- 2014⁄01⁄12(Sun)
- 00:41
弓倉が高志に手をつけちゃうまでの話
高志のという名の少年。
自分が勤める学校の生徒。
その少年と付き合い初めて数ヶ月。
高志本人を傍らに置き、
「まずいな・・・」
弓倉は呟いた。
「なにがです?先生」
それを聞き、高志は目をぱちぱちとさせて訊ねる。
「禁煙に成功してしまった」
答える、弓倉。
「良かったじゃないですか。どうして、それがまずいんです?」
「言っておいただろう。
この禁煙に失敗したら君との関係は、なかったことにすると」
「ええ。
だから禁煙に成功したってことは、僕は先生と一緒にいられるってことですよね」
高志は本当に嬉しそうにして、弓倉を見上げた。
今更ながら小柄な少年である。
弓倉が見下ろすと、
高志の目の中に自分の顔が映り、それがくりくり揺れる。
高志としては自然に顔を上げて弓倉の視線にあわせているだけなのだろうが、
見下ろす方としてみれば、
何かこう、
つねに甘えられているような、求められているような、うずうずとした気分になる。
否・・・。
そう思うのは自分だけかもしれない。
高志の顔から目を反らし、考えた。
「少年」
「少年じゃなくて、高志ですっ」
「うむ、少年・・・」
「だからっ」
「少し、横を向いていろ。私と目をあわすな」
ぐいっ。
弓倉は高志の頭を片手でつかみ、横を向かせて息をついた。
「わっ、先生、何するんです?」
「女の事情だ、しばらくそうしていろ」
文句を言う高志にそう告げ、
・・・まずいな、
弓倉は今度は口に出さないように胸の中で呟いた。
弓倉は健康な女性である。
昔から自分にややショタ気があることを自覚していたが、それを押さえて生活するだけの理性もあった。
だいたい、
世間を騒がす不埒者のように通りかかる見知らぬ少年をかどわかして、
どうこうしようなどと思ったこともない。
弓倉基準でどんなに真ん中に入ってきても、
それだけで次の感情へ繋がることはないからだ。
が・・・・、
この数ヶ月、短い付き合いの中で、高志という少年がその壁を一足で超えて来ている。
禁煙というハードルを使ってその壁を厚くしてみたが、
それもこうして突破してしまった。
「むううぅ」
つまり、
非常にまずいことだが、
弓倉自身が封じていたショタ属性に加えて、恋愛対象として少年を認め始めている。
そして、
そうなれば弓倉の健康な身体は、恋人としての関係を少年に求め・・・。
「あの〜、先生、僕はいつまでこうしていればいいんですか?」
「愚問、私がいいと言うまでだ」
「じゃあ、いいって言ってください。僕、こんなふうにしててもつまらないです」
「そうか、それは不幸だな」
弓倉は言って、横を向いた高志の頬をつまんだ。
ふにふにと、自分にだけ分かる淫やらしさで弄る。
「うう、先生、僕の頬で遊ばないでください」
「君が悪いのだ、しばらく勤めを果たせ」
「もう、分からないですけど、先生がしたいなら好きなだけしてください」
高志は無防備に弓倉に横顔を預け、
弓倉はとりあえず指先だけで、自分の欲求を満たしていった。
晩。
アパートで気に入りの番組を見ている弓倉のもとに、電話がかかってくる。
携帯ではなく、部屋の据え置きの方だった。
「はい、弓倉です」
「あ、湊ちゃん、聞いて聞いてっ」
受話器をとるなり明るい声が響いてきた。
弓倉咲木。
弓倉の妹である。
弓倉はテレビを見ながら、本当に迷惑そうに答えた。
「何のようだ?
言っておくが私は今忙しい、くだらん話ならそう言え。すぐに切る」
「なによう、忙しいなんて言って、
どうせいつものつまんない旅行番組を見てるんでしょう?
前から言っているけど、湊ちゃん、テレビ番組を選ぶセンス悪過ぎだよ」
交される姉妹の会話。
「そうか、くだらん忠告をわざわざすまないな。
用件はそれなら話は終わりだ、じゃあな」
弓倉はそこまで言って、
コードレスになっている受話器をテーブルの上に置いた。
「あーっ、待って、待って、ごめんなさい。
他に大事な話しがあるから切っちゃだめーっ」
受話器の発信口から妹の叫ぶ声が流れる。
弓倉はそれ放置してテレビに近づき、テレビ台の前に屈んで戸を開けた。
「みーなーとちゃーん。
お姉ちゃん、お姉ちゃんてば、聞いてるっ?」
何やら必死になっている妹を遠くに、
弓倉はテレビ台の中にしまってあったビデオテープをとり、
それが上書き可のものであるか念入りに確かめてからデッキに入れた。
さらにデッキに表示されている指定のチャンネルを注意深く確認し、
録画のボタンを押して受話器のもとへ戻ってきた。
「うむ、まだそこにいるか?いない方が私としては楽でいいぞ」
「いますっ」
「いたか・・・」
「もう、で、私の話を聞いてくれるんでしょ?」
咲木のやや怒った声。
弓倉はきにせず、ビデオがちゃんと動いているかどうか遠目に確かめつつ答えた。
「ああ、仕方ないから聞いてやる。大事な話とやらをしてみろ」
「うん、あ、あのね・・・」
と、急に咲木の声がしおらしくなる。
電話の向こうでもじもじとしてる様子が伝わり、そこで途切れる。
弓倉はやれやれとビデオから目を離して、ベッドの傍らに移動した。
ベットに背をつけて床に座り、妹が話し出すのを黙って待つ。
「あの私ね、」
話し出す、咲木。
「男の子に告白されちゃったんだけど・・・・・どうしよう?」
「相手の歳は?」
弓倉は最初に訊いた。
避けようもなく高志のことがイメージされる。
「私と同じ、それで私と同じ教室」
咲木の答えに弓倉は片手で髪をかきあげた。
そして、心よりの率直な意見を口にする。
「なら問題ない、好きにしろ」
「えーっ、それだけ?」
「未成年とはいえ、大学生だろう。これ以上、何の口だしを求める?
だいたいこういうのお前、何度目だ?」
「でも、こういう時はいつも湊ちゃんに相談してたし・・・、
もうデートにも誘われてて・・・、湊ちゃん、何か良いこと言ってよ」
「あー、ちょっと待て」
弓倉は考える。
ちらちらと頭の中で踊る高志の姿を追いながら。
その、
踊る高志を頭の隅に隔離しておいて、咲木に言う。
「つまりその男は、お前から見て可もなく不可もなく、
とくに交際を断る理由もないが、積極的に恋人関係になろうとする気もおきない。
そういう判断に迷う普通の男なのだな?」
その男が聞いたらさぞかし傷つくだろうという、
弓倉のばっさりした推理と口調。
咲木はそれを聞いて、ぼそぼそと肯定した。
「そういう言い方をするとその子が可哀想だけど・・・・、そう」
「そうか」
弓倉は事実を確認して天井を見た。
いつでも耳から受話器を離せるように水平に腕を構えて結論を言う。
「なら、断れ。それで終わりだ」
「えーーーっ!!」
受話器から響く、大きな叫び。
腕を伸ばし、あさっての方向に受話器を向けて鼓膜を守る弓倉。
叫びが収まるのを見計らって、受話器を戻す。
「湊ちゃん、なんでそうなるのっ!?ちゃんと考えてよっ!」
まだ勢いが残っていた大声で咲木が弓倉に迫る。
弓倉は咲木に落ち付いて答えた。
「過去の実績から考えてだ、と言えば分かるか?」
「ううっ」
弓倉の答えに、咲木がつまった。
咲木は弓倉家の中の末っ子。
邪気のない明るいお調子もので、意識と無意識の両方で人にじゃれつく。
容姿が血筋の中でもかなり整っているせいもあり、
そんな咲木の態度に、たびたびこうして男達が惑わされる。
咲木は、そのつど一番のじゃれつき相手である弓倉に泣きついてくるというわけだ。
「で、でも、いきなりそんなふうに断ったら可哀想だよ。
それに付き合ってみたら、本当に好きになるかも」
と、咲木が答える時点で弓倉は、
咲木はその男に好意なし、
試しに付き合ってみてもままごと程度で終わるだろうと予想する。
予想しておいて、
「そうだな、誘われたデートぐらいには応えてやれ。
お前、ひとに奢らせるの好きだろう」
と答えた。
本人がどれだけ自覚しているかはわからないが、
咲木が女として持っている壁はかなり高い。
高望みとかいう種のものではなく、
自分とぴったり合う相手でなければ異性として興味がもてない、本能だろう。
弓倉の知るかぎり、ままごとを超えて咲木と付き合えた男はいない。
「うん、そうだね、そうするよ。
でも、デートでの支払いはちゃんと割り勘にするからね」
電話の向こうでは、咲木がありきたりの結論におちついて満足している。
この妹に男として受け入れられるには、
本能のツボを押す何かを持つか、
あるいはそれらを全て壊せてしまうほどの何かを持つか、どちらかが必要だ。
「まあ、お前の性格からして必要な安全弁だからな、どうにかしろと言うわけにもいかん」
弓倉は呟く。
弓倉の頭の中で高志が立ち上がり、
自分を指差して僕は?僕は?と訊いている。
・・・これは分類するとツボの方だな。
弓倉は思考をさらに分け、その高志をえいっ、えいっと頭の縁のさらに縁へ追いやる。
「湊ちゃん、何か言った?」
「言ったが、聞こえてないならいい」
「うう〜、きになるよ。私のことなんでしょう?」
「うむ、お前のことだが役には立たん情報だ流せ、私も二度言うつもりはない」
「ああっ、湊ちゃんはどうしていつもそうかな?」
そして、続いていく会話。
弓倉は咲木の相談にひとつひとつ答え、
自分の問題はどうするかと、
頭の中でどうしても消えない高志を諦めてじゃれまわしていた。
少年、お前は私とどういう付き合いを望む?
理科準備室。
部屋の隅で屈み、資料の整理をしていた弓倉。
廊下の方からパタパタと軽い足音が聞こえてくる。
本当に軽い、覚えやすい特徴のある足音。
それがドアの前でとまり、コンコンと2回のノックがそれに続いた。
「先生」
確かめるまでもなく、高志の声。
「開いてる、入れ」
弓倉は部屋の隅で屈んだまま、返事をした。
「はーい」
静かにドアを開け、入ってくる高志。
一歩室内に入ってきて、
いつもの定位置である椅子に弓倉がいないのを見て、慌てたように首をふる。
「あれ、先生どこです?」
ふるふると振られる小さな頭。
この狭い部屋の中で懸命に弓倉の姿を求める。
「こっちだ少年」
時間にして数秒、
弓倉はそんな高志を物陰から見つめた後、声をかけてやった。
「あっ、先生♪」
目が合った瞬間、
それまで不安に包まれていた高志の顔が、一気にほころぶ。
「そんなところで何をやってるんです?」
嬉れしそうに、
さらにパタタタと軽くなった足音を立てて、近づいてくる。
「資料の整理だ」
「資料?」
「これだ」
弓倉は立ち上がり、高志の背を追い越すと、
手にしていた2冊の本を高志の両手に上から渡した。
「わっ」
どちらも百事典サイズの本。
手にしたとたん高志の腕が沈む。
「重いっ」
踏ん張る高志。
んーっと、力をこめて腕を上げ、本を持ちなおした。
「先生っ、これ重いですっ」
「それなりに値の張る本だからな、重くないとありがたみがない」
「前にも理科年表で同じこと言ってましたよ、先生」
高志はなんとか本の重みと身体のバランスをとり、本を抱えて弓倉を見上げた。
「そうだったか?」
「覚えてないんですか?」
高志は不満顔になった。
高志と弓倉がこうなるのに一役かったアイテムである。
弓倉は意地悪く笑って見せる。
「いや、覚えている。今の君のような顔を見るたびに思い出すだろうな」
「それって、どんな顔です?」
弓倉の笑みに、続く高志の不機嫌顔。
「そうやって、懸命に重い荷物を運びながら拗ねている顔だ。
ほら、鏡で見てみるか?少年」
「いいですっ」
「そうか、無理にとは言わん」
ぷくっと怒る高志の肩に弓倉は手を置いて、一緒にいつもの机と椅子に向かう。
「それから、少年じゃなくて高志ですよ」
「うむ」
「あー、先生、全然聞いてないですねっ」
「で、これは何の本です?」
「読めば分かるだろう、こっちに来い」
机の上に本を置き、高志と弓倉は並んで座った。
上下、高さにいくぶんの差がある肩をよせられる。
弓倉が見下ろすもとで、高志の手がのび一冊目の本を開いた。
「わっ」
と、いきなり驚く高志。
適当に開いた本のページには、人体の詳細な解剖図が載っていた。
あくまで絵であり、写真ではない。
それでも準備室にねむる専門書だけあって、
高志が本屋で見るような図鑑の漫画図とは比較にならない精密さであった。
「せんせ〜い」
よほどびっくりしたのか、高志は泣きそうな顔で弓倉を見上げてきた。
「なんだ、ただの図だろう」
「でも、知ってたら教えてくださいよ。
急にこんなの見たらびっくりするじゃないですか」
「そうか」
「そうです」
高志は口を尖らせた。
そして、本に目を戻す。
どうやら、本の内容自体には興味が出たらしい。
目、鼻、耳、そして各臓器。
ページをめくるごとに出て来るそれぞれの図を見つめ、図の下の説明を読んでいく。
「それで先生、この本はどうするんです?」
「備品の番号だけチェックしたら、もとに戻す」
「それだけですか?」
「それだけだ」
「なんか、もったいないですね」
「ほお、この本の価値が分かってきたようだな」
「いや、そういうわけじゃないですけど・・」
会話を交しつつ、
弓倉もまた数年ぶりに眺める本を目で追っていた。
それで思い出す。
たしかこの先は・・・。
「わっ」
そして、再び声をあげる高志。
そうだったな・・。
弓倉は胸の中でつぶやき、本から慌てて目をそらす高志の仕草を見つめていた。
開かれた本、
そこには男と女、それぞれの性器の形状が正確に模写されていた。
弓倉は囁く。
「どうした、見ないのか?」
「どうした、見ないのか?」
言っておいて、
弓倉は横を向く高志の前から本を取り上げた。
本は開いたままで、高志からは見えないように中身を自分の方にだけ向けて持つ。
弓倉にとってはなんということのない人体図だが、
自分が付き合う少年の目には禁止図書に描かれた毒だ。
・・・失敗したな。
弓倉は自分の失念を反省しつつ、まだ目を反らし続けている高志を見下ろした。
少年のなんとも気まずい顔に、帯びた熱。
頬に赤みがさし、
どこを見ていいのか困っている目があちこちふるふるとさまよっている。
弓倉は手もとの本をもう一度見た。
これを今の高志に見せつけたい。
そう望む自分をいやでも自覚し、自身にいいきかせる。
・・・失敗するなよ。
弓倉は、たがを何重にもかけ高志を呼んだ。
「ほら、もう大丈夫だからこちらを向け」
「先生〜ぇ」
振り返る高志。
それはもう、困りきった小動物の顔。
まずいっ。
弓倉の自衛ランプが点灯した。
とにかく、高志に完全に目を合わされ理性に負荷がかけられる前、
弓倉は本の背でそのやばい顔を押さえつけた。
「わっ、先生、何をっ?」
「今、そういう顔で私を見るな」
「そういう顔ってどういう顔です。僕、へんなこと考えてないですよっ」
「とにかくにしばらく待て。待てと言ったら待て、重要なことだぞ」
「うう、じゃあ待ちます」
高志はしぶしぶと言った声で答え、本の裏側でおとなしく待つ。
「でも、今日はずっとこのままって言うのはなしですよ」
「うむ、努力する」
言葉どおりに弓倉は努力した。
高志に罪はない。
あるのは弓倉の方で、それゆえに努力は一方的に弓倉に求められる。
「先生、まだですか?」
「まだだっ」
「・・・だいたい、これもただの図だろう。色気とはほど遠いぞ」
高志の顔に乗せた本を見ながら、
弓倉はつぶやくように言う。
少なくとも弓倉の大人の目から見れば、どうということのない図。
自分のつきあう高志はまだまだ少年であると、弓倉はあらためて思い至った。
同時に、その少年の恥らう表情にそそられている自分の性癖も思い知らされる。
「保健の教科書にも似たのが載っているだろう?
