- 2015⁄08⁄20(Thu)
- 02:45
シゲサト
シゲルと再会した。
シゲルの部屋によばれて、二人で語り合った。
さっき甘いコーヒーをだしてもらって、一口だけ飲んだ。
…湿度が高いせいか、なにもしてないのになんだか熱い。
コーヒーよりも、冷たいのみものがほしい。
シゲルはなぜか…涼しい顔でこっちをみてる。
「ピカチュウのままいくなら、やっぱり電気玉を、」
「あ、あのさ!なんかこの部屋…暑くない?」
サトシはほんのり顔を火照らせ、パタパタと手で顔をあおぐ。
「そう?クーラーつける?」
確認するようにサトシをみると、シゲルは立ち上がった。
「うん、悪い。風邪かなぁ。なんか頭がボーッとす…
瞬間、視界が反転した。
「う!…っんん」
一瞬何が起きたかわからなかった。口に何かが触れ、目の前が暗くなる。
離れてそれが何かやっとわかった。
「う、うわ…。なにす!んっ」
返すひまなく再び口を塞がれる。
わけがわからないまま、今度は口内に何かが侵入し、体ごとおし進めてきた。
じりじりと歯列をくすぐられるようになぞられ、
あえるようにねっとり舌をからめられる。
「ん…ん」
数秒間の出来事だった。
離れようとするが、後頭部を押さえられ、身動きがとれない。舌もからみとられ、なすがままとなっている。
「んっ…んん」
それどころかピリピリとした妙な感覚がおそう。
なんだこれ、やばいぞ。
そうだ!と、サトシは舌にガブリと噛みついた。
「いっ…!」
「ぷはっ」
突き放されて、口も離れる。たらりと糸を引いたがすぐ切れた。
やっと解放された…ひそかに小さく深呼吸をする。
シゲルの部屋によばれて、二人で語り合った。
さっき甘いコーヒーをだしてもらって、一口だけ飲んだ。
…湿度が高いせいか、なにもしてないのになんだか熱い。
コーヒーよりも、冷たいのみものがほしい。
シゲルはなぜか…涼しい顔でこっちをみてる。
「ピカチュウのままいくなら、やっぱり電気玉を、」
「あ、あのさ!なんかこの部屋…暑くない?」
サトシはほんのり顔を火照らせ、パタパタと手で顔をあおぐ。
「そう?クーラーつける?」
確認するようにサトシをみると、シゲルは立ち上がった。
「うん、悪い。風邪かなぁ。なんか頭がボーッとす…
瞬間、視界が反転した。
「う!…っんん」
一瞬何が起きたかわからなかった。口に何かが触れ、目の前が暗くなる。
離れてそれが何かやっとわかった。
「う、うわ…。なにす!んっ」
返すひまなく再び口を塞がれる。
わけがわからないまま、今度は口内に何かが侵入し、体ごとおし進めてきた。
じりじりと歯列をくすぐられるようになぞられ、
あえるようにねっとり舌をからめられる。
「ん…ん」
数秒間の出来事だった。
離れようとするが、後頭部を押さえられ、身動きがとれない。舌もからみとられ、なすがままとなっている。
「んっ…んん」
それどころかピリピリとした妙な感覚がおそう。
なんだこれ、やばいぞ。
そうだ!と、サトシは舌にガブリと噛みついた。
「いっ…!」
「ぷはっ」
突き放されて、口も離れる。たらりと糸を引いたがすぐ切れた。
やっと解放された…ひそかに小さく深呼吸をする。
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- 2015⁄08⁄20(Thu)
- 02:43
シゲサトと…
新しい街にやって来たサトシ達一行。
ポケモンセンターで休息をとるタケシ達とは行動を別にして
サトシはピカチュウと近くの広場で特訓を積んでいた。
「ピカチュウっ“アイアンテール”」
サトシの声を受けてピカチュウのアイアンテールが岩に直撃した。
「よおし“十万ボルト”だ」
「ピィカ―」
まばゆい電気がピカチュウの体を包む。
「ヂュウウウウウ!!」
大きな電気の柱に周囲から「おおっ」と感嘆の声が上がった。
「いいぞ!ピカチュウ」
ピカチュウのアイアンテールをくらった岩は完全に崩れ落ちている。
サトシはピカチュウを抱き上げると嬉しそうに笑った。
その時
「やるな、サトシ」
突然名前を呼ばれ驚いて振り向くと…
「シゲル!」
そこには久しく会っていない、幼なじみの姿があった。
「久しぶり!元気にしてたか」
「ああ」
そう言って笑ってから
「この街の研究所に用があってね」
サトシに会うとは思わなかった、と言葉を繋ごうとしたシゲルを
「研究所?」
好奇心を滲ませた声が遮った。(相変わらずだな)わずかに苦笑してから「サトシも来るか?」
と誘えば、案の定嬉々としてサトシは同行を申し出たのだった。
「で、研究所はどこなんだ?」
シゲルの後について歩き出したサトシの頭の上で
ピカチュウが耳をピクッと立てた。
「ピカ?」
バサッ…羽音と共に黒いものがサトシ達の頭上に飛来する。
「ヤミカラスだ」
シゲルも気付いて立ち止まると、少し目を細めて顔を上げた。
「俺達に用があるのかな」
「用?…」
サトシが言い終わらないうちに遠くから猛然と走ってくる何かに3人は気付いた。
あれは―サトシがハッとするより早く
「キャーーー!!」
サトシからガバッとピカチュウを引き剥がすと
「ピカチュウちゃん久しぶりー!」
この毛並み!相変わらずだわ~などと言いながらピカチュウに頬ずりを始めたこの人は…
「リリーさん?」
やっとピカチュウから顔を離すと
「久しぶりね、サトシ君」
サトシに向き直り、ポケモン魔法の研究者・リリーはにっこりと微笑んだ。
ポケモンセンターで休息をとるタケシ達とは行動を別にして
サトシはピカチュウと近くの広場で特訓を積んでいた。
「ピカチュウっ“アイアンテール”」
サトシの声を受けてピカチュウのアイアンテールが岩に直撃した。
「よおし“十万ボルト”だ」
「ピィカ―」
まばゆい電気がピカチュウの体を包む。
「ヂュウウウウウ!!」
大きな電気の柱に周囲から「おおっ」と感嘆の声が上がった。
「いいぞ!ピカチュウ」
ピカチュウのアイアンテールをくらった岩は完全に崩れ落ちている。
サトシはピカチュウを抱き上げると嬉しそうに笑った。
その時
「やるな、サトシ」
突然名前を呼ばれ驚いて振り向くと…
「シゲル!」
そこには久しく会っていない、幼なじみの姿があった。
「久しぶり!元気にしてたか」
「ああ」
そう言って笑ってから
「この街の研究所に用があってね」
サトシに会うとは思わなかった、と言葉を繋ごうとしたシゲルを
「研究所?」
好奇心を滲ませた声が遮った。(相変わらずだな)わずかに苦笑してから「サトシも来るか?」
と誘えば、案の定嬉々としてサトシは同行を申し出たのだった。
「で、研究所はどこなんだ?」
シゲルの後について歩き出したサトシの頭の上で
ピカチュウが耳をピクッと立てた。
「ピカ?」
バサッ…羽音と共に黒いものがサトシ達の頭上に飛来する。
「ヤミカラスだ」
シゲルも気付いて立ち止まると、少し目を細めて顔を上げた。
「俺達に用があるのかな」
「用?…」
サトシが言い終わらないうちに遠くから猛然と走ってくる何かに3人は気付いた。
あれは―サトシがハッとするより早く
「キャーーー!!」
サトシからガバッとピカチュウを引き剥がすと
「ピカチュウちゃん久しぶりー!」
この毛並み!相変わらずだわ~などと言いながらピカチュウに頬ずりを始めたこの人は…
「リリーさん?」
やっとピカチュウから顔を離すと
「久しぶりね、サトシ君」
サトシに向き直り、ポケモン魔法の研究者・リリーはにっこりと微笑んだ。
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- 2015⁄08⁄20(Thu)
- 02:39
レイジ×サトシ
トバリシティに来たその日にその人に逢った。
その人はシンジの兄のレイジさん。
「ムクバード頑張れ!ブレイブバード!!」
緩やかに弧線を空に描き、ムクバードの体が光に包まれる。
「よし、いいぞ」光の輝きが違う。今度こそ成功するぞ。
ところが、地面すれすれに水平に保っていた体が急に角度を変え、ムクバードは冷たい地面に叩きつけられた。
「ムクバードッ!!」
サトシは急いでムクバードに近寄り、体を起こしてやった。
ムクバードは小さく唸り、平気だということを知らせてくれているようだ。
そこで、ふと目の前が陰り、サトシは前に誰かがいるのを感じ取り、顔を上げた。
少し困ったような表情を浮かべたレイジが優しく語り掛ける。
「今日はもう遅い、また明日練習すればいいさ」
サトシは辺りがもう真っ暗になっていることに、今、始めて気付いた。
その人はシンジの兄のレイジさん。
「ムクバード頑張れ!ブレイブバード!!」
緩やかに弧線を空に描き、ムクバードの体が光に包まれる。
「よし、いいぞ」光の輝きが違う。今度こそ成功するぞ。
ところが、地面すれすれに水平に保っていた体が急に角度を変え、ムクバードは冷たい地面に叩きつけられた。
「ムクバードッ!!」
サトシは急いでムクバードに近寄り、体を起こしてやった。
ムクバードは小さく唸り、平気だということを知らせてくれているようだ。
そこで、ふと目の前が陰り、サトシは前に誰かがいるのを感じ取り、顔を上げた。
少し困ったような表情を浮かべたレイジが優しく語り掛ける。
「今日はもう遅い、また明日練習すればいいさ」
サトシは辺りがもう真っ暗になっていることに、今、始めて気付いた。
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- 2015⁄08⁄20(Thu)
- 02:37
ハジメ×サトシ
とある王国の特別なリオル。そのリオルを巡るハンター達の争いに巻き込まれた
サトシ達。心身ともに傷ついたリオルを助けるため、出会ったばかりのポケモン
レンジャー・ハジメと力を合わせ、無事リオルを取り戻したのだった…
「サトシ君」
目を回しているボスゴドラと、その下敷きになって動けない情けない主人
―犯人の男を確認してから、未だリオルを強く抱き締めているサトシに
ハジメが近付いた。
「サトシ君…?」
返事が無いことを不思議に思い、俯いた顔をのぞき込む。
「……良かった」
呟いて上がった顔は本当に嬉しそうで、ハッとするほど優しかった。
「…君は本当にポケモンが好きなんだね」
「はいっ!」
自分にしっかりと抱きついているリオルに目をやりながら
「それに俺、どうしてもコイツを育てた人の所へ返してやりたかったんです」
コイツの辛い思いを感じたから、そう言ってリオルを優しく撫でるサトシを
ハジメは不思議な思いで眺めた。
レンジャーの中でもトップと言われる所に属する自分だ。たくさんのレンジャー、
トレーナーを見てきた。だが…
(初めてだな)
サトシには不思議なものを感じる。今までに無い…
ハジメの中で「ある」感覚が芽生える。
ふと険悪な視線を感じてサトシに目を戻すと、腕の中のリオルがこちらを見ている。
「うわっ!?」
突然リオルが波導弾を放った。ハジメの顔スレスレを小さな波導弾が掠めていく―
「り、リオル?」
驚いてアタフタするサトシを特に慌てた様子も無く、ハジメが「大丈夫」と
なだめた。
(うーんさすがは波導使い)
邪な波導も感じ取るらしい。…先手を打つことにした。
サトシ達。心身ともに傷ついたリオルを助けるため、出会ったばかりのポケモン
レンジャー・ハジメと力を合わせ、無事リオルを取り戻したのだった…
「サトシ君」
目を回しているボスゴドラと、その下敷きになって動けない情けない主人
―犯人の男を確認してから、未だリオルを強く抱き締めているサトシに
ハジメが近付いた。
「サトシ君…?」
返事が無いことを不思議に思い、俯いた顔をのぞき込む。
「……良かった」
呟いて上がった顔は本当に嬉しそうで、ハッとするほど優しかった。
「…君は本当にポケモンが好きなんだね」
「はいっ!」
自分にしっかりと抱きついているリオルに目をやりながら
「それに俺、どうしてもコイツを育てた人の所へ返してやりたかったんです」
コイツの辛い思いを感じたから、そう言ってリオルを優しく撫でるサトシを
ハジメは不思議な思いで眺めた。
レンジャーの中でもトップと言われる所に属する自分だ。たくさんのレンジャー、
トレーナーを見てきた。だが…
(初めてだな)
サトシには不思議なものを感じる。今までに無い…
ハジメの中で「ある」感覚が芽生える。
ふと険悪な視線を感じてサトシに目を戻すと、腕の中のリオルがこちらを見ている。
「うわっ!?」
突然リオルが波導弾を放った。ハジメの顔スレスレを小さな波導弾が掠めていく―
「り、リオル?」
驚いてアタフタするサトシを特に慌てた様子も無く、ハジメが「大丈夫」と
なだめた。
(うーんさすがは波導使い)
邪な波導も感じ取るらしい。…先手を打つことにした。
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:20
カテジナルースの素顔
まただ メールアドレスを変えたのに、またメールが来てる
しかも相変わらずの内容
なーにが「カテジナさんはとっても綺麗なお姉さんなので憧れてます」よ!
