- 2013⁄05⁄16(Thu)
- 12:55
事実を基にした小説
1986年、4月僕榎本悠は小学6年生になった。5年生の頃とクラスメイトも担任も変わらず、僕はあまり新しい年度がはじまったという気がしなかった。しかしこの6年2組は僕にとって居心地のいいクラスだった。
僕は5歳の時に父を亡くし、ずっと母一人が長男である僕と小学1年生の弟、榎本直をずっと女手ひとつで育てていた。また母は身体も弱くあまり長く仕事ができないため、僕たちの家計はとても苦しかった。
なかなか私服が買えず、買えるものは学校で使う体操服やシューズで精一杯だった。僕は小学1年生から穿いている半ズボンを6年になっても穿いていた。身長143センチになり、
小学1年生サイズの半ズボンは成長した僕の太腿すべてと尻を3分の1ほど露出させていた。かろうじて股間を隠す程度だ。「気をつけ」をすると手首の位置より半ズボンの裾は吊り上がっていた.
しかし体重31キロで細身な僕はそれをなんとか穿きこなした。もちろんそれは1986年当時の話であり、20年以上経った現代の小学生にはありえないことだ。
僕は5歳の時に父を亡くし、ずっと母一人が長男である僕と小学1年生の弟、榎本直をずっと女手ひとつで育てていた。また母は身体も弱くあまり長く仕事ができないため、僕たちの家計はとても苦しかった。
なかなか私服が買えず、買えるものは学校で使う体操服やシューズで精一杯だった。僕は小学1年生から穿いている半ズボンを6年になっても穿いていた。身長143センチになり、
小学1年生サイズの半ズボンは成長した僕の太腿すべてと尻を3分の1ほど露出させていた。かろうじて股間を隠す程度だ。「気をつけ」をすると手首の位置より半ズボンの裾は吊り上がっていた.
しかし体重31キロで細身な僕はそれをなんとか穿きこなした。もちろんそれは1986年当時の話であり、20年以上経った現代の小学生にはありえないことだ。
おまけに僕は半ズボンからパンツが覗くのが嫌だったため半ズボンを穿く時はノーパンで過ごしていた。たまに亀の頭が覗くことがあっても、まだ産毛すら生えておらず、
精神的にも肉体的にも子供だったため、当時はあまり気にしていなかった。それでも僕の小学校生活はかなり楽しいものだった。昼休みには男友達とサッカーをし、毎日遅くまで友達と遊ぶ。
スポーツも勉強も得意な僕にとって充実した毎日だった。また、なぜか女子にもてていた。友達やその親達に言わせれば僕の母は美人らしく、僕はその母によく似ていると言われることが多かった。
さらさらの髪、小さめの顔、大きい二重の瞳、形の整った鼻がそっくりらしい。(自分でしっかり鏡を覗いたことはないが…)サッカーをよくするせいか身長に対して脚も長く、
僕はどうやら可愛くてかっこいい少年の部類に入ようだ。それにしてもどんなに女子から好感を持たれようと僕は少しも女子にときめいたり、この頃の少年、少女にあるという胸を締め付けられるような恋心を
まだ抱いてはいなかった。しかし4月に転校してきた一人の少年との出会いによって僕の学校生活はまた違ったものとなるのである。
4月も半ばに差し掛かったある日の6年2組の朝は異様にざわめき立っていた。
「転校生が来るらしいよ!男の子だって!」
特に女子に落ち着きがないようであった。人は小6にもなると異性に興味が出てくるものだ。しかもまだまだお子様な男子に比べて女子は色気づくのが早いから「かっこいい男の子だったらいいな」と期待に胸を弾ませているのである。
男子にしても今からほぼ1年間同じ学級で生活するわけだから気にならないわけはない。しかし女子の異様な期待感をモロに感じてしまい、どこか冷めてしまうのだ。僕だって気になっていた。
どんなやつなのか?上手くやっていけるのか? 朝8時20分、教室のドアが勢いよく開き、担任の百合子先生が機嫌よく入ってきた。
「おはようございます。今日からこの6年2組に新しい友達が増えることになりました。では入って―。」
教室にただならね緊張感が走った。
・・・・・とても綺麗な子だった。透き通るような美しい肌に目鼻立ちの整った顔。さらさらのショートヘアー、そして僕と同じくらい短い半ズボン…
白くて細くてすらっとした脚が伸びていた。顔は女の子にも思えるくらい中性的な美少年だ。
クラスの女子から歓声が沸き上がる。こんな綺麗な男子を僕は12年間見たことがなかった。気が付くと僕は口を開けポカーンとしていた。
―これが僕、榎本悠と黒木友也との初めての出会いだった。
転校生、黒木友也の存在は僕たちの学校の雰囲気をがらりと変えてしまった。
まだ1時間目の休み時間だというのに教室の外は転校生を見に来たやじ馬だらけだった。それはほとんどが女子で6年の他のクラスの女子と5年の女子もいた。
やっぱり美少年効果は絶大だ。黒木を大勢で取り囲み、ひっきりなしに質問をぶつけている。
「ねえ、どこの学校から来たの?」
「すごく可愛いね!女の子によく間違われない?」
「あたし達の中でも誰が1番タイプ?」 etc…
そうなってくるとおもしろくないのが回りの男子である。黒木の周囲の男子は肘をついてそっぽを向いていた。
「お前らさ~転校初日からそんなに質問責めにしたら黒木が可哀相だろ?だいたい何で他のクラスのやつらまでこんなに集まってるんだよ!自分の教室に帰れよ!」
クラスメイトの高本宏樹が女子につっかかった。高本は僕らのサッカー仲間で背も高く、クラスでもかなりの発言力を持った友達だったが今回は女子の方が強いようだ…。
「何よ高本!転校生を見に来たらいけないわけ?自分が相手にされないからってひがんでんじゃないわよ!」
その言葉に圧倒され、高本はもっと何か言い返したそうだったが上手く言葉がでない。小6にもなると女子が強いって本当だったんだな…僕はその様子を見て納得した。
僕は高本のところへ行き肩を叩いた。
「気の済むまで、させとこ。女子はほっといたほうが身のためだ…。」
高本は小さくため息をつくと、やれやれという感じで席に戻った。肝心の黒木はというと、かなり緊張している様子だった。
女子の輪の中心で身を縮めて質問に小さく頷いている。本当に女子みたいに可愛くて華奢な感じだ。たまに見せる作り笑顔がまた可愛いかった。
僕も本当は黒木と話したいが、これだけ女子が多かったら数の暴力で負けてしまう。でもほかの男子だって黒木と話したいはずだ。
ここで僕は少し勇気ある行動に出た。
昼休み、野次馬はだいぶ減っていたがまだ女子が黒木を独占していた。給食をみんなペロリとたいらげるといつもの倍のスピードで片付けをすませ黒木に絡もうとしていた。
そこで僕は黒木が片付けを済ませ、席に戻る一瞬の隙に黒木をお姫様抱っこすると持ち前の俊足で廊下、階段を駆け降りた。黒木は僕と同じぐらいの身長、体重だった。
びっくりした顔をしてきょとんと僕を見つめている。
「何も心配はいらないよ。僕達まだ自己紹介も満足にやってないだろ? これから僕らのとっておきの場所につれていくよ!」
そう言って僕は笑った。すると黒木も少し笑った。心なしか黒木の頬が赤くなったのを感じた。女子と話していたよりずっと自然で穏やかな顔をしていたのを僕は今でも覚えている。
緊張している黒木も可愛かったけど落ち着いて穏やかな表情の黒木もたまらなく可愛い。僕の中で何かがはじけて大きくなっていく-。
校庭、グランドを抜けて僕は走った。黒木がいなくなったことに気がついた女子が3階のベランダから僕らを見つけて騒ぎ出した。
「ああ、悠が黒木君をさらってる!」
「やべっ… 見つかったみたいだな。急ぐぞ黒木!」
僕は更にスピードを上げると校庭の隅にある土手を駆け降りた。その先には数年前に作られた「ふれあいの森」と呼ばれる森が広がっている。
森と言っても日光が入るように切り開かれ、自然のアスレチックが作ってある子ども用の広場だ。「ふれあいの森」も設立時にはかなりの人気があり、
昼休みはいつも子ども達の声で賑わっていたが、校舎から遠く、森へ降りるための土手が急で低学年の怪我が相次いだことを理由に徐々に遊ぶ子どもの数はへっていった。
今では僕達6年2組男子の秘密基地になっていた。僕は危険な土手を軽快に滑り降りると広場にある木製のベンチに黒木を座らせた。
「よし!ここまでくれば安心だな。もう少ししたら他の男子もくるから。」
僕は緩んだスニーカーの靴ひもを直しながら言った。
突然のことで少し戸惑いを見せながらも、黒木は僕をじっと見ていた。その視線の先にはしゃがみこんだ僕の股関…。
「パンツ…穿いていないんだね。」
黒木は恥ずかしそうに顔を赤らめて、恐る恐る僕に口を開いた。僕はドキッとした。男の子に自分の下半身をまじまじと見られることなんて、そうないものだからちょっと焦った。
しかも僕の短い半ズボン姿を黒木の角度から見ると睾丸と陰茎が丸見えでパンツを穿いていないことが一目瞭然だった。しかし当時の僕は小学生のペニスを好んで見るやつなんていないと思いこんでいたために、
短い半ズボンにパンツを穿かないことがどれほど危険なことか、まだわかっていなかった。前にも述べたが、パンツを穿いていない理由は半ズボンから白いブリーフがはみ出るのがいやだからだ。
「ああ。半ズボンからパンツが見えたりするとかっこ悪いだろ?だから長ズボンを穿く時以外、パンツは穿かないようにしてんだ。」
特に戸惑いもなく僕はさらりと答えた。その時代は僕のようなことをしているやつは珍しくない。でも何でだろう?黒木にそんなこと言われると少しエロい気分になる。
「僕もなんだ…。」
黒木が答えた。
確かに黒木は僕と同じくらいハミケツするほど短い半ズボンを穿いていたが、僕にとってはちょっと意外だった。女の子のような綺麗な容姿の少年ってもっとガードが固いイメージなんだけど。そう女子のように…。(その当時の小学生は男子の方が女子よりも露出度が高かった。)
それに何だかすごくHな気分になる僕に気がついた。何だろう?この僕の中にこみ上げてくるムラムラ感は…。そう、まるで黒木を抱きしめたいような食べてしまいたいような…。そして知らず知らずのうちに膨れ上がるチンコ。この前保健で習った。こういうの何て言うんだっけ?