君はそれにもいちいち反応するのか?」
弓倉は、それらを振り払うために軽く少年に言った。
「教科書のはそんなに詳しく描いてないです。
僕だってこんなふうになりません」
拗ねた声で答える高志。
こんなふうとは、どんなふうだ?
その声と言葉に、弓倉は反射的に訊きそうになる。
自制。
自制。
自制。
弓倉自身、そんなふうになる高志を思いきり望んでいる。
「時間延長だ、少年。もうしばらくはこのままだぞ」
「えええーーっ、もうだいぶ経ちましたよっ」
「時間の流れは主観に左右される。
この場合、君と私の主観にはかなりの差があるようだ。
そして主観の差を埋めるには、やはり時間が必要だ」
「そんなこと言っているうちに、本当に僕が帰る時間になっちゃいますよ」
「うむ、むしろ、今日はもう帰ったほうがよいな」
「嫌ですよ、そんなのっ!!」
ぴょこっと、本の端から高志が顔を出した。
一生懸命な顔で弓倉を見て言う。
「その本、もう一度見せてください。ほら、もう、平気ですから」
弓倉の手から本が取られた。
高志はその本を机に開けなおし、じじっと女性器の詳細図を見つめてみせる。
平気そうな顔をつくって図を眺め、解説文を読み出すが、
ページをめくれば参考程度の挿入図があったりして、平気でなくなっていくのが弓倉にはよく分かる。
「・・・・・・」
弓倉のすぐ近くで、高揚している高志。
それを悟られまいと幼い演技をしているのが、また弓倉を刺激する。
弓倉は抑えきれず、高志の顔だけでなくそっと股間を上から覗き見た。
高志の少年の部分が勃ち、ズボンを持ち上げている。
「・・・・・・」
弓倉、
教師として最大のピンチ。
ついでに、言い訳できないほど明確に自分の真性さが証明された人生の折り返し。
ただの形容ではなく、
このあと数秒の判断と行動を誤れば、本当に戻れないところまで転げ堕ちる。
弓倉は綱渡りの気分で押さえた声を出した。
「少年、今見ているのが最後のページだ・・」
「そうですね」
答えた、高志。
葛藤する弓倉の目の下でぱらりとページをめくる。
生殖器の記述は確かに終わり。
章はあらたまり、生物の進化概要へ続く。
「ふう・・」
高志は火照った息をつきかけ、それを飲み込んだ。
平然を装い、弓倉を見上げる。
そして首をかしげた。
質問する。
「先生、その手はなんですか?」
高志の頭上、弓倉は片手をわきわきとあげていた。
「なんだと思う?」
「ちゃんとした答えがあるなら考えます」
高志はかしげた首をもどした。
見上げる目はそのままである。
「君の熱が冷めるまでになら、答えはある」
「熱?」
と、高志は弓倉が股間を覗きおろすのに気がついた。
頭の方がすっかり興奮していて、半身の変化にまで気がまわっていなかった高志。
そこで自身が勃起しているのに初めて気づく。
「わっ」
高志は慌てて股間を手で隠した。
それでも弓倉が見ているので、椅子ごと弓倉の机の下に深く入れて下半身そのものを見えなくした。
「先生っ、じっと見てたんですか?」
「そこまで、あからさまにされたらな・・・・。
女としては目を閉じるか、じっと見るかどちらかしかあるまい」
「じゃあ、閉じてくださいっ」
高志の顔はこれ以上なく羞恥に染まっていた。
自分に負けず、この日のことは人生の深い棘として残るだろう。
弓倉はそう考えると、幾分、胸がすっとした。
こういうものはやはり男女公平にわけあうものだ。
「だいたい、平気だから続きをよんだのだろう?愉しめたか?」
分け合うついでに苛める、弓倉。
当然、弓倉にもまだ興奮は残っている。
高志からは隠しているが、手もわきわきのままだ。
「どうせ・・」
苛める弓倉に、
高志はますます机に下半身を隠し身を丸めた。
ぷいっと、
弓倉を見上げていたくりくり目を横にし、拗ねた印で頬を膨らせた。
そして、せいいっぱいの反撃をする。
「どうせ、僕は先生みたいに見慣れてないですよっ。
先生は何度でもこういうの見てるから平気なんでしょ」
「当然だ。
理科教師が教材の図でいちいちそんなになっていたら話にならん。
授業もできん。」
弓倉はその反撃をかるくいなした。
そこへ戻ってくる高志の目。
「じゃあ本物は?本物も、何度も見てるんですか?」
今度は拗ねだけではない、深く入った嫉妬の色。
「なっ」
「僕のだって、平気で見てたし。・・・あるんですよね、やっぱり・・・」
高志は弓倉の返答の内容にに怯えながらも、じっと見上げて答えを待つ。
弓倉はさすがに躊躇した。
嘘をつくか、
ごまかすか、
考える。
僅かの間。
いつものように即答しない弓倉。
高志はそれを肯定の答えとして判断した。
「・・そうですよね、先生は大人なんだから、ありますよね・・・」
「う、うむ、まあな・・」
弓倉は仕方なく答えた。
嘘はつけない。
「・・ですよね」
高志は聞き分けのよいいつもの少年になった。
泣きそうに目を伏せる。
つぶやいた。
「・・何度もありますよね」
「まてっ、誰が何度もかっ!」
がっ!
弓倉は高志の頬を持ち上げ、引っ張りあげた。
すごい勢いでまくし立てる。
「確かに、君ほど清い身ではないことは認める。
が、その何度もという認識は間違いだ、改めろ。
君の頭の中ではどんな材料をそろえて、私の過去をつくっているんだっ?
それとも見るからに私はそんななのか?
ええいっ、ひとつひとつ否定してやるから、君の妄想を聞かせろ」
「わっ、先生、そんなに怒らないでっ」
「そこに直れ、少年」
弓倉は持ち上げた高志の顔をきりっと固定した。
自分から見下して、もっとも可愛く見える角度。
一度ではきまりきらず、数回にわけて微調整を施す。
「うむ」
「あの〜、先生」
「動くな、これから詰問するが君はこの顎の角度を維持して答えるように。
言っておくが、私は怒っているぞ。
女が怒っているときは黙って従うのが良いと、ものの本に書いてあることが多い」
「でも・・」
「ほら、動いた」
弓倉の指がきゅっと高志の顎を支持する。
片手で上下の位置のあわせ、片手で左右のずれを正した。
そのまま手を離さない。
じっと高志を見下ろして頷く。
「よし、この位置だな。覚えておこう。
君も身体で記憶しておけ、頭で理解する必要はない」
「うう、何のことか本当に分かりません」
「うむ」
弓倉は目を細めた。
教師でない弓倉の顔。
高志はごくっと唾を飲む。
「分からないことは知りたいな、少年。
が、知られたくないから、分からせないようにしておくこともある。
が、分からせないようにしてあることが、より不愉快な想像で固められているならそれを正そう」
それは弓倉の女の顔だ。
というか、素で怒っている顔だった。
それで、成分的には八つ当たりのにおいがプンプンする。
何か、今まで我慢してきたことを勢いで吐きつけようとする。
そんな悪寒。
「えっと・・」
「まず、最初に」
高志の言葉をさえぎって、弓倉がわざと声を重ねた。
「私は君に出会う前に、ひとりにだけ過ちを許した。
二人でも、三人でも、0.5人でもない、ひとりだ」
そして、
「・・・故にこの身は非処女だ」
悪寒の中で、高志の目に弓倉は真剣だった。
「先生・・・」
「知りたいならば問え、今はその時間だ」
「その人は、僕の知ってる人ですか?」
「君の知らぬ人間だ。
私も君もこの先も二度と顔をあわせることはない。・・・そういう人間だ」
「そうですか」
とりあえず、そこだけで高志は安心した。
そして、弓倉が高志の反応をじっとうかがっているので、自分は安心したと伝えたくなる。
「こ、こんなことしたら、もう悪ふざけじゃすまないですよ」
「そうだな、君のせいで今まで抑えてきたものが全部パーだ。
責任をとるつもりでこの脚をひらいてしまえ」
「僕のせいって・・・ああっ、先生、そこ、だめ・・」
弓倉の手、
とくに小指が高志の袋の裏側までまわりこむ。
もう少し伸ばせば肛門まで届いてしまいそうな位置。
ぴこぴこと動いて、敏感なところをノックしてくる。
「そうだ。罪があるのは私だが、こうなったのは君のせいだ」
「ああ・・うう・・」
あまった手で高志の腹をなでる弓倉。
やわらかな、優しい丸みを感じさせる高志の身体。
硬い張りなど存在せず、あてがう弓倉の手になめらかに馴染んでくる。
「気持ちいい身体だ、少年」
弓倉は思ったままのことを口にして、さらに高志の胸まで手をすべらせた。
罪なくちょんちょんとついたふたつの胸先。
罪だらけと自覚して指先でふれると、高志はさらに高い声で鳴いた。
「ひうっ」
弓倉はそのまま胸先を摘み、股間と連動させて小刻みに揉んだ。
「あっ、あんっ、先生っ、んんっ」
高志が肩を跳ね上げて身悶える。
両手をあげて股間と乳首を責める弓倉の手をつかみ、
閉じた脚どうしを擦りあわせて踵でシーツを蹴る。
「ほら、ひらけ。ひらくまで手は緩めんぞ」
弓倉が高志へ降伏を迫る。
高志は目隠しされた目で弓倉を見て言った。
「先生の意地悪ううっ」
「それでどうする?」
弓倉はさらに胸先を弄るリズムを速めた。
「ううううっ」
高志は腰をあげ、徐々に脚をひらいて弓倉に中まで見せていく。
「いい子だ」
「先生は悪い人ですううっ」
弓倉は、見る。
ふたつの脚の付け根。
その内側。
袋の表皮はつるつるとしたもので、
もちあげて裏側を晒すと、
その向こう、
尻の割れ目の中にある肛門まで視界に収まる。
「少年、君の歳はいくつだった?」
「・・歳・・ですか?」
「・・いや、答えなくていい」
言って弓倉は、裏側をむけさせた袋を指でころがした。
袋も、尻も、全くの無毛。
ペニスの根元の周辺に生えているそれらしい産毛も届いていない。
「先生・・遊ばないで・・」
言われて、弓倉は視界の外で弄っていた乳首を摘みあげる。
目は、股間を見つたまま。
摘んだ乳首をかるく捻り曲げた。
「はううっ」
声をあげる高志が腰をつきあげる。
脚はさらにひろく開かれた。
根元から硬まるペニスと、きゅっと肉をよせて閉じる肛門。
さらに、さらにと乳首を擦りたてると閉じた肛門は息をするように収縮を繰り返す。
「あっ・・あっ・・あ・・」
ひくひくひくっ・・。
「あうっ・・あっ・・あんっ」
ひくひくひくひくっ・・。
それは弓倉を誘う、無防備な動き。
まずい。
それは、やめてやれ。
初めての相手にすることではないぞ。
思いつつ、弓倉の手は、袋からそろそろと肛門へとスライドしていく。
「あー、少年、すまん、ひとつアドバイスさせてくれ」
「あっ・・あっ・・・こんな状態で・・先生?」
「力は抜いたほうがいいぞ」
肛門のくぼみの真中に弓倉の指が着いた。
「ああっ、そこはっ!!」
「すまん、挿れさせてくれ」
「えーーっ!!」
「先生、やだっ、やだっ」
「嫌なのは理解できる」
「できるなら、やめてえっ」
「すまん。これで君との関係が終わりになるかもしれないという覚悟だ」
「そんな覚悟しなくていいですからーっ」
「ふうう、欲望との戦いに負ける罪悪感でいっぱいだ」
「わわー、負けないでええっ!!」
「いくぞ」
言って、
弓倉はしっかり、一番長い中指を中へ挿れた。
「あうううっ」
高志の顔がゆがむ。
奥歯を食いしめ、眉の間に皺を寄せて横を向く。
脚はシーツをけり、手はぎゅっと握られてその場で固まった。
入った指は、まだほんの数センチ。
弓倉はもがく高志を見つめ、続きを根元まで埋めていく。
「うううううっ」
他人の尻の穴に指を突っ込むなど、もちろん初めて。
異物を押し返そうと、必死に自分の指をかみ締める肛門の圧力は考えているよりもひ弱だった。
逆らうのではなく、すがりついてくるのやっとという感触。
指は柔らかな高志の肉を擦って、進めたい方向に、進めたい分だけ自由に動く。
「あああぁっ、だめえ、先生、抜いてええっ・・」
指を半分ほど沈めたところで、高志はもう鳴き声をあげた。
ぞくぞくっ・・。
弓倉の背に言い知れぬ快感が走る。
「先生、お願い、許してえっ」
続けて声を聞いたとき、
正直、
弓倉から罪悪感がきれいにとんだ。
「少年・・」
高志をとことん躾けたい。
凶悪な感情が吹き上がる。
余った半分。
弓倉は、高志が鳴くのをしっかりと見据えて最後まで埋めた。
「あくううーーっ!」
そして、埋めた指ですぐさま捏ねる。
「んーーっ!」
さらに、微妙に挿し抜きも加えて非道をつくす。
「あーっ、あーっ、先生っ、許して、許してって、言ってるのにーーっ」
高志がどんなに哀願しても指を抜かない。
これまで絶対に誰も入ったことのない高志の秘肉を、自分が初めて踏みつける快感に酔う。
「先生ーーっ!」
高志が弄られる尻を大きく振った。
一緒に弓倉の目の前で流れるペニス。
弓倉は肛門の弄りにあわせて、ペニスにも手をだした。
根元のほうから手のひらで包み、皮の緩みを使って上下にしごく。
「ほら、ここも弄ってやっているぞ。男なら嬉しいだろう?」
「それよりも、お尻を抜いて、お願いっ」
「では、これならどうだ?」
言って、
弓倉はペニスの先に唇をつけた。
根元のしごきによって皮がずれるところへ、舌をつけて舐める。
「はうっ」
これには敏感に反応した高志。
弓倉は、ふっと目を細め唇をひろげた。
「あー、私も初めてしてやることだからな、技術的なことは期待するなよ」
すっかり悪女の口ぶりで、ぱくっと食いついた。
舌で、とにかく高志の反応が大きいところを探して舐めまわす。
「あっ、あっ、あううっ」
高志にも、初めてのフェラチオ。
直接、ペニスの皮の中を責められるのは強烈な刺激だった。
「ひあっ、ああっ、あんっ」
ひと舐めされるたびに、電流が貫ける。
そこに肛門の責めも混じってきて、高志はただただ鳴くしかなかった。
徐々にペニスへの愛撫を強めていく弓倉。
高志の鳴き声がどんどん高くなる。
「ああっ、ああっ、あああぅ・・・」
弓倉は唇を閉じてペニスを締めてみる。
ストローを使うイメージでペニスも吸ってみた。
「ひあっ」
やはり、可愛らしいい声で答える高志。
ペニスが弓倉の口内でより硬直し、肛門が指を噛む。
「先生〜」
呼ばれて、弓倉は唇を上下にスイング。
肛門からも一緒に擦り、
ペニスの根元のしごきも強めて、このままイかせてしまおうと試みる。
「先生、いやっ、いやあっ」
叫ぶ言葉とは逆に、脈打つ高志のペニス。
それは射精の予備動作なのか、ビクビクと茎全体で震え、弓倉の舌とぶつかる。
「先生っ、だめえっ、ああっ、僕っ、うううーっ」
高志が全身に力を入れて何かに耐えているのが、弓倉にも分かる。
その状態の高志に、弓倉は肛門の指の角度を変えて掻き毟る。
「ああーーっ」
高志は足を踏み鳴らし、ベッドを軋ませる。
「先生、お尻は許してーっ」
鳴き叫ばせながら至らせる、少年の絶頂。
肛虐に身悶えて許しを請い、そのくせペニスを弾かせようとする高志の姿は、
・・ああ、これが私の求めていたものか・・・、
弓倉の心の奥の奥までギチッと嵌まった。
・・絶頂けっ。
弓倉は念じ、高志のペニスに最後の一振りをおくる。
「あっ、先生っ、出ちゃうううっ」
浮き上がる、高志の腰。
数秒。
高志は歯を食いしばった後、こらえ切れず、弓倉の口に精液を吐いた。
「ああぁ・・」
その鳴き声、
いや泣き声が、弓倉が高志に与えた最初の絶頂の印だった。
口いっぱいに初めての精液を受け止めた弓倉。
「・・・・・」
無言で顔をあげ、
それから、
「・・・・・・・・・・・」
思い切り、洗面所にダッシュしていった。
「うええっ、これは不味いなっ」
ベッドに置き去りにした高志に、酷いありのままの感想を聞かせたのは、
がらがらぶくぶく、満足するまでうがいを繰り返した後。
そんなだから、
