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  • 2015⁄10⁄17(Sat)
  • 23:00

二人の運動会

ここは、とある田舎の小さな村。過疎化が進むこの村では年々子供の数が減り、外で元気に遊ぶ子供の姿がほとんど見られないことを大人達は残念がっていますが、そんな村の小さな希望が、もうすぐ中学生になる二人の美少年です。

「川ノ原健一(かわのはら・けんいち)」君と「水村久斗(みずむら・ひさと)」君の二人は、幼稚園から小学校までずっと二人きりのクラスで過ごし、その結び付きはほとんど家族も同然のものでした。

得意な科目も嫌いな科目も一緒なら、好きな遊びも常に一緒。大人しいけど明るく元気な性格までもが一緒の二人は、喧嘩なんて一度もしたことが無いぐらいの仲良し。二人が一人で居るところを見たことがないと言われるぐらい、何をするのも一緒の二人でした。
「うん!僕たち将来結婚するんだよ!」

「いつも仲が良いねえ。二人は将来結婚するのかな」と村の人達にからかわれても、そう答えるぐらいとても仲良しな美少年二人の姿は村を明るくし、みんなが過疎に負けずに元気になれる希望なのです。

このまま二人がずっと一緒に、仲良くいられるようにというのが村の人達の願いでしたが、二人が小学校の卒業を目前にした時、村に悲しい出来事が続くのです。

二人が卒業することで児童がいなくなる小学校が、ついに廃校の日を迎えてしまうことで、村の人達は仕方がないと諦めつつも、みんなで子供時代を過ごしてきた思い出の場所が無くなることに悲しみを隠せませんでした。

児童がいなければ、小学校は存在している意義がありません。それが分かっているから、村の人達は悲しくても、最後の卒業生となる健一君と久斗君が、中学生になっても元気に育ってくれるように見守り、応援することで前向きになろうとしたのです。

それなのに、二人が卒業する直前になって小学校だけではなく、二人が通うはずだった村の中学校まで廃校が決まってしまうのでした。


村の中学校もやはり生徒数が少なく、今回卒業生を送り出したら生徒数が0になってしまうのです。そこに二人が入学しても、全校生徒がたった二人という状況になってしまうことで、色々な問題があって廃校を決められてしまうのでした。

一応配慮はしているつもりなのです。在校生が存在する内に廃校になると、在学中の転校で戸惑う事になる在校生が可哀想ですし、健一君と久斗君は新入生として新しい学校を選べば良いのですから、新生活への抵抗も少ないでしょう。

費用の問題があっても、ちょうど在校生が0になるまで、廃校は止められていたのです。それを聞かされると、二人が卒業するまで廃校を待ってほしいと抗議した村の人達も、引き下がらざるを得ませんでした。

小さな村の希望だった、仲良しな二人の美少年が通う学校が、小中共に廃校を迎えてしまうという悲しい出来事。村の人達は、せめて二人が村から中学校に通えるように、送り迎えを協力することに決めたのです。

その事が小さいながらもニュースで取り上げられると、ニュースを見た人達から二人に同情する声も出て来ました。そして、その同情がある女性の元に届くと、二人や村の人達にとって、思いも寄らない幸運が舞い込んでくることになりました。

二人に注目した女性「宮代富菜(みやしろ・とみな)」さんは、教育に関する研究と実践に取り組んでいる人物で、その世界においては大きな権力を持っています。

この女性がある計画を元に多額の寄付金を募り、なんと二人が中学校に通う三年間だけ、廃校になる中学校を私立中学として運営してくれるという、救いの手を差し伸べてくれたのです。

願ってもない幸運に、健一君と久斗君の家族だけではなく、村の人達も大喜びでしたが、それには様々な条件を受け入れる必要がありました。

これは二人の美少年を救うための単なる善意ではなく、新しい教育の実験の場として中学校を運営することに納得しなければいけません。

授業の方針、科目など、従来の中学とは違う新しいやり方を二人に課すこともあれば、開発中の教材や設備などを二人に使ってもらって、効果を計ったりすることもあるでしょう。

いわば二人は、新しい教育の実験台としての生徒にならなくてはいけないのです。それでも、村に費用を求めずに学校を運営してくれるのですから、みんなは文句を言わずに条件を受け入れました。

中学の校舎は、基本的にはそのまま利用するものの、村の中学が廃校になることには変わりがなく、そこはまったく新しい学校として取り扱われて、制服や名称も新しく生まれ変わってしまうことだけは残念そうでしたが、そこに通うのはあくまで健一君と久斗君なのですから、みんな涙を飲んで我慢しました。


そして二人が中学校入学の日を迎えました。小学校での涙の卒業式を終えた健一君と久斗君の新しい学校での生活が、いよいよ始まろうとしているのです。

「私がこの学校で目指しているのは、今までの学校とは違う、美少年のための学校を作ることです。美少年のための教育、美少年のための環境。美少年が美少年らしく成長できるような学校作りを、村の皆さんと共に進めていきましょう」

特別に校長に就任した宮代さんが、体育館の壇上で大勢集まった村の人達に向けて学校の理念を説明しています。美少年のための学校という響きには期待が膨らみますが、宮代校長がここで公開した「ひまわり中学校」という名称には反応は様々でした。

「太陽に向かってすくすく育つ美少年の明るさと逞しさ、そして何よりも美少年の可愛らしさをもっとも良く表現するのは、難しい漢字や形式張った名称ではなく、平仮名を使った子供らしさこそが相応しいと、私は思っています」

始めは冗談だと思っていた村の人達も、確かにいつまでも子供のままでいてほしい美少年には、幼稚園のような名称がピッタリなのではないかと次第に納得していきました。

二人のお母さんも、ここに通う自分の息子のことを思えば恥ずかしいと思いましたが、息子がいつまでも幼稚園児のように可愛らしくて仕方がない本音では、ちょっぴり喜んでいたのです。

結局、恥ずかしそうにしているのは健一君と久斗君だけという微笑ましい空気の中、中学での新しい制服が支給されることになりました。校長先生に呼ばれて二人が舞台に上がります。

入学という晴れの舞台に、一張羅を着込んだ健一君と久斗君が舞台の上でモジモジしていると、演壇の上に箱が運ばれてきました。おそらくこの中に、「美少年にもっとも似合う」という結論が出された制服が入っているのでしょう。

「二人とも手を出してください。…はい、川ノ原健一君。はい、水村久斗君。これが君たち二人の制服になります」

両手を前に出した二人に、校長先生がそれぞれ両手を差し出します。ですが、健一君も久斗君もどうして良いのか分からずにキョトンとしています。なぜなら、校長先生は何も持たない手を二人に差し出しただけではなく、箱の中も空っぽだったのですから。

「どうしましたか、二人とも?さっそくここで着替えて、みんなに晴れの姿を見せてあげましょう」

二人の戸惑った視線を気にすることもなく、校長先生はここで制服に着替えることを促しますが、そもそも何も渡されてないのですから、着替えようがありません。

「あのう、これ…何も貰っていませんけど…」

恐る恐る二人が尋ねると、校長先生はニッコリと微笑みながら「既に制服は渡していますよ」の一点張りでしたが、困り果てた二人を見かねて、ようやく何も持たない手を差し出した意味を語り始めます。

「何もありません。ですから、これが君達二人の制服なのです。美少年にもっとも良く似合う制服、それは…フルチンです!」

大きな声でフルチン姿が制服だと告げられてしまった健一君と久斗君は、耳を疑いました。今度こそ冗談だろうと思いたかったのですが、それもまったく冗談ではなかったのです。
小学校ではずっと私服で通っていた健一君と久斗君は、中学生になって着るはずだった、黒くて凛々しい学ランの制服に憧れを感じていましたが、それがまさかフルチンが制服になるだなんて思ってもいませんでした。

校長先生の言葉が冗談だと思ったのは、健一君と久斗君だけではありません。二人のお母さんや、入学式に集まってくれた村の人達も、みんな冗談だと思っていました。
「いけませんねえ、君達は今日から中学生になるのですよ。学校の規則や先生の言うことを率先して守らなければ、いつまでも小学生のままですよ」

フルチンになることを急かす校長先生に、健一君と久斗君は助け船を求めるように周りをキョロキョロしながら、モジモジと恥ずかしがっていますが、二人のお母さんと村の人達は、本当に二人がフルチンになってしまうのも面白いと、クスクス笑っていました。

「ほら、平気平気!けん君もひー君も、昔は川原でフルチンになって遊んでたんだから、みんな見慣れてるから大丈夫!」

自分が裸になるわけではない大人達は、いつの間にか二人がフルチンになることを面白がっているようです。ですが、それは決して意地悪ではなく、子供がフルチンで遊んでいても何もおかしくない田舎だからこその、大らかさなのでしょう。

実際に健一君も久斗君も、海やプールに行くときはしっかり水着を着ますが、地元の川原で遊んだりするときは、水着を用意しなくても平気でフルチンになってしまったりしています。

公の場所でのフルチンが恥ずかしいのは当然ですが、地元の見知った人達ばかりの遊び場では、他に同級生がいないこともあってか、健一君と久斗君の二人だけの世界になってしまうので、楽しくフルチンになれるのでしょう。

しかし、ここは学校です。その中でフルチンになることがおかしいと思う気持ちもありましたが、何よりも恥ずかしいのは、この入学式には二人のために学校の運営資金を援助してくれた、お金持ちの人達が大勢招待されていることと、二人の学校生活を記録するためのテレビカメラが用意されていたことでした。

村の人達よりも大勢の知らない人達と、テレビカメラの前で、フルチンになるのはさすがに物凄く恥ずかしいことでしたが、校長先生に何度も急かされている内に、健一君も久斗君も、次第に仕方がないと諦めるようになっていました。

「校長先生が言うんだから仕方ないよ。…でも、本当に裸になっちゃっていいのかなあ…」

校長先生が決めたことで、本当にフルチンにならなければいけないのだったら、フルチンになっても良いと、健一君と久斗君は覚悟を決めましたが、お客さんやテレビカメラの前で服を脱いでも良いものか、二人は小声で校長先生に尋ねます。

「もちろん大丈夫ですよ。フルチンの制服は、既に来賓の方々にも賛成を頂いているのですから、まったく問題有りません」

校長先生は二人にそう答えると、お客さん達に向かって、二人が元気良くフルチンになれるように拍手をお願いします。それに応えてお客さん達が拍手を始めると、それに合わせて村の人達も二人に向かって拍手を始めました。

こうなっては健一君と久斗君もフルチンになるしかありません。盛大な拍手に照れながら、お母さんが用意してくれた一張羅を脱いでいきます。この日のためにおめかしした二人の姿は、あっという間に台無しになってしまいました。


一張羅を脱いで下着姿になった二人は、まずシャツを脱ぎ、その後に靴下を脱ぐと、とうとう最後にブリーフのパンツを脱いで、これからの学校生活の”制服”になる、フルチンになりました。

「二人とも、とても似合っていますよ。では皆さん、これでようやく中学生になった二人に、あらためて盛大な拍手をお願いします」

フルチン姿で恥ずかしそうにしている健一君と久斗君に、集まった人達からの笑顔と惜しみない拍手が送られますが、その笑顔はどちらかというと、二人の小さくて可愛らしいオチンチンに対するクスクス笑いのような気がします。

みんなの視線がオチンチンに向けられていることを感じたのか、健一君と久斗君は何となく両手でオチンチンを隠しますが、校長先生に気を付けの姿勢でいるように注意されると、両手を元に戻すしかありませんでした。

入学式が終わると、二人は帰る前に一張羅に着替え直しましたが、明日からは登校も下校もフルチン姿のままでなければいけません。

村の人達にその姿を見られたら何て思われるかと心配だった二人ですが、二人の制服がフルチンだということは、今日中にも村の人達全てに知れ渡るはずだから大丈夫だと、お母さんは言います。

みんなが二人のフルチンのことを知っているから大丈夫だと思っても、今度は逆にみんなが健一君と久斗君がフルチン姿で学校に行くことを知っているというのが、二人にとっては結局恥ずかしいことになるのです。


翌朝、二人はいよいよフルチン姿で登校することになりましたが、健一君も久斗君も、なかなか家のドアを開けることが出来ません。道の途中で合流して二人一緒になれば、まだ安心できるのでしょうけど、それまではたった一人でフルチン姿に学校のカバンという、おかしな格好で歩かなければいけないのです。

「じゃあ、久斗君と一緒になるまで、お母さんが一緒について行ってあげようか?お母さんと一緒なら、外に出られるよね」

さすがに初日から、いきなり一人でフルチン姿のまま外に出るのは可哀想だと思ったのか、健一君のお母さんは今日だけという約束で、健一君と一緒に登校してあげようとします。

もう中学生なのにお母さんと一緒に登校するなんて、健一君は恥ずかしいと思いましたが、それでも一人で外を歩く勇気がなかなか出てこないので、健一君は仕方なくお母さんにうなずいて、ようやく外に出ることになりました。

お母さんと一緒にトボトボと歩く健一君は、できれば誰ともすれ違いたくありませんでしたが、村の人達は健一君と久斗君が小学生の頃から、いつも登下校を見守るために外で待っているのです。人と出会わないわけがありません。