でも目の前には黒木がいる。他の男子ならまだしも、なぜか黒木にはチンコが膨らんだ姿なんて見られたくなかった。僕はさっと後ろを向いた。前は今にもはみ出そうな感じだった。鼓動が高鳴って息が苦しくなった。
「そ…そうだよな。パンツなんて穿かない方が涼しいし気持ちいいもんな!」 僕は必死に自分の鼓動の高鳴りを隠しながらその場を取り繕った。
「うん。」
黒木は首を縦に振った。まるで同じ仲間を見つけたかのような安心した表情で…。ついに下半身のムラムラに耐えられなくなりチンコに手を伸ばそうとした瞬間、僕の背後から声がした。
「おーい、わりぃ悠遅くなっちまって!」
数人のクラスの男子達が給食当番や係の仕事を終えてやってきた。
「あっ…遅いぞおまえら!」 僕はほっとしたような残念なような複雑な気持ちになった。このまま2人きりだったら僕はどんな行動に走っていたのだろうか? 男子達も女子と同じように黒木を取り囲んだ。そういえばまだ僕自身の自己紹介も済んでいなかった。 「えっと…確か自己紹介がまだだったよな?僕は榎本悠。得意教科は体育!サッカーなら誰にも負けねぇぜ」 「背は小せえけどな…。」 ぼそっとクラスメイトの田中がつぶやいた。僕はすかさず田中の後頭部に強烈な膝蹴りをお見舞いした。後頭部を押さえうずくまる田中…。みんなくすくすと笑った。 「小さいは余計だ!笑うなお前ら!」 僕は顔を真っ赤にして田中を睨みつけた。そう確かに僕は身長143㎝と小柄だ。同じクラスのサッカー仲間はほとんどが150㎝以上あるから僕はちょっと浮いている存在なのだが、そんな体格の差なんてあまり気にしていない。他人より小さかったらその分速く動いて高く飛べば良いだけのことだ。僕は身体が小さい分、身のこなしは軽く俊足で、脚の速さはクラス1位だった。
「ああそうそう!こいつ小さいけど、うちのクラスの男子の中で一番強いぜ。この前のプロレス大会では男子の中で最強だったんだ。」
さっき女子に根負けしていた高本が僕の頭をなでながら言った。小さいは余計だ!…小さいは余計だが、強いと誉められるのは男としてうれしかった。まぁ、プロレスといっても小学生の遊びなのだが…。僕は背の高い高本を下から見上げた。さっき田中からもからかわれたように、仲間内でも割と小柄で幼い外見である僕はいじられることが多い。でも本気で僕を傷付ける奴はひとりもいない。明るくてお調子者で、大好きな仲間達だ。 「でも、こいつ男子の中では一番強いのに、女子の藤本亜矢子には数秒で失神ko負けだったんだよな~」 その場にいた男子全員、思い出したようにくすくす笑いはじめた。僕はまた赤面してしまった。黒木の前でなんて情けないことを言うんだ高本のやつ…。黒木は少しびっくりしたような顔をした。―そう僕等のクラスの女子は強い。特に今朝高本を言い負かし、プロレスごっこで男子最強であるはずの僕を失神させたあの女、藤本亜矢子には誰にも叶わなかった。
特に女子を嫌っているわけではなかったが、小学校6年の女子というのはたいてい、男子よりも強いものである。発言力や体力共に…。その女子を率いるリーダーが藤本亜矢子だった。美人で頭もよく運動神経抜群な亜矢子は学年のアイドル的な存在に成り上がっていた。僕達男子も決して嫌いなわけではなく、むしろ憧れさえも抱いていたのだが、一度怒らせれば手がつけられないほどの怪力女だった。怒らせなければ一緒に笑ったり泣いたりできる心強い女友達なのだが―。この藤本亜矢子のことについては後ほど述べることにしよう。
頭が上がらない女子の話はおもしろいが、あまり話すと男子全員のテンションを下げてしまうと思ったのだろうか、高本が突然切り出してきた。 「そういえば黒木と悠って似てるよな~。」 えっ…? 「ああ俺もそう思ったぜ!」 「うん、僕も…」 みんな口々に頷いた。僕と黒木が似ている?気づかなかったけど、そういえばそうかも知れない。ふと僕と黒木は目が合った。確かに身長、体格、大きめの目の形や顔の輪郭がそっくりだ。おまけに着ているトレーナーや短い半ズボンの丈までそっくりじゃないか。半ズボンを穿くときはパンツが見えるのがいやだから、パンツは穿かないとさっき黒木と2人で話したばかりだった。
似ていると言われて、こんなにうれしい気持ちになったのははじめてだった。僕の心が何故か温かくなったのを感じた。残りの昼休みにはテレビゲームの話やマンガの話をしたが、それさえも頭に残らないくらいに僕は浮かれてしまっていた。 キーンコーン… 掃除始まりのチャイムが鳴り響いた。 「もうこんな時間か。俺職員室掃除だから早くいかなきゃな。」 高本がチッと舌を鳴らして言った。次は掃除の時間だ。掃除場所への移動が始まった。みんな足早に<ふれあいの森>の急な土手を慣れたフットワークで駆け上がっていく。僕もみんなと一緒に駆け上がったが、黒木が取り残されていることに気がついた。この土手を登るのは、慣れた人間でないと、少し難しい。黒木は上手に土手を登れず、今にも滑り落ちそうな様子だった。僕は素早く黒木の右手を掴んだ。 「大丈夫か?一緒に登ろう。」 黒木はほっとしたような表情を浮かべて、僕を見つめた。 「ありがとう榎本君…」 「悠でいいよ。それからお前は友也でいいよな」。」 「うん…悠君。」 その時に見せた黒木の笑顔が、その1日の内で一番自然な笑顔だったのを僕は覚えている。<ふれあいの森>の急な土手を登り終えても、不思議と僕の左手と黒木の右手は離れなかった。 「走るぞ!友也!」 「うん!」 太陽が雲の切れ目から顔を出し、校舎を照らした。僕達が駆けていく方角が明るくなった。
黒木友也が転校してきてからもうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。最初は思いがけない美少年の転校に騒いでいた女子もだいぶ落ち着いて、僕達の平和な学校生活は続いていた。その頃からだろうか、僕自身の身体と心の変化が起こり始めたのは―。 その発端は4月末のある体育の授業だった。1.2組合同で行われ、男子が運動場でサッカー、女子が体育館でバスケをしていた。この学校の体操服(下半身)は男子が短パン、女子がブルマと今では考えられないような格好だった。特に男子は太股の付け根まで露出させるようなポリエステル製のランニングパンツで、みんな生足をさらけ出した状態でプレーしていた。ランパンの下にはパンツ(ブリーフ)を穿くのが普通だが、僕と友也はパンツを穿く習慣がなかったため、インナーレスのランパンを直接穿いていた。私服の半ズボンより更に露出の激しいこんなスタイルでも、当時はまだハミチンしようが勃起しようが気にしなかった。 今日の体育の授業は得意のサッカーだけあって僕は大いにはりきっていた。今日の試合は1組対2組、1組には絶対負けるもんか! 僕のポジションはフォワードで2組チームを統率しガンガン攻めていた。俊足で、バランスの取れたプレーができる僕を抜ける奴なんてそういない。試合は3対1で2組がリードしていた。ボールが僕に渡ると猛スピードで攻める。1組の連中が何人もボールを奪いに来るが、僕はひらりと交わす。 「よし!ここでもう一点追加だ!」 そう思ってシュートしようとした瞬間、1組で一番の長身男である里原に阻まれ、バランスを崩し転倒してしまった。里原は奪ったボールを思いっきり僕達のエリア内へ向かって蹴り上げた。 「くそっ!もう少しだったのに。」 僕は身体を起こし、ボールの行方を追った。ボールは僕達のゴールの手前まで飛んでいた。これはやばい… ゴールの手前には友也立っている。友也が転校して1ヶ月、友也はものすごく運動音痴な少年だとわかってきた。跳び箱や器械体操、球技が特に苦手だった。もちろんふざけたり、手を抜いたりしているわけではない。真剣に、まじめにやってできないのだ。
だからこそ、僕は今日のゲームのポジション配置に悩んだ。正式なサッカーの試合は11人で行うものだが、うちのクラスの男子の人数は18人で全員がゲームに参加する。サッカーが苦手なメンバーを何処に置くか? それがこのゲームを制するカギになっていた。友也の性格からして守備はディフェンダーが妥当だろう。例え友也が上手くプレーできなくても、他のメンバーがカバーできるようにディフェンスを多めに固めれば問題ないと考えた。
しかし里原の蹴ったボールは僕達のゴールの左隣の方まで飛び、たまたまそこにいたのが友也だったのだ。一気にボールが飛んだことで周りに敵チームはいなかったが、まともにプレーできる味方のメンバーもそこにはいなかった。迎え打つのは友也しかいない。友也も覚悟を決めたようだ。
「いけ!友也!前に蹴るんだ!」 僕は大声で叫んだ。サッカーのことがよく分からなかったり、苦手な奴に僕は「とりあえず前に蹴ろ」と教えていた。
ボールはうまい具合に友也の手前で落ちてバウンドしながらも、ほどよいスピードで友也の足下へと転がっていく。みんなの視線が一斉に友也へと集まった。
ボールがちょうどよい速度と高さで友也の足下を通過し、それから0.1秒程遅れて友也は蹴り上げる。明らかな空振りだった。そしてバランスを崩して、見事に友也は尻餅をついた。そのあまりにありきたりな展開に、僕達2組のメンバーはみんなずっこけてしまった。
「何やってんだよ…友也。」
僕は頭を抱えながら友也に言った。
「ごめん、悠君…」
友也はすまなそうにしながら立ち上がると少し照れたように笑った。その笑顔が無性に可愛いくて、どんなカッコ悪いミスをしようと不思議と怒る気持ちにはならなかった。 友也と1ヶ月近く付き合って分かったこと―それは天然で不器用だけど、すごく可愛い奴だってことだった。可愛いというのは単に容姿だけではなくて、素直さ、優しさそういうものもひっくるめて可愛い少年だった。同じ同性の友達ではなく、守るべき異性のような感覚だ。そう思っている男子はきっと僕だけではないだろう。 友也がはずしたせいで、僕達のゴールには入らなかったものの、ボールはコースを外れ、遠くに行ってしまった。 「僕、取ってくるね。」
そう言って友也がボールを取りに行こうと駆け出した瞬間、事件は起こった。 突然友也は立ち止まり、頭を抱えた。するとまもなく、崩れ落ちるように運動場に仰向けに倒れたのだ。
一瞬の出来事で何が起きたのかも分からなかった。倒れたまま、まったく動かない友也。僕は急いで友也の下に駆け寄った。
「おい!どうしたんだ友也。しっかりしろ!」
…応答のない友也―
意識がなく、いつも透き通るように綺麗な白い肌も、青ざめているのが分かった。僕達のサッカーを監督していた1組担任の宮田敦先生も駆け寄り、脈や呼吸を監督確認する。
「これは貧血だな。誰か保健室に運んでくれ!」
「僕が行きます!」
僕は名乗りをあげた。もうこの時は友也を助けたい一心にだった。いつも僕達に笑顔をくれる友也が意識を失っている。僕が助けなきゃ! 幸い僕は保健委員だし。
「僕は保健委員なんです!先生行かせてください!」
「ああ。でもお前一人で大丈夫か?」
先生が少し心配そうに言った。友也と背格好がほとんど同じ小柄な僕が運んでいけるのか少し不安なのだ。
「大丈夫です!僕力ありますから。」
僕はそう言い放つと、地面に倒れている友也を抱きかかえ、保健室へ急いだ。 試合の行方も気になるが、今はとにかく友也の事が心配だった。僕の両腕から垂れている友也の手は完全に力を失い弛緩していた。
保健室へ入ると、すぐに養護の川上晶子先生が迎えてくれた。
「川上先生!友也が大変なんだ!助けて!」
僕は叫んだ。気がつくと目から涙がボロボロこぼれていた。僕は誰かのためにこんなに必死になったのは初めてだった。
「貧血みたいね。大丈夫よ。ほらそこのベッドに黒木君を寝かせて。」
川上先生は優しく僕の頭を撫でながらそう促した。掛け布団や毛布で脚を高くして友也を寝かせた。
「貧血は頭に血が流れなくなる病気だから、こうやって脚を高くして血の巡りをよくするといいのよ。」
落ち着きを無くしている僕にも川上先生は温かかった。友也が長い睫毛の瞳をうっすら開けた。気がついたのだ。僕は急いで涙を拭いた。
「先生…悠君…僕はどうしちゃったの?…ハァ…ハァ…」
目を覚ましてもまだ友也は息を切らし、苦しそうな様子だった。
「まだ呼吸が乱れているわね。過呼吸起こしたら大変!榎本君、このタオルを口にそっとあててあげて。」
僕は川上先生から渡されたタオルを優しく友也の口にあてた。少しずつ呼吸が落ち着き、顔色が戻ってきた。僕は一安心した。
「悠君が僕を運んでくれたの?何だか悠君には迷惑かけっぱなしだね。」
「それよりお前は貧血で倒れたんだ。今日は安静にしてろよ。」
僕も友也と同じような口調で、優しく言った。声を出さず、静かに頷く友也。 黒木友也という少年は決して丈夫な少年ではなかった。病気がちな身体で、貧血だけでなく喘息なんかも抱えている。それなのに―それなのに友也な何に対しても全力投球だった。
僕達とサッカーをするようになってからは毎日夕方遅くまで残って、パスやドリブルの練習をしていた。その努力家ぶりに感心した僕は付きっきりで友也にサッカーを教えていた。時には厳しい言葉をかけたが、それでも諦めなかった。いつも一生懸命な友也を僕は格好いいと思う。何をやっても他人よりもよくできてしまう僕なんかとはまた違った格好良さだ。今はまだ下手だけど、絶対にこいつは上手くなる。
眠っている友也は何て愛らしい姿なのだろう。ふと友也の太股に目がいってしまった。
前にも述べたが、僕達の学校の体操服は小さめで露出が多い。特に男子の短パンは普通に穿くだけで、尻の下半分が露出してしまいそうな程短い。そんな体操服姿で保健室のベッドの上で友也は眠っていた。
身長の割に長くすっと伸びた友也の染みひとつない白い脚が僕の目を釘付けにする。丸出しになっている太股は細くても筋肉質な僕の太股と違って柔らかくて、繊細だった。また、脚を高く上げている体勢はパンツを穿いていない友也の陰茎と睾丸を覗かせた。
意外な性器だった。黒ずみひとつなく、美しい無毛の包茎ではあるが、華奢な身体に合わない大きめの性器がしっかりと友也の股関に付いていたのだ。実は僕も同じくらいの大きさと形だった。こんなところまで友也と似ているなんて―。
友也の太股と性器を目にした瞬間、「ふれあいの森」で感じたあの胸の高鳴りとムラムラ感がまた僕を襲った。…ハァ…ハァ…おかしい。どうしてこんなにHな気分になるんだろう。友也は男のはずなのに。"友也の身体をどうにかしたい"そんな気分になるのだ。
そして胸の高鳴りと比例して膨らんでいくもの― それは僕の性器だった。体操服の短パンは生地が薄く、インナーもない(おまけに僕もパンツを穿いていない) そんな僕の短パンの前はパンパンにテントを張っていた。もし僕の隣に人がいたとしたら大きく開いた短パンと睾丸の隙間から固く硬直した陰茎が完全に見えていただろう。短パンがはちきれそうになるので、遂に僕は性器を露出させた。ハミチン状態だ。20センチ近くまで膨らんだ肉棒が勢いよく飛び出した。
「あ…んっ…」
快楽の時はもうそこまで来ていた。
これから先はほとんど本能だった。何も考えずただ僕の脳が指令を出す通りに従う。僕はベッドに上がり、露出した性器と友也の下半身を重ねた。短パンごしであっても友也は僕の性器の熱や感覚を感じたのだろうか?
