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  • 2015⁄04⁄29(Wed)
  • 22:01

家庭教師 *長文

家庭教師の生徒ですごくカッコいい子がいた。
それがテニプリやNANA2に出てた本郷奏多という子にびっくりするぐらい似てて…。
会った時は本郷奏多という人の存在は知らなかったんで、テレビで初めて見たとき「えっ」て声が出てしまったくらいそっくりで。
そして性格も(…て、本郷奏多の性格は知らないんだけど…雰囲気)似ていて、小生意気でちょっと大人ぶってるクールな感じ?
なので一応ここでは、その子の仮名「かなた」ということで…。
中学二年生の時担当していた。

「なあ、テニスの王子様って知ってる?それに出てる子がかなたにめっちゃ似ててんけど。」
かなた「…ああ。なんか聞いたことある。てか女子が言ってた。見たことないけど。」
数学の問題を解きながら、興味無さそうに答えた。
顔はとにかくかわいいけど、敬語なんて絶対出てこないような生意気なガキだった。
笑顔もあまり見せず常に冷めている雰囲気。
でも、いうことは一応聞くし、何より頭が良かったので、ほっといても勝手に自分で勉強していくって感じで、家庭教師的にはかなり楽だった。

かなた「できたっ。ここ終わったからちょっと休んでいい?」
「はやっ。もう終わったん?おお。ええで。」
こんなんで月謝もらってていいんって感じ(笑)。

で、この落ち着いた雰囲気をいつも壊しに来るのが小5の弟えいた(仮)。

えいた「先生ー、いつの間に来とったん?なあ、教えてほしいとこあんねんけど。」
かなた「ちょー、えいた邪魔しに来んなや。」
「えいたいっつもうるさいからなあ。教えたるから、静かに勉強しろよ。」
えいた「うん。当たり前やん。」

えいたは基本的に邪魔係(笑)。
本契約ではないけど、宿題等でわからないところがあるときは聞きに来て、ついでに教えるという感じ。
それでいつもお兄ちゃんの部屋に登場して、騒ぎながら勉強している。
だからほとんど90分間はえいたの世話という感じ。
まあ、かなただけだったら世話がかからずほとんどヒマなのでちょうどいいといえばちょうどいい。
でもある日、えいたが母親と出掛けていた時があった。

「あれ、今日は1人?」
かなた「うん、今日えいたが野球の大会でおかんも送っていったからおらんねん。」
「そうなんや。」
かなた「ああ、気ぃ散らんで勉強できるー。」

文字通り家の中は二人きりで味わったことのない静けさだった。
「かなたわからんとこないかー?」
かなた「うん。…。」
…。
ヒマだった。
かなりヒマ、そして静かだったんで、うかつにもうとうとっときて、寝てしまった。

そして気付いたとき、肩に手をおいた感触と、すぐ目の前に何かがある感覚があった。
かなたの顔だった。
びくっとして目を開けると、かなたもかなりびくっとして俺の体から離れた。
かなたはすぐに自分の机に戻った。
そして慌てた感じからいつものかなたに戻った。
かなた「先生ー、寝てたやろー。」
「ごめん。ついっ。」
かなた「おぃおぃ、仕事中やろー。給料もらってるくせに。」
「ごめんて。だってめっちゃ静かやねんもん。」

本当に反省した。
…。
そして目覚めた時のことを思い出した。
かなたの顔がほんのすぐ目の前にあった。
そこまで普段近づいたことはないし、そんなまじまじと顔を見つめたことがないので、あまりのかわいい顔に、思い出してドキドキしてしまった。
いつもはえいたがいるし、一応は先生と生徒なので、そういう意識は持たないようにしていた。
でも、色白のきれいな顔は、間近で見たせいか、脳裏から離れなかった。
そして、俺の顔を覗き込んだのか、顔を異様に近づけていたのも少し気になった。

かなた「先生。」
「えっ、あー、何?」
かなた「これってどうやるん?」
「あー。これは、式を二つ作って、…」
やばい。ちょっとドキドキしてしまう…。

かなた「先生あのさ、」
突然声のトーンが変わりかなり小さくなった。
「なに?」
かなた「…。
あの…。アドレス…。教えて。」
「え、いいけど、なんで。」
かなた「え、わからん問題とかあったら聞こうかと思って…。」

家電は当然として、お母さんの携帯のアドレス等は知っていたけど、生徒とメールはしたことがなかった。
そしてそんなに仲良くもないというか、そんなに俺を慕ってる感じでもないのに(笑)、今日のちょっといつもと違うかなたの雰囲気と合わさって、違和感があった。
そして時間が終わり家に帰った。
帰っている途中でさっそくかなたからメールがきた。
(宿題って数学だけやんな?)
かなたそのままって感じの素っ気ないメール(笑)。
まあ、中学生のガキやし…。
と思ってたらなんとメールが毎日来た。
しょうもない一行メールだけど、1日5件くらいは来ていた。
最近の中学生ってよくわからんなと思いながらも、俺もいつの間にかかなたからのメールを楽しみにしていた。
そして家庭教師の日、朝から
(今日もえいたとおかんおらんから)
というメールが来ていた。
なんか不覚にもドキッとしてしまった。
またかなたメール。
(何する?)
えっ。って、変なことを考えてしまった。
教科のことね。てかメール文短いねんって(笑)。

そして夕方。
ピンポーン
かなた「あ、入って。」
いつものかなただった。
「かなたってメール好きなんやな。」
かなた「あ、まあ。」
俺の方をきちんと向いて話したことはほとんどない。
だいたい背中で返事をする。
かなた「あ、先生、今日は寝んなよ。」
「寝えへんよ」
また起きたときのあのかなたとの距離を思い出す。
勉強を始め出す。
いつもより今日はやけにかなたの質問が多い。
「どしたん?今日は。なんかやる気っちゅーか、質問多いな。」
かなた「…そう?」
かなたがペンを止めた。
かなた「てか…。先生はさ。か…」
「何?」
かなた「…彼女…とかおるん?」
めちゃくちゃ突然の質問。
というか、自分で言うかえいたに聞かれることはあっても、かなたが俺自身のことを聞いてきたのはそれが初めてのこと。
明かに今日はちょっと変。
てか俺も変なドキドキ。
「え、今はおらんよ。てかどうしたん?好きな人でもできたか?恋の相談ですか(笑)」
かなた「ちがうし。」
「まあ、かなたもてそうやしな。好きな女の子おらんの?」
かなた「興味ないし。女とかウザい。」
「へえ。じゃあ男にでも興味あんの(笑)」
かなた「アホか。」
まあそう返ってくるよな…。
再び静かな空気が流れた。
かなたは少し顔を赤くしていた。
その顔がすごくかわいかった。
かなたはいつものように黙々と問題を解いていった。
普通に時間が終わり、帰る準備をした。
かなたはなんかぼーっとしているようだった。
いつもは部屋で別れて一階のお母さんの所にあいさつするところだけど、いないので一緒に下りてくるようだった。
俺が先に階段を下りていると、ドタッとかなたが少し足を滑らした。
危ないっ。
俺はもうちょうど下りたところだって、振り返ると、かなたが俺に覆い被さってきた。
とっさに抱き締めるように受け止めた。
かなたは40キロくらいの軽い体なので余裕で受け止めた。
「おっ、おーい、大丈夫かよ。」
とっさに抱き締めるようなかたちになったとき、あまりに華奢な細い体つきになぜか思わずぎゅっと強く抱き締めてしまった。
離さなきゃ、と思いながらも体は離れなかった。
かなたは俺に完全に俺に身を預けていた。
かなたの顔はおれの肩にぴったりとくっついていた。
何秒間か抱き締めていた。
そして我に返った。
やばい。
離れた。
めちゃくちゃ気まずかった。
「大丈夫か?」
かなた「あっ、おぅ、ごめん…」
いつものように目をそらした。
かなた「じゃあな。」
玄関で普通に見送ってくれた。
やべえ。なんかすごいことをしてしまった。
帰り道で思った。
でも明らかにかなたは俺に身を預けてきていた。
いろいろ考えていたらかなたから普通にメールがきた。
(ぼーっとしてたら滑った。ごめん。)
普通だった。
もう深く考えないようにした。
メールが来なくなるかなと思っていたら、むしろ前より多くなった。
相変わらず素っ気ないメールだったけどしょっちゅうきた。
(なんでそんなにメール好きなん?)
と送ったら
(メールのほうが素直になれるから)
と返ってきた。
(へえ。そうなんや。じゃあ好きな人おる?)
(おる)
本当に素直に返ってきた。
意外な返信にびっくりした。
(でも先生には絶対言わへん)
(いいよ。てか俺が聞いても誰かわからんし。)
そんな感じでメールは続いた。
ちょっとだけメール内容が深くなったような…。
そしてまた次の家庭教師の日。
(今日はえいたおるから)
というメールがきた。
(残念!)
と続けてきた。
またいつもの感じに戻るんかぁと思った。
「おぅ。えいた久しぶり」
いつものように部屋に入って来たえいた。
えいた「おぅ先生ー。前お兄ちゃん1人やったんやなあ。いいな。俺も1人でやりたい。」
かなた「なんでやねん。てか自分の部屋で1人でやってろよ。」
相変わらずかなたはノートに問題をしながらえいたに言った。

そして終わり、お母さんのところに行って、帰ろうとしたら、また珍しくかなたが下りてきていて、玄関のところにいた。
「じゃあ、帰るわ。」
そう言うと
かなた「コンビニ行くんやけど…」
…間。
「じゃあ途中まで一緒にいこか」
俺がそう言うのを待ってたかのように…、何も言わずにかなたは靴を履き始めた。
初めて一緒に外で歩いた。
外で見るとかなたがよけいちっちゃく見える。
線が細いせいか女の子にも見える。
まあ普通の中坊って感じだけど。
顔をみるとやっぱり肌がすごくきれいでかわいい顔をしている。
ほとんど笑顔を見せないのはいつものことだけど。
すると突然、
かなた「先生ち行っていい?」
はっ?って感じだった。
「え?なんで?なにしに?」
かなた「なんとなく。見たいから。」
「てかもう遅いしお母さんに言っとかなやばいやろ。」
かなた「いっつも夜中コンビニで立ち読みしてるし」
かなたの家は超放任主義なのは知っていた。
「でも何もないで。」
かなた「いいよ。決定ね。」
かなたがレアな笑顔を見せた。
少しドキッとしてしまった。
強引ながらも俺の家に行くことに…。
家までは歩いて15分くらい。
普通のワンルームのアパート。
家に着いた。
かなた「先生って一人暮らし?」
「そうやで」
家に入った。
かなた「きたなっ」
「うっさいなあ。文句あるんやったら入んな。」
そう言い終わる前にずかずかと入っていった。
こいつは…。
「な。なんもないやろ。」
かなたは許可もなくベットに座った。
自分ちにかなたがいるのは新鮮だった。
かなたは最近の中高生らしいだぼだぼのスウェット姿。
「なんか飲むか。てかなんもやることないし、も帰るか?遅いし」
9時過ぎだった。
かなた「いや、ゆっくりしていく。」
かなたはリモコンでテレビをつけた。
「あのなぁ…」
仕方なくジュースを入れて、俺は座布団に座った。
しばらく無言でテレビを見ていた。
気付いたらベットのはしに座っていたかなたは頭をクッションにもたれさせ、目を閉じていた。
えー。
人んち来たいって言っといて来たら寝てるって(笑)。
「おいっ」
起こそうと近付いた。
近くで見たらヤバかった。
めちゃめちゃかわいい。
スーっとかすかに寝息を立てている。
ふと俺が寝てしまったときのことをまた思い出した。
あの時顔を近付けてきていたかなた。
かなりドキドキした。
かなり無防備な寝顔がそこにあった。
俺の部屋の俺の目の前で眠っているかなた。
生意気な言葉がどんどん出てくる口もよくみるとすごく小さくてくちびるがかわいくてやばい。
見ていたら理性を失いそうになる。
家庭教師の生徒とか、手を出したら大問題。
まあそれ以前に男の子に手を出すこと自体とんでもないことなんだろうけど…。
とにかく自分を押さえないと。
「かなたっ、起きろよっ」
起きない。
肩に手をやる。
階段で抱き締めた時を思い出した。
小さい肩。
やばい。
かなたに顔を近付ける。
スーっという寝息がすぐ近くで感じる。
そのまま口をかなたのくちびるに…。
もう止まらない。
柔らかいくちびる…に…
そしてわずかに触れたその瞬間…。
パッと
かなたの目が開いた。
とっさにパッと離れた。
かなたの目ははっきりと開いた。
絶体絶命。
つけっぱのテレビのバラエティーの音だけが大きく聞こえる。
完全に無言。
かなたは立ち上がって玄関に向かった。
歩きながら小さな声で
かなた「かえる」
と言ったように聞こえた。
「あ」
俺は何て言っていいのかわからなかった。
バタン
ドアが閉まった。
終わった。
もう最悪。
来週家庭教師どうしよ。
このまま辞めようかな。
いろいろ考えてたらメールがきた。
(ローソン右でよかったよな?)
かなたから。
えっ。てゆうか普通?
そして普通に何通もメールがきた。
(道分かった)
(今家着いた)
(明日テストなん忘れてた)
(宿題やっと終わった)
何を考えてるのかよくわからなかった。
何とも気にしてないってこと?
まあ俺は一通も返せなかった。
イロイロと感想、応援ありがとうございます。
うれしいです。
てかそれ以前にこんな長い文章を読んでいただいて光栄です。
でも、自分で言うのもなんですが…これからめっちゃおもしろいです(笑)。

