- 2013⁄10⁄30(Wed)
- 02:19
yuuki
病室のべッドに横たわるタケルは、頬のところが少しふっくらして見えた。
両手に大きなギプスをしている姿は痛々しいけれど、顔色は悪くない。
「スゲエかっこだな。タケル」
わたしと同じく驚いた顔をしたリョウが、大きな声を出した。
「大声だすな、バカ。ここ病院だぞ」
タケルはそういいながらも、ちょっとうれしそうに笑った。
リョウとタケルは二人で悪さばかりしている遊び仲間だ。二人で自転車に乗って暴走していたとき、タケルがコケてケガをした。
両腕の骨を折り入院中だ。
「二階堂も・・・来たんだ」
わたしの顔を見たタケルは、一転して、おかしなものでも食べたかのように複雑な表情を浮かべた。
「悪いかよ」
わたしはそういいながらも、口の端でちょこっと笑うふりをした。
笑顔、には見えなかったかもしれないけど。
ケガをする前の日、タケルと大喧嘩をしていた。
髪を短くして、半ズボンをはき、自分のことをオレと言うわたしに、タケルは何かというと突っかかってくる。
たいていの子は、見た目男の子のわたしにも、もう慣れっこなんだけど、6年生になって転校してきたタケルは、わたしとどう接していいかわからないみたい。
結局、いつもけんか腰になってしまう。
その日も何が原因だったか、口げんかになって、挙句の果てに「おまえ気持ち悪いんだよ。すこしは女らしくなれよ」と言われ、ぶち切れたわたしはタケルと取っ組み合いになった。
先生に引き離されるまで、わたしは馬乗りになったタケルに頬をバシバシと殴られ、わたしはタケルのわき腹に拳を捻り込ませていた。
男の子とは年中ケンカしているけど、あそこまで激しく殴りあったのは初めてだった。
「石田、顔はやめとけよ。二階堂もいちおう女の子なんだぞ」
引き離すとき、石山先生がタケルにそう声をかけた。そのことが腹ただしくて、わたしは先生の顔までにらみつけた。
両手に大きなギプスをしている姿は痛々しいけれど、顔色は悪くない。
「スゲエかっこだな。タケル」
わたしと同じく驚いた顔をしたリョウが、大きな声を出した。
「大声だすな、バカ。ここ病院だぞ」
タケルはそういいながらも、ちょっとうれしそうに笑った。
リョウとタケルは二人で悪さばかりしている遊び仲間だ。二人で自転車に乗って暴走していたとき、タケルがコケてケガをした。
両腕の骨を折り入院中だ。
「二階堂も・・・来たんだ」
わたしの顔を見たタケルは、一転して、おかしなものでも食べたかのように複雑な表情を浮かべた。
「悪いかよ」
わたしはそういいながらも、口の端でちょこっと笑うふりをした。
笑顔、には見えなかったかもしれないけど。
ケガをする前の日、タケルと大喧嘩をしていた。
髪を短くして、半ズボンをはき、自分のことをオレと言うわたしに、タケルは何かというと突っかかってくる。
たいていの子は、見た目男の子のわたしにも、もう慣れっこなんだけど、6年生になって転校してきたタケルは、わたしとどう接していいかわからないみたい。
結局、いつもけんか腰になってしまう。
その日も何が原因だったか、口げんかになって、挙句の果てに「おまえ気持ち悪いんだよ。すこしは女らしくなれよ」と言われ、ぶち切れたわたしはタケルと取っ組み合いになった。
先生に引き離されるまで、わたしは馬乗りになったタケルに頬をバシバシと殴られ、わたしはタケルのわき腹に拳を捻り込ませていた。
男の子とは年中ケンカしているけど、あそこまで激しく殴りあったのは初めてだった。
「石田、顔はやめとけよ。二階堂もいちおう女の子なんだぞ」
引き離すとき、石山先生がタケルにそう声をかけた。そのことが腹ただしくて、わたしは先生の顔までにらみつけた。
「二階堂は女子の代表なんだ」
リョウはタケルとわたしの顔を交互に見ながら、バツが悪そうに言った。
「え、こいつが女子の代表?どうみても男じゃん」
両手が使えないタケルは首だけ持ち上げて、わたしを見ながら言う。
「うるせーよ。じゃんけんで負けたから、しかたなく来たんだよ」
そういいながら、みんなで書いた色紙を放り投げるように渡した。