どうせ三十面下げた中年ヒッキーのくせに、妄想の中では少年のつもりでいるのね
でも....またメアド変えてもどうせつきとめられるんだから
この馬鹿にも返信してやるか
適当にあしらってれば満足するだろうし
いつまでも無視してると、逆キレしてウイルスとか送ってくるかも知れないしね
はーあ、どうせ付きまとわれるなら可愛い男の子がいいのにな
そういえば
たまに「寝とられダメ親父」の店で店番してる時におつかいに来る、オカッパ頭の子
あの子よく私のことをチラチラ見てるけど
あんな子ならストーキングされても大歓迎なのにな
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:20
カテジナ狩りの森
森の中へわざとカテジナさんを逃がしてからそろそろ一時間が過ぎた。
追跡を開始するにはいい頃合だ。
「いくよフランダース、ハロ」
「バウッ、ワゥ」
「リョウカイ、ウッソー」
元々は優秀な猟犬の血をひくフランダースと森林内地形マップをロードしたハロが僕の相棒だ。
強化人間といっても、所詮森林に慣れていないカテジナさんに僕たちが追いつくまで一時間もかからなかった。
追い付かれたのを察知して大きな木の陰に隠れていた。
「バゥバゥ」
僕は気づかないふりをしてやり過ごし、もう一度逃がして追うつもりだったけど、フランダースが獲物を見つけた猟犬の性で吠えてしまった。
「来ないでっ!」
落ちていた木の枝を握り締め、恐怖と憎悪をこめた目でこちらを睨みつけるカテジナさん。
しかし、森の中で完全に猟犬の本能に目覚めたフランダースが瞬時にその手首に噛みついてしまう。
「痛っ!」
「グルルルルル」
「はなせっはなせっ、ああっ!」
必死でフランダースを引き離そうとするカテジナさんの首筋に僕の手刀が入った。
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:18
鮮烈!趣楽隊
老朽宇宙戦艦「ジャンヌダルク」
その一室で。
「まずは全員無事に宇宙に上がれて良かった」
シュラク隊全員を集めて訓辞をするオリファー。
「しかし手放しで喜んではいられない、特にヘレン、マヘリア、それにケイト、お前たちは一歩間違えたら死んでいたぞ!」
名前をあげられてばつの悪そうな三人。
「そこでだ」
オリファーの眼鏡が怪しく光る。
「気の引き締めと、より一層の団結をはかるべく俺はこういう物を用意した」
オリファーが手にしているのは白く長い布だった。
「東洋の故事に曰く、気合いを入れ直すことを『フンドシを引きしめる』という、その『フンドシ』とは、スモウレスラーが着用した『マワシ』というTバック・パンツのことらしい」
「「「「「「ハァ?」」」」」」
六人分の冷たい視線が突き刺さっているのにも気づかず、なおもオリファーは熱弁を振るう。
「従って、これからお前たち全員にはこの『マワシ』を着用してもらう!」
その時、マーベットはウッソの手伝いで自分用のガンイージーの調整をしていた。
「マーベット!」
ジュンコ・ジェンコの自分を呼ぶ声に機体から降りる。
そこにジュンコのみならず、シュラク隊の面々六人が勢ぞろい。
一番大きいヘレンは、何やら大きな袋を小脇に抱えている。
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:16
工作員709号活動記録
どうしようもなく、ドキドキする。
目の前の粗末なベッドの上には、薄手のシャツとトランクスのみを身にまとった少年が無防備な姿で横たわっている。
部屋の中にいるのは私と少年の、2人っきり。
そう、自分は今、目の前の少年を好きなように弄ぶことのできる立場にあるのだ。
口の中が乾く。
実に静かだ。
耳に入ってくるのは少年の可愛らしい寝息の音と、次第に激しさを増す自分の心音だけだ。
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:14
こだぬきさんのお仕事
狸に化けた十八歳のウッソ・エヴィンが、妖しい光を浴びながら、深紅のソファーに座っている。目の前にある低いテーブルの上から、冷たい水の入ったグラス持ち上げた。そのグラスを持つ手には、オレンジ色の毛が伸びている。
(全く……。誰だよ、こんな事思い付いたの)
そう思いながら、上に大きな耳を生やした顔の方に、グラスを持って行く。むき出しの口にそそがれる冷たい水は、未だに飲み慣れない酒で火照ったウッソの白い頬を、少しだけ冷やしてくれた。
(ふぅ、あと半月か)
狸から人に戻る日を待ち遠しく思いながら、ウッソはグラスを空にして行った。
(全く……。誰だよ、こんな事思い付いたの)
そう思いながら、上に大きな耳を生やした顔の方に、グラスを持って行く。むき出しの口にそそがれる冷たい水は、未だに飲み慣れない酒で火照ったウッソの白い頬を、少しだけ冷やしてくれた。
(ふぅ、あと半月か)
狸から人に戻る日を待ち遠しく思いながら、ウッソはグラスを空にして行った。
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:13
トビアのヒミツの初体験
「う…ん…? おれ…生きてるのか…? ここは?」
ただ四角いだけの何も無い空間、強いて言えば暗闇のみが存在する部屋の壁に少年-トビア・アロナクスは張り付けにされていた。
「そうか…! おれはカラスに撃たれて…げっ!!??」
自身の状況を把握する為に巡らせていた思考が、とある現実の認識によって一気に吹き飛ばされた。
彼は、裸で張り付けにされていた。身に纏っているのは左肩の傷の手当てに使われている包帯のみ。
当然肩の手当ての為に巻かれている包帯が自分の性器の上を覆っているわけはなく、彼は性器を露出したままの恥辱極まりない姿で身動きが取れない状況におかれている。
その現実が彼の頬を赤く染めるまもなく、聞き覚えのある笑い声が部屋中に響き渡った。
「カラスッ!!」
カラス-ほんの少し前までは恩師として信じきっていた木星帝国の工作員。
ベルナデットを奪いトビアを撃った張本人。
トビアは反射的にいくつもの質問をカラスに浴びせ、カラスは冷静にその質問一つ一つに答えていった。
自分は今木星帝国の母船ジュピトリス9、つまり敵本拠地のど真ん中で捕らわれの身となっている事。
仲間の母船であるマザー・バンガートが大きな被害を被り、ほぼ絶望的な状態である事。
そして、自分に死刑判決が下り明日刑が執行される事。
この3つの現実を知れば、どんな者でも自分の置かれている状況が極めて危うい事を認識できるだろう。
高笑いを最後にカラスの声が途絶えた後、トビアは一人つぶやく
「こんな事で…負けるものか…!」
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- 2015⁄01⁄05(Mon)
- 23:12
地球という名の母に抱かれて
ベルナデット・ブリエットは、目の前に広がる景色に、心を奪われている。どこまでも深く、どこまでも続いているかの様な、青い海。飛行機の中から見た時も感動的だったが、玉砂利の海岸の上に立ち、自分の背の高さで感じる青い自然は、泣きたくなる程素晴らしかった。
「凄い……。これが本物の海、本物の自然なのね」
緑色の瞳に映る青い海に、思わず声を上げる水着姿のベルナデット。手が、彼女の金髪の後ろを通って、ベルナデットの華奢な肩に触れる。抱き寄せた、少女を。
「僕も、初めて見た時は感動したよ。地球って、こんなに凄いんだなって」
トビア・アロナクスの声。一度海を体験した事があるその少年も、抱き寄せている大きな目を持つ少女と同じ様に、深く澄んだ海に心を動かされた。
(あの時と違って、平和の中で海を感じる事が出来るんだ、今日は)
心の歪んだ巨大な毒虫との戦いが終わった後、トビアはクロスボーンガンダム三号機のコアファイターの中で、海という物を初めて感じた。生きとし生ける者達の、青い母。命の星を包み込む、安らかな母。それが、海。
何千年、何万年先まで、人が新しい時代を迎えるまで、深く澄んだこの海を守って行かなければならない。あの時、そう決意した。今でも、いや、永遠にその決意は変わらない。抱き寄せている少女の為にも。
「凄い……。これが本物の海、本物の自然なのね」
緑色の瞳に映る青い海に、思わず声を上げる水着姿のベルナデット。手が、彼女の金髪の後ろを通って、ベルナデットの華奢な肩に触れる。抱き寄せた、少女を。
「僕も、初めて見た時は感動したよ。地球って、こんなに凄いんだなって」
トビア・アロナクスの声。一度海を体験した事があるその少年も、抱き寄せている大きな目を持つ少女と同じ様に、深く澄んだ海に心を動かされた。
(あの時と違って、平和の中で海を感じる事が出来るんだ、今日は)
心の歪んだ巨大な毒虫との戦いが終わった後、トビアはクロスボーンガンダム三号機のコアファイターの中で、海という物を初めて感じた。生きとし生ける者達の、青い母。命の星を包み込む、安らかな母。それが、海。
何千年、何万年先まで、人が新しい時代を迎えるまで、深く澄んだこの海を守って行かなければならない。あの時、そう決意した。今でも、いや、永遠にその決意は変わらない。抱き寄せている少女の為にも。
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- 2014⁄04⁄30(Wed)
- 22:47
探偵学園
そ今年の夏休み、キュウ、リュウ、メグ、キンタ、カズマのいつものメンバーは、海水浴を楽しもうと2泊3日の旅行を計画していた。
そこで問題になったのが、キュウが究極のカナヅチであるということだった。幸いこのことはキンタしか知らないことだったが、あまり人目を気にしないキュウも、キンタから
「泳げないんじゃかっこわるいぜ」
と言われてしまい、他の3人から笑われている状況を想像したキュウは、
「泳げるように特訓しよう!」
と奮い立つのだった。
そんな折り、キュウの母親の知り合いが、海のすぐ近くで旅館を経営していることから、キュウはそこで泳ぎの特訓をすることにしたのである。
「よーし、泳ぐぞー」
天気は雲一つない快晴。
目の前の海もエメラルドグリーンに近い青が眩しく照り返し、キュウのやる気を駆り立てた。白い砂浜から発せられる熱が足に痛い。泳ぐにはすばらしい環境だったが、その割には人も少なく、ここは相当な穴場の場所であるらしかった。
波打ち際に駆け寄ると、冷たい水の感触が火照った足に心地好い。キュウはバシャバシャと水音を立てながら海の中へと入っていくと、前方に飛び込んで、いきなり泳ぎ始めた。
バチャ バチャ バチャ
キュウはクロールをしているつもりらしかったが、でたらめに動く腕は溺れているようにしか見えなかった。程なくして、ブクブクとキュウの身体が海の底へと沈んでいこうとする・・・
「わっぷ・・・た、助けて!」
キュウの悲鳴にいち早く駆けつける少年の姿があった。その少年は背後からキュウの身体を羽交い絞めにすると、そのまま後退して砂浜までキュウの身体を引きずっていった。
「大丈夫?」
覗き込む少年の姿にキュウはパッと起き上がった。
「う、うん、ありがとう。えっと・・・」
「ボク、あそこの旅館に住んでる葉山孝太って言います。実はお兄ちゃんが、泳ぎが下手だから見てあげてって言われてたんです」
「はは、そうなんだ。オレはキュウ! 中3だよ。よろしくね」
「ボクは小6です。お兄ちゃん、中3なんだ。へへ、ボクと同じくらいかと思っちゃった」
(ガクッ・・・)
背が低く童顔のキュウは、しばしば小学生と間違われることもあったが、本人はたいして気にもしていないようである。