次の日。
ずっと昨日のことを考えていた。
とにかく激しく後悔。
そしてかなたの普通な感じは何なんだってこと。
夜8時ごろ。
インターホンが鳴った。
出てみるとなんと、かなただった。
「え?かなた…」
目が点になっていると、昨日と同じようにずかずかと入った来て、昨日と同じようにベットのはしに座った。
かなた「ヒマやったから」
そう言いながらテレビをつけた。
はっ?という感じだった。
「かなた?」
かなた「何?」
かなたはテレビから目を離さない。
「あのさあ、昨日のことなんやけど…」
かなた「あ、単語テスト100点やったで。」
完全に俺の話をさえぎるように大きな声で言った。
かなた「全然勉強してなかったとこやったけど余裕やったし。やっぱ俺すげえ。」
続けざまにぽんぽん話すかなたは珍しかった。
かなたは携帯を取り出しメールを打ち始めた。
と俺の携帯が鳴った。
送信者かなた
かなたは目の前の俺にメールした。
(気にしてないから)
かなたはテレビのチャンネルを変えていた。
「え、あんなことしたのに?」
かなたは何も答えない。
「かなた?」
完全無視。
俺はかなたにメールした。
(今日はなんで来たん?)
かなたはすぐに返信してきた。
(ヒマやったからやって)
続けてすぐ
(あと昨日すぐ帰っちゃったから)
ときた。
かなたの(メールでは素直になれるから)というメールを思い出した。
俺は
(昨日ごめん)
と送った。
そしたらかなたは携帯をずっと見つめててなかなか返ってこなかった。
ずっと携帯画面を見ていて10分くらいたって打ち出した。
打ち終わると視線をテレビに戻した。
俺はそのメールを見てびっくりした。
(俺、昨日ずっと起きてた)
つまり寝てるふりしてたってこと?
何回も呼んだり、顔を近付けたり、そしてくちびるが重なるまで。
驚いたと同時に考えた。
かなたの気持ちは?
受け入れたってこと?
俺を試した?
俺はベットの上、かなたの横に座った。
かなたは相変わらずテレビを見ている。
「かなた、俺な、正直ゆったら…」
言葉につまった。
めちゃめちゃ緊張した。
「キモいと思われるかも知れんけど、かなたのことかわいいと思ってしまってて、階段のときも昨日も理性が抑えられなかったというか…、とにかく…」
ずっとテレビを見ていたかなたが初めてこっちを向いた。
かなた「思わんし」
「えっ」
初めて俺の目をはっきりと見てかなたは言った。
かなた「キモくない」
やばい。
なんか…胸がきゅんとなった。
俺は思わず抱き締めてしまった。
ぎゅーっと強く抱き締めた。
俺は強くかなたを抱き締めた。
かなたの体は細くて折れてしまいそうだった。
細い肩は少し震えていた。
かなたも俺の背中に手を伸ばして強く抱き締めた。
俺は興奮してしまって、そのままキスをした。
柔らかいくちびるを舌で開け口の中に入れた。
かなたは力が抜け、俺に身を委ねた。
ほっぺたが少し赤くなっている。
もうかわいくてたまらなかった。
そしてスイッチが入ってしまった(笑)。
欲望のままに俺の右手はスウェットパンツの上に。
柔らかい生地の上からちんこをつかむとはっきりと勃起しているのがわかった。
たまらなかった。
ヤバかった。
体型の通り小さかったけどかちかちになっていた。
顔を見ると、かなり恥ずかしそうに真っ赤にして、目を反らしていた。
だぼだぼのスウェットだと足や腰が余計に細いように感じた。
ちんこを触って揉むと、かなたは目をつぶった。
かなたのぬくもり。
かなたの空気。
ほぼ密着した状態でかなたの吐息を感じた。
そしてズボンを下げようと思ったその時。
俺の携帯が鳴った。
家庭教師の事務所からだった。
我に返った。
電話は新しい生徒の紹介だった。
普通に断って切ったけど、そのあと完全に我に返った。
今目の前にいるのは家庭教師の生徒。
ましてや中2の男の子。
やばい。
手を出すのもやばいけど、俺はもう普通に好きになろうとしてる。
最近はずっとかなたのことを考えてしまっているし、さっきもかなたが止めなかったら「好き」って言ってた。
かなたのことを考えたり悩んだりで、メールが来たらめっちゃうれしいし。
好きになってしまうのはやっぱまずい。
かなたのことをこれからのことを考えても、かなたもまだ中学のかわいい男の子なんやし…。

「やっぱ、今日は帰れ。」
一瞬沈黙になり、かなたは不機嫌な顔になった。
かなた「いやだ」
「てかもうそろそろ遅いしな。送ったるから。」
かなた「1人で帰る」
かなたは足早に出ていった。
その日はメールは来なかった。
次の日、家庭教師の事務所に電話をした。
俺は家庭教師を辞めようと思った。
かなたのことを完全に好きになってしまっていたし、もう行けない、このままでは続けられない。
適当な理由をつけて半ば強引に辞めた。
その日は、実家から姉が来ていて就職活動で何日か泊めさせてとのこと。
俺も新しいバイト探そうかなっと思った。
その日も結局かなたからのメールはなかった。
何日かたち、事務所から何回か電話がかかってきていたが拒否ってた。
結局あの日以来、かなたからのメールは全くなかった。
まああの年齢の子やし、あの日最後冷たくしたし、そんなもんやろうと思っていた。
しょっちゅうかなたの顔が浮かぶけど、無理やり考えないようにしてた。

そして1ヶ月後。
ふと事務所からの電話をとってしまった。
しまったー。
事務所の人「ああ、やっとつながった。
先生何してたんー?
あのな、前もってもらってたかなた君、新しい先生に引き継いだんやけどな、全然先生の言うこと聞かんし、全然勉強せえへんくなっちゃったんやって。
それでこの前のテストが最悪やってな。
で親御さんから聞いたら、本人が先生(俺)じゃなかったら勉強せえへんって言うてるって。
先生はもう辞めたから無理は言われへんけど、先生に聞いたらなんかわかると思って…」
なにそれ…。
俺じゃなかったら勉強せえへん?
でもあれだけメールで素直な子やけど、メールも電話も一切来てない。
かなたの携帯に電話をかけてみた。
現在使われておりませんコール。
はあ?
メールも届かない。
気になったので家に行ってみた。
かなたはいなかった。
えいた1人だった。
そしてそのときえいたに聞いた。
かなたがあの日携帯を水没させてしまったことを。
それでメールも電話も来んかったんや。
俺は1ヶ月もたってそれを知ったことを悔やんだ。
なんでこっちから1回でも連絡しなかったのか。
確かに俺はかなたを好きになってしまうことを怖がっていた。
自分が情けなかった。
もう普通に…。
かなたのことが好きなのに…。
かなたが好き…。
えいたからこの1ヶ月かなたの様子がおかしいことを聞いた。
俺はえいたにかなたの新しい携帯番号を聞いてかけてみた。
何回かけても出なかった。
諦めきれず、えいたにかなたがいそうなところを聞いてみた。
えいた「多分部活やと思う。」
学校に行ってみた。
でも俺が学校の中に入るわけにもいかないので、校門で待っていた。
7時には学校が閉まると聞いていたので、今は6時半、30分待ってみることにした。
雨が降ってきた。
傘をさして待っていた。
ふと考えた。
電話はかけられなくてもかなたは俺の家を知っている。
もし俺にめちゃくちゃ会いたかったら家に来たらいいだけやし。
別に会いたいって訳じゃないかも…。
その間、何回も電話したけど全く出ない。
部活を終えた子達が沢山出てきた。
でもかなたはいない。
校門が閉まった。
もいっかいかなたの家に寄ったけど帰っていない。
もうただ単にかなたに会いたいと思った。
とぼとぼと自分ちに帰った。
すると。
傘をさしたまま俺のアパートの前で座っている子がいた。
かなただった。
いつものスウェット姿。
傘をさしていたけどけつをつけて座っていたしびしょびしょだった。
「かなた」
気付いてこっちを見たけどすぐ目を反らした。
「こんなとこで何してんの?」
近付いて聞いてみた。
かなた「待ってた。」
「いつから?」
かなた「4時くらい」
俺がちょうど家を出たくらいだった。
4時間近く…。
雨のなかで…。
「はぁ、何してんねん。とりあえず家入ろ。」
二人で家に入った。
タオルを渡して濡れた体を拭いた。
「なんか勉強サボってんのやって?」
かなたは何も答えなかった。
「てか新しい番号聞いたけど、携帯にずっと電話してんのになんで出えへんの?」
かなた「携帯は家に置きっぱ。」
「はあ?なんで?」
長い沈黙のあと、かなたは答えた。
かなた「あの携帯はな。先生のアドレス入ってないから持ってても意味ない。」
俺は泣きそうになった。
こらえながら言った。
「それで俺が来んかったら勉強せえへんって?
それより前に俺に会いたかったら家に来たらいいやん。
なんで今ごろになって…。」
かなた「きた。
あの次の日も。
先生が辞めるって聞いた日も。
何回も何回も。
でもいっつも女の人がおった。
一緒に住んでるんかなって思った。
でも何回も玄関のとこまで来た。
けどチャイム押されへんかった」
かなたは少し目をうるうるさせながら言った。
しまったー。
アネキかー。
「ごめん。そっか。
いまごろ遅いけどアネキが来てたんやけど…」
ほんま最悪…。
かなたは顔を隠すように横を向いてた。
キラッと涙が光って見えた。
ヤバかった。
抱き締めた。
4時間近くも雨のなか待っていたせいで、かなたの体は冷えきっていた。
すごく震えていた。
でも力強く抱きしめ返してきた。
かなた「ほんまは…。
先生のアドレス覚えてた。」
「えっ」
かなた「でも入れへんかった。
口で言いたくて。
メールでしか素直になれないとか、そんなんじゃあかんと思って…。」
かなたは真剣な顔になった。
かなた「俺の好きな人は…」
…長い沈黙。

かなた「あー、やっぱ無理。後でメールする。」
「なんやねんそれー。」
涙目のかなたはニコッと笑った。
俺は再び抱き締めて、ずっと離さなかった。

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かなた「くしゅんっ」
「大丈夫か?」
かなたのくしゃみ。
「もう、あんなとこで長いことおるからやん。風呂入りや。着替え貸したるし。」
かなた「いい。」
「いいって。風邪引くぞ。」
かなた「ひかん。」
いつものかなたに…。
「はい、服とタオル。
今着てるの洗濯機入れとき。
もびしょびしょやん。
てかいつも同じのん着てないか?」
かなた「うっさぃ。」
ちょっと鼻声のかなた。
「ちゃんと洗濯してんのかー?」
無言。
動かないかなた。
かなた「…はずい」
そう、ワンルームだから着替えるところがない。
「あー。あっち向いといたるわ。」
かなたは脱ぎ出した。
ドキドキする。
かなた「今日は彼女来ーへんの?」
「は?あー。だからあれはアネキやって。
何日か泊まりに来てただけ。」
かなた「ほんまかよ」
そう言いながら風呂場に入った。
この、着替えんのも恥ずかしがってるガキのくせに、口だけは…(笑)。

かなたが出てきた。
俺はベットにもたれてテレビを見ていた。
かなたはタオルで髪を拭きながら隣に来て座った。
ちょっと見るとやっぱりかわいくて見とれてしまう。
「雨やんできたみたいやな」
かなたにジュースを出すと静かに飲んだ。
なんかドキドキした。
かなたはあいかわらず自分からは何もしゃべらない。
9時過ぎだった。
「そろそろ遅いし、帰るか?」
少し間があって、
かなた「…うん。」
自分で聞いといてちょっとがっかりした。
5分後。
かなたは動こうとしない。
「かなた?」
帰らんのかー?って感じでかなたに触れる。
「てか髪まだ乾いてないやん?また風邪引くぞ。ちゃんと髪拭いたんかー?」
ベットの上の俺の両足の前にかなたを座らした。
そして後ろからドライヤーをかけてやった。
かなたは目をつぶった。
かなたの髪はサラサラの黒髪セミロング。
きれいなうなじ。
小さい頭はぐらぐらと動いた。
「あのさ、かなた。
俺家庭教師さ…」
かなた「いい、大丈夫。」
かなたはすぐに俺の言葉を遮った。
かなた「先生辞めたんやろ?俺は大丈夫。
1人で勉強できるし。
先生辞めたんなら俺も家庭教師やめる。」
「1人でできるって。俺がおらな勉強できへんって言ってたくせに。」
かなた「先生は俺んち来ても寝てただけやん。」
このくそガキ…。
でも否定できない(笑)。
かなた「もういいねん。もう大丈夫。」
目をつぶったままかなたは静かにそう言った。
かなたは少し笑っているように見えた。
俺はドライヤーを止めた。
かなたの肩から両腕を後ろから触った。
かなたは俺の足首の辺をつかんだ。
そして身を預けてきた。
俺はかなたにキスをした。
小さくて柔らかくて冷たいくちびるだった。
オレンジジュースの味がした。
1分以上離さなかった。
かなた「んっ」
そりゃ苦しくなる(笑)。
口を離して、俺は後ろからかなたに腕を回す。
ぎゅーっと抱きしめる。
いつも通りの細い体。
体を密着させる。
俺のちんこは当然のようにマックスになる。
それがかなたのお尻にあたる。
かなたは体をピクッとさせた。
でもこれ以上はダメだ。
そう決めていた。
俺はかなたから少し離れた。
かなた「エロいぞ。」
かなたはそれがわかっているかのようにベットから離れた。
かなた「俺、帰る。」
「おう、送るわ。」
かなた「いいって。」
かなたは玄関に向かう。
俺は何も言わずについていき、かなたの家まで送っていった。