「先生は?」
「学校で急用ができたから、あとで来るって」
「ふーん。みんな元気」
「まあね。おまえがいないから、球技大会、三位だった」
「へへっ。三位か」
リョウとタケルの会話を聞きながら、居心地の悪い思いをしていたら、いつの間にか背後に人の気配を感じた。振り向くと、若くで元気そうな看護婦さんがニコニコして立っていた。
「タケルくん、ナースコール、押した?」
タケルは看護婦さんの顔をみて、少し困った顔をする。
「うん」
「おしっこ?」
「そう・・・なんだけど、押した後に友達、来ちゃった」
タケルはわたしの顔をちらっと見て、あわてて目を反らせると看護婦さんを見上げた。
少し赤い顔になっているのが、いつものタケルらしくなくて、ちょっとかわいかった。
「我慢できる?」
看護婦さんに尋ねられたタケルは、ますます困った顔になって、小さく首を横に振った。
「じゃあ、しちゃおうか」
看護婦さんは手に持っていた透明な容器を持ち上げて言った。おばあちゃんが入院したときに見たことがある。シビンっていうおしっこを採る道具だ。
タケルはリョウとわたしの顔をチラチラと見ながら、ますます困った顔になる。
「男の子同士だし、気にすることないって」
「でも・・・・」
タケルの顔はついにまっかっかだ。
どうしようか、と、なんだかわたしのほうまで困ってきて、クルリとベッドに背を向けた。
「男の子同士なんてさ、二人並んで立ちしょんしたりするんでしょ?だったら、おしっこ採られているところ見られるなんて、なんでもないでしょ」
ベッドに背を向けて、窓の外を眺めるわたしの背中で、看護師さんの声がする。
「でもさあ、こいつ、男じゃないんだ」
タケルが困り果てたように言った。
「うそだぁ、どう見たって男の子じゃない」
看護師さんはまるで取り合わないように短くそう言う。パッと布団がめくられた音が聞こえた。
「本当だよ。こいつ女なんだよ。男みたいだけどさ。な、そうだよな」
タケルがわたしに声をかける。なんかだんだん腹が立ってきたわたしはクルリと振り返り、頬を膨らませて「うるさいなー」と言った。
ちょうどそのときに、看護師さんがタケルのパジャマに両手をかけた。
「わっ、わっ、だめっ」
タケルがあわてて悲鳴のような声をあげる。その瞬間、パジャマがずりっと降ろされて、中からぴょこんと白いおちんちんが飛び出した。
「わっ」
驚いたわたしはあわてて再び外を向いた。
タケルのおちんちん、みちゃった。
わたしの親指くらいの小さなおちんちんは、先っぽまですっぽり皮みたいので包まれていた。前に見たことある赤ちゃんのおちんちんと同じだ。
ケンカしたときの、真っ赤な顔をしてわたしの顔をぺちぺちとはたいていたタケルを思い出す。あのタケルの体にこんなかわいいおちんちんがついているなんて。
窓の外、病院の下のとおりをせわしなく流れてゆく車を見ながら、だんだん可笑しくなってくる。口元がつい緩んでくるのを感じた。
「でたぁ、タケルのちんこ。二階堂、いまの見ただろ?」
わたしの背中でリョウが言った。わたしは下を向いて、リョウの足を思い切り踏んづけてやった。
「おしっこ、漏れちゃったらこまるでしょ?忙しいんだから、いちいち恥ずかしがらないの」
看護師さんはてきぱきとした声で言う。
タケルは返事もできない。
するとそのときだ、「看護師さん、こっちへ」タケルの向こうのベットで女の人の声がした。
「あっ、たいへん。すぐ先生を呼んできます」
看護師さんの緊張した声が続いた。
「タケルくん、ごめん。ちょっと待ってて」
「えっ、そんなぁ」
バタバタとかけてゆく音。何事かと思って振り返ったら、目の前におちんちん丸出しのタケシがいた。パジャマのズボンを膝まで下ろされ、上半身はおへその上までめくりあげらた格好で、まっすぐ寝かされている。
「わっ、わっ、こっち見るなよ」
すでに真っ赤になっていたタケルの顔が、わたしを見てますます赤くなる。看護師さんはもういなくなっていた。
「ご、ごめん」
わたしもあわててもう一度背を向けた。
「どうすんだよ。こんな途中で」
困り果てたようなタケルの声がする。