「う…ああ…はぅ」
眠っている友也の下半身がビクッと動き、吐息混じりの喘ぎ声が聞こえた。少しずつ友也の陰茎も膨らんでいくのを感じた。
僕は下半身を密着させたまま全身で友也の肉体を撫で回す。もう僕の性器も限界に近かった。短パンごしでも勃起した陰茎同士が絡み合い、大量に自分の種を噴射する準備は整っていた。僕は大股を開き、自分の性器を友也の下半身に押し付けたまま、腰を上下に動かす。僕も友也も息が上がり、お互いの肉棒が潮を吹くまでのカウントダウンは5秒を切っていた。
その時だった。
「友也君!大丈夫!心配したんだよ。」
藤本亜矢子率いる女子が数人、保健室に乱入してきたのだ。
「うわああああああ…」
ズトン…
突然の事に僕は驚き、バランスを崩してベッドから転落してしまった。
「もう心配したんだよ。貧血だって?」
僕や他の男子と接する時とはまるで別人のように藤本は女性になって友也に語りかける。僕が落ちたショックで友也も目が覚めたらしい。
「うん。大丈夫だよ。ありがとう心配してくれて。」
友也がゆっくりと口を開いた。眠りを妨げられたにもかかわらず、優しい友也だった。
「いってーな!突然入ってくんなよ!」
僕は藤本に罵声を浴びせた。いいところを邪魔され、無性に腹が立つのだ。
「あら?友也君が倒れたって聞いて心配して来たのに何よその言い方!」
間髪入れずに言い返す藤本。藤本亜矢子との関係はいつもこんな感じだ。
「お前らがいきなり入ってくるから友也が起きただろ!来るならノックぐらいしろよ!」
「何よその慌てよう。まさかあんた友也君に…。」
僕はドキっとした。もしかして藤本のやつ僕が何をしていたのか気づいたのか?僕は少したじろいだ。
いやいやひょっとすると僕の行動を見ていたとか…もしそうだとしたら絶対に変態呼ばわりだ。教室どころか学校にもいられなくなる!僕は覚悟した。
「あっ…その反応!やっぱり友也君にいたずらしてたのね!」
藤本は僕を睨み付けた。当たらずとも遠からず!いたずらじゃないんだが…。でもこの反応だと藤本にはさっきまでの僕の行為は見られていないようだ。僕はほっとした。
「大丈夫?このチビに何かされなかった?」
まるで子どもをあやす母親のように藤本は友也の頭を撫でた。当然僕はチビという言葉に反応する。
「うるせーよ!このデカ女!僕は友也を運んで来ただけなのに、何でそんな言い方されんだよ!」
藤本亜矢子は身長160を越す女で、僕はいつも見下ろされるのだ。
「デカ女ですって?だいたいあんたの言うことなんて信用できないのよ!」
藤本がすごい形相で襲ってくる。カーン…と試合開始の鐘が鳴り響いた。
「あの…えーと‥。」
友也が止めようとするが、僕達の試合は誰にも止められないところまで来ていた。
「やっちゃえ!亜矢子!」
他の女子も煽っている。
リングは友也の隣のベッド。ルールはプロレス技、ボクシング技何でもあり!
藤本が大きな身体を生かして僕を押さえつけようとする。身軽な僕はさっと身をかがめてかわす。一回目の攻撃は余裕でかわせたが、僕が攻撃に移ろうと立ち上がった瞬間それは起きた。
猛烈な速さで藤本の放ったコークスクリューパンチが僕の下顎を直撃した。甘かった。藤本のスピードは僕を遥かに上回っていたのだ。
バキッ!
「ふごっ…」
スクリューが生み出す猛烈なパワーで僕の身体は持ち上がる。朦朧とした意識の中で僕が最後に見たのは迫り来る保健室の天井だった。
ガン!!!!!
「ぎゃあ!」
僕は頭から天井に激突した。後から聞いた話しでは学校中が振動するほどの衝撃だったという。手足が衝撃で浮き上がった後、僕はまるで潰れた蛙のように両手、両脚を広げたままリングとなったベッドに伏して動かなくなった。頭に大きなコブを作って―。
キーンコーン…
ちょうどいい具合に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。僕達にしてみれば試合終了の鐘だった。 藤本のみごとなKO勝ちと言ったところか。
「さて、うるさい男子が一匹死んだところで教室に帰るか。じゃあね友也君お大事に。」
藤本は上機嫌に他の女子を引き連れて保健室を出ていった。
変わりに席を外していた川上先生が戻ってきたが、
「あらあら…榎本君も寝てるの?疲れていたのね。ところでさっきの地震は何だったのかしら?」
と、頭に大きなコブを作り、白目を剥いてベッドに張り付いている僕を見ても呑気なものだった。
友也と2人きりになるはずだった保健室での物語がこんな結末を迎えてしまうとは…。 違う意味で僕は逝ってしまった。
「ねぇ、悠君しっかりしてよ!ねぇ悠君!」
友也が何度も僕の身体を揺らすが、僕の身体はピクリとも動かなかった。
今日の帰りは足取りが重かった。いつもは夕方遅くまでサッカーの練習をして帰るのだが、友也は貧血、僕は藤本亜矢子とのケンカ(?)による頭部強打の負傷のため、2人揃って昼過ぎに早引きすることになったのだ。くっそ~まだ頭がズキズキと痛む。あれから2時間もの間、僕は失神していた。単純に失神というより、意識不明の重体に陥った…と言う方が適切かも知れない。幸い血は出ていないが大きな瘤ができ、冷やしても冷やしてもズキズキと痛むのだ。藤本の奴は加減ってものを知らない。もし藤本のコークスクリューパンチをくらったのが僕以外の誰かだったら頭が割れて死んでいただろう…。
でも明るいうちに友也と2人で帰るのも悪くはない。いつも見ている夕暮れの景色が今日は違う。昼間の街の様子がとても新鮮だった。いつも一緒にいる他の仲間達も今日はいない。2人きりで僕は何を話していいのか戸惑った。
そんな時思い出したように友也が笑い出した。
「話しには聞いていたけど、藤本さんってあんなに強かったんだね。僕びっくりしたよ。」
「ああ、あいつは本当に最強だぜ。僕だったからこんくらいのケガで済んだんだよ。」
「何か格好いいな藤本さん。」
「はははっ!あいつ男に生まれた方がよかったんじゃねーの?」
僕は友也の言葉を受けて軽く藤本のことをちゃかした。
「でも…」
ふと、友也が何か言いかけた。
「でも、悠君の方が格好いいよ!」
「えっ…」
僕の足が止まった。
今まで「格好いい」なんて言われたことはなかった。小柄であることと、美人の母親に似ているということから「可愛い」と言われることは多くても「格好いい」なんて…。
「だってそうだよ。運動も勉強もできて、すごく優しいし。悠君は僕の憧れなんだ。」
そう言って振り返った友也の笑顔を見た時、ズキンと不思議な胸の痛みが僕を襲った。保健室でのムラムラ感や胸の高鳴りとはまた違う苦しさだった。僕にそんなこと言わないでくれ!だってこのままじゃ本気でお前のこと…。
「だから悠君は僕の一番の友達だよ!」
「僕もだ。そう言ってくれると嬉しいよ。」
笑って僕もそう返した。だけど友也が言った"友達"という言葉にどこか空しさを感じる僕がいた。
もうわかっている。僕は黒木友也が好きなのだ。友達として、同じクラスの仲間としてじゃない、恋愛対象として僕は友也のことを好きになってしまっていた。
そんな想いを抱えながらも気がつくと友也と別れる交差点まで来ていた。
「じゃあ、僕の家こっちだから。また明日ね!」
「ああ。またな!…あっ、友也!」
僕は友也を引き止めた。どうしても聞いておきたいことが一つあったからだ。
「何?」
「あのさ、今日保健室でさ…藤本達が来る前のことだけど…」
僕は恐る恐る出てくる言葉を並べた。そう、藤本達が保健室に入る前、僕が友也の上にいた時のこと。僕は理性を失い、友也の身体を奪おうとしてしまった。その後、藤本からやられてしまったことは、もしかしたらその報復なのかもしれない。でも僕は覚えていたんだ。あの時、友也も僕の振動を一緒に感じてくれていたこと、気持ちよさそうな喘ぎ声を出してくれたこと。眠っていたはずの友也が何を感じていたのか、僕は真意を問いたかった。
「藤本さん達がくる前?眠ってたからよくわからないけど…。どうかしたの?」
僕の心の動揺をよそに、純粋な眼差しで友也は返してくる。そうか…、あの時確かに友也は眠っていたのか。
「いや、その…お前が寝てた時、なんか苦しそうだったから…。大丈夫かなって。」
我ながら上手い言い回しだった。僕と一緒に友也が息を切らしていた僅か数十秒を僕はこう表現した。
返ってきたのは意外な答えだった。
「苦しくなんかないよ。すごく気持ち良かった。」
その瞬間、僕の下半身にあの時の感覚が蘇った。陰茎が熱を持ち膨張してゆく!