「健一君もいよいよ中学生だねえ。頑張るんだよ、みんな応援してるからね」

小学生の頃は、村の人達に元気良く挨拶を返していた健一君も、自分がフルチン姿だということがとても恥ずかしくて、俯いたまま小さな声で返事をすることしかできません。

それでも、村の人達はクスクス笑いながらも、二人が恥ずかしいだろうということは分かっているので、挨拶に元気が無くても咎めたりはしません。いつか二人がフルチン姿のまま元気良く挨拶が出来るまで、温かく見守ってくれるのでしょう。

「あらやだ、なんだか小学生の時よりも可愛くなったみたい。ずっとそれで生活しちゃったらどうかしら」

中には素直に面白がっているおばさんもいますが、悪気がないのは健一君達にも分かっています。あっけらかんとフルチン姿を受け止めてくれる、大らかな村の人達に囲まれていれば、きっと二人もすぐフルチン姿に慣れることでしょう。
通学路の途中で合流することが出来た健一君と久斗君は、親友と一緒に歩けることでようやく心強くなって、もうお母さんが一緒ではなくても安心して歩けるようになりました。

「ひー君ちも、お母さんが一緒に来てくれたんだ」

健一君のお母さんだけではなく、久斗君のお母さんもやっぱり久斗君のことが心配で、二人が一緒になるまで付いて来てくれたようです。
甘やかさないようにとは思っていても、フルチン姿で通学するという恥ずかしさを、和らげてあげたくて仕方がなかったのでしょう。結局、その後の一週間もずっと一緒に歩いてあげることになるのですから。

ただ、我が子の恥ずかしさは理解してあげているつもりでも、二人のフルチン姿の可愛らしさを喜んでしまう気持ちは強くなってしまうようです。二人のお母さんは、健一君と久斗君を見送った後、しばらくお喋りをしていましたが、やはり話題は我が子のフルチン姿のことでした。

「小さな頃は、裸で歩き回っているのをはしたないって、よく叱ったものですけど、今となってはあの頃のように、またフルチンになってくれないかな。って思っちゃうんですよ」

健一君のお母さんの言葉に、久斗君のお母さんもうなずきます。美少年のお母さんは、みんな息子のフルチン姿が可愛らしくて仕方がないのに、フルチンは恥ずかしいとしつけなければいけないジレンマが悩みだったのです。

小学生にもなれば、美少年も意味もなくフルチン姿になるなんて事は、あまりありません。友達と川などで遊ぶ時ぐらいのものです。そもそも、お母さんにフルチン姿を見せること自体を恥ずかしがるようになるのですから。

お風呂ですら、あまりお母さんと一緒に入ってくれなくなりますし、着替えている時に通りがかるだけで、慌てて体を隠そうとするのですから、正しいしつけのせいとはいえ、お母さんは寂しい気持ちになってしまいます。

「ギョウ虫検査の時は、お母さんにお尻の穴を見せてるんだから、別に裸を見せてくれたっていいのに」

時にそんな冗談を言ってしまうこともあります。人前でフルチンになるのは良くないけど、お母さんの前ではフルチンになってほしい。それが美少年のお母さん達の、素直な願いでした。

「でも、いいですよね。フルチンが制服なら、毎日学校に着ていく服に悩まなくて済みますし、助かったかもしれませんね」

母親として、我が子のフルチンを喜んで肯定するわけにもいきません。しかし、学校の制服だからということで、色々言い訳を作っては結局フルチンを賛成しているようです。”我が子のフルチン姿を見たいから”という本音だけは隠したいのでしょう。


お母さん達と別れた健一君と久斗君は、ここから学校までは二人っきりで登校を続けることになります。二人ともフルチン姿で、付き添ってくれるお母さんもいない状態で外を歩くことに、とても不安がっています。

通学路で見守ってくれる村の人達に会う度に、どんどん声が小さくなってしまいますが、それでも声を掛けられれば、俯きながらもちゃんと立ち止まって、話に答えようとしています。

恥ずかしがる健一君と久斗君とは違って、村の人達は二人がフルチン姿だというのに、ほとんど普段と変わらない態度で二人に接していましたが、それは村の人達にとって、美少年のフルチン姿がまったく不自然ではないという気持ちの表れでしょう。

常識的に、人が服を着ないのはおかしな事ではありますが、美少年だったら別に構わないし、二人がフルチンで生活していても自分達は受け入れるという、村ならではの大らかさなのです。

人口の少ない村だからこそ、フルチン姿の美少年を、村全体で日常の光景として受け止められるのです。もし、都会のように非日常的なものに対する、冷やかしや好奇の視線が二人に向けられていたらどうなるでしょう。二人は学校に行けなくなっていたかもしれません。


恥ずかしくても、村の人達に見守られながらなんとか通学を続けた二人は、ようやく学校にたどり着いて、ホッと一安心です。

校門では、校長先生ともう一人の女性が二人を待っていました。二人に優しく挨拶をしてくれたその女性は、これから二人が3年間お世話になる、担任の花森幸子(はなもり・さちこ)先生でした。

「よろしくね、健一君、久斗君。3人で仲良くやっていきましょう」

髪を後ろで束ね、眼鏡を掛けた知的な印象の校長先生とは逆に、長い髪を下ろし、二人に向かって優しく微笑んでくれる幸子先生に、健一君も久斗君も担任が優しそうな先生で良かったと思いました。

まだお姉さんぐらいの若い女性なのに、おっとりとした佇まいと大きな胸は、何だかお母さんのようにも思えてくるようで、二人もすぐに甘えたくなってしまうことでしょう。

学校でのお母さん代わりとなる先生の登場に、二人は恥ずかしさも忘れて、嬉しそうに先生の後について教室に向かっていきましたが、教室の扉の上に付いている、クラス名が書かれた札を見て目を丸くしています。

「はい、ここが先生と君達のクラスになる、『どんぐり組』です。明日から教室を間違えないように、しっかり覚えましょうね」

ひまわり中学校という校名だけでも本当は恥ずかしかったのに、クラスまで「どんぐり組」という恥ずかしい名前だなんて、まるで幼稚園みたいだと健一君も久斗君も唖然としています。

小学生の時は1組で、中学生になったら今度はA組になるとばかり思っていた二人は、これはさすがに困り顔で疑問の声を上げますが、幸子先生のまったく恥ずかしくなさそうな笑顔を見ると、嫌と言うことも出来ません。

「校長先生にクラス名を考えて、って言われて一生懸命考えてみたんだけど、君達のことを聞いて、小さくて可愛い物の名前にしようと思ったら、どんぐりが良いって思ったの」

しかも、このクラス名が幸子先生の考えた名前だと聞かされたら、もう反対するわけにもいきません。楽しそうに話す先生を横目に、二人は顔を見合わせると、それ以上は何も言わないことにしました。


『ひまわり中学校』も『どんぐり組』も、校長先生の美少年に対する教育方針が強く反映された名前です。

入学式の時に校長先生が語った、美少年の純粋さと可愛らしさを失わせないための教育という試みは、今後も色々な形で二人を驚かすことになるのです。それはむしろ、美少年の心を幼くするための教育とも言えるでしょう。
「中学生になったらさ、算数が数学になるんだよね」

勉強はそれほど好きではない健一君と久斗君も、中学生になったらどういう授業を受けるのかは、親に聞かされて知っているようです。

算数が数学、体育が保健体育に変わるなど、レベルの違いを除けば、単に名前が変わっただけといっても差し支えないのですが、それでも難しそうな名前に変わるという事が、二人に中学生になった事を自覚させるようです。
「はい、それでは二人がこれから一生懸命勉強していく事になる、授業の教科書を配ります」

勉強は嫌だけど、新しい教科書を早く見てみたい。気持ちの逸る健一君と久斗君は、幸子先生から教科書を受け取ると、さっそく机の上に広げてみましたが、表紙を見てキョトンとしてしまいました。

「あれえ?この教科書、『さんすう』ってなってる。それに、全部ひらがなだ」

二人がおかしく思うのも当然です。数学の教科書だと思っていたのが算数で、しかも平仮名で書かれているのですから。これでは中学生どころか小学一年生に逆戻りしてしまったみたいです。

『さんすう』だけではなく、『こくご』『りか』『しゃかい』と全ての教科書の題名が、やはり平仮名で書かれています。しかもその前に『びしょうねんの』と、しっかり書かれているのですから、何が何だか分かりません。

「君達美少年が中学生になって勉強する事は、普通の中学生とは違うの。これは全部美少年のためだけに作られた教科書なんだから、最後まで大切にしましょうね」

ためしに中を見てみても、二人でもすぐに理解できそうな内容どころか、本当にこれが中学の教科書なのかと驚いてしまいそうなぐらい、簡単すぎるのです。一桁の足し算、引き算、あいうえお五十音の書き取り、ダンゴムシの観察等々。

「新しい教科書になって、今までの復習になる授業もあるでしょうけど、これからはこれが標準になるんだと思って、また一から頑張りましょうね」

本来は、中学生になれば勉強は一段と難しくなりますが、それが必要なものかと問われると判断に困るところです。しかし、心の優しい美少年達には余計なものだと校長先生は判断したのです。

美少年がいつまでも美少年らしい純粋で幼い心を持ち続けるには、小学校レベル以上の勉強を切り捨てるだけではなく、幼稚園などで行われている教育を継続して行っていく事が大切だと考えました。

その考えは、黒板の横に大きく貼られた時間割表にも出ています。その中には、なんと『おゆうぎ』という授業がありました。どうも体育の代わりのようなのですが、これでは本当に幼稚園みたいです。

時間割を眺めると、必須科目であるはずの『こくご』や『さんすう』よりも、『おゆうぎ』の方が多いぐらいで、さらには『トレーニング』というよく分からない授業まであって、二人は勉強する事が減って喜ぶ事よりも、本当にどう反応して良いのか分からなくなって戸惑うばかりでした。


「家に帰ったら、ちゃんと教科書の裏に名前を書いておきましょうね。はい、ではこれから先生と一緒に、学校の中を見て回りましょう」

教科書をカバンにしまい、健一君と久斗君は幸子先生の後について教室を出ます。各学年に三クラスある教室も、二人の教室以外は全て何も無くて寂しいですが、それはもう二人が小学校で見慣れている光景です。

「他の生徒はいなくても学校の中には、この学校のために沢山の寄付をしてくれた人達がよく見学に来ていますから、そういう人達に会ったらキチンと挨拶をしましょう」

幸子先生の言う、寄付をしてくれたお金持ちの人達は、ただお金を出してくれただけではなく、そのお金がどう形になっているのかを確認し、美少年の新しい教育の成果を見届ける仕事があります。

場合によっては、教育の仕方や学校の環境などに指摘をしてくることもあるかもしれません。お金を出してくれた人達全てが、校長先生のように教育に関わっているわけではありませんが、この人達にも美少年の新しい教育を考える一員としての権利はあるのです。

世の中のことには疎い二人ではありますが、自分達の恩人が学校を見に来てるのだと思うと、さすがに健一君と久斗君も廊下ですれ違った人達に「おはようございます」と元気良く挨拶をしていました。

出会ったお客さん達がみんな女性というのも不思議なことですが、常に大人の女性に囲まれて育つ美少年の二人には、それほど違和感はなかったようです。綺麗な大人の女性を無条件に信じやすい美少年ならではでしょうか。


続いて案内された『りかしつ』や『しちょうかくしつ』は、全てが新品で綺麗にされている以外は、普通の学校のイメージと比べても特に変わりはないみたいですが、『としょしつ』は内装がとてもカラフルで、どことなく図書館の子供用スペースを思い出す造りでした。

子供っぽい造りは内装だけではありません。どんな本があるか見てみようと、健一君と久斗君が中を回って本棚を覗くと、そこに並んでいるのは全て新品の絵本ばかりだったのです。

「何も難しい本を読むばかりが良いことではないわよ。こういう絵本は、とっても簡単な文章で、楽しく色々なことを学べるの。特に、声を出して読むことで心を綺麗にしてくれる効果もあるわ」

幸子先生の話では、この絵本は国語の授業でも使われるようですが、中学生にもなって授業で絵本を大きな声で読まされる姿を想像すると、健一君も久斗君も急に恥ずかしくなってきました。

しかし、絵本を読まされる恥ずかしさは、二人にとってはまだまだ小さな出来事に過ぎなかったのです。いったん校舎から出て、次に三人が向かった先の建物は、二人の入学式の時に使われた体育館でした。

「きっと体育館も、『たいいくかん』って平仮名になってるんだろうね」

だんだんこの学校のことが分かってきたのか、そんな冗談を言い合っていた健一君と久斗君ですが、実際の名称は二人の冗談よりも、もっと冗談のような『おゆうぎじょう』だったのです。

いつの間にか壁や床などがカラフルな内装になっているだけではなく、いかにも幼児が遊びそうな遊具や、何かの衣装、小道具も沢山揃えられています。本当に『おゆうぎ』の授業が体育のようなものなのでしょう。