「おまえ、やってよ」
「え?おれが」
「もうダメ。漏れちゃうよ」
「でも、おれ、やったことないし・・・・」
「ただ、ちんこのところにそれをあてればいいんだよ。頼むよ」
「だめだめ。おれ、こういうの苦手」
「リョウ、頼むよ、もう限界」
「そんなこと言われたって・・・」
「もう出ちゃうよ。出ちゃうってば」
タケルとリョウの二人もまた、さっきの看護師さんなみに切迫しているみたい。泣きそうなタケルの声を聞いたら、なんだか急にかわいそうになってきた。
「しょうがないな、おれ、やるよ」
わたしは振り返ると、ベッドの脇に放り出されたままの尿瓶を手に取った。
「おれ、やったことあるから」
小さくてかわいいタケルのおちんちんがバッと目に飛び込んでくる。胸がドキドキして、顔が赤くなるのがわかった。
「男の子は・・・・はじめてだけど」
わたしはリョウを押しのけて、タケルのすぐ脇に立った。
「え・・・おまえが?・・・・そんなぁ」
タケル、本当に泣きそうになった。どうしてだろう。ちょっとだけ胸がキュンとなる。
「いいから。そんなこと言ってらんないだろ?さっさと足、開けよ」
わたしはピチッと閉じられたタケルの両足を両手で開かせる。タケルの腿は温かく、少し甘いようなおしっこみたいな匂いがした。
「で、でも・・・・」
「情けない顔すんなよ。おれのことバシバシ殴ってたときのタケルはどこ行ったんだよ」
わたしはそういいながら、タケルのパジャマのズボン力任せに引っ張った。勢いあまって、パジャマとパンツが両方あわせてスルッと足首から抜けた。タケル、とうとう下半身すっぽんぽん。
「わっ、わっ、わっ」
慌てふためくタケルにはお構いなく、わたしのタケルの両足首をつかんで、大きく開かせた。子猫みたいな小さなタマタマがぽちっと股の間についているのが、ばっちし見えちゃった。
どうしたらいいかわからないわたしは、とりあえず、タケルの小さなおちんちんに透明の尿瓶をあてがってみる。
なんか、ちょっとでも傾けたらこぼれちゃいそうで不安だ。ぐいっと尿瓶を押し付けたら、「いてっ」とタケルが顔しかめた。
「いいぞ、出してみろ」
「え・・・でも・・・」
「なに恥ずかしがってんだよ。男だろ?」
真っ赤になったタケルの顔は、なんだかとても幼く見える。わたしは空いているほうの手でタケルのおへその下を軽く押した。
「わっ、さわんなよ。もれちゃうよ」
「いいから、早く出せって」
「やだよぉ、そんなの。さわんなって」
「いいから、早く」
「わっ、わっ、わぁっ」
タケルの声がちょっとだけ悲鳴みたいに裏返った。尿瓶の中でタケルのおちんちんがムクッと動き、先っぽの皮に包まれた部分がプクッと膨らんでくる。やがて、先っぽから透明なおしっこが漏れ出した。
「でたっ」
緊張したわたしは、両手で尿瓶をつかむ。タケルは恥ずかしそうに「わあああっ」と声をあげた。少しずつ勢いを増したおしっこは、シャーと音を立てて、溢れ出す。まるでわたしの手の中に注がれているみたいだ。タケルのおしっこの温かさがじわじわと手のひらに伝わってきた。
「いいぞ。タケル。思いっきり出せ」
なんだか、自分もタケルと一緒におしっこをしているみたいな気分になった。尿瓶の中におしっこが溜まっていくたびに、わたしまですっきりしてくる。
タケルは恥ずかしさで胸と首までもピンク色に染まっている。
同級生なんだけと、なんだかかわいいなぁ、って思った。
やがて勢いを失ったおしっこは、ピュッピュッと二回ほど思い出したように飛んで、それでおしまいになった。最後の二、三滴が、ポチッとついているマシュマロみたいなタマタマについちゃった。
「もうでないか?」
「うん」
タケルは素直にうなずいた。
「よしよし。いい子だ」
ついそんな声をかけちゃった。タケルは真っ赤な頬をプクッと膨らませた。
「いっぱい出たね」
わたしは手に持った尿瓶が掲げてみる。きらきらと光るタケルのおしっこは縁日の夜店で売っているべっこうあめみたいで、とてもきれいだ。
「ひとのおしっこ、そんなに見るなよ」
「いいじゃんか。おしっこなんておれだってするもん」
