間にかお客さんたちが集まってきている。
皆さん見てください。僕です将太です。お尻とっても気持ちがいいんです。
ほら僕のハマグリ真っ黒でしょう?おいしいお汁がぴゅっぴゅとでますよ。
お願いだから見てってください。僕のお尻お尻お尻お尻お尻お尻お尻
僕の お尻。


205 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:32:59 ID:Nb4bquB+0
終わった。
将太の笑顔を見て、高田早苗は確信した。
目の焦点が合っていない。
この笑顔は、人が壊れた時に浮かべる笑顔だからだ。
「すまん。関口しゃん。違う立場で出会えたら、親友になれたかもしれんけどね。」

誰だ?この人。よくわかんないけど、お尻気持ちーからお尻お尻気持ちーから気にしないの
関口将太。夢の中。覚めることのない夢の世界に心までもとらわれてしまったのか?
さっきから誰だよこの人。僕のお尻がきもちよくてきもちよくて多分あのお尻の漬け込みは二度漬けだからあんなに良い臭いで
山を登る将太。連山の型。鰹節シート。海に飲まれる将太。夢の世界は何処までも広く、しかし朝日の昇ることは無い。
きもひいいいきもひいいぽくはこの世の王様だ。王様だから偉いんだ。
大臣も怖くない官僚も怖くない軍人も怖くない大将も中将も少将も…少尉も総長も軍曹も。
…軍曹?
軍曹、怖い。軍曹怖い。
怖い。怖い怖いよ!サージェントは怖いよ!!
「起きやがれ将太!」
「サージェントコワイコワイ!」
跳ね起きた。
「な…!」
幽霊を見るような目で、高田は将太を見つめる。

「ラウンド2ゥ~。」
その双眸。燃えていた。


209 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:56:31 ID:Nb4bquB+0
サージェントとサーヴァントは似ている。主に字面が。
そんなことを考えながら高田は将太に貫かれていた。

「どうやって戻ってきたか知らんが、何度でも夢の世界に突き落としてやるとよ!」
最速で、最短距離を。高田の動きに無駄は無かった。
ただ、関口将太のその動きが速すぎただけである。
将太。高田の背後を取り、入れた。
「またオイルで引き抜いてやるばい!」
摩擦係数0。科学はどうでも良い、問題はペニスが抜けるかどうかだ――
抜けない。
「な、何故!」
結合部から白い粉が舞い落ちる。
塩だ。
ペニスに塩をまぶし、カマを掘る。
所謂塩釜の技法で、将太は高田の漬け込みを破ったのだ。

「ううん。ひぐうっ!か、感じてなんかいないもん…!」
耐える高田。耐えろ。耐えろ。この動きならまだ耐えられる。
耐えて、耐えて、一瞬の隙をついて逆転だ。
できる。耐えられる。この程度の快感ならば――

「ひゃううううううん!?な、何?」
快感が、変った。


214 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 16:15:43 ID:Nb4bquB+0
変ったのは、皮のめくれ具合だった。
これまでのペニスは、下ざわりを重視した五分剥き。
今のペニスは全剥き。
亀頭の露出度を高める事で、食べ味を増す。うまみも格段に変ってくるというわけだ。
「いやああああっ!もうやだっ!放してよ!放しなさいよ!」
何とかせねば。高田は己の意識と皮膚感覚を切り離す事で、この快感から逃れようとした。
そう、関係ない。俺とこの快感は関係ない。
関係ない。何も。二人が幼馴染である事も。
毎朝弁当を作ってあげていることも。
風邪をひいて修学旅行にいけなかった私に、山ほどのお土産を買ってきてくれた。
そんなことももう関係ない。
偶然だ。他の女の子と話しているとき足を踏む事も。
キスをしたあと、いつも「あんた歯磨きしなさいよね」と憎まれ口をたたく事も。
関係ない。二人は只の腐れ縁だ。
「馬鹿あ!馬鹿あっ!強がってるだけだって気付きなさいよ!もう知らない!あんたなんか知らないーーっ!!」

医務室で、意識を取り戻した。関口将太は、居なかった。
直腸に手を突っ込み、尻子玉を確かめる。無かった。
「負けた――か。」
枕元に、手紙。
手紙には「良い戦いでした。ありがとうございます。」
こんな時まで、生真面目で――
「…馬鹿。」
医務室の窓。手紙に一度口付けをして、紙飛行機にして、飛ばす。
紙飛行機。わたしの口付け。アイツのとこまで、飛んでゆけ。


218 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 16:31:01 ID:Nb4bquB+0
私立寿司協会病院、肛門科病棟。
高田と切島は同じ病室で敗戦の傷を癒していた。
切島は入院してすぐは、あいつは卑怯だ、今度は勝つ、と喧しかったが最近は静かなものである。
まるで憑き物が落ちたようだ――
高田はそう思っていた。
「きっと佐治しゃんがあいつの憑き物を祓ってくれたとね。」
午前六時。病院の一日が始まる。今日も良い天気でお洗濯日和だ。
切島のベッドのカーテンを開ける。いつものように、静かにうつむいている切島。
しかし――
今日の切島は、違っていた。殺気。身のこなし。息子の大きささえも。
言った。当たり前のことのように。
「今から、関口将太を殺しに行く。」
傷の残るはずの体で、高々と舞い上がり、病室を出て行こうとする切島。
「ま、待ちんしゃい!大体あんたもう尻子玉が…」
手を掴まれ、切島の尻穴にねじ込まれる。高田の指が触れたのは、確かに尻子玉だった。
「佐治に取られたのは切島傀の尻子玉。ここに居るのは、切島由太さ――」
切島。飄然と消え去った。
震えが止まらない。
「切島傀…。切島由太…。」
二重の、鬼面。
佐治は、確かに切島傀という憑き物を祓ったのだろう。
しかし、憑き物という仮面をはがしたその奥に居たのは、それ以上の化け物、切島由太だった。
「――関口しゃん!!」
決戦の時、迫る。


291 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:06:44 ID:ONv/hE0u0
マライアキャリーの歌声が、二人を包む。
沈み行く船。抱き合う二人。
世界の全ては二人だけで、だからこそ無限だった。

宮崎-川崎間、マリンエキスプレス。
六時半に出航したこのフェリーは、そろそろ瀬戸内海に入ろうとしている。
関口将太は九州での決戦を終え、一旦東京の鳳寿司に帰る為このフェリーに乗り込んでいた。
――来る。
「何の用です。切島傀さん。」
その顔を忘れるはずも無い。幽鬼の如きその男。
「あなたが佐治さんに破れ、尻子玉を失ったことは聞いています。僕は余計な戦いをするつもりは有りません。」
紳士的に、たぎる肉茎を抑えながらあくまでジェントルにそう答える。
男は不敵に笑い、尻ポケットに突っ込んでいた右手を、そしてその手に握りこんでいたものを露わにした。
「尻子玉――!」
「切島傀はもういない。切島由太。僕の名前だ。そう呼べ。」
一体どういうことだ。しかし尻子玉をこの男が持っている以上、戦うは宿命。交わるは運命。
「デッキに行こうか――ここじゃあ物が壊れる。」
関口将太。久し振りに、切れてしまった。
切島由太。陽炎のごとく、笑っていた。


300 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:19:58 ID:ONv/hE0u0
豪雨。
切島由太。降りしきる雨風の中、その針先に微塵の狂いも無い。
既に将太の全身には無数の針が突き刺さっている。あるものは神経節をとらえ、あるものは将太の動きによって僅かにツボを外し。
確かな事は、もはや関口将太の肉体には、言う事を聞く部位よりも聞かない部位の方が多いということだ。
「頑張るねえ――笹寿司の坊ちゃんが恐れるわけだよ。」
笑いながら言う。
膝を突く将太。いや、今まで立っていたのが奇跡なのだ。
しかし、その隙を見逃す切島由太では無かった。
突く。その股間のムツはまさしく深海からの使者。
「ええええええう!ふ、深い!深いの!こんな奥まで来ちゃってどうしよう!」
尻穴の海の果て無き深海。圧力と闇と、そして孤独。
いずれも、切島傀には無かったものである。
腰を振りながら、由太が、語り始めた。
ドパアン!デッキに波が打ち寄せる。
「聞こえなかったか?俺は父を殺したといったんだ。」
「そ、そんな。君たち親子に一体何が。」
「俺はドパアン!父ドパアン!ドドドドパアン!ドドパアン!というわけだ。俺は寿司で人の心を支配するのだ!」
肝心な所は波の音で聞こえなかったが、どうやら由太の家庭も複雑らしい。
「良く分からないがあんたの寿司は間違ってる!僕は寿司で人を幸せにしてひゃん!ちょ、急に動かないで!やん!」
快感に身をよじる将太。
お互いの価値観をかけて戦う二人。これはまさに寿司の宗教戦争。
月は夜の真上。ビッキーは呟いた。
この世は全て作りモノ。だから、ネエ仕方なミャン!急に動くなってば!


307 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:36:54 ID:ONv/hE0u0
挿入から三十分。
ペニスの表面の銀が全く落ちない。切島由太のペニスコントロールの何と言う見事さか。
「俺の勝ちだ!」
関口将太は、目をつぶっている。静謐なその表情は弥勒菩薩を思わせる。
「どうした勝負を投げたか!」
由太の罵声も今はもう聞こえない。地表を越え、マントルを過ぎ去り、将太は果て無き深さへとその心を潜らせているのだ。
「――これだ!」
「くわああああっ!な、何だこの快感は!と…溶ける!」
「聞こえたんだ…ペニスの声が!」
全裸でスピードスケートをするような。
全裸でビロードをまとうような。
全裸で豹と戦うような、そんな快感。
ペニスの腰。ペニスの中でも最も運動が激しく、快感を感じやすいこの部位を、将太は絶人的な陰部神経の集中で発見したのである。
「きゅううううん!きゅきゅきゅううううん!パパー!パパー!見て見て!キリンさんだよ!キリンさんが好きです!でもゾウさんはもっと好きです!」
尿道の中を滑る、滑る。汲め尽きぬ泉のように、由太の太刀魚が精液を吐き出す。
「…くぅっ!」
関口将太のダメージも深い。
体の何処にも無事なパーツは存在せず、ぐったりと力を抜いた姿はまさにマグロ。
そう、僕のマグロ尽くしはこれから始まるんだ。
残った力。精巣に残っている最後の力をかき集めて、将太は重い口を開く。
「そろそろ、ケリにしよう。」


346 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 10:46:57 ID:ONv/hE0u0
「聞こえなかったか?決着(ケリ)にしようと言ったんだ。」
神経節をか細い電流が走る。シナプスにアセチルコリンが満ちる。
――まだ動く。三分後には動かないかもしれないが、僕の体はまだ動く。
「貴様あ!調子に乗るな!」
切島由太。その修羅が牙を剥いている。
「秘奥義!瞬殺乳首!」
針で貫く。乳首を貫く。光よりも速く。日本刀よりも鋭く。
「弾む…!はじゅむ…!いきていりゅ…!おおおおおおおお!り…輪廻っ! 」
この瞬間将太の魂は六道輪廻を駆け巡った。同時に、由太も最後の奥義のモーションに入っている。
「兄さん…これ、最後の技です。」
針を構え深い呼吸を一度。危険な技だ。しかしリスクを抱え、前に。
「300年間…外国人相手に寿司を握ってきた『きりしま』の、これが答えだ!」
突き刺した。針を。己の息子に。
途端、由太のペニスは怒涛の勢いで膨張してゆく。
この大きさ、この太さならば確かに外人も納得だ。
「兄さん…兄さんならできたはずの技だ…!」
異常な膨張。腰をグラインドさせるたび、炎で焼かれるような激痛が由太自身を襲う。
「ディック!ジョンソン!ジュニア!オオオオオオ!ボナンザアアアアア!」
「どうだ!俺は帝王だ!ナポレオン・ボナパルトですよ。私がだ!」