「ここでの授業は、遊具を使って体を動かしたりする他に、楽しいダンスを踊ったり、色々なものに変装して、ごっこ遊びをしたり、色々なゲームをしたりするのよ」

本当にそんな授業だったとしたら、どう想像してもこれは幼稚園の時のお遊戯そのものです。これはもう、幼稚園が体育館に引っ越してきたとしか思えないぐらいです。

健一君と久斗君がどう思っても、これは現実なのです。二人はこれから毎日フルチンで、お遊戯の授業を受けなくてはいけないのです。

遊具を使ってフルチン姿で飛んだり跳ねたり、フルチン姿で子供のようなダンスを踊ったり、キツネさんやクマさんのお面をかぶって、フルチン姿でごっこ遊びをしなければいけないのでしょう。

幼稚園時代の自分だったら、姿を想像してもそんなに恥ずかしくはないのですが、健一君と久斗君は華奢で背が低いとはいえ、もう立派な中学生なのです。

そんな二人が、ただでさえ恥ずかしいフルチン姿で、中学生が行うにはあまりにも恥ずかしい幼稚園のお遊戯をするというのですから、二人ともそんな自分の姿を想像するだけで顔が赤くなってしまいそうでした。

ですが不思議なことに、恥ずかしく感じる一方で、ほんのちょっぴり心がドキドキしてくるのを二人とも感じています。

自分と大好きな親友しか生徒がいない学校という、二人だけの世界でなら、思いっきり子供に戻ってお遊戯をしてみたいかもしれない。二人とも口には出しませんが、そんな風に思い始めていました。
「そうだわ、肝心な所を案内するのを忘れていたわね。じゃあ次は、君達にとって一番大切な所に行きましょう」

学校の中を見て回っている途中で、急にある場所を思い出した幸子先生は、健一君と久斗君を連れて二人の教室がある階に戻り、その廊下の一番端っこにある男子トイレへと辿り着きました。

「はい、ここが君達が使うことになるトイレです。トイレも君達の教育の一環となる場所ですから、ルールを守って正しく利用しましょうね」
確かに大切な場所ですが、わざわざトイレの場所まで案内しなくてもいいのにと、健一君と久斗君は拍子抜けしてしまいましたが、幸子先生は単にトイレの場所を教えただけではなくて、ここで色々と説明しなければいけないことがあったのです。

二人に合わせて中を作り替えたという男子トイレに入ってみると、作り替えたという割には特に何の変哲もないトイレでした。オシッコをする便器と、ウンチをするための個室を二つずつ残して必要のない便器が撤去されているぐらいで、便器や個室の囲い等は掃除されているものの、黄ばんで薄汚れたままの、いかにもな学校の男子トイレでした。

掃除や管理の手間を省くためでしょうか、生徒が二人しかいないこともあって、学校の中にあるトイレはほとんどが利用できないように、閉鎖や撤去をしているようです。今この学校にある男子トイレは、職員来客用のトイレを除くと、ここと運動場にあるトイレだけのようでした。

そもそも学年が違う他の階に二人が行くことはほとんど無いので、校舎の中のトイレがここだけというのはさほど問題ではありませんが、どうやら利用するためのルールが特別なようです。

「ほら、ここの壁を見て。ここにポスターが貼ってあるでしょ?このポスターを見て、トイレの使い方を勉強しておきましょうね」

トイレの壁に貼ってある大きなポスターには、例によって子供向けのイラストと文章によって、トイレの使い方の簡単な説明がされていました。

”おしっこやうんちがしたくなったら、手を上げて大きな声で先生に「せんせい、おしっこ!」「せんせい、うんち!」と言おう”

”トイレにひとりで行くのはあぶないよ!かならずともだちといっしょに行こう。うんちのときもはずかしがったらダメだよ”

”おしっこやうんちのとちゅうで、ぜったいに水を流さないようにしよう。水はたいせつにしようね”

”うんちのあとはお尻をちゃんとふけるかな?あまりふきすぎるとお尻がヒリヒリしてくるよ。紙にうんちがつかなくなったらへいきだよ"

”うんちがおわっても、まだ流したらダメだよ。先生をよんで、出したうんちを見てもらおう。ぼくたちの出したうんちは、大切なきろくになるんだよ”

どう見てもこれが中学生に対してのポスターだとは思えませんが、健一君と久斗君が今日学校で見てきた教科書や施設のことを考えれば、このポスターも美少年のための教育という真剣な取り組みに違いありません。

普通、美少年にとって学校でウンチをするという事は物凄い大問題ですが、健一君と久斗君には、あまりそういう悩みがないようです。何故なら学校でたった一人しかいない同級生が大親友なのですから、ウンチをすること自体は恥ずかしくても、ウンチをしに行けないという悩みにはならないからです。

そんな二人ですから、学校の中だけではなく外で遊んでいても、ウンチがしたくなったら、照れながらもはっきりウンチをしてくると言えますし、お互いにトイレまでついていってあげて、ウンチをしている間も個室の前で待っていることがほとんど当たり前でした。

小学校の頃からそんな環境で育ってきたのですから、健一君と久斗君はウンチに関しては、他の美少年達よりもあっけらかんとしています。もちろん、同い年ぐらいの知らない男子が近くにいたら、やっぱりウンチに行きづらくなるかもしれませんが。

「特に、ここは大切よ。学校でのお勉強の成績だけじゃなくて、君達が出したウンチも今後のために役立つ記録になるの。だからウンチが終わった後は、絶対にお水を流したら駄目。守らない子には罰があるわよ」

美少年は非常に下痢をしやすいという印象がありますが、これまでそれが本当なのかどうかを調べる人は誰もいませんでした。そこで美少年がどんなウンチをしているのかを記録に取ることで美少年のウンチの傾向を把握し、より深く美少年を知ろうというのです。

本当に美少年の下痢が多かったら、何が原因なのかを考え、体調や心に問題があればそれを指導改善することが必要になりますし、ウンチの状態を検査することで病気の早期発見に役立つこともあるでしょう。

「これは先生のお仕事ですから、先生は絶対に嫌がらずに君達のウンチをチェックします。だから君達も恥ずかしがらずに、正直に先生にウンチって言いましょうね」


健一君も久斗君も、幼かった頃は保母さんや先生に必ずオシッコやウンチと言ってからトイレに行っていました。それが小学校の途中からでしょうか、いつの間にか先生にはトイレに行く事を言わなくなっていたのです。

それを中学生にもなって久しぶりに先生にオシッコやウンチと言うだけではなく、ウンチに至っては出し終わった物を先生に見せなくてはいけなくなってしまいました。

普通の男子だったら絶対に嫌がることでしょう。ですが、健一君と久斗君は意外と早く納得できたようです。

「美少年のウンチの記録を取るため」という正しい目的が合ってのことですから、それに協力しなくてはいけないという二人の素直な気持ちを、優しそうな幸子先生の安心感が後押ししてくれたのでしょう。

美少年は優しそうな女性を簡単に信頼してしまいがちではありますが、幸子先生なら自分が出した臭くて汚いウンチでも、笑顔でチェックしてくれるかもしれないという気持ちは、きっと間違ってはいないはずです。

甘えん坊な美少年は、いくつになってもママが大好きです。そんな健一君と久斗君にとって、オッパイの大きな幸子先生は、学校の中でのもう一人のママと言っても良い存在になるのでしょう。

幸子先生ならウンチを見せても大丈夫かもしれないと思って、安心する健一君と久斗君ですが、本当は幸子先生よりも、もっとウンチを見てほしい人がいたのです。

(二人でウンチの見せっことか出来たらなあ…)

二人とも考えは一緒でした。自分がそんな事を考えているだなんて相手に知られたら大変だと隠してはいますが、お互いに自分の出したウンチを見せ合いたいという思いは、二人の中でどんどん大きくなっていくのです。
こうして健一君と久斗君は、今まで誰も体験したことがない中学校生活を送ることになったのです。

何もかも二人の想像している中学校とはまったく違いながら、何故か幼い頃に戻ってしまったかのような不思議な感覚に、初めこそ不安と疑問だらけでしたが、教育界でも偉くて権威のある校長先生が決めたことなのですから、それが正しいことなんだと思ってやっていくしかありません。
一通り学校の案内が終わった後、運動場に集まって校長先生のお話を聞くことになりましたが、そこでも校長先生は二人に、フルチンでいることの恥ずかしさを乗り越えてほしいと話しています。

「朝からずっとフルチンになってみて、どうでしたか?初めは恥ずかしいと思いますが、フルチンは君たち美少年の制服なのです。だから何も恥ずかしがらなくて良いのですよ。自信を持ってフルチンになって下さい」

学校で決められたことなのだから恥ずかしがることはないと、校長先生は健一君と久斗君を励ましながらも、二人を見ていて一つ気になったことを指摘し、それを注意しました。

「来客の方とすれ違ったり、挨拶をしたりする時に、まだ二人とも両手でオチンチンを隠していますね。それはいけません、お客様に失礼なことになりますよ。オチンチンは君たち美少年のシンボルなのですから、決して隠してはいけません」

隠さなくても良いものを人前で隠すという行為は、隠された人にとって、自分が信頼されてないのかもしれないと受け止められても仕方がありません。

オチンチンを見られたくないという恥ずかしい気持ちは分かりますが、この学校を支えてくれる人達の前では勇気を持ってオチンチンを出しましょうと、校長先生は二人に話し、これからその練習を行うことに決めました。


「はい、じゃあ先生の笛に合わせて大きく腕を振りながら、一、二、一、二でグラウンドを一周しましょう!」

幸子先生が元気良く吹く、微笑ましいプラスチックの笛の音に合わせながら、健一君と久斗君が一歩一歩グラウンドを行進してゆきます。

腕を大きく振ることで必然的にオチンチンが隠れることはなくなり、歩幅も大きくなってくると、両足を交互に前へ出す度に、丸出しになっているオチンチンと陰嚢がプルン、プルンと揺れていました。

体の小さな健一君と久斗君が、一生懸命腕を振って歩いているように、二人の小さなオチンチンもまた、小さいなりに一生懸命揺れているのかもしれません。そんな二人のオチンチンは、とても健気に見えます。

健一君と久斗君は、校長先生やお客さん達に見られていることを意識して、真剣な表情で練習に取り組んでいるのに、顔から下を見れば二人ともフルチン姿なのですから、とても滑稽です。

さらに、ぶら下がってるというよりは、まだくっついているだけと言った方が良さそうな幼いオチンチンがプルン、プルンと一人前に揺れているのですから、お客さん達は二人に気付かれないように笑いを堪えるのに必死でした。

そうとも知らず、健一君と久斗君は幸子先生の言われるままに、結局グラウンドを三周もさせられていたのです。

「結構です、良く頑張りましたね。それでは最後に、今日来てくださったお客様たちに挨拶をしてから教室に戻ってください」

フルチンなのにオチンチンを隠してはいけない行進の練習が終わると、緊張のせいか健一君と久斗君の体はうっすらと汗ばんでいます。その汗がキラキラと輝いて、二人の体はいつもよりちょっぴり色っぽく見えていました。

健一君と久斗君は、お客さん達の前で気を付けをして汗ばんだ体を晒すと、丁寧にお辞儀をしてから、お遊技場を出て行きます。退場する二人にお客さんたちからの拍手が送られますが、こんな格好で拍手を貰うと、それだけで恥ずかしくなってしまいます。


「はーあ、疲れたなあ、もう」

教室に戻った健一君と久斗君は、周りにお客さんがいなくなったことでようやく緊張が解けたようです。

ズボンとパンツを穿いているのが当たり前の生活で、隠さなければいけない物だと自然に理解していたオチンチンを隠さないでいるというのは、これが学校のルールだと分かっていても落ち着けるものではありません。

それでも何とかフルチンのままでいられたのは、周りがみんな優しい大人の女性ばかりだったということと、お母さんのような幸子先生がずっと一緒に居てくれた事が大きかったのでしょう。

フルチン姿の健一君と久斗君を一切からかうことなく、まるで普通に服を着ているかのように接してくれたおかげで、健一君も久斗君も自分のフルチン姿を余計に意識しなくて済んだのかもしれません。

今日一日一緒にいただけで、二人は幸子先生の事をすっかり信頼したようです。信頼できるお母さんのような存在を得る事が出来た二人は、これからより一層ひまわり中学校での生活に馴染んでいくことでしょう。

後は帰りのホームルームだけになりましたが、どうやら二人ともオシッコを我慢できなくなってきたようです。じゃあ一緒にオシッコをしに行こうと、二人は「せーの」で息を合わせてから、仲良く手を上げて大きな声で叫びました。

「せんせー、オシッコ!」


こうして健一君と久斗君の、中学生としての最初の一日が終わったわけですが、何とかフルチン姿にも慣れてきたと思った二人は、下校の時になってまた急に恥ずかしさが込み上げてきたのです。

このフルチン姿は学校の制服ですから、学校の中ではフルチンでいるのが当たり前という心の支えがありましたが、学校の外に出ればもうフルチンは当たり前ではないのです。

村の人達は二人がフルチンだという事を知っていますが、それでもやっぱり外をフルチン姿で歩くのは常識では考えられませんし、もし関係のない人が車で通りがかったりしたらどう思うでしょうか。