弓倉が部屋に戻れば、
自分で目隠しを外し、ベッドの隅でまるまって涙ぐむ高志。
けだもの・・。
弓倉を迎える目が、そう言っていた。
「ううっ・・」
泣いている高志。
近づく弓倉に距離をとり、シーツでお尻を隠して訴える。
けだもの。
けだもの。
けだもの・・。
「うむ、まあ、聞け・・、少年」
とりあえず、弓倉は言い訳だ
言い訳内容は、ベッドに腰をおろす間に考える。
で、
考えた言い訳が、
「はじめてにはトラブルが付き物だ。互いに貴重な経験をしたな・・・」
だったりしたから、
高志はますます泣いた。
「うっ、うっ、うくぅっ・・」
遠くから見ても分かるほど両目に涙が溢れだす。
「そんな・・僕・・いやって言ったのに・・・うっ・・うっ・・ううう・・」
本当の涙だ。
肛門を弄られたのは、相当にショックだったらしい。
これは、高志に一生残るトラウマを残してしまった。
自分のしたことに後悔する弓倉の心。
「すまん、謝罪する・・」
同時に、
「近づいてもいいか?」
自分が泣かせた少年が、また、たまらなく可愛いと思ってしまう弓倉の邪心。
「うっ、うっ、うっ・・」
高志に拒否されないのを確かめて、弓倉はどきどきとしながら少年によった。
「痛かったか?」
「少し・・」
返ってくる返事。
「今も、痛いか?」
「痛くないけど・・、中がまだごろごろしてます・・・」
拗ねながらも、弓倉の顔をちゃんと見る高志。
「私のことを嫌ったか?」
「そんなことは・・ないですけど・・・ばかぁ・・」
望む答えまでくれた。
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・」
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・」
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・・・なんです?・・先生・・じっと見て・・・」
「可愛いな、君は」
「そんなこと言われても、嬉しくないです・・」
「うむ」
弓倉は自分の中で盛り上がるスパークを表に出さないようにして頷く。
そしてゆっくりと、背に手を回しブラのホックを外して、カップの中身ずらして見せた。
「・・・・・あ」
先は見せなかった生の乳房。
高志の目が釘付けになる。
さらに弓倉は完全にベッドにあがり、高志が見つめる前でショーツも引き降ろした。
可愛い少年に、大人の裸を見せつける。
「続きだ、今度は最後までするぞ」
高志に手を伸ばす弓倉。
高志が包まるシーツを剥いだ。
まだ、先が濡れたままの高志のペニス。
弓倉の乳房と秘所を見て、さっき以上に勃起する。
「そんな縁にいてはやりにくいだろう。もっとこっちに来い」
弓倉が、そんな高志の足首を掴む。
一息で自分の下へ引っぱり込み、上からかぶさった。
高志の胸に自分の乳房をのせ、脚を絡めてすり寄せる。
「そんな、急に、あっ・・・」
やわらく潰れる大人の乳房。
全身で触れ合う素肌。
弓倉の秘所に生える毛が、高志のペニスにかかり淫やらしくくすぐる。
どれもが高志が初めて知る本物の感触。
弓倉が涙のたまった高志の目じりにキスすると、
高志はそれだけで、泣き顔を、鳴き顔に変えた。
「ひあっ」
「どうした、まだ何もしてないぞ」
言いながら、弓倉は高志を抱きすくめる。
その間、僅かに肌が擦れあうだけで、高志には十分の快感。
弓倉の身体に、自分が溶かされてしまうかと思うほど感じる。
「あっ、先生っ、なんか、すごくっ」
「すごく、なんだ?」
弓倉は、訊ねながら高志のわき腹を手で撫でる。
「あうんっ」
「なんだ?」
弓倉はさらにわき腹を撫でた。
高志はよがってうねり、必死に答えた。
「ひああ、ああっ、だめっ、気持ちいい」
「そうか、ならば安心だ。ここで君に不快と言われたら、深く傷つくところだった」
それは弓倉の本心。
そして、安心したところで一気に責めを加速する。
高志の涙を吸った唇を肩口へ落とし、そこから胸まで移す。
中心よりやや左側。
唇に高志の鼓動がはっきり感じる。
弓倉はもうひとつの手で右側の乳首を引っ掻いた。
「ああっ」
高志の喘ぎは間違いなく快感で弾かれるもの。
心臓の鳴りも熱い。
弓倉は左の乳首を口にふくむ。
たっぷりと舐めつけ、噛みほぐした。
「あっ、ひうっ、くううっ」
弓倉の耳に、またしっかりと高志の悦ぶ声が聞こえる。
「先生っ、そんなに噛んだら跡が、あんっ、残っちゃううっ」
「大丈夫だ、証拠は残さないように手加減している」
「う、うそっ、先生、いっぱい噛んでる」
「そう思うのは君の身体が未熟だからだな。なんでも初めてのことは大げさに感じるものだ」
「あっ、あうううっ、だめ、本当に残っちゃううっ」
「大丈夫だと言っているだろう、目上の言葉は信じろ」
「じゃあ、先生、こんなことするの慣れているんですか?」
「馬鹿を言うな、慣れているわけないだろう。ここまで近くにいて、この夢中さが分からんのか?」
「ああんっ、また言ってることが違う〜」
言いながら、
高志はびくびく身体をしならせる。
「違わない、違わないから安心して声をあげろ」
言って、
弓倉は右の乳首に口を移した。
ちらっと見る限り左側に歯型は残っていない。
ほら、やはり大丈夫じゃないか。
弓倉は、自身安心した。
安心したので、今度はよりしっかりと新しくふくんだ乳首を責め立てる。
「あーっ、あーっ、先生っ、さっきよりもきつい、きつくなってる〜」
「その分、君の身体も悦んでいる。そうだろう」
弓倉は乳首を挟んだ歯でクッと持ち上げた。
「あうっ」
その状態でカツカツと甘噛み。
ぱっと放してから、舌で大きく舐め上げる。
「ひあっ、あうんんっ」
それから胸の真中に頬刷り、
さらに高志をひっくり返して背中にも頬刷り、
育ちきるまでまだまだの、高志の肌の感触を自分の肌になじませる。
「少々狭いが、いい肌だ。落ち着くぞ、少年」
弓倉は言い、
抱き枕を扱うイメージで片手をまた高志の胸まわりにまわした。
ころころと乳首を爪弾いて遊ぶ。
「あん、先生、また・・」
「ここだけではないぞ」
そして、もうひとつの手は高志の下腹部へ。
勃起したままのペニスを絡めとり、皮の部分を前後に往復させてしごき始める。
「・・んっ」
「もう一度イかせてやる。
さっきは顔を近づけぎて君の全体の様子が見えなかったからな、こんどはその瞬間を見せてくれ」
「こんな格好で、あっ、僕だけ・・・」
「そう君だけだ、楽でいいだろう」
弓倉は、高志が亀の体勢から戻ろうとするのを押さえつける。
背中の肉を唇ではもはもし、語りかける。
「正直、君の身体で精通しているとは思わなかった。
こちらの油断とはいえ、口の中に出されたのだ、それなりの報酬はもらう」
「もらうって、先生が勝手にやったのに〜」
「ことわってから行ったら気恥ずかしいだろう」
弓倉はいつものごとくあっさり答えた。
それよりも・・・、とずいっと背中から圧力を加えて問う。
「少年、君はいつ精通したんだ?君の歳にしては早くはないか?んん?」
「そんな恥ずかしいこと聞かれても・・」
答弁を拒否する高志。
「恥ずかしくても答えろ、気になるだろう」
「いやです〜」
「ほう」
弓倉は、高志の背筋を舐め上げた。
「ひあんっ」
ペニスと乳首を擦る速度を速め、わりと真剣に問う。
「まさかとか思うが、少年。すでに経験があるわけではないだろうな?」
「わるわけないです。こんなの、先生とがはじめてです」
「うむ」
先生とがはじめて。
その言葉の響きに、ひとつ身震いする弓倉。
「では、精通は自然によるものだったんだな?」
世界中の少年が嫌がる質問を勢いに任せて続けた。
「それは・・・」
「それは?」
弓倉は、今度は背筋を舐め下ろして責める。
「はううっ」
そして、可愛らしい腰をはもはもしなおし、そこから背筋を舐めあげるという往復。
「くうぅっ」
簡単に身をくねって悶える高志が、秘密を吐くまで何度でも楽しんで繰り返す。
「ひああっ、先生、だめえっ、背中はくすぐったい、ああぁ・・」
「だったら、さらっと答えてしまえ。
こちらが求めているのは些細な情報だ。
言ってしまえば、たいしたことはなかったと思うことにすれば口も割れやすいぞ」
「先生っ、ホントに背中は、あんっ、変に、あんっ、ふああっ」
どこを責めても感じる囚われの高志。
中でも背筋は、快感とくすぐったいのが入り混じった耐え難い感覚があるらしい。
弓倉はこのまま高志の手足を縛って、残りの一日、背中をずっと苛めてみたい気分にもなってきた。
同時に、ペニスもまた硬く勃起している。
身悶えさせながら、連続で搾る。
鳴いても、鳴いても手を止めない。
高志が吐かないならそうしてしまえ。
黒弓倉の頭で、どんどん淫やらしい考えが加速する。
「さあ、どうする少年?」
「あうう・・」
その空気を感じて、高志はおちた。
「ああっ・・んんっ・・・自分で・・したときに・・・あん・・でた・・・」
「なるほど」
弓倉の唇が、今度は腰を噛む。
目の先に、自分が嬲るペニスがある。
指で挟み押してやると、出口に透明の雫ができた。
「君の年頃で、もうそのような事をしているのか・・。君自身は、いつ自慰など覚えたのだ?ついでに吐け」
「そ、それは・・」
「それは?」
弓倉は腰からわき腹にかけて舐める。
「ふああっ」
背中同様に弱いところだったらしく、高志はえびになって悶えた。
ペニスの雫が振られて、シーツに垂れる。
高志は、自分を舐める弓倉に顔を見せて答えた。
「せ、先生と合って、キスしたりするようになってから、です・・」
「ほう・・、さらに詳細を求める権利が私に発生したか」
弓倉の目がまた悦ぶ。
で、口では苛める。
「それは私をいわゆる"おかず”に使ったという事だな?そうだなっ?」
「は、はいっ、ごめんんさいっ、はんんっ」
「謝罪は必要ない。それよりも内容だ。
君の行った自慰の中で、私はどのように扱われたのか?そこが重要だ」
「どうって言われても・・・、それは普通に・・もっと先生と一緒にいるところを想像して・・」
「一緒にいて?それでどうするんだ?」
「みんなにバレないから安心してたくさん話をして、
僕のほうから先生の頭を撫でたり、あんっ、キスしたり・・・」
「ふむ、それだけか?」
「それから・・・」
「それから?」
「先生の方から僕に・・・、好きって言てくれるのを考えて・・・あっ」
言って、高志の瞳がきゅうっとなった。
ペニスも一緒にきゅっとなる。
雫がいくつも続けて生まれ、びゅっと後から出た精子に弾かれた。
「くううぅ」
可愛らしい、高志の絶頂。
弓倉への告白で、イってしまった。
ふるふうふるぅ・・。
男の子である快感で、いっとき震える高志。
それから最高の恥辱に顔を隠し、シーツに擦りつけて泣く。
「・・・ううっ、先生のバカバカ」
が、ここまでてしまった弓倉に容赦はない。
射精したばかりのペニスを変わらぬペースでしごき、
伸ばした指で垂れた精液をひろい、敏感なペニスの皮のない部分に薄く塗り広げる。
「あっ、あんっ」
たまらず、高志は反応。
上げさせられたお尻を、やはり、ふるふるさせる。
弓倉は、高志の頭の後ろで問い詰めた。
「それで少年、この頭の中で、そんな私を次にどうやって扱っていたのか?聞かせろ」
「次なんて・・・」
「ないと言うのか?」
弓倉は高志のペニスを弄ったまま、上体を引き上げた。
いやがる高志の顔は、簡単にシーツからもちあがる。
膝立ちの四つん這いから、弓倉の前で脚を広げて座る体勢になる。
弓倉は、高志の顎を空いた手でつまんだ。
「先生、やっ」
そむけようとするところを強引に自分にむけた。
唇を奪い、高志と目をあわせる。
「うぐっ」
こうすると高志は弓倉から逃げられない。
弓倉の高志に関する知識の中のひとつ、
"キスをすると高志は自分から切るということができない”が、しっかりと利用される。
唇を割って舌を入れれば、顎を支える手も必要ない。
弓倉は両手でペニスを弄り、直に接した舌で尋問する。
「さあ、君は君の造り上げた私で何をした?」
「何って・・、本当になにも・・・」
「隠さなくてもいい、むしろ、今の君に隠す権限はない」
弓倉は高志の答えに期待する。
「でも・・、本当に・・」
「むっ、本当にか?」
「はい、本当に・・・」
が、想像していた答えは高志からは出ない。
黒弓倉は、追求する。
「いや、健康な男子なら夜な夜な考えることがあるだろう。それだ、それを言ってしまえ」
「夜な夜なって、先生、言い方が・・・」
「裸で抱き合い、唇を重ねている相手に遠慮などいらん」
「裸・・・」
弓倉に言われ、高志はあらためて今の状況を自覚した。
肌と肌が直接ふれあっている。
背中にあたっている柔らかなものは、まちがいなく弓倉の乳房。
ふたつの胸先のとがりまで、しっかりと感じられる。
弓倉もそれを分かっていて、強く高志をひきつけた。
自分より小さな高志の背中で、両胸を擦り潰す。
「あ・・」
高志がもらす喘ぎ。
ふたつの手でぺニスを弄られたのとは、違うゾクゾク。
・・抱かれる。
その包みこまれる快感。
高志は、くてんと堕ちかけた。
弓倉に全部を預け、されるままになりかける。
「で、どうなんだ?」
そこに、繰り返される質問。
高志は、残った意思で答える。
「本当にないです。
だって・・・、学校の先生をそんなふうにするなんて、普通、考えないですよ」
それで、弓倉を見た。
逆に問う。
「先生は僕のこと、こんなふうにしたいって考えてたんですか?」
「ああ、考えていた」
高志が予想していなかった、弓倉のストレートな答え。
「君の唇を奪ったあの日から、夜な夜な、こうして裸にして弄ぶことを考えていたぞ」
「僕を・・」
「ああ、君の小さな身体を自由にして、君の知らない淫やらしいことをしまくることだ」
「そんな、僕、先生の生徒なのに・・」
「私の少年だ」
弓倉は再び高志を寝かせた。
仰向け。
上を向かせたペニス。
その上に、脚をひろげて膝立ちになった。
「先生・・・」
「最後までしてしまおうか、少年」
見下ろす弓倉。
腰を下ろし、自分から入り口を高志に近づける。
ペニスと膣を触れさせ、とめず、奥へ沈めていく。
「あ・・あ・・先生・・」
高志は、弓倉へ入っていく自分を見る。
ペニスが入り口の肉で締められる感触。
そして、中の肉で占められる感触。
そして、あの先生とついにしてしまったという気持ち。
あわさって声が震えた。
「ほら少年、君のが全部入ってくる。最後まで・・・、あ・・・来るぞ・・・」
「先生・・僕達・・・」
「うむ・・・ついにしてしまったぞ・・・悪いことだ・・・が・・・・」
そして、弓倉の下肢が完全におりる。
弓倉の性器が高志の根元まで包み、その僅かな衝撃で、互いを淡い喘ぎで鳴かせた。
「あんっ」
「うっ」
高志は弓倉に手を伸ばす。
弓倉は走った快感に髪を振り、その手を握った。
「動くぞ」
「はい」
そのまま、ふたり一緒に身を揺らす。
「あ・・・あ・・・ん・・・・」
「む・・・ん・・・う・・・」
濡れていく結合部。
膣がペニスをこすり、ペニスが膣をこすり、手は握りあう。
「先生・・・あ・・もっと近くに来て・・ください・・」
「こうか?」
騎乗位の姿勢から、覆いかぶさる姿勢へ、移る弓倉。
握りあった手が高志の顔の両側に着き、遅れて、弓倉の顔が高志の目の前にくる。
そして、もう何度目かのキス。
弓倉のほうから深く入り、中を掻き、離して頬をついばむ。
そこから再び唇に戻ると高志が思うところ、弓倉の顔はそれ、首筋を舌が這っていく。