家に戻ったらかなたの新しい携帯から初めてのメールがきた。

(ありがと)
4文字。
俺は一晩中メール画面を眺め続けていた。
次の日。
講義が終わって夕方6時半。
アパートに帰ってくると
あれ?
昨日と同じ。
アパートの前に同じ格好でチョコンと座っている中坊。
まあ、今日は雨は降っていない。
近づくと、
かなた「遅いー。」
遅いーって…。
なんも約束してないって。
まあ一緒に部屋に入る。
「どしたん?」
かなた「明日追試。やからここで勉強する。」
「ここで?」
かなた「家えいたおるし。ここやったら先生にわからんとこ聞ける。」
てか…。
これって…、ただ家庭教師の給料がなくなっただけパターンじゃん(笑)。
「いやいいけど。」
かなたとおれるのはうれしいけど…。
かなた「今日徹夜ね。」
「はあ?」
かなた「最近サボってきたからやばいねん。」
いや、そりゃ知ってるけど…。
重そうなカバンに勉強道具一式、制服、夜食(おかし)まで持ってきている。
こいつ本気や…。
「夜は帰らなやばいやろ?お母さんになんか言ってんのか?」
無言。
はあ。
かなたんちに電話する。
かなた母「あー先生。
お久しぶりです。
あ、かなた今日ね、友達の家に泊まりで勉強しに行ってるみたいで。
明日追試なんですよ。
追試で全教科100点とったら家庭教師をやめて自分で勉強するって約束したんですよ。
まあ無理なのわかってるんですけど。
どうしてももうやめたいからって。
それで最近授業も聞いてなかったから友達に教えてもらうって。
なんかかなたに用でした?…」
…、こいつ…。
「俺は友達か!」
教科書を用意しながら少し笑うかなた。
「てか全教科100点なんか絶対無理やろ!つかそれ以前に中学校で追試って…。テスト何点やったん?」
かなた「全部0点。
何も書かんかった。」
…はあ。
かなた「徹夜で勉強すれば大丈夫。」
冷静にそう言う。
かなた「先生も寝たらあかんで。」
「はいはい。」
振り回されてる?俺(笑)。
勉強しだすかなた…。
今日はかなたとずっと一緒におれる…
…とか言ってる場合じゃない感じ…。
「この動詞の場合は…副詞的用法になるから…」かなた「…これも?」
飲み込みは早いけど…。
やっぱ一晩で全部百点とか絶対無理…。

「じゃあ俺風呂入るからここ覚えときぃな。
出てきたらすぐテストするから。」
かなた「おう。」
「一緒に入るか?笑」
かなた「アホか」
俺は風呂場に向かって服を脱ぐ。
目をそらすかなた。
まあいつも目をそらしてるけど…。

出てきたらおかしをバリバリ食べている。
なんか…。
その食べている姿。
幼く見えるその姿を見ていると…なんで俺はこんな小学生みたいなやつの相手してるんやろって…(笑)。

「てかさ、なんでそんな家庭教師やめたいん?
別にそれはそれで続けたらいいやん?」
かなた「徳川慶喜」
「…正解。
じゃあその頃の外国を敵視する考え方は?」
かなた「…」
「お母さんはどう言うてるん?」
かなた「尊皇攘夷?」
「正解。
えー、『奥の細道』
新しい先生がいやなん?てかどんな人?」
かなた「えー、
先生より賢い。
先生より教えんのうまい。
先生より熱心。
先生より寝えへん。」
…このガキは…。
「てかそれやったら続けえや?」
かなた「…松尾芭蕉?」
「正解。」

夜中。
かなたの首は、
かくんっかくんっ。
かわいい。
…じゃなくて眠そう。
「かなたちょっとだけ寝とくか?」
かなた「…テイコウ?」
「全然違う。
なあ1時間たったら起こしたるから?」
かなた「絶対寝ん。
オームのホーソク?
寝たらエロいことしようとしてるやろ?」
「正解!
ってあほかっ(笑)」

なんかかなり本気。
俺はコーヒーを入れてやる。
てか俺も眠いっちゅうねん!
がんばるかなた。

4時半ごろ。
「かなたも風呂入ってきたら?すっきりするで。」
かなた「…。
風呂つかりたい。」
「えー?」
俺んちは一人暮らしやしほとんど湯船に湯をためたことがない。
掃除して湯をためる。
かなたは入った。
風呂場のかなたと部屋の俺。
やっぱりなんかドキドキする。
家の中に裸のかなたがいること。
かなた「先生ー」
風呂の中からかなたが話しかけてくる。
「なにー」
かなた「覗くなよー」
はあ…。
かなた「き…の…言…てた……」
小声になった。
「なんてー?聞こえへんぞー」
なんかしゃべってた…


…あれ?
目を開けると目の前にかなたの腰が…。
しまったー。
「あ゛ー。ごめん…。
ねてしまっ…」
7時半。
かなたは俺のぴったり横で勉強を続けていた。
体を起こそうとした。
その瞬間。
えっ?
甘い味。
コーヒーの。
かなたのくちびるが俺の口に…。
夢の続きか?
震えてしまうくらいソフトなかなたからのキスだった。
「どしたん?」
あまりのふいな大胆行動に思わず聞いてしまった。
ひと沈黙…。
かなた「口開けて寝てた。」
目をそらし少し笑って言った。
俺の体にはタオルケットがかかっていた。
二人で飯を食って着替えた。
かなたは制服に着替える。
むらっとなっちゃうから見たらダメと思いながら、ちらっと見てしまう。
細いきれいな足。
いっちょ前にボクサーブリーフ。
今の中学生ってそうなん?
家を出る。
俺は大学。
かなたは中学。
「試験中に寝んなよー。」
かなた「寝ーへんし」
歩いていくかなた。
あくびをしている。
…大丈夫かな…?
かなり心配。
俺は、教室に入ってふと。
かなたは風呂で何言ってたんやろ…。
で、講義が始まり熟睡タイム(笑)。
数日後。
試験結果が出た。
まあ現実はそう甘くない。
それでも大健闘といえる。
4教科90点代は。
…理科28点…。
「えっ?」
かなた「寝てもた。」
予想通りのオチ…。
それでも学校側からはかなり評価されたみたいで。
でもお母さんとの約束。
約束は約束。
ということで家庭教師は続けることになったみたいで。
かなた「先生が寝たからや。」
いつも通り俺の家でかなたと俺。
テレビを見ながらかなたはそう言った。

ピンポーン
出るとらいき。
らいき「あー。
おったーよかったー。
ごめんなー突然。」
らいきはおないのフリーター。
家が近く、よく飲みに行くいわゆるこっちの友達。
らいき「ケータイなくしてさ。
番号聞こうと思って。」
そういえば同じようなことしてた子が一匹ここに…。
かなたはこっちをチラ見もせずテレビを見ている。
らいき「誰?」
「あ、かてきょの生徒。」
らいき「へえ。
はやとんちで教えてるん?
て前辞めたって言ってなかった?」
「まあ、イロイロあってな。」
らいき「へえ。めっちゃかわいいやん。」
らいきもいわゆるかわいい系。
でもかなたとは正反対で、素直、明るい、やさしい…とかなりの王道なかわいい系キャラ(笑)。
らいき「てかはやと最近どーしたん?
付き合い悪くない?
また飲みに行こうやー。」
そう。
最近かなたのことでイロイロあってまともな付き合いをしていない。
「まあ、時間空いたら。」
らいき「絶対なー。」
ドアが閉まる。
かなたは動かずテレビを見てる。
かなた「誰?」
「え、ツレ。」
かなたはあまり俺のことを聞かない…
かなた「どんな?」
はず…。

かなた「かてきょのせいと」
かなたはボソッとつぶやいた。
「かなた?」
確かに俺とかなたってどんな関係?
お互いの気持ちもなんとなくわかってるし…、
キスだってした…。
じゃあ付き合ってる?
恋愛対象?
かなたはただの生徒と言われたことを気にしてる?
かなた「そろそろ帰る。」
かなたはここに来てからほとんどテレビから目を離していない。
「えっ。…おぅ。」
いつものように送っていく。
「かなたらいきのことなんか気にしてる?」
俺の斜め前を歩くかなた。
かなた「うん。かっけーなーっと思って。」
そっち?

家につく。
かなた「ありがと。」
笑顔でお礼を言うかなた…。
えっ?
耳と目を疑った。
かなたは家に入って行く。
変。
うれしいはずのかなたからのレアな笑顔とお礼は、不思議と俺を不安にさせた。

2日後。
かなたとのメールは最近そんなに多くないが、2日間は向こうからのメールが全くなかった。
久しぶりにらいきと遊ぼうと思って誘った。
変なモヤモヤや寂しさをらいきのテンションは消してくれる。
そして飲みに行く途中。
俺は少し弾けてらいきとはしゃいでた。
らいき「あれ?
あれってこの前の子くない?」
「えっ?」
車道を挟んで向こう側かなたが歩いていた…。
制服だった。
そしてそのとなりに女の子が歩いていた。
らいき「女の子と二人で歩いてるやん!
若い子っていいよなあ(笑)。」
かなたはあいかわらずどこを見ているのかわからないような視線だった。
ちらっとこっちを見たような気もした。
俺はなんとなく目をそらしてしまった。

飲み屋に着いた。
らいきと飲んでいると元気になれた。
大学のことバイトのこと、いろいろ話して吐くほど飲んだ。
フツーの大学生。
そしてかなたもフツーの中学生。
別に何も悪いことは起きていない。
…はず。次の日。
土曜日だった。
頭が痛い。
気が付けば携帯画面を眺めてた。
30分くらい。
メール作成画面。
あて先かなた。
そして送った。
(メシもう食った?一緒に食えへん?)
(いいよ。)
すんなり返ってきた。

そしてマクド。
幸い向かい合うテーブル席は空いていない。
「昨日気づいてた?」
かなたは小さい口のくせにポテトを大量にほおばる。
かなたがしゃべるまで10秒くらい待たされる。
かなた「うん。らいきと歩いてた。」
お前が呼び捨てすんなー。
「かなたは女の子と歩いてた。」
かなた「一緒に帰ってって言われた。」
「へえ。」
かなたはもてるやろうし。
そんな性格じゃなかったらもっとね(笑)。
かなた「コクられた。」
俺はコーラが自分の口に流れ込む音がはっきり聞こえた。
かなた「どうしよか考えてる。」
かなたはまだ中学生。
そりゃいろんな恋愛するやろ。
フツーに…。
ちょっと前の俺だったら冷静にそう考えてた。
かわいかったやん?付き合ってみたら?とか言ってたかもしれない。
かなた「考えてる。」
「なんで?」
すぐに言い返してしまった。
かなた「なんでって…?」
周りがかなり騒がしかった。
かなた「付き合ってみてもいいかなって…。」
かなたはポテトを口に入れた。
かなた「先生昨日楽しそうやったな。」
「まあ。」
そっからずっと無言だった。
…マクドってこんなに騒がしかったっけ?