お遊技場の練習では何とか堂々と行進していた健一君と久斗君ですが、一歩学校の外に出たら、もうオドオドしながら不安そうに歩き出しています。

「こ、こんばんは…」

二人の下校を見守るために帰り道で待っていた村の人に出会っても、小さな声しか出せませんし、人に会うたびに恥ずかしくなって、だんだん早足になっていきます。

そして帰り道が別々になる所で分かれて、一人になった健一君と久斗君は、何度も振り返りながらお互いの姿が見えなくなった所で、小走りになって家へと帰っていくのです。

ようやく家にたどり着いた二人を、二人のお母さんは優しく出迎え、一日中恥ずかしい思いをした息子を励ますかのように、急いでパジャマを用意しました。

「あー恥ずかしかった」

パジャマを着たことで急に元気になった二人は、恥ずかしかったとは言いながらも、今日学校であった事を色々お母さんに話しています。

二人とも恥ずかしい事が本当に辛かったら、何も話してくれなかったかもしれません。嫌な記憶は、口に出すのも辛いのですから。

そう考えると、二人のお母さんは健一君と久斗君が学校での出来事を話してくれたことで、これから何とかやっていけそうだと判断して、ひとまずホッとしたのです。
美少年のための、新しい中学校教育に適応していくための準備期間が過ぎると、いよいよ本格的に授業が行われていくことになります。

普通の中学生は、小学生の時よりも厳しくなった授業の内容に戸惑い、ついていけなくなる生徒も出て来てしまうものですが、健一君と久斗君は、逆に小学生の時よりも優しくなった授業に戸惑うばかりでした。
「太郎君は、お母さんにリンゴを五つもらいましたので、お友達にリンゴを二つあげました。そうすると、太郎君は今、リンゴを何個持っているでしょうか?」

「はい、それでは先生と一緒に、あいうえお五十音を順番に発音してみましょう」

教科書を貰った時に、内容が優しくなったのは分かっていたのですが、実際に授業を受けてみると、あまりにも簡単すぎて困るどころか、答えるのが恥ずかしくなってくるぐらいです。

「良くできました。二人とも、とってもお利口さんですね」

幸子先生も、低学年の児童を相手にしているような話し方で授業を進めるので、それがなおさら二人の恥ずかしさを増していくことになりますが、教室の中にいるのは先生と自分達二人だけという環境は、健一君と久斗君の心を早く慣れさせていくのです。

教室に何十人という生徒がいる普通の環境では、なかなか自分の本当の姿を見せることは出来ませんし、もしも恥ずかしい目に遭ってしまったら、同じ教室の生徒全員にからかわれてしまうのです。

そんな環境では、恥ずかしがり屋でなくても誰もが自分を偽り、多数派から弾かれないために、本音を隠しながら苦しい毎日を過ごしている生徒も大勢いることでしょう。でも、健一君と久斗君にはそれがないのです。

生徒は健一君と久斗君の二人きり。兄弟以上に仲が良く、フルチン姿を見せ合うことが出来るぐらい大親友の二人なら、自分の気持ちなんて偽る必要はありません。

とても優しい幸子先生の下で、難しくない勉強を低学年のような楽しい雰囲気で行えるのなら、嬉しいと思うことはあっても不満に思うことはありません。美少年は根本的に甘えん坊なのですから、成長したいと思うよりも、いつまでも子供のままで甘えていたいと思うのが当たり前なのです。

「今日の図工の授業は折り紙です。紙飛行機を作って、健一君と久斗君のどちらが遠くまで飛ばせるか競争してみましょう」

こんな単純な授業でも、二人はだんだんそれを子供のように楽しめるようになっていきました。授業の風景がビデオカメラで記録として残される自分の姿が、中学生としては恥ずかしいかもしれないと思いながらも、子供のままでいられることを嬉しく感じていたのです。

「先生が良いって言うんだから、僕達まだ子供のままで良いんだよね」

お昼休みには、グラウンドの隅っこに作られた遊具施設で、二人はよく遊ぶようになりました。

ブランコやシーソー、滑り台や砂場といった近所の公園によくある幼児向けの遊具は、高学年にもなると周りの目が気になって遊ぶのが恥ずかしくなるものですが、ここにある遊具は二人が遊ぶために作られたのですから、遊ばない手はありません。

カメラに撮られていても、お客さんが見に来ていても、ここで二人が遊具で遊んでいることは正しいことだと学校が公認しているのですから、二人は誰の目も気にする必要がないのです。

「うんん…もう少し…。あ!やったあ!トンネルが完成したよ!」

今も健一君と久斗君は砂場で山を作り、そこにトンネルを掘ることに夢中になっています。どうやら上手く完成したようで、二人は穴の中で手を握り合いながらはしゃいでいます。

山の両端から別々に穴を掘って、穴が繋がるまで掘り続けていくうちに、二人の姿勢はどんどん低くなって、まるで犬みたいな姿になっていきますが、その時にお尻の肛門が丸見えになっているのをお客さん達にクスクス笑われていても、トンネルに夢中になっている二人はまるでお構いなしでした。

フルチン姿で砂場で遊んでいると、体中が砂だらけになって汚れてしまいますが、二人の肛門は、砂だらけになった体よりも、さらに汚れていたのです。


それにしても、どうして美少年の肛門は、いつも汚れて臭ってしまうのでしょうか。

たしかに美少年はよく下痢をして、柔らかいウンチばかりをしている上に、その後のお尻の拭き方が雑です。これでは美少年がみんな白いブリーフに茶色いシミを付けてしまうのも当然です。

さらに、美少年のお尻の汚れに対してはお母さん達も寛容で、まるで汚れているのが当たり前のように接しているので、美少年達もなおさら汚れを気にしなくなるのかもしれません。

この事に対しては、美少年に関する研究をしている校長先生が一つの仮説を立てています。それは『美少年の肛門が汚れているのは、美少年同士が惹きつけ合うためのフェロモンの役割を果たしているのではないか』ということでした。

美少年のオチンチンの臭いも一緒です。どちらも嫌いな人の臭いだったら、とても嫌な臭いでしょう。ですが、大好きな親友の臭いだったら、まったく別です。同じ臭いでも、たちまち大好きな香りになるのですから。

美少年同士が愛し合ったなら、いずれは体で繋がる行為をするようになるでしょう。オチンチンと肛門を使って、二人の美少年が一つになるのです。その時に「オチンチンの臭いが嫌」「肛門の臭いが嫌」なんて事は有り得ません。

大好きな相手の臭いを受け入れるだけではなく、その臭いによってより強く惹かれ合う。美少年達が心の底から好きな相手と結ばれるための、肛門の汚れであり、臭いであるのだと、校長先生は考えていました。

だから校長先生は、初めての身体測定の日に、健一君と久斗君のお母さん達に説明をしました。

「これからは学校で定期的に肛門検査が行われることになりますが、その結果が常に『不可』になるかもしれません。でも、お母さん達は決して二人を叱らないでいてください。それが美少年の『普通』であるかもしれないのですから」

校長先生の仮説は、まだ美少年の肛門の汚れを正当化出来る訳ではありません。だから検査の結果では、汚れにより不可にしなければいけませんが、校長先生自身は不可だとは思っていないので、二人のお母さん達も優しく接してあげましょうと言うのです。

「ですが、それで『良い』と言ってしまっては、教育上はよろしくありません。やんわりと『お尻を綺麗にしましょう』ぐらいは言っておくべきでしょう。ワザと汚すものではありませんから」

いくら汚れた肛門がフェロモンかもしれないといっても、健一君と久斗君がワザと肛門を汚すようになっては目も当てられません。汚れた肛門は恥ずかしいという意識があってこそ、美少年のお尻も愛おしくなるのですから。それほど勉強が好きではない健一君と久斗君でも、簡単すぎて戸惑ったひまわり中学校の授業でしたが、「さんすう」や「こくご」を切っ掛けに、幸子先生の優しい教え方によって、もっとおかしな授業にも、二人は取り組んでいけるようになりました。

その一つが、幼稚園以来となる「おゆうぎ」の授業です。これは二人が中学生であっても、やることは幼稚園のままでした。

楽しくお歌遊びをしたり、二人でも出来るゲームやごっこ遊びをしたり、演劇をしたりと、冷静に考えたらとても恥ずかしいことばかりですが、幸子先生やお遊戯を見学しに来るお客さん達が、とても楽しそうに褒めてくれるので、恥ずかしさがだんだん楽しさに変わっていくのです。
「はい、健一君も久斗君も、もう振り付けが完璧に出来るようになりましたね。これからは、この歌をどんぐり組の歌ということにして、毎日歌うことにしましょう」

お歌遊びでは、懐かしい童謡を色々と歌っていますが、二人が一番最初に覚えさせられたのは、「どんぐりころころ」の歌と踊りでした。

これは、学校が新しくなって校歌が無くなった代わりに、どんぐり組というクラス名に相応しいこの歌を、校歌の代わりにしようというのでしょう。どんぐり組というクラス名も、初めからそのつもりで名付けたのかもしれません。

明るくて楽しいこの歌は、声変わりのない美少年にはとてもお似合いの歌かもしれませんが、「幼い子供のための歌」という第一印象があまりにも強すぎます。

それを中学生の二人が、フルチン姿で可愛い振り付けと共に歌うのですから、当然二人が恥ずかしがって歌わなくても、おかしくはありません。

ですが、ここでも幸子先生達は、まるで健一君と久斗君が本当に幼稚園児であるかのように接し、優しく褒めて、二人の歌を聞いて喜んであげることで、どんぐりころころを歌うことが、おかしくなければ恥ずかしくもない雰囲気を作り上げたのです。

そのおかげで、二人は気がつけば毎日朝のホームルームで、お客さん達やカメラを前に、大きな声で元気良く踊りながらどんぐりころころを歌うのが当たり前になっていました。

「はい、それでは朝の合唱を始めましょう」

そう言って幸子先生がピアノに座ると、健一君と久斗君はすぐに席から立ち上がり、前に出て教室の後ろで見学しているお客さん達の方を振り返ると、ピアノの演奏に合わせて歌い始めました。

自分達の歌と踊りでみんなが喜び、褒めてくれる事で健一君と久斗君もすっかり嬉しくなって、ちょっぴり恥ずかしがりながらも笑顔で歌い、丸見えのオチンチンがプルンプルンと揺れてしまうぐらい、元気良く踊っています。

静かな村の朝、学校の校舎から響く二人の可愛い歌声は、すぐに村の日常として溶け込み、学校の近くに住んでいる人達の憩いの時間になっていたのでした。


演劇の時間では、懐かしい童話を演じる事が多いのですが、これは二人が子供の頃に読んだ絵本で話を大体把握しているだけに、台本をあまり覚えなくてもアドリブで進める事が出来るので、あまり困ることはありません。

美少年はみんな控えめで大人しいと思われがちですが、それは周りの人の目が恥ずかしいというだけで、本当はみんな目立ちたがり屋さんなのです。

健一君と久斗君も、いつも沢山の拍手をしてくれるお客さん達の前で、テレビに出ているスターにでもなったみたいに、演劇を本当に楽しそうに取り組んでいました。

「ねえねえ、お尻ってさ、こうやって、そっちから見たらさ、桃みたいに見えないかな?」

美少年にやらせたい演劇の定番ともいえる桃太郎でも、二人はちょっとした悪ふざけをして、目立とうと考えました。

「どんぶらこー、どんぶらこー」でお馴染みの、大きな桃が流れてくる場面で、なんと二人は自分達のお尻を桃に見立てて演技をしようとしたのです。

確かに美少年のスベスベして綺麗なお尻は、ちょっと前に突き出すだけで本当に桃のように見えますが、これは二人がフルチン姿だからこそ出来ることです。

健一君と久斗君は、それだけ自分達がフルチン姿でいる事が当り前になってきているのでしょう。だからこそ、そんな事が考えられるのです。

お客さん達の前で劇を発表する時間、幸子先生が読み上げるナレーションに合わせて舞台に上がってきた健一君と久斗君は、いきなりお客さん達にお尻を向けてペタンと正座をしたかと思うと、そのままの姿勢で伏せてしまいました。

「おや?なんとお婆さんの元に、とても可愛い桃が二つも流れてきてしまいました。まるで本当の桃みたいな健一君と久斗君のお尻を、皆さんの拍手で迎えてあげましょう」

手前から見た二人のお尻が桃で、正座をしている足の裏が桃の葉っぱなのでしょう。上半身を伏せた体勢でお尻を左右に振ることで、川を流れている桃を演じようとする二人の姿の可笑しさに、お客さん達は笑いを堪えるのに必死で拍手どころではありません。

「もうー、おっかしいわー。なんて可愛いのかしらー」
「あらいやだ、お尻の穴まで見えちゃいそう」

お金持ちの上品そうなお客さん達が、思わずはしたなく笑ってしまうほど、健一君と久斗君のお尻で演じる桃は大好評でした。こうやって自分達のアイデアが喜ばれれば喜ばれるほど、二人はお遊戯が大好きになっていくのです。


そして、お遊戯よりもさらに中学生らしくない授業がもう一つ。それが『トイレトレーニング』の時間です。

これに至っては、もはや幼稚園どころではありません。もっと幼い頃に、お母さんからちゃんと教育を受けているはずなのですから。

健一君も久斗君も、もうちゃんと一人でトイレに行けますし、洋式でも和式でも、自分一人でウンチをして、後始末まで済ませることも出来ます。

それなのに、どうして今更トイレの仕方を教わらなければいけないのでしょうか。健一君と久斗君は当然不思議に思いましたが、そこにも校長先生の考えが色々とあるようです。

「これは何も、トイレの仕方だけを学ぶ時間という訳ではありません。トイレやウンチに関することで困った事が起こりやすい美少年のために、トイレに関する知識や、美少年のウンチの事情を学ぶ時間でもあるのです」
「では、初めに先生から質問をします。健一君と久斗君は、ウンチの後にちゃんとお尻を拭けているかな?拭けていると思ったら、手を上げましょう」