漆黒。
もう届かない。この男には敵わない。このペニスには敵わない。
絶望が、傷つけられた将太の脊髄に深い影を落とした。
――皮肉な事に、その影が将太の探すかすかな光を際立たせた。


353: ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 11:03:00 ID:ONv/hE0u0
甘い。甘い。甘い。
切島由太の心は、遠く長崎の出島へと飛んでいた。
この味は――カステラ。ポルトガルから来ました。
お母さんは行っちゃった。異人さんに連れられて行っちゃった。
あの日からお父さんは変った。幾度と無くペニスに針を突き刺した。膿んで、歪んでいくペニス。
その歪みは、まるで父さんの心を映しす水面のようだった。

煙。
由太の驚愕も無理は無かった。
ペニスにかつて無い快楽を感じた瞬間、己のペニスからモクモクと煙が吹き出していたのだ。
「―――な!何だあああああああ!これはあああああああああ!」
「真に美味なる快感に出会えば、人はただチンモクあるのみじゃ。」
突如現れた老紳士が言う。どうやらこの船の船長らしい。
チンモク。
古代中国、三国時代。
魏志に曰く、曹操、男ヲ愛シ、感ズルト御子息カラ発煙スルヲ以ッテ可トス。
読者諸氏にも経験があろう。快感が閾値を越えれば、チンチンは自ずとモクモク煙を発する。
「全て見させてもらったよ。少年、君の勝ちだ。」
轟音。傾斜。
氷山が将太達の目の前で船にめり込んでゆく。
「――しまった!君たちに夢中になって見張りを忘れとった!」
切島由太。最後に残された力で老紳士の喉笛を貫いた。

沈む。水の上にはもう船首しかでていない。
将太はまるで映画の一シーンのように、由太を後ろから抱えていた。
「すまない…。俺のせいで。」
「…セ・ラ・ヴィ。」
――これも人生。
関口将太の寿司の温もりが、切島由太の凍てついた心を溶かした瞬間だった。

ジムキャリーの歌声が、二人を包む。
沈み行く船。抱き合う二人。
世界の全ては二人だけで、だからこそ無限だった。

「お前は、生きろ。」
切島由太は最期の力で、己の息子を強く、強くこすった。
発射。マグナム。
飛び出した精子、人知を超えたその運動エネルギーは関口将太を天高く持ち上げ、土佐は桂浜まで吹き飛ばした。
「人の心を…幸せにする寿司か。生まれ変わったら俺もそんな寿司を握る職人になるよ。」
再び、波。
朝日が瀬戸内を照らした時、切島由太の姿は何処にも無かった。
かもめ埠頭。午前十時。
たこ焼きの臭いで切島由太は目を覚ました。
「…俺は、生きているのか…。」
三度、咳き込んだ。血の味のする海水が、肺腑の奥から湧き出す。その味が、生命の確かな感触を由太に伝えた。
「おう、目ぇ覚めたか。」
細い目。太い声。ニヒルながらも愛嬌を感じさせるその笑み。
由太の雇い主――笹木剛司だった。
パンツ一丁。ぐしょぐしょになったミッソーニのスーツが、カラマツの木にぶら下がっていた。
「すまない…。関口を倒せなかったばかりか、こんな事まで。」
「良いって事よ。職人(おめえ)の体は経営者(俺)の財産(宝)だからな。ほら、喰え。熱いぞ。」
たこ焼き。ハフハフ。熱い。思い出す、母の笑顔。
「…この味を、忘れていた。いや、思い出さないようにしていたんだ。思い出すのが辛いから。」
――あいつは、全てを抱えて戦っていた。辛い思いを、流した涙を。己の体を通り抜けていった全ての男たちを。
「俺は、負けるべくして負けたんだな。」
「ああ、みっともねえくらいに。気持ち良いくらいに負けたな。」
「――これから、どうすれば良いと思う?」
問うた。笹寿司との契約には、関口将太の打倒という条項が入っていた。契約を破った以上、この男の下にいられない。
「何を言ってやがる。おめえはウチの看板職人じゃねえか。」
「――な。」
「あの関口とあそこまでやれる奴は他にはいねえよ。ウチでまた修行を積んで、今度はあいつをぶったおしてやんな。」
涙。
何故気がつかなかったのだろう。この男の微笑。その限りの無い暖かさに。
切島由太。修羅の涙。
笹木剛司。慈母の微笑。
小樽。曇天。
しかし関口将他の心にかかった雲に比べれば、日本晴れも同然であった。
関口源二が巴寿司の厨房で、肛門にニガウリを挿したまま倒れているのが発見されたのは前日の午前七時。
以来、源二の意識は戻らない。
美春。溢れる涙をぬぐおうともしない。
「お父ちゃん、お兄ちゃんに負けられないって…。毎日毎日深夜まで…。」
厨房に転がっていた無数の食材。
葱、胡瓜、大根、人参、牛蒡、セロリ。
病んだ体に鞭打って、菊門を鍛えたり、セロリが好きだったりしたのだろう。
父が腸液を滲ませてズボンを下ろす姿、将太にははっきりと見えた。
「父ちゃん…父ちゃんが死んじゃったら僕はどうしたら良いんだ!」

その夜。夢を見た。
朝もやの林道。
父は将太に張型を渡し、言った。
「これは、父ちゃんと母ちゃんがプレイに使ったバイブだ」
静かに震える命のバトン。
受け取ったのは命。父の生きた証。
託されたのはバトン。今度は僕が命を刻んでゆく。
道。伸びてゆく。どこまでも。

朝。肛門に大漁旗を刺したままの鶴丸に、将太は静かに言った。
「東京に戻る。僕の戦場に。」
佐治。
待っていた。一人静かに。
時計の針、午後一時までは後何分も無い。
しかし――
「将太は間に合わぬかも知れん。」
しかし――
針が12時59分を示す。後1分で、関口将太の不戦敗が決まる。
だが、しかし――
「奴は来ます。絶対に。」

果たして、将太は来た。
引力。
佐治安人と関口将太。
巨大な惑星と惑星の間に働くもの。
二人が今日この場で合間見えることは、宇宙創生のビッグバンの刻より定められていた、超天文学的運命だったに違いない。

二人。
「さぁ――始めようぜ。これがオレとお前の…最後の勝負だ!」
「――はい!」
黙示録の戦いが、始まろうとしている。

僕は、幸福だ。
将太君。佐治さん。
鳳寿司で僕が追いかけてきた二つの背中が、今こうして最高の舞台でぶつかり合っている。
たぎるペニス。迸る精液。
焼き付ける。この瞳に。脳髄に。海馬に。陰嚢に。陰茎に。
とめどもなく流れ落ちる涙をぬぐいながら、僕は一つの決意を固めた。
――長生きをしよう。百まで生きよう。
この戦いの事を、一人でも多くの人に語り継ぐ為に。

大観衆。大歓声。
しかし戦いは静かに始まった。
向かい合うは二つの巨星。
佐治安人。関口将太。
にらみ合う。獣の目で。
ばらり。ばらり。二人同時に白衣を脱ぎ捨てた。
全裸で、見つめあう。既に勝負は始まっている。
言った。同時に。
「ふふ…。将太よ。新鮮なコハダの臭いがプンプン匂うぜ。小樽の漁港で青カンとしゃれ込んだと見えるな。」
「佐治さんこそ…。新幹線の座席で何をしていたんです。陰嚢の表面の粒が僅かにとろけていますよ」
にやり。にやり。
笑った。同時に。

第一段階、目利き。全くの互角。
全裸の鬼が二人。全身から脂汗を流し、至福の笑みを浮かべていた。



2005/08/06(土) 14:03:27
その日、◆6T4IJnuB7g 氏の才能が爆発した
カオス文学キタコレwwwww

現行スレ:うわあ・・・将太の寿司のエロ小説を書いてしまったなり・・・
http://ex11.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1123304607/
html(途中まで)

マリオSSはこちらから



1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:03:27 ID:PzDqOYfP0
「まずは僕の包丁技を堪能してもらうよ。」
股間の柳刃包丁をぞろりと抜き出す奥万倉。その細長くも鋭い包丁は、ぴちぴちとサヨリのように暴れている。
「行くよ関口君!」
「うああっ!」
堪らない速さで奥万倉は将太の菊門を刺し貫く。鮮血が飛び散り将太の菊門と奥万倉のサヨリを朱に染める、その艶やかな姿はまさに大輪の菊。
「これぞサヨリ万寿菊の型!」
喜悦の声を高らかに上げる将太。
「ああっ。皮ぎしの脂が!滑らかで!いいっ!」
そう、奥万倉は左手で己の柳刃の皮をすばやく剥く事で、滑らかな亀頭を作り出していたのだ!
バオッ!ガオッ!状況に似つかわしくない轟音を響かせながら、奥万倉は将太の直腸に見事な鹿の子包丁を刻んでいく。
「くっ…。見事なしまりだ関口君!」
おもむろに、奥万倉は右手の人差し指を、既に柳刃の突き刺さった穴に突き立てた。
「ひああっ…!つ、冷たい!」
「氷水に右手を浸していたのはこのためさ。」
突然の冷感によって急激にしまる将太の尻穴。その圧力に奥万倉は限界を迎える。
「父さん、母さん、親方…。見ていてください!」
絶頂のその時、奥万倉は将太からその包丁を引き抜き、赤黒い血液の混じった白濁を、将太の臀部全体に放った。将太の尻に豪奢な花が咲き誇る。
「これぞサボテンの花!」
全身の力を放ち切った奥万倉はその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。
将太は開会式での上着の臭いを思い出し、鼻の奥につんとしたものを感じた。

「次は、俺だな――」
その黒さ、その太さ、そしておじ様うっとりの見事な五分刈り。
マグロ哲。清水哲也であった。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:05:58 ID:PzDqOYfP0
「関口。そろそろ決着をつけよう。俺のマグロとお前の頑張り、どちらが上かを。」
すでに清水は、ご自慢のクロマグロをぶらりと無造作に放り出していた。
何という黒さだろう。そして何という艶だろう。これこそまさに近海のクロマグロ。しかも極上の大物であった。
「行くぞ関口。年季の入った職人なら必ずできる、これがナナメのペニスだ!」
何と清水は斜め45度の角度から将太の菊門を貫いたのである。
「うわああああっ!」
予想外の角度からの侵略に、獣の本性をくすぐられる将太。喉が嗄れるほどに叫んでいた。
「フフ、奥万倉。お前のサヨリは赤軸。俺のマグロは青軸なのさ。」
そう、清水のクロマグロは余りの充血ゆえに、海綿体の圧力により裏筋が青くなってしまっているのだ。
これが仕上がりで大きな差となる!さすが清水!いちばんの年季は伊達じゃないぜ!
「ああっ!し、しかし、青軸というだけではこの快感は…。」
「マグロでいちばん旨いのはその皮ぎし。俺はじっくり時間を掛けて、ゼラチン質のうまみを残しつつ、その皮ぎしをやわらかくしたのさ。坊ンズ…!」
「あっ!あっ!ああーー!なんて技術だ!」
しかし将太も負けてはいない。未成熟な将太の尻穴のしまりは、ヅケにした位では全くだれない。つい先日まで男子中学、即ちチュウボウだった面目躍如といった所か。
「こ、こいつは…。初美!初美――!」
予想を超えた新鮮な締め付け。将太のひたむきな頑張りが、今、マグロ哲を倒そうとしている。
「ああっ!」
しかし、清水は只では終わらなかった。将太の直腸の中に放った精液は、余りの充血によって赤色を呈し、その強い味わいによって将太に最後の快感を与えた。
「くふう!」
勝負は引き分け。レッツプレーオフ。もりのみんなが二人をたたえます!おめでとうおめでとう!コングラッチュレーション!スタンディングオベーション!
しかし、その時何者かの放った吹き矢が清水の頚椎を貫いた。
音も無くうち伏す清水。その姿はまさにマグロそのもの。
彼の両腕が愛しい初美をかき抱く日はもう来ない。
涼やかに輝く銀皮作りの包皮だけが、マグロ哲の最後の矜持を示していた。