少し恥ずかしそうにしながらも友也はあの時のことを話した。
「僕ね、夢を見てたんだ。悠君と2人でいる夢。」
僕の中で時間が止まる。身体のほとんどの器官が静止している中で、陰茎だけがビクンビクンと膨張を続けていた。
「ちょっと恥ずかしいけど…2人で抱き合っていたんだ…。それが何となく気持ち良くて。」
ふざけているようには思えなかった。照れながら、僕と目を逸らして友也は語った。
おいおい…。今の僕にそんなこと言うなよ。理性を失った保健室での僕だったら間違いなくこの場で友也を押し倒していただろう。
「あっ‥いや、ごめん変なこと言って!僕何言っているんだろ?じゃあまたね!」
自分で言ったことの重大さに気がついたのか、友也は顔を赤らめたまま急いで去って行ってしまった。
何だよ…“気持ち良かった"って。何だよ…“抱き合ってた"って。もしかして友也…お前も俺と同じ気持ちなのか?
ひとりになった僕は慌ただしい昼間の街の真ん中でこんなことを考えていた。僕の短い半ズボン一枚で、押さえられていた陰茎は限界を超え、半ズボンの裾と股の間から勢いよく飛び出した。20センチほどに膨らんだ太く長い肉棒が、でかでかと聳えていた。
保健室では意識していなかったが、もう陰茎の包皮は剥けはじめ、先端から赤く新鮮な亀頭が顔を出していた。
ハァ…ハァ…何だか下半身がものすごく気持ちいい。ペニスを堂々と風に晒すのも悪くないと思った。僕の小さな半ズボンではこの巨根は収められないため、僕は陰茎を露出させたまま帰路についた。
人通りは少なかったが、すれ違う女の人が数人、勃起した陰茎を露出している僕を見て鼻血を出していた。友也と別れた交差点から僕の家まで100メートル程の距離だったが下半身のムラムラ感によって上手く歩くことができず、僕はふらつきながら歩いていた。自分の手で露出した太股から尻の膨らみの部分までを撫で、最後に太く固いソーセージのような陰茎を握る。尿とは違う何かが下半身にこみ上げてくる感覚を僕は感じはじめていた。僕の頭の中には友也の笑顔と昼間保健室で見た彼の性器のことだけしかない。
僕の家は木造の古いアパートだった。母と小学1年生になる弟の直と3人で過ごしていた。僕が幼稚園の時に父を病気で亡くしたため、小さなアパートで母子3人ひっそりと暮らしていた。
大きな肉棒を抱えたまま辛うじて家に着いた。昼間の早い時間帯なので母は仕事、弟はまだ学校で誰も帰っていなかった。いつも持ち歩いている合い鍵で部屋に入ると、すぐに僕は着ていたトレーナーもシャツも半ズボンも白ソックスもすべて脱ぎ捨ててしまった。無意識だったが、なぜか服を脱ぎたい気持ちになるのだ。細身だがサッカー少年らしい引き締まった裸体が姿を表した。145㎝未満の小柄な身体に似合わない巨大な性器が下半身を支配していた。
「はぅ…あぅ…」
声も震えていた。今にも何かが吹き出しそうな性器の感覚がたまらない。僕は子ども部屋へ行き、弟と2人で使っているダブルベッドに大股を広げ大の字に横たわった。このダブルベッドは元々父と母が使っていたものだったが、父の死を機に母が僕と弟用にくれたのだった。僕が両手両足を思いっきり広げても手足がはみ出ない大きめのベッドだ。
勃起した陰茎を右手で握りしめ包皮を上下に動かす。特に自慰の知識があった訳ではなかったが、本能で身体と脳が教えてくれた。包皮と亀頭との摩擦が、こらえきれない快感となり、僕の下半身を刺激した。
「うっ…うっ…」
腰を上下に振りながら僕は喘いだ。
一回、二回と包皮を上下に動かす度に何かが激しく分泌されていくのが分かった。それは一種の刺激となり僕の脳へと伝わる。
「はぁ…はぁ…あうぅ………はぁ!」
最初は包皮と亀頭の摩擦を感じながらゆっくりとシコッていたが、徐々に本能的にスピードは増していく。もっと激しくもっと強く!
…はぁ…ヤバイ…気持ちいい…。12年間生きてきた中でこんな気持ち良さは初めてだった。
ビクン、ビクンと腰の振りも比例するように激しさを増し、僕の鼓動と快楽が頂点に達した時、遂にそれは起きた。
ブシュッ!ピュッ…
「はうぅ!…」
真っ白な液体が大量に僕の尿道から噴射された。一度目は天井に達しそうな程高く上がり、徐々に勢いは落ちるが、二度三度と続けて出た。一瞬だったが、その光景は鯨が潮を噴いたような感じだった。僕の股関や腹上が白く粘ついた液体で満たされている。かなりの量だった。ベッド全体とその周辺までぐっしょりと濡れていた。潮を吹いた後の僕は抜け殻と化していた。全身が麻痺したように痙攣し意識を半分失っていた。そんな状態であるにも関わらず、何とも言えない快楽と心地よさに全身が包まれていた。
弛緩してほとんど力の入らない右腕を動かして腹部に溜まった白い液体を指ですくった。それは尿ではなく、生き物のような感覚だ。―そうこれは僕の精子。将来誰かの卵子と受精し、一人の人間となるであろう僕自身の種だった。
起き上がろうとするが完全にイッてしまった僕の身体は動かない。そのまま眠りに就こうとしていた時、玄関の扉が開き、元気な弟直の声がした。
「ただいま―!」
「あれっ?兄ちゃんの靴がある。兄ちゃん帰ってるの?」
弟は一目散に玄関のドアを開けると、ランドセルをしょったまま僕が寝ている奥の部屋へ直行していく。
もちろん全身を自分の精液でベトベトに汚し、全裸でベッドに横たわる姿なんて見られたくはない。僕は上体を起こそうとしたが、こんな時でさえ、イッた僕の身体は言うことを聞かなかった。 ガチャ…
子ども部屋に入り、直は目をまんまるく見開くと
「うわっ!兄ちゃんのチンポでっけー!」
と叫んだ。直が驚くのも無理はない。小学1年の男児が到底理解できないような20センチ台のズルムケペニスが全裸で横たわる僕の股関から聳え立っていたのだから…。
「うっ…な…直…」
朦朧とする意識の中で僕は目蓋を半分開き直を見た。直はこんな僕の姿を見て、「気持ち悪い」と軽蔑するだろう。僕は覚悟を決めていた。しかし、直は今まで見たことのないでかいペニスに興味津々でキラキラ瞳を輝かせていた。
「やっぱり兄ちゃんはかっこいいな~!握ってもいい?」
僕の返答も待たずに、直は僕の大股開きの股関に素早く入り込み、天へと聳え立つ肉棒を握りしめた。
「うぐっ!…はうっ!」
迂闊にも僕は感じてしまった。今まで自分で性器を触ることはあっても、他人に触ってもらうことなんてなかった。自分でしごくのとはまた別の刺激が僕の体内を走る。
「うわー!兄ちゃんのチンポホントに太くてでっかいや!僕もいつか兄ちゃんみたいにでっかくなれるかな?」
僕はただ黙って頷いた。父もかなりペニスの大きな人だった記憶があるので、きっと弟の直も…。容易に想像できた。
「あれれ―?兄ちゃんのチンポとか身体に付いてる白いの何?舐めてもいい?」 次に直が興味を抱いたのはぶちまけられた僕の精液だった。
「なんかミルクみたい。おいしそう…。」
そう言うと直は男が一番感じるであろう、亀頭の根元からゆっくりと陰茎全体に至るまで舐めはじめた。直の舌触りが僕の陰茎から脳に伝わり、快楽となる。
「兄ちゃん、兄ちゃんのミルクとってもおいしいよ。ちょっとしょっぱいけど、なんだか溶けちゃいそうな味だよ…。」
直はむさぼるように僕の性器を舐めている。まだ小学1年の直の目は獣の目と化していた。
「あ…あう…はああう…」
声変わりもしていない、やや高音の僕の喘ぎ声が自然と漏れてくる。これを聞いた直はとても嬉しそうだった。
「うはっ!兄ちゃんがエッチな声出してる。気持ち良さそう!」
直は更にテンションが上がったようだ。ペチャッ…ペチャッ…といらやしい音が部屋中に響く。
じわりじわりとゆっくり攻めてくる直の舐めの上手さに僕の敏感な亀頭は限界を越えた。僕は腰を上下に一回振り、2回目の潮を噴いた。
「あああ…!んあぅ!」
ブシュッ!ドピュッ!
さっきよりも勢いのある濃厚な精液が直の顔を汚した。
2回目の射精はヤバかった。もう身体の感覚はなかった。ただ萎えることをしらない大きな肉棒を抱えた下半身だけヒクヒクと小刻みに痙攣していた。頭の中はぼんやりと天国にでも行ったかのような心地よさが支配し、僕の意識の大半はそっちに逝ってしまっていた。微かに聞こえる直の声…
「あはっ!こんな風に出るんだね。搾りたての方がずっとおいしいや!」
顔を精液でベトベトに汚されても、直は口元についた精液をペロペロと舌で舐めながら、喜んでいた。他人の舌でイクなんて生まれてはじめてだ。例えそれが弟によってイカされたものでも悪くはなかった。
「次はどこ舐めよっかなー?お尻とかどうなのかな?」
直は完全に調子に乗っていた。どこまでもエスカレートする勢いで僕を攻めてくる。しかも僕は幼少の頃から敏感で体調を崩した時の浣腸でさえ耐えきれなかった程だ。その僕の尻を直は舐めようとしている。いつもの僕だったらこんな時、「ふざけるな!」と言って直をぶっ飛ばしていただろう。しかし意識の大半が逝ってしまい、性感を味わうことしかできなくなっている今の僕の身体ではこの危機を回避できそうもなかった。
直はゆっくりと僕の太股を持ち上げ、肛門に迫った。
「きれいなお尻だね。兄ちゃん…」
突然うっとりした声で囁き、直の生暖かな舌が僕の肛門に触れた。
「へへへ…じっとしててよ兄ちゃん、絶対気持ちいいから~。」
直はふざけたような浮ついた声で僕を誘う。僕はもうされるがままだった。
ペチャ…
「はうっ!」
いやらしい音が体内に響くと同時に、幼い頃に感じたあの浣腸と同じような刺激が僕の脳に伝達された。なんと直は自分の舌を僕の肛門に挿入していたのだ。直の短くて小さな舌でも僕の敏感な粘膜はものすごい刺激を脳に伝達した。
「ああっ!はあっ!ふがあ!」
僕は上体を動かしてもがくが直はしっかりと僕の両脚を抑えたまま、舌を引き抜こうとしない。それどころか、さらに深く舌は入っていく…。直は目を血走らせてよだれを垂らしていた。
「んんっ!あがぅ!ふぎゃあ!」
僕の終焉は近かった。顔は真っ赤になり、心臓の鼓動も最高値に達していた。遂に直の舌が3センチ程僕の肛門に入り込んだ時…
「うっ…!」
ドピュッ!