初めてのトイレトレーニングの授業は、幸子先生の質問から始まりました。国語や算数と違い、この授業には教科書というものはありません。先生と二人の対話だけで授業を進めていくのです。

健一君と久斗君は、お尻ぐらいちゃんと拭けてるという自覚はありましたが、念のためお互いに相手の様子を見合ってから、二人でゆっくりと手を上げました。
「はい、そうですね。二人とも、もう中学生だから、自分でお尻を拭くことは当然出来ると思います。でも、お尻を拭いたつもりでも、お尻が本当に綺麗になってるとは限らないわよ」

幸子先生は、お尻の拭き方が雑になりがちな美少年への戒めの意味を込めて、ちょっと意地悪な言い方をしましたが、健一君も久斗君も、それを理解出来てはいないようです。そんな二人に、幸子先生はまた質問をしました。

「もう一つ質問をします。君達はウンチの後にお尻を拭く時、いつもどのぐらいで拭くのを止めているのかな?」

これは答えるのが難しい質問です。いつもそんな加減を考えてお尻を拭いているわけではない二人は、どう答えれば正しいのかが分からずに、また二人で目を見合わせていますが、自信のある答えはなかなか出て来ません。

二人がなかなか答えられないのを見ていた幸子先生は、とりあえず思っている事を答えさせるために、先に健一君を指名しました。健一君も指名されたら何か答えなくてはいけないと焦って、自信はありませんでしたが、ボソボソと口を開きました。

「えーっと…、大体いつもウンチが紙にほとんど付かなくなるぐらいまで、拭いてるかな…?」

健一君がそう答えると、幸子先生は頷いてから、次に久斗君を指名しました。そして久斗君が、健一君と同じだと答えたことで、先に答えた健一君は、久斗君と考えが同じだったことにホッとしました。

ですが、衛生面を考えた場合、二人のお尻の拭き方は、あまり清潔とは言えません。「ほとんど」と言うことは、まだ紙にウンチが付いてしまう状態で、お尻を拭くのを止めてしまうということなのですから。


何度もお尻を拭いて、紙にまったくウンチが付かなくなっても、ウンチをした後の肛門は、完璧に綺麗になっているわけではありません。紙だけで肛門を清潔にすることは不可能なのに、まだ紙にウンチが付いてしまう状態でお尻を拭くのを止めてしまう二人の肛門は、とても不潔なはずです。

「君達もウンチをした後、始めは何ともなくても、時間が経ってくるとお尻の穴がベトベトしてきたり、痒くなってきたりした事があるでしょ。そんな時は、お尻の穴がちゃんと拭けてない証拠です」

幸子先生の説明を聞いた二人は、自分の肛門がむず痒くなる事が多かった事に、本当は気が付いているのに、あまり身に覚えがないような素振りをしながら、誤魔化そうとしています。

大丈夫だと言っておけばバレないと安易な嘘をついた二人ですが、根が単純な二人のついた嘘では、幸子先生には通用しません。不自然にニコニコ笑って誤魔化そうとする二人を、先生は懲らしめる事にしました。

「本当かなー?君達のお尻が綺麗に拭けてるかどうかは、いま君達が座っている座布団を見れば、すぐに分かるわよー」

どうして座布団を見ればお尻の綺麗さが分かるのかは、二人には分かりませんでしたが、肛門が痒くなるのを隠し通せるか不安になってきた二人は、どうしても動揺が顔に出てしまいます。

それを見て、幸子先生は座布団でお尻の綺麗さが分かる理由の説明をしました。それは、学校から支給された座布団の色に秘密があったのです。

健一君と久斗君がお尻に敷いている座布団の生地は、二人がいつも穿いていたブリーフと同じぐらい真っ白な色でした。いかにも汚れが目立ちそうな座布団に、二人はフルチン姿でそのまま座っているのですから、お尻と座布団が直に密着してしまう事になります。

肛門が不潔な状態で、真っ白い座布団に座り続ければ、当然肛門が生地に触れることも多くなるでしょう。落ち着きのない二人が授業中、座布団の上でお尻の位置を何度も動かしたりするのは、座布団に肛門を擦り付けているのと同じようなことなのです。

「先生は君達が帰った後に、毎日座布団をチェックしていたから、全て分かっています。はい、では健一君と久斗君は今すぐ起立してみましょう。これから先生が二人の座布団に付いたウンチの跡を見せてあげます」

幸子先生が手を叩いて二人に起立させようとすると、二人は突然大慌てで騒ぎ出しました。座布団でそんなことが分かってしまうなんて、思いもしなかったからです。

「えーっ!そんなーっ!待って待ってー!先生、もうちょっと待って!」

待ってもらったからといって、どうなるわけでもないのに、二人は急いで立ち上がり、自分が座っていた座布団の汚れを確認してみました。しかし、あれほど大慌てをした割には、座布団に茶色い汚れは付いていなかったのです。

「えっ?あれーっ?先生、僕達の座布団、汚れてなんかいないよ?」

幸子先生の言葉を信じ込み、てっきり座布団の中央が茶色く汚れていると思い込んでいたのに、実際は汚れていないことを知って、一気に拍子抜けしてしまった二人の表情を見て、先生はクスクスと笑いながら、二人を驚かすために嘘をついていたことを話しました。

健一君も久斗君も、ホッとする一方で先生が嘘をついていたことを怒りますが、それは二人がお尻が痒くなることを隠そうとしたのがいけないと、逆に窘められてしまいました。

優しくではありますが、先生に注意をされることは、やっぱり二人にとってはつらいことです。ちょっぴり落ち込んでしまった健一君と久斗君ですが、幸子先生は、ちゃんと後のことも考えていました。

「健一君、久斗君も、落ち込んでは駄目よ。今はまだお尻が不潔かもしれないけど、これから先生と一緒にお尻の拭き方を練習していけば、きっとお尻の穴が痒くならないようにすることが出来るんだから、頑張りましょう」

元気づけるような幸子先生の言葉に、二人は先生が自分達を怒っていないんだということに気が付き、また明るい気持ちになりました。そして大きな声で「はーい」と返事をしたのです。


これが幸子先生のトイレトレーニングのやり方なのでしょう。どうしても不潔になりがちな肛門だからといって、美少年に拭いても拭かなくても一緒と思わせてしまってはいけません。

美少年の肛門は、どんなに拭いても不潔になりがちという不思議な特徴を持っています。きっとお尻の拭き方を練習させても、二人の肛門はいつの間にか不潔になっているのでしょうけど、それでも幸子先生は、二人にトイレトレーニングをしっかり頑張らせようとするのです。

「本人はしっかり拭いているつもりなのに、やっぱり不潔」というような、美少年の肛門がいつでも愛らしい状態でいるために、美少年へのトイレトレーニングは必要なのでした。

「ちなみに、先生がいつも君達の座布団の状態をチェックしているというのは、嘘ではありません。二人ともしっかりトイレトレーニングを頑張らないと、先生にはすぐ分かりますからね」
初めは教室での先生とのお話だけだったトイレトレーニングの授業も、工事中だったトイレトレーニング室の準備が整ったことで、いよいよ実施が始まることになりました。

幸子先生と一緒に、健一君と久斗君が向かったトレーニング室とは、二人が利用しない階の男子トイレを改築して作った部屋でした。使われないトイレを再利用することによって、学習に役立てようというのです。
特別教室という扱いになってはいますが、ひんやりするタイル造りの床や壁は、トイレだった時と全く同じ印象を残しています。違うのは、それぞれの便器を区切っている壁が全くないことです。

壁に設置されている小便器はもちろん、大便用の個室というものもありません。しかも大便器は、部屋の真ん中の一段高くなった台の上に、和式便器が二個並んで設置されているのです。

(わー、ここでウンチはしたくないなー)

とても目立つ所に、剥き出しで設置されている便器を見て、健一君も久斗君も、この便器でウンチをする姿を想像したら恥ずかしくなってしまいました。

とはいえ、ここはトイレトレーニングのための教室なのですから、実際にここでウンチをすることはないでしょう。それでも、トレーニングのためにこの便器を使わされるのですから、ウンチをしなくてもとても恥ずかしいのは同じかもしれません。


ここでは主に、オシッコの時の正しい立ち位置や、ウンチをする時の理想的な座り方を教わることになります。その前に、まずは健一君と久斗君が普段どのようにオシッコやウンチをしているのか、幸子先生が確認します。

「二人ともあまり難しく考えないで、普段自分がオシッコをしている時と同じように立ちましょうね」

普段と同じようにと言われても、オシッコをしないのに小便器の前に立って、オチンチンを両手で摘むというのは、その格好がかえって恥ずかしくなるようです。

さらに幸子先生が、確認のために二人の横に立って、上からオチンチンを覗き込んでくるのですから、二人は照れ笑いを浮かべながらオチンチンを隠そうと、ついつい体が前に出てしまうのです。

「はい、良くできました。二人とも百点満点です」

幸子先生に何を注意されるかとドキドキしていた二人は、何も考えずに立ったのに、いきなり褒められて驚きました。どうやら二人が恥ずかしがって、体を前に出したことが良かったのかもしれません。

それは、二人が美少年らしい恥ずかしがり屋だからこそ取った行動でした。健一君も久斗君も、二人っきりの時はオチンチンを見せ合えるような大胆さはありますが、他の人に見られるのはとても恥ずかしがって、オシッコの時も隣に人がいると、無意識にオチンチンを隠そうと体を前に出してしまう癖があるのです。

自分の股間に付いている、小さくて変な形のオチンチンは、美少年にとって、とても恥ずかしくて、隠さなければいけない物です。たとえ今はフルチン姿が制服の状態であっても、オシッコをする時はズボンを穿いている時の習性が出てしまいます。

フルチン姿での学校生活にも慣れてきて、照れ笑いをする余裕があっても、二人の体は正直でした。でも、そのオチンチンを隠そうとする気持ちが、先生に褒められる結果になったのです。


「オシッコをする時は、今みたいに体をなるべく便器に近付けて、両手でしっかりオチンチンを摘むようにしましょうね。便器の形によっては、体を前に出しづらい場合もあるから、そういう時は腰を突き出すようにして、オシッコをしましょう」

幸子先生が説明をしながら備え付けのホワイトボードに描いたのは、腰を突き出して体を「くの字」に曲げながら立っている人を、横から見た絵でした。先生はそれをさっそく二人に実践させようとします。

「いいかなー、「くの字」と言っても、腰を後ろに引いてはいけません。前に出すんですよー。そうそう、オチンチンをグッと前に出してー」

今度は小便器を使わずに、先生の目の前で腰を突き出して、オシッコをする格好の練習です。さすがにこれは健一君も久斗君も照れくさいどころか、とても恥ずかしいだけで、早く終わりにしてほしいと渋い顔でした。

しかし、恥ずかしいトレーニングはまだ続きます。今度はオシッコが終わった時に、オチンチンの先っぽに残った雫を切る真似をして下さいと先生に言われて、二人はそのまま先生の目の前で、摘んだオチンチンを振る真似を始めました。

小便器の使い方では百点満点をもらった二人ですが、今度は上手くいかなかったようです。何も考えずに適当にオチンチンを振っていたら、幸子先生にそれはいけませんと注意されてしまいました。

「ほら、そうやってオチンチンをいいかげんに振っていたら、オシッコの雫があちこち飛び散って、体に付いちゃうわよ」

健一君と久斗君は、オシッコの雫を切る時に、小さなオチンチンの根元を摘んで振っていましたが、これではオチンチンがあちこちに揺れすぎてしまいます。たとえオチンチンが小さくても、なるべく真ん中の辺りを摘んで、オチンチンが必要以上に揺れないようにしましょうと幸子先生が教えてくれました。

それからは健一君と久斗君も、オシッコの後にも意識してオチンチンを摘みながら雫を切るようになりました。でも、振り方が良くなっても、雫を完全に切る前に終わりにしてしまう事が多いのは、肛門の不潔さと一緒なのかもしれません。

それは、二人が今まで穿いていたブリーフの裏地を見れば明らかでしょう。しっかりと黄ばんだオシッコのシミや、うっすらと残った茶色いウンチのシミ。美少年はブリーフを恥ずかしがる前に、それをもっと恥ずかしがりましょうと言いたくなってしまうぐらいです。


「今日はいっぱいオチンチン触っちゃったよね」

トイレトレーニングの授業の後、二人がそんなことをお喋りしていたのも無理はありません。小学生の頃からお母さんに「オチンチンをあまり触ったら駄目ですよ」と言い聞かされていたのですから。

それが授業とはいえ、オチンチンをあんなに触ってしまったら、お母さんに何か言われるのではないかと心配になってしまうぐらいでした。

でも、オチンチンに触ったということを仲良く話せるのは、今だけかもしれません。まだ二人ともオナニーのことをまったく知らないのですから。

Hな事といっても、せいぜい女性の大きなオッパイになんとなく惹かれてしまうぐらいで、まだその事の意味も分からず、美少年同士の恋愛感情にも目覚めていない健一君と久斗君には、オチンチンがまだオシッコをするためだけの部分としか思えないようです。