孝太は薄地の競泳用パンツを着用していた。キュウの目の前に微かに膨らんだ孝太の股間が目に入り、何故かキュウはどぎまぎした。
(オレも競泳用にすればよかったかな・・・)
キュウは学校で使っているスクール水着を着てきたことを少し後悔した。
「じゃ、泳ぎはボクが教えてあげるね!」
孝太がにこっとしてキュウのお尻をポンと叩く。
「本当? 助かるよ!」
キュウはこれで泳げるようになるかな? と、淡い期待を抱いた。
そこで問題になったのが、キュウが究極のカナヅチであるということだった。幸いこのことはキンタしか知らないことだったが、あまり人目を気にしないキュウも、キンタから
「泳げないんじゃかっこわるいぜ」
と言われてしまい、他の3人から笑われている状況を想像したキュウは、
「泳げるように特訓しよう!」
と奮い立つのだった。
そんな折り、キュウの母親の知り合いが、海のすぐ近くで旅館を経営していることから、キュウはそこで泳ぎの特訓をすることにしたのである。
「よーし、泳ぐぞー」
天気は雲一つない快晴。
目の前の海もエメラルドグリーンに近い青が眩しく照り返し、キュウのやる気を駆り立てた。白い砂浜から発せられる熱が足に痛い。泳ぐにはすばらしい環境だったが、その割には人も少なく、ここは相当な穴場の場所であるらしかった。
波打ち際に駆け寄ると、冷たい水の感触が火照った足に心地好い。キュウはバシャバシャと水音を立てながら海の中へと入っていくと、前方に飛び込んで、いきなり泳ぎ始めた。
バチャ バチャ バチャ
キュウはクロールをしているつもりらしかったが、でたらめに動く腕は溺れているようにしか見えなかった。程なくして、ブクブクとキュウの身体が海の底へと沈んでいこうとする・・・
「わっぷ・・・た、助けて!」
キュウの悲鳴にいち早く駆けつける少年の姿があった。その少年は背後からキュウの身体を羽交い絞めにすると、そのまま後退して砂浜までキュウの身体を引きずっていった。
「大丈夫?」
覗き込む少年の姿にキュウはパッと起き上がった。
「う、うん、ありがとう。えっと・・・」
「ボク、あそこの旅館に住んでる葉山孝太って言います。実はお兄ちゃんが、泳ぎが下手だから見てあげてって言われてたんです」
「はは、そうなんだ。オレはキュウ! 中3だよ。よろしくね」
「ボクは小6です。お兄ちゃん、中3なんだ。へへ、ボクと同じくらいかと思っちゃった」
(ガクッ・・・)
背が低く童顔のキュウは、しばしば小学生と間違われることもあったが、本人はたいして気にもしていないようである。
孝太は薄地の競泳用パンツを着用していた。キュウの目の前に微かに膨らんだ孝太の股間が目に入り、何故かキュウはどぎまぎした。
(オレも競泳用にすればよかったかな・・・)
キュウは学校で使っているスクール水着を着てきたことを少し後悔した。
「じゃ、泳ぎはボクが教えてあげるね!」
孝太がにこっとしてキュウのお尻をポンと叩く。
「本当? 助かるよ!」
キュウはこれで泳げるようになるかな? と、淡い期待を抱いた。
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- 2014⁄04⁄02(Wed)
- 00:55
危うし!シンジきゅん。痴漢に遭遇の巻
ムンと熱気で溢れている。
普段ならこの電車の熱気は不快でしかないが、
シンジの周囲にいる男達は少年の肌から
香りたつ熱に混じって鼻孔を掠める甘酸っぱい匂いを
胸に吸い込み、逆に至福を感じていた。
ぐったりと力が抜けきった少年を
無理矢理立たせ、男達は鼻を寄せた。
汗と体臭が入り混じった独特の香りが鼻をつく。
この狭い空間で行った状況だけでかいた汗ではない。
今日は学校で体育があったのだ。
シンジの運動で流した汗が男達を興奮の坩堝に招く
性的な香りに仕立てあがらせていた。
男等はすんすんと遠慮なく鼻を鳴らし、匂いを嗅ぐ。
シンジの腋を。胸を。首筋を。
「あ、やめ、て…よぉ」
時折、か細く抵抗の意志を示すが、もちろん誰も聞き入れない。
シンジの背後にいる男は匂いを嗅ぎながら、
少年の制服のベルトを外し、急くようにズボンを下ろし始める。
「やっぱりブリーフか。可愛いねぇ」
言いながら、男はシンジの穿いているブリーフを
ふくろはぎまで下ろしていく。
可愛いらしい子供ペニスが現れる。
真性らしく皮は余り、極小のウィンナーだ。
普段ならこの電車の熱気は不快でしかないが、
シンジの周囲にいる男達は少年の肌から
香りたつ熱に混じって鼻孔を掠める甘酸っぱい匂いを
胸に吸い込み、逆に至福を感じていた。
ぐったりと力が抜けきった少年を
無理矢理立たせ、男達は鼻を寄せた。
汗と体臭が入り混じった独特の香りが鼻をつく。
この狭い空間で行った状況だけでかいた汗ではない。
今日は学校で体育があったのだ。
シンジの運動で流した汗が男達を興奮の坩堝に招く
性的な香りに仕立てあがらせていた。
男等はすんすんと遠慮なく鼻を鳴らし、匂いを嗅ぐ。
シンジの腋を。胸を。首筋を。
「あ、やめ、て…よぉ」
時折、か細く抵抗の意志を示すが、もちろん誰も聞き入れない。
シンジの背後にいる男は匂いを嗅ぎながら、
少年の制服のベルトを外し、急くようにズボンを下ろし始める。
「やっぱりブリーフか。可愛いねぇ」
言いながら、男はシンジの穿いているブリーフを
ふくろはぎまで下ろしていく。
可愛いらしい子供ペニスが現れる。
真性らしく皮は余り、極小のウィンナーだ。
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- 2014⁄03⁄02(Sun)
- 01:39
Jack-In-The-Box
一回戦とさして変わらぬ手応えで、難なく勝ち抜けたゴンは50階ロビーでうろうろしていた。
「え・・・?」
チケットは既に受け取っていた。一刻も早くキルアに報告しよう、と喜び勇んでエレベーターホールへ向かったのだが
「君と同じくらいの男の子?・・・・まだ来ていないわよ」
50階へ案内してくれたエレベーターガールがにっこり笑って教えてくれたのだ。思わず耳を疑った。
『60階のロビーでまってるからな』
ズシと並んで出て行くときに、余裕綽々でキルアは言ったのだ。
自分よりも先に呼ばれたし、ずいぶん待たせてしまったに違いない。エレベーターガールは交代していなかったから、キルアがどれくらい前に上がっていったのか判ると思ったのだ。
まさか、まだ戦っている、なんて。
(まだ来てない・・・・)
そう簡単にキルアが負けるとも思えない。ひょっとするとどこかで遊んでいる、という事も十分考えうる。
だが、あちらこちらを見て回っても、キルアの姿は見つけられなかった。
とにかくエレベーターホールの前で待っていれば、すれ違いは避けられると思い、ホールのソファへ腰を掛けた。味気の無い真四角のソファだ。
一試合終わる度に遠くから喚声が聞こえる。時折、勝者が上階へ向かうためにゴンの前を通り過ぎていった。受付に人の影が立つ度に、ゴンは身を乗り出して様子をうかがったがどれもキルアではなかった。
(ちぇっ・・・・ずるいや、キルアばっかり。オレだって遊びたいのに)
いつのまにかキルアは遊んでいる事になってしまっていた。ゴンは受付を覗くのも止め、ソファに身を投げ出した。
ぷぅ、とふて腐れて目を閉じる。
誰かを待つという事は苦手だ。狩りをするときにじっと獲物を待つのとは全く違うのだ。なにか、得体の知れない不安に耐えなければならないから。
それに時間に任せて、考え事をするのも苦手だ。
「う~~暇だぁ・・・」
ごろんごろんとソファの上で転げまわる。大体こんな時はろくな事を思い出さない。
『好きだ』
それは、キルアが言ったのだった。
真顔でそんな事を言われても、照れるばかりで返事もできなかった。飛行船でここへ着くまでに何回言われただろう。
(そう言えばヒソカからそんなコトバ言われた事はなかったなぁ)
手持ち無沙汰に釣竿を振り回しながら、あれは本当の出来事だったのだろうかと自問していた。
ほんの数日、第4次試験を終えて5次試験の会場に移る間だけ。あの、飛行船と奇妙なホテルの中でだけで存在した不思議な時間だった。
愛されていると感じていたのは、間違いだったのかもしれない。初めて人を好きになったのだ、と信じていた気持ちも本当じゃなかったのだろうか。
あの時、誰の声もが遠かった。
本当は、これは違うものだ、と分かっていたような気もする。でも帰れなかった。いや、キルアの事が無ければ、きっと今も帰ってきてはいない。
”借りを返したい”
皆にはそう言ったが、ただヒソカに会いたいだけなのかもしれなかった。多分、クラピカには判っていたのだろう。だからあんなにヒソカの居場所を言い渋っていたのだ。
・・・・ちぇ。
何度目かの舌打ちをした。
ヒソカもキルアも、だいっ嫌いだ。
あ~あ。つまんないよぉ。
結局、ゴンは退屈に負けて60階のフロアまで移動した。ひょっとしたら、どこかですれ違ったのかも、とも思ったのだがやはりキルアの姿はなく、そこで待っていたのも退屈な時間だった。
新しいフロアの散策も、30分も居れば歩き尽くす事ができる。
その間に治療室も見つけ、50階での試合で受けたダメージも手当てしてもらった。いや、本当はゾルディック家で受けた傷だったのだが、強引な看護婦にバンソウコを張り替えられた。
大きなバンソウコウが邪魔だなぁと思いながら、やはりエレベーターホールのソファに腰掛けキルアを待った。
どこの階も同じ作りなのだろうか、50階にあったものとそっくりな、少し固めのソファだった。コロンコロンと転がったり、自分の釣竿で壁紙を引っかけようとしたりして時間をつぶしていた。
「キルア、こっち!」
何回目かのエレベーターにその姿を認め、ゴンはぱっと顔を明るくした。
「見て!6万ももらっちゃった」
受付で渡された小さな封筒を見せながら、駆け寄る。だが、キルアの反応は鈍かった。
ゴンは違和感を感じながら、それでも無邪気に尋ねる。
「少し時間がかかったね」
「ああ、ちょっと手こずっちまった」
明らかに不機嫌だった。ゴンの顔もマトモに見ず、すたすたと歩いていってしまう。もっと喜んでくれると思っていたのに、あまりに素っ気無い態度に不満を感じる。
「けっこう強かったんだ?」
小走りに追いつきながら、たずねる。
「いや、全然」
相手には確かに素質があった。しばらくこの塔に居れば、比べ物にならないくらい強くなるだろう。潜在能力は、ゴンと遜色無いかもしれない。
だが、今の実力は端にも引っ掛からない程度だったのだ。
「なのに倒せなかった」
そう呟いたキルアの横顔は、何も受け付けない厳しい表情をしていた。
ゴンは気後れし、声もかけられない。
「それに」
あの、試合の途中でズシが構えを変えた瞬間を思い出していた。そうだ、あの構えだ。頭で考えるより早く体が反応していた。
「兄貴と同じイヤな感じがしたんだ」
キルアにとって、絶対に"相手にならない"ズシと、絶対に"勝てない"存在が同じ何かを持っている事が気になってしかたない。
自分には分からない何か、だった。おそらく何かの技なのだろう。キルアはそう考えていた。
イルミにしても、遥かに卓越した技によって自分を威圧している。だから、自分は勝てないのだ、と。
試合会場を出た後、師匠に土下座をしているズシを見かけた。レンを使うな、という戒めを身を小さくして受けていた。
あの時のウィングの言葉が、イルミの強さの秘密を知るきっかけになるかもしれない。
「"レン"と最上階か・・・」
最初は200階くらいまで行ければ良い、と思っていた。ゴンがそれなりの力をつけるまで、自分は付き合うだけのつもりだったのだ。
「ゴン・・・オレちょっと予定を変えるぜ。最上階を目指す!」