「ヘヘン、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ。」
その男、永遠のライバル木下藤吉――
彼の股間には見事な米俵がぶら下がっていた。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:13:06 ID:PzDqOYfP0

イタリア仕込みのこの俺を舐めてもらっちゃ困るぜ!そうりゃ!」
「な、何だこの快感は!」
本場イタリアでならした藤吉のじゃじゃ馬が、将太の中をかき回す。えぐり倒す。角度、大きさ、リズム、その全てが予想を超えたベクトルから将太の柔肉を蹂躙する。
「由紀姉!俺頑張るよ!」
将太の中で更に膨らむ藤吉のペニス。さすがは米農家の息子。精巣も同じ米偏である以上、その扱いは完璧に決まっていた。
「ひいっ!いい!いいよう!」
オウイッツアビューティフルサタデー。将太の理性はもはや欠片も残っていない。
うまみの泡を逃がさないように自分から腰を振る将太。米が見事に立っている。
「へへっまだまだこれだけじゃねえぜ。」
己の巨大でぬるぬるしたアナゴを自在に操りながら、時折将太の耳をガリっと噛む藤吉。ガリの刺激でアナゴのしつこさを消そうという細心の配慮。次代を担う見事な才能。
「と、藤吉…。もっと…。」
「へへっ。可愛い赤貝は真ん中からきれいに開かなくっちゃな。」
藤吉の指が将太のひくつく尻穴を広げてゆく。その美しさはチューリップの花のよう。
将太の心は花の精となってお母さんの元へと飛んでゆく。将太将太。可愛い将太。晩御飯までには帰っておいで。
「由紀姉!おれ由紀姉の事が大好きだったよ!」
何ということか。ここまでの将太と藤吉のやり取りは電話線を通じ、遠く新潟の結婚式場へと送り届けられていたのだ。
「ありがとう藤吉ちゃん。最高のスピーチだったわ。」
俺は、顔も知らない女の人に己のよがり声を聞かれていた、しかも人妻――!
キタコレ!
将太の興奮は頂点に達した。関口将太の努力の才能が最後の奇跡を起こす。
「――今、将太の未来を切り開くような、清冽な音が。」
遥か小樽の父の元までも届く澄んだ音とともに、将太の菊門は藤吉のアナゴをちぎり取っていた。
「由紀姉、俺、一番になれなかったよ…」
全力投球の男。木下藤吉、散った。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 14:20:46 ID:PzDqOYfP0
「おめでとう!」
「おめでとう!」
どこからともなく賞賛の声が降り注ぐ。
良く分からないがこれは東京の地方予選に過ぎなかったらしい。
――ああ、次は全国大会だ。
全国で、あの男たちが待っている。
大阪の輸血男が、神の右手が、最強の素人が、恐怖のヨン包丁が、傷の男が。
そして、同じ鳳寿司で修行を積んだ、あの男が。
将太の菊門を今か今かと待ち構えているのだ。
関口将太。
今や東京中のウホッいい職人の頂点に立った、若干16歳の少年。
彼の戦いは始まったばかりだ。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:00:57 ID:PzDqOYfP0
油断した。
決勝戦の舞台、包丁塚に向う電車。その中が既に戦場だったとは。
「へへっ兄ちゃん。東京もんなんて屁えぷーやで」
大阪弁の、この男。坂田。さっきから巧みなフィンガーテクで将太の皮をきれいに剥き続けている。
吹き抜ける快感。これがうわさの六甲おろしか。
「入れるで。」
ぬぶぶうっ。通天閣が突き抜ける。
「うああっ!ビ、ビリケンさん!ビリケンさーーん!」
将太の体内で坂田のビリケンさんがサンバを踊る。
「これが俺の十年の修行の成果や!」
サンバサンバビリケンサンバ。将太の心もサンバを踊る。
「な、何故だ!この男には僕の締め付けが通用しないんだ!」
その時だった。
「トシ!がんばれー!」「トシィーー!」「パンおいしいねん!」
子供たちだ。将太とて歴戦の兵。瞬時に悟った、坂田の力、その源を。
「わいにケツを貸してくれたこの子達のためにも、わいは負けるわけにはいかんのやー!!」
成人よりも遥かに狭い子供の尻穴。その穴に比べたら将太の締め付けなど――
「見い!俺の包丁を!」
見せつけらせた。
「こ、これは――」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:03:20 ID:PzDqOYfP0
黒い縞。
ブラックストライプ。
余りに狭い子供の菊穴で鍛えたがために、坂田のカツオには黒い縞が浮き出ていたのだ。
「フハハ!ワイの勝ちや!」
敗北。その言葉が将太の玉を掠めた。
「…うっ」
その時だった。坂田、倒れた。
「トシは、トシはサトシに輸血をしてやってボロボロの体やねん!」
そう、海綿体に多量の血液が流入する事で、脳幹部への血液供給が不足し、貧血を起こしたのである。
ふらつきながらも、行為を続けようとする坂田。
「さぁ…ちんちん立ったで…気もちよおて金玉落ちるで…。」

いつの間にか、電車は駅についていた。
無言のまま将太は列車を下りた。風が吹いていた。
決戦の地、包丁塚に将太は今降り立った。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:23:42 ID:PzDqOYfP0
「俺たち笹鮨4包丁には問題が一つある。」
それは――
「4包丁なのに三人しかいないことだ(男が)」
それはそうと、鋼の精次郎は将太の菊門に襲い掛かった。
全国大会は応用問題。いついかなる時に襲われても文句は言えないルールだ。
「非膨張カマイタチ!」
あまりのすばやいピストン運動により、ペニスが膨張していないかのように見えてしまうという非膨張カマイタチ。
素材の力を活かしきった快感に将太は既にとろけるステーキ。
「くわあああっ!いい、いいよう!」
「お次はこれやき!」
「あっ!な、何かざらざらする!ざらざらっ!ざらざら良い!ざらざら良いよう!」
「ペニスは肉か、それとも魚か?」
驚く無かれ、叶崎は己のペニスを火であぶる事により、そのうまみを活性化していたのだ。
「そして、これがウチワエビやき!」
続けざまに奥義を連発する精次郎。荒海で鍛えたペニスはまさに燃えるダイヤ。
うちわで扇ぐように己の海老を躍らせる。あえぐ将太。歯を食いしばって耐えても旨さのサブいぼが体中に走り抜ける。
将太の敗北は目前に見えた。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:42:52 ID:PzDqOYfP0
「飛男!その特別審査員の爺さんを持ってきてくれ!」
「分かったっス将太君!」
そう、何か今まで出てこなかったけど、そしてこの先出てくるかは分からないけど、審査員はいたのだ。
「何をする気じゃ少年!」
貫いた。
「はっ!そんな小さな海老で何をする気やき!」
「いや、ペニスの味噌と、先端をおろし金で下ろした香ばしさ…!うおおっこれはなんたる至上の快楽じゃあーーっ!」
「これは…鬼海老です!」
小さい海老でも工夫を凝らせばおいしくなる。
将太の頑張りが特別審査員の心をついにとらえたのだ。
「やるやないけ。しかしそれでも俺の寿司とは互角!まだ勝負はついとらんきに!」
「いや、少年の勝ちじゃ。」
愕然。鋼の精次郎は思わずその動きを止めた。
何故―――?俺の海老と小僧の海老と、何処が違うというのだ―――?
「理由は一つ。少年はわしを気持ちよくしてくれたが、叶崎は別に何もしてくれなかったからじゃ。」
そう、勝負の判定の権利を持つ審査員を誑かす。
援助交際にヒントを得たこの包丁こそが、包丁の奥義「援の包丁」であった。

「負けてしもうたな。おめでとうよ坊ンズ。」
鋼の精次郎。負けて尚、爽やかな男であった。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 15:57:25 ID:PzDqOYfP0
鳳寿司。床に広がる精液。
栗の花の臭い。敗北の臭い。
将太はただ快感に背筋を震わせながら、その男のことを思い出していた。

老人が叫ぶ。
「アキラ!10だ!」
しゅっしゅっしゅっ…。ぴたり10回の刺激で将太は射精していた。
「15!」
しゅっしゅっしゅっしゅ…。15回、シンコのペニスから精液が飛び出した。
神の右手。
その男の右手は、触るだけでそのペニスが何回の刺激で射精するのかが分かるのだという。
「おまえ…たいした事ねえな…。」
月岡アキラ。将太の三回戦の相手。
名刺代わりというには、刺激の強すぎる挨拶であった。
「あんな男と、僕は戦うのか…!」
将太は未だ残る快感の余韻を味わいながら、とりあえず精液の垂れた辺りにファブリーズをかけた。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 16:35:24 ID:PzDqOYfP0
「歓喜べよ。お前には本気を出してやるからよ。」
白魚が、跳ねる。
「ひいいん!ゆ、ゆるんじゃうよう!」
己の白魚で将太の尻穴を犯しつつ、必殺の神の右手で将太の白魚を責める。
白魚への快感で将太は尻穴をしめることができない。
「洗い」とよばれる高度なテクニックであった。
「いい!また、また出ちゃうよっ!」
既に将太の足元には精液の雪が積もっている。誰の目にも将太の敗北は明らかに見えた。だが。
「親方――あの大根は、こういうことだったんですね!」
将太の脳裏に、閃くものがあった。
「今から十秒後、この快感は逆転する!」
その瞬間。アキラはごぶとい違和感を己が尻穴に感じた。
激痛。
「うあああああっ!」
月岡アキラの菊門に、大根が深々と突き刺さっていた。
「ぬううう!ふ、太くて壊れちゃうよう!」
アキラの動きが止まる。
その隙を見逃さず、将太は大根を動かした。
動けないアキラ。それもそのはず、将太を犯すことでペニスに快感を与えられ、そして今やや間を置いてアナルに大根を挿されている。
この状態を「男ざまし」といい、通常よりもスムーズに快感が通ってしまうのである。
「ひいいいん!こんなの初めて!」
アキラの脳内で踊る白魚、アキラの神経を断ち切る松葉蟹。
さあ海のファッションショーだ。君もステージに上がっておいでよ。
マリンブルーの日差しに酔って、アキラ今夜は帰りたくないよ。アキラ今夜は帰りたくないよ。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 16:49:48 ID:PzDqOYfP0
月岡アキラが目を覚まして最初に見たのは、くすんだ色の病院の天井だった。
ふ、と隣を見る。そこに寝ていたのは岡田老人であった。
「あんたが、助けてくれたのか――」

大根をアナルに挿入する、その事実が何を表すか、岡田は知っていた。
肛門括約筋の断裂、陰部神経の障害。
いずれも寿司職人にとって致命的な障害である。
「このままではアキラが俺の二の舞になっちまう!」
動いていた。何かに押されるように。そう、二十年前鳳清五郎の大根に貫かれたアナルの痛みに押されるように――
アキラの尻穴から大根を引き抜くと、ためらわずに己の尻穴に差し込んだ。
そして――師弟は抱き合うように崩れ落ちた。