3回目の大きな射精と同時に僕は一瞬固まり、そこから崩れるように力尽きてしまった。
直は僕の異変に気づいたのか、舌を抜くと僕の身体を揺すり、声をかけた。
「兄ちゃん?あれ?」
返答がなく、ぐったりと弛緩したまま動かない僕。 「兄ちゃんが死んじゃった…。」
直は僕の股関に膝をついたまま呆然と意識のない僕を見つめていた。
どれくらい経っただろうか?沈みゆく太陽が部屋の窓からチカチカと目に入り、僕は目を覚ました。時間は午後6時を過ぎていた。いつもは宿題をしている時間なのに何故かベッドに寝ていた。それもどういうわけか全裸で何一つ身にまとっていない。大股開きで両脚をベッドいっぱいに放り出し、その根元にある陰茎は半勃起状態にあった。そして僕の裸体の上から丁寧にタオルと毛布がかけてあり、首横には着替えが畳んでおいてあるのだ。
…あれ?何で僕はこんな格好をしているの?いったい何をしていたの?数時間前の忌まわしい記憶はまだ蘇っていなかった。とにかくベッドから出て服を着ようと身体を動かした瞬間、ベッドのいたるところがヌルッと湿っているのが分かった。白くてベトベトしたものがこびり付いている。…。数秒考え込んだ後、ようやく僕は全てを思い出した。
今日は学校を早退したこと、友也をおかずに自慰行為をしてしまったこと、それを弟の直に見られてしまったこと、その後直の舌で逝かされてしまったこと…。もう日が沈もうとしている。何時間くらい僕は気を失っていたのだろう…まてよ?僕が直から攻められていた時、僕は何も着ていなかった。いったい誰が僕の身体にタオルと毛布を被せたのだろう?脱ぎ捨てたはずの衣服を畳んだのだろう?まさか…。
僕は猛スピードで衣服を着ると、そっと子ども部屋のドアを開き、居間と台所の様子を伺った。何事もなかったように直はテーブルで宿題…、そして台所ではお母さんが夕食の支度をしていた。
―間違いない!僕の醜態は、お母さんに見られていたのだ。
「あのさ…」
僕はおそるおそる居間に足を踏み入れた。
「あら?もう目が覚めたのね。ただいま。さっき帰ったのよ。」
その時の母さんがやけに優しかったのを今だに覚えている。
「風邪引くといけないから、毛布だけかけといたわ。」
僕が全裸で寝ていた件で母さんが発した言葉はこの一言だけだった。
精神的にも肉体的にも子供だったため、当時はあまり気にしていなかった。それでも僕の小学校生活はかなり楽しいものだった。昼休みには男友達とサッカーをし、毎日遅くまで友達と遊ぶ。
スポーツも勉強も得意な僕にとって充実した毎日だった。また、なぜか女子にもてていた。友達やその親達に言わせれば僕の母は美人らしく、僕はその母によく似ていると言われることが多かった。
さらさらの髪、小さめの顔、大きい二重の瞳、形の整った鼻がそっくりらしい。(自分でしっかり鏡を覗いたことはないが…)サッカーをよくするせいか身長に対して脚も長く、
僕はどうやら可愛くてかっこいい少年の部類に入ようだ。それにしてもどんなに女子から好感を持たれようと僕は少しも女子にときめいたり、この頃の少年、少女にあるという胸を締め付けられるような恋心を
まだ抱いてはいなかった。しかし4月に転校してきた一人の少年との出会いによって僕の学校生活はまた違ったものとなるのである。
4月も半ばに差し掛かったある日の6年2組の朝は異様にざわめき立っていた。
「転校生が来るらしいよ!男の子だって!」
特に女子に落ち着きがないようであった。人は小6にもなると異性に興味が出てくるものだ。しかもまだまだお子様な男子に比べて女子は色気づくのが早いから「かっこいい男の子だったらいいな」と期待に胸を弾ませているのである。
男子にしても今からほぼ1年間同じ学級で生活するわけだから気にならないわけはない。しかし女子の異様な期待感をモロに感じてしまい、どこか冷めてしまうのだ。僕だって気になっていた。
どんなやつなのか?上手くやっていけるのか? 朝8時20分、教室のドアが勢いよく開き、担任の百合子先生が機嫌よく入ってきた。
「おはようございます。今日からこの6年2組に新しい友達が増えることになりました。では入って―。」
教室にただならね緊張感が走った。
・・・・・とても綺麗な子だった。透き通るような美しい肌に目鼻立ちの整った顔。さらさらのショートヘアー、そして僕と同じくらい短い半ズボン…
白くて細くてすらっとした脚が伸びていた。顔は女の子にも思えるくらい中性的な美少年だ。
クラスの女子から歓声が沸き上がる。こんな綺麗な男子を僕は12年間見たことがなかった。気が付くと僕は口を開けポカーンとしていた。
―これが僕、榎本悠と黒木友也との初めての出会いだった。
転校生、黒木友也の存在は僕たちの学校の雰囲気をがらりと変えてしまった。
まだ1時間目の休み時間だというのに教室の外は転校生を見に来たやじ馬だらけだった。それはほとんどが女子で6年の他のクラスの女子と5年の女子もいた。
やっぱり美少年効果は絶大だ。黒木を大勢で取り囲み、ひっきりなしに質問をぶつけている。
「ねえ、どこの学校から来たの?」
「すごく可愛いね!女の子によく間違われない?」
「あたし達の中でも誰が1番タイプ?」 etc…
そうなってくるとおもしろくないのが回りの男子である。黒木の周囲の男子は肘をついてそっぽを向いていた。
「お前らさ~転校初日からそんなに質問責めにしたら黒木が可哀相だろ?だいたい何で他のクラスのやつらまでこんなに集まってるんだよ!自分の教室に帰れよ!」
クラスメイトの高本宏樹が女子につっかかった。高本は僕らのサッカー仲間で背も高く、クラスでもかなりの発言力を持った友達だったが今回は女子の方が強いようだ…。
「何よ高本!転校生を見に来たらいけないわけ?自分が相手にされないからってひがんでんじゃないわよ!」
その言葉に圧倒され、高本はもっと何か言い返したそうだったが上手く言葉がでない。小6にもなると女子が強いって本当だったんだな…僕はその様子を見て納得した。
僕は高本のところへ行き肩を叩いた。
「気の済むまで、させとこ。女子はほっといたほうが身のためだ…。」
高本は小さくため息をつくと、やれやれという感じで席に戻った。肝心の黒木はというと、かなり緊張している様子だった。
女子の輪の中心で身を縮めて質問に小さく頷いている。本当に女子みたいに可愛くて華奢な感じだ。たまに見せる作り笑顔がまた可愛いかった。
僕も本当は黒木と話したいが、これだけ女子が多かったら数の暴力で負けてしまう。でもほかの男子だって黒木と話したいはずだ。
ここで僕は少し勇気ある行動に出た。
昼休み、野次馬はだいぶ減っていたがまだ女子が黒木を独占していた。給食をみんなペロリとたいらげるといつもの倍のスピードで片付けをすませ黒木に絡もうとしていた。
そこで僕は黒木が片付けを済ませ、席に戻る一瞬の隙に黒木をお姫様抱っこすると持ち前の俊足で廊下、階段を駆け降りた。黒木は僕と同じぐらいの身長、体重だった。
びっくりした顔をしてきょとんと僕を見つめている。
「何も心配はいらないよ。僕達まだ自己紹介も満足にやってないだろ? これから僕らのとっておきの場所につれていくよ!」
そう言って僕は笑った。すると黒木も少し笑った。心なしか黒木の頬が赤くなったのを感じた。女子と話していたよりずっと自然で穏やかな顔をしていたのを僕は今でも覚えている。
緊張している黒木も可愛かったけど落ち着いて穏やかな表情の黒木もたまらなく可愛い。僕の中で何かがはじけて大きくなっていく-。
校庭、グランドを抜けて僕は走った。黒木がいなくなったことに気がついた女子が3階のベランダから僕らを見つけて騒ぎ出した。
「ああ、悠が黒木君をさらってる!」
「やべっ… 見つかったみたいだな。急ぐぞ黒木!」
僕は更にスピードを上げると校庭の隅にある土手を駆け降りた。その先には数年前に作られた「ふれあいの森」と呼ばれる森が広がっている。
森と言っても日光が入るように切り開かれ、自然のアスレチックが作ってある子ども用の広場だ。「ふれあいの森」も設立時にはかなりの人気があり、
昼休みはいつも子ども達の声で賑わっていたが、校舎から遠く、森へ降りるための土手が急で低学年の怪我が相次いだことを理由に徐々に遊ぶ子どもの数はへっていった。
今では僕達6年2組男子の秘密基地になっていた。僕は危険な土手を軽快に滑り降りると広場にある木製のベンチに黒木を座らせた。
「よし!ここまでくれば安心だな。もう少ししたら他の男子もくるから。」
僕は緩んだスニーカーの靴ひもを直しながら言った。
突然のことで少し戸惑いを見せながらも、黒木は僕をじっと見ていた。その視線の先にはしゃがみこんだ僕の股関…。
「パンツ…穿いていないんだね。」
黒木は恥ずかしそうに顔を赤らめて、恐る恐る僕に口を開いた。僕はドキッとした。男の子に自分の下半身をまじまじと見られることなんて、そうないものだからちょっと焦った。
しかも僕の短い半ズボン姿を黒木の角度から見ると睾丸と陰茎が丸見えでパンツを穿いていないことが一目瞭然だった。しかし当時の僕は小学生のペニスを好んで見るやつなんていないと思いこんでいたために、
短い半ズボンにパンツを穿かないことがどれほど危険なことか、まだわかっていなかった。前にも述べたが、パンツを穿いていない理由は半ズボンから白いブリーフがはみ出るのがいやだからだ。
「ああ。半ズボンからパンツが見えたりするとかっこ悪いだろ?だから長ズボンを穿く時以外、パンツは穿かないようにしてんだ。」
特に戸惑いもなく僕はさらりと答えた。その時代は僕のようなことをしているやつは珍しくない。でも何でだろう?黒木にそんなこと言われると少しエロい気分になる。
「僕もなんだ…。」
黒木が答えた。
確かに黒木は僕と同じくらいハミケツするほど短い半ズボンを穿いていたが、僕にとってはちょっと意外だった。女の子のような綺麗な容姿の少年ってもっとガードが固いイメージなんだけど。そう女子のように…。(その当時の小学生は男子の方が女子よりも露出度が高かった。)
それに何だかすごくHな気分になる僕に気がついた。何だろう?この僕の中にこみ上げてくるムラムラ感は…。そう、まるで黒木を抱きしめたいような食べてしまいたいような…。そして知らず知らずのうちに膨れ上がるチンコ。この前保健で習った。こういうの何て言うんだっけ?