ただでさえ情報の少ない村で、生徒もたった二人だけの学校生活では、Hな知識が外部から入ってくることもほとんど無いでしょう。きっと二人の性の知識は、純粋に美少年の本能で目覚めるのを待つまで、ずいぶん時間が掛かるかもしれません。
健一君と久斗君の、二人で一緒に受けるトイレトレーニングも、オシッコのトレーニングは一通り教わることが出来ました。そして、いよいよウンチのトレーニングの始まりです。

オシッコと違い、ウンチというのはどんなに仲良しの親友と一緒でも、したいのを我慢してしまうほど、恥ずかしい行為です。

それは、ウンチをしに個室に入るのが目立つのはもちろん、ウンチが出る音、ウンチの形、ウンチの臭いや、ウンチをする時の格好まで、ありとあらゆる事が恥ずかしいことなのですから、オシッコとは比べものになりません。
トレーニングでは、実際にウンチをすることはないでしょうけど、あの目立つトレーニング用の便器で、しゃがんだりさせられるかと思うと、健一君も久斗君も授業が始まる前から、ちょっとドキドキしています。

ただ、小学生の時も、ほとんど二人きりの学校生活のようなものだった健一君と久斗君は、普通の美少年と比べて、学校でのウンチはそれほど深刻な問題ではなかったようです。

ウンチをすること自体はどんなに恥ずかしくても、他の男子にからかわれたり、みんなに言い触らされたり、ウンチの最中に囃し立てられることが無いのですから、つらい思い出を抱えることもありません。

むしろ二人のドキドキは、二人で並んで仲良くウンチトレーニングをしている光景を想像しての、体がくすぐったくなるような、不思議な恥ずかしさによるものかもしれません。


「では最初に質問をします。健一君と久斗君は、今まで学校でウンチをした事がありますか?あったら手を上げてみましょう」

普通の美少年でしたら、教室でこんな質問をされても、絶対に手を上げられないでしょう。美少年以外でも、勇気を出して手を上げられる男子は、少ないはずです。

しかし、健一君と久斗君には、手を上げたらからかわれたという体験や心配が無いのですから、始めに二人で目を合わせただけで、あっさり手を上げてしまったのです。これに幸子先生は意外そうな顔をしていました。

手を上げたこと自体は良いことなのですが、幸子先生は、ここで二人がなかなか手を上げないことを予測して、正直に手を上げなかった事への注意を交えながら、「学校でウンチをするのは恥ずかしくありません」というお話をしようと思っていたのです。

学校の生徒が二人きりだという特殊な環境が、ウンチをした事を告白しやすくしてしまったのでしょう。それならそれで、幸子先生は、ちゃんと二人を褒めることにしました。

「はい。健一君も久斗君も、大変良くできました。学校でウンチをした事を正直に手を上げられるというのは、とても大事なことです」

微笑んだ幸子先生の褒め言葉に、二人も嬉しくなって笑顔になりました。でも、他の学校では、中々このようにはならないのです。


「他の学校では、友達以外の生徒も大勢いるから、君達と同じ美少年は、恥ずかしくて中々手を上げることが出来ません。それだけじゃなくて、学校でウンチがしたくなっても、家に帰るまで我慢をしてしまったりするの」

美少年以外の男子でも、学校でウンチをすることは、とても大変な問題なのですが、美少年は恥ずかしがり屋が多いだけではなく、イジメられっ子も多いという原因が、余計に学校でウンチをすることを嫌がらせているのです。

それなのに、下痢をしやすい体質なのですから、追い詰められた美少年は、嫌でも学校のトイレを使わざるを得ません。そして、その事をイジメッ子達にからかわれて、心が傷ついてしまうのでした。

イジメられっ子の美少年が、学校でウンチをした事によって、さらにイジメられる事もあれば、今までイジメられたことがなかった美少年が、学校でウンチをしたせいで、あっという間にイジメられっ子になってしまうこともあります。

美少年が学校でウンチをすることは、自分からイジメられに行くようなものです。できれば避けたいことでしょう。でも、どんな美少年も、いつかは学校でウンチをしなくてはいけない時が来るのです。

美少年が生きている限り、絶対に避ける事は出来ない学校でのウンチ。それは、美少年を守りたい先生達にとって、とても大きな悩みでした。なぜなら、美少年がイジメられる原因を取り除くことが、絶対に出来ないということなのですから。

「他の学校の美少年達は、みんながイジメに苦しんでいます。健一君と久斗君は、学校でウンチをしても手を上げることが出来て、とても幸せなのよ」

イジメの話になって、幸子先生はいつの間にか真剣な表情になっていました。健一君と久斗君も、真面目な話にちょっぴり俯きながらも、今まで賑やかさが足りないと思っていた学校生活に、良い所もあったのだと気付かされました。

「だから健一君と久斗君は、学校でウンチが出来ない他の子達の代わりに、学校で堂々とウンチをしましょう。そして、学校でウンチをしても平気でいられる、強い美少年になりましょうね」

二人は、大きな声で「はい!」と返事をしました。幸子先生も、それを聞いて大きく頷き、再び二人に笑顔を見せました。


先生達が美少年にしてあげられることは、美少年がウンチをしても嫌な思いをしないような環境を作ってあげることと、ウンチをすることは恥ずかしくないのだと言い聞かせて、美少年の心の負担を和らげてあげることぐらいでした。

一番良いのは、美少年が強くなることです。でも、それはとても難しい事でしょう。だから幸子先生は、トイレトレーニングの授業で、二人とウンチの話題で触れ合うことによって、学校でのウンチに対する抵抗感を減らしてあげようとしているのです。

他の男子が大勢いる学校で、美少年にトイレトレーニングの授業を行わせることは、美少年をかえって恥ずかしがらせるだけではなく、イジメを悪化させることにもなってしまうでしょう。

これは、本当にひまわり中学校でなければ出来ない試みです。そして、ウンチをしたことでイジメられた経験が無い、健一君と久斗君の二人でなければ、素直に授業を受けてもらうことも出来なかったでしょう。

「先生、僕達ウンチトレーニング一生懸命頑張ります!」

自分達のやることが、他の美少年達のためになるかもしれないと思うと、二人は張り切ってみようという気持ちになったようです。

何をやるかはまだ分からなくても、とにかく幸子先生の話を良く聞いて、頑張ろうと思いました。そして、これからも学校でウンチをした事があるかどうかを聞かれた時に、堂々と答えようとも思いました。
小さな頃に誰もがやっているはずのトイレトレーニングも、成長した頃には、どんな風に教わっていたのか、ほとんど覚えていないものです。

健一君と久斗君も、小学生になった頃には、もう当たり前のように一人でウンチが出来ていましたし、ウンチが出来なかった頃の記憶はほとんど無いようです。

成長してから、知り合いの大人に「昔オムツを替えてあげたのよ」と言われても、まったくピンと来ることがないように、幼い頃のトイレトレーニングの記憶は、体が覚えてはいても、頭には残ってないようです。
「子供が一人でウンチを出来るようになると、お母さん達も安心して、トイレのことはほとんど教えなくなります。でも、そこで悪い癖を身に付けたままになってしまうこともあるから、もう一度正しいウンチの仕方を勉強して、悪い癖を直しましょう」

ここでいよいよウンチトレーニングのために設置された、トレーニング用和式便器を使用することになりました。部屋の中央に仲良く二つ並んで設置された便器は、まさに健一君と久斗君が、仲良くしゃがんでトレーニングをするために用意されたかのようです。

「はい。では実際に、このトレーニング用便器を使用してみましょう。君達がいつもウンチをしてる時と同じように、しゃがんでください」

幸子先生の指示で、台に上がった健一君と久斗君ですが、いくらトレーニングだと分かっていても、やっぱり周りに壁も何もない和式便器の上でウンチをする格好をするのは、実際にウンチをしなくても恥ずかしいものです。

しかも美少年とはいえ、初めて中学生に対して行われるトイレトレーニングの授業ということもあって、トレーニング室には今までにない多くのお客さん達が見学に来ていたのですから、余計に緊張してしまうでしょう。

学校生活をフルチンという制服で過ごし、オチンチンやお尻を、お客さん達に見られることも少しずつ慣れてきたのに、ウンチをする格好を見られるのは、まったく別の恥ずかしさなのです。

「ほらー、緊張しないでー。別にしゃがんだ格好がおかしくても、悪くはないのよ。それを直していくためのトレーニングですからねー」

幸子先生が照れる二人を励ましますが、健一君も久斗君も、しゃがみ方が間違っているかもしれないのを気にしているわけではありません。便器を跨いでしゃがむ姿そのものが、恥ずかしかったのです。


幸子先生に励まされながら、ようやくウンチをする体勢になった健一君と久斗君は、便器を跨いでしゃがんだことで、余計にお客さん達の目が気になってきました。

もともと小柄な二人がしゃがみ込んだことで、さらに小さくなってしまうと、後ろにいるお客さん達の視線が、さらに上から見下ろされているような感覚になってしまうのですから、ちょっぴり不安になってしまいます。

二人を見下ろす幸子先生やお客さん達は、小柄な美少年がさらに小さくなった姿に、ますます可愛さを感じているだけなのですが、見上げなければ大人達の顔も確認できない状態の健一君と久斗君には、優しい視線も威圧感になってしまうのです。

このように、ウンチをするために和式便器でしゃがむことは、美少年にとって、あらゆる恥ずかしさと不安に襲われてしまう行為なのでした。だからこそ、恥ずかしがる美少年の姿に、大人の人達は優しい視線を送りたくなるのかもしれません。

美少年に”恥じらい”という感情を忘れさせないこと。それはトイレトレーニングだけではなく、ひまわり中学校で行われている、全ての教育に共通する目的なのかもしれません。


「はい。では、しゃがみ方のチェックをしましょう。二人ともそのままの姿でジッとしていてね」

こうして幸子先生のチェックが始まりました。先生は二人の周りを何度も行ったり来たりをしながら、しゃがみ方におかしな所が無いかを確認しています。

後ろからお尻の位置をジロジロと確認したり、前からオチンチンを覗き込んできたりするだけではなく、お尻や太股にタッチしてきたり、さらにはお尻の割れ目に指を当てて、肛門の位置を確かめたりもしています。

恥ずかしい上に、後ろから感じるお客さん達の視線や、幸子先生のタッチがくすぐったかったりして、大人しく我慢しているのはとても大変でしたが、生徒は先生のやることを信じることしかできません。

健一君と久斗君も、純粋に幸子先生を信じて、体にタッチされる恥ずかしさよりも、「しゃがみ方が変だと言われたらどうしよう」と、そればかり気にしていたのです。

幸い、二人のしゃがみ方に酷い問題はありませんでした。後はちょっとした癖を直すように努力すれば、もっと楽にしゃがめて、疲れにくくなるようです。

「健一君はもうちょっとお股を閉じて、お尻をあまり落としすぎないようにしゃがむと、体がフラフラしにくくなりそうね」

健一君のしゃがみ方の癖は、両足をMの字のように大きく開きすぎて、やや不格好になってしまうことと、お尻が便器の中に入ってしまうぐらい下がりすぎな事でした。

足を開きすぎることで、体が後ろに傾きがちになり、お尻も下がりすぎてしまうのですが、この体勢ではウンチを力んでいる最中に転んでしまうかもしれないので、注意が必要なのです。

「久斗君は、逆にお股を閉じすぎてるかもしれないわね。これだと踵が上がってつま先立ちになっちゃうから、つらいでしょ?」

久斗君は、健一君とは逆に両膝がくっつくぐらいに足を閉じて、しゃがむ癖があるようです。

この格好は、一見上品に見えるのですが、足が窮屈になるので、どうしてもつま先立ちの姿勢になりがちです。少しの間しゃがむだけなら問題はありませんが、ウンチをしてる間にずっとしゃがんでいるとなると、足が痺れてきて大変なことになるでしょう。

「これからは、先生が教えた通りにしゃがむことを意識しながら、ウンチをしましょうね。最初は大変かもしれないけど、慣れればこっちの方がずっと楽になるはずだから」

その後二人は、幸子先生に理想的なしゃがみ方を、手取り足取りで教わったのですが、ここでも幸子先生のタッチはとても大胆で、手や足だけではなく、お尻やオチンチンにも、当たり前のようにタッチしていました。

お尻をタッチされると、とてもくすぐったかったり、オチンチンをタッチされると、ドキッとしたりしてしまいますが、先生に正しいしゃがみ方を教わっている最中なのですから、我慢しているしかありません。

何より、幸子先生の表情は普段の授業と同じままなのですから、それがおふざけだと判断することは、二人には出来ません。それでも、お尻をタッチされることだけは、笑ってしまいそうになるのを我慢するのがとても大変でした。

(ひゃっ!…あうぅ…んふふふふっ。やだもう、くすぐったくて我慢できないよー)
健一君と久斗君が学んでいるトイレトレーニングの授業は、今までどの学校でも行ったことのない、初めての取り組みという事もあって、カメラでの撮影が念入りに行われていました。