店を出た。
無言だったけどかなたは俺の家の方についてきた。
何も言わずに俺の家に向かった。
かなたの気持ちが全くわからなかった。
正直今まではこうやって会えたらいいと思ってた。
付き合うとかそんなこと考えていない。
一緒におって。
ちょっとドキドキしたり。
そうゆうのが楽しかった。
今は苦しいしかない…。

家に着いた。
何をしゃべっていいのかわからない。
なんでこんなもどかしいんやろ…ほんま。
「そいえばなんで最近メール返してくれへんの?」
かなた「うっとおしいから。」
ムカついた…。
もともとイライラしてたし…。
「じゃあなんで今日は返すねん。
で何もゆうてないのにひょいひょいついてきて。
うっとおしいんやったら帰れや。」
俺キレてた。
ほんま俺最低。
かなた「帰るし。」
かなたはすぐにそう言った。
かなた「どせ俺はらいきみたいに素直でかわいくないし。」
「なんでらいきが出てくんねん。」
間が空いた。
奇妙なほど静かだった。
かなた「先生、俺とおるときは見せたことない顔してた。
楽しそうにしてた。
俺笑顔も作られへんし…
おっても楽しくないし…。」
かなたの笑顔とお礼を思い出した。
だからあの時無理やり笑顔を作ってたんや…。
かなた「らいきみたいな人と一緒におったらええやん。」
「あーそうそう、
らいきはかなたと違って楽しいよ。
素直やし、憎たらしくないし、明るいし…。」
俺は止まらなかった。
大声を出してた。
「でもなあ、
てかもぅ、だいたいわかるやろ、うっとしなぁ。
らいきなんか関係ないやろ。
明るくて素直なかなたなんか別に見たないし。
かなたはかなたやろ。
しゃーないやん。
俺がかなたとおるのがいややとでも思ってんのか?」
中学生相手に。
おとなげもなく叫んでた。
「らいきらいきって。
おまえは女の子にコクられて浮かれて『付き合ってもいいかなあ』って。
勝手にしてろよ。」
自分でも何言ってるかわからなかった。
俺ってほんま最低…。

長ーい沈黙。
かなた「うそ。
ほんまはソッコー断った。」
「なんでそんなうそつくねんっ。」
何も言わず…、
かなたは俺の胸に抱きついてきた。
「かなた?」
かなたの頭が俺の首のところに。
こんな身長差あったんや…。
かなたの顔が温かいのがシャツを通して俺の体に伝わった。
「かなた?」
じわっとシャツが濡れて温かかった。
泣いていた。
かなた「んっ」
張りつめるような空気の中、わずかに息の漏れる音が聞こえた。

俺は不安だった。
自分に対してもかなたに対しても。
かなたは俺の胸で静かに泣いていた。
なに泣かしてんやろ。
肩は震え、じわっと伝わるかなたの涙。
温かい涙…。
俺は何してるんやろ。
…。
「かなた。」
俺は顔を上げさせた。
かなたは無表情に戻っていた。
強引にキスをした。
涙の味しかしなかった。
しょっぱかった。
俺はかなたをベットに押し倒してもう一度キスした。
かなたは少し苦しがった。
俺はこんなかたち望んでいない。
中学生やからとか関係なく。
こんな気持ちのまま、襲うとか絶対あかんって…。
でも不安が…。
俺は不安をぬぐい去ることしか頭になかった。
俺の体は止まらなかった。
強引にかなたのシャツをまくりあげた。
かなたは抵抗した。
無理やり押さえつけた。
そして顔を胸にうずめた。
かなたの体はつぶれてしまいそうだった。
かなた「んーんー」
かなたの白い肌。
かなたの乳首を吸った。
そして右腕をかなたの足の方に持っていった。
ズボンをずらそうとした。
かなたの細い腰には小さいへそが見えた。
かなたは抵抗して両手でズボンを押さえた。
俺は無理やりパンツの中に手を入れようとした。
かなた「無理っ」
かなたは振り払った。
俺の腕を押さえ思いっきり振り払った。
かなたは何も言わず走って出ていった。
バタン
ドアは閉まった。

不安をぬぐい去るって?
俺は正真正銘のあほやと思った。
こんなことして…、
ぬぐい去れるわけない…。
まだ欲望のままに襲ってるほうがましやん。
俺は崩れ去った。
疲れた。
もう…
…終わった。
俺はその日はもう動く気力がなかった。
まだ昼過ぎだったけどその日は何もしていない。

次の日、日曜日。
らいきから誘いの電話があった。
ヒマだったし出掛けることに。
ふと携帯を持つ。
当然かなたからはメールも電話もない。
携帯を持っておくのが嫌なので家において出掛けた。
気になるから…。

ボーリング場。
びっくりするほど楽しくなかった。
らいき「元気ないんちゃう?
どしたん悩み事ー?
何でも聞くでー。」
らいきが気にかけてくれた。
けっこう元気に振る舞えてるつもりでおったけど。
わかるんやな。

夜帰宅。
携帯を見た。
メールも電話も入っていない。
いや、わかってるけど…。
めちゃくちゃさみしくなった。
このままじゃダメと思った。
意を決してメールした。
(昨日ほんまにごめん…。もう一回ちゃんと話したい。)
メールは返ってこなかった。
終わるにしてもちゃんと終わりたい。
電話をした。
つながらなかった。

次の日。
夕方4時ころ電話が鳴った。
びくっとして見る。
かなたじゃない…。
…もう病気やし俺…。
家庭教師の事務所だった。
担当「先生久しぶりー。元気してんの?」
「元気はしてないすね。」
俺の担当の人とはけっこう仲がよかった。
担当「あんな。
先生かなたくんと仲良かったよな?
今も連絡したりしてる?」
俺の元気をさらに奪うなって(笑)。
担当「なんかかなたくんが昨日から入院してるみたいやねんけどな。」
「えっ!?」
担当「それでちょっといろいろややこしいことあるから連絡とらんようにしてほしいねん。」
はっ?
ややこしいこと?
全く理解不能。
「何があったんですか?」
担当「今はちょっと言われへんねん。
詳しいこともよくわかってないし。」
いやだから…。
入院?
ややこしいこと?
病気?
事故?
かなたに電話した。
昨日と同じ。
つながらない。
家に電話。
誰も出ない。
母親の携帯。
やっぱりつながらない。かなりパニクった。
何回も電話した。
やっと母親の携帯につながった。
かなた母「いや、一応大丈夫なんですけど。
ちょっと事故で。」
「お見舞いに行きたいんですけど、どこの病院ですか?」
かなた母「…。
一応○○病院なんですけど。
落ち着くまでお見舞いはちょっと…。」
落ち着くまで?
重症やってこと?
気が付いたら家を出てた。
嫌な感覚が心を覆った。
こんな状況じゃなかったらもう会う勇気はなかったかもしれない。
でも今はそんなこと心の片隅にもなかった。
病院に着いた。
病室を聞いた。
かなたは…。
嫌なドキドキが離れない。
病室を開けた。
かなた…。

はあ?
かなたは、
マンガを読んでいた(笑)。
かなた「先生…。」
「かなた大丈夫なんかよ?」
かなた「大丈夫ちゃうし。
階段から滑って。」
はあ?
かなた「骨折った。
なんか検査とかイロイロあってダルい…。
携帯電波つながらんからひまやし…。」
「ちょ、それだけ?」
かなた「え、それだけ。」
なんやねんそれ…。
かなたはケロッとしていた。
2日前のことも忘れているくらいに。
とりあえず安心はしたけど…。
心配かけやがってくそう…。
かなた母「あ、先生。」
母が買い物袋を持って病室に入ってきた。
俺は気まずかったんであいさつをして病室を出た。
はあ。
なんやったんやろ。
家に帰った。
でも冷静に考えたら明らかにおかしい点が…。
ややこしいこと…?
落ち着くまでは…?
かなた母の態度や声のトーンも明らかにおかしかった。
気になった。
それでもう一回家庭教師の事務所に電話してみた。
かなりしつこく聞くとしぶしぶ話してくれた。

階段から落ちて骨を折った。
体勢が崩れたらしい。
駆けつけた母親が体を見ると。
明らかに落ちて出来たのとは違うアザが多数。
そのアザをかばったせいで階段から落ちたみたいで…。
でもかなたは落ちたときに出来たと言って何も話さない。
後でえいたに聞くと家庭教師の時間帯のおかしいことが発覚。
まずえいたは部屋に入れてくれない。
変な音がする。
家庭教師の時間が終わるとかなたが体を痛がってた時がある。

担当「でもかなたくんは全部否定しとってな。
まあ本人しかわからんことやけど。
でもまあ明らかにうちからの家庭教師に問題あるやろうということで。
当然その先生はクビになったんやけど。
でも断言はできひんし、かなたくん本人もしゃべらんしな…。」
暴力?
新しい先生の。
俺は固まった。
最悪や…。
かなたは…。
かなたはずっと家庭教師をやめたがっていた。
俺はその理由を問い詰めなかった。
かなたはずっといやがっていた…。
俺は何も気付かなかった…。

いてもたってもいられなかった。
俺は再び病院に向かった。
病院に向かった。
もう外は真っ暗だった。
面会時間は過ぎていた。
かなた母も帰ってるやろ。
俺はこっそり忍び込んだ。
かなたは俺に何も言わなかった。
俺にもう会いたくないのかもしれない。
いろんなことが頭をよぎった。
病室の前に着いた。
かなたの部屋は幸い個室。
少しドアが開いていた。
のぞいた。
かなたはベットに仰向けで携帯をじっと眺めていた。
寂しそうだった。
「かなた。」
俺は部屋に入った。
かなた「えっ?」
かなたはびくっとして携帯を置き、寝ながら俺に背を向けた。
かなた「何しに来たん?」
冷たい口調で言った。
完全に俺避けられてる…。
「なんで言わんねん。
暴力うけてたんやろ?」
かなた「は?
何言うてんの?
階段から落ちたんやって。」
「まあ、俺に言ってもしゃーないしな。
ごめんな。
会いたくもないやつがノコノコ来て。」
かなたは動かなかった。
俺はパイプ椅子に座る。
「かなた?」
向こうむきのかなたはわずかに震えていた。
かなた「別にいいよ。
…学校行かんでいいし…、宿題ないし…」
声が震えていた。
かなた「楽でいいけど…」
鼻声だった。
かなた「でもめっちゃヒマやからな…」
ゆっくりしゃべった。
かなた「やから、別にいいよ。…おっても。」
鼻をすすった。
2分くらい沈黙があった。
かなたがかぼそい声を出した。
かなた「こわ…かった…」
完全に泣いていた。
「えっ?」
かなた「勉強…してたら…体触ってきた。
無理やり…襲ってきた…。
拒否ったら…蹴ってきた。
めっちゃ…こわかった。
…こわかった…。」
えっ?…。
衝撃だった。
その先生は無理やりかなたを襲おうとした。
かなたは抵抗した。
それで暴力に…。
…最悪。
てか…。
俺も一緒やん。
無理やり襲って…。
がく然とした。
俺はかなたの方を見れなかった。
「俺も…、
俺も一緒やん…。」
かなたはすぐに答えた。
かなた「先生は…ちがう。
先生は…。
はやとは…ちがう…。
はやとには…腰のアザ…見られたくなかった。
このこと…知られたくなかった。
やから…突き飛ばしてしまった。」
「えっ…?
…てかなんでやねん。
なんで隠すねん。
俺はそんな頼りないか?
なんですぐ俺に相談しーひんねん。」
てか気付いてもあげられない…。
長いこと一緒におって…。
そりゃ頼りにされるわけないって俺…。
かなた「先生が家庭教師辞めて…新しい人来た。
でも…その人がいややから…勉強サボったんちゃう。
暴力されるから…やめたいんじゃない。
……先生に会いたかったから…サボった。
でも暴力のこと言ったらそれが伝わらんくなると思っ…
んぐっ…
俺…
気持ち伝えるん…
下手やから…。」
「そんな理由で…」
涙でかなたの頭がゆがんだ。
俺のせいで…。
俺のために…。
かなた「だから…テストでがんばって…、自分で解決しようと思って…。」
「なんでやねん…。」
ムカついた。
ムカついて涙が止まらなかった。
「弱いくせに…。
不器用なくせに…。
すぐ泣くくせに…。
なんで1人で解決しようとすんねん。
…。
もういいって。
十分がんばったって。
もう甘えてもいいって。
俺が…。
俺がかなた守るから。」
かなたは声を出して泣いた。
かなた「う゛ん…。う。」
かなたは泣きながら…、
向こうを向きながら…、
首を縦に振った。
俺は頭を撫でてやった。
かなたは俺の手を握りしめた。
弱々しい腕だった。
でも…
あたたかかった。

消灯時間。
看護婦さんが来た。
俺は棚の後ろに隠れた(笑)。
消灯した。
「俺そろそろ帰るわ。
ばれたらヤバいし。」
かなた「うん。」
かなたは真っ暗な中、また俺の手を握った。
でもやっぱりむこうを向いている。
「かなたー?」
かなた「あと30分」
はあ。
ドキドキするんやって(笑)。
「もう泣きやんだんかー?」
かなた「泣いてないし。」
おいおいっ(笑)。

「かなたー?」
泣き疲れたのか寝てた。
スーっと寝息を立てて。
近づいて見ると、
寝顔がちょっと笑っているように見えた。
安心した。
かわいかった。
そっとキスして…
こっそり帰った。


次の日夕方。
かなたは退院したらしい。
あんなことがあったし、まだ当然足も治っていないこともあり、かなた家の放任主義はしばらく封印されるだろう。
メールがきた。
送信予約メール(電波が入った時点で送信されるやつ)
送信日時月曜20時30分
俺が昨日病院に着く前くらい。
送信者かなた
(会いたい)