でも目の前には黒木がいる。他の男子ならまだしも、なぜか黒木にはチンコが膨らんだ姿なんて見られたくなかった。僕はさっと後ろを向いた。前は今にもはみ出そうな感じだった。鼓動が高鳴って息が苦しくなった。
「そ…そうだよな。パンツなんて穿かない方が涼しいし気持ちいいもんな!」 僕は必死に自分の鼓動の高鳴りを隠しながらその場を取り繕った。
「うん。」
黒木は首を縦に振った。まるで同じ仲間を見つけたかのような安心した表情で…。ついに下半身のムラムラに耐えられなくなりチンコに手を伸ばそうとした瞬間、僕の背後から声がした。
「おーい、わりぃ悠遅くなっちまって!」
数人のクラスの男子達が給食当番や係の仕事を終えてやってきた。
「あっ…遅いぞおまえら!」 僕はほっとしたような残念なような複雑な気持ちになった。このまま2人きりだったら僕はどんな行動に走っていたのだろうか? 男子達も女子と同じように黒木を取り囲んだ。そういえばまだ僕自身の自己紹介も済んでいなかった。 「えっと…確か自己紹介がまだだったよな?僕は榎本悠。得意教科は体育!サッカーなら誰にも負けねぇぜ」 「背は小せえけどな…。」 ぼそっとクラスメイトの田中がつぶやいた。僕はすかさず田中の後頭部に強烈な膝蹴りをお見舞いした。後頭部を押さえうずくまる田中…。みんなくすくすと笑った。 「小さいは余計だ!笑うなお前ら!」 僕は顔を真っ赤にして田中を睨みつけた。そう確かに僕は身長143㎝と小柄だ。同じクラスのサッカー仲間はほとんどが150㎝以上あるから僕はちょっと浮いている存在なのだが、そんな体格の差なんてあまり気にしていない。他人より小さかったらその分速く動いて高く飛べば良いだけのことだ。僕は身体が小さい分、身のこなしは軽く俊足で、脚の速さはクラス1位だった。
「ああそうそう!こいつ小さいけど、うちのクラスの男子の中で一番強いぜ。この前のプロレス大会では男子の中で最強だったんだ。」
さっき女子に根負けしていた高本が僕の頭をなでながら言った。小さいは余計だ!…小さいは余計だが、強いと誉められるのは男としてうれしかった。まぁ、プロレスといっても小学生の遊びなのだが…。僕は背の高い高本を下から見上げた。さっき田中からもからかわれたように、仲間内でも割と小柄で幼い外見である僕はいじられることが多い。でも本気で僕を傷付ける奴はひとりもいない。明るくてお調子者で、大好きな仲間達だ。 「でも、こいつ男子の中では一番強いのに、女子の藤本亜矢子には数秒で失神ko負けだったんだよな~」 その場にいた男子全員、思い出したようにくすくす笑いはじめた。僕はまた赤面してしまった。黒木の前でなんて情けないことを言うんだ高本のやつ…。黒木は少しびっくりしたような顔をした。―そう僕等のクラスの女子は強い。特に今朝高本を言い負かし、プロレスごっこで男子最強であるはずの僕を失神させたあの女、藤本亜矢子には誰にも叶わなかった。
特に女子を嫌っているわけではなかったが、小学校6年の女子というのはたいてい、男子よりも強いものである。発言力や体力共に…。その女子を率いるリーダーが藤本亜矢子だった。美人で頭もよく運動神経抜群な亜矢子は学年のアイドル的な存在に成り上がっていた。僕達男子も決して嫌いなわけではなく、むしろ憧れさえも抱いていたのだが、一度怒らせれば手がつけられないほどの怪力女だった。怒らせなければ一緒に笑ったり泣いたりできる心強い女友達なのだが―。この藤本亜矢子のことについては後ほど述べることにしよう。
頭が上がらない女子の話はおもしろいが、あまり話すと男子全員のテンションを下げてしまうと思ったのだろうか、高本が突然切り出してきた。 「そういえば黒木と悠って似てるよな~。」 えっ…? 「ああ俺もそう思ったぜ!」 「うん、僕も…」 みんな口々に頷いた。僕と黒木が似ている?気づかなかったけど、そういえばそうかも知れない。ふと僕と黒木は目が合った。確かに身長、体格、大きめの目の形や顔の輪郭がそっくりだ。おまけに着ているトレーナーや短い半ズボンの丈までそっくりじゃないか。半ズボンを穿くときはパンツが見えるのがいやだから、パンツは穿かないとさっき黒木と2人で話したばかりだった。
似ていると言われて、こんなにうれしい気持ちになったのははじめてだった。僕の心が何故か温かくなったのを感じた。残りの昼休みにはテレビゲームの話やマンガの話をしたが、それさえも頭に残らないくらいに僕は浮かれてしまっていた。 キーンコーン… 掃除始まりのチャイムが鳴り響いた。 「もうこんな時間か。俺職員室掃除だから早くいかなきゃな。」 高本がチッと舌を鳴らして言った。次は掃除の時間だ。掃除場所への移動が始まった。みんな足早に<ふれあいの森>の急な土手を慣れたフットワークで駆け上がっていく。僕もみんなと一緒に駆け上がったが、黒木が取り残されていることに気がついた。この土手を登るのは、慣れた人間でないと、少し難しい。黒木は上手に土手を登れず、今にも滑り落ちそうな様子だった。僕は素早く黒木の右手を掴んだ。 「大丈夫か?一緒に登ろう。」 黒木はほっとしたような表情を浮かべて、僕を見つめた。 「ありがとう榎本君…」 「悠でいいよ。それからお前は友也でいいよな」。」 「うん…悠君。」 その時に見せた黒木の笑顔が、その1日の内で一番自然な笑顔だったのを僕は覚えている。<ふれあいの森>の急な土手を登り終えても、不思議と僕の左手と黒木の右手は離れなかった。 「走るぞ!友也!」 「うん!」 太陽が雲の切れ目から顔を出し、校舎を照らした。僕達が駆けていく方角が明るくなった。
黒木友也が転校してきてからもうすぐ1ヶ月が経とうとしていた。最初は思いがけない美少年の転校に騒いでいた女子もだいぶ落ち着いて、僕達の平和な学校生活は続いていた。その頃からだろうか、僕自身の身体と心の変化が起こり始めたのは―。 その発端は4月末のある体育の授業だった。1.2組合同で行われ、男子が運動場でサッカー、女子が体育館でバスケをしていた。この学校の体操服(下半身)は男子が短パン、女子がブルマと今では考えられないような格好だった。特に男子は太股の付け根まで露出させるようなポリエステル製のランニングパンツで、みんな生足をさらけ出した状態でプレーしていた。ランパンの下にはパンツ(ブリーフ)を穿くのが普通だが、僕と友也はパンツを穿く習慣がなかったため、インナーレスのランパンを直接穿いていた。私服の半ズボンより更に露出の激しいこんなスタイルでも、当時はまだハミチンしようが勃起しようが気にしなかった。 今日の体育の授業は得意のサッカーだけあって僕は大いにはりきっていた。今日の試合は1組対2組、1組には絶対負けるもんか! 僕のポジションはフォワードで2組チームを統率しガンガン攻めていた。俊足で、バランスの取れたプレーができる僕を抜ける奴なんてそういない。試合は3対1で2組がリードしていた。ボールが僕に渡ると猛スピードで攻める。1組の連中が何人もボールを奪いに来るが、僕はひらりと交わす。 「よし!ここでもう一点追加だ!」 そう思ってシュートしようとした瞬間、1組で一番の長身男である里原に阻まれ、バランスを崩し転倒してしまった。里原は奪ったボールを思いっきり僕達のエリア内へ向かって蹴り上げた。 「くそっ!もう少しだったのに。」 僕は身体を起こし、ボールの行方を追った。ボールは僕達のゴールの手前まで飛んでいた。これはやばい… ゴールの手前には友也立っている。友也が転校して1ヶ月、友也はものすごく運動音痴な少年だとわかってきた。跳び箱や器械体操、球技が特に苦手だった。もちろんふざけたり、手を抜いたりしているわけではない。真剣に、まじめにやってできないのだ。
だからこそ、僕は今日のゲームのポジション配置に悩んだ。正式なサッカーの試合は11人で行うものだが、うちのクラスの男子の人数は18人で全員がゲームに参加する。サッカーが苦手なメンバーを何処に置くか? それがこのゲームを制するカギになっていた。友也の性格からして守備はディフェンダーが妥当だろう。例え友也が上手くプレーできなくても、他のメンバーがカバーできるようにディフェンスを多めに固めれば問題ないと考えた。
しかし里原の蹴ったボールは僕達のゴールの左隣の方まで飛び、たまたまそこにいたのが友也だったのだ。一気にボールが飛んだことで周りに敵チームはいなかったが、まともにプレーできる味方のメンバーもそこにはいなかった。迎え打つのは友也しかいない。友也も覚悟を決めたようだ。
「いけ!友也!前に蹴るんだ!」 僕は大声で叫んだ。サッカーのことがよく分からなかったり、苦手な奴に僕は「とりあえず前に蹴ろ」と教えていた。
ボールはうまい具合に友也の手前で落ちてバウンドしながらも、ほどよいスピードで友也の足下へと転がっていく。みんなの視線が一斉に友也へと集まった。
ボールがちょうどよい速度と高さで友也の足下を通過し、それから0.1秒程遅れて友也は蹴り上げる。明らかな空振りだった。そしてバランスを崩して、見事に友也は尻餅をついた。そのあまりにありきたりな展開に、僕達2組のメンバーはみんなずっこけてしまった。
「何やってんだよ…友也。」
僕は頭を抱えながら友也に言った。
「ごめん、悠君…」
友也はすまなそうにしながら立ち上がると少し照れたように笑った。その笑顔が無性に可愛いくて、どんなカッコ悪いミスをしようと不思議と怒る気持ちにはならなかった。 友也と1ヶ月近く付き合って分かったこと―それは天然で不器用だけど、すごく可愛い奴だってことだった。可愛いというのは単に容姿だけではなくて、素直さ、優しさそういうものもひっくるめて可愛い少年だった。同じ同性の友達ではなく、守るべき異性のような感覚だ。そう思っている男子はきっと僕だけではないだろう。 友也がはずしたせいで、僕達のゴールには入らなかったものの、ボールはコースを外れ、遠くに行ってしまった。 「僕、取ってくるね。」
そう言って友也がボールを取りに行こうと駆け出した瞬間、事件は起こった。 突然友也は立ち止まり、頭を抱えた。するとまもなく、崩れ落ちるように運動場に仰向けに倒れたのだ。
一瞬の出来事で何が起きたのかも分からなかった。倒れたまま、まったく動かない友也。僕は急いで友也の下に駆け寄った。
「おい!どうしたんだ友也。しっかりしろ!」
…応答のない友也―
意識がなく、いつも透き通るように綺麗な白い肌も、青ざめているのが分かった。僕達のサッカーを監督していた1組担任の宮田敦先生も駆け寄り、脈や呼吸を監督確認する。
「これは貧血だな。誰か保健室に運んでくれ!」
「僕が行きます!」
僕は名乗りをあげた。もうこの時は友也を助けたい一心にだった。いつも僕達に笑顔をくれる友也が意識を失っている。僕が助けなきゃ! 幸い僕は保健委員だし。
「僕は保健委員なんです!先生行かせてください!」
「ああ。でもお前一人で大丈夫か?」
先生が少し心配そうに言った。友也と背格好がほとんど同じ小柄な僕が運んでいけるのか少し不安なのだ。
「大丈夫です!僕力ありますから。」
僕はそう言い放つと、地面に倒れている友也を抱きかかえ、保健室へ急いだ。 試合の行方も気になるが、今はとにかく友也の事が心配だった。僕の両腕から垂れている友也の手は完全に力を失い弛緩していた。
保健室へ入ると、すぐに養護の川上晶子先生が迎えてくれた。
「川上先生!友也が大変なんだ!助けて!」
僕は叫んだ。気がつくと目から涙がボロボロこぼれていた。僕は誰かのためにこんなに必死になったのは初めてだった。
「貧血みたいね。大丈夫よ。ほらそこのベッドに黒木君を寝かせて。」
川上先生は優しく僕の頭を撫でながらそう促した。掛け布団や毛布で脚を高くして友也を寝かせた。
「貧血は頭に血が流れなくなる病気だから、こうやって脚を高くして血の巡りをよくするといいのよ。」
落ち着きを無くしている僕にも川上先生は温かかった。友也が長い睫毛の瞳をうっすら開けた。気がついたのだ。僕は急いで涙を拭いた。
「先生…悠君…僕はどうしちゃったの?…ハァ…ハァ…」
目を覚ましてもまだ友也は息を切らし、苦しそうな様子だった。
「まだ呼吸が乱れているわね。過呼吸起こしたら大変!榎本君、このタオルを口にそっとあててあげて。」
僕は川上先生から渡されたタオルを優しく友也の口にあてた。少しずつ呼吸が落ち着き、顔色が戻ってきた。僕は一安心した。
「悠君が僕を運んでくれたの?何だか悠君には迷惑かけっぱなしだね。」
「それよりお前は貧血で倒れたんだ。今日は安静にしてろよ。」
僕も友也と同じような口調で、優しく言った。声を出さず、静かに頷く友也。 黒木友也という少年は決して丈夫な少年ではなかった。病気がちな身体で、貧血だけでなく喘息なんかも抱えている。それなのに―それなのに友也な何に対しても全力投球だった。
僕達とサッカーをするようになってからは毎日夕方遅くまで残って、パスやドリブルの練習をしていた。その努力家ぶりに感心した僕は付きっきりで友也にサッカーを教えていた。時には厳しい言葉をかけたが、それでも諦めなかった。いつも一生懸命な友也を僕は格好いいと思う。何をやっても他人よりもよくできてしまう僕なんかとはまた違った格好良さだ。今はまだ下手だけど、絶対にこいつは上手くなる。
眠っている友也は何て愛らしい姿なのだろう。ふと友也の太股に目がいってしまった。
前にも述べたが、僕達の学校の体操服は小さめで露出が多い。特に男子の短パンは普通に穿くだけで、尻の下半分が露出してしまいそうな程短い。そんな体操服姿で保健室のベッドの上で友也は眠っていた。
身長の割に長くすっと伸びた友也の染みひとつない白い脚が僕の目を釘付けにする。丸出しになっている太股は細くても筋肉質な僕の太股と違って柔らかくて、繊細だった。また、脚を高く上げている体勢はパンツを穿いていない友也の陰茎と睾丸を覗かせた。
意外な性器だった。黒ずみひとつなく、美しい無毛の包茎ではあるが、華奢な身体に合わない大きめの性器がしっかりと友也の股関に付いていたのだ。実は僕も同じくらいの大きさと形だった。こんなところまで友也と似ているなんて―。
友也の太股と性器を目にした瞬間、「ふれあいの森」で感じたあの胸の高鳴りとムラムラ感がまた僕を襲った。…ハァ…ハァ…おかしい。どうしてこんなにHな気分になるんだろう。友也は男のはずなのに。"友也の身体をどうにかしたい"そんな気分になるのだ。
そして胸の高鳴りと比例して膨らんでいくもの― それは僕の性器だった。体操服の短パンは生地が薄く、インナーもない(おまけに僕もパンツを穿いていない) そんな僕の短パンの前はパンパンにテントを張っていた。もし僕の隣に人がいたとしたら大きく開いた短パンと睾丸の隙間から固く硬直した陰茎が完全に見えていただろう。短パンがはちきれそうになるので、遂に僕は性器を露出させた。ハミチン状態だ。20センチ近くまで膨らんだ肉棒が勢いよく飛び出した。
「あ…んっ…」
快楽の時はもうそこまで来ていた。
これから先はほとんど本能だった。何も考えずただ僕の脳が指令を出す通りに従う。僕はベッドに上がり、露出した性器と友也の下半身を重ねた。短パンごしであっても友也は僕の性器の熱や感覚を感じたのだろうか?