「あ・・あ・・・先生・・これは近すぎっ・・」
「繋がった状態で催促しておいて・・これくらいは当然・・だろ・・・」
弓倉は高志の耳まで唇を動かす。
丁寧に舐め、噛み、
両手をつかまれた高志がいやいやと首をふるのも使って、左右両方から囁きかける。
「ほら、もっと近づくぞ」
言って、弓倉は下肢を絡めた。
上も下も、邪魔なものは何も入れさせないほど密着し、少年の最初の性交をむさぼる。
「先生・・だめっ・・気持ちいい・・」
「そうか・・なら文句をつけるな・・」
「でも・・僕・・このままだと・・・先生の中で・・あんっ」
「今日だけ特別だ・・・気にせず、出せるだけ出せ・・」
「でも・・・あっ・・でもぅっ・・」
「む・・う・・・いいから・・私も話すのがきつく・・・んくっ・・」
弓倉は、会話をうちきった。
高志に絶頂へのぼる許可を出し、自身も予想以上の快感に全てをゆだねていく。
「ああっ・・はうっ・・先生っ・・先生っ・・ああんっ」
「・・ふ・・・く・・」
「先生っ・・出しちゃうっ・・出しちゃいますよっ・・」
「・・・・・・・・」
「先生ーーっ」
高志の腰が強く浮いた。
ペニスが若い精液を噴き、膣壁を叩く。
熱い精。
膣が満たされ、弓倉も思いもかけず一緒に絶頂った。
痺れが下肢と背筋を貫き、それに押されて抱いた少年にすがりつく。
「先生、そんなにくっついたらもっと奥にいぃっ」
続く射精。
身体ごと絡められたペニスは、ふたつ、みっつ連続して口を開いて弓倉の本能に応える。
とまらない。
とまらせない。
「あっ、あっ、先生っ、僕、中に本当にいっぱいっ」
聞こえる高志の声。
それも余計に弓倉を高ぶらせ、弓倉にむけて口を開いた。
「・・・・・・」
「?先生、聞こえないっ」
「・・・・・・」
濡れた唇。
ぼーっとした眼。
唇の向こうの歯が微かに見せ、首と肩の真ん中に降ろした。
「先生、先生っ??」
がぷうっ。
「痛ーーーーーーーっ!!!! 先生、噛んでる、噛んでるーーーーーーーっ!!!!!」
「先生、だめーーーーっ」
それまでとは違う意味でもがく高志。
下から弓倉を突き上げ、ひねり、声をかけるが、弓倉は正気にもどらない。
逆に握られた手の甲に爪が深々と入ってくる。
「たーーーーーーーっ!!」
背を反らして高志。
足をばたばたさせながら、その他は硬直。
他にどうしようもできず、弓倉の戒めが緩むのを待つ。
「せんせーの、ばかーーー」
そして数分。
「・・・ふう」
ようやく弓倉が息をつくと、自分のには、またもや涙目で拗ねる高志がいた。
「あ・・・・すまん、よもや初めての君にイかされるとは思わなかったので、不測のな・・」
「ううううっ」
「ううううっ」
泣いちゃった目で高志は怒る。
寝たまま、弓倉を見上げて怒るので、いっぱいまで溜まった涙がぽろりと流れた。
「うっ」
「あうっ」
ひとつの涙に声をあげる二人。
「すまん、また泣かせてしまった」
「こ、これは、泣いてるのとは違いますっ」
弓倉は急ぎ鞄からハンカチを取り出し、高志は慌てて両手で涙をこすり隠した。
「拭いてやるから手をどけろ」
「いいですっ、泣いてないですからっ」
弓倉の手をさけながら、両目にこぶしをあてる高志。
だが最初の涙が張りを壊したのか、水気が滲み出してとまらない。
本人は泣いているつもりはないのだが、手を離すとしっかりとした涙となってこぼれてしまいそう。
「分かった、分かった。どちらでもいいから顔を見せろ」
「今はだめです、ちょっと待ってくださいっ」
「素手でそんなにこすると目の周囲が荒れてしまうぞ。ほらっ」
「む〜」
高志、さっきとは違う意味でごろごろ。
迫る弓倉のハンカチから逃げて、いやいやをする。
「こらっ、いいかげんにしないと、」
困る、弓倉。
高志にこんなポーズをされると、理性で抑えているものがまた誘われてしまい・・。
「・・また襲いたくなるぞ」
「うわっ、だめええ!」
「よし」
弓倉は、高志が本気で危険を感じて手を離したところを捕まえた。
やはりまだ濡れていた顔にハンカチをあてる。
「ふう・・、危ないところだった」
「本当ですぅ」
今度は素直に拭かれて、高志。
唇を尖らせる。
「もう痛いことしないでくださいね」
「うむ、努力しよう」
「努力じゃなくて絶対・・・、うう、手に先生の爪痕がついてるし」
「うむ、事実を伝えると、首にも私のキス痕がしっかりめに残っている」
「えええっ」
高志は首筋を押さえた。
部屋の中の鏡を探し、弓倉がこれまた鞄から出した手鏡をわたす。
「うわあ、歯型〜」
「少年、こういうときはキスマークと表現したほうが好感をもたれるぞ」
「でも、これは歯型です〜」
「あくまでも線引きするか・・」
「先生、ごまかしてないで謝って」
「すまん、繰り返し謝罪する。痛かったな?」
「すごく痛かったですっ。ああ、これお姉ちゃんに見つかったらどうしよう」
「・・君の家では、姉が君のボディチェックを行なうのか?」
「そんなことないけど、うちのお姉ちゃん、僕が怪我をして帰るとすぐに気がつくから」
「そういう勘のよさはまずいな」
「見つからないようにしないと・・」
「うむ、適当な推理だが帰宅するころには痕も薄まっているだろう。懸命にのりきれ」
「ううう・・、バレたらふざけて友達に噛まれたことにします」
「嘘をつかせるのは不本意だが、むう・・、本当にすまなかった」
「もういいです。もう怒ってないですから」
「そうか、少年の心の広さに感謝だ」
「感謝するなら、高志って呼んでください・・って、先生」
弓倉は高志にぎゅっと抱きつく。
鏡を放させ、鞄に放り込むと首の噛み痕をぺろりと舐めた。
「今後、傷を残すようなことはしない。約束しよう」
言い、また高志の身体をまさぐり始める。
「先生、またするんですか?」
「優しくするから、いいだろう?」
「あっ、ああん、先生っ」
「では、改めてここからいこうか」
「ええっ、また四つん這い?どうして・・」
「この姿勢だと君からは責められないだろう。それがいい」
「そんな理由だったら嫌ですっ。ちゃんと前を見させてくださいっ」
「追加すると、君がそうやって嫌がるところもいい。そそる」
「やっぱり先生は変です。変態ですっ。ひあっ、またお尻さわるし、あっ、先生っ、挿れちゃだめっ、だめですよっ」
「今度は撫でるだけだ。自粛する」
「本当にですよっ、挿れたらまた怒りますからねっ、あっ、ちょっとっ、そんなふうに圧したら入っちゃうっ、あっ、ああっ」
「騒ぐな少年、さわっているだけ、さわっているだけだ」
「嘘っ、挿れようとしてるっ、してるでしょうっ!」
「していない、これ以上ない優しい指使いだ。そうだな、優しすぎてやや気が焦るぐらいだ」
「ああっ、真ん中はだめえっ、そこは優しくしても圧したらっ、ああっ、うううっ」
「ほら、こちらもしごいてやる。なんなら口もつかってやろうか?」
「そんな事いいですから、ちゃんと、ちゃんとしましょうよっ」
「もちろん手順を踏みなおした後にちゃんとするぞ。
私としては、種切れになってがっかりさせられないことを祈っている」
「だったらすぐにっ」
「却下」
「あああっ、先生っ、反省してないでしょうっ、僕が怒ったこともう忘れちゃったでしょうっ!!」
「反省してるし、覚えてる。一生忘れないと自分で予想できるほどだ」
「だったら、先生っ」
「故に君が泣いたり怒ったりするラインが見えた。役立てよう」
「うわわわーん」
「ところで、少年」
「なんですぅ」
「この指、やはり少しだけ挿れてもいいか?」
「絶対、だめーーーーーーーーーっ!!」
高志を傷ものにした事実はひとまず棚上げ、きっちり愉しみなおそうとする弓倉。
高志は鳴きながら、一から弄りなおされていく。
「しかたない、先にイかせてから交渉しよう」
「だから、あっ、あっ、あっ・・」
「ほら鏡を見ていろ。君の淫やらしいところが良い角度で映る」
「そういうのなしで普通に、あああんっ」
ピー、ピー、ピーッ。
そして時間。
カーテンの向こうの太陽はまだ十分に高く、夕方にかかるにはまだ早い時刻。
それでも教師と生徒である2人には帰らねばならない区切りであると、
部屋の時計にセットしておいたタイマーが響く。
「時間だ、帰るぞ少年」
言う、弓倉の晴れやかな声。
既に衣服をぴっちりと着なおしており、腕に外していた時計を巻いていたところ。
「うむ」
これは、その腕時計とタイマーを鳴らしている時計がぴったり同じ時間を指していることへの満足の頷きで、
時計をした側の手でタイマーを止め、
忘れものはないかと鞄の中と外とを点検し、
鏡の前で髪の崩れに最終チェックをいれ、
そこまで待っても、まだベッドの中でしくしくやっている高志からシーツを剥ぎ取る。
「時間だと言っているだろう、少年」
「だって先生、あれから優しくするって言ったのに、お尻と前をまた一緒に〜っ」
涙ぐむ高志は、まだ服を着ていない。
裸で背をまるめ、弓倉にいっぱい苛められた部分を手で押さえている。
弓倉は奪ったシーツをはたき、ベッドの端に丁寧にたたみながら言う。
「そういう事実もあったが、そのたびに謝罪した。足りないというのなら帰りの車中で謝ろう。
とにかく今は服を着ろ。万全を尽くし、この部屋に入る前の姿に戻せ。
時間の遅れや衣服の乱れは、君の姉の勘を敏感に働かせるのだろう?
この場合、その勘というのは事実だ。
君の姉にそれなりの意思をもって迫られた場合、
私はごめんなさいと言うしかない上に、ごめんなさいでは済まない事態になる。
君と関係をもったのは、ほぼ100%私の責任であるから誰を恨むこともしないが、
少年が今、泣きやんで、しゃきしゃきと動いてくれることで危機をさけられるのなら、是非そうして欲しい」
「うう、着ますよ。僕だって、先生がいなくなったら嫌です・・」
高志は、小さな手のこぶしの裏で涙を拭く。
「少年の広い心と判断力に感謝する。次は優しく扱うように努力しよう」
「先生はそう言って、お風呂とベッドで何度も苛めたから信用しません」
「その気持ちは分かる。
口約束ばかりで、行動に抑制が伴わない大人というのは始末に終えん。
自分の事だから言うが、機会があったら切り離したほうがいいぞ」
「離れたりしたくないですから、先生のほうでちゃんと努力してください」
高志はまるまった背を起こし、弓倉に言う。
「うむ、努力しよう」
いまいち信用できない、弓倉の返事。
「お願いしますよ」
それでも、それ以上の追求は無駄なので、高志は承諾して自分の服を探した。
話が終われば、弓倉の言うとおり早く着替え、余裕をもって家に帰らなければならない。
まずはパンツ。
確か、弓倉に脱がされて、ベッドの外に捨てられた。
えっと・・。
高志は記憶をたどり、ベッドの外を見回した。
ない。
ベッドの下にはいっちゃたかな?
高志はベッドから身を乗り出して探す。
「探し物はこれか?」
と、高志の頭の上で言う弓倉。
高志が頭をあげると、高志の白いパンツがしっかり、弓倉の手で広げられていた。
「それっ、僕のパンツ!」
「うむ、そう認識して確保しておいた。さあ、時間が惜しい、君の着替えを手伝おう」
「いいですっ、自分で着られますっ」
「君の能力の問題ではない。私の嗜好の問題だ」
「やあっ、先生、恥ずかしいっ」
「さあ、脚をのばせ、私に任せろ。優しく着せてやる」
「やーめーてーっ」
その後、着せられ人形にされる高志。
靴下まで丁寧に履かされ、髪の毛のお子様セットまで施された。
「よし、終わりだ」
「うう、僕の髪の毛、こんなに綺麗にそろってなかったです」
自分の頭をくしゃくしゃと乱す、高志。
「なにをするっ、せっかくそろえたものをっ」
「うん、これくらいです」
「いや、これは乱れすぎだ」
「外で遊んで帰ってくるんだから、これでいいんです」
「むうう」
「それに帰りの車の中でも、僕は小さくなって隠れるんでしょう?どうせ、また髪の毛もくしゃくしゃになっちゃいますよ」
「それだったら、今はきっちりセットしておいてもいいという事になるな」
「先生っ、時間がないんでしょっ。早く帰りましょう。先生の鞄は、車まで僕が持ってあげます」
高志は、弓倉の手を離れて弓倉の鞄を持つ。
「ち、仕方がない。今日のところは妥協しよう」
弓倉は従った。
「はい、そうしてください」
高志は言う。
それから、弓倉の様子を確かめつつ、付け加える。
照れて、恥ずかしそうに。
「次、こういうことをするときに先生のしたいこと、・・・させてあげますから」
「む、次か」
「あっ、でも優しくですよ。無理やりはなしで」
誘いすぎたと、高志はわたわたと条件をつける。
そんな高志に、弓倉は、むうと唸ってから答えた。
「少年の心遣いはありがたく受け入れるが、次の機会というのはしばらくないぞ。
具体的に時間であらわすと、数ヶ月単位でだ」
「ええっ、そうなんですかっ?」
「もっというと、学校の授業以外で顔をあわすことも一週、いや二週はできない。
この予定は長くなることはあっても、縮むことはない」
「な、何でですかっ?」
「研修で出張とその準備だ。担任を持っていない分、こういう仕事が増える」
「そんな、だったらもっと早く教えてくれれば・・」
「教えてやっていればどうなんだ?嫌がらずにもっと搾らせてくれたのか?」
弓倉は、にやっと笑う。
「そうじゃなくて、ああ、もうっ」
高志はどう答えていいか分からず、弓倉の鞄をゆすった。
弓倉は高志の頭をなでる。
「私だって、今日がどういう日になるか分からなかったんだ。
かなりの割合で、君との関係が終えることも覚悟してた。
そんな状態で、今日より後の予定を伝えるタイミングをつかむのは、かなり難しい」
「僕は、先生と終わるなんて全然考えてませんでしたよ」
「君のそういうところが怖い」
「怖い、ですか・・」
高志は弓倉の言葉の意味を知ろうとして、その顔をあげた。
逆に、弓倉は自分の表情を見せないように高志の頭をおさえる。
「ふふ、怖いが、魅力だ。
うむ・・・、次は少年を好きなだけ弄んでいいんのか。
本人の許しが出た以上、それを楽しみに数ヶ月を過ごそう」
「わ、わ、好きなだけなんて言ってないですっ」
「うむ、楽しみだ。今日出来なかったことしよう。色々あるぞ」
「先生っ、先生っ」
「さあ、本当に帰るぞ」
弓倉はドアに向かって歩き出す。
「待って、先生っ、話は終わってないですっ」
追いかける、高志。
懸命に追いかけて、弓倉の傍らで背伸びをして、歩く。
帰りの車中。
「それにしても先生、ずいぶんすっきりした顔してますね」
「今までの半生で溜めていたものを現実的手段で吐いたからな。その分は晴れやかだ。
とりあえず、少年が心配する明日からの数週間分は確実にもつ」
「そうですか・・」
「よって私は無問題だから、君は君でもたせろ。頼むから授業中におかしな視線を送るなよ。できれば浮気もな」
「浮気よりも授業の目の方が順位が高いんですね?」
「健全さからつけた順だ。君の実行しやすさとも一致する」
「うう、先生こそ浮気はなしですよ」
「うむ、うむ、信じろというのは容易いから言おう。信じろ」
「よけいな前置きはつけないでくださーい」
「それよりも頭をさげろ。街にはいるぞ」
「はい〜」
最初の関係が終わり、その後の関係がすでに固まりつつあった。
アパートで気に入りの番組を見ている弓倉のもとに、電話がかかってくる。
携帯ではなく、部屋の据え置きの方だった。
「はい、弓倉です」
「あ、湊ちゃん、聞いて聞いてっ」
受話器をとるなり明るい声が響いてきた。
弓倉咲木。
弓倉の妹である。
弓倉はテレビを見ながら、本当に迷惑そうに答えた。
「何のようだ?