「でも・・・・・」
「なんかさ、おれも一緒になっておしっこしてるみたいだった。こっちまですっきりした」
わたしはタケルに向かって微笑んだ。ケンカの後の仲直りみたいな気分。
タケルは照れたような困ったような顔をする。
もし女の子に「好きです」なんて告白されたら、タケルはきっとこんな顔をするんだろうな。
「さてと、これ・・・どうしたらいいんだろう」
ようやくおしっこを採り終えて、ホッとしたわたしは、尿瓶を手に持ったままだったことに気づいた。
「どこに捨てればいいの?」
わたしはまだおちんちん丸出し姿のままのタケルに尋ねる。やっぱり、視線はどうしてもおちんちんに行っちゃう。
「さあ、いつも看護婦さんが持って行っちゃうから・・・・」
「やっぱ、トイレに流すのかなぁ」
そのとき、リョウがわたしの手から尿瓶をひったくった。きらきら光るおしっこが尿瓶の中で揺れると、ちょっぴり甘いようなタケルのおしっこの匂いが広がった。わたしと少し違う、男の子らしいにおいだった。
「おれ、聞いてくるわ」
おろおろするばかりだったリョウは、一安心してようやく元気になったみたい。突然、そう言うと、尿瓶を持ったまま病室を飛び出していった。
「あ・あのさ・・・」
リョウがいなくなると、むくっと上半身を起こしたタケルが、消えそうな声で言った。
「なに?」
「パンツ・・・・はかせて」
「あ・・・ごめん」
そういいながら、わたしはベッドの上に放り投げておいたタケルのパンツとパジャマのズボンを手に取った。さっきはあわてていてよく見なかったけど、白いブリーフはとても子供っぽい。
「タケル、こんなかわいいのはいてるんだ」
「わっ、見るなよぉ」
「前と後ろ、間違えてはかせないように、ちゃんと見ないとな」
「しょうがないじゃんか。病院の売店で売ってたの、それしかなかったんだから」
「ちんちんだって、かわいかったし、これでちょうどいいじゃんか」
ちょっとからかってみたら、タケルのやつ、真っ赤になって完全にふくれた。わたしはそんなタケルの足首にパンツとパジャマのスボンをはかせながら言った。
「でもさ、小さくてもいいじゃんか。ちゃんとちんちんついてるんだから」
「え?」
「おれもほしかったな」
つい本音がでちゃった。
誰にも言ったこと、なかったのに・・・
頬が熱くなる。タケルと同じくらいわたしの顔も真っ赤になったに違いない。
「おまえさ・・・・」
タケルの少し神妙な声。
こういうの苦手。
こまった。どうしよう。ちょっとだけパニックになるわたし。
「さあ、ちんちんしまうぞ」
わたしはそういいながら、パンツをおちんちんのすぐ下まで引き上げると、おちんちんをパッと手でつかんで、パンツの中にしまった。
「わっ、わっ」
タケルの声で、わたしもハッとした。
びっくりするほどやわらかくて、ちゃんと丸い小さなタマが二つ・・・
どうしよう。タケルのおちんちん、触っちゃった。
わたしとタケルは固まったまま、互いの顔を見つめあう。しばらくして、どちらともなくプッと噴き出した。それから、二人とも笑いが止まらなくなった。
「なに笑ってんの?」
数分後にベッドに戻ってきたリョウがフシギそうに尋ねた。
「なんでもないよ」
わたしはリョウの背中をバチンとはたく。
「あのさ・・・・」
ようやく笑い終えたタケルは、突然、まじめな顔になって、おしっこを採られたときよりも、もっと恥ずかしそうに、小さな声で言った。
「このまえは・・・ゴメン。おれ・・・ひどいこと言ったかも・・・」
「え?」
「あとさ・・・・ありがとう」
「ああ」
それだけ言うと、わたしはタケルに向かって微笑んだ。
なんだか、タケルには何でも話せそうな気がした。
どうしてだか、わからないけれど、そのことがとても嬉しくてしかなかった。
他の子には言えないけど、ほんとは誰かに聞いてもらいたいことが、わたしにも、たくさんたくさんあるんだ。
リョウはタケルとわたしの顔を交互に見ながら、バツが悪そうに言った。
「え、こいつが女子の代表?どうみても男じゃん」
両手が使えないタケルは首だけ持ち上げて、わたしを見ながら言う。