救急車を呼んだのは関口だという。
敗北。体でも、心でも負けた。完膚なきまでにやられてしまった。
アキラは眠っている岡田の背に向けて、言った。
「また、俺に寿司を教えてくれないか――」
老人は、起きない。もう起き上がることは無い。
穴フィラキシーショック。将太の大根の温もりは、親方によって付けられた直腸の古傷をえぐり、一瞬にして老職人のヒトとしての機能を奪い去っていたのだ。
返事をしない老人に背を向け、アキラはもう一眠りする為、布団にその身を任せた。


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:03:36 ID:PzDqOYfP0
闘気が吹き抜けていた。
目の前の男。大年寺三郎太。
俺たち笹寿司4包丁の標的の一人である。
威風堂々たるその姿は、三面六臂の鬼神アシュラマンを思い起こさせる。
「な、何、しかし恐れる事は無い。」
そう、この男はつい昨日俺たちの策略により、地下鉄に引かれ瀕死の重傷をおっているのだ。
「そ、そのコンディションでは立つも立つまい。俺の修羅の包丁で片付けてくれるわ!」
大年寺を抱え込み、貫く。そして、高々と持ち上げる。
修羅の包丁の炸裂である。
良く分からないが周囲の外人が歓声を上げる。
「カブキ!」「ウタマーロ!」
勝った。この俺が。そう確信した瞬間であった。
――掴まれている。俺の。フォワグラが。
一息に握られた。はじけるキャビア。こぼれるトリュフ。
「次はわたしの番で良いか――?」


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:15:13 ID:PzDqOYfP0
将太は震えていた。
思い起こしていたのだ。先程の大年寺の戦いを。

武市の背後に回ると、今までふんどしで隠していた己のアンコウをまろび出した。
ごろり。鈍い音だった。ペニスをさらしだけで音を鳴らす男など、この男しかいないだろう。
「な、何故だ!何故立つんだ!」
「お前は強い、しかしミスを犯した。経験がないとわからないかもしれないが、病院というのは何か立ってしまうのだ。」
太い。太いものが貫く。外人が喜ぶ。
「アンキモ!」「アンキモ!」「アンキモ!」
「トイレの大のほうでで一人でしていても人が入ってきて音を聞かれそうな気がするし、
カーテンを閉めていても検査や検温の時は平気でカーテンを開けるし。」
――俺のような趣味の男には、たまらぬ場所なのだ。
筆者の経験を交えて、大年寺が語り終えたとき、武市半平太の意識は既に無かった。

あの男と、再び交わる。
奥歯をかみ締める。修行の日々を、只思い返す。
三度の呼吸で、震えは止まった。


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:36:49 ID:PzDqOYfP0
悪夢の一夜が明けようとしている。
絶海の孤島であの大年寺三郎太と二人きり。
大年寺と二人きりになる事は、生肉でできたドレスを着て、ライオンの檻に飛び込む事と似ている。
何度と無く、貫かれた。今も、犯されている。
頭が、ぐらぐ、ら、と、ゆ、れ、る。
走っているのだ。だから揺れている。しかし、その走る距離が並ではないのだ。
1キロ?2キロ?そんなものではない。
5キロ?10キロ?もっとだ。
20キロ?もっともっと長い。
35キロ。フルマラソンにも匹敵する距離を、この男は駅弁の体勢で駆け抜けているのである。
「ぬふう。」
果てた。汁が将太の腸壁を濡らす度、将太の脳にありえないほどの快感が走る。
「熟れ」に由るものである。長距離を走り、ペニスと直腸を熟れさせることでうまみを引き出す。
「熟れ」を完璧にする為に、大年寺は林檎の果汁を使ったのだという。
「また、来る。」
岩棚に将太を寝かせると、大年寺は何処かへと消えていった。
こうして将太の回復を待つのである。
情けではない。将太の感度を元に戻し、己の肉棒の味を最大限に味わわせるにするのである。
去り行く大年寺の尻穴から、将太の挿したビール瓶が毀れ落ちる。
「――敵わない…。」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 18:48:23 ID:PzDqOYfP0
夢を見ていた。
悪夢を。
この島に来て、何日たったのか。
僕は、この島に来てから、彼に犯されることしか、していない。
まず、白衣をはがされ、これまでの経験を鋭く言い当てられた。体を見るだけでだ。経験をつむと分かるのだという。
そして、船の上で犯された。嵐の中でだ。体中をシャブシャブされ、内蔵がミンチになるほど貫かれた。
大年寺が果てると同時に、周囲の海からは鯛が浮かび上がり、舞を舞った。
このあたりで僕はようやく事態の異常さに気がついた。
そして、昨日。
悪夢だった。悪夢の連続だった。
こんな事が現実のわけが無い。夢だ。幻だ。
目を覚ましたらきっととなりにシンコ君が――
目を覚ました将太の目に飛び込んできたのは、己の肛門に突き刺さった大年寺のマダコだった。
「これは伝通挿しといってな、一晩ペニスを肛門に漬け込む事により――」

神様なんていない。この世界は終わらない。
吹きぬける風の中。犯されたままの姿で横たわる将太。
もう夢は見ていない。逃げられないと知ったから。
蓄えているのだ。力を。
あの男をブチ犯すための力を。


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 19:08:53 ID:PzDqOYfP0
「ほほう――!」
目つきが違う。
関口将太の目が、今日は闘志に萌えている。
こうでなくてはいけない。
男と男が交わる時は、こういう目をしていなけれはいけない。
「いざ!」
飛び掛る。菊門を広げる。挿入る。この間わずか2秒。
「あああっ!ギシギシくるよう!何かギシギシ来るよう!」
「どうした!こんなものか!」
動く。ギシギシ。将太のペニスの皮エビに刺激を加えながら、ギシギシと動く。
ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。ギシギシ。動き続ける。
既に何度写生したかもわからない。ギシギシ。ギシギシ。ギシギシ。
トロリ。精液が将太の菊門から零れる。
「この瞬間を待っていたんだ!」
突如。将太が動いた。
「関口将太――!」
大年寺も。動いた。
お前の狙いは分かっている。精液を潤滑油代わりにして、俺の息子を引き抜き、逆に俺を犯そうというのだろう?
だが。惜しい。
残念だが、俺の息子は、抜けない。
噛み付く。
「うつぼ――!」
「きゃるうううん!?何これ!ちょ!あああああん!噛まれてる!」
うつぼ――
本来自律神経の領域である尿道口の開閉すら、己の意思で行う。
超人大年寺三郎太の、最後の奥の手だった。


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/06(土) 19:25:52 ID:PzDqOYfP0
「残念だったな。関口将太――」
しかし、勝利を確信した大年寺が見たものは、赤黒く燃える将太の瞳だった。
まだ、何か、あるのか。
動悸。鉄人大年寺三郎太。その生涯で初めての恐怖。1秒にも満たない僅かな硬直。
――そして、その一瞬の硬直が勝負を決めた。
触れていた。将太の指が。その部分に。
「終わりです。大年寺さん。」
指が、入る。ぬるりと。
それは肛門ではなかった。紛れも無く、女性器。あわび。
睾丸性女性化症候群。まれに見る奇病。両性具有。
彼の神話的な力、その源泉はこれだったのである。
「いいんですか――?初めてですよね。」
「かまわん。初めては愛する男に捧げると決めている。」
無言。動いた。
「ひいっ。い、痛い!」
破瓜の声。しがみつく。将太の肩に。肩が外れても、骨が折れても、将太は大年寺がしがみつくがままにしておいた。

無言。星が流れた。
島の夜は更けてゆく。

大年寺、行為の最中、一言だけ言った。
「なぎさ――そう呼んでくれるか。」


135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/08/07(日) 00:41:41 ID:Nb4bquB+0
四人。
全国約2万のウホッいい職人の中から選ばれた。四人。
傷の男、切島傀。
最強の素人童貞、高田早苗。
絶対尻覚、佐治安人。
努力の天才、関口将太。
決着をつけるため、この地九州へと集まってきた。
四人。


136 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 00:47:34 ID:Nb4bquB+0
トリ付け忘れた。

控え室。
時計の針は十一時五十分を回った所だ。
この時計が午前零時を指せば、火蓋が落ちる。
将太は決勝で戦う三人の顔を思い浮かべていた――

佐治安人。もはや鳳寿司にいたこととは別人。
包丁鬼を打ち破った試合では、最高級の真珠や最新型のエアーポンプを埋め込んだ、450万のペニスをその絶対尻覚で容易に下したという。最強の、そして運命の男である。
高田早苗。最強の素人童貞の名は伊達ではない。
「これがオイの師匠とよ!」
ぬけぬけと取り出した本はふたりエッチ。並みの胆ではない。
傷の男、切島傀。この男が振るうは、針麻酔。
その針麻酔で相手の動きを止め、自由自在にもてあそぶのだという。
ペニスに深い傷を持つ男。その傷の由来を知って、なお命のある男は、いない。

皆、化け物だ。
しかし、だからこそ思いっきりぶつかっていける。
さあ行こう。
このドアを開けて――
カチリ。時計の針が午前零時、丁度を知らせた。


164 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 09:58:57 ID:Nb4bquB+0
関口将太。電車に揺られていた。
決勝戦は四者による「九州穴取り合戦」。九州全土を股にかけた尻子玉の奪い合いである。
尻穴の奥。直腸の最奥に存在するという尻子玉。
お互いの尻子玉を奪い合い、最後に残った二者が最終決戦へと進む。
「ピンクローターをもらえるかね」
向かいの老人が売り子に声をかける。
「申し訳ありません。ピンクローターは売り切れで…」
「そんなはずは無い、あるはずだよ…ほら、ここに。」
老人の指は売り子のショーツの中に侵入し、尻穴の奥に潜むピンクローターを探り当てていた。
「あっそんな所に有ったなんて。五百円になります。」
「うむ。」
「…何て人だ。あんな菊門の奥のローターを探り当てるなんて。」
将太の驚愕をよそに、老人はホクホク顔でローターを尻に埋める。
まだ、生暖かい。
「ホッホッホ。さて、このローターはわしの尻識の眉を上げる事ができるかのう…。」
ブウウン…。動き始める。
「こ、これは…。」
老人の眉が上がってゆく。
いや、眉だけではない。目、鼻、口、全てがべりべりと音を立てて持ち上げられてゆく。
ホタルイカのタンパク質を駆使した特殊メイク。その下からもう一つの顔が現れる。
「尻子玉!頂くとよ!」
奇襲。高田早苗。


169 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 10:27:22 ID:Nb4bquB+0
「な、何これ?ひいいん!ひぇ、変なところに当ってるのおおおお!
嬌声。狂声。驚声。将太はこれまで味わった事の無い快感に、叫ぶ事しかできなかった。
しかしそれも無理は無い。
高田の亀頭は有り得ない角度に折れ曲がっており、将太の腸壁にセオリーに無い刺激を与えているからだ。
「これがおいの首折れサオとよ!」
「きゃううん!」
動く、高田。快感で将太は身動きできない。
「一気に行くとよ!へアッ!イカシューマイ!」
高田のイカの触感が変る。
皮だ。高田は将太の菊門の中で己の亀頭に、あたかもシューマイのごとく包皮をかぶせたのだ。
「プ、フ゜リ、プリプリぃいつ!」
プリプリプリプリプリンセス天功。
将太の直腸は今まさにファンタジックイリュージョン。
ここまでか。関口将太ここまでか――?
その時であった。
「おい。何だこの臭い?」「くせえよなあ。」「どこからだよこれ。」
乗客が集まってきた。
臭いの力――
快感で手も足も動かない絶体絶命の状況で、将太はプリプリという音と共に臭いを発し、乗客を惹き寄せたのである。