言っておくが私は今忙しい、くだらん話ならそう言え。すぐに切る」
「なによう、忙しいなんて言って、
どうせいつものつまんない旅行番組を見てるんでしょう?
前から言っているけど、湊ちゃん、テレビ番組を選ぶセンス悪過ぎだよ」
交される姉妹の会話。
「そうか、くだらん忠告をわざわざすまないな。
用件はそれなら話は終わりだ、じゃあな」
弓倉はそこまで言って、
コードレスになっている受話器をテーブルの上に置いた。
「あーっ、待って、待って、ごめんなさい。
他に大事な話しがあるから切っちゃだめーっ」
受話器の発信口から妹の叫ぶ声が流れる。
弓倉はそれ放置してテレビに近づき、テレビ台の前に屈んで戸を開けた。
「みーなーとちゃーん。
お姉ちゃん、お姉ちゃんてば、聞いてるっ?」
何やら必死になっている妹を遠くに、
弓倉はテレビ台の中にしまってあったビデオテープをとり、
それが上書き可のものであるか念入りに確かめてからデッキに入れた。
さらにデッキに表示されている指定のチャンネルを注意深く確認し、
録画のボタンを押して受話器のもとへ戻ってきた。
「うむ、まだそこにいるか?いない方が私としては楽でいいぞ」
「いますっ」
「いたか・・・」
「もう、で、私の話を聞いてくれるんでしょ?」
咲木のやや怒った声。
弓倉はきにせず、ビデオがちゃんと動いているかどうか遠目に確かめつつ答えた。
「ああ、仕方ないから聞いてやる。大事な話とやらをしてみろ」
「うん、あ、あのね・・・」
と、急に咲木の声がしおらしくなる。
電話の向こうでもじもじとしてる様子が伝わり、そこで途切れる。
弓倉はやれやれとビデオから目を離して、ベッドの傍らに移動した。
ベットに背をつけて床に座り、妹が話し出すのを黙って待つ。
「あの私ね、」
話し出す、咲木。
「男の子に告白されちゃったんだけど・・・・・どうしよう?」
「相手の歳は?」
弓倉は最初に訊いた。
避けようもなく高志のことがイメージされる。
「私と同じ、それで私と同じ教室」
咲木の答えに弓倉は片手で髪をかきあげた。
そして、心よりの率直な意見を口にする。
「なら問題ない、好きにしろ」
「えーっ、それだけ?」
「未成年とはいえ、大学生だろう。これ以上、何の口だしを求める?
だいたいこういうのお前、何度目だ?」
「でも、こういう時はいつも湊ちゃんに相談してたし・・・、
もうデートにも誘われてて・・・、湊ちゃん、何か良いこと言ってよ」
「あー、ちょっと待て」
弓倉は考える。
ちらちらと頭の中で踊る高志の姿を追いながら。
その、
踊る高志を頭の隅に隔離しておいて、咲木に言う。
「つまりその男は、お前から見て可もなく不可もなく、
とくに交際を断る理由もないが、積極的に恋人関係になろうとする気もおきない。
そういう判断に迷う普通の男なのだな?」
その男が聞いたらさぞかし傷つくだろうという、
弓倉のばっさりした推理と口調。
咲木はそれを聞いて、ぼそぼそと肯定した。
「そういう言い方をするとその子が可哀想だけど・・・・、そう」
「そうか」
弓倉は事実を確認して天井を見た。
いつでも耳から受話器を離せるように水平に腕を構えて結論を言う。
「なら、断れ。それで終わりだ」
「えーーーっ!!」
受話器から響く、大きな叫び。
腕を伸ばし、あさっての方向に受話器を向けて鼓膜を守る弓倉。
叫びが収まるのを見計らって、受話器を戻す。
「湊ちゃん、なんでそうなるのっ!?ちゃんと考えてよっ!」
まだ勢いが残っていた大声で咲木が弓倉に迫る。
弓倉は咲木に落ち付いて答えた。
「過去の実績から考えてだ、と言えば分かるか?」
「ううっ」
弓倉の答えに、咲木がつまった。
咲木は弓倉家の中の末っ子。
邪気のない明るいお調子もので、意識と無意識の両方で人にじゃれつく。
容姿が血筋の中でもかなり整っているせいもあり、
そんな咲木の態度に、たびたびこうして男達が惑わされる。
咲木は、そのつど一番のじゃれつき相手である弓倉に泣きついてくるというわけだ。
「で、でも、いきなりそんなふうに断ったら可哀想だよ。
それに付き合ってみたら、本当に好きになるかも」
と、咲木が答える時点で弓倉は、
咲木はその男に好意なし、
試しに付き合ってみてもままごと程度で終わるだろうと予想する。
予想しておいて、
「そうだな、誘われたデートぐらいには応えてやれ。
お前、ひとに奢らせるの好きだろう」
と答えた。
本人がどれだけ自覚しているかはわからないが、
咲木が女として持っている壁はかなり高い。
高望みとかいう種のものではなく、
自分とぴったり合う相手でなければ異性として興味がもてない、本能だろう。
弓倉の知るかぎり、ままごとを超えて咲木と付き合えた男はいない。
「うん、そうだね、そうするよ。
でも、デートでの支払いはちゃんと割り勘にするからね」
電話の向こうでは、咲木がありきたりの結論におちついて満足している。
この妹に男として受け入れられるには、
本能のツボを押す何かを持つか、
あるいはそれらを全て壊せてしまうほどの何かを持つか、どちらかが必要だ。
「まあ、お前の性格からして必要な安全弁だからな、どうにかしろと言うわけにもいかん」
弓倉は呟く。
弓倉の頭の中で高志が立ち上がり、
自分を指差して僕は?僕は?と訊いている。
・・・これは分類するとツボの方だな。
弓倉は思考をさらに分け、その高志をえいっ、えいっと頭の縁のさらに縁へ追いやる。
「湊ちゃん、何か言った?」
「言ったが、聞こえてないならいい」
「うう〜、きになるよ。私のことなんでしょう?」
「うむ、お前のことだが役には立たん情報だ流せ、私も二度言うつもりはない」
「ああっ、湊ちゃんはどうしていつもそうかな?」
そして、続いていく会話。
弓倉は咲木の相談にひとつひとつ答え、
自分の問題はどうするかと、
頭の中でどうしても消えない高志を諦めてじゃれまわしていた。
少年、お前は私とどういう付き合いを望む?
理科準備室。
部屋の隅で屈み、資料の整理をしていた弓倉。
廊下の方からパタパタと軽い足音が聞こえてくる。
本当に軽い、覚えやすい特徴のある足音。
それがドアの前でとまり、コンコンと2回のノックがそれに続いた。
「先生」
確かめるまでもなく、高志の声。
「開いてる、入れ」
弓倉は部屋の隅で屈んだまま、返事をした。
「はーい」
静かにドアを開け、入ってくる高志。
一歩室内に入ってきて、
いつもの定位置である椅子に弓倉がいないのを見て、慌てたように首をふる。
「あれ、先生どこです?」
ふるふると振られる小さな頭。
この狭い部屋の中で懸命に弓倉の姿を求める。
「こっちだ少年」
時間にして数秒、
弓倉はそんな高志を物陰から見つめた後、声をかけてやった。
「あっ、先生♪」
目が合った瞬間、
それまで不安に包まれていた高志の顔が、一気にほころぶ。
「そんなところで何をやってるんです?」
嬉れしそうに、
さらにパタタタと軽くなった足音を立てて、近づいてくる。
「資料の整理だ」
「資料?」
「これだ」
弓倉は立ち上がり、高志の背を追い越すと、
手にしていた2冊の本を高志の両手に上から渡した。
「わっ」
どちらも百事典サイズの本。
手にしたとたん高志の腕が沈む。
「重いっ」
踏ん張る高志。
んーっと、力をこめて腕を上げ、本を持ちなおした。
「先生っ、これ重いですっ」
「それなりに値の張る本だからな、重くないとありがたみがない」
「前にも理科年表で同じこと言ってましたよ、先生」
高志はなんとか本の重みと身体のバランスをとり、本を抱えて弓倉を見上げた。
「そうだったか?」
「覚えてないんですか?」
高志は不満顔になった。
高志と弓倉がこうなるのに一役かったアイテムである。
弓倉は意地悪く笑って見せる。
「いや、覚えている。今の君のような顔を見るたびに思い出すだろうな」
「それって、どんな顔です?」
弓倉の笑みに、続く高志の不機嫌顔。
「そうやって、懸命に重い荷物を運びながら拗ねている顔だ。
ほら、鏡で見てみるか?少年」
「いいですっ」
「そうか、無理にとは言わん」
ぷくっと怒る高志の肩に弓倉は手を置いて、一緒にいつもの机と椅子に向かう。
「それから、少年じゃなくて高志ですよ」
「うむ」
「あー、先生、全然聞いてないですねっ」
「で、これは何の本です?」
「読めば分かるだろう、こっちに来い」
机の上に本を置き、高志と弓倉は並んで座った。
上下、高さにいくぶんの差がある肩をよせられる。
弓倉が見下ろすもとで、高志の手がのび一冊目の本を開いた。
「わっ」
と、いきなり驚く高志。
適当に開いた本のページには、人体の詳細な解剖図が載っていた。
あくまで絵であり、写真ではない。
それでも準備室にねむる専門書だけあって、
高志が本屋で見るような図鑑の漫画図とは比較にならない精密さであった。
「せんせ〜い」
よほどびっくりしたのか、高志は泣きそうな顔で弓倉を見上げてきた。
「なんだ、ただの図だろう」
「でも、知ってたら教えてくださいよ。
急にこんなの見たらびっくりするじゃないですか」
「そうか」
「そうです」
高志は口を尖らせた。
そして、本に目を戻す。
どうやら、本の内容自体には興味が出たらしい。
目、鼻、耳、そして各臓器。
ページをめくるごとに出て来るそれぞれの図を見つめ、図の下の説明を読んでいく。
「それで先生、この本はどうするんです?」
「備品の番号だけチェックしたら、もとに戻す」
「それだけですか?」
「それだけだ」
「なんか、もったいないですね」
「ほお、この本の価値が分かってきたようだな」
「いや、そういうわけじゃないですけど・・」
会話を交しつつ、
弓倉もまた数年ぶりに眺める本を目で追っていた。
それで思い出す。
たしかこの先は・・・。
「わっ」
そして、再び声をあげる高志。
そうだったな・・。
弓倉は胸の中でつぶやき、本から慌てて目をそらす高志の仕草を見つめていた。
開かれた本、
そこには男と女、それぞれの性器の形状が正確に模写されていた。
弓倉は囁く。
「どうした、見ないのか?」
「どうした、見ないのか?」
言っておいて、
弓倉は横を向く高志の前から本を取り上げた。
本は開いたままで、高志からは見えないように中身を自分の方にだけ向けて持つ。
弓倉にとってはなんということのない人体図だが、
自分が付き合う少年の目には禁止図書に描かれた毒だ。
・・・失敗したな。
弓倉は自分の失念を反省しつつ、まだ目を反らし続けている高志を見下ろした。
少年のなんとも気まずい顔に、帯びた熱。
頬に赤みがさし、
どこを見ていいのか困っている目があちこちふるふるとさまよっている。
弓倉は手もとの本をもう一度見た。
これを今の高志に見せつけたい。
そう望む自分をいやでも自覚し、自身にいいきかせる。
・・・失敗するなよ。
弓倉は、たがを何重にもかけ高志を呼んだ。
「ほら、もう大丈夫だからこちらを向け」
「先生〜ぇ」
振り返る高志。
それはもう、困りきった小動物の顔。
まずいっ。
弓倉の自衛ランプが点灯した。
とにかく、高志に完全に目を合わされ理性に負荷がかけられる前、
弓倉は本の背でそのやばい顔を押さえつけた。
「わっ、先生、何をっ?」
「今、そういう顔で私を見るな」
「そういう顔ってどういう顔です。僕、へんなこと考えてないですよっ」
「とにかくにしばらく待て。待てと言ったら待て、重要なことだぞ」
「うう、じゃあ待ちます」
高志はしぶしぶと言った声で答え、本の裏側でおとなしく待つ。
「でも、今日はずっとこのままって言うのはなしですよ」
「うむ、努力する」
言葉どおりに弓倉は努力した。
高志に罪はない。
あるのは弓倉の方で、それゆえに努力は一方的に弓倉に求められる。
「先生、まだですか?」
「まだだっ」
「・・・だいたい、これもただの図だろう。色気とはほど遠いぞ」
高志の顔に乗せた本を見ながら、
弓倉はつぶやくように言う。
少なくとも弓倉の大人の目から見れば、どうということのない図。
自分のつきあう高志はまだまだ少年であると、弓倉はあらためて思い至った。
同時に、その少年の恥らう表情にそそられている自分の性癖も思い知らされる。
「保健の教科書にも似たのが載っているだろう?
君はそれにもいちいち反応するのか?」
弓倉は、それらを振り払うために軽く少年に言った。
「教科書のはそんなに詳しく描いてないです。
僕だってこんなふうになりません」
拗ねた声で答える高志。
こんなふうとは、どんなふうだ?