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数日後。
ピンポーン
起こされた。
時計を見ると9時過ぎ。
講義が昼からだったんで寝てた俺。
出ると制服姿のかなた。
「かなた?」
まだ俺の脳は起きていない。
ギブスが付いた右足をかばいながらもずかずか上がってくる。
かなた「今日から学校やねん。」
「へえ。…って」
かなた「おかんが最近うるさくてさ。
夜外に出られへんねん。」
その愚痴はさんざんメールで聞いてるって。
まああんなことあったし。
足治ってないし。
かなた「やから今きた。」
「いや来たって…。
学校は?」
かなた「ダルい。」
実際会うのは病院以来。
かなたはやっぱり変わっていない。
「てか足大丈夫なんか?」
かなた「学校までは車で送ってもらった。
で学校からここまでは歩いてきた。」
わけわからん(笑)。
でも元気そうなのには安心した。
かなた「先生学校昼から?」
「おぅ。
てか来るんやったら言っとこうや。
俺おらんかったらどうしてたん?」
かなた「朝メールしたし。」
…寝てたって。
昨日言うとこうや…。
顔を洗う俺。
かなたはいつもの場所でテレビをつける。
「学校ひさびさやろ。
行っとかんでええんか?」
かなた「じゃ昼から行く。」
自由な中学生(笑)。
「足は痛くないん?」
かなた「んー。
これがうっとおし。」
ズボンで隠れた異常に太く見える右足。
かなた「アザはだいたい治ったと思う。」
アザのことは触れんでおこうと思ってたけど…。
かなた「肩にもあってんけどな。
自分で見られへんから。」
シャツのボタンを外すかなた。
ドキドキするって。
かなた「まだ赤い?」
肩を出す。
「あー、ちょっとだけ。」
なんかいつもよりしゃべるかなた。
かなた「腰のも…見る?」
はあ?
なんか…。
誘ってんのかこいつ…。
「そんなとこ見たら俺変なことするかもしれんで(笑)。」
かなた「きしょいし…」
かなたは少し笑った。
かなたの笑顔はとろけそうになる。
幸せな気分になる…。
でもかなたはすぐ笑顔を消した。
顔はあいかわらずそむけたまま。
かなた「ぃぃよ。」
かなり控えめな声でつぶやいた。
「えっ?」
かなた「見てほしぃ…」
ドキドキした。
それよりもかなたのドキドキが伝わってきた。

ズボンのベルトを外してやる。
かなたはピクリとも動かない。
ズボンのチャックを下ろす。
ヤバい…。
ドキドキ。
右足に気を使いながらズボンをずらす。
かなたは腰を浮かす。
ボクサーブリーフ。
少し盛り上がっている。
太ももにも少し赤いアザのあとが見えた。
それがなかったらつるつるのきれいな太ももだった。
かなた「右側。」
かなたのパンツの側面を少しずらす。
腰骨の数センチ下。
少しだけはれていた。
震えて泣いていたかなたを思い出す。
なんともいえない感情がこみ上げてくる。
アザをそっと触ってみる。
「痛い?」
かなた「だいじょぶ。」
かなたは上半身を完全に後ろに倒した。
かなたはアザにさわる俺の手を上から握ってきた。
かなた「あの先生は…、
拒否ったで。
何されても…。」
かなたは目をつぶっていた。
かなた「好きな人以外にさわられんの…嫌やし。」
あったかい声だった。
かなた「はやと」
かなたのパンツは盛り上がっていた。
少しずらしてあったので薄い毛が見えた。
かなたは腰を浮かした。
俺はかなたのパンツをつかんだ
ギブスがある辺りまでずらした。
かなたはピクリとも動かなかった。
目をつぶって横を向いていた。
かなたのちんこは勃起していた。
俺はゆっくりと右手で触れた。
優しく…。
むけていなくて小さい。
「かなた」
かなた「…ハズい」
俺はかなたのちんこを口の中に入れた。
かなたの体温が心地よかった。
かなた「えっ、んっ」
かなたの右手は俺の左手から離れなかった。

かなたはすぐにいってしまった。

俺はかなたの横に仰向けになった。
横目でかなたを見た。
「そいえばさ、俺言い忘れてたことあった。」
かなたは俺を見た。
「…俺もかなたが好きって。」
かなたは笑顔になった。
いままでで最高の笑顔。
そんな笑顔持ってんのやったらもっとはよ見せろよって…。
「あとはやとって呼び方偉そうやぞ。」
かなた「だてもう先生ちゃうし。」
かなたはずっと俺の手を握っていた。
ずっと…。ちょっと前に書いた「家庭教師」のつづきです。
前みたいにポンポン更新できないかもですが…。
よかったら見てください。

いちお紹介。
俺大学生。元家庭教師。
かなた中学生。元生徒。
以上。

とある土曜。
ピンポーン
俺は荷物をまとめていた。
てか早いなあ。
と思って出ると…
かなただった。

「え?どしたん?」
かなたはギブスが取れていた。
かなた「遊びに来た。」
部屋に上がりながら…、
いつものかなた口調で不機嫌そうに言った。
「えー?
俺今日明日旅行やって…。
言うてなかったっけ?」
かなた「はー?」
「はー?ちゃうって。
だから来るときは連絡しろって。」
今日は大学のゼミ友と旅行。
その準備をしていたところだった。
かなたは不満そうな顔をした。
まあだいたいいつもやけど…(笑)。
「てか足もう治ったんか?」
かなた「よゆー」
かなたは斜め下を向いて答えた。
「ごめんけど大学のみんなとの旅行やし、もうすぐ出発やねん。」
かなた「俺も行く!」
「はあ?
無理やって。
てか泊まりやで。」
かなた「今日家誰もおらんし。
おかんとえいた明日まで東京。
やからいける。」
かなたは大きいカバンを持ってきていた。
こいつまさか…。
俺んち泊まりに来た系…?
かなた「絶対行くから。」

ピンポーン
みらいだった。
みらい「あれ?
誰この子?」

俺はみらいにあれこれ説明した。
みらいはゼミでは一番仲のいい女の子。

みらい「いいんちゃう。
連れていこうやー。」
かるっ(笑)。
みらい「てかめっちゃかわいいしー。」
かなたはマンガを読んでいた。
ダメ元でたけるに電話してみた。
今日泊まるのはたけるの知り合いの旅館。
大部屋2つ貸し切りなんで全然大丈夫とのこと。
そんなわけで…。
連れていくことに。

あとひとり。
しんやが来た。
しんやの車で出発。
3台の車での旅行。
幸い俺らチームは3人だったんでかなたを乗せることができる。

「てか俺運転かよ。」
しんや「そりゃあ。
俺は車提供係やし。」
しんや助手席。
かなたとみらいは後ろ。
なんやろこの感じ。
しんや「少年、親とか大丈夫なんかー?」
しんやはだいたい中学生くらいまでの子を呼ぶときは少年と呼ぶらしい(笑)。
かなた「うん。」
みらい「てか着替えとかどうするん?
持ってないやんな?」
そう。
大きなカバン。
今日家の人が誰もいないということで。
たぶんかなたは俺んちに泊まりに来た。
だから着替えを持っているはず。
でも周りからすれば、着替えを持ってることはおかしいんでは…。
かなたは自分のカバンを開けだした。
みらい「え?持ってんの?」
開けると大量のお菓子。
全部お菓子(笑)。
かなたは1つ取り出してカバンを閉める。
かなた「1日くらい着替えんでもいける。」
そう…。
かなたはこういうやつやった(笑)。

みらい「そいえば元家庭教師なんやんな?
なんで今も会ってるん?」
来たよ。
そういう質問が。
「え…。
…仲良いからかな。」
そういうのさえちょっと照れた。
みらい「へえ。」
かなたはお菓子を食べながら窓の外を見ていた。

しんやは寝だした。
俺は慣れてない運転にちょっと必死ぎみ。
みらい「私にもちょうだい。」
無言でお菓子を差し出すかなた。
なんか…。
変なギクシャクな感じに後ろがちょっと心配だった。

10分後。
かなた「…みらいに言われたくないし。」
みらい「キャハハ。
ちょっとー。
かわいい顔してかなた生意気すぎー。」
…めちゃめちゃ馴染んでた(笑)。
みらい「てかはやとはどうなん?
ちゃんとやさしく教えてくれた?」
かなた「全然。
めっちゃテキトー。
途中で寝るし。」
みらい「ハハ。ダメじゃーん!」
おいっ。
新しいお菓子を取り出すかなた。
みらい「てかお菓子持ってきすぎやしー。
どんだけ好きやねんって感じー。」
かなた「うっさい。」
みらい「もーらいっ。」
かなた「あー。こっちのんはあかん。」
なんかー。
後ろが楽しそうで…。
「おめーら、うっさいぞ。」
みらい「キャハハハハ」
えーと、完全無視(笑)。

車で3時間。
着いた。
海岸と温泉がある。
大学生11人と中学生1人。
海岸で遊んだ。
かなたとみらいはかなり仲良くなったみたいで。
常に一緒にいた。
少したって。
俺はみんなと少し離れたところにすわった。
夕日がめちゃめちゃきれいだった。
ずっとみらいと一緒にいたかなたは夕日越しにこっちに向かってきた。
俺のとなりにちょこんとすわった。
かなた「はじめて…。
家族以外と旅行来た。」
夕日を見つめながらかなたは言った。
「そうかー。」
かなたの横顔を見ると今まで見たことがないきれいな顔をしていた。
かなたは俺の手をそっと握った。
あいかわらず小さい手。
俺はみんなの目もあったし振り払って立ち上がった。
「あっち行こうや。」
みんなのところへ向かった。
かなたは来なかった。
ビーチバレーをしていたのでまじった。
ふとかなたのほうを見ると…。
えっ?
なに?
かなたが倒れていた。
急いでかけよった。
かなたは俺のほうへ向かって来る途中倒れていた。
「かなた!」
かなたは足を押さえていた。
まだ完治していない足で砂に足を取られた感じ。
かなた「だいじょぶ。
こけただけ。」
足のことがあるのに…。
かなたを1人でほっといた俺…。
俺はおんぶしようとした。
かなた「いけるって。」
無理やりおんぶした。
かなた「ちょ、カッコわりぃ!」
かなたはジタバタした。
「…ごめん。」
かなた「…なにが?」
俺はかなたをしっかり支えてもう一度ゆっくり言った。
「ごめん」
かなたは大人しくなった。
少し沈黙があった。
かなた「…だからいけるって。」
腕で足を支えながら
俺はかなたの手を握った。
「言うたやろ…。
守るって。」
俺は小声で言った。
背中にしっかりとかなたを感じる。
なんか…。
勝手ながら。
安心した。
かなた「…うん」
後ろでかなたは小声で答えた。

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みんなで旅館に向かった。
みらい「かなた大丈夫?
てかうちらの部屋こよーよ。」
部屋はもともと男6人女5人の2部屋。
「ちょい。
かなたはこう見えても男やから。」
みらい「えー。
いいやん中学生なんやしー。」
たける「へえ~。
いいなあ中学生は。
俺が代わりに行ったろか?(笑)」
一同無言。
かなたは俺の背中におんぶされながら黙っていた。
かなたは俺のもんです(笑)。
しんや「少年は先生と一緒がいいってさ。」
かなた「…え、どっちでも…。」
おいっ(笑)

まあ当然俺らの部屋に。
かなたを下ろしてやる。
「足いけるんか?」
かなた「余裕やって。」
大丈夫そうだった。
みんな部屋でくつろぎだす。
たける「はやとっち、うかうかしてたら中学生にみらいちゃん取られてまうな!」
「何ゆうてんの?」
たける「てかまだ付き合ってないん?
みらいちゃんと。」
「いや、興味ないって。」
かなたはテレビをつけていた。
しっかり聞いてるんやろな~。
たける「めっちゃ前から仲いいやん。
あっ体の関係だけか!」
「ないって。」

かなたの後ろ姿。
リモコンをいじってた。
かなた「チャンネル6個しか写らん。」
しんや「ほんまや。
田舎やからなあ。」
しっかり聞いてるんやろな。

しんや「温泉行こーぜ、温泉。
少年も行くやろ?」
かなた「いい」
しんや「え?
行かへんの?」
やろうな…。
しんや「はやと行こーぜ!」
「あっ、おう。」
まあこいつらにかなたの裸を見せるわけにはね(笑)。

部屋に戻ってくるとかなたは1人で部屋のはしに布団を敷いて寝てた。
しんや「おっ、もう寝てんのかー。中学生。」

しんや「てかこいつホンマ女みたいやなあ。」
確かに生意気じゃない寝てる姿が一番かわいい(笑)。
たける「おまえ、襲うなよー。」
死守します(笑)。
俺はかなたの隣を陣取った。
酒を飲んだりして2時ころ。
俺も眠くなって布団に入った。
なんだかんだでかなたと一緒の空間でちゃんと寝るのははじめて…。
かなたは静かに寝ていた。
あいかわらずかわいい寝顔。
かなたの方を向いて寝た(笑)。

ふと気付くと。
かなたが俺のほうに寄ってきてた。
かなたは俺の手を握ってた。
起きてるんかな?
もうみんな寝静まっていた。
電気も消えていた。
「かなた?」
小さい声で言った。
もう片方の手を伸ばすとかなたの頭があった。
撫でてやった。
かなたの手に力が入る。
「起きてる?」
目をつぶったまま…。
かなたは俺の手を引き寄せた。
俺は抱き締めた。
周りにみんな寝てるのでドキドキ…。
そっと抱き締めた。