ゴンにはちょっときついかもしれないけど、その時はリタイアさせればいいや。でも、ゴンの事だからきっと"一緒に行く"っていうだろう。
目指す、と言った本人は結構気楽なものだった。
だが、元気良く聞こえてくるだろうと思った返事が無かった。
「なんだよ、オウとか言えよ、ゴン」
ムッカリしながらキルアが振向くと、フグのように膨れかえった顔が目の前に迫っていた。
「わっ・・・どうしたんだよ」
「どうもしないよっ」
「何で膨れてるんだよ」
「なんでもないよっ」
ばかばかばか。
キルアの馬鹿。
オレのこと全然無視して、あのズシって子の事ばっかり。
もういいもん。やっぱりキルアの方がたくさん嫌いだ。
拗ねたお子様は膨れたままの頬をして、くるり、とキルアに背を向けると、どんどん歩いていってしまった。
「なぁ。ゴン、機嫌なおせよぅ・・・」
声をかけながら後を追いかけてくる。
「知らないもん」
「ゴンってばさぁ。・・・後でアイス奢ってやるよ」
アイス、と聞いてゴンの足が止まった。相変わらず食い物に釣られる奴だ。
「本当?」
「うんうん。だから一緒に行こうぜ、最上階!」
「・・・うん!」
(ほんとは最初からそのつもりだったけど・・・)
アイスもせしめた事だし、あえて言わなくても良いだろう。
返答に間ができたが、キルアは気にしなかったようだ。
手始めに明日の60階での試合だ。キルアにおいていかれないようにしなくては、などと気楽な事を考えているゴンだった。
「え・・・?」
チケットは既に受け取っていた。一刻も早くキルアに報告しよう、と喜び勇んでエレベーターホールへ向かったのだが
「君と同じくらいの男の子?・・・・まだ来ていないわよ」
50階へ案内してくれたエレベーターガールがにっこり笑って教えてくれたのだ。思わず耳を疑った。
『60階のロビーでまってるからな』
ズシと並んで出て行くときに、余裕綽々でキルアは言ったのだ。
自分よりも先に呼ばれたし、ずいぶん待たせてしまったに違いない。エレベーターガールは交代していなかったから、キルアがどれくらい前に上がっていったのか判ると思ったのだ。
まさか、まだ戦っている、なんて。
(まだ来てない・・・・)
そう簡単にキルアが負けるとも思えない。ひょっとするとどこかで遊んでいる、という事も十分考えうる。
だが、あちらこちらを見て回っても、キルアの姿は見つけられなかった。
とにかくエレベーターホールの前で待っていれば、すれ違いは避けられると思い、ホールのソファへ腰を掛けた。味気の無い真四角のソファだ。
一試合終わる度に遠くから喚声が聞こえる。時折、勝者が上階へ向かうためにゴンの前を通り過ぎていった。受付に人の影が立つ度に、ゴンは身を乗り出して様子をうかがったがどれもキルアではなかった。
(ちぇっ・・・・ずるいや、キルアばっかり。オレだって遊びたいのに)
いつのまにかキルアは遊んでいる事になってしまっていた。ゴンは受付を覗くのも止め、ソファに身を投げ出した。
ぷぅ、とふて腐れて目を閉じる。
誰かを待つという事は苦手だ。狩りをするときにじっと獲物を待つのとは全く違うのだ。なにか、得体の知れない不安に耐えなければならないから。
それに時間に任せて、考え事をするのも苦手だ。
「う~~暇だぁ・・・」
ごろんごろんとソファの上で転げまわる。大体こんな時はろくな事を思い出さない。
『好きだ』
それは、キルアが言ったのだった。
真顔でそんな事を言われても、照れるばかりで返事もできなかった。飛行船でここへ着くまでに何回言われただろう。
(そう言えばヒソカからそんなコトバ言われた事はなかったなぁ)
手持ち無沙汰に釣竿を振り回しながら、あれは本当の出来事だったのだろうかと自問していた。
ほんの数日、第4次試験を終えて5次試験の会場に移る間だけ。あの、飛行船と奇妙なホテルの中でだけで存在した不思議な時間だった。
愛されていると感じていたのは、間違いだったのかもしれない。初めて人を好きになったのだ、と信じていた気持ちも本当じゃなかったのだろうか。
あの時、誰の声もが遠かった。
本当は、これは違うものだ、と分かっていたような気もする。でも帰れなかった。いや、キルアの事が無ければ、きっと今も帰ってきてはいない。
”借りを返したい”
皆にはそう言ったが、ただヒソカに会いたいだけなのかもしれなかった。多分、クラピカには判っていたのだろう。だからあんなにヒソカの居場所を言い渋っていたのだ。
・・・・ちぇ。
何度目かの舌打ちをした。
ヒソカもキルアも、だいっ嫌いだ。
あ~あ。つまんないよぉ。
結局、ゴンは退屈に負けて60階のフロアまで移動した。ひょっとしたら、どこかですれ違ったのかも、とも思ったのだがやはりキルアの姿はなく、そこで待っていたのも退屈な時間だった。
新しいフロアの散策も、30分も居れば歩き尽くす事ができる。
その間に治療室も見つけ、50階での試合で受けたダメージも手当てしてもらった。いや、本当はゾルディック家で受けた傷だったのだが、強引な看護婦にバンソウコを張り替えられた。
大きなバンソウコウが邪魔だなぁと思いながら、やはりエレベーターホールのソファに腰掛けキルアを待った。
どこの階も同じ作りなのだろうか、50階にあったものとそっくりな、少し固めのソファだった。コロンコロンと転がったり、自分の釣竿で壁紙を引っかけようとしたりして時間をつぶしていた。
「キルア、こっち!」
何回目かのエレベーターにその姿を認め、ゴンはぱっと顔を明るくした。
「見て!6万ももらっちゃった」
受付で渡された小さな封筒を見せながら、駆け寄る。だが、キルアの反応は鈍かった。
ゴンは違和感を感じながら、それでも無邪気に尋ねる。
「少し時間がかかったね」
「ああ、ちょっと手こずっちまった」
明らかに不機嫌だった。ゴンの顔もマトモに見ず、すたすたと歩いていってしまう。もっと喜んでくれると思っていたのに、あまりに素っ気無い態度に不満を感じる。
「けっこう強かったんだ?」
小走りに追いつきながら、たずねる。
「いや、全然」
相手には確かに素質があった。しばらくこの塔に居れば、比べ物にならないくらい強くなるだろう。潜在能力は、ゴンと遜色無いかもしれない。
だが、今の実力は端にも引っ掛からない程度だったのだ。
「なのに倒せなかった」
そう呟いたキルアの横顔は、何も受け付けない厳しい表情をしていた。
ゴンは気後れし、声もかけられない。
「それに」
あの、試合の途中でズシが構えを変えた瞬間を思い出していた。そうだ、あの構えだ。頭で考えるより早く体が反応していた。
「兄貴と同じイヤな感じがしたんだ」
キルアにとって、絶対に"相手にならない"ズシと、絶対に"勝てない"存在が同じ何かを持っている事が気になってしかたない。
自分には分からない何か、だった。おそらく何かの技なのだろう。キルアはそう考えていた。
イルミにしても、遥かに卓越した技によって自分を威圧している。だから、自分は勝てないのだ、と。
試合会場を出た後、師匠に土下座をしているズシを見かけた。レンを使うな、という戒めを身を小さくして受けていた。
あの時のウィングの言葉が、イルミの強さの秘密を知るきっかけになるかもしれない。
「"レン"と最上階か・・・」
最初は200階くらいまで行ければ良い、と思っていた。ゴンがそれなりの力をつけるまで、自分は付き合うだけのつもりだったのだ。
「ゴン・・・オレちょっと予定を変えるぜ。最上階を目指す!」
ゴンにはちょっときついかもしれないけど、その時はリタイアさせればいいや。でも、ゴンの事だからきっと"一緒に行く"っていうだろう。
目指す、と言った本人は結構気楽なものだった。
だが、元気良く聞こえてくるだろうと思った返事が無かった。
「なんだよ、オウとか言えよ、ゴン」
ムッカリしながらキルアが振向くと、フグのように膨れかえった顔が目の前に迫っていた。
「わっ・・・どうしたんだよ」
「どうもしないよっ」
「何で膨れてるんだよ」
「なんでもないよっ」
ばかばかばか。
キルアの馬鹿。
オレのこと全然無視して、あのズシって子の事ばっかり。
もういいもん。やっぱりキルアの方がたくさん嫌いだ。
拗ねたお子様は膨れたままの頬をして、くるり、とキルアに背を向けると、どんどん歩いていってしまった。
「なぁ。ゴン、機嫌なおせよぅ・・・」
声をかけながら後を追いかけてくる。
「知らないもん」
「ゴンってばさぁ。・・・後でアイス奢ってやるよ」
アイス、と聞いてゴンの足が止まった。相変わらず食い物に釣られる奴だ。
「本当?」
「うんうん。だから一緒に行こうぜ、最上階!」
「・・・うん!」
(ほんとは最初からそのつもりだったけど・・・)
アイスもせしめた事だし、あえて言わなくても良いだろう。
返答に間ができたが、キルアは気にしなかったようだ。
手始めに明日の60階での試合だ。キルアにおいていかれないようにしなくては、などと気楽な事を考えているゴンだった。
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- 2014⁄02⁄21(Fri)
- 01:08
少年期大空翼を陵辱する
「せ、先輩、何するんですかっ」
いきなり部室の床に突き飛ばされて、翼は相手を見渡した。子供と大人
ほど違う体格の選手が十人、翼を取り囲んでいる。元々そう体格に恵ま
れた方ではない翼から見ると、たった二年の差とは思えぬ程、先輩部
員達は大きく見える。
「お前、いきなりレギュラーだそうだな」
「生意気なんだよ」
床に叩きつけられた拍子に打ったのか、腕がじんじんと痛む。それを更
に捩じり上げられて、翼は苦悶に呻いた。
「顔はやめとけよ。すぐにばれるぜ」
「そうだな、腹か、脚か」
いきなり部室の床に突き飛ばされて、翼は相手を見渡した。子供と大人
ほど違う体格の選手が十人、翼を取り囲んでいる。元々そう体格に恵ま
れた方ではない翼から見ると、たった二年の差とは思えぬ程、先輩部
員達は大きく見える。
「お前、いきなりレギュラーだそうだな」
「生意気なんだよ」
床に叩きつけられた拍子に打ったのか、腕がじんじんと痛む。それを更
に捩じり上げられて、翼は苦悶に呻いた。
「顔はやめとけよ。すぐにばれるぜ」
「そうだな、腹か、脚か」
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- 2014⁄02⁄08(Sat)
- 13:35
レッツ&ゴー
烈はいつものように、机に向かって宿題に取り組んでいた。烈は、学校から帰ってきたら、とりあえず、宿題することにしている。両親は、この姿を見て、豪に烈の爪の垢を飲ましたいと普段から思っているぐらいである。
「烈兄貴、入っていいか」
と、言うと同時に入ってくる豪。烈は、いつもの事と思いつつ、そのまま机に向かい、鉛筆を走らせていた。豪は、とっとと、烈の部屋のベットに腰掛けた。ただ、普段と違い、豪が機関銃のようにしゃべらないので不思議に思い、烈は豪の方を振り向いた。
「どうしたんだ、豪?」
豪は、いつも、違い、ちょっと、戸惑ったような顔色で、烈を見つめている。こいつ、とんでもない病気にでもなったのかと、烈は豪の方に歩いていき、豪の隣に座った。ただ、宿題の続きをどこからかチェックずみのあたり、さすが、烈である。
「あのさぁ、烈兄貴……俺……クラスの○○から聞いたんだけど………チンチンこすったら大きくなって気持ちいいんだって。オナニーって言うんだって、烈兄貴知ってた?。」
突然そんな事を言われて烈は動揺したが、極力表に出さない様にして、 落ち着いた口調を保とうと努めて豪に答えた。
「……も、もちろん知ってるけど……何でそんな事聞くんだ?。」