その声と言葉に、弓倉は反射的に訊きそうになる。
自制。
自制。
自制。
弓倉自身、そんなふうになる高志を思いきり望んでいる。
「時間延長だ、少年。もうしばらくはこのままだぞ」
「えええーーっ、もうだいぶ経ちましたよっ」
「時間の流れは主観に左右される。
この場合、君と私の主観にはかなりの差があるようだ。
そして主観の差を埋めるには、やはり時間が必要だ」
「そんなこと言っているうちに、本当に僕が帰る時間になっちゃいますよ」
「うむ、むしろ、今日はもう帰ったほうがよいな」
「嫌ですよ、そんなのっ!!」
ぴょこっと、本の端から高志が顔を出した。
一生懸命な顔で弓倉を見て言う。
「その本、もう一度見せてください。ほら、もう、平気ですから」
弓倉の手から本が取られた。
高志はその本を机に開けなおし、じじっと女性器の詳細図を見つめてみせる。
平気そうな顔をつくって図を眺め、解説文を読み出すが、
ページをめくれば参考程度の挿入図があったりして、平気でなくなっていくのが弓倉にはよく分かる。
「・・・・・・」
弓倉のすぐ近くで、高揚している高志。
それを悟られまいと幼い演技をしているのが、また弓倉を刺激する。
弓倉は抑えきれず、高志の顔だけでなくそっと股間を上から覗き見た。
高志の少年の部分が勃ち、ズボンを持ち上げている。
「・・・・・・」
弓倉、
教師として最大のピンチ。
ついでに、言い訳できないほど明確に自分の真性さが証明された人生の折り返し。
ただの形容ではなく、
このあと数秒の判断と行動を誤れば、本当に戻れないところまで転げ堕ちる。
弓倉は綱渡りの気分で押さえた声を出した。
「少年、今見ているのが最後のページだ・・」
「そうですね」
答えた、高志。
葛藤する弓倉の目の下でぱらりとページをめくる。
生殖器の記述は確かに終わり。
章はあらたまり、生物の進化概要へ続く。
「ふう・・」
高志は火照った息をつきかけ、それを飲み込んだ。
平然を装い、弓倉を見上げる。
そして首をかしげた。
質問する。
「先生、その手はなんですか?」
高志の頭上、弓倉は片手をわきわきとあげていた。
「なんだと思う?」
「ちゃんとした答えがあるなら考えます」
高志はかしげた首をもどした。
見上げる目はそのままである。
「君の熱が冷めるまでになら、答えはある」
「熱?」
と、高志は弓倉が股間を覗きおろすのに気がついた。
頭の方がすっかり興奮していて、半身の変化にまで気がまわっていなかった高志。
そこで自身が勃起しているのに初めて気づく。
「わっ」
高志は慌てて股間を手で隠した。
それでも弓倉が見ているので、椅子ごと弓倉の机の下に深く入れて下半身そのものを見えなくした。
「先生っ、じっと見てたんですか?」
「そこまで、あからさまにされたらな・・・・。
女としては目を閉じるか、じっと見るかどちらかしかあるまい」
「じゃあ、閉じてくださいっ」
高志の顔はこれ以上なく羞恥に染まっていた。
自分に負けず、この日のことは人生の深い棘として残るだろう。
弓倉はそう考えると、幾分、胸がすっとした。
こういうものはやはり男女公平にわけあうものだ。
「だいたい、平気だから続きをよんだのだろう?愉しめたか?」
分け合うついでに苛める、弓倉。
当然、弓倉にもまだ興奮は残っている。
高志からは隠しているが、手もわきわきのままだ。
「どうせ・・」
苛める弓倉に、
高志はますます机に下半身を隠し身を丸めた。
ぷいっと、
弓倉を見上げていたくりくり目を横にし、拗ねた印で頬を膨らせた。
そして、せいいっぱいの反撃をする。
「どうせ、僕は先生みたいに見慣れてないですよっ。
先生は何度でもこういうの見てるから平気なんでしょ」
「当然だ。
理科教師が教材の図でいちいちそんなになっていたら話にならん。
授業もできん。」
弓倉はその反撃をかるくいなした。
そこへ戻ってくる高志の目。
「じゃあ本物は?本物も、何度も見てるんですか?」
今度は拗ねだけではない、深く入った嫉妬の色。
「なっ」
「僕のだって、平気で見てたし。・・・あるんですよね、やっぱり・・・」
高志は弓倉の返答の内容にに怯えながらも、じっと見上げて答えを待つ。
弓倉はさすがに躊躇した。
嘘をつくか、
ごまかすか、
考える。
僅かの間。
いつものように即答しない弓倉。
高志はそれを肯定の答えとして判断した。
「・・そうですよね、先生は大人なんだから、ありますよね・・・」
「う、うむ、まあな・・」
弓倉は仕方なく答えた。
嘘はつけない。
「・・ですよね」
高志は聞き分けのよいいつもの少年になった。
泣きそうに目を伏せる。
つぶやいた。
「・・何度もありますよね」
「まてっ、誰が何度もかっ!」
がっ!
弓倉は高志の頬を持ち上げ、引っ張りあげた。
すごい勢いでまくし立てる。
「確かに、君ほど清い身ではないことは認める。
が、その何度もという認識は間違いだ、改めろ。
君の頭の中ではどんな材料をそろえて、私の過去をつくっているんだっ?
それとも見るからに私はそんななのか?
ええいっ、ひとつひとつ否定してやるから、君の妄想を聞かせろ」
「わっ、先生、そんなに怒らないでっ」
「そこに直れ、少年」
弓倉は持ち上げた高志の顔をきりっと固定した。
自分から見下して、もっとも可愛く見える角度。
一度ではきまりきらず、数回にわけて微調整を施す。
「うむ」
「あの〜、先生」
「動くな、これから詰問するが君はこの顎の角度を維持して答えるように。
言っておくが、私は怒っているぞ。
女が怒っているときは黙って従うのが良いと、ものの本に書いてあることが多い」
「でも・・」
「ほら、動いた」
弓倉の指がきゅっと高志の顎を支持する。
片手で上下の位置のあわせ、片手で左右のずれを正した。
そのまま手を離さない。
じっと高志を見下ろして頷く。
「よし、この位置だな。覚えておこう。
君も身体で記憶しておけ、頭で理解する必要はない」
「うう、何のことか本当に分かりません」
「うむ」
弓倉は目を細めた。
教師でない弓倉の顔。
高志はごくっと唾を飲む。
「分からないことは知りたいな、少年。
が、知られたくないから、分からせないようにしておくこともある。
が、分からせないようにしてあることが、より不愉快な想像で固められているならそれを正そう」
それは弓倉の女の顔だ。
というか、素で怒っている顔だった。
それで、成分的には八つ当たりのにおいがプンプンする。
何か、今まで我慢してきたことを勢いで吐きつけようとする。
そんな悪寒。
「えっと・・」
「まず、最初に」
高志の言葉をさえぎって、弓倉がわざと声を重ねた。
「私は君に出会う前に、ひとりにだけ過ちを許した。
二人でも、三人でも、0.5人でもない、ひとりだ」
そして、
「・・・故にこの身は非処女だ」
悪寒の中で、高志の目に弓倉は真剣だった。
「先生・・・」
「知りたいならば問え、今はその時間だ」
「その人は、僕の知ってる人ですか?」
「君の知らぬ人間だ。
私も君もこの先も二度と顔をあわせることはない。・・・そういう人間だ」
「そうですか」
とりあえず、そこだけで高志は安心した。
そして、弓倉が高志の反応をじっとうかがっているので、自分は安心したと伝えたくなる。
「こ、こんなことしたら、もう悪ふざけじゃすまないですよ」
「そうだな、君のせいで今まで抑えてきたものが全部パーだ。
責任をとるつもりでこの脚をひらいてしまえ」
「僕のせいって・・・ああっ、先生、そこ、だめ・・」
弓倉の手、
とくに小指が高志の袋の裏側までまわりこむ。
もう少し伸ばせば肛門まで届いてしまいそうな位置。
ぴこぴこと動いて、敏感なところをノックしてくる。
「そうだ。罪があるのは私だが、こうなったのは君のせいだ」
「ああ・・うう・・」
あまった手で高志の腹をなでる弓倉。
やわらかな、優しい丸みを感じさせる高志の身体。
硬い張りなど存在せず、あてがう弓倉の手になめらかに馴染んでくる。
「気持ちいい身体だ、少年」
弓倉は思ったままのことを口にして、さらに高志の胸まで手をすべらせた。
罪なくちょんちょんとついたふたつの胸先。
罪だらけと自覚して指先でふれると、高志はさらに高い声で鳴いた。
「ひうっ」
弓倉はそのまま胸先を摘み、股間と連動させて小刻みに揉んだ。
「あっ、あんっ、先生っ、んんっ」
高志が肩を跳ね上げて身悶える。
両手をあげて股間と乳首を責める弓倉の手をつかみ、
閉じた脚どうしを擦りあわせて踵でシーツを蹴る。
「ほら、ひらけ。ひらくまで手は緩めんぞ」
弓倉が高志へ降伏を迫る。
高志は目隠しされた目で弓倉を見て言った。
「先生の意地悪ううっ」
「それでどうする?」
弓倉はさらに胸先を弄るリズムを速めた。
「ううううっ」
高志は腰をあげ、徐々に脚をひらいて弓倉に中まで見せていく。
「いい子だ」
「先生は悪い人ですううっ」
弓倉は、見る。
ふたつの脚の付け根。
その内側。
袋の表皮はつるつるとしたもので、
もちあげて裏側を晒すと、
その向こう、
尻の割れ目の中にある肛門まで視界に収まる。
「少年、君の歳はいくつだった?」
「・・歳・・ですか?」
「・・いや、答えなくていい」
言って弓倉は、裏側をむけさせた袋を指でころがした。
袋も、尻も、全くの無毛。
ペニスの根元の周辺に生えているそれらしい産毛も届いていない。
「先生・・遊ばないで・・」
言われて、弓倉は視界の外で弄っていた乳首を摘みあげる。
目は、股間を見つたまま。
摘んだ乳首をかるく捻り曲げた。
「はううっ」
声をあげる高志が腰をつきあげる。
脚はさらにひろく開かれた。
根元から硬まるペニスと、きゅっと肉をよせて閉じる肛門。
さらに、さらにと乳首を擦りたてると閉じた肛門は息をするように収縮を繰り返す。
「あっ・・あっ・・あ・・」
ひくひくひくっ・・。
「あうっ・・あっ・・あんっ」
ひくひくひくひくっ・・。
それは弓倉を誘う、無防備な動き。
まずい。
それは、やめてやれ。
初めての相手にすることではないぞ。
思いつつ、弓倉の手は、袋からそろそろと肛門へとスライドしていく。
「あー、少年、すまん、ひとつアドバイスさせてくれ」
「あっ・・あっ・・・こんな状態で・・先生?」
「力は抜いたほうがいいぞ」
肛門のくぼみの真中に弓倉の指が着いた。
「ああっ、そこはっ!!」
「すまん、挿れさせてくれ」
「えーーっ!!」
「先生、やだっ、やだっ」
「嫌なのは理解できる」
「できるなら、やめてえっ」
「すまん。これで君との関係が終わりになるかもしれないという覚悟だ」
「そんな覚悟しなくていいですからーっ」
「ふうう、欲望との戦いに負ける罪悪感でいっぱいだ」
「わわー、負けないでええっ!!」
「いくぞ」
言って、
弓倉はしっかり、一番長い中指を中へ挿れた。
「あうううっ」
高志の顔がゆがむ。
奥歯を食いしめ、眉の間に皺を寄せて横を向く。
脚はシーツをけり、手はぎゅっと握られてその場で固まった。
入った指は、まだほんの数センチ。
弓倉はもがく高志を見つめ、続きを根元まで埋めていく。
「うううううっ」
他人の尻の穴に指を突っ込むなど、もちろん初めて。
異物を押し返そうと、必死に自分の指をかみ締める肛門の圧力は考えているよりもひ弱だった。
逆らうのではなく、すがりついてくるのやっとという感触。
指は柔らかな高志の肉を擦って、進めたい方向に、進めたい分だけ自由に動く。
「あああぁっ、だめえ、先生、抜いてええっ・・」
指を半分ほど沈めたところで、高志はもう鳴き声をあげた。
ぞくぞくっ・・。
弓倉の背に言い知れぬ快感が走る。
「先生、お願い、許してえっ」
続けて声を聞いたとき、
正直、
弓倉から罪悪感がきれいにとんだ。
「少年・・」
高志をとことん躾けたい。
凶悪な感情が吹き上がる。
余った半分。
弓倉は、高志が鳴くのをしっかりと見据えて最後まで埋めた。
「あくううーーっ!」
そして、埋めた指ですぐさま捏ねる。
「んーーっ!」
さらに、微妙に挿し抜きも加えて非道をつくす。
「あーっ、あーっ、先生っ、許して、許してって、言ってるのにーーっ」
高志がどんなに哀願しても指を抜かない。
これまで絶対に誰も入ったことのない高志の秘肉を、自分が初めて踏みつける快感に酔う。
「先生ーーっ!」
高志が弄られる尻を大きく振った。
一緒に弓倉の目の前で流れるペニス。
弓倉は肛門の弄りにあわせて、ペニスにも手をだした。
根元のほうから手のひらで包み、皮の緩みを使って上下にしごく。
「ほら、ここも弄ってやっているぞ。男なら嬉しいだろう?」
「それよりも、お尻を抜いて、お願いっ」
「では、これならどうだ?」
言って、
弓倉はペニスの先に唇をつけた。
根元のしごきによって皮がずれるところへ、舌をつけて舐める。
「はうっ」
これには敏感に反応した高志。
弓倉は、ふっと目を細め唇をひろげた。
「あー、私も初めてしてやることだからな、技術的なことは期待するなよ」
すっかり悪女の口ぶりで、ぱくっと食いついた。
舌で、とにかく高志の反応が大きいところを探して舐めまわす。
「あっ、あっ、あううっ」
高志にも、初めてのフェラチオ。
直接、ペニスの皮の中を責められるのは強烈な刺激だった。
「ひあっ、ああっ、あんっ」
ひと舐めされるたびに、電流が貫ける。
そこに肛門の責めも混じってきて、高志はただただ鳴くしかなかった。
徐々にペニスへの愛撫を強めていく弓倉。
高志の鳴き声がどんどん高くなる。
「ああっ、ああっ、あああぅ・・・」
弓倉は唇を閉じてペニスを締めてみる。
ストローを使うイメージでペニスも吸ってみた。
「ひあっ」
やはり、可愛らしいい声で答える高志。
ペニスが弓倉の口内でより硬直し、肛門が指を噛む。
「先生〜」
呼ばれて、弓倉は唇を上下にスイング。
肛門からも一緒に擦り、
ペニスの根元のしごきも強めて、このままイかせてしまおうと試みる。
「先生、いやっ、いやあっ」
叫ぶ言葉とは逆に、脈打つ高志のペニス。
それは射精の予備動作なのか、ビクビクと茎全体で震え、弓倉の舌とぶつかる。
「先生っ、だめえっ、ああっ、僕っ、うううーっ」
高志が全身に力を入れて何かに耐えているのが、弓倉にも分かる。
その状態の高志に、弓倉は肛門の指の角度を変えて掻き毟る。
「ああーーっ」
高志は足を踏み鳴らし、ベッドを軋ませる。
「先生、お尻は許してーっ」
鳴き叫ばせながら至らせる、少年の絶頂。
肛虐に身悶えて許しを請い、そのくせペニスを弾かせようとする高志の姿は、
・・ああ、これが私の求めていたものか・・・、
弓倉の心の奥の奥までギチッと嵌まった。
・・絶頂けっ。
弓倉は念じ、高志のペニスに最後の一振りをおくる。
「あっ、先生っ、出ちゃうううっ」
浮き上がる、高志の腰。
数秒。
高志は歯を食いしばった後、こらえ切れず、弓倉の口に精液を吐いた。
「ああぁ・・」
その鳴き声、
いや泣き声が、弓倉が高志に与えた最初の絶頂の印だった。
口いっぱいに初めての精液を受け止めた弓倉。
「・・・・・」
無言で顔をあげ、
それから、
「・・・・・・・・・・・」
思い切り、洗面所にダッシュしていった。
「うええっ、これは不味いなっ」
ベッドに置き去りにした高志に、酷いありのままの感想を聞かせたのは、
がらがらぶくぶく、満足するまでうがいを繰り返した後。
そんなだから、
弓倉が部屋に戻れば、
自分で目隠しを外し、ベッドの隅でまるまって涙ぐむ高志。