かなたは突然起き上がった。
俺の手を握ったまま。
そして部屋を出た。
俺も着いていく。
「トイレ1人でよう行かんのかー?(笑)」
かなた「はー?
何ゆってん。」
ほんの少し笑みがこぼれるかなた。
大きな窓のある通路。
時計は4時を差していた。
かすかに夜の海が見えた。
かなたは眺めていた。
かなた「みらい…」
かなたは何か言いかけた。
「あー。
ほんまなんもないって。
みらいは仲いいだけで…」
らいきの時みたいに気にしてるんかなーって。
ちょっとあせった。
かなたはまた海を見ながら微笑んだ。
かなた「気にしてるとでも思った?」
えっ?
くそう…。
やられた。
俺のほうがガキみたいやん。
かなた「俺にとられんよーにな…って。
言おうと思って。」
このガキ…。
なんかすごく落ち着いたかなただった。
ちょっと大人になったような…。
はじめての旅行で。
よく旅行に来たらテンション上がるとかいうけど…。
ちょっと新鮮なかなた。
笑顔だった。

かなた「温泉。」
「え?今から?」
かなたはまた俺の手を握った。

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タオルを持って。
温泉に向かった。
電気がついてた。
夜中でもやってるんや。
よかった。
当然誰もいなかった。
静かだった。
「貸し切りやな。」
かなたは服を脱ぎだす。
むこうを向いて恥ずかしそうに…。
ヤバイ。
目のやり場に困る。
かなたの全裸。
小さいタオルでしっかりと隠す。
ずかずかと先に入っていく。
ヤバイって…。
かなたの小さいおしりが…。
ホンマみんなと来た時連れてこんでよかった(笑)。
「って、ちょとストップ!」
かなた「えっ?」
かけ湯もしないままそのまま入ろうとするかなた。
こいつ…。
風呂に来たことないんか…。
「いきなり入んなよ。
てかまず体洗ってからやろ。」
かなた「いいやん。」
「あかん。
温泉やで?」
仕方なさげに洗い場?に。
俺のとなりに来る。

裸のかなたが隣に。
「そいや、足は…
えっ?」
かなたの手が俺の膝に…。
かなた「またエロいこと考えてる!」
いやいや。
そりゃしゃーないっしょ。
タオルを被せてるけど俺のはマックス状態。
かなた「エロいって。」
かなたは小さい手で俺の太ももをさわる。
「うっさいって。
おまえこそ…。
さわんなよ。」
思わずかなたに近づいた。
かなたにキスをする。
ギブスのとき以来かな…。
かなたの激柔らかいくちびる。
かなたの華奢な上半身に手を回そうとする。
かなたはそれを抑えた。
えっ?
ちょい?
「かなた?」
なにを?
かなたは、
俺の腰のタオルをどけて、
顔を近付けていった。
俺のちんこにかなたの口が…。
小さい口がほおばる。
「…ちょかなた?」
かなたは一瞬口を離し。
かなた「この前の仕返し。」
「んっ」
かなたのくちびるはしっかりと俺のちんこに…。
かなたの下半身のタオルはスルリと取れた。
きれいな両足の間からかなたの…。
ヤバい。
エッチすぎる。
全裸のかなたが俺のをしゃぶって…。
かなたの口の中…。
柔らかい…。
とろけそう。
俺は手を伸ばした。
かなたのに。
きれいに勃起している。
ヤバすぎる。

バタッ
突然脱衣場で音が。
誰かが入ってきた。
ヤバい…。
急いでサッと流して湯船に入った。
二人ともギンギンなんで(笑)。
大学のやつちゃうやろな…。
おじいさんだった。
超早起き?(笑)
体を洗っていた。
幸い温泉の湯はにごっていて中が見えない。
俺はとなりのかなたの太ももをそっとさわった。
かなたはまっすぐ前を向いていた。
興奮が高まる。
ゆっくり股間のほうに手を…。
かなたのちんこに届いた。
おじいさんが湯船に入ってきた。
手はそのまま。
肩までつかっているとわからない。
かなたの静かな吐息がかすかに聞こえる。
老人「旅行の方ですか?」
かなたの手も俺の股間に伸びてきた。
「あっ、はい。」
老人「ここの温泉は気持ちいいからねえ。
私はいつも来とる。
ご兄弟ですか?」
変なドキドキ。
俺はかなたのわずかに出た亀頭の先を指でさわった。
かなた「えっ」
「え、まあ。」
かなたの手に力がなくなった。
かなた「んっ、気持ちぃ」
老人「ハハ、そうでしょ。
ここが一番気持ちいい。」
そーなのか(笑)。

おじいさんは出ていった。
かなた「エロすぎ。」
「ごめん。
てかのぼせるなあ。
ヤバい。」
湯船から出た。
かなたもほおが真っ赤だった。
かなたは少しよろける。
「おっと。」
支えてあげた。
当然下半身はおさまっていない。
「かなた」
洗い場のところに座らせた。
白い肌からスーっと。
乳首をゆっくりなめた。
かなた「ぁ、んんーっ」
可愛すぎるって…。
乳首をなめながら手でしごいた。
かなた「んっ」
かなたは一瞬でイッた。
「体洗って出よか。」
俺も腰掛けに座った。
かなたは俺に近づく。
かなた「まだ立ってる。」
「ちょいいって。」
かなたは再び口の中に。
「かなた?」
慣れない口の動き。
小さい小さい口で。
気持ちいい。
「あっ、ヤバい。
イキそう。
ちょっ…」
かなたの肩を押した。
かなたは口を離そうとしない。
「おぃっ、かなた。
あっ。」
イッてしまった。
口の中で。
かなたは口からダラッと吐き出した。
かなた「気持ちわりィ…」
「何してん?
離そーよ。」
かなたの口を汚してしまった。
かなた「だて…。
おもしろいから…。」
こいつは…。
なんか性格変わったぞ(笑)。
もう5時を過ぎていた。

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次の日。
俺とかなたは寝坊。
で、たたき起こされた。
ねむい…。
今日の予定は…。
この辺は遊ぶところがあまりなく…。
さびれた(笑)遊園地に行くことに。
かなた「何ここ?
ガキっぽい。」
おまえが言うなって…。
しんや「にしてもお2人さん仲いいなあ。
くっついて仲良く寝てたし…。」
えっ?
「何言うてん?」
ちょっとあせった。
かなたはすぐ前を歩いていた。
しんや「昨日かって、なあ?
ラブラブやったやん?」
昨日?
しんやは小声になった。
しんや「あれはまずいっしょ?」
えっ?
しんや、おまえ…。
もしかして…。
昨日の…。
見られてた?
ら、ヤバすぎるやん…。
頭が真っ白になった。
「ちょ、何が?」
しんや「先生、ずっとおんぶしちゃってさ。
ずっとくっついてたやん。」
はあ。
そっちかよ…。
びびらすなって。
たける「みらいちゃんじっと見てたで。」
ニヤニヤしながらたけるも小声で参戦。
「てかかなたはただの元生徒やから!
んで中学生でしかも男やし。」
しんや「そんなムキにならんでえーって。」
ムキになってた?
…かな。
かなたはいつも通りてくてくと歩いてた。

ジェットコースター。
かなたは先に乗ってた。
かなたの隣に乗ろうとしたけど…。
なんかまたやいやい言われんのいややし…。
と思って違うところに座った。
かなたの隣にはみらいが座った。
みらい「かなたさぁ、
遊園地なんやからもっと楽しそうにしよーよ。
てか笑顔一度も見せてないよね?」
かなたの笑顔はレアなのである(笑)。
かなた「だてガキっぽいし…。」
だから…。

それからもかなたとみらいは仲良さげに行動していた。
俺らは少し離れたとこにいた。
たける「あのガキめー。
中坊のくせに女の子とベタベタしやがって…。
なあ?」
「いいんちゃう?」
ふと視線を感じた。
珍しくかなたがこっちを見てるような気がした。
気のせいかな…。

帰り。
車に乗った。
俺は運転。
やけど眠くてヤバい…。
後ろはかなたとみらい。
みらい「かなた元気ないぞー。」
かなた「え、ねむい。」
いいよな。
運転せんやつは寝れるから…。
みらい「かわいい~!
眠いんやー。
昨日ちゃんと寝たんかー?
なあなあ?」
しんや「きのうぐっすり寝とったで。」
みらい「へえ~。」
まあみらいが隣やったら寝られへんか(笑)。

みらい「かなたかわいいから学校とかでモテそうやなー?
好きな子とかおらんの?」
ちょっと目が覚めた。
みらい「いいよなー。
中学生の淡い恋愛。
なあ?
おるん~?
好きな人。」
あんま聞くなって…。
かなた「先生。」
…え?
みらい「えっ?えっ?
先生って学校の?
きれいな先生でもおるん?」
かなた「はやと。」
ちょい…。
何を言ってん。
いつものかなたと違いすぎる。
完全に目が覚めた。
しーんとなった。
空気がヤバい。
「さすが俺~。
慕われてるやろ?
家庭教師の鏡やからね。」
みらい「調子乗んなって(笑)。」
ごまかせた?
…かな?
気まずい空気?
それとも普通?
俺にはよくわからなかったけど…。
かなたはそれ以来黙っていた。
ずっと黙って外の景色を見てた。

最初にかなたの家まで送った。
かなたは目を合わさず帰っていった。
俺の態度に怒ってるんか…?
否定したこと…?
隣に座らんかったこと…?
ごまかしたこと…?
正直全然わからんけど…。
そうだとしても…、
周りの目考えるのはしゃーないっしょ。
その日はみんなそれぞれの家に帰った。
次の日。
電話があった。
かなたの母だった。
なんやろ?
話がしたいとのこと。
会うことになった。
喫茶店。
母「お久しぶりです。
すいません突然。」
「いえいえ。」
かなた母はかなたと違って礼儀正しいし(当たり前?笑)、
よくしゃべる。
いろいろ前置きがあり、本題。
母「かなたのことなんですけど…。」
でしょうね。
母「あの…。
最近部活に行ってないみたいなんですよ。
学校の成績もちょっと下がってるみたいで…。」
「はあ。」
母「あの子ね…。
なにかやりながらでも常に他のことを考えてるような感じですけど…。」
確かに。
母「でも1つのことに夢中になったら他のことに全然集中できないんですよ。」
まあいつもテレビを見てるけど、たしかにちゃんとは見てない感じ。
急にかなた母は黙った。
えっ?
ちょと何を言いたいのか…。
長い沈黙だった。
かなた母はやっと切り出した。
母「先生の所にお邪魔したり…
してます?」
「あー、何度か。」
母「部活の日は帰りが遅いけど…。
顧問の先生は全然来てないって。」
かなたはテニス部。
結構強いらしい。
3年生も引退して大事な時期。
当然足は治っていないんでプレイはできないけど。
できるだけ早く実戦に入れるように部活参加を命じられているらしい。
でも足をケガする前からサボりぎみで…。
でも母には行ってると言っていたらしい。
たしかに…。
かなたは俺の家に来てた。
俺には、部活はまだ行かんでいいと言われていると…。
母「勉強も最近身が入っていないらしくて…。」
かなた母は深刻そうに話した。
母「先生と親しくさせてもらってるのは知ってました。
もちろん本人はそんなこと言わんけど…。
先生と会ってるんですよね?
昨日も…。」
バレてた。
俺が家庭教師を突然やめたせいであんな事件になった。
当然俺のことをよく思ってないやろっていうのはあった。
というか、
家庭教師の先生というもの自体、今はいい印象はないはず。
それもあって俺はかなた母との接触は避けていた。
かなた母は下を向いたまま続けた。
母「あの子…。
大事な時期なんです。
失礼は承知なんですけど…。
あの子のために。
出来たら…
もう…
会わないで欲しいんです。」
俺も正直かなた母にはいい印象を持っていなかった。
仕事仕事で。
超放任主義で。
ここにきて何ゆってんねんって。
気が付いたら…。
ムカついてた。
「あの…。
あのさ…。
お母さんは気づいてあげれたんですか?
暴力のこと…。
あんなになるまで…。
ほったらかしで。
あなたに…。
そんなこと言う資格あるんですか…。」
かなたの…。
あの涙を思い出した。
震えてたかなた。
「一緒に住んでてなんで…。
母親やろ?
なんで気づいてあげられへんねん。
あんなことになるまで。
そんな人に…。
今ごろ…。
そんな都合のいいこと言われたくない。」
俺は席を立った。
振り返らず。
俺は店を出た。
会うなとか…。
ちょっと理不尽なこと言われたから…。
その時は興奮してたのかもしれない。
後から考えたらひどいことを言っていた。
何様?って感じ…。
でもその時は…。
キレてたし。
自分は間違ってないと思ってた。