「オナニーって自分でやるもんなんだけど………人にやってもらったらもっと気持ちいいんだって、だから烈兄貴にしてあげようと思って………兄貴は自分ではした事あるんだろ?。」
実は烈は自分でした事はあるのだが、絶頂に達する前の何とも妙な感覚が我慢出来ず、達する前にやめてしまったので、未だに絶頂感は体験していないのであった。
「い、いいよ……そんな事……。」
と、言う間もなく豪は烈のズボンに手をかけようとする。
「ち、ちょっと待て豪、俺は別にしてもらわなくても……。」
「俺とじゃ嫌か?。」
と豪に言われてじっと見つめられると、烈は抵抗するのをやめて豪のなすがままになってしまった。
豪は再び烈のズボンに手をかけると、烈は脱がせやすい様に立ち上がった。豪は烈の半ズボンとパンツを一気に下げる、豪の目の前に現れた烈のそれは、まだ子供らしい小さな物だったが、豪に握られてしごかれると、第二次成長にさしかかりつつあるそれは、段々と大きくなっていった。
「(こう握って、動かせばいいんだよな)」
と心でつぶやきながら豪は手を動かし始めた。
烈は、オナニーは初めてではないのだが、他人にやってもらっているので何とも変な気持ちだった。そうしているうちに、段々気持ち良くなってきて、あの登りつめる様な感覚が迫って来た。前にした時は我慢できなくなって、ここでやめてしまったのだが、今は弟にされているので、自分ではどうする事も出来ない。
豪がふと顔を上げて烈の顔を見たら、何だか辛そうな表情に見えたので、
「烈兄貴、辛いのか?、もうやめようか?」
と言って手を止めようとしたら、烈は、
「ああっ、やめないで、もっと……」
と言うので豪は手をゆるめずに続けた。豪の手の動きに合わせる様に烈の口からは小さくあえぎ声が漏れていた。そしてどちらからともなく手の動きとあえぎ声が早くなっていって、烈の声が止まった瞬間、烈は絶頂に達して豪の手と顔面に一気に発射した。
初めての絶頂感に、烈は一瞬頭の中が真っ白になり、恍惚とした表情でその場にへたり込んだ。
「すげ~、これが精液なのかぁ」
と、豪は手にかかった精液をまじまじと見ている。ふと烈を見ると、目がトロンとしていて、視点が定まっていない様だ。
「気持ち良かった?」
と聞くと、烈は
「…………ああ……」
と、心ここにあらずといった返事を返すだけだった。しばらくして我に返った烈は、豪の顔にかかっている物が自分が出した精液だと気づき慌てて、
「ご、ごめん、豪、顔に……」
と言いながらハンカチを取り出して豪の顔を拭いたが、髪の毛や服にも付いていて、拭いただけでは取れそうもない。
「いいよ、風呂で洗ってくるから。」
と言って豪は部屋を出ていった。
豪は顔を洗って、服を着替えながら、
「(……烈兄貴、気持ちよさそうだったな~、……そ~だ、こんどはJにもやってやろう)」
と思いつき、早速行動に移すのであった。
「烈兄貴、入っていいか」
と、言うと同時に入ってくる豪。烈は、いつもの事と思いつつ、そのまま机に向かい、鉛筆を走らせていた。豪は、とっとと、烈の部屋のベットに腰掛けた。ただ、普段と違い、豪が機関銃のようにしゃべらないので不思議に思い、烈は豪の方を振り向いた。
「どうしたんだ、豪?」
豪は、いつも、違い、ちょっと、戸惑ったような顔色で、烈を見つめている。こいつ、とんでもない病気にでもなったのかと、烈は豪の方に歩いていき、豪の隣に座った。ただ、宿題の続きをどこからかチェックずみのあたり、さすが、烈である。
「あのさぁ、烈兄貴……俺……クラスの○○から聞いたんだけど………チンチンこすったら大きくなって気持ちいいんだって。オナニーって言うんだって、烈兄貴知ってた?。」
突然そんな事を言われて烈は動揺したが、極力表に出さない様にして、 落ち着いた口調を保とうと努めて豪に答えた。
「……も、もちろん知ってるけど……何でそんな事聞くんだ?。」
「オナニーって自分でやるもんなんだけど………人にやってもらったらもっと気持ちいいんだって、だから烈兄貴にしてあげようと思って………兄貴は自分ではした事あるんだろ?。」
実は烈は自分でした事はあるのだが、絶頂に達する前の何とも妙な感覚が我慢出来ず、達する前にやめてしまったので、未だに絶頂感は体験していないのであった。
「い、いいよ……そんな事……。」
と、言う間もなく豪は烈のズボンに手をかけようとする。
「ち、ちょっと待て豪、俺は別にしてもらわなくても……。」
「俺とじゃ嫌か?。」
と豪に言われてじっと見つめられると、烈は抵抗するのをやめて豪のなすがままになってしまった。
豪は再び烈のズボンに手をかけると、烈は脱がせやすい様に立ち上がった。豪は烈の半ズボンとパンツを一気に下げる、豪の目の前に現れた烈のそれは、まだ子供らしい小さな物だったが、豪に握られてしごかれると、第二次成長にさしかかりつつあるそれは、段々と大きくなっていった。
「(こう握って、動かせばいいんだよな)」
と心でつぶやきながら豪は手を動かし始めた。
烈は、オナニーは初めてではないのだが、他人にやってもらっているので何とも変な気持ちだった。そうしているうちに、段々気持ち良くなってきて、あの登りつめる様な感覚が迫って来た。前にした時は我慢できなくなって、ここでやめてしまったのだが、今は弟にされているので、自分ではどうする事も出来ない。
豪がふと顔を上げて烈の顔を見たら、何だか辛そうな表情に見えたので、
「烈兄貴、辛いのか?、もうやめようか?」
と言って手を止めようとしたら、烈は、
「ああっ、やめないで、もっと……」
と言うので豪は手をゆるめずに続けた。豪の手の動きに合わせる様に烈の口からは小さくあえぎ声が漏れていた。そしてどちらからともなく手の動きとあえぎ声が早くなっていって、烈の声が止まった瞬間、烈は絶頂に達して豪の手と顔面に一気に発射した。
初めての絶頂感に、烈は一瞬頭の中が真っ白になり、恍惚とした表情でその場にへたり込んだ。
「すげ~、これが精液なのかぁ」
と、豪は手にかかった精液をまじまじと見ている。ふと烈を見ると、目がトロンとしていて、視点が定まっていない様だ。
「気持ち良かった?」
と聞くと、烈は
「…………ああ……」
と、心ここにあらずといった返事を返すだけだった。しばらくして我に返った烈は、豪の顔にかかっている物が自分が出した精液だと気づき慌てて、
「ご、ごめん、豪、顔に……」
と言いながらハンカチを取り出して豪の顔を拭いたが、髪の毛や服にも付いていて、拭いただけでは取れそうもない。
「いいよ、風呂で洗ってくるから。」
と言って豪は部屋を出ていった。
豪は顔を洗って、服を着替えながら、
「(……烈兄貴、気持ちよさそうだったな~、……そ~だ、こんどはJにもやってやろう)」
と思いつき、早速行動に移すのであった。
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- 2014⁄02⁄08(Sat)
- 13:28
将太の寿司
「まずは僕の包丁技を堪能してもらうよ。」
股間の柳刃包丁をぞろりと抜き出す奥万倉。その細長くも鋭い包丁は、ぴちぴちとサヨリのように暴れている。
「行くよ関口君!」
「うああっ!」
堪らない速さで奥万倉は将太の菊門を刺し貫く。鮮血が飛び散り将太の菊門と奥万倉のサヨリを朱に染める、その艶やかな姿はまさに大輪の菊。
「これぞサヨリ万寿菊の型!」
喜悦の声を高らかに上げる将太。
「ああっ。皮ぎしの脂が!滑らかで!いいっ!」
そう、奥万倉は左手で己の柳刃の皮をすばやく剥く事で、滑らかな亀頭を作り出していたのだ!
バオッ!ガオッ!状況に似つかわしくない轟音を響かせながら、奥万倉は将太の直腸に見事な鹿の子包丁を刻んでいく。
「くっ…。見事なしまりだ関口君!」
おもむろに、奥万倉は右手の人差し指を、既に柳刃の突き刺さった穴に突き立てた。
「ひああっ…!つ、冷たい!」
「氷水に右手を浸していたのはこのためさ。」
突然の冷感によって急激にしまる将太の尻穴。その圧力に奥万倉は限界を迎える。
「父さん、母さん、親方…。見ていてください!」
絶頂のその時、奥万倉は将太からその包丁を引き抜き、赤黒い血液の混じった白濁を、将太の臀部全体に放った。将太の尻に豪奢な花が咲き誇る。
「これぞサボテンの花!」
全身の力を放ち切った奥万倉はその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。
将太は開会式での上着の臭いを思い出し、鼻の奥につんとしたものを感じた。
「次は、俺だな――」
その黒さ、その太さ、そしておじ様うっとりの見事な五分刈り。
マグロ哲。清水哲也であった。
股間の柳刃包丁をぞろりと抜き出す奥万倉。その細長くも鋭い包丁は、ぴちぴちとサヨリのように暴れている。
「行くよ関口君!」
「うああっ!」
堪らない速さで奥万倉は将太の菊門を刺し貫く。鮮血が飛び散り将太の菊門と奥万倉のサヨリを朱に染める、その艶やかな姿はまさに大輪の菊。
「これぞサヨリ万寿菊の型!」
喜悦の声を高らかに上げる将太。
「ああっ。皮ぎしの脂が!滑らかで!いいっ!」
そう、奥万倉は左手で己の柳刃の皮をすばやく剥く事で、滑らかな亀頭を作り出していたのだ!
バオッ!ガオッ!状況に似つかわしくない轟音を響かせながら、奥万倉は将太の直腸に見事な鹿の子包丁を刻んでいく。
「くっ…。見事なしまりだ関口君!」
おもむろに、奥万倉は右手の人差し指を、既に柳刃の突き刺さった穴に突き立てた。
「ひああっ…!つ、冷たい!」
「氷水に右手を浸していたのはこのためさ。」
突然の冷感によって急激にしまる将太の尻穴。その圧力に奥万倉は限界を迎える。
「父さん、母さん、親方…。見ていてください!」
絶頂のその時、奥万倉は将太からその包丁を引き抜き、赤黒い血液の混じった白濁を、将太の臀部全体に放った。将太の尻に豪奢な花が咲き誇る。
「これぞサボテンの花!」
全身の力を放ち切った奥万倉はその場に崩れ落ち、二度と立ち上がる事は無かった。
将太は開会式での上着の臭いを思い出し、鼻の奥につんとしたものを感じた。
「次は、俺だな――」
その黒さ、その太さ、そしておじ様うっとりの見事な五分刈り。
マグロ哲。清水哲也であった。
- category
- 版権
- 2014⁄01⁄28(Tue)
- 02:35
SweetStorm
初めて彼を見たのは、試験会場に辿り着いた瞬間だった。
小部屋のドアが開き、少し薄暗い坑道の中にひしめき合う人込みの中で、一瞬だけ目があった。
にぃ、と唇の端だけ釣り上げるような笑いが、目に焼き付いて離れない。
奴は危険だ、とトンパが訳知り顔で説明してくれた。
疑問を持つよりも早く、同じ受験生の腕を切り落としてしまった彼自身がその言葉を裏付ける。
だが、偽試験官をカードで殺害したときも、4次試験中に受験生を狩った時も、迷いの無い、その仕種が妙に目を惹いたのだ。
誰かが、死んでしまったのだ、という事実よりも。
そこは、最終試験までの3日間を過ごすように、と与えられたホテルの一室。
ホテルの部屋、というよりはちょっとしたコンドミニアムのようで、長期滞在を目的に作られていた。
ゴンは自分の部屋のベッドの上でぼんやりと天井を眺めていた。
こんな立派なところへ泊まるのは初めてだった。しばらく大はしゃぎでキルアと部屋の中で暴れまわったり、ホテル内を散策していたが、途中で相棒がいなくなってしまったためにゴンは独りで自室に戻っていた。
なにをするでもなく、ただ時が流れていく。
ゴンは、ヒソカへと想いを馳せていた。
(ヒソカはなぜ、このプレートをくれたんだろう)
試験官に我が侭を言い、もらってきたヒソカのプレートを手にする。
ぎゅっと握り締めると、冷たい堅さがヒソカのイメージと重なった。
(なぜ…?)