けだもの・・。
弓倉を迎える目が、そう言っていた。
「ううっ・・」
泣いている高志。
近づく弓倉に距離をとり、シーツでお尻を隠して訴える。
けだもの。
けだもの。
けだもの・・。
「うむ、まあ、聞け・・、少年」
とりあえず、弓倉は言い訳だ
言い訳内容は、ベッドに腰をおろす間に考える。
で、
考えた言い訳が、
「はじめてにはトラブルが付き物だ。互いに貴重な経験をしたな・・・」
だったりしたから、
高志はますます泣いた。
「うっ、うっ、うくぅっ・・」
遠くから見ても分かるほど両目に涙が溢れだす。
「そんな・・僕・・いやって言ったのに・・・うっ・・うっ・・ううう・・」
本当の涙だ。
肛門を弄られたのは、相当にショックだったらしい。
これは、高志に一生残るトラウマを残してしまった。
自分のしたことに後悔する弓倉の心。
「すまん、謝罪する・・」
同時に、
「近づいてもいいか?」
自分が泣かせた少年が、また、たまらなく可愛いと思ってしまう弓倉の邪心。
「うっ、うっ、うっ・・」
高志に拒否されないのを確かめて、弓倉はどきどきとしながら少年によった。
「痛かったか?」
「少し・・」
返ってくる返事。
「今も、痛いか?」
「痛くないけど・・、中がまだごろごろしてます・・・」
拗ねながらも、弓倉の顔をちゃんと見る高志。
「私のことを嫌ったか?」
「そんなことは・・ないですけど・・・ばかぁ・・」
望む答えまでくれた。
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・」
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・」
「・・・・・・・・」
「うっ、うっ、うっ・・・・なんです?・・先生・・じっと見て・・・」
「可愛いな、君は」
「そんなこと言われても、嬉しくないです・・」
「うむ」
弓倉は自分の中で盛り上がるスパークを表に出さないようにして頷く。
そしてゆっくりと、背に手を回しブラのホックを外して、カップの中身ずらして見せた。
「・・・・・あ」
先は見せなかった生の乳房。
高志の目が釘付けになる。
さらに弓倉は完全にベッドにあがり、高志が見つめる前でショーツも引き降ろした。
可愛い少年に、大人の裸を見せつける。
「続きだ、今度は最後までするぞ」
高志に手を伸ばす弓倉。
高志が包まるシーツを剥いだ。
まだ、先が濡れたままの高志のペニス。
弓倉の乳房と秘所を見て、さっき以上に勃起する。
「そんな縁にいてはやりにくいだろう。もっとこっちに来い」
弓倉が、そんな高志の足首を掴む。
一息で自分の下へ引っぱり込み、上からかぶさった。
高志の胸に自分の乳房をのせ、脚を絡めてすり寄せる。
「そんな、急に、あっ・・・」
やわらく潰れる大人の乳房。
全身で触れ合う素肌。
弓倉の秘所に生える毛が、高志のペニスにかかり淫やらしくくすぐる。
どれもが高志が初めて知る本物の感触。
弓倉が涙のたまった高志の目じりにキスすると、
高志はそれだけで、泣き顔を、鳴き顔に変えた。
「ひあっ」
「どうした、まだ何もしてないぞ」
言いながら、弓倉は高志を抱きすくめる。
その間、僅かに肌が擦れあうだけで、高志には十分の快感。
弓倉の身体に、自分が溶かされてしまうかと思うほど感じる。
「あっ、先生っ、なんか、すごくっ」
「すごく、なんだ?」
弓倉は、訊ねながら高志のわき腹を手で撫でる。
「あうんっ」
「なんだ?」
弓倉はさらにわき腹を撫でた。
高志はよがってうねり、必死に答えた。
「ひああ、ああっ、だめっ、気持ちいい」
「そうか、ならば安心だ。ここで君に不快と言われたら、深く傷つくところだった」
それは弓倉の本心。
そして、安心したところで一気に責めを加速する。
高志の涙を吸った唇を肩口へ落とし、そこから胸まで移す。
中心よりやや左側。
唇に高志の鼓動がはっきり感じる。
弓倉はもうひとつの手で右側の乳首を引っ掻いた。
「ああっ」
高志の喘ぎは間違いなく快感で弾かれるもの。
心臓の鳴りも熱い。
弓倉は左の乳首を口にふくむ。
たっぷりと舐めつけ、噛みほぐした。
「あっ、ひうっ、くううっ」
弓倉の耳に、またしっかりと高志の悦ぶ声が聞こえる。
「先生っ、そんなに噛んだら跡が、あんっ、残っちゃううっ」
「大丈夫だ、証拠は残さないように手加減している」
「う、うそっ、先生、いっぱい噛んでる」
「そう思うのは君の身体が未熟だからだな。なんでも初めてのことは大げさに感じるものだ」
「あっ、あうううっ、だめ、本当に残っちゃううっ」
「大丈夫だと言っているだろう、目上の言葉は信じろ」
「じゃあ、先生、こんなことするの慣れているんですか?」
「馬鹿を言うな、慣れているわけないだろう。ここまで近くにいて、この夢中さが分からんのか?」
「ああんっ、また言ってることが違う〜」
言いながら、
高志はびくびく身体をしならせる。
「違わない、違わないから安心して声をあげろ」
言って、
弓倉は右の乳首に口を移した。
ちらっと見る限り左側に歯型は残っていない。
ほら、やはり大丈夫じゃないか。
弓倉は、自身安心した。
安心したので、今度はよりしっかりと新しくふくんだ乳首を責め立てる。
「あーっ、あーっ、先生っ、さっきよりもきつい、きつくなってる〜」
「その分、君の身体も悦んでいる。そうだろう」
弓倉は乳首を挟んだ歯でクッと持ち上げた。
「あうっ」
その状態でカツカツと甘噛み。
ぱっと放してから、舌で大きく舐め上げる。
「ひあっ、あうんんっ」
それから胸の真中に頬刷り、
さらに高志をひっくり返して背中にも頬刷り、
育ちきるまでまだまだの、高志の肌の感触を自分の肌になじませる。
「少々狭いが、いい肌だ。落ち着くぞ、少年」
弓倉は言い、
抱き枕を扱うイメージで片手をまた高志の胸まわりにまわした。
ころころと乳首を爪弾いて遊ぶ。
「あん、先生、また・・」
「ここだけではないぞ」
そして、もうひとつの手は高志の下腹部へ。
勃起したままのペニスを絡めとり、皮の部分を前後に往復させてしごき始める。
「・・んっ」
「もう一度イかせてやる。
さっきは顔を近づけぎて君の全体の様子が見えなかったからな、こんどはその瞬間を見せてくれ」
「こんな格好で、あっ、僕だけ・・・」
「そう君だけだ、楽でいいだろう」
弓倉は、高志が亀の体勢から戻ろうとするのを押さえつける。
背中の肉を唇ではもはもし、語りかける。
「正直、君の身体で精通しているとは思わなかった。
こちらの油断とはいえ、口の中に出されたのだ、それなりの報酬はもらう」
「もらうって、先生が勝手にやったのに〜」
「ことわってから行ったら気恥ずかしいだろう」
弓倉はいつものごとくあっさり答えた。
それよりも・・・、とずいっと背中から圧力を加えて問う。
「少年、君はいつ精通したんだ?君の歳にしては早くはないか?んん?」
「そんな恥ずかしいこと聞かれても・・」
答弁を拒否する高志。
「恥ずかしくても答えろ、気になるだろう」
「いやです〜」
「ほう」
弓倉は、高志の背筋を舐め上げた。
「ひあんっ」
ペニスと乳首を擦る速度を速め、わりと真剣に問う。
「まさかとか思うが、少年。すでに経験があるわけではないだろうな?」
「わるわけないです。こんなの、先生とがはじめてです」
「うむ」
先生とがはじめて。
その言葉の響きに、ひとつ身震いする弓倉。
「では、精通は自然によるものだったんだな?」
世界中の少年が嫌がる質問を勢いに任せて続けた。
「それは・・・」
「それは?」
弓倉は、今度は背筋を舐め下ろして責める。
「はううっ」
そして、可愛らしい腰をはもはもしなおし、そこから背筋を舐めあげるという往復。
「くうぅっ」
簡単に身をくねって悶える高志が、秘密を吐くまで何度でも楽しんで繰り返す。
「ひああっ、先生、だめえっ、背中はくすぐったい、ああぁ・・」
「だったら、さらっと答えてしまえ。
こちらが求めているのは些細な情報だ。
言ってしまえば、たいしたことはなかったと思うことにすれば口も割れやすいぞ」
「先生っ、ホントに背中は、あんっ、変に、あんっ、ふああっ」
どこを責めても感じる囚われの高志。
中でも背筋は、快感とくすぐったいのが入り混じった耐え難い感覚があるらしい。
弓倉はこのまま高志の手足を縛って、残りの一日、背中をずっと苛めてみたい気分にもなってきた。
同時に、ペニスもまた硬く勃起している。
身悶えさせながら、連続で搾る。
鳴いても、鳴いても手を止めない。
高志が吐かないならそうしてしまえ。
黒弓倉の頭で、どんどん淫やらしい考えが加速する。
「さあ、どうする少年?」
「あうう・・」
その空気を感じて、高志はおちた。
「ああっ・・んんっ・・・自分で・・したときに・・・あん・・でた・・・」
「なるほど」
弓倉の唇が、今度は腰を噛む。
目の先に、自分が嬲るペニスがある。
指で挟み押してやると、出口に透明の雫ができた。
「君の年頃で、もうそのような事をしているのか・・。君自身は、いつ自慰など覚えたのだ?ついでに吐け」
「そ、それは・・」
「それは?」
弓倉は腰からわき腹にかけて舐める。
「ふああっ」
背中同様に弱いところだったらしく、高志はえびになって悶えた。
ペニスの雫が振られて、シーツに垂れる。
高志は、自分を舐める弓倉に顔を見せて答えた。
「せ、先生と合って、キスしたりするようになってから、です・・」
「ほう・・、さらに詳細を求める権利が私に発生したか」
弓倉の目がまた悦ぶ。
で、口では苛める。
「それは私をいわゆる"おかず”に使ったという事だな?そうだなっ?」
「は、はいっ、ごめんんさいっ、はんんっ」
「謝罪は必要ない。それよりも内容だ。
君の行った自慰の中で、私はどのように扱われたのか?そこが重要だ」
「どうって言われても・・・、それは普通に・・もっと先生と一緒にいるところを想像して・・」
「一緒にいて?それでどうするんだ?」
「みんなにバレないから安心してたくさん話をして、
僕のほうから先生の頭を撫でたり、あんっ、キスしたり・・・」
「ふむ、それだけか?」
「それから・・・」
「それから?」
「先生の方から僕に・・・、好きって言てくれるのを考えて・・・あっ」
言って、高志の瞳がきゅうっとなった。
ペニスも一緒にきゅっとなる。
雫がいくつも続けて生まれ、びゅっと後から出た精子に弾かれた。
「くううぅ」
可愛らしい、高志の絶頂。
弓倉への告白で、イってしまった。
ふるふうふるぅ・・。
男の子である快感で、いっとき震える高志。
それから最高の恥辱に顔を隠し、シーツに擦りつけて泣く。
「・・・ううっ、先生のバカバカ」
が、ここまでてしまった弓倉に容赦はない。
射精したばかりのペニスを変わらぬペースでしごき、
伸ばした指で垂れた精液をひろい、敏感なペニスの皮のない部分に薄く塗り広げる。
「あっ、あんっ」
たまらず、高志は反応。
上げさせられたお尻を、やはり、ふるふるさせる。
弓倉は、高志の頭の後ろで問い詰めた。
「それで少年、この頭の中で、そんな私を次にどうやって扱っていたのか?聞かせろ」
「次なんて・・・」
「ないと言うのか?」
弓倉は高志のペニスを弄ったまま、上体を引き上げた。
いやがる高志の顔は、簡単にシーツからもちあがる。
膝立ちの四つん這いから、弓倉の前で脚を広げて座る体勢になる。
弓倉は、高志の顎を空いた手でつまんだ。
「先生、やっ」
そむけようとするところを強引に自分にむけた。
唇を奪い、高志と目をあわせる。
「うぐっ」
こうすると高志は弓倉から逃げられない。
弓倉の高志に関する知識の中のひとつ、
"キスをすると高志は自分から切るということができない”が、しっかりと利用される。
唇を割って舌を入れれば、顎を支える手も必要ない。
弓倉は両手でペニスを弄り、直に接した舌で尋問する。
「さあ、君は君の造り上げた私で何をした?」
「何って・・、本当になにも・・・」
「隠さなくてもいい、むしろ、今の君に隠す権限はない」
弓倉は高志の答えに期待する。
「でも・・、本当に・・」
「むっ、本当にか?」
「はい、本当に・・・」
が、想像していた答えは高志からは出ない。
黒弓倉は、追求する。
「いや、健康な男子なら夜な夜な考えることがあるだろう。それだ、それを言ってしまえ」
「夜な夜なって、先生、言い方が・・・」
「裸で抱き合い、唇を重ねている相手に遠慮などいらん」
「裸・・・」
弓倉に言われ、高志はあらためて今の状況を自覚した。
肌と肌が直接ふれあっている。
背中にあたっている柔らかなものは、まちがいなく弓倉の乳房。
ふたつの胸先のとがりまで、しっかりと感じられる。
弓倉もそれを分かっていて、強く高志をひきつけた。
自分より小さな高志の背中で、両胸を擦り潰す。
「あ・・」
高志がもらす喘ぎ。
ふたつの手でぺニスを弄られたのとは、違うゾクゾク。
・・抱かれる。
その包みこまれる快感。
高志は、くてんと堕ちかけた。
弓倉に全部を預け、されるままになりかける。
「で、どうなんだ?」
そこに、繰り返される質問。
高志は、残った意思で答える。
「本当にないです。
だって・・・、学校の先生をそんなふうにするなんて、普通、考えないですよ」
それで、弓倉を見た。
逆に問う。
「先生は僕のこと、こんなふうにしたいって考えてたんですか?」
「ああ、考えていた」
高志が予想していなかった、弓倉のストレートな答え。
「君の唇を奪ったあの日から、夜な夜な、こうして裸にして弄ぶことを考えていたぞ」
「僕を・・」
「ああ、君の小さな身体を自由にして、君の知らない淫やらしいことをしまくることだ」
「そんな、僕、先生の生徒なのに・・」
「私の少年だ」
弓倉は再び高志を寝かせた。
仰向け。
上を向かせたペニス。
その上に、脚をひろげて膝立ちになった。
「先生・・・」
「最後までしてしまおうか、少年」
見下ろす弓倉。
腰を下ろし、自分から入り口を高志に近づける。
ペニスと膣を触れさせ、とめず、奥へ沈めていく。
「あ・・あ・・先生・・」
高志は、弓倉へ入っていく自分を見る。
ペニスが入り口の肉で締められる感触。
そして、中の肉で占められる感触。
そして、あの先生とついにしてしまったという気持ち。
あわさって声が震えた。
「ほら少年、君のが全部入ってくる。最後まで・・・、あ・・・来るぞ・・・」
「先生・・僕達・・・」
「うむ・・・ついにしてしまったぞ・・・悪いことだ・・・が・・・・」
そして、弓倉の下肢が完全におりる。
弓倉の性器が高志の根元まで包み、その僅かな衝撃で、互いを淡い喘ぎで鳴かせた。
「あんっ」
「うっ」
高志は弓倉に手を伸ばす。
弓倉は走った快感に髪を振り、その手を握った。
「動くぞ」
「はい」
そのまま、ふたり一緒に身を揺らす。
「あ・・・あ・・・ん・・・・」
「む・・・ん・・・う・・・」
濡れていく結合部。
膣がペニスをこすり、ペニスが膣をこすり、手は握りあう。
「先生・・・あ・・もっと近くに来て・・ください・・」
「こうか?」
騎乗位の姿勢から、覆いかぶさる姿勢へ、移る弓倉。
握りあった手が高志の顔の両側に着き、遅れて、弓倉の顔が高志の目の前にくる。
そして、もう何度目かのキス。
弓倉のほうから深く入り、中を掻き、離して頬をついばむ。
そこから再び唇に戻ると高志が思うところ、弓倉の顔はそれ、首筋を舌が這っていく。