「う…ああ…はぅ」
眠っている友也の下半身がビクッと動き、吐息混じりの喘ぎ声が聞こえた。少しずつ友也の陰茎も膨らんでいくのを感じた。
僕は下半身を密着させたまま全身で友也の肉体を撫で回す。もう僕の性器も限界に近かった。短パンごしでも勃起した陰茎同士が絡み合い、大量に自分の種を噴射する準備は整っていた。僕は大股を開き、自分の性器を友也の下半身に押し付けたまま、腰を上下に動かす。僕も友也も息が上がり、お互いの肉棒が潮を吹くまでのカウントダウンは5秒を切っていた。
その時だった。
「友也君!大丈夫!心配したんだよ。」
藤本亜矢子率いる女子が数人、保健室に乱入してきたのだ。
「うわああああああ…」
ズトン…
突然の事に僕は驚き、バランスを崩してベッドから転落してしまった。
「もう心配したんだよ。貧血だって?」
僕や他の男子と接する時とはまるで別人のように藤本は女性になって友也に語りかける。僕が落ちたショックで友也も目が覚めたらしい。
「うん。大丈夫だよ。ありがとう心配してくれて。」
友也がゆっくりと口を開いた。眠りを妨げられたにもかかわらず、優しい友也だった。
「いってーな!突然入ってくんなよ!」
僕は藤本に罵声を浴びせた。いいところを邪魔され、無性に腹が立つのだ。
「あら?友也君が倒れたって聞いて心配して来たのに何よその言い方!」
間髪入れずに言い返す藤本。藤本亜矢子との関係はいつもこんな感じだ。
「お前らがいきなり入ってくるから友也が起きただろ!来るならノックぐらいしろよ!」
「何よその慌てよう。まさかあんた友也君に…。」
僕はドキっとした。もしかして藤本のやつ僕が何をしていたのか気づいたのか?僕は少したじろいだ。
いやいやひょっとすると僕の行動を見ていたとか…もしそうだとしたら絶対に変態呼ばわりだ。教室どころか学校にもいられなくなる!僕は覚悟した。
「あっ…その反応!やっぱり友也君にいたずらしてたのね!」
藤本は僕を睨み付けた。当たらずとも遠からず!いたずらじゃないんだが…。でもこの反応だと藤本にはさっきまでの僕の行為は見られていないようだ。僕はほっとした。
「大丈夫?このチビに何かされなかった?」
まるで子どもをあやす母親のように藤本は友也の頭を撫でた。当然僕はチビという言葉に反応する。
「うるせーよ!このデカ女!僕は友也を運んで来ただけなのに、何でそんな言い方されんだよ!」
藤本亜矢子は身長160を越す女で、僕はいつも見下ろされるのだ。
「デカ女ですって?だいたいあんたの言うことなんて信用できないのよ!」
藤本がすごい形相で襲ってくる。カーン…と試合開始の鐘が鳴り響いた。
「あの…えーと‥。」
友也が止めようとするが、僕達の試合は誰にも止められないところまで来ていた。
「やっちゃえ!亜矢子!」
他の女子も煽っている。
リングは友也の隣のベッド。ルールはプロレス技、ボクシング技何でもあり!
藤本が大きな身体を生かして僕を押さえつけようとする。身軽な僕はさっと身をかがめてかわす。一回目の攻撃は余裕でかわせたが、僕が攻撃に移ろうと立ち上がった瞬間それは起きた。
猛烈な速さで藤本の放ったコークスクリューパンチが僕の下顎を直撃した。甘かった。藤本のスピードは僕を遥かに上回っていたのだ。
バキッ!
「ふごっ…」
スクリューが生み出す猛烈なパワーで僕の身体は持ち上がる。朦朧とした意識の中で僕が最後に見たのは迫り来る保健室の天井だった。
ガン!!!!!
「ぎゃあ!」
僕は頭から天井に激突した。後から聞いた話しでは学校中が振動するほどの衝撃だったという。手足が衝撃で浮き上がった後、僕はまるで潰れた蛙のように両手、両脚を広げたままリングとなったベッドに伏して動かなくなった。頭に大きなコブを作って―。
キーンコーン…
ちょうどいい具合に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。僕達にしてみれば試合終了の鐘だった。 藤本のみごとなKO勝ちと言ったところか。
「さて、うるさい男子が一匹死んだところで教室に帰るか。じゃあね友也君お大事に。」
藤本は上機嫌に他の女子を引き連れて保健室を出ていった。
変わりに席を外していた川上先生が戻ってきたが、
「あらあら…榎本君も寝てるの?疲れていたのね。ところでさっきの地震は何だったのかしら?」
と、頭に大きなコブを作り、白目を剥いてベッドに張り付いている僕を見ても呑気なものだった。
友也と2人きりになるはずだった保健室での物語がこんな結末を迎えてしまうとは…。 違う意味で僕は逝ってしまった。
「ねぇ、悠君しっかりしてよ!ねぇ悠君!」
友也が何度も僕の身体を揺らすが、僕の身体はピクリとも動かなかった。
今日の帰りは足取りが重かった。いつもは夕方遅くまでサッカーの練習をして帰るのだが、友也は貧血、僕は藤本亜矢子とのケンカ(?)による頭部強打の負傷のため、2人揃って昼過ぎに早引きすることになったのだ。くっそ~まだ頭がズキズキと痛む。あれから2時間もの間、僕は失神していた。単純に失神というより、意識不明の重体に陥った…と言う方が適切かも知れない。幸い血は出ていないが大きな瘤ができ、冷やしても冷やしてもズキズキと痛むのだ。藤本の奴は加減ってものを知らない。もし藤本のコークスクリューパンチをくらったのが僕以外の誰かだったら頭が割れて死んでいただろう…。
でも明るいうちに友也と2人で帰るのも悪くはない。いつも見ている夕暮れの景色が今日は違う。昼間の街の様子がとても新鮮だった。いつも一緒にいる他の仲間達も今日はいない。2人きりで僕は何を話していいのか戸惑った。
そんな時思い出したように友也が笑い出した。
「話しには聞いていたけど、藤本さんってあんなに強かったんだね。僕びっくりしたよ。」
「ああ、あいつは本当に最強だぜ。僕だったからこんくらいのケガで済んだんだよ。」
「何か格好いいな藤本さん。」
「はははっ!あいつ男に生まれた方がよかったんじゃねーの?」
僕は友也の言葉を受けて軽く藤本のことをちゃかした。
「でも…」
ふと、友也が何か言いかけた。
「でも、悠君の方が格好いいよ!」
「えっ…」
僕の足が止まった。
今まで「格好いい」なんて言われたことはなかった。小柄であることと、美人の母親に似ているということから「可愛い」と言われることは多くても「格好いい」なんて…。
「だってそうだよ。運動も勉強もできて、すごく優しいし。悠君は僕の憧れなんだ。」
そう言って振り返った友也の笑顔を見た時、ズキンと不思議な胸の痛みが僕を襲った。保健室でのムラムラ感や胸の高鳴りとはまた違う苦しさだった。僕にそんなこと言わないでくれ!だってこのままじゃ本気でお前のこと…。
「だから悠君は僕の一番の友達だよ!」
「僕もだ。そう言ってくれると嬉しいよ。」
笑って僕もそう返した。だけど友也が言った"友達"という言葉にどこか空しさを感じる僕がいた。
もうわかっている。僕は黒木友也が好きなのだ。友達として、同じクラスの仲間としてじゃない、恋愛対象として僕は友也のことを好きになってしまっていた。
そんな想いを抱えながらも気がつくと友也と別れる交差点まで来ていた。
「じゃあ、僕の家こっちだから。また明日ね!」
「ああ。またな!…あっ、友也!」
僕は友也を引き止めた。どうしても聞いておきたいことが一つあったからだ。
「何?」
「あのさ、今日保健室でさ…藤本達が来る前のことだけど…」
僕は恐る恐る出てくる言葉を並べた。そう、藤本達が保健室に入る前、僕が友也の上にいた時のこと。僕は理性を失い、友也の身体を奪おうとしてしまった。その後、藤本からやられてしまったことは、もしかしたらその報復なのかもしれない。でも僕は覚えていたんだ。あの時、友也も僕の振動を一緒に感じてくれていたこと、気持ちよさそうな喘ぎ声を出してくれたこと。眠っていたはずの友也が何を感じていたのか、僕は真意を問いたかった。
「藤本さん達がくる前?眠ってたからよくわからないけど…。どうかしたの?」
僕の心の動揺をよそに、純粋な眼差しで友也は返してくる。そうか…、あの時確かに友也は眠っていたのか。
「いや、その…お前が寝てた時、なんか苦しそうだったから…。大丈夫かなって。」
我ながら上手い言い回しだった。僕と一緒に友也が息を切らしていた僅か数十秒を僕はこう表現した。
返ってきたのは意外な答えだった。
「苦しくなんかないよ。すごく気持ち良かった。」
その瞬間、僕の下半身にあの時の感覚が蘇った。陰茎が熱を持ち膨張してゆく!
少し恥ずかしそうにしながらも友也はあの時のことを話した。
「僕ね、夢を見てたんだ。悠君と2人でいる夢。」
僕の中で時間が止まる。身体のほとんどの器官が静止している中で、陰茎だけがビクンビクンと膨張を続けていた。
「ちょっと恥ずかしいけど…2人で抱き合っていたんだ…。それが何となく気持ち良くて。」
ふざけているようには思えなかった。照れながら、僕と目を逸らして友也は語った。
おいおい…。今の僕にそんなこと言うなよ。理性を失った保健室での僕だったら間違いなくこの場で友也を押し倒していただろう。
「あっ‥いや、ごめん変なこと言って!僕何言っているんだろ?じゃあまたね!」
自分で言ったことの重大さに気がついたのか、友也は顔を赤らめたまま急いで去って行ってしまった。
何だよ…“気持ち良かった"って。何だよ…“抱き合ってた"って。もしかして友也…お前も俺と同じ気持ちなのか?