奪われたプレートをゴンに渡しに来た時の笑顔は、とても嬉しそうだった。思い出すと胸が痛い。
何もできなかった悔しさで、また涙が零れてくる。クラピカの前で泣いて、最後にしようと思ったのに。
(やっぱり、返しに行こう)
勢い良くベッドから起き上がると、涙を拭って靴を探す。ゴンは、ヒソカの部屋へ行こうと決めた。
受け取ってもらえないかもしれない。でも、このまま何もせずにいても、胸は痛いままだと思った。
それなら、会ってすっきりしたい。受け取ってもらえなくても、せめてなぜ自分にこのプレートをくれたのか、聞きたい。
「あれ…?何処へ飛ばしちゃったのかな」
ぶつぶつと呟きながら、ベッドの下の方へ潜り込んでいた靴をようやく探し当て、ゴンは自分の部屋を出ていった。
ヒソカの部屋をフロントで聞き、ゴンはエレベーターで移動した。
目的の階へ到着し、部屋を探す。
部屋は棟の端のほうにあり、何部屋か向こうの突き当たりには非常階段の扉も見えた。
(ここがヒソカの部屋…)
ゴンは不思議と高鳴る胸を押さえ、その前に立っていた。
(本当は、来ては行けないのかもしれない)
正直なところは、心の中では警報が鳴りっぱなしだった。
近づいてはいけない──
だが、そう感じながら、その場所から離れる事ができない。
何度もノックをためらい、通り過ぎては戻ってきた。
(…今度こそ)
大きく深呼吸して、手を挙げる。
その小さな手がドアに触れようとしたとたんの事だった。
キィッ…と静に扉が開いた。
扉に片肘を突き、退屈そうなポーズでゴンを無表情に見下ろす彼がいた。
「ヒソカ…!!」
ゴンはその視線を真っ直ぐ受け止められずに、慌ててその場から逃げ出そうとくるりと方向を変えた。
その後ろ姿に、彼が声をかける。
「何してるの君」
いつのまにか、腕を取られ、ずっと近くによせた額から、ひんやりとした感触が伝わってきた。
「あ…っあの」
意外にも機嫌のよさそうな声に、ゴンは慌ててマトモな返事もかわせない。
「ずーっとこの前で行ったりきたり、してたろ?」
気付かれてた──ゴンは、顔を真っ赤にして俯いた。
当然といえば、当然の事だった。もう、何分ここに居るというのだ。
足音だって聞こえるだろうし、気配だって感じるだろう。
勇気無くためらっていた事を悟られるくらいなら、いっそ思い切りよくノックしてしまえば良かったとゴンは後悔していた。
本当は、走って逃げてしまいたかったが、しっかり捕まれた腕はちょっとやそっとでは離れそうに無い。
「ごっ…ごめん、オレ…っ」
「暇なの?」
ヒソカはいつのまにか座り込んでいて、じっとゴンの顔を覗き込んでいた。ただでさえ赤い顔が、また紅く染まる様子はとても面白い。
「入りなよ。お茶くらい飲ませてあげる」
にっこりと笑う。ヌメーレで見た時と同じ、優しい笑顔だった。笑いかけられた瞬間から、痛かった胸が、激しい動悸を訴え、耳の奥でドキドキと脈打っていた。
「ね。寄っていきなよ」
その声色は柔らかで、逆らいがたい色を持ってゴンを包み込む。
熱に浮かされたようなにゴンはゆっくりと手を引かれ、ヒソカの部屋へと消えていった。
部屋の内装は、ゴンのものよりも少し綺麗だったかもしれない。
もちろん、間取りは変わらなかったし、大きなベッドも丸テーブルも、どの部屋も同じ作りをしているらしかった。
ただ、大きな窓から見える景色が、ゴンの部屋よりも高いフロアにあるおかげで、ずっと見晴らしよくできている。
「うわぁ…すご~い!オレの部屋と、ぜんぜん違う景色だぁっ!」
部屋に入ってすぐ、目に飛び込んできたパノラマ映像に喜んで、ゴンはずかずかと窓際まで走り寄った。背伸びをし、顔だけひょっこりと覗かせると、眼下には様々なものが見える。
(…可愛い…)
ヒソカはミニキッチンから、子供らしくはしゃいでいる少年を眺め、感慨深く思う。
彼には、少年が何を目的に自分と接触を図ったのかくらいは予想がついていたし、それを切り出された時、自分がどう対応するのかも解かっていた。
部屋へなど入れる必要も無かったのだが──
(どうして、関わりあおう、なんて気になったのかな)
窓に張りついたまま離れない年相応の少年の後ろ姿を見ていると、4次試験で自分のプレートを奪っていった時とは別人のようだった。
(まあ…いいか。どうだって、ね)
二つのカップを手にして、ヒソカはテーブルへ近づいていく。ゴンが気配を察して振り向くと、すでにヒソカはいすへ座りじっと自分を見ていた。
どうぞ、と薦められて長椅子へ腰掛け、手には暖かなカップを握り締める。その間も見つめられ続けて、ゴンは居心地悪そうに身を沈めた。
(あ・これおいしい…)
暖かな飲み物が体を温め、少しづつ緊張が解けていった。ゴンは改めて長椅子に体を預け、ほっと一息つく。
「それで、何しにきたの君」
くつろぎきったゴンは、ヒソカに問われるまでこの部屋へ入った目的もすっかり忘れていた。
「あっ…あの、オレ───」
片手にカップを持ち直し、半ズボンのポケットをごそごそと探る。確かにそこにあるのは解かっているのだが、座ったままの姿勢ではプレートは中々取り出せない。
椅子から腰を上げればすぐ取り出せるのだが、そんなことにすら気付かないほど焦っていた。
「あのさ……」
知らず、カップを持つ手が不安定に揺れ、中身が零れそうに傾いでいた。
ヒソカが危ないよ、と声をかけようとした時には既に遅く、膝の上に中身が飛び出す。
「熱っ…!」
それは肌で直接触れるには少し熱すぎた。
ゴンは熱さに驚いて立ち上がり、カップを取り落としてしまう。まだなみなみと入っていたカップは床を濡らし転がっていった。
「ごっごめんなさいっ!」
ポケットから手を出し、転がっていくコップをヒソカの足元まで追いかけていく。
そんなゴンの様子を見、ヒソカはついに耐え切れず、可笑しそうに声を押し殺して笑った。
笑われた───!!
組んだ足にコツンと当たり、コップはようやくゴンの手に収まった。膝を突いたまま顔を上げるとずっと笑い続けているヒソカの顔が間近にあった。
「……っ!」
「火傷しなかった?」
口の端を歪めて笑いをこらえながらも心配そうな振りをされ、ゴンは顔から緋が吹き出るほど恥ずかしい思いをする。
ヒソカはどうやっても笑いが押し殺す事ができず苦しそうにせき込みながら、みるみるうちに顔を真っ赤に染め、固まってしまったゴンの手からカップを抜き取り、テーブルの上へ置いた。
「あのっ、これっ…返そうと思ってっ…!」
ゴンは我に返って、再びポケットの中を探り、今度はすんなりと出てきたプレートをヒソカの前に突き出した。
ヒソカはぴたりと忍び笑いを止め、鼻先にあるプレートを見て、不機嫌そうに眉を顰める。
「…いらない」
「でも」
「言ったろ?そのプレートは、ボクの顔面に一発入れられた時に受け取ろう。それまで君が持ってなくてはならないんだよ。せいぜいボクに生かされた命を大事にしたまえ」
そうする事が敗者の義務だと、はっきりと突き付けられ、ゴンは返す言葉も無かった。
受け取ってもらえるかも、などと思っていた自分の浅はかさに情けなくなり、泣きそうな顔になる。
「まあ、目標だと思ってくれれば良いよ」
くしゃくしゃっと髪をかき混ぜられ、にっこりと笑ったヒソカの顔を見ていると、それで良いのだと納得できた。
(やっぱり来て良かった)
心の中でもやもやしていたものも消え、ゴンは肩の力が抜けていくのを感じた。
「え…?」
不意に、脇を抱えあげられ、ふんわりとヒソカの膝の上に乗せられた。
「あの…」
戸惑いながら、斜め横を仰ぎ見る。
「足、ちょっと紅くなってるね」
ヒソカは、そっと紅くなった足をさすると、ゴンのウエストに腕を回し、何をするわけでもなくただ抱きしめた。