「あ・・あ・・・先生・・これは近すぎっ・・」
「繋がった状態で催促しておいて・・これくらいは当然・・だろ・・・」
弓倉は高志の耳まで唇を動かす。
丁寧に舐め、噛み、
両手をつかまれた高志がいやいやと首をふるのも使って、左右両方から囁きかける。
「ほら、もっと近づくぞ」
言って、弓倉は下肢を絡めた。
上も下も、邪魔なものは何も入れさせないほど密着し、少年の最初の性交をむさぼる。
「先生・・だめっ・・気持ちいい・・」
「そうか・・なら文句をつけるな・・」
「でも・・僕・・このままだと・・・先生の中で・・あんっ」
「今日だけ特別だ・・・気にせず、出せるだけ出せ・・」
「でも・・・あっ・・でもぅっ・・」
「む・・う・・・いいから・・私も話すのがきつく・・・んくっ・・」
弓倉は、会話をうちきった。
高志に絶頂へのぼる許可を出し、自身も予想以上の快感に全てをゆだねていく。
「ああっ・・はうっ・・先生っ・・先生っ・・ああんっ」
「・・ふ・・・く・・」
「先生っ・・出しちゃうっ・・出しちゃいますよっ・・」
「・・・・・・・・」
「先生ーーっ」
高志の腰が強く浮いた。
ペニスが若い精液を噴き、膣壁を叩く。
熱い精。
膣が満たされ、弓倉も思いもかけず一緒に絶頂った。
痺れが下肢と背筋を貫き、それに押されて抱いた少年にすがりつく。
「先生、そんなにくっついたらもっと奥にいぃっ」
続く射精。
身体ごと絡められたペニスは、ふたつ、みっつ連続して口を開いて弓倉の本能に応える。
とまらない。
とまらせない。
「あっ、あっ、先生っ、僕、中に本当にいっぱいっ」
聞こえる高志の声。
それも余計に弓倉を高ぶらせ、弓倉にむけて口を開いた。
「・・・・・・」
「?先生、聞こえないっ」
「・・・・・・」
濡れた唇。
ぼーっとした眼。
唇の向こうの歯が微かに見せ、首と肩の真ん中に降ろした。
「先生、先生っ??」
がぷうっ。
「痛ーーーーーーーっ!!!! 先生、噛んでる、噛んでるーーーーーーーっ!!!!!」
「先生、だめーーーーっ」
それまでとは違う意味でもがく高志。
下から弓倉を突き上げ、ひねり、声をかけるが、弓倉は正気にもどらない。
逆に握られた手の甲に爪が深々と入ってくる。
「たーーーーーーーっ!!」
背を反らして高志。
足をばたばたさせながら、その他は硬直。
他にどうしようもできず、弓倉の戒めが緩むのを待つ。
「せんせーの、ばかーーー」
そして数分。
「・・・ふう」
ようやく弓倉が息をつくと、自分のには、またもや涙目で拗ねる高志がいた。
「あ・・・・すまん、よもや初めての君にイかされるとは思わなかったので、不測のな・・」
「ううううっ」
「ううううっ」
泣いちゃった目で高志は怒る。
寝たまま、弓倉を見上げて怒るので、いっぱいまで溜まった涙がぽろりと流れた。
「うっ」
「あうっ」
ひとつの涙に声をあげる二人。
「すまん、また泣かせてしまった」
「こ、これは、泣いてるのとは違いますっ」
弓倉は急ぎ鞄からハンカチを取り出し、高志は慌てて両手で涙をこすり隠した。
「拭いてやるから手をどけろ」
「いいですっ、泣いてないですからっ」
弓倉の手をさけながら、両目にこぶしをあてる高志。
だが最初の涙が張りを壊したのか、水気が滲み出してとまらない。
本人は泣いているつもりはないのだが、手を離すとしっかりとした涙となってこぼれてしまいそう。
「分かった、分かった。どちらでもいいから顔を見せろ」
「今はだめです、ちょっと待ってくださいっ」
「素手でそんなにこすると目の周囲が荒れてしまうぞ。ほらっ」
「む〜」
高志、さっきとは違う意味でごろごろ。
迫る弓倉のハンカチから逃げて、いやいやをする。
「こらっ、いいかげんにしないと、」
困る、弓倉。
高志にこんなポーズをされると、理性で抑えているものがまた誘われてしまい・・。
「・・また襲いたくなるぞ」
「うわっ、だめええ!」
「よし」
弓倉は、高志が本気で危険を感じて手を離したところを捕まえた。
やはりまだ濡れていた顔にハンカチをあてる。
「ふう・・、危ないところだった」
「本当ですぅ」
今度は素直に拭かれて、高志。
唇を尖らせる。
「もう痛いことしないでくださいね」
「うむ、努力しよう」
「努力じゃなくて絶対・・・、うう、手に先生の爪痕がついてるし」
「うむ、事実を伝えると、首にも私のキス痕がしっかりめに残っている」
「えええっ」
高志は首筋を押さえた。
部屋の中の鏡を探し、弓倉がこれまた鞄から出した手鏡をわたす。
「うわあ、歯型〜」
「少年、こういうときはキスマークと表現したほうが好感をもたれるぞ」
「でも、これは歯型です〜」
「あくまでも線引きするか・・」
「先生、ごまかしてないで謝って」
「すまん、繰り返し謝罪する。痛かったな?」
「すごく痛かったですっ。ああ、これお姉ちゃんに見つかったらどうしよう」
「・・君の家では、姉が君のボディチェックを行なうのか?」
「そんなことないけど、うちのお姉ちゃん、僕が怪我をして帰るとすぐに気がつくから」
「そういう勘のよさはまずいな」
「見つからないようにしないと・・」
「うむ、適当な推理だが帰宅するころには痕も薄まっているだろう。懸命にのりきれ」
「ううう・・、バレたらふざけて友達に噛まれたことにします」
「嘘をつかせるのは不本意だが、むう・・、本当にすまなかった」
「もういいです。もう怒ってないですから」
「そうか、少年の心の広さに感謝だ」
「感謝するなら、高志って呼んでください・・って、先生」
弓倉は高志にぎゅっと抱きつく。
鏡を放させ、鞄に放り込むと首の噛み痕をぺろりと舐めた。
「今後、傷を残すようなことはしない。約束しよう」
言い、また高志の身体をまさぐり始める。
「先生、またするんですか?」
「優しくするから、いいだろう?」
「あっ、ああん、先生っ」
「では、改めてここからいこうか」
「ええっ、また四つん這い?どうして・・」
「この姿勢だと君からは責められないだろう。それがいい」
「そんな理由だったら嫌ですっ。ちゃんと前を見させてくださいっ」
「追加すると、君がそうやって嫌がるところもいい。そそる」
「やっぱり先生は変です。変態ですっ。ひあっ、またお尻さわるし、あっ、先生っ、挿れちゃだめっ、だめですよっ」
「今度は撫でるだけだ。自粛する」
「本当にですよっ、挿れたらまた怒りますからねっ、あっ、ちょっとっ、そんなふうに圧したら入っちゃうっ、あっ、ああっ」
「騒ぐな少年、さわっているだけ、さわっているだけだ」
「嘘っ、挿れようとしてるっ、してるでしょうっ!」
「していない、これ以上ない優しい指使いだ。そうだな、優しすぎてやや気が焦るぐらいだ」
「ああっ、真ん中はだめえっ、そこは優しくしても圧したらっ、ああっ、うううっ」
「ほら、こちらもしごいてやる。なんなら口もつかってやろうか?」
「そんな事いいですから、ちゃんと、ちゃんとしましょうよっ」
「もちろん手順を踏みなおした後にちゃんとするぞ。
私としては、種切れになってがっかりさせられないことを祈っている」
「だったらすぐにっ」
「却下」
「あああっ、先生っ、反省してないでしょうっ、僕が怒ったこともう忘れちゃったでしょうっ!!」
「反省してるし、覚えてる。一生忘れないと自分で予想できるほどだ」
「だったら、先生っ」
「故に君が泣いたり怒ったりするラインが見えた。役立てよう」
「うわわわーん」
「ところで、少年」
「なんですぅ」
「この指、やはり少しだけ挿れてもいいか?」
「絶対、だめーーーーーーーーーっ!!」
高志を傷ものにした事実はひとまず棚上げ、きっちり愉しみなおそうとする弓倉。
高志は鳴きながら、一から弄りなおされていく。
「しかたない、先にイかせてから交渉しよう」
「だから、あっ、あっ、あっ・・」
「ほら鏡を見ていろ。君の淫やらしいところが良い角度で映る」
「そういうのなしで普通に、あああんっ」
ピー、ピー、ピーッ。
そして時間。
カーテンの向こうの太陽はまだ十分に高く、夕方にかかるにはまだ早い時刻。
それでも教師と生徒である2人には帰らねばならない区切りであると、
部屋の時計にセットしておいたタイマーが響く。
「時間だ、帰るぞ少年」
言う、弓倉の晴れやかな声。
既に衣服をぴっちりと着なおしており、腕に外していた時計を巻いていたところ。
「うむ」
これは、その腕時計とタイマーを鳴らしている時計がぴったり同じ時間を指していることへの満足の頷きで、
時計をした側の手でタイマーを止め、
忘れものはないかと鞄の中と外とを点検し、
鏡の前で髪の崩れに最終チェックをいれ、
そこまで待っても、まだベッドの中でしくしくやっている高志からシーツを剥ぎ取る。
「時間だと言っているだろう、少年」
「だって先生、あれから優しくするって言ったのに、お尻と前をまた一緒に〜っ」
涙ぐむ高志は、まだ服を着ていない。
裸で背をまるめ、弓倉にいっぱい苛められた部分を手で押さえている。
弓倉は奪ったシーツをはたき、ベッドの端に丁寧にたたみながら言う。
「そういう事実もあったが、そのたびに謝罪した。足りないというのなら帰りの車中で謝ろう。
とにかく今は服を着ろ。万全を尽くし、この部屋に入る前の姿に戻せ。
時間の遅れや衣服の乱れは、君の姉の勘を敏感に働かせるのだろう?
この場合、その勘というのは事実だ。
君の姉にそれなりの意思をもって迫られた場合、
私はごめんなさいと言うしかない上に、ごめんなさいでは済まない事態になる。
君と関係をもったのは、ほぼ100%私の責任であるから誰を恨むこともしないが、
少年が今、泣きやんで、しゃきしゃきと動いてくれることで危機をさけられるのなら、是非そうして欲しい」
「うう、着ますよ。僕だって、先生がいなくなったら嫌です・・」
高志は、小さな手のこぶしの裏で涙を拭く。
「少年の広い心と判断力に感謝する。次は優しく扱うように努力しよう」
「先生はそう言って、お風呂とベッドで何度も苛めたから信用しません」
「その気持ちは分かる。
口約束ばかりで、行動に抑制が伴わない大人というのは始末に終えん。
自分の事だから言うが、機会があったら切り離したほうがいいぞ」
「離れたりしたくないですから、先生のほうでちゃんと努力してください」
高志はまるまった背を起こし、弓倉に言う。
「うむ、努力しよう」
いまいち信用できない、弓倉の返事。
「お願いしますよ」
それでも、それ以上の追求は無駄なので、高志は承諾して自分の服を探した。
話が終われば、弓倉の言うとおり早く着替え、余裕をもって家に帰らなければならない。
まずはパンツ。
確か、弓倉に脱がされて、ベッドの外に捨てられた。
えっと・・。
高志は記憶をたどり、ベッドの外を見回した。
ない。
ベッドの下にはいっちゃたかな?
高志はベッドから身を乗り出して探す。
「探し物はこれか?」
と、高志の頭の上で言う弓倉。
高志が頭をあげると、高志の白いパンツがしっかり、弓倉の手で広げられていた。
「それっ、僕のパンツ!」
「うむ、そう認識して確保しておいた。さあ、時間が惜しい、君の着替えを手伝おう」
「いいですっ、自分で着られますっ」
「君の能力の問題ではない。私の嗜好の問題だ」
「やあっ、先生、恥ずかしいっ」
「さあ、脚をのばせ、私に任せろ。優しく着せてやる」
「やーめーてーっ」
その後、着せられ人形にされる高志。
靴下まで丁寧に履かされ、髪の毛のお子様セットまで施された。
「よし、終わりだ」
「うう、僕の髪の毛、こんなに綺麗にそろってなかったです」
自分の頭をくしゃくしゃと乱す、高志。
「なにをするっ、せっかくそろえたものをっ」
「うん、これくらいです」
「いや、これは乱れすぎだ」
「外で遊んで帰ってくるんだから、これでいいんです」
「むうう」
「それに帰りの車の中でも、僕は小さくなって隠れるんでしょう?どうせ、また髪の毛もくしゃくしゃになっちゃいますよ」
「それだったら、今はきっちりセットしておいてもいいという事になるな」
「先生っ、時間がないんでしょっ。早く帰りましょう。先生の鞄は、車まで僕が持ってあげます」
高志は、弓倉の手を離れて弓倉の鞄を持つ。
「ち、仕方がない。今日のところは妥協しよう」
弓倉は従った。
「はい、そうしてください」
高志は言う。
それから、弓倉の様子を確かめつつ、付け加える。
照れて、恥ずかしそうに。
「次、こういうことをするときに先生のしたいこと、・・・させてあげますから」
「む、次か」
「あっ、でも優しくですよ。無理やりはなしで」
誘いすぎたと、高志はわたわたと条件をつける。
そんな高志に、弓倉は、むうと唸ってから答えた。
「少年の心遣いはありがたく受け入れるが、次の機会というのはしばらくないぞ。
具体的に時間であらわすと、数ヶ月単位でだ」
「ええっ、そうなんですかっ?」
「もっというと、学校の授業以外で顔をあわすことも一週、いや二週はできない。
この予定は長くなることはあっても、縮むことはない」
「な、何でですかっ?」
「研修で出張とその準備だ。担任を持っていない分、こういう仕事が増える」
「そんな、だったらもっと早く教えてくれれば・・」
「教えてやっていればどうなんだ?嫌がらずにもっと搾らせてくれたのか?」
弓倉は、にやっと笑う。
「そうじゃなくて、ああ、もうっ」
高志はどう答えていいか分からず、弓倉の鞄をゆすった。
弓倉は高志の頭をなでる。
「私だって、今日がどういう日になるか分からなかったんだ。
かなりの割合で、君との関係が終えることも覚悟してた。
そんな状態で、今日より後の予定を伝えるタイミングをつかむのは、かなり難しい」
「僕は、先生と終わるなんて全然考えてませんでしたよ」
「君のそういうところが怖い」
「怖い、ですか・・」
高志は弓倉の言葉の意味を知ろうとして、その顔をあげた。
逆に、弓倉は自分の表情を見せないように高志の頭をおさえる。
「ふふ、怖いが、魅力だ。
うむ・・・、次は少年を好きなだけ弄んでいいんのか。
本人の許しが出た以上、それを楽しみに数ヶ月を過ごそう」
「わ、わ、好きなだけなんて言ってないですっ」
「うむ、楽しみだ。今日出来なかったことしよう。色々あるぞ」
「先生っ、先生っ」
「さあ、本当に帰るぞ」
弓倉はドアに向かって歩き出す。
「待って、先生っ、話は終わってないですっ」
追いかける、高志。
懸命に追いかけて、弓倉の傍らで背伸びをして、歩く。
帰りの車中。
「それにしても先生、ずいぶんすっきりした顔してますね」
「今までの半生で溜めていたものを現実的手段で吐いたからな。その分は晴れやかだ。
とりあえず、少年が心配する明日からの数週間分は確実にもつ」
「そうですか・・」
「よって私は無問題だから、君は君でもたせろ。頼むから授業中におかしな視線を送るなよ。できれば浮気もな」
「浮気よりも授業の目の方が順位が高いんですね?」
「健全さからつけた順だ。君の実行しやすさとも一致する」
「うう、先生こそ浮気はなしですよ」
「うむ、うむ、信じろというのは容易いから言おう。信じろ」
「よけいな前置きはつけないでくださーい」
「それよりも頭をさげろ。街にはいるぞ」
「はい〜」
最初の関係が終わり、その後の関係がすでに固まりつつあった。
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