「フッ。なかなかやるとね。続きはまた、後日――」
高田の去った車内。先程のピンクローターだけが、いつまでも鈍い音をたてていたと言う。


179 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 13:47:26 ID:Nb4bquB+0
九州最南端。佐多岬。
向かい合っていた。
佐治安人。切島傀。
切島傀のピストンから、辛くも佐治が逃れた直後である。
「やるじゃねえか。」
佐治の肛門から、腸液がもれている。
ピストンから抜ける際、切島の針麻酔で、内肛門括約筋を麻痺させられているのである。
「俺の狙いは関口将太だ。前座のお前はさっさと終わらせてやるよ。」
不適に笑う切島。ここまでの攻防は圧倒的に切島優位。
「散れい!!」
切島、飛び掛る。よけきれぬ間合い。かわし切れぬ速度。だがしかし。
一陣の突風が、砂塵と共に佐治の姿を隠した。
「何ィ!」
「俺の尻は感じとっていた…この風が吹くことを。」
佐治、切島の背後。狙いは当然真ん中の井戸。
「ふぐう!み、みじゅがちがうのお!」
「終わりだ…ぬうっ!」
懇親の力を下腹に込め、奥まで突き入れた時、佐治のキジハタに切り裂かれるような痛みが走った。
「ぬあああっ!な、何だ」
「ふっ…。かかったな。これぞ直腸深層液!」
恐るべきは直腸深層液。通常より遥かに豊富なプランクトンに蝕まれ、佐治の息子は今にも崩れ落ちそうだ。


184 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:13:18 ID:Nb4bquB+0
息子に触る。裏筋、尿道、袋。神経はどうやらまだつながっている様だ。
「クカカカ。その息子では俺の相手は務まるまいな。尻子玉は頂くぞ。」
「ふざけた事を抜かすな…。」
殺気。佐治の懐からだ。まだ隠し玉があるというのか。
「覚えておけ。俺の名は佐治安人だ!」
取り出した。佐治の切り札。何だ?ゴムだ!
確かにゴムをはめれば多少息子のダメージを緩和できる。
それにペニスに傷がついた状態でのアナルセックスは、非常に感染の危険性が高い。セーフセックス・ウィズコンドーム。
「フ…ならばゴムにはゴムと行こうか!」
何と切島もゴムを取り出す。目には目を。ゴムにはゴムを。しかし、このゴムは只のゴムではなかった。
「これぞ神のゴム!通常よりも遥かに快感が増す!」
疾風。挿入。快感。
「ぴいいいいいっっ!にゃあん!黄金色の…黄金水の小宇宙(コスモス)ううううううう!」
「そして、神のゴムの力を最大限に引き出す体位はこれだっ!」
動く。揺れる姿はまるで松葉。
松葉崩し。四十八手の中でも最難関と呼ばれる絶技である。
「ほ、ほのおおおおお!燃えちゃうにゃあああん!」
「クハハハハ!寿司は人を幸せになどしない!」
動きながら切島は佐治の全身を針で刺激する。麻酔ではない。その逆の、感度を高めるツボである。
「俺の寿司の前には何者もひれ伏すのだ!」
勝利を確信し、怒涛のラッシュをかける切島。その姿、まさしく寿司の悪魔。
動く。動く。佐治は余りの快感に口を利くことさえかなわない。
鬼笑。切島傀。悪鬼の笑顔。

これより十秒後、その笑顔が凍りつく。


191 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:33:26 ID:Nb4bquB+0
おかしい。
佐治安人を圧倒しながら、しかし切島は違和感を感じていた。
何故、落ちない。
神のゴム、快感の針、そして松葉。ありとあらゆる手立てでこの男を責めているのに。
むしろ時間が経つに連れて、不敵な笑みさえ浮かんできている。
一体何を――その時だ。
動かぬ筈の腕が、切島の陰毛――熊本では沢蟹と呼ばれる自慢の陰毛を掴んでいた。
引き抜かれた。一気に。痛みに切り島がひるんだ隙に、佐治は松葉崩しから脱出する。
「何故だ!何故貴様は動けるんだ!」
「フ…甘いな。」
ずるり。佐治が菊門から引きずり出したのは女性用コンドーム。ペッサリーであった。
先程のゴムは攻撃の為ではなく、防御の為のものだったのだ。
「このペッサリーで快感を相殺していたというわけさ。ホウアッ!」
今度は佐治が早かった。背後に回り、ゴムをつけ、貫く。
「先程の二の舞にしてくれる!そんなゴムなど直腸深層液で溶かしきってくれるわ!」
「フフ…。このゴムをか?」
切島の脳。揺れた。未知の快感。
「ううううううう!はん!これ!これ何?」
直腸に走る初めての感覚。祭りだ祭りだイカ焼きだ。
可愛いあの子と金魚をすくい、共におどろよ盆踊り。

佐治の秘策とは一体!?


194 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 14:49:02 ID:Nb4bquB+0
「いいいいイボッ!イボイボが!ッハアッ!当たってるぴょん!」
そう、答えはイボ。
佐治はイボイボコンドームを使うことで、直腸深層液に由る浸襲を防ぎ、さらに快感を増していたのだった。
状況によってゴムの種類を変える周到な配慮。だが佐治安人という男、これだけでは終わらない。
「そ、それに…暖かい!暖かいの!暖かくてとろけちゃうぴょん!」
温もり――
海からの寒風が吹きすさぶ佐多岬。そんな中で下半身をもろ出しにして何時間も戦っているのだ。
当然、動くごとに熱は奪われ、太ももにはセクシーなサブイボが浮かんでくる。
佐治はゴムを暖めておく事で、切島の肛門だけではなく、心をもとろけさせたのである。
「将太…。この心づかいはお前に教わったんだぜ。」
寿司の温もり――
心の温もり――

ぬるり。切島の肛門から尻子玉が落ちる。
「悪いな。もらってくぜ。」
佐治はそう言って尻子玉を掴むと、切島の唇に一度優しく口付けをした。
強かったぜ。お前。
そう言いたかったのだ。

佐治安人。切島傀を撃破。


201: ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:16:04 ID:Nb4bquB+0
「高田さん。決着をつけましょう。」
福岡。デパートの地下食品売り場が、関口将太と高田早苗の戦場であった。
「フフ…。いつでも来んしゃい。」
突っかけた。高田の言葉が終わらぬ内に。疾風の速度で。
滑らかな動きで息子を高田の菊門に挿入する。入った。奇妙なくらいにスムーズに。
「おやおや。こりゃあまいったばい。」
必死に腰を打ちつける将太。だが高田は全く感じていないように不敵な笑みを浮かべたままだ。
「さてと、脱出たい。」
抜けた。ぬるりと。高田は苦も無く将太のペニスを抜いてしまった。
「漬け込みばい――」
高田の尻からサラダオイルが漏れる。
高田は尻をオイルに漬け込む事で、直腸の摩擦係数を限りなくゼロに近づけ、将太のピストンを防いだのである。
「今度はこっちから行くとよ!」
迂闊――
ペニスについたサラダオイルをふき取っている隙に、将太は高田にホタルイカをぶち込まれてしまった。
「みゅうううう!はおう!プ、プリンプリン帝国の逆襲!」
しっとり甘いとろけるようなピストン。
「空気ばい。直腸から空気を追い出すことで密着感が高まり、この快感を生み出すとよ。」
Every Bady Putti`n!
いつの間にかお客さんたちが集まってきている。
皆さん見てください。僕です将太です。お尻とっても気持ちがいいんです。
ほら僕のハマグリ真っ黒でしょう?おいしいお汁がぴゅっぴゅとでますよ。
お願いだから見てってください。僕のお尻お尻お尻お尻お尻お尻お尻
僕の お尻。


205 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:32:59 ID:Nb4bquB+0
終わった。
将太の笑顔を見て、高田早苗は確信した。
目の焦点が合っていない。
この笑顔は、人が壊れた時に浮かべる笑顔だからだ。
「すまん。関口しゃん。違う立場で出会えたら、親友になれたかもしれんけどね。」

誰だ?この人。よくわかんないけど、お尻気持ちーからお尻お尻気持ちーから気にしないの
関口将太。夢の中。覚めることのない夢の世界に心までもとらわれてしまったのか?
さっきから誰だよこの人。僕のお尻がきもちよくてきもちよくて多分あのお尻の漬け込みは二度漬けだからあんなに良い臭いで
山を登る将太。連山の型。鰹節シート。海に飲まれる将太。夢の世界は何処までも広く、しかし朝日の昇ることは無い。
きもひいいいきもひいいぽくはこの世の王様だ。王様だから偉いんだ。
大臣も怖くない官僚も怖くない軍人も怖くない大将も中将も少将も…少尉も総長も軍曹も。
…軍曹?
軍曹、怖い。軍曹怖い。
怖い。怖い怖いよ!サージェントは怖いよ!!
「起きやがれ将太!」
「サージェントコワイコワイ!」
跳ね起きた。
「な…!」
幽霊を見るような目で、高田は将太を見つめる。

「ラウンド2ゥ~。」
その双眸。燃えていた。


209 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 15:56:31 ID:Nb4bquB+0
サージェントとサーヴァントは似ている。主に字面が。
そんなことを考えながら高田は将太に貫かれていた。

「どうやって戻ってきたか知らんが、何度でも夢の世界に突き落としてやるとよ!」
最速で、最短距離を。高田の動きに無駄は無かった。
ただ、関口将太のその動きが速すぎただけである。
将太。高田の背後を取り、入れた。
「またオイルで引き抜いてやるばい!」
摩擦係数0。科学はどうでも良い、問題はペニスが抜けるかどうかだ――
抜けない。
「な、何故!」
結合部から白い粉が舞い落ちる。
塩だ。
ペニスに塩をまぶし、カマを掘る。
所謂塩釜の技法で、将太は高田の漬け込みを破ったのだ。

「ううん。ひぐうっ!か、感じてなんかいないもん…!」
耐える高田。耐えろ。耐えろ。この動きならまだ耐えられる。
耐えて、耐えて、一瞬の隙をついて逆転だ。
できる。耐えられる。この程度の快感ならば――

「ひゃううううううん!?な、何?」
快感が、変った。


214 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 16:15:43 ID:Nb4bquB+0
変ったのは、皮のめくれ具合だった。
これまでのペニスは、下ざわりを重視した五分剥き。
今のペニスは全剥き。
亀頭の露出度を高める事で、食べ味を増す。うまみも格段に変ってくるというわけだ。
「いやああああっ!もうやだっ!放してよ!放しなさいよ!」
何とかせねば。高田は己の意識と皮膚感覚を切り離す事で、この快感から逃れようとした。
そう、関係ない。俺とこの快感は関係ない。
関係ない。何も。二人が幼馴染である事も。
毎朝弁当を作ってあげていることも。
風邪をひいて修学旅行にいけなかった私に、山ほどのお土産を買ってきてくれた。
そんなことももう関係ない。
偶然だ。他の女の子と話しているとき足を踏む事も。
キスをしたあと、いつも「あんた歯磨きしなさいよね」と憎まれ口をたたく事も。
関係ない。二人は只の腐れ縁だ。
「馬鹿あ!馬鹿あっ!強がってるだけだって気付きなさいよ!もう知らない!あんたなんか知らないーーっ!!」