父親の膝の上、と言うのはこんな感じがするんだろうか。振り仰いだ肩はとても広く、厚い胸板が少年を包み込んでいた。
見た事の無い父親の影が、なぜかヒソカと重なる。(ファザコンらしい)
──ああ、心臓の音がする。
けして安全な相手ではないがその胸に体を預けると、ごく自然に耳元に鼓動が響いてきた。
同じ人間なのだから当たり前の事だったのだが、ヒソカから普通に心臓の音が聞こえるのがとても不思議で新鮮だった。(実はロボットだったりしてね…ふっ…)
ともかくも、そんな訳で、ゴンは誤魔化されたのである。
小部屋のドアが開き、少し薄暗い坑道の中にひしめき合う人込みの中で、一瞬だけ目があった。
にぃ、と唇の端だけ釣り上げるような笑いが、目に焼き付いて離れない。
奴は危険だ、とトンパが訳知り顔で説明してくれた。
疑問を持つよりも早く、同じ受験生の腕を切り落としてしまった彼自身がその言葉を裏付ける。
だが、偽試験官をカードで殺害したときも、4次試験中に受験生を狩った時も、迷いの無い、その仕種が妙に目を惹いたのだ。
誰かが、死んでしまったのだ、という事実よりも。
そこは、最終試験までの3日間を過ごすように、と与えられたホテルの一室。
ホテルの部屋、というよりはちょっとしたコンドミニアムのようで、長期滞在を目的に作られていた。
ゴンは自分の部屋のベッドの上でぼんやりと天井を眺めていた。
こんな立派なところへ泊まるのは初めてだった。しばらく大はしゃぎでキルアと部屋の中で暴れまわったり、ホテル内を散策していたが、途中で相棒がいなくなってしまったためにゴンは独りで自室に戻っていた。
なにをするでもなく、ただ時が流れていく。
ゴンは、ヒソカへと想いを馳せていた。
(ヒソカはなぜ、このプレートをくれたんだろう)
試験官に我が侭を言い、もらってきたヒソカのプレートを手にする。
ぎゅっと握り締めると、冷たい堅さがヒソカのイメージと重なった。
(なぜ…?)
奪われたプレートをゴンに渡しに来た時の笑顔は、とても嬉しそうだった。思い出すと胸が痛い。
何もできなかった悔しさで、また涙が零れてくる。クラピカの前で泣いて、最後にしようと思ったのに。
(やっぱり、返しに行こう)
勢い良くベッドから起き上がると、涙を拭って靴を探す。ゴンは、ヒソカの部屋へ行こうと決めた。
受け取ってもらえないかもしれない。でも、このまま何もせずにいても、胸は痛いままだと思った。
それなら、会ってすっきりしたい。受け取ってもらえなくても、せめてなぜ自分にこのプレートをくれたのか、聞きたい。
「あれ…?何処へ飛ばしちゃったのかな」
ぶつぶつと呟きながら、ベッドの下の方へ潜り込んでいた靴をようやく探し当て、ゴンは自分の部屋を出ていった。
ヒソカの部屋をフロントで聞き、ゴンはエレベーターで移動した。
目的の階へ到着し、部屋を探す。
部屋は棟の端のほうにあり、何部屋か向こうの突き当たりには非常階段の扉も見えた。
(ここがヒソカの部屋…)
ゴンは不思議と高鳴る胸を押さえ、その前に立っていた。
(本当は、来ては行けないのかもしれない)
正直なところは、心の中では警報が鳴りっぱなしだった。
近づいてはいけない──
だが、そう感じながら、その場所から離れる事ができない。
何度もノックをためらい、通り過ぎては戻ってきた。
(…今度こそ)
大きく深呼吸して、手を挙げる。
その小さな手がドアに触れようとしたとたんの事だった。
キィッ…と静に扉が開いた。
扉に片肘を突き、退屈そうなポーズでゴンを無表情に見下ろす彼がいた。
「ヒソカ…!!」
ゴンはその視線を真っ直ぐ受け止められずに、慌ててその場から逃げ出そうとくるりと方向を変えた。
その後ろ姿に、彼が声をかける。
「何してるの君」
いつのまにか、腕を取られ、ずっと近くによせた額から、ひんやりとした感触が伝わってきた。
「あ…っあの」
意外にも機嫌のよさそうな声に、ゴンは慌ててマトモな返事もかわせない。
「ずーっとこの前で行ったりきたり、してたろ?」
気付かれてた──ゴンは、顔を真っ赤にして俯いた。
当然といえば、当然の事だった。もう、何分ここに居るというのだ。
足音だって聞こえるだろうし、気配だって感じるだろう。
勇気無くためらっていた事を悟られるくらいなら、いっそ思い切りよくノックしてしまえば良かったとゴンは後悔していた。
本当は、走って逃げてしまいたかったが、しっかり捕まれた腕はちょっとやそっとでは離れそうに無い。
「ごっ…ごめん、オレ…っ」
「暇なの?」
ヒソカはいつのまにか座り込んでいて、じっとゴンの顔を覗き込んでいた。ただでさえ赤い顔が、また紅く染まる様子はとても面白い。
「入りなよ。お茶くらい飲ませてあげる」
にっこりと笑う。ヌメーレで見た時と同じ、優しい笑顔だった。笑いかけられた瞬間から、痛かった胸が、激しい動悸を訴え、耳の奥でドキドキと脈打っていた。
「ね。寄っていきなよ」
その声色は柔らかで、逆らいがたい色を持ってゴンを包み込む。
熱に浮かされたようなにゴンはゆっくりと手を引かれ、ヒソカの部屋へと消えていった。
部屋の内装は、ゴンのものよりも少し綺麗だったかもしれない。
もちろん、間取りは変わらなかったし、大きなベッドも丸テーブルも、どの部屋も同じ作りをしているらしかった。
ただ、大きな窓から見える景色が、ゴンの部屋よりも高いフロアにあるおかげで、ずっと見晴らしよくできている。
「うわぁ…すご~い!オレの部屋と、ぜんぜん違う景色だぁっ!」
部屋に入ってすぐ、目に飛び込んできたパノラマ映像に喜んで、ゴンはずかずかと窓際まで走り寄った。背伸びをし、顔だけひょっこりと覗かせると、眼下には様々なものが見える。
(…可愛い…)
ヒソカはミニキッチンから、子供らしくはしゃいでいる少年を眺め、感慨深く思う。
彼には、少年が何を目的に自分と接触を図ったのかくらいは予想がついていたし、それを切り出された時、自分がどう対応するのかも解かっていた。
部屋へなど入れる必要も無かったのだが──
(どうして、関わりあおう、なんて気になったのかな)
窓に張りついたまま離れない年相応の少年の後ろ姿を見ていると、4次試験で自分のプレートを奪っていった時とは別人のようだった。
(まあ…いいか。どうだって、ね)
二つのカップを手にして、ヒソカはテーブルへ近づいていく。ゴンが気配を察して振り向くと、すでにヒソカはいすへ座りじっと自分を見ていた。
どうぞ、と薦められて長椅子へ腰掛け、手には暖かなカップを握り締める。その間も見つめられ続けて、ゴンは居心地悪そうに身を沈めた。
(あ・これおいしい…)
暖かな飲み物が体を温め、少しづつ緊張が解けていった。ゴンは改めて長椅子に体を預け、ほっと一息つく。
「それで、何しにきたの君」
くつろぎきったゴンは、ヒソカに問われるまでこの部屋へ入った目的もすっかり忘れていた。
「あっ…あの、オレ───」
片手にカップを持ち直し、半ズボンのポケットをごそごそと探る。確かにそこにあるのは解かっているのだが、座ったままの姿勢ではプレートは中々取り出せない。
椅子から腰を上げればすぐ取り出せるのだが、そんなことにすら気付かないほど焦っていた。
「あのさ……」
知らず、カップを持つ手が不安定に揺れ、中身が零れそうに傾いでいた。
ヒソカが危ないよ、と声をかけようとした時には既に遅く、膝の上に中身が飛び出す。
「熱っ…!」
それは肌で直接触れるには少し熱すぎた。
ゴンは熱さに驚いて立ち上がり、カップを取り落としてしまう。まだなみなみと入っていたカップは床を濡らし転がっていった。
「ごっごめんなさいっ!」
ポケットから手を出し、転がっていくコップをヒソカの足元まで追いかけていく。
そんなゴンの様子を見、ヒソカはついに耐え切れず、可笑しそうに声を押し殺して笑った。
笑われた───!!