「うるせーよ。じゃんけんで負けたから、しかたなく来たんだよ」
そういいながら、みんなで書いた色紙を放り投げるように渡した。
「先生は?」
「学校で急用ができたから、あとで来るって」
「ふーん。みんな元気」
「まあね。おまえがいないから、球技大会、三位だった」
「へへっ。三位か」
リョウとタケルの会話を聞きながら、居心地の悪い思いをしていたら、いつの間にか背後に人の気配を感じた。振り向くと、若くで元気そうな看護婦さんがニコニコして立っていた。
「タケルくん、ナースコール、押した?」
タケルは看護婦さんの顔をみて、少し困った顔をする。
「うん」
「おしっこ?」
「そう・・・なんだけど、押した後に友達、来ちゃった」
タケルはわたしの顔をちらっと見て、あわてて目を反らせると看護婦さんを見上げた。
少し赤い顔になっているのが、いつものタケルらしくなくて、ちょっとかわいかった。
「我慢できる?」
看護婦さんに尋ねられたタケルは、ますます困った顔になって、小さく首を横に振った。
「じゃあ、しちゃおうか」
看護婦さんは手に持っていた透明な容器を持ち上げて言った。おばあちゃんが入院したときに見たことがある。シビンっていうおしっこを採る道具だ。
タケルはリョウとわたしの顔をチラチラと見ながら、ますます困った顔になる。
「男の子同士だし、気にすることないって」
「でも・・・・」
タケルの顔はついにまっかっかだ。
どうしようか、と、なんだかわたしのほうまで困ってきて、クルリとベッドに背を向けた。
「男の子同士なんてさ、二人並んで立ちしょんしたりするんでしょ?だったら、おしっこ採られているところ見られるなんて、なんでもないでしょ」
ベッドに背を向けて、窓の外を眺めるわたしの背中で、看護師さんの声がする。
「でもさあ、こいつ、男じゃないんだ」
タケルが困り果てたように言った。
「うそだぁ、どう見たって男の子じゃない」
看護師さんはまるで取り合わないように短くそう言う。パッと布団がめくられた音が聞こえた。
「本当だよ。こいつ女なんだよ。男みたいだけどさ。な、そうだよな」
タケルがわたしに声をかける。なんかだんだん腹が立ってきたわたしはクルリと振り返り、頬を膨らませて「うるさいなー」と言った。
ちょうどそのときに、看護師さんがタケルのパジャマに両手をかけた。
「わっ、わっ、だめっ」
タケルがあわてて悲鳴のような声をあげる。その瞬間、パジャマがずりっと降ろされて、中からぴょこんと白いおちんちんが飛び出した。
「わっ」
驚いたわたしはあわてて再び外を向いた。
タケルのおちんちん、みちゃった。
わたしの親指くらいの小さなおちんちんは、先っぽまですっぽり皮みたいので包まれていた。前に見たことある赤ちゃんのおちんちんと同じだ。
ケンカしたときの、真っ赤な顔をしてわたしの顔をぺちぺちとはたいていたタケルを思い出す。あのタケルの体にこんなかわいいおちんちんがついているなんて。
窓の外、病院の下のとおりをせわしなく流れてゆく車を見ながら、だんだん可笑しくなってくる。口元がつい緩んでくるのを感じた。
「でたぁ、タケルのちんこ。二階堂、いまの見ただろ?」
わたしの背中でリョウが言った。わたしは下を向いて、リョウの足を思い切り踏んづけてやった。
「おしっこ、漏れちゃったらこまるでしょ?忙しいんだから、いちいち恥ずかしがらないの」
看護師さんはてきぱきとした声で言う。
タケルは返事もできない。
するとそのときだ、「看護師さん、こっちへ」タケルの向こうのベットで女の人の声がした。
「あっ、たいへん。すぐ先生を呼んできます」
看護師さんの緊張した声が続いた。
「タケルくん、ごめん。ちょっと待ってて」
「えっ、そんなぁ」
バタバタとかけてゆく音。何事かと思って振り返ったら、目の前におちんちん丸出しのタケシがいた。パジャマのズボンを膝まで下ろされ、上半身はおへその上までめくりあげらた格好で、まっすぐ寝かされている。
「わっ、わっ、こっち見るなよ」
すでに真っ赤になっていたタケルの顔が、わたしを見てますます赤くなる。看護師さんはもういなくなっていた。
「ご、ごめん」