かなたに会えないなんて考えられない。

…と突然。
偶然にもかなたから電話。
いつもメールなんで電話は珍しかった。
かなた「何してる?」
「え、今からバイト。」
かなた「ふーん…。」
かなたは電話でも当然マイペース。
「かなたさ。
昨日のこと…なんか怒ってる?」
ちょっと気になってたんで聞いてみた。
かなた「昨日?
…なに?」
「あっ、いや…。
いいねん。」
かなた「ただの生徒って言ったこと?
中学生のガキは興味ないって言ったこと?」
…。
気にしてるやん…。
てかそこまで言ったっけ?
かなた「先生こそ怒ってる?」
はっ?
かなた「みんなの前で…。」
かなたは言いにくそうに黙った。
みんなの前で俺の名前を言って…
俺を困らせたこと?
はあ…。
怒ってるわけないやん…。
「別に…。
何を怒んねん。」
なんかもう…。
究極にどうでもよかった。
今日は気分が悪かった。
「ごめん。
もう時間ないから。」
電話を切った。
ちょっとイライラしてる自分に嫌気がさしていた。
次の日、祝日。
同窓会があった。
中学のときの。
人生初の同窓会。
乗り気じゃなかったけど…。
前から行く約束をしていたんで。
気分も変えて、
行ってみた。

ほとんど中学生以来会ってない奴。
なつかしい~。
俺にも中学生だった時があったんやー(笑)。
そんなに昔にも感じないけど。
もう今や堂々と酒を飲める年齢。
というわけでいっぱい飲んだ(笑)。

担任「おまえが家庭教師の先生ってー?」
こやつは中3の時の担任。
生徒をみんな下の名前で呼ぶまあまあ若いけどちょっと変な先生。
…俺もか(笑)
担任「はやとが先生って…。
生徒がかわいそうやな(笑)。」
まあそうやけど…(笑)
オメーもやって。
けっこうその先生とは気があってて。
一緒に飲んでしゃべった。
「今も中学校ですか?」
担任「おぅ。
○○中学ってとこ。」
なんと。
かなたのとこだった。
そう。
かなたから担任の名前は聞いてて、
どっかで聞いたことあるなと思ってた。
こいつや。
偶然にも俺の元担任はかなたの今の担任だった。
担任「おー、かなたか。
あいつは生意気やなあ。」
そりゃあね。
担任「あいつ最近やる気ないみたいやけどな。
ちょっと前まで勉強も部活もすげえがんばってたのに。」
やっぱそうなんや…。

担任「でもあそこのお母さんはかなり熱心やったな。」
え?
どゆこと?
「何がですか?」
担任「ちょっと前やけどかなたがいじめられてるんちゃうかって。
相談に来とってな。」
いじめ?
担任「それから注意して見てたけどそんな様子はなかったんやけど。
まあいじめられるような玉じゃないしな。
あいつは。」
たしかに。
ないやろ…。
担任「でもしょっちょうこっそり相談に来とったわ。
ああ。
かなたが入院する前の時期かな。」
学校には暴力のことは漏れていないみたい。
ただ階段から足を滑らせただけだと思っている。
…にしても…
いじめ?
しょっちょう相談に?
…。
ピーンときた。
そう。
かなた母は知ってたんや!
かなたのアザのこと。
誰かに傷つけられていること。
それを学校でのいじめやと思って…。
担任「でもあのお母さんは立派やで。
朝から夜中まで働いて。
ほったらかしにしてるようやけど、ほんまに影で子供のことを考えてて…。」
かなた母は看護婦。
日勤も夜勤もあってかなり不定期。
父親はかなたが小さい頃に別れている。
母親一人で2人の子供を育てている。
担任「話してて子供をしっかり見てるっていうのが伝わってきたな。
最近の母親にしては珍しいで。」
確かに俺と会ってることも気付いてた。
酔いが覚めて…。
呆然となった。
俺はあんなひどいことを…。

次の日。
どうしても話したくて電話してみた。
「この前は…、
本当にすいません。」
母「いえいえ。
本当のことなんで。」
「かなたの傷のこと…
知ってたんですか?」
母「えっ。」
かなた母は一瞬黙った。
母「学校でいじめられてるんじゃないかと思いました。
まさか…、
家庭教師の先生に…。」
やっぱり。
「なんで本人に言わなかったんですか?
問い詰めたら本当のことわかってたのに…。」
母「いじめられてると思ったんで…
かなたはプライド高いし、繊細やし。
詮索したら傷つけるんじゃないかと思って…。
それで真相がわかってからと思って。
でも…。
遅かったんですね。
めちゃくちゃ悩んだんですが…。
母親失格ですね。」
「そんなことない…」
俺はそれ以上言葉が出てこなかった。
母「学校でいじめられても…
いやになっても…
勉強は遅れたらあかんと思って。
家庭教師は絶対続けさせようと思いました。
あの子には…
頑張ってほしくて。
私みたいに苦労してほしくないから。
でも、
全部裏目でしたね。
バカみたい…。」
かなた母の声がか細くなった。
かなたと一緒で。
不器用なだけやん…。
この人は誰よりもかなたのことを想っていた。
表には出さないけど。
しっかりかなたのことを考えてた。
そんな人に…。
俺は…。
なんも知らんくせに…。
最低すぎる。
俺やん。
全く気づかんかったんは。
暴力のこと。
えらそうに、
人に言っといて。
俺は…。
なんなんやろ。
俺はかなたに何かしてあげた?
…。
いやらしいことしただけやん…。
それで母親にはひどいこと言って…。
申し訳なくて。
情けなくて。
何も言葉が出てこなかった。

電話を切った。
動けなかった。
最近かなたと一緒にいた時間は長かった。
やっぱり俺のせい?
部活も勉強もやる気出てない…。
もう会わないで欲しい…。
いろんな言葉が頭をよぎった。

ピンポーン
かなたが来た。
学校帰りだった。
いつものかなただった。
俺は頭の中が整理できていなかった。
どうしていいかわからなかった。
とりあえずいつも通りに…。
「最近ちゃんと勉強してるか?」
かなた「まあ。」
「てか今日部活は?」
かなた「ダルい。」
「てかちゃんと部活行けよ。
あとテストの点数も落ちてんやろ。」
かなた「先生には関係ない。」
多少ムカついた。
でもかなたは悪くない。
「関係ないんやったら来んなやっ!」
かなたは悪くないのはわかってる。
気が付いたら…
大きい声で叫んでた。
少し沈黙があった。
かなた「わかった。」
かなたは立った。
かなた「帰る。」
ドアが閉まった。
かなたは帰った。

数分後。
かなたからメールが来た。
(ごめん)
俺は…
自分が情けなくて仕方なかった。
ゼミ終わり。
いつもは教室に残ってみんなうだうだしゃべってる。
俺はすぐに席をたつ。
「おつかっ。」
みらいが着いてきた。
みらい「はやと。」
「なに?」
みらい「元気ない。」
「そう?」
あんまりそういうの悟られるの好きじゃない。
みらい「かなたのこと?」
「はっ?」
…なにこいつ?
「意味わからん。」
構内のベンチに座る。
「なに?
そんなかわいいかなた君のことが気になってんの?(笑)
今度会わしたるよ。
あ、アドレス教えたろか?」
あれ?
みらいは無言で無表情だった。
笑顔じゃないみらいは珍しい。
みらい「あたしそうゆうのわかんねん…。
誰が誰を気になってるとか。」
いつもとちがうみらい。
みらい「旅行の時、
はやとはずっとかなたのこと気にかけてた。
かなたはずっとはやとのこと気にしてた。」
「そりゃ保護者兼やからね。
てかかなたも俺しか知ってる人おらんし。」
みらいはじっと俺を見てた。
たしかにこいつはいつも勘が鋭い。
「てか帰りの車のこと言ってる?
あれはかなた風の冗談で…。」
みらい「もういいって。
…わかるんやって。」
こいつ何者?
なんか。
全世界のことをすべてわかってるような自信。
もういっか。
みらい「好き…
なんやろ?」
俺はみらいの目を見た。
「キモくないん?」
みらい「ハハ、キモいよ。」
はじめてみらいが笑った。
でもすぐに真剣な顔に戻る。
みらい「はやと、かなたのことでめちゃめちゃ悩んでる。」

俺は全部話した。
今までのかなたとのこと全部。
(エロい部分以外笑)
すべて…
他人に話すのは初めてだった。
みらいはじっと真剣に聞いてくれた。

みらい「でっ?」
「でって。
だから…。
もういいねん。
もういろいろ考えたくない。
ホントにかなたのことが好きかどうかも…。
自信なくなってきた。」
みらい「はあ?」
「俺は何もしてあげれてないし。
それどころかかなたにとってマイナスでしかない。
俺がかなたを好きになる資格ないやろ…。」
みらい「はあっ…。」
みらいはため息をついた。
もう6時を回り構内は静まり返っていた。
みらい「なにそれ?
うじうじうじうじ…。
それがキモいんやって。
どっちが不器用なん!
好きなんやろ。
かなたのこと。」
「うっさいなあ。
そんな簡単な問題ちゃうねんって!
てかおまえに何がわかんねん。」
みらい「だからわかるんやって!
もう勝手に一生うじうじしてれば!」
大きな声が響き渡る。
「てかなんでおまえがキレてんねん!
関係ないやろ!」
みらい「関係ないよ。」みらいは立ち上がって帰っていった。
ワケわからん…。
なんやねんこいつ…。

携帯を見るとらいきからメールが来てた。
(一緒にメシ食お!)
はあ。
腹なんか減ってないって…。
(大学の前で待ってるから!)
久しぶりにらいきに会った。
店に入っていきなり酒だけ頼んだ。
「あんま腹減ってないねん。」
らいきは俺を見つめる。
らいき「はやと~。
また嫌なことあったんか~。」
ちょっとムッとする。
らいき「よしよし。
てか大丈夫。
言いたくないんやろ。
何にも聞かへんよ。
嫌なことなんか忘れちゃえ!」
らいきは俺の扱いをよく知っている。
俺は飲みまくった。

らいき「もう飲みすぎやって。」
ふらふらの俺をらいきは家まで送ってくれた。
部屋に入る。
らいき「大丈夫か?」
意識がもうろうとしていた。
らいき「はやとさ。
そんながんばらんでいいって。」
「えっ?」
らいき「なにかは知らんけどさ。
考え込み過ぎなんやって。
もっと気楽にさ。
なっ。」
俺はらいきには一切何も話していない。
らいきはそれでもなぐさめてくれる。
癒してくれる。
らいきの優しさに癒された。
らいきの顔が…
ふと…
一瞬…
かなたに見えた。
俺は思わずらいきの両腕をつかんだ。
すぐ我に返った。
「ごめんっ。」
らいきは全く嫌がらず、ニコッと笑った。
俺はらいきを抱きしめた。
らいきのあたたかさで震えが止まらなかった。
酒の勢いもあった。
俺は止まらなかった。
らいきにキスをした。
らいきは俺のひざに手をやった。
俺はらいきのシャツをまくった。

ピンポーン
インターホン。
ピンポーン
また鳴った。
俺はらいきから離れ。
立ち上がった。
玄関をのぞくと。
かなたがいた。
時間はもう9時過ぎ。
ジャージ姿。
少し寒そうにしていた。
レンズ越しに見えるかなた。
ふだんはあまり見せない正面の顔。
酔いが覚めた。
目が潤んできた。
何をやってんねん。
俺…。
ピンポーン
最低すぎる。
もうどん底だった。
動けなかった。

かなたはあきらめて帰った。
らいき「…よかったん?」
必死で涙を抑えた。
「らいきごめん…。」
らいき「えっ?」
「ほんまごめん。
送ってくれて
ありがとう。
また今度…
飲みに行こ。」
らいき「いいよ!
うん。」
らいきは立ち上がった。
らいき「じゃあな!
元気出せよー。」
らいきは帰った。
俺は…。
1人…。
静かにベットに入った。

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次の日。
俺はずっと家から出なかった。
大学もあったけど…。
行きたくない。
ただボーッとしてた。
かなたに
もう会わん方がいいんかな。

かなたの母は…
かなたをすごく心配してる。
大事に思ってる。
かなたのために。
いろいろ考えてがんばってる。
らいきは…
俺に何も聞かずに
ただやさしく接してくれた。
そんならいきを酔ってたとはいえ俺は。
ホンマに最低…。
やっぱり
ますます資格ないよな。
俺。
みらいは…?
あいつは何なんやろ。
人のことであんなに熱くなって。
めっちゃいいやつなのは昔からわかってる。

夕方。
ピンポーン
ドキッとした。
かなただった。
ドアを開けると
いつものように何も言わずに上がってきた。
かなたはテレビをつける。
いつものところにちょこっと座る。
俺は何を言っていいかわからない。
嫌な空気。
緊張した。
かなた「ニュースばっか。」
リモコンをいじってた。
かなた「おもろいのない…。」
「そうやな。」
かなた「ごめん。」
「えっ?」
かなた「この前ごめん。」
俺に関係ないって言ったこと?
そんなこと…?
自分の情けなさが身にしみる。
「てか…。
俺が悪いんやし。
…ごめん。」
かなたはおもんないテレビ画面から目を離さない。
「かなた俺さ…。
かなたのこと好きやけど。
でも…。
でもな…。」