組んだ足にコツンと当たり、コップはようやくゴンの手に収まった。膝を突いたまま顔を上げるとずっと笑い続けているヒソカの顔が間近にあった。
「……っ!」
「火傷しなかった?」
口の端を歪めて笑いをこらえながらも心配そうな振りをされ、ゴンは顔から緋が吹き出るほど恥ずかしい思いをする。
ヒソカはどうやっても笑いが押し殺す事ができず苦しそうにせき込みながら、みるみるうちに顔を真っ赤に染め、固まってしまったゴンの手からカップを抜き取り、テーブルの上へ置いた。
「あのっ、これっ…返そうと思ってっ…!」
ゴンは我に返って、再びポケットの中を探り、今度はすんなりと出てきたプレートをヒソカの前に突き出した。
ヒソカはぴたりと忍び笑いを止め、鼻先にあるプレートを見て、不機嫌そうに眉を顰める。
「…いらない」
「でも」
「言ったろ?そのプレートは、ボクの顔面に一発入れられた時に受け取ろう。それまで君が持ってなくてはならないんだよ。せいぜいボクに生かされた命を大事にしたまえ」
そうする事が敗者の義務だと、はっきりと突き付けられ、ゴンは返す言葉も無かった。
受け取ってもらえるかも、などと思っていた自分の浅はかさに情けなくなり、泣きそうな顔になる。
「まあ、目標だと思ってくれれば良いよ」
くしゃくしゃっと髪をかき混ぜられ、にっこりと笑ったヒソカの顔を見ていると、それで良いのだと納得できた。
(やっぱり来て良かった)
心の中でもやもやしていたものも消え、ゴンは肩の力が抜けていくのを感じた。
「え…?」
不意に、脇を抱えあげられ、ふんわりとヒソカの膝の上に乗せられた。
「あの…」
戸惑いながら、斜め横を仰ぎ見る。
「足、ちょっと紅くなってるね」
ヒソカは、そっと紅くなった足をさすると、ゴンのウエストに腕を回し、何をするわけでもなくただ抱きしめた。
父親の膝の上、と言うのはこんな感じがするんだろうか。振り仰いだ肩はとても広く、厚い胸板が少年を包み込んでいた。
見た事の無い父親の影が、なぜかヒソカと重なる。(ファザコンらしい)
──ああ、心臓の音がする。
けして安全な相手ではないがその胸に体を預けると、ごく自然に耳元に鼓動が響いてきた。
同じ人間なのだから当たり前の事だったのだが、ヒソカから普通に心臓の音が聞こえるのがとても不思議で新鮮だった。(実はロボットだったりしてね…ふっ…)
ともかくも、そんな訳で、ゴンは誤魔化されたのである。
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- 2014⁄01⁄25(Sat)
- 02:36
江戸川コナン
夜、工藤新一(江戸川コナン)は布団に横になった。
小五郎はまだどこかで飲んでいるらしく、左にある小五郎のベッドには誰もいない。
新一は寝転がったまま、うす暗がりで自分の右掌を見つめる。
つい数分前、蘭と一緒にコンビニにちょっとした買い物に行き
手をつないで帰ってきたのだ。右手にはまだ蘭の柔らかい手の感触が残っている。
新一はその手をおずおずと股間に持っていく。すでに彼の小さな性器は
パジャマのズボンの前を持ち上げている。
刑事さえも一目置く天才少年探偵も、一皮剥けば自慰が大好きな童貞少年なのだ。
しかし新一は湧き上がる衝動を断ち切ろうとするように
その手の動きを止め、布団の上に下ろしてしまう。
蘭は彼を『江戸川コナン』という、純粋無垢な子供だと思い込んでいるからこそ
何のためらいもなく手をつないだのだ。ただでさえ騙しているという負い目があるのに
さらにその手で自慰をするなんて、蘭を裏切る行為にほかならない。
しかし体は子供でも、彼の頭の中はとっくに性に目覚めてしまっている男子高校生なのだ。
そう簡単に妄執を断ち切れるはずもない。新一は蘭の温もりが残る手で
ペニスを扱き立てたいという誘惑と、好きな少女を裏切りたくないという思いの間で葛藤する。
しばらく布団の上で悶々としたあげく、最後に勝ったのは性欲だった。
『好きな女とつないだ手でちんちん扱かずにいられるほど
オレはまだ人間ができててねーんだ…!』
自分の中でそんなふうに言い訳をし、欲情に駆り立てられるままに
パジャマのズボンと下着を勢いよく下ろすと、いきり立ったペニスを扱き始める。
「んっ…くっ……」
小さな体をくの字に曲げ、欲望を満たすべく手を動かす。我慢した分それは激しくなる。
『蘭とつないだ手でちんちん握ってる…!
オレ、ついさっき蘭とつないだ手でちんちん握ってるんだ…!』
ここまで欲情に支配されてしまうと、もう罪悪感なんて感じない。
愛しい少女の手の感触を、掌から体の中で一番敏感な部分に伝えようとするかのように
新一は夢中になってペニスを擦り、快楽に浸る。
まるで蘭の手でペニスを扱いてもらっているような、そんな錯覚を新一は覚える。
「…蘭っ……! 蘭っ…!」
知らず知らずのうちに声が出る。そのときだ。
「おい」
突然の野太い声に、新一の手の動きがギクッと止まる。
小五郎はまだどこかで飲んでいるらしく、左にある小五郎のベッドには誰もいない。
新一は寝転がったまま、うす暗がりで自分の右掌を見つめる。
つい数分前、蘭と一緒にコンビニにちょっとした買い物に行き
手をつないで帰ってきたのだ。右手にはまだ蘭の柔らかい手の感触が残っている。
新一はその手をおずおずと股間に持っていく。すでに彼の小さな性器は
パジャマのズボンの前を持ち上げている。
刑事さえも一目置く天才少年探偵も、一皮剥けば自慰が大好きな童貞少年なのだ。
しかし新一は湧き上がる衝動を断ち切ろうとするように
その手の動きを止め、布団の上に下ろしてしまう。
蘭は彼を『江戸川コナン』という、純粋無垢な子供だと思い込んでいるからこそ
何のためらいもなく手をつないだのだ。ただでさえ騙しているという負い目があるのに
さらにその手で自慰をするなんて、蘭を裏切る行為にほかならない。
しかし体は子供でも、彼の頭の中はとっくに性に目覚めてしまっている男子高校生なのだ。
そう簡単に妄執を断ち切れるはずもない。新一は蘭の温もりが残る手で
ペニスを扱き立てたいという誘惑と、好きな少女を裏切りたくないという思いの間で葛藤する。
しばらく布団の上で悶々としたあげく、最後に勝ったのは性欲だった。
『好きな女とつないだ手でちんちん扱かずにいられるほど
オレはまだ人間ができててねーんだ…!』
自分の中でそんなふうに言い訳をし、欲情に駆り立てられるままに
パジャマのズボンと下着を勢いよく下ろすと、いきり立ったペニスを扱き始める。
「んっ…くっ……」
小さな体をくの字に曲げ、欲望を満たすべく手を動かす。我慢した分それは激しくなる。
『蘭とつないだ手でちんちん握ってる…!
オレ、ついさっき蘭とつないだ手でちんちん握ってるんだ…!』
ここまで欲情に支配されてしまうと、もう罪悪感なんて感じない。
愛しい少女の手の感触を、掌から体の中で一番敏感な部分に伝えようとするかのように
新一は夢中になってペニスを擦り、快楽に浸る。
まるで蘭の手でペニスを扱いてもらっているような、そんな錯覚を新一は覚える。
「…蘭っ……! 蘭っ…!」
知らず知らずのうちに声が出る。そのときだ。
「おい」
突然の野太い声に、新一の手の動きがギクッと止まる。
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