医務室で、意識を取り戻した。関口将太は、居なかった。
直腸に手を突っ込み、尻子玉を確かめる。無かった。
「負けた――か。」
枕元に、手紙。
手紙には「良い戦いでした。ありがとうございます。」
こんな時まで、生真面目で――
「…馬鹿。」
医務室の窓。手紙に一度口付けをして、紙飛行機にして、飛ばす。
紙飛行機。わたしの口付け。アイツのとこまで、飛んでゆけ。


218 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/07(日) 16:31:01 ID:Nb4bquB+0
私立寿司協会病院、肛門科病棟。
高田と切島は同じ病室で敗戦の傷を癒していた。
切島は入院してすぐは、あいつは卑怯だ、今度は勝つ、と喧しかったが最近は静かなものである。
まるで憑き物が落ちたようだ――
高田はそう思っていた。
「きっと佐治しゃんがあいつの憑き物を祓ってくれたとね。」
午前六時。病院の一日が始まる。今日も良い天気でお洗濯日和だ。
切島のベッドのカーテンを開ける。いつものように、静かにうつむいている切島。
しかし――
今日の切島は、違っていた。殺気。身のこなし。息子の大きささえも。
言った。当たり前のことのように。
「今から、関口将太を殺しに行く。」
傷の残るはずの体で、高々と舞い上がり、病室を出て行こうとする切島。
「ま、待ちんしゃい!大体あんたもう尻子玉が…」
手を掴まれ、切島の尻穴にねじ込まれる。高田の指が触れたのは、確かに尻子玉だった。
「佐治に取られたのは切島傀の尻子玉。ここに居るのは、切島由太さ――」
切島。飄然と消え去った。
震えが止まらない。
「切島傀…。切島由太…。」
二重の、鬼面。
佐治は、確かに切島傀という憑き物を祓ったのだろう。
しかし、憑き物という仮面をはがしたその奥に居たのは、それ以上の化け物、切島由太だった。
「――関口しゃん!!」
決戦の時、迫る。


291 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:06:44 ID:ONv/hE0u0
マライアキャリーの歌声が、二人を包む。
沈み行く船。抱き合う二人。
世界の全ては二人だけで、だからこそ無限だった。

宮崎-川崎間、マリンエキスプレス。
六時半に出航したこのフェリーは、そろそろ瀬戸内海に入ろうとしている。
関口将太は九州での決戦を終え、一旦東京の鳳寿司に帰る為このフェリーに乗り込んでいた。
――来る。
「何の用です。切島傀さん。」
その顔を忘れるはずも無い。幽鬼の如きその男。
「あなたが佐治さんに破れ、尻子玉を失ったことは聞いています。僕は余計な戦いをするつもりは有りません。」
紳士的に、たぎる肉茎を抑えながらあくまでジェントルにそう答える。
男は不敵に笑い、尻ポケットに突っ込んでいた右手を、そしてその手に握りこんでいたものを露わにした。
「尻子玉――!」
「切島傀はもういない。切島由太。僕の名前だ。そう呼べ。」
一体どういうことだ。しかし尻子玉をこの男が持っている以上、戦うは宿命。交わるは運命。
「デッキに行こうか――ここじゃあ物が壊れる。」
関口将太。久し振りに、切れてしまった。
切島由太。陽炎のごとく、笑っていた。


300 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:19:58 ID:ONv/hE0u0
豪雨。
切島由太。降りしきる雨風の中、その針先に微塵の狂いも無い。
既に将太の全身には無数の針が突き刺さっている。あるものは神経節をとらえ、あるものは将太の動きによって僅かにツボを外し。
確かな事は、もはや関口将太の肉体には、言う事を聞く部位よりも聞かない部位の方が多いということだ。
「頑張るねえ――笹寿司の坊ちゃんが恐れるわけだよ。」
笑いながら言う。
膝を突く将太。いや、今まで立っていたのが奇跡なのだ。
しかし、その隙を見逃す切島由太では無かった。
突く。その股間のムツはまさしく深海からの使者。
「ええええええう!ふ、深い!深いの!こんな奥まで来ちゃってどうしよう!」
尻穴の海の果て無き深海。圧力と闇と、そして孤独。
いずれも、切島傀には無かったものである。
腰を振りながら、由太が、語り始めた。
ドパアン!デッキに波が打ち寄せる。
「聞こえなかったか?俺は父を殺したといったんだ。」
「そ、そんな。君たち親子に一体何が。」
「俺はドパアン!父ドパアン!ドドドドパアン!ドドパアン!というわけだ。俺は寿司で人の心を支配するのだ!」
肝心な所は波の音で聞こえなかったが、どうやら由太の家庭も複雑らしい。
「良く分からないがあんたの寿司は間違ってる!僕は寿司で人を幸せにしてひゃん!ちょ、急に動かないで!やん!」
快感に身をよじる将太。
お互いの価値観をかけて戦う二人。これはまさに寿司の宗教戦争。
月は夜の真上。ビッキーは呟いた。
この世は全て作りモノ。だから、ネエ仕方なミャン!急に動くなってば!


307 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 01:36:54 ID:ONv/hE0u0
挿入から三十分。
ペニスの表面の銀が全く落ちない。切島由太のペニスコントロールの何と言う見事さか。
「俺の勝ちだ!」
関口将太は、目をつぶっている。静謐なその表情は弥勒菩薩を思わせる。
「どうした勝負を投げたか!」
由太の罵声も今はもう聞こえない。地表を越え、マントルを過ぎ去り、将太は果て無き深さへとその心を潜らせているのだ。
「――これだ!」
「くわああああっ!な、何だこの快感は!と…溶ける!」
「聞こえたんだ…ペニスの声が!」
全裸でスピードスケートをするような。
全裸でビロードをまとうような。
全裸で豹と戦うような、そんな快感。
ペニスの腰。ペニスの中でも最も運動が激しく、快感を感じやすいこの部位を、将太は絶人的な陰部神経の集中で発見したのである。
「きゅううううん!きゅきゅきゅううううん!パパー!パパー!見て見て!キリンさんだよ!キリンさんが好きです!でもゾウさんはもっと好きです!」
尿道の中を滑る、滑る。汲め尽きぬ泉のように、由太の太刀魚が精液を吐き出す。
「…くぅっ!」
関口将太のダメージも深い。
体の何処にも無事なパーツは存在せず、ぐったりと力を抜いた姿はまさにマグロ。
そう、僕のマグロ尽くしはこれから始まるんだ。
残った力。精巣に残っている最後の力をかき集めて、将太は重い口を開く。
「そろそろ、ケリにしよう。」


346 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 10:46:57 ID:ONv/hE0u0
「聞こえなかったか?決着(ケリ)にしようと言ったんだ。」
神経節をか細い電流が走る。シナプスにアセチルコリンが満ちる。
――まだ動く。三分後には動かないかもしれないが、僕の体はまだ動く。
「貴様あ!調子に乗るな!」
切島由太。その修羅が牙を剥いている。
「秘奥義!瞬殺乳首!」
針で貫く。乳首を貫く。光よりも速く。日本刀よりも鋭く。
「弾む…!はじゅむ…!いきていりゅ…!おおおおおおおお!り…輪廻っ! 」
この瞬間将太の魂は六道輪廻を駆け巡った。同時に、由太も最後の奥義のモーションに入っている。
「兄さん…これ、最後の技です。」
針を構え深い呼吸を一度。危険な技だ。しかしリスクを抱え、前に。
「300年間…外国人相手に寿司を握ってきた『きりしま』の、これが答えだ!」
突き刺した。針を。己の息子に。
途端、由太のペニスは怒涛の勢いで膨張してゆく。
この大きさ、この太さならば確かに外人も納得だ。
「兄さん…兄さんならできたはずの技だ…!」
異常な膨張。腰をグラインドさせるたび、炎で焼かれるような激痛が由太自身を襲う。
「ディック!ジョンソン!ジュニア!オオオオオオ!ボナンザアアアアア!」
「どうだ!俺は帝王だ!ナポレオン・ボナパルトですよ。私がだ!」

漆黒。
もう届かない。この男には敵わない。このペニスには敵わない。
絶望が、傷つけられた将太の脊髄に深い影を落とした。
――皮肉な事に、その影が将太の探すかすかな光を際立たせた。


353: ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 11:03:00 ID:ONv/hE0u0
甘い。甘い。甘い。
切島由太の心は、遠く長崎の出島へと飛んでいた。
この味は――カステラ。ポルトガルから来ました。
お母さんは行っちゃった。異人さんに連れられて行っちゃった。
あの日からお父さんは変った。幾度と無くペニスに針を突き刺した。膿んで、歪んでいくペニス。
その歪みは、まるで父さんの心を映しす水面のようだった。

煙。
由太の驚愕も無理は無かった。
ペニスにかつて無い快楽を感じた瞬間、己のペニスからモクモクと煙が吹き出していたのだ。
「―――な!何だあああああああ!これはあああああああああ!」
「真に美味なる快感に出会えば、人はただチンモクあるのみじゃ。」
突如現れた老紳士が言う。どうやらこの船の船長らしい。
チンモク。
古代中国、三国時代。
魏志に曰く、曹操、男ヲ愛シ、感ズルト御子息カラ発煙スルヲ以ッテ可トス。
読者諸氏にも経験があろう。快感が閾値を越えれば、チンチンは自ずとモクモク煙を発する。
「全て見させてもらったよ。少年、君の勝ちだ。」
轟音。傾斜。
氷山が将太達の目の前で船にめり込んでゆく。
「――しまった!君たちに夢中になって見張りを忘れとった!」
切島由太。最後に残された力で老紳士の喉笛を貫いた。


356 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 11:15:27 ID:ONv/hE0u0
>>336
しまったマライアじゃ無かったのか。

沈む。水の上にはもう船首しかでていない。
将太はまるで映画の一シーンのように、由太を後ろから抱えていた。
「すまない…。俺のせいで。」
「…セ・ラ・ヴィ。」
――これも人生。
関口将太の寿司の温もりが、切島由太の凍てついた心を溶かした瞬間だった。

ジムキャリーの歌声が、二人を包む。
沈み行く船。抱き合う二人。
世界の全ては二人だけで、だからこそ無限だった。

「お前は、生きろ。」
切島由太は最期の力で、己の息子を強く、強くこすった。
発射。マグナム。
飛び出した精子、人知を超えたその運動エネルギーは関口将太を天高く持ち上げ、土佐は桂浜まで吹き飛ばした。
「人の心を…幸せにする寿司か。生まれ変わったら俺もそんな寿司を握る職人になるよ。」
再び、波。
朝日が瀬戸内を照らした時、切島由太の姿は何処にも無かった。


362 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 11:39:34 ID:ONv/hE0u0
かもめ埠頭。午前十時。
たこ焼きの臭いで切島由太は目を覚ました。
「…俺は、生きているのか…。」
三度、咳き込んだ。血の味のする海水が、肺腑の奥から湧き出す。その味が、生命の確かな感触を由太に伝えた。
「おう、目ぇ覚めたか。」
細い目。太い声。ニヒルながらも愛嬌を感じさせるその笑み。
由太の雇い主――笹木剛司だった。
パンツ一丁。ぐしょぐしょになったミッソーニのスーツが、カラマツの木にぶら下がっていた。
「すまない…。関口を倒せなかったばかりか、こんな事まで。」
「良いって事よ。職人(おめえ)の体は経営者(俺)の財産(宝)だからな。ほら、喰え。熱いぞ。」
たこ焼き。ハフハフ。熱い。思い出す、母の笑顔。
「…この味を、忘れていた。いや、思い出さないようにしていたんだ。思い出すのが辛いから。」
――あいつは、全てを抱えて戦っていた。辛い思いを、流した涙を。己の体を通り抜けていった全ての男たちを。
「俺は、負けるべくして負けたんだな。」
「ああ、みっともねえくらいに。気持ち良いくらいに負けたな。」
「――これから、どうすれば良いと思う?」
問うた。笹寿司との契約には、関口将太の打倒という条項が入っていた。契約を破った以上、この男の下にいられない。
「何を言ってやがる。おめえはウチの看板職人じゃねえか。」
「――な。」
「あの関口とあそこまでやれる奴は他にはいねえよ。ウチでまた修行を積んで、今度はあいつをぶったおしてやんな。」
涙。
何故気がつかなかったのだろう。この男の微笑。その限りの無い暖かさに。
切島由太。修羅の涙。
笹木剛司。慈母の微笑。