ひまわり中学校での全ての授業は、今後の美少年に対する新しい教育の実験であり、その記録は大切な資料となりますが、授業の光景を映像として残し、それ自体を活用できるようにすることも、大切な目的なのです。

特にトイレトレーニングは、教え方を知っている先生もいないのですから、映像で手本を残すことがとても重要でした。幸子先生は校長先生から指示されたプログラム通りに授業を進めていますが、それを教わる健一君と久斗君が見せる反応は、全てが初体験の記録でした。

思ったよりもトイレトレーニングへの抵抗が少なかったこと。それでも教わる時は照れによって気が緩みがちだったこと。お尻やオチンチンへのタッチがスキンシップになること。そんな二人の反応を記録に残しながら、幸子先生も教え方を学んでいるのです。
健一君と久斗君、そして幸子先生の三人で頑張っているトイレトレーニングの光景は、その後に映像を編集されて、テレビ等で見る事の出来る教材として利用されるようです。健一君と久斗君は、それを実際に鑑賞してみることになりました。

『楽しく学ぼう。けんいち君とひさと君の、美少年トイレトレーニング』

小学生の時に、交通安全等の指導映像をよく見させられましたが、古臭い内容に淡々としたナレーションや音楽のせいで、二人はいつも眠たくなるのを堪えながら映像が終わるのを待っていたものです。

そんなつまらない指導映像でも、自分達が映っているとなれば話は別です。ナレーションや音楽が淡々としているのは一緒でしたが、フルチン姿で一生懸命トイレトレーニングに取り組んでいる自分達の姿を見て照れながらも、まるで自分達が有名人になったかのような気がして、まんざらでもないようです。

『おや?これはいけません。二人ともしゃがむ体勢が悪くて、このままではウンチが出来ても、オシッコが変な所に飛んでしまうかもしれません。もう一度しゃがみ直しましょう』

恥ずかしがり屋でありながら、心のどこかに目立ちたがり屋の性格が隠れている美少年ならではの気持ちなのでしょう。この映像が、真面目な目的で使われるという事も、二人の恥ずかしさを薄める影響を与えているのかもしれません。

(学校の授業で使う映像だから、フルチンでもおかしくないんだ。それに、ウンチやオシッコをする時はお尻やオチンチンを出さなくちゃいけないんだから、ズボンを穿いてたら変だもんね)

そう心の中で言い訳をしている健一君と久斗君ですが、自分達のフルチン姿を見ていてドキドキしているのも事実です。鏡で自分のフルチン姿を鑑賞するのとは、全然違う興奮。それは、自分のフルチン姿がテレビに映されているという事実から生まれるのでした。

テレビに映った自分達のフルチン姿というのは、自分の姿なのに、自分ではないような気がしてくるのでしょう。カメラを向けられて緊張している自分。トレーニングが上手く出来て笑顔を見せている自分。そんな自分達の姿を見ながら、健一君と久斗君は仲良くお喋りをしていました。

「今度は『オチンチンの持ち方』だって。あははっ!今オチンチンすっごく大きく映った!ホラまた!凄いなー、僕達のオチンチンがあんなにアップでテレビに映りっぱなしだー」

これから先、自分達のフルチン姿が映像として一生残り、顔や名前どころかオチンチンまでもが一切隠されていない状態で、大勢の人達に見られ続ける事になるかもしれないというのに、健一君と久斗君は、そんな恥ずかしい一大事にも気付かずにはしゃいでいます。

テレビで見る映像は、どこか違う世界での出来事のように思っている健一君と久斗君は、いつもテレビで見ている芸能人になった気分で、単純に自分達の映像を喜んでいるみたいです。


テレビの中で動く自分達のフルチン姿を楽しんでいる健一君と久斗君ですが、照れ隠しのお喋りも忘れて、興味深く画面を見つめている時もありました。それは、普段自分では見る事の出来ない体の部分を映した場面です。

『このように、しゃがみながらオシッコをすると、オシッコが水平に出て便器を汚してしまう事がありますので、ウンチをしながらオシッコをする時は、手でオチンチンを下に向けてするようにしましょう』

健一君も久斗君も、ウンチをするためにしゃがんでいる時は、まだオチンチンが小さすぎるために、いつもは下を向いているはずなのに、陰嚢に乗るような形で前を向いてしまう事に初めて気が付きました。

オチンチンが前を向くだけなら良いのですが、うっかり横にでも傾いてしまったら大変です。オシッコが便器の縁を汚してしまうかもしれません。先生に言われただけでは分からないような事でも、こうしてオチンチンをアップで映した映像を見ると、納得も早いようです。

初めて知ったオチンチンの仕組みに、改めて興味が沸いてきた健一君と久斗君ですが、それよりも二人が一番興味津々な表情で見ていたのが、二人の肛門の動きを観察している映像でした。

『ウンチをする練習を行っている、けんいち君とひさと君です。顔を赤くしながら頑張っています。お尻の穴に力を入れて…うーん!うーん!…出来たかな?さあ、二人のお尻の穴を映してみましょう』

トレーニング用便器にしゃがみながら、ウンチの練習をしている健一君と久斗君の肛門が、二つに分割された画面に大きく映し出されます。二人の力み声に合わせながら、開いたり閉じたりする肛門の動きを見て、健一君も久斗君も、とても驚きました。

自分で見るだけなら何とか出来ても、こんなにハッキリと肛門を見たのは初めての健一君と久斗君は、これまでイメージしていた「*」印のような形とは全然違う、複雑な皺の形に目を奪われたのです。

次第に言葉を失っていく二人が見つめているテレビの中で、二人の肛門は何度も開いては閉じるの動きを繰り返しています。微かに膨らみながら拡がっていく無数の皺が、やがて一つの大きな穴となり、今度はそれがギュッと急激に締まって、また皺だらけの状態に戻っていきます。

小さなお尻の、そのまた小さな部分でしかないのに、こんなに激しく動き、まったく違う二つの顔を交互に見せる肛門とは、なんて不思議な部分なのでしょう。健一君も久斗君も、オチンチンを見ている時とはまったく違う、真剣な眼差しでテレビを見つめていました。

それは、肛門がウンチの出てくる場所だからかもしれません。ウンチはとても臭くて、汚いです。だから肛門はお尻の奥に隠れているのに、それがこんなにも堂々と大きくテレビに映し出されているのですから。

恥ずかしくて、隠さなければいけない部分。でも、それに興味を抱いてしまうのが、まだまだ子供な美少年です。汚いのに、臭いのに、とても見たくなってしまうのです。

それでも、自分の肛門は見る事が出来ても、他人の肛門を見るのはやっぱり抵抗があるのでしょう。でも、それが大好きな親友の肛門だったらどうでしょうか。

大好きな親友の肛門を見てみたい。大好きな親友に自分の肛門を見られたい。

健一君と久斗君は、新しく目覚めた二つのドキドキを、テレビを見終わった後も、いつまでも胸に抱いていました。
新しい学校で、普通の中学校では出来ない色々な事を体験してきた健一君と久斗君ですが、逆にたった二人だけの学校だからこそ、出来ない事もあります。

「運動会がやりたかった。もっと人が沢山いて、みんなでワーワー応援したり走ったりして、得点を競ったりするの」

これは、秋の季節が近づいてきた頃に、学校生活についてのインタビューを受けた時の、健一君と久斗君の言葉です。

過疎の村の学校では、体育の授業は出来ても、運動会のような大きな行事は、他の学校のようには出来ません。二人が小学生だった時も、運動会は生徒が紅組白組に別れて競い合うようなものではなく、大人達の前で駆けっこやダンスを披露したりするような、発表会だったのですから。
健一君と久斗君が憧れている運動会とは、何百人もの生徒が色々な組に分かれて、障害物競争や玉入れ、組み体操等の競技を行い、最後に全員参加のリレーで優勝を争う、運動会らしい運動会だったのですが、たった二人の生徒で叶えられる夢ではありません。

しかし、二人の願いを知った校長先生は、何とかその夢を実現できないものか考え、周囲に協力を求めました。そして、健一君と久斗君を特別参加という形で体育祭に受け入れてくれる学校が見つかったのです。

村から遠く離れた都会にある、女子だけが通える名門の中学校の体育祭に、健一君と久斗君は参加する事になりました。

学校が遠いために合同での練習は出来ず、いきなり本番という形になってしまいますし、男子は健一君と久斗君の二人だけという状態で、どんな雰囲気になるかも分かりませんが、二人は不安よりも、人でいっぱいの運動会が出来る事を喜んでいました。


そして運動会の当日。健一君と久斗君は、遠くにある学校まで送ってもらうために、早起きをして、校長先生が手配をした車に乗り込みました。

小型のバスには健一君と久斗君の他に、二人のお母さんと校長先生、それに幸子先生やカメラで撮影をする人が乗り込み、ちょっとしたバス旅行のような雰囲気です。健一君と久斗君は、学校に着くまで、もう一度眠らせてもらう事にしました。

今日は村の外に出るという事で、二人はフルチン姿ではなく私服に着替えていますが、向こうの学校に着いたら、やっぱりフルチン姿にならなければいけないようです。これは校長先生の指示でした。

「どこで行ったとしても、この運動会はひまわり中学校の行事です。学校行事はきちんと制服に着替えて取り組まなければいけません。フルチンは君達の制服です。恥ずかしがらずに、堂々とみんなの前へ出て行きましょう」

ひまわり中学校ではフルチンが制服だというのは、小さな村の中だからこそ誰もが知っていて、二人がフルチン姿で歩いていても微笑ましく思ってくれましたが、これから向かう学校の、何も知らない女子達は、果たしてどう思うのでしょうか。

もちろん校長先生は、あらかじめ学校の人達に制服がフルチンだという事を伝えてあるのかもしれませんが、大人の先生達は普通に振る舞う事が出来ても、二人と同じ中学生の女子達が、騒がないでいられるはずがありません。

二人のお母さん達は、女子が大騒ぎをして、健一君と久斗君が恥ずかしがるのではないかと少し心配しましたが、それでも可愛い我が子のフルチン姿は、どこに出しても恥ずかしい事はないという、美少年の母親らしい、おかしな自信もあるようです。

フルチン姿をみんなに笑われても、自分だけは精一杯息子の事を応援してあげたい。お母さん達は、ズボンの中央に出来たテントがはち切れそうなぐらい寝勃起をさせている、健一君と久斗君の寝顔を眺めながら、学校に着くのを待っていました。


車は、ようやく学校に着きました。今は壊れているために開けっ放しの校門を抜けて、校舎の前まで入っていきました。まだ生徒達はほとんど登校してきていないので、今の内なら騒がれずに中に入れそうです。

お母さん達に無理矢理起こされた健一君と久斗君は、まだ眠たそうに目を擦りながら車から降り、校舎に入っていきます。都会の学校の大きさに緊張しているお母さん達は、招待してくれた学校の人達に失礼がないように、我が子の身だしなみを気にしていましたが、ズボンを見てビックリしてしまいます。

「本当にすいません、先生。お見苦しい物をお見せして。この子ったら、ついさっき起きたばかりなもので、まだ寝ぼけているんです、きっと」

二人を出迎えに来てくれた先生に、お母さん達は顔を真っ赤にして、いきなり何度も謝っていました。なんと健一君と久斗君は、まだオチンチンが寝勃起をしている状態で、ズボンにテントを作ったまま、学校の中を歩いていたのです。

もともと美少年は無意識の勃起に鈍く、勃起しているのに気が付かない事も珍しくありませんが、健一君と久斗君は、さらに寝起きで頭がボーッとしているせいで、寝勃起に気が付かないだけではなく、盛り上がった自分の股間にも注意が行かなかったのでしょう。

髪の寝癖や洋服の襟は直してあげる事が出来ても、寝勃起はさすがにお母さんでもどうする事も出来ません。手でズボンのテントを潰そうとしても、カチンコチンに硬くなった健一君と久斗君のオチンチンは、どうしても膨らみが目立ちすぎてしまいます。

「二人とも、とっても元気そうなお子さんじゃないですか。本番でも、きっと元気良く頑張ってくれると思いますよ」

二人を出迎えてくれた先生は、寝勃起にも戸惑う事なく、にこやかに笑いながら冗談で二人のお母さんを安心させます。たとえ生徒が女子だけであっても、さすがは名門の学校で教えている先生です。美少年の扱いもしっかり理解していたのかもしれません。


この後、ようやく頭も働き始めてきた健一君と久斗君は、幸子先生と一緒に今日の予定の説明を受け、開会式での入場のタイミングや、歩くコースなどの打ち合わせをしています。

二人が参加する競技では、その都度放送と共に、この学校の先生達が指示をしてくれますが、開会式の入場は自分達だけで覚えなければいけません。

健一君も久斗君も、入場の更新を間違えたりしないかと緊張していますが、二人とも一番緊張しなければいけない事を忘れています。それは、二人がいきなりフルチン姿で、この学校の女子達の前に出て行かなければいけない事です。

もちろんこの学校の女子は、みんな服を着ています。裸なのは健一君と久斗君だけです。二人とも、ひまわり中学校での特別な生活に慣れすぎたせいで、フルチン姿が本当はとんでもない状態である事を、忘れてしまっているのでしょうか。