ひとりになった僕は慌ただしい昼間の街の真ん中でこんなことを考えていた。僕の短い半ズボン一枚で、押さえられていた陰茎は限界を超え、半ズボンの裾と股の間から勢いよく飛び出した。20センチほどに膨らんだ太く長い肉棒が、でかでかと聳えていた。
保健室では意識していなかったが、もう陰茎の包皮は剥けはじめ、先端から赤く新鮮な亀頭が顔を出していた。
ハァ…ハァ…何だか下半身がものすごく気持ちいい。ペニスを堂々と風に晒すのも悪くないと思った。僕の小さな半ズボンではこの巨根は収められないため、僕は陰茎を露出させたまま帰路についた。
人通りは少なかったが、すれ違う女の人が数人、勃起した陰茎を露出している僕を見て鼻血を出していた。友也と別れた交差点から僕の家まで100メートル程の距離だったが下半身のムラムラ感によって上手く歩くことができず、僕はふらつきながら歩いていた。自分の手で露出した太股から尻の膨らみの部分までを撫で、最後に太く固いソーセージのような陰茎を握る。尿とは違う何かが下半身にこみ上げてくる感覚を僕は感じはじめていた。僕の頭の中には友也の笑顔と昼間保健室で見た彼の性器のことだけしかない。
僕の家は木造の古いアパートだった。母と小学1年生になる弟の直と3人で過ごしていた。僕が幼稚園の時に父を病気で亡くしたため、小さなアパートで母子3人ひっそりと暮らしていた。
大きな肉棒を抱えたまま辛うじて家に着いた。昼間の早い時間帯なので母は仕事、弟はまだ学校で誰も帰っていなかった。いつも持ち歩いている合い鍵で部屋に入ると、すぐに僕は着ていたトレーナーもシャツも半ズボンも白ソックスもすべて脱ぎ捨ててしまった。無意識だったが、なぜか服を脱ぎたい気持ちになるのだ。細身だがサッカー少年らしい引き締まった裸体が姿を表した。145㎝未満の小柄な身体に似合わない巨大な性器が下半身を支配していた。
「はぅ…あぅ…」
声も震えていた。今にも何かが吹き出しそうな性器の感覚がたまらない。僕は子ども部屋へ行き、弟と2人で使っているダブルベッドに大股を広げ大の字に横たわった。このダブルベッドは元々父と母が使っていたものだったが、父の死を機に母が僕と弟用にくれたのだった。僕が両手両足を思いっきり広げても手足がはみ出ない大きめのベッドだ。
勃起した陰茎を右手で握りしめ包皮を上下に動かす。特に自慰の知識があった訳ではなかったが、本能で身体と脳が教えてくれた。包皮と亀頭との摩擦が、こらえきれない快感となり、僕の下半身を刺激した。
「うっ…うっ…」
腰を上下に振りながら僕は喘いだ。
一回、二回と包皮を上下に動かす度に何かが激しく分泌されていくのが分かった。それは一種の刺激となり僕の脳へと伝わる。
「はぁ…はぁ…あうぅ………はぁ!」
最初は包皮と亀頭の摩擦を感じながらゆっくりとシコッていたが、徐々に本能的にスピードは増していく。もっと激しくもっと強く!
…はぁ…ヤバイ…気持ちいい…。12年間生きてきた中でこんな気持ち良さは初めてだった。
ビクン、ビクンと腰の振りも比例するように激しさを増し、僕の鼓動と快楽が頂点に達した時、遂にそれは起きた。
ブシュッ!ピュッ…
「はうぅ!…」
真っ白な液体が大量に僕の尿道から噴射された。一度目は天井に達しそうな程高く上がり、徐々に勢いは落ちるが、二度三度と続けて出た。一瞬だったが、その光景は鯨が潮を噴いたような感じだった。僕の股関や腹上が白く粘ついた液体で満たされている。かなりの量だった。ベッド全体とその周辺までぐっしょりと濡れていた。潮を吹いた後の僕は抜け殻と化していた。全身が麻痺したように痙攣し意識を半分失っていた。そんな状態であるにも関わらず、何とも言えない快楽と心地よさに全身が包まれていた。
弛緩してほとんど力の入らない右腕を動かして腹部に溜まった白い液体を指ですくった。それは尿ではなく、生き物のような感覚だ。―そうこれは僕の精子。将来誰かの卵子と受精し、一人の人間となるであろう僕自身の種だった。
起き上がろうとするが完全にイッてしまった僕の身体は動かない。そのまま眠りに就こうとしていた時、玄関の扉が開き、元気な弟直の声がした。
「ただいま―!」
「あれっ?兄ちゃんの靴がある。兄ちゃん帰ってるの?」
弟は一目散に玄関のドアを開けると、ランドセルをしょったまま僕が寝ている奥の部屋へ直行していく。
もちろん全身を自分の精液でベトベトに汚し、全裸でベッドに横たわる姿なんて見られたくはない。僕は上体を起こそうとしたが、こんな時でさえ、イッた僕の身体は言うことを聞かなかった。 ガチャ…
子ども部屋に入り、直は目をまんまるく見開くと
「うわっ!兄ちゃんのチンポでっけー!」
と叫んだ。直が驚くのも無理はない。小学1年の男児が到底理解できないような20センチ台のズルムケペニスが全裸で横たわる僕の股関から聳え立っていたのだから…。
「うっ…な…直…」
朦朧とする意識の中で僕は目蓋を半分開き直を見た。直はこんな僕の姿を見て、「気持ち悪い」と軽蔑するだろう。僕は覚悟を決めていた。しかし、直は今まで見たことのないでかいペニスに興味津々でキラキラ瞳を輝かせていた。
「やっぱり兄ちゃんはかっこいいな~!握ってもいい?」
僕の返答も待たずに、直は僕の大股開きの股関に素早く入り込み、天へと聳え立つ肉棒を握りしめた。
「うぐっ!…はうっ!」
迂闊にも僕は感じてしまった。今まで自分で性器を触ることはあっても、他人に触ってもらうことなんてなかった。自分でしごくのとはまた別の刺激が僕の体内を走る。
「うわー!兄ちゃんのチンポホントに太くてでっかいや!僕もいつか兄ちゃんみたいにでっかくなれるかな?」
僕はただ黙って頷いた。父もかなりペニスの大きな人だった記憶があるので、きっと弟の直も…。容易に想像できた。
「あれれ―?兄ちゃんのチンポとか身体に付いてる白いの何?舐めてもいい?」 次に直が興味を抱いたのはぶちまけられた僕の精液だった。
「なんかミルクみたい。おいしそう…。」
そう言うと直は男が一番感じるであろう、亀頭の根元からゆっくりと陰茎全体に至るまで舐めはじめた。直の舌触りが僕の陰茎から脳に伝わり、快楽となる。
「兄ちゃん、兄ちゃんのミルクとってもおいしいよ。ちょっとしょっぱいけど、なんだか溶けちゃいそうな味だよ…。」
直はむさぼるように僕の性器を舐めている。まだ小学1年の直の目は獣の目と化していた。
「あ…あう…はああう…」
声変わりもしていない、やや高音の僕の喘ぎ声が自然と漏れてくる。これを聞いた直はとても嬉しそうだった。
「うはっ!兄ちゃんがエッチな声出してる。気持ち良さそう!」
直は更にテンションが上がったようだ。ペチャッ…ペチャッ…といらやしい音が部屋中に響く。
じわりじわりとゆっくり攻めてくる直の舐めの上手さに僕の敏感な亀頭は限界を越えた。僕は腰を上下に一回振り、2回目の潮を噴いた。
「あああ…!んあぅ!」
ブシュッ!ドピュッ!
さっきよりも勢いのある濃厚な精液が直の顔を汚した。
2回目の射精はヤバかった。もう身体の感覚はなかった。ただ萎えることをしらない大きな肉棒を抱えた下半身だけヒクヒクと小刻みに痙攣していた。頭の中はぼんやりと天国にでも行ったかのような心地よさが支配し、僕の意識の大半はそっちに逝ってしまっていた。微かに聞こえる直の声…
「あはっ!こんな風に出るんだね。搾りたての方がずっとおいしいや!」
顔を精液でベトベトに汚されても、直は口元についた精液をペロペロと舌で舐めながら、喜んでいた。他人の舌でイクなんて生まれてはじめてだ。例えそれが弟によってイカされたものでも悪くはなかった。
「次はどこ舐めよっかなー?お尻とかどうなのかな?」
直は完全に調子に乗っていた。どこまでもエスカレートする勢いで僕を攻めてくる。しかも僕は幼少の頃から敏感で体調を崩した時の浣腸でさえ耐えきれなかった程だ。その僕の尻を直は舐めようとしている。いつもの僕だったらこんな時、「ふざけるな!」と言って直をぶっ飛ばしていただろう。しかし意識の大半が逝ってしまい、性感を味わうことしかできなくなっている今の僕の身体ではこの危機を回避できそうもなかった。
直はゆっくりと僕の太股を持ち上げ、肛門に迫った。
「きれいなお尻だね。兄ちゃん…」
突然うっとりした声で囁き、直の生暖かな舌が僕の肛門に触れた。
「へへへ…じっとしててよ兄ちゃん、絶対気持ちいいから~。」
直はふざけたような浮ついた声で僕を誘う。僕はもうされるがままだった。
ペチャ…
「はうっ!」
いやらしい音が体内に響くと同時に、幼い頃に感じたあの浣腸と同じような刺激が僕の脳に伝達された。なんと直は自分の舌を僕の肛門に挿入していたのだ。直の短くて小さな舌でも僕の敏感な粘膜はものすごい刺激を脳に伝達した。
「ああっ!はあっ!ふがあ!」
僕は上体を動かしてもがくが直はしっかりと僕の両脚を抑えたまま、舌を引き抜こうとしない。それどころか、さらに深く舌は入っていく…。直は目を血走らせてよだれを垂らしていた。
「んんっ!あがぅ!ふぎゃあ!」
僕の終焉は近かった。顔は真っ赤になり、心臓の鼓動も最高値に達していた。遂に直の舌が3センチ程僕の肛門に入り込んだ時…
「うっ…!」
ドピュッ!
3回目の大きな射精と同時に僕は一瞬固まり、そこから崩れるように力尽きてしまった。
直は僕の異変に気づいたのか、舌を抜くと僕の身体を揺すり、声をかけた。
「兄ちゃん?あれ?」
返答がなく、ぐったりと弛緩したまま動かない僕。 「兄ちゃんが死んじゃった…。」
直は僕の股関に膝をついたまま呆然と意識のない僕を見つめていた。
どれくらい経っただろうか?沈みゆく太陽が部屋の窓からチカチカと目に入り、僕は目を覚ました。時間は午後6時を過ぎていた。いつもは宿題をしている時間なのに何故かベッドに寝ていた。それもどういうわけか全裸で何一つ身にまとっていない。大股開きで両脚をベッドいっぱいに放り出し、その根元にある陰茎は半勃起状態にあった。そして僕の裸体の上から丁寧にタオルと毛布がかけてあり、首横には着替えが畳んでおいてあるのだ。
…あれ?何で僕はこんな格好をしているの?いったい何をしていたの?数時間前の忌まわしい記憶はまだ蘇っていなかった。とにかくベッドから出て服を着ようと身体を動かした瞬間、ベッドのいたるところがヌルッと湿っているのが分かった。白くてベトベトしたものがこびり付いている。…。数秒考え込んだ後、ようやく僕は全てを思い出した。
今日は学校を早退したこと、友也をおかずに自慰行為をしてしまったこと、それを弟の直に見られてしまったこと、その後直の舌で逝かされてしまったこと…。もう日が沈もうとしている。何時間くらい僕は気を失っていたのだろう…まてよ?僕が直から攻められていた時、僕は何も着ていなかった。いったい誰が僕の身体にタオルと毛布を被せたのだろう?脱ぎ捨てたはずの衣服を畳んだのだろう?まさか…。
僕は猛スピードで衣服を着ると、そっと子ども部屋のドアを開き、居間と台所の様子を伺った。何事もなかったように直はテーブルで宿題…、そして台所ではお母さんが夕食の支度をしていた。
―間違いない!僕の醜態は、お母さんに見られていたのだ。
「あのさ…」
僕はおそるおそる居間に足を踏み入れた。
「あら?もう目が覚めたのね。ただいま。さっき帰ったのよ。」
その時の母さんがやけに優しかったのを今だに覚えている。
「風邪引くといけないから、毛布だけかけといたわ。」
僕が全裸で寝ていた件で母さんが発した言葉はこの一言だけだった。
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