378 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 13:20:25 ID:ONv/hE0u0
閑話休題。

約400レス。
いよいよ将太の旅も終わりに近づいてきました。
皆さんのワロスが無ければここまで書く事はできなかったと思います。
そのことにお礼を言わせてください。ありがとう。

レスを見返すと、やはり大年寺に千手握りをさせてやれなかった事が悔やまれます。
テンポよく話を進めるため、展開に邪魔なエピソードは削らざるをえません。断腸の思いで彼がその後尼になった話も削りました。。
ごめんな大年寺。尼寺で千手握りを好きなだけやってくれ。

一言だけ、言わせてください。
――お父さんお母さん、ごめんなさい。


382 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 13:57:03 ID:ONv/hE0u0
小樽。曇天。
しかし関口将他の心にかかった雲に比べれば、日本晴れも同然であった。
関口源二が巴寿司の厨房で、肛門にニガウリを挿したまま倒れているのが発見されたのは前日の午前七時。
以来、源二の意識は戻らない。
美春。溢れる涙をぬぐおうともしない。
「お父ちゃん、お兄ちゃんに負けられないって…。毎日毎日深夜まで…。」
厨房に転がっていた無数の食材。
葱、胡瓜、大根、人参、牛蒡、セロリ。
病んだ体に鞭打って、菊門を鍛えたり、セロリが好きだったりしたのだろう。
父が腸液を滲ませてズボンを下ろす姿、将太にははっきりと見えた。
「父ちゃん…父ちゃんが死んじゃったら僕はどうしたら良いんだ!」

その夜。夢を見た。
朝もやの林道。
父は将太に張型を渡し、言った。
「これは、父ちゃんと母ちゃんがプレイに使ったバイブだ」
静かに震える命のバトン。
受け取ったのは命。父の生きた証。
託されたのはバトン。今度は僕が命を刻んでゆく。
道。伸びてゆく。どこまでも。

朝。肛門に大漁旗を刺したままの鶴丸に、将太は静かに言った。
「東京に戻る。僕の戦場に。」


387: ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 14:13:09 ID:ONv/hE0u0
佐治。
待っていた。一人静かに。
時計の針、午後一時までは後何分も無い。
しかし――
「将太は間に合わぬかも知れん。」
しかし――
針が12時59分を示す。後1分で、関口将太の不戦敗が決まる。
だが、しかし――
「奴は来ます。絶対に。」

果たして、将太は来た。
引力。
佐治安人と関口将太。
巨大な惑星と惑星の間に働くもの。
二人が今日この場で合間見えることは、宇宙創生のビッグバンの刻より定められていた、超天文学的運命だったに違いない。

二人。
「さぁ――始めようぜ。これがオレとお前の…最後の勝負だ!」
「――はい!」
黙示録の戦いが、始まろうとしている。


389 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 14:32:49 ID:ONv/hE0u0

僕は、幸福だ。
将太君。佐治さん。
鳳寿司で僕が追いかけてきた二つの背中が、今こうして最高の舞台でぶつかり合っている。
たぎるペニス。迸る精液。
焼き付ける。この瞳に。脳髄に。海馬に。陰嚢に。陰茎に。
とめどもなく流れ落ちる涙をぬぐいながら、僕は一つの決意を固めた。
――長生きをしよう。百まで生きよう。
この戦いの事を、一人でも多くの人に語り継ぐ為に。

大観衆。大歓声。
しかし戦いは静かに始まった。
向かい合うは二つの巨星。
佐治安人。関口将太。
にらみ合う。獣の目で。
ばらり。ばらり。二人同時に白衣を脱ぎ捨てた。
全裸で、見つめあう。既に勝負は始まっている。
言った。同時に。
「ふふ…。将太よ。新鮮なコハダの臭いがプンプン匂うぜ。小樽の漁港で青カンとしゃれ込んだと見えるな。」
「佐治さんこそ…。新幹線の座席で何をしていたんです。陰嚢の表面の粒が僅かにとろけていますよ」
にやり。にやり。
笑った。同時に。

第一段階、目利き。全くの互角。
全裸の鬼が二人。全身から脂汗を流し、至福の笑みを浮かべていた。


396 : ◆6T4IJnuB7g :2005/08/08(月) 15:40:25 ID:ONv/hE0u0

「らめええええええ!ご主人様ああああ!」
先手は、佐治。
恥垢1mgの違いすら感じ取る絶対尻覚で、恥垢の屈折率を調節して作り上げた見えないペニス。
インビジブルペニスの前に将太はもうメイドになるしかなかった。
はうん…。ご主人様…朝です、起きてくださいよう…。あっ…あ、朝からこんな固くして…。
メ、メイドとしては…ご主人様の、け、健康のために…しょ、処理をしないと…。
はう…蒸れてる…すごい臭い…。くちゅ…くちゅ…ちゅ…。
あん!ご主人さま…起きてらしたんですね…。あ…そんなところ…。だめ…ぬれちゃう…。
はにゃん!シーツ…ぬれちゃった…。あう…ご主人様…どじなメイドに…お仕置きしてください…。
関口将太。新米メイド。何時のまにかメガネをかけていた。

はう…。ご主人様。お客さまですか?はあ…京都のお寺の住職様…。
コーヒーをお持ちしました。ガッシャアン!はみゅうううん!ごめんなさいご主人様。将太はドジなメイドです…。
「阿部高和…いや、早瀬謙介です!」
「良ォ…でけたのお…。」
きゃううん…。ご主人様が何の話をしてるのか、将太全然わかんにゃいよー…。
「俺は…長い修行の末、ペニスの感触だけでヤマジュンキャラを見分けられるほどの、この絶対尻覚を手に入れた…!
さあ…最高の勝負をしようぜエ将太!」
関口将太。白い肌。エプロンドレスが怖いほどに似合っていた。

心身ともにメイドとなってしまった将太。ヘッドドレスもずいぶん板についてきた。
今日もご主人様のお仕置きを、今か今かと待ち焦がれる。
スカートのフリルを持ち上げて、いやらしいマグロのステーキが熱い汁をたらしていた。
「どうした将太!お前はこんなものか!」
ご主人様が檄を飛ばすも、従順なメイドははにゃんふにゃんと鳴くばかり。
もはや命運は決した――!
地球上の誰もがそう思った。
――僅か九人を除いて。
声。初めは小さく。やがてとどまる所を知らぬように大きく。二人を囲む大観衆の中から。九つの声が、海鳴りのように。
「関口君!」「坊ンズ…!」「俺以外に負けるんじゃねええ!」「諦めたらあかん!」「頑張るきに!」
「俺の右手を思い出せえ!」「ふん…何やってんのよ!さっさと本気出しなさいよ!」「オ・トワ・ラヴィィィィ!」
好尻手(ライバル)達は知っている。
そう。諦めない。関口将太は絶対に諦めない――!
寿司が繋ぐ。心を繋ぐ。僕達皆穴兄弟。生まれた時は違っても、死にゆくときは一緒が良いな。
将太の寿司が、今奇跡を起こそうとしていた。
「関口将太!」
大年寺。尼になっていた。髪を剃り僧形となっても、その獣臭は隠せない。
「見ろ――私たちの子だ。将太と、三郎太を合わせてしゃぶろう太と名づけた!」
――今日は大丈夫な日って言ったじゃないか!
関口将太。気がつけば父親。

――自分を呼ぶ声と、何やら恐ろしい事になっているという不安。
関口将太。覚醒。
女の大丈夫は――信用できない。
「目覚めたか――嬉しいぜ将太!」
「ごしゅじn――もとい佐治さん!あんたを倒す!」
メガネとエプロンドレスを投げ捨てる将太。
――それを拾ったのは紺屋碧吾。これらをヤフオクで高価売却。その金で碧寿司を再興したというのだから、人の運命とは分からないものである。

「将太!お前の修行の成果を見せてみろ!」
何と自分からその尻を将多に向ける佐治。何と言う覚悟。何と言う自信。
「佐治さん――これが僕の三年間です!」
光る。ペニスが。
渦巻く。宇宙が――
「あ、あれは――」
「「「「「「「「「俺の技じゃねえか!!!!!!!!!」」」」」」」」」
この後約三十分にわたり皆の技を披露する将太。
「やん!これ!何?ひゃん!はう!いいいい!奥までッ!ほおう!のおう!にゅるん!」
将太が違う技を出すたびにいちいち反応を変える佐治。
二人の死闘に大地は揺れ、海は逆巻き、富樫はちゃんと原稿を書くようになった。
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
大歓声。この星に住む全ての人が、二人の戦いに共鳴しているのだ。
もはや二人の間に言葉はいらない。
渦巻くハート。飛び散るスウェット。
二人の宇宙が全てを飲み込んでゆく。
笑うのが苦手な人 学校が苦手な人 人ごみが苦手な人 予防接種が苦手な人
ワセリンが苦手な人 猫耳が苦手な人 洗ってないペニスをしゃぶるのが苦手な人 
――明日は良い日でありますように
美濃のマムシ、斉藤道三。パンクラチオンの場で反則を咎められて曰く。
――俺は女のように噛み付いたのではない。獅子の如く噛み付いたのだ。

極限と極限のぶつかり合い。
先に勝機を見出したのは、関口将太の集中力だった。
今、動けば、入る。
時間の歯車、その隙間に車海老を差し込んだ。鍵穴が、開いた。
「やあああああああああ!駄目ですよ関口君!そんな!先輩にこんなことしちゃらめえええええええうおうおうおうおうおうおうおうお!」
もう!いけない子です!ちゃんと後輩としての身分をわきまえなさい!
良い子にしてたら「純喫茶オブイーエクト」でボルシチを奢ってあげますからね。
え?またボルシチかって?ボルシチ食べてなにがいけないんですかああああああああああああああああああああああ!
佐治安人。仮にも将太の先輩として、威厳の一つも見せたい所である。
でも関口君のコハダが入ってくるとお尻の中がきゅーんってしちゃうんです…。もう…。
こんな…生徒会室でなんて…。きゃっ!冷たい!そんな…頭脇の肉だなんて…。
ヘイレットイットビーマザーファッカー。あんたの芽葱にゃロマンが無ェー
いとしいあのコがレジェンダリー
おいらのアナゴはブラッディー
マグロの腰を激しくシェイキー
僕はカレイなダークチェリー

佐治安人。耐え切った。
地上最強の生物、範馬勇次郎。息子の顔面に踵を叩き込んで曰く。
―― 一流同士の争いはコンマ一秒の奪い合いだ。

猛攻。暴行。咆哮。
関口将太のピストンは、古代ローマから連綿と続く寿司の歴史の中でも、類を見ないものであった。
しかし。佐治安人。そのペニス。立っていた。ぼろきれの様になりながら。なお。
その姿は紅海を二つに割ったモーゼの如く。
その姿の余りに気高きがゆえに――
そのペニスの余りに雄雄しきがゆえに――
関口将太。その目から枯れ果てたはずの涙がこぼれた。
これがいけなかった。
一滴の涙によって作られる、斜角0.1度にも満たない死角――
佐治の絶対尻覚。奔った。焼ききれる脳神経。導かれる最速のルート。
0.2秒。涙の雫が瞼からこぼれるまでの時間。
充分だった。後ろを取るには。