わたしもあわててもう一度背を向けた。
「どうすんだよ。こんな途中で」
困り果てたようなタケルの声がする。
「おまえ、やってよ」
「え?おれが」
「もうダメ。漏れちゃうよ」
「でも、おれ、やったことないし・・・・」
「ただ、ちんこのところにそれをあてればいいんだよ。頼むよ」
「だめだめ。おれ、こういうの苦手」
「リョウ、頼むよ、もう限界」
「そんなこと言われたって・・・」
「もう出ちゃうよ。出ちゃうってば」
タケルとリョウの二人もまた、さっきの看護師さんなみに切迫しているみたい。泣きそうなタケルの声を聞いたら、なんだか急にかわいそうになってきた。
「しょうがないな、おれ、やるよ」
わたしは振り返ると、ベッドの脇に放り出されたままの尿瓶を手に取った。
「おれ、やったことあるから」
小さくてかわいいタケルのおちんちんがバッと目に飛び込んでくる。胸がドキドキして、顔が赤くなるのがわかった。
「男の子は・・・・はじめてだけど」
わたしはリョウを押しのけて、タケルのすぐ脇に立った。
「え・・・おまえが?・・・・そんなぁ」
タケル、本当に泣きそうになった。どうしてだろう。ちょっとだけ胸がキュンとなる。
「いいから。そんなこと言ってらんないだろ?さっさと足、開けよ」
わたしはピチッと閉じられたタケルの両足を両手で開かせる。タケルの腿は温かく、少し甘いようなおしっこみたいな匂いがした。
「で、でも・・・・」
「情けない顔すんなよ。おれのことバシバシ殴ってたときのタケルはどこ行ったんだよ」
わたしはそういいながら、タケルのパジャマのズボン力任せに引っ張った。勢いあまって、パジャマとパンツが両方あわせてスルッと足首から抜けた。タケル、とうとう下半身すっぽんぽん。
「わっ、わっ、わっ」
慌てふためくタケルにはお構いなく、わたしのタケルの両足首をつかんで、大きく開かせた。子猫みたいな小さなタマタマがぽちっと股の間についているのが、ばっちし見えちゃった。
どうしたらいいかわからないわたしは、とりあえず、タケルの小さなおちんちんに透明の尿瓶をあてがってみる。
なんか、ちょっとでも傾けたらこぼれちゃいそうで不安だ。ぐいっと尿瓶を押し付けたら、「いてっ」とタケルが顔しかめた。
「いいぞ、出してみろ」
「え・・・でも・・・」
「なに恥ずかしがってんだよ。男だろ?」
真っ赤になったタケルの顔は、なんだかとても幼く見える。わたしは空いているほうの手でタケルのおへその下を軽く押した。
「わっ、さわんなよ。もれちゃうよ」
「いいから、早く出せって」
「やだよぉ、そんなの。さわんなって」
「いいから、早く」
「わっ、わっ、わぁっ」
タケルの声がちょっとだけ悲鳴みたいに裏返った。尿瓶の中でタケルのおちんちんがムクッと動き、先っぽの皮に包まれた部分がプクッと膨らんでくる。やがて、先っぽから透明なおしっこが漏れ出した。
「でたっ」
緊張したわたしは、両手で尿瓶をつかむ。タケルは恥ずかしそうに「わあああっ」と声をあげた。少しずつ勢いを増したおしっこは、シャーと音を立てて、溢れ出す。まるでわたしの手の中に注がれているみたいだ。タケルのおしっこの温かさがじわじわと手のひらに伝わってきた。
「いいぞ。タケル。思いっきり出せ」
なんだか、自分もタケルと一緒におしっこをしているみたいな気分になった。尿瓶の中におしっこが溜まっていくたびに、わたしまですっきりしてくる。
タケルは恥ずかしさで胸と首までもピンク色に染まっている。
同級生なんだけと、なんだかかわいいなぁ、って思った。
やがて勢いを失ったおしっこは、ピュッピュッと二回ほど思い出したように飛んで、それでおしまいになった。最後の二、三滴が、ポチッとついているマシュマロみたいなタマタマについちゃった。
「もうでないか?」
「うん」
タケルは素直にうなずいた。
「よしよし。いい子だ」
ついそんな声をかけちゃった。タケルは真っ赤な頬をプクッと膨らませた。
「いっぱい出たね」
わたしは手に持った尿瓶が掲げてみる。きらきらと光るタケルのおしっこは縁日の夜店で売っているべっこうあめみたいで、とてもきれいだ。