ピンポーン
えっ?
誰か来た。
誰やねん。

みらい。
みらい「うわー!
かなたや~!
久しぶり~!
やっぱいつ見てもかわいい~。」
…こいつは…。
「どしたん。」
みらい「ちょっと言いたいことあって。」
変な空気…。
言いたいこと…。
みらい「うじうじは治った?」
みらいは笑顔で言う。
こいつ…。
うっとおしい。
俺は何も答えない。
かなたはテレビ。
報道特集
『相撲部屋の実態』
みらい「はやとさ。
この子に会わん方がよかったって思ったこと。
ある?」
何を言ってんねん。
こいつ…。
みらい「最初から会わん方がよかったって。」
最初から会わん方が?
そんなの考えたことない…。
みらい「ないやろな。」
なにそれ?
みらい「めちゃくちゃ苦しんで…
めちゃくちゃ悩んで…
それが例え悲劇的な別れになってもさ。
こんなことなら会わなければよかったって…。
こんな苦しいんやったら相手の存在すら知らなければよかったって…。」
そんなこと思わない。
みらい「思わんやろ?」
かなたは一切こっちを見ない。
みらい「じゃあいいやん。」
みらいはじっと俺の目を見てしゃべった。
みらい「どんなつらいことがあってもさ。
相手と出会ってないことを考えたら。
ましやろ?」
俺もみらいを見た。
みらい「いいやん。
一緒におる理由なんか。
それで。」
みらいは目が潤んでた。
かなたの顔は見えない。
みらい「この子と会わん方がよかったって。
思ったことあるん?」
「ない。
ないよ…。
一回も。」
しばらく
静まり返った。
みらい「じゃあさ。
もっと正直に…。」
みらいは俺から目をそらした。
みらい「言いたいことそれだけやから。」
「えっ?」
みらいは泣いていた。
みらい「うじうじしてんの見て…
ムカついてさ。
だから言いに来ただけ。」
「みらい…?」
みらい「言うたやろあたし。
誰が誰を気になってるかわかるって…。」
みらいは玄関でもう外の方を向いていた。
みらい「全然気になってないって人もわかんねん。
昔から。」
みらい…。
みらいは帰っていった。
再びかなたと二人っきりなった。

みらいは出ていった。
かなたと二人。
俺がしゃべろうとしたら
「かなた…」
かなたがしゃべった。
かなた「俺…。
昨日もここに来た。」
「うん。」
かなた「らいきとおったん?」
「えっ?」
かなた「帰り道で見た。」
そうか。
かなた「家の電気ついてた。」
長い沈黙。
みらいの言葉が頭をよぎる。
みらいは俺のことを好きだったのかもしれない。
そんなみらいが涙を流しながら。
俺のために…。
俺とかなたのために…。
勇気づけてくれた。
俺はかなたを失いたくない。
みらいの言葉があったから今ははっきりそう思える。
好きになるのに資格なんていらない。
自分に正直に…。
でも。
昨日の過ち。
かなたが来ていなかったら。
らいきと一線を越えていたかもしれない。
かなたにそれを隠したままでは。
ホントに俺は最低ヤローでしかない。

昨日のこと。
洗いざらい全部話した。

かなた「へぇ。」
「ホンマにごめん。」
かなたの顔は当然向こうを向いたまま。
かなた「…いいし。
別に気にしてない。」
気にしてない…。
一番つらい言葉。
あきれてるってこと?
もう俺への気持ちがないってこと?
「もう…
俺のこと気にしてない?」
かなたはチャンネルを変えた。
また長い時間が流れた。
かなた「らいきはいい奴やから。」
おまえはそんなに知らんやろ…。
かなた「素直やし…。
やさしいし…。」
前にも同じようなこと言ってたような…。
また始まったんかな?
らいきへの嫉妬。
「かなた。
俺は別にらいきのこと…」
かなた「でも」
たった2語で俺を止めた。
時間を止めてしまうくらいその言葉に力があった。
かなた「俺…。
俺な。
足もう大丈夫やから。
昨日部活行った。
…遅れてるから
残っていっぱい練習した。」
昨日の玄関のレンズ越しのかなたは。
学校のジャージ姿だった。
あんな遅くまで…。
練習を。
かなた「昨日はそれだけ伝えようと思って来た。」
涙が出てきた。
かなた「勉強もがんばる。
ちょっとがんばったら余裕やし…。」
かなたは。
俺が思ってるよりもずっと。
大人になっていた。
ちゃんと考えていた。
かなた「先生に関係なくない。」
かなたの声が少しこもった。
かなた「先生に…
関係なくない。」
昔のかなたとは違った。
かなた「俺…。
素直になれるように。
がんばる。
らいきみたいに…。
素直に。
がんばるから…。」
かなた…。
かなた「俺じゃ…
…あかん?」
かなたの目から涙がぽろっとこぼれた。
俺の顔は涙でグシャグシャになっていた。
純粋で。
キレイな。
かなたの気持ち。
俺は結局じぶんのことしか考えていなかった。
かなたの気持ちを考えたか…?。
俺は最低やって…
1人で。
ずっとずっと悩んで。
かなたのためとか言っといて
結局かなたのことを全然ちゃんと考えられてなかった。
「俺のこと。
許せるん?」
かなた「許されへん。
…好きやから…。」
俺は…。
しっかり反省して。
意地でもかなたを離さないでおこうと思った。
「素直になる…?
かなたには無理やろ。
どんながんばっても。」
かなたはこっちを向いた。
「素直なかなたなんかかなたちゃうし。
前も言ったやろ。
俺は素直じゃなくて生意気なかなたが好きやから。
だからがんばらんでいいって。
素直になんかならんくて…。
今までもずっと…
めちゃめちゃ好きやったんやから…。」
かなたは。
涙を流しながら。
笑顔になった。
俺はその笑顔で。
緊張が一気に解けた。
まだ全て解決したわけじゃない。
でも今まで悩んでたものがどっと体から去っていくような感じがして。
疲労だけがずんと残って。
体が砕けた。
俺はなぜか涙が止まらなかった。
その場で座り込んだまま。
下を向いて。
溢れてくる涙を必死でぬぐった。
かなたが近づいて来た。
かなたは俺の頭を撫でた。
こいつ…。
小さい手で俺の頭を撫でた。
俺はガキみたいに泣いた。
かなた「俺先生のこと嫌い。」
えっ?
かなた「大嫌い。」
かなたは俺の頭を撫でながら言った。
かなた「先生に会いたくない。」
俺は顔を上げてかなたを見た。
かなた「一緒にいたくない。」
俺の頭を撫でるかなたは笑顔だった。
かなた「ずっと一緒にいたくない。」
素直じゃないかなた?
かなた「ずっとずーっと。」
俺が好きやっていった
素直じゃないかなた。
涙がさらに溢れてきた。
俺はかなたの胸に頭をうずめた。
かなたの胸で泣いた。
かなたの小さい体は
やさしく包んでくれた。
この中学生のガキに…。
俺はかなたを守るとかえらそうなこと言ったけど。
今はしっかり
守られて
支えられてた。

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かなたは立ち上がった。
俺はもう涙が引いてタオルでしっかり顔をふく。
かなたは俺の手を握って引っ張った。
「えっ?」
なにも言わず引っ張る。
俺は立ち上がった。
一緒に部屋を出る。
「どこ行くん?」
かなたは何も答えない。
手を握ったまま。
歩いた。
俺は部屋着のまま。
人通りもまばらにあった。
手をずっと握ってた。
全く気にならなかった。
10分くらい歩いた。
全く知らない道だった。
さびれた展望台(跡らしきところ)があった。
こんなとこあったんや。
きれいな夜景が見渡せた。
「めっちゃきれいやな。」


黄色
オレンジ
都会の光。
人が作った無数の星。

俺はつぶれかけのイスに座った。
遠くの光は見えるけど
かなたの顔は暗くてよく見えない。
と…
かなたは俺が座っている両足の間にちょこんと座った。
いまだにドキドキする。
かなたは久々に口を開いた。
かなた「星あんま見えへん。」
「星好きなん?」
かなた「うん。」
「こんな街中やったらきれいに見えへんやろ。」
かなた「うっとし。」
「てかよく来るんじゃないん?
ここ。」
かなた「2回目。」
少し寒かった。
かなたは少し俺にもたれて斜め上を見上げた。
かなた「あれがアンドロメダ。」
かなたの声の響きが体から伝わった。
かなた「あれがオリオンで。
カシオペア座。」
遠い遠い星空。
微かに輝く星。
かなた「あれが山羊座…」
「おとめ座は?」
かなた「今は見えへんし…。」
「そうなんや。
かなたのは?」
かなた「俺のしし座も今は見えへん。
何も知らんし。」
かなたの髪が時々顔に当たってくすぐったい。
かなた「であっちのが…。」
かなたの声を体で聞いてた。
気付くと。
かなたは黙ってた。
横から見るとかなたは目をつぶってた。
かわいかった。
薄暗い中で。
白い肌がよりきれいに見えた。
かなたにキスをした。
かなたは少しこっちを向き直し。
くっつけたくちびるを微かに開けた。
かなたは静かに舌を動かした。
繊細でやわらかいかなた。
少し肩が震えていた。
「寒い?」
かなた「ん?ちょと…」
かなたの細い体を抱きしめた。
「かなた」
かなた「ん?」
「ごめんな。」
かなた「ゆるさんし。」
かなたは俺を強く抱き締め返した。
あったかい。
抱きしめたまま
俺は手をかなたの服の中に入れた。
かなたは一瞬ビクッとした。
「ごめん
つめたい?」
かなたは首を横に振った。
服の中で背中をさすった。
かなた「あったかぃよ。」
俺の腕の中にいるかなたは。
やっと聞こえるくらいの声でそう言った。
少し体を離して手をお腹に持っていく。
お腹をさする。
かなた「くすぐったぃ…。」
かなたのほおが少し赤くなっているように見えた。
かなたの胸をさする。
わずかに指が乳首に当たる。
かなたは俺の肩に顔をうずめた。
かなた「んっ」
わずかに息がもれる。
かなたは顔を上げる。
かなたは俺の手を握って…
俺にキスをした。

かなた「あとは…
許してから。」

一緒に帰った。
もう9時ごろかな。
かなたの家まで送っていった。
別れ際。
かなたは笑顔だった。
それがなによりもうれしかった。

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次の日。
俺はかなた家に向かった。
かなた母に。
まだちゃんと謝れていない。
粗品を持って(笑)。
そして…。
かなたのこと。
かなたに会うことを認めてもらえるように。
しっかりお願いする。

家には母1人だった。
母「あっ、ちょうどよかった。
私も先生にお話があって…。」
話?
嫌な予感。
母「またよろしくお願いしますね。
家庭教師。」
はっ?
母「無償で。」
いやいや…。
このオバハンは何を?
母「かなたは先生を慕ってます。
それくらい私にもわかります。
あの子は先生がいないとだめです。
昨日の。
かなたの。
久しぶりに見た明るい表情でわかりました。」
かなた母も明るい表情だった。
かなた「また会ってあげてください。
よろしくお願いします。」

改めてちゃんと謝ってから。
家を出た。
なんか。
うまくいきすぎじゃね?
あと。
らいき。
今度飲みに行く約束をしたから。
その時もう一回。
ちゃんと謝ろ…。
と、俺んちの前。
見たことある奴が2人。
かなたとみらい。
みらい「もう~。
遅い~。」
いや。
遅いって。
かなた「勉強しに来た。」
重そうなカバンを持っている。
俺はみらいを見た。
みらい「あたしはー。
そこでかなたとたまたま会ってさ。
着いてきた!
かなたと一緒にいたいし!」
はあ。
部屋に入った。
みらい「でも幸せやな。
はやとも。
こうやってかわいい2人が家に来てくれて。」
おまえも入れるんかよ(笑)。
「かわいいお2人さんの世話係ね。」
かなた「昨日泣いてたくせに…。」
かなたはボソッと言う。
みらい「えー?
マジでー?
なにそれー!」
「もいらんこと言うなって。」
かなた「俺はまだ許してないから。」
あっ…。
「ちょっ。」
みらい「なになにー?
こいつなんかやったん?」
かなた「この部屋で、らいき…ぐぁっ」
俺はあわててかなたの口をふさいだ。
「ちょ、なに言ってん!
アホか!」
かなたは俺をにらんだ。
「ごめん…。」
今は逆らえない。
みらい「なにー?
教えてよー。」
「みらいはいいねんって。」
かなたは俺に口をふさがれながら笑顔を見せた。
みらい「ちょっと気になるー!」
「さっ、勉強勉強。」

かなたは勉強を始める。
みらいはテレビをつけた。
俺はみんなにジュースを入れる。
「てかみらいはヒマなん?
帰らんでいいんか?」
みらい「じゃま?」
かなた「でも二人になったらはやとエロいことしようとする。」
「あー!
もうだからそういうことを…。」
みらい「えー!
もうありえへんー。
サイテー!」
「なんもしてないでホンマ。」
しました(笑)。
かなたはうっすらと笑う。
みらい「あたしもかなたにいやらしいことしたいしー(笑)。」
この女は…。
ホンマ…。
「かなたは俺のもんやから。」
みらい「うわー!
きしょいってー。」
かなた「あーもう。
うっさい。
勉強できひん。」

みらいはいつものようにニコニコしてた。
みらいがいなかったら俺はどうなってたか…。
みらいのおかげで正直になれた。
かなたは。
いつも通りやけど。
少しだけ笑顔が多くなったのと。
少しだけ大人になった。
またこの先。
何があるかわからないけど。
今は。
めっちゃ幸せだった。
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