「将太――」
お前のために。お前のために心を込めて編み出した奥義だ――
「ハモ―――!」
引っぺがした。恥垢を。光の屈折率が変り、佐治のハモが今その姿を現す。
うねる。曲がる。吼える。その姿は海の王者リバイアサン。
恥垢による屈折率の変化は、ペニスの姿を隠すだけでなく、太陽光からX線とカピラリア七光線を抽出し、ハモの骨を溶かし去っていたのだ。
まさに奇想天外。この決戦を締めくくるにふさわしい最終兵器ペニス。シュウちゃん…。あたしまだ人間だよねえ…?
このペニスが、将太の菊門を貫く。
梶井基次郎、Fateをプレイして曰く
――桜の下には死体が埋まっている

空を飛ぶ ハモが飛ぶ 尻を突きぬけ 寿司になる
PE・NN・IS ペニスをアナルが抱いたまま
PE・NN・IS ペニスで空を飛ぶ

「ふうううううううッ!ふりゅふりゅふりゅむゆうううううううううえあえあううううううううううううううううんんんん!!」
関口将太。再びメイド。白いソックスはオーバーニー。
ピコピコ動くはニャンコのお耳かそれともおいらの陰茎か。
縦横無尽にお尻をえぐられ冥府の番人オシリス神。
紅茶にコーヒーなんでも淹れましょお口移しで飲ませましょ。
煮ツメアナゴも土産にしなんせ伊勢の女の泣き所。
お尻を振り振り尻尾も振り振り飲ませておくれよちんぽみるく。

関口将太。絶頂の時。
僕は白くてかわいくて美味しくてたけのこで巻いて白くて可愛くてきれいで二年間自分で煮込んだメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイド
うわわわわわわわ

そして――
佐治安人は舞い散る桜の下で、第二ボタンを渡すべき相手を探していた。

幕間。
関口将太へのライバルたちの声援。
このシーンを見て疑問を抱かれた読者も多いのではないだろうか。
「奥万倉って死んだんじゃないの?」「頚椎損傷の清水が何で応援に来てるの?」
それは実はこういうことだったのである。

「奥万倉新一っ 柳生新陰流の末裔っ 職人の誇りを何処においてきたっ 
寝ていて事が成せるのか それが職人かっ 奥っ!」

「――拙者に用か? 笹木っ――」

「おくっ… そうそう!拙者に用だ!どうだこれから 将太を応援に行かないか?」

以上。 鳳寿司五代目親方鳳清五郎。愛弟子の寿司を評して曰く。
――将太の寿司は、生きるための寿司なのだ。

戦いが終わろうとしている。僕らの夏が終わろうとしている。
佐治安人。己の第二ボタンをその男に渡す為、校舎中を駆け回っていた。
チャイム。予鈴。くそっ。生徒会長として答辞を読むべきこの俺が、卒業式に遅刻をするわけには行かない。
後ろ髪を引かれる思いで講堂へと駆け込む。
式の開始を告げるチャイムが鳴る。次のチャイム。式の終わりを次のチャイムが告げる時、俺の高校生活は終わる。
「続きまして、卒業生答辞。卒業生代表、佐治安人君!」
壇上に上る。握り締めたマイクは、あの会長選挙の時と同じものだ。
佐治安人。花も恥らう18歳。関口将太と共に刻んだ高校生活に終わりを告げるため、ほろ苦い声で言葉を紡いだ。

「寿司にかけた僕達の青春 三年という時間は駆け抜けるように過ぎていきました。
三年間 暑い日も 寒い日も 薄皮を張り重ねるように修業をかさね 今僕と将太はここに立っています。
僕は 愛する将太に 自分の修行の成果を知ってもらう為に寿司を握りました。そして僕の思いは 全て将太に伝わったと思います。
でも 将太の寿司は 違いました。 将太の寿司は 小樽で倒れているお父さんのための 寿司だったのです。
将太の菊門にハモをねじ込んだその時 僕はまるでお母さんのおなかの中にいるような 快感を味わいました。
将太は 己の股間にぶら下がったウニを 炭火であぶる事で 直に尻穴を暖めるのとはまた違った 人をほっとさせるホットさを演出していたのです。
思えば 将太の寿司には 汁・温・粘・擦・締・愛の 六味が全て揃っていました。
加えて猫耳メイドの獣臭さ ニーソックスのスベスベ感 ドジっ子の俺がいなけりゃ駄目なんだ感まで用意されています。
言わば 人間の五萌えを全て満足させる寿司だったのです。
これは 僕の寿司には無かったものでした。
将太は 味わってもらいたかったのです。 全ての萌えを 味わってもらいたかったのです。
生きていて欲しいのです。 食べて欲しいのです。
この世界を この世界そのものを味わって欲しかったのです。将太の寿司は――」
その香りを何と例えたら良いのだろう。精液と汗と、ウニの焦げるその香りを。
その響きを何と例えたらよいのだろう。垂れる腸液と、精液の泡立つその響きを。
その肌触りを何と例えたらよいのだろう。隣の観客の汗ばんだ肘のその肌触りを。
その味わいを何と例えたらよいのだろう。観客席まで飛び散ってくる、ありとあらゆる汁のその味わいを。
その光景を何と例えたらよいのだろう。最高の職人二人が、深く何度も交わるその光景を。

寿司。
それは寿司そのものであった。
その場にいる全ての者が、いや生きとし生ける全ての者が今、寿司であった。
世界の中心。寿司の中心で愛を叫ぶのは二匹の職人(ケモノ)。
永遠に続くかと思われた奇跡の愛の終焉。
その時がいつ来るのか。何故だろうかこの星の誰もが、知っていた。
倒れた。二人の内の一人。
ネコ型のロボットが、尻尾を引っ張られたかのように。
全ての汁を出しつくし――
全ての寿司を握りつくし―――
アルカイックスマイル。吸い込まれるような微笑をその頬に浮かべ、地に伏していた。

倒れたのは佐治安人。
立っていたのは関口将太。
寿司の聖戦。その終止符は血の色のインクで打たれた。
佐治安人。その心臓、その脳波。確かに止まっていた。
佐治安人。その男に会ったのだと語った。
佐治安人。確かに黄泉比良坂を登ったはずのその足が、今大地を踏んでいた。

赤ん坊が産道を通り抜け初めて発する声。
産声。佐治安人。おぎゃあと泣く代わりに、こう叫んだ。
「お前の勝ちだ――!」
佐治に支えられ、天高くその右手を掲げる関口将太に、佐治安人は告げた。
「今頃、小樽ではお前の親父さんが、目を覚ましているはずだ。」
大政。携帯電話をその耳に当て、将太に透き通るような笑みを向けた。
二人のもとへ。この星の新たな指導者のもとへ。大観衆が雪崩れ込む。乱交パーティーの始まり始まり。

関東一円を多い尽くした肉の海を泳ぎきり、佐治安人はようやく将太の右手を再び掴む事ができた。
その手。母の乳房のように柔らかなその手に、しっかりと第二ボタンを握らせ、佐治安人は去って行った。
――キスの一つくらい、してゆけば良いのに。
寂しさを埋めるように、将太は肉の海へと深くその体を沈めた。

パーティーもひと段落したところで、拍手の安が各界の著名人からの、優勝者への祝電を読み上げた。
「痛みに耐えて、よく握った。射精した。――日本国総理大臣 小泉純一郎」
「寿司の 寿司による 寿司の為の 寿司。――元アメリカ合衆国大統領 エイブラハム・リンカーン」
「万国の寿司職人よ 連結せよ。――国家社会主義ドイツ労働者党党首 アドルフ・ヒトラー」
「寿司はホモ達。――サッカー日本代表キャプテン 大空翼」
「私には夢が、いや、寿司がある。――マーティン・ルーサー・キング」
「寿司とか握りとか最初に言い出したのは誰なのかしら 教えて欲しいわたしのメモリアル――占星術師 細木数子」

「では最後に!大会委員長寺沢大介大先生のお言葉です!」
大会委員長。寺沢大介。言った。


                、     ‐;、
             _,..rー' ```ヾヽ`、ノ i,, 、
           i、|` ⌒ヾ 、`、/  ノi ‐'ソ
           ト、/  =`ヽ ///__ ヽ  ̄ヽ
           'ァl! /  、、 i 〃, ‐、 ヽ |‐、ヾ `)
              {i/,ノ  | r=---‐ァ |__{. { 、、 il>′
            {/ ,ノノ !|..:::.  .:')ノ li; } l/ lヽ
           r''v‐'- .,,`_::__,. -‐''iノ 丶`ヽ
              |{i ト 、;::: :::::;>‐<:::::: ;ィ′`''i ヽ, l   
           l>,i  l  ̄  ,:::l;:' ̄l |、   ヽ |! | 
          O'ri!l  |   、;/  '/ `O  ,!ノ /  <こんなの寿司じゃありませんよ。
           |\ヽ  -===-‐ /ノ!   く 」'     ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。
           l``ヽ、\  'T'' //!   _ノノ  
              |;;|``'〒,ヽ _,/'i'´ |、      
          ,. ィ|;;`;;,、_|;;;;;;;;;|||;;;;;| _,.|└;_     
      ,.. ィ"i  l ヽ'、 ;;;;;;;:;;;;|||;;;;;;'/;//;;;ヽ、
─-、‐''"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,` ``'''-、;○/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`''ー-=='''ヽ、



――言ってしまった。
一ヶ月が経った。
将太君――君が小樽に帰ったら、なんだかアナルがガランとしちゃったよ。
でも、すぐ慣れると思う。だから…心配するなよ。将太君――

笹木剛司はいろいろあって最終的に、氏賀Y太の漫画みたいにゆめいろハンバーグになる。
関口美春はいろいろあって最終的に、キャットファイトの世界チャンプになる。
清川流也はいろいろあって最終的に、タイムスリップして武蔵坊弁慶と出会い寿司幕府を作る。
そして時代は流れる――世代は交代する将太の寿司は…!

――とある、深夜。
東京ドーム。無人。
二人の男。白衣。
「しかしオドロいたな――君が本気で俺に勝てると思っていたとはな。」
「新人コンクール二回戦での敗退から、一日も修行を欠かさなかったのはこの日のためだ。」
「ハハハ 花を持たせるわけにはイカンな。」
――その男、小畑真吾。
――その男、吾子飛男。

そして。そして。そして――
誰かが言った。
――奇跡を見たければ、その店に行け。
その寿司屋にはいつでも、奇跡が溢れている。

澄んだ空。心地よい風。その日が来た。
巴寿司。新装開店の日。
世界中の良い男が小樽に集まり、結果として北海道は巴寿司以外海に沈んだ。

関口将太。関口源二。関口美春。
巴。ついに、三人が揃った。
開店。そう。全てはこれから始まるのだ。
終わりなど無い乱交パーティーの最中。一人の男が、美春に一冊の本を渡した。
「私の一番新しい著書だ。」
その男。その本。その題名。そう、君はもう知っているはずだ。
その男。山川純一――
その本。『ウホッいい職人(おとこ)たち』――

三年一組 関口将太
僕の夢はお寿司屋さんになる事です。
お父さんの手伝いをして
巴寿司を日本一のお店にしたいです。

――と、こんなわけで僕の初めてのニュー速VIP体験は、くそみそな結果に終わったのでした…。
おしまい。
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