「ひとのおしっこ、そんなに見るなよ」
「いいじゃんか。おしっこなんておれだってするもん」
「でも・・・・・」
「なんかさ、おれも一緒になっておしっこしてるみたいだった。こっちまですっきりした」
わたしはタケルに向かって微笑んだ。ケンカの後の仲直りみたいな気分。
タケルは照れたような困ったような顔をする。
もし女の子に「好きです」なんて告白されたら、タケルはきっとこんな顔をするんだろうな。
「さてと、これ・・・どうしたらいいんだろう」
ようやくおしっこを採り終えて、ホッとしたわたしは、尿瓶を手に持ったままだったことに気づいた。
「どこに捨てればいいの?」
わたしはまだおちんちん丸出し姿のままのタケルに尋ねる。やっぱり、視線はどうしてもおちんちんに行っちゃう。
「さあ、いつも看護婦さんが持って行っちゃうから・・・・」
「やっぱ、トイレに流すのかなぁ」
そのとき、リョウがわたしの手から尿瓶をひったくった。きらきら光るおしっこが尿瓶の中で揺れると、ちょっぴり甘いようなタケルのおしっこの匂いが広がった。わたしと少し違う、男の子らしいにおいだった。
「おれ、聞いてくるわ」
おろおろするばかりだったリョウは、一安心してようやく元気になったみたい。突然、そう言うと、尿瓶を持ったまま病室を飛び出していった。
「あ・あのさ・・・」
リョウがいなくなると、むくっと上半身を起こしたタケルが、消えそうな声で言った。
「なに?」
「パンツ・・・・はかせて」
「あ・・・ごめん」
そういいながら、わたしはベッドの上に放り投げておいたタケルのパンツとパジャマのズボンを手に取った。さっきはあわてていてよく見なかったけど、白いブリーフはとても子供っぽい。
「タケル、こんなかわいいのはいてるんだ」
「わっ、見るなよぉ」
「前と後ろ、間違えてはかせないように、ちゃんと見ないとな」
「しょうがないじゃんか。病院の売店で売ってたの、それしかなかったんだから」
「ちんちんだって、かわいかったし、これでちょうどいいじゃんか」
ちょっとからかってみたら、タケルのやつ、真っ赤になって完全にふくれた。わたしはそんなタケルの足首にパンツとパジャマのスボンをはかせながら言った。
「でもさ、小さくてもいいじゃんか。ちゃんとちんちんついてるんだから」
「え?」
「おれもほしかったな」
つい本音がでちゃった。
誰にも言ったこと、なかったのに・・・
頬が熱くなる。タケルと同じくらいわたしの顔も真っ赤になったに違いない。
「おまえさ・・・・」
タケルの少し神妙な声。
こういうの苦手。
こまった。どうしよう。ちょっとだけパニックになるわたし。
「さあ、ちんちんしまうぞ」
わたしはそういいながら、パンツをおちんちんのすぐ下まで引き上げると、おちんちんをパッと手でつかんで、パンツの中にしまった。
「わっ、わっ」
タケルの声で、わたしもハッとした。
びっくりするほどやわらかくて、ちゃんと丸い小さなタマが二つ・・・
どうしよう。タケルのおちんちん、触っちゃった。
わたしとタケルは固まったまま、互いの顔を見つめあう。しばらくして、どちらともなくプッと噴き出した。それから、二人とも笑いが止まらなくなった。
「なに笑ってんの?」
数分後にベッドに戻ってきたリョウがフシギそうに尋ねた。
「なんでもないよ」
わたしはリョウの背中をバチンとはたく。
「あのさ・・・・」
ようやく笑い終えたタケルは、突然、まじめな顔になって、おしっこを採られたときよりも、もっと恥ずかしそうに、小さな声で言った。
「このまえは・・・ゴメン。おれ・・・ひどいこと言ったかも・・・」
「え?」
「あとさ・・・・ありがとう」
「ああ」
それだけ言うと、わたしはタケルに向かって微笑んだ。
なんだか、タケルには何でも話せそうな気がした。
どうしてだか、わからないけれど、そのことがとても嬉しくてしかなかった。
他の子には言えないけど、ほんとは誰かに聞いてもらいたいことが、わたしにも、たくさんたくさんあるんだ。
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