もしかしたら、二人はまだ女子の視線というものを、意識した事がなかったのかもしれません。そもそも村の生活では、同い年の女子が一人もいなかったのですから。

健一君と久斗君が知っているお母さん以外の女性は、みんなが知り合いのような村の、年の離れた優しい人達しかいません。だから二人は、この学校の女子も、みんな優しい人達だと思い込んでいるのです。

それでも、知らない事は決して悪い事ばかりではありません。知らないからこそ、こんな状況でも、ほんのちょっとの照れだけでフルチン姿になれるのですから。
健一君と久斗君が楽しみにしていた、大勢の生徒達による運動会。二人を応援するかのような、とても良い天気の中、いよいよ開会式が行われようとしています。

始まりの雰囲気を盛り上げる音楽が流れてきました。まずは女生徒達による入場行進です。今回は他校の人を招待しているだけに、みっともない入場は出来ないと、先生達にも厳しく指導されているのでしょう。

さらに同じ中学生とはいっても、美少年と女子とでは、成長に大きな差があります。学力はもちろん、体格でも、美少年は女子と比べて完全に負けているのです。

この学校の女子達の中に、健一君と久斗君が混ざったら、二人を中学生だと分かる人は一人もいないでしょう。誰が見ても、お姉さんと幼い弟のような関係にしか思えませんでした。
だからこの学校の先生は、女子達にお姉さんとして、しっかりした姿を見せてほしいと思ったのでしょう。でも、その気持ちはあまり伝わってないようです。女子達の入場は、とても行進とは言えない、ダラダラとした歩き方だったのです。

服装も、ほとんどの女子がシャツを裾から出しているような、だらしない格好ですし、行進も腕がまったく振れていない上に、膝も満足に上がっていません。のろのろと歩きながら、集合する場所に集まっているだけでした。

真面目な女子もいないわけではありませんが、周囲がそんな状況では、自分一人だけで一生懸命行進するのは恥ずかしいのでしょう。そして先生達も、それを苦々しく思いながらも、晴れの舞台で怒鳴って雰囲気を悪くするのは嫌なので、怒ることが出来ません。

こうして、お姉さんらしい姿を見せるはずだった女子の入場行進は、みっともない形で終わってしまうのでした。


「続きまして、本日の運動会の主役となります、ひまわり中学校の美少年、川ノ原健一君と、水村久斗君の入場です」

女子が全員行進を終えると、音楽も鳴り止みました。この後に健一君と久斗君の入場行進が始まるのですが、その前に放送部のアナウンスによる、二人の紹介が行われます。

二人が通っている学校の話や、住んでいる村のこと。大勢で行われる運動会に憧れていた夢を叶えるために、二人が招待されたことを聞いた女子達の反応も様々です。

テレビで見たことがあると、二人を思い出す女子もいれば、話には興味無さそうにアクビをしている女子もいますが、それでも事前に先生から注意されていた「ある事」だけは、誰もが気になっているようです。

二人の紹介を全く聞いていなかった女子も、周りがみんな入場口に注目してソワソワしだすと、やっぱり「ある事」が気になって注目せずにはいられません。もちろん、その「ある事」とは、ひまわり中学校の制服がフルチン姿であるという事です。


その頃、入場口の裏では、グラウンドにいる女子達に見つからないように、停めてある車の影に隠れながら、健一君と久斗君、それに誘導係の幸子先生が、放送を聞きながら入場の合図を待っていました。

自分達を紹介している放送を実際に聞くのは結構恥ずかしかったりするものですが、二人は本番直前の緊張でドキドキしていて、放送の内容はほとんど耳に入っていません。

「大丈夫?ホラ、二人とも緊張しないで。健一君も久斗君も、先生についてくるだけで良いのよ。失敗しても全然平気だから、いつもみたいに元気良く行進しましょう」

決められたコースを行進するだけなのですから、二人にも難しい事はありません。ですが、人の少ない村で育った二人は、こんなに大勢の人前に出ることに慣れていないのですから、緊張してしまうのも仕方ありません。

「大丈夫かな?僕達、ちゃんと行進できるかな?あー、どうしよう、緊張しちゃうよ」

それでも健一君と久斗君は、純粋に育った美少年らしく、緊張していながらも頑張ればきっと何とかなると、明るく前向きに考えていました。小さな村で温かく育てられた二人は、物事を悪い方に考える気持ちはほとんど無かったのです。

「お待たせしました。それでは、健一君と久斗君の入場行進です」

いよいよ健一君と久斗君の出番がやってきました。ここで再び音楽が流されますが、二人のために用意された曲は、勇ましいマーチではなく、二人のクラスの歌「どんぐりころころ」でした。

「ちょっとー、曲間違えてるよー!何でどんぐりころころなんて流れてるわけー?」

その曲を聞いて、女子達はてっきり放送部が曲を間違えたのだとばかり思って、大笑いしていましたが、アナウンスでそれが二人のクラスの歌だと知ると、中学生なのに幼稚な童謡を歌わされているおかしさと、自分の学校ではなくて良かったという、同情の入り交じった笑いに変わります。

「さあ、二人とも行進の準備を始めましょう。その場での行進から、はい、一、二、一、二」

音楽が流れたのを聞いて、幸子先生は急いで二人に足踏みを始めさせます。健一君と久斗君も、あれこれ考えるのは止めて、足踏みに集中しました。そして、しばらく足踏みをした後、幸子先生の長い笛の合図と共に、三人で入場口へと向かっていくのです。

健一君も久斗君も、もちろんフルチン姿です。でも、いざ行進を始めてしまえば、恥ずかしさも忘れてしまいます。二人とも、この姿で何ヶ月も学校生活を送ってきたのですから、自分達がフルチン姿に慣れたように、周りの人達もフルチン姿を、当たり前のように受け止めてくれると思い込んでいたのです。

「あっ、来る?…来た!来た来た来た!うっは!ヤバイ、ヤバイ、ヤバイー!」
「キャーッ!ホントにマッパじゃない!もー、チンチン見えてるしー!」
「マジでフルチンなわけー!?あっはっはっは!やだ、マジでサイコー!」

フルチン姿で堂々とグラウンドに入場した、健一君と久斗君を待っていたのは、女子全員の大爆笑でした。反応や笑い方はそれぞれがバラバラでも、常識では考えられない二人のフルチン姿が、可笑しくて笑っているのは一緒です。

運動会の予行練習の時に、女子達は先生から注意をされていました。ひまわり中学校の制服はフルチンなので、万が一運動会の当日もフルチン姿で参加してきた場合には、絶対に笑ったりからかったりしてはいけませんと。

それでも有り得ないと思っていた、美少年のフルチン姿を実際に目にしてしまうと、女子達は笑いを堪えることが出来ませんでした。

可愛い美少年のフルチン姿は、男の裸とは違って、服を着ている時よりも可愛さが増して見える姿です。でも、可愛ければ可愛いほど、滑稽さも増す姿だったのです。
スピーカーから流れてくる音楽が聞こえなくなるぐらい、女子達の大きな笑い声がグラウンドいっぱいに響きます。本来なら、ここで健一君と久斗君の行進を手拍子で歓迎する予定だったはずですが、女子達は二人のフルチン姿がおかしくて、それどころではなくなってしまったのです。

それがどんなに失礼な態度であっても、大人達は黙っていることしかできません。二人が可哀想であっても、それは仕方がないと思っているからです。いくら偉い人が決めたこととはいっても、美少年の制服がフルチンだというのを、冷静に受け入れるのは難しいからです。

この学校の先生達も、本当は二人のフルチン姿が可笑しくて仕方がないのです。微笑ましくて可愛いと思う気持ちが強いのは、女子達とは違いますが、ついつい顔がほころんでしまうのは一緒でした。

日常では有り得ない、人前でのフルチン姿。男子が中学生にもなってフルチン姿でいるのも可笑しいですが、美少年はそれが似合ってしまうから、余計に可笑しいのです。
普通の男子が裸になれば、女子は逆に嫌がって悲鳴を上げたり、目を背けたりするでしょう。でも、美少年のフルチン姿なら、女子も安心どころか興味津々な目で、それを観察することが出来るのです。

とても中学生とは思えない、小柄な体にスベスベの肌。陰毛がまったく生えていないツルツルの股間にくっついた、哀れなまでに小さなオチンチン。二人のフルチン姿は、まるで幼児を見ているようでもあり、女子達はまったく嫌悪感を抱きません。

それどころか、もともと同年代なのに年の離れた弟のように見ていた美少年に対して、フルチン姿を見たことで、女子達は何となく優越感まで抱いてしまったのです。

もう二人を同じ中学生の男子として見てくれる女子はいないでしょう。健一君と久斗君は、初対面の女子全員に、子供扱いされるようになってしまうのです。

健一君と久斗君のお母さんも、それは分かっています。自分の息子が笑われるのは、とても恥ずかしくて悲しいことですが、母親の目から見れば可愛くても、世間から見ればフルチン姿がどれだけ可笑しいことかは、よく理解しています。

二人のお母さんは、笑っている女子達は責めずに、早く二人の出番が終わるように願いながら、じっと堪えていました。本当は「頑張って」と声をかけてあげたくて仕方がないのに、息子がこれ以上恥ずかしい思いをしないように、目立つことを避けていたのです。

ここは自分達の学校でもなければ、住んでいる村でもないのです。普段ならいくらでも人目を憚らずに息子を可愛がることが出来ても、美少年のことを理解していないかもしれない人達が居る場所では、子離れした親でなければいけません。

自分の行為が、からかわれる原因にならないように、甘やかしたい気持ちを我慢するのも、イジメられっ子になりやすい美少年を息子に持つ、母親の違った形での愛情なのでした。


中学生にもなれば、男子も女子も運動会にはそれほど一生懸命ではなくなりますが、健一君と久斗君は違います。二人にとって運動会は、いくつになっても晴れの舞台なのですから。

しかも、こんなに大勢の人が集まった運動会は初めての体験なのです。無意味に思われがちな入場行進でも、気持ちの入り方が全然違います。両腕を大きく振って、膝も高く上げて、お手本のような行進姿でしたが、この学校の女子達の前では、それも恥ずかしい姿だったのです。

運動会なんかに真面目に取り組んだり、一生懸命行進したりするのは、子供のすることだと、女子達は冷めた考えを持っています。ただでさえフルチン姿で恥ずかしい格好をしている美少年が、たった二人で真面目な顔をして行進しているのです。それが女子達には可笑しくてたまりませんでした。

(なんだろう…?なんでみんな笑ってるんだろう?僕たち行進する道を間違っているのかなあ。それとも、手と足の動きを間違っているのかなあ?どうしよう…何で笑われてるのか、分からないよ)

自分達がどれだけ恥ずかしい思いをしているかを、よく分かっていない健一君と久斗君でも、これだけ大勢の女子の笑い声を聞いていると、さすがにちょっぴり不安になってきました。

でも、二人は幸子先生にあらかじめ言われていた言葉を思い出して、一生懸命行進を続けました。

『どんな失敗をしても良いの。笑われても、恥ずかしがったりキョロキョロしたりしないで、真っ直ぐ前だけを向いて、行進を続けましょう』

健一君と久斗君は、先生に言われた通りに、真っ直ぐ前だけを向いて行進を続けました。キビキビと一生懸命腕を振って、小さなオチンチンがプルンプルンと左右に揺れるぐらい勢い良く膝を上げて、最後まで行進をやり遂げました。

何事も一生懸命やれば、笑い声なんか気になりません。健一君と久斗君は、堂々と胸を張ってグラウンドを一周すると、女子が整列している場所へ、一緒に並びに行きました。

「それでは皆さん、一生懸命入場行進をしてくれた、健一君と久斗君に、改めて拍手をお願いします」

入場を終えたことで、一区切り付いたのでしょう。ついさっきまで大笑いしていた女子達も、アナウンスに促されて、二人に向かって拍手を送りました。

美少年のフルチン姿は可笑しくても、女子達にはイジメようというつもりはないのでしょう。みんなからの温かい拍手を受けた健一君と久斗君は、たくさんの拍手の音に戸惑いながらも、とても誇らしい気分になりました。

自分達よりも背の高い女子に囲まれて、さらに周りはみんな服を着ている環境の中で、自分達が場違いなのかもしれないと感じつつある二人ですが、それでもフルチン姿は、ひまわり中学校の立派な制服だという校長先生の言葉を信じて、最後まで堂々としようとしています。

だから二人とも、整列している間は、しっかりと気を付けの姿勢を取って、両手でオチンチンを隠そうとはしませんでした。周りの女子がチラチラとオチンチンに注目してきても、視線を合わさずにジッと堪え続けているのです。
大勢の女子に注目されながらの、たった二人での入場行進も無事に終わり、女子と一緒に列の中に入ったことで、健一君と久斗君は、ようやく緊張も解けました。

後は校長先生の挨拶などを聞いて、式が進行するのを黙って聞いているだけだと思っていた二人でしたが、招待してくれた学校も、せっかくだからと思ったのでしょうか、なるべく二人が主役になれるように、色々と考えていたようです。

「ただいまより、本年度の運動会を開始します。最初に、みんなで元気良くラジオ体操を行い、体をほぐしましょう」

軽く体を動かすことで目を覚まし、今日一日怪我をせずに頑張れるようにするためのラジオ体操が始まりますが、殆どの女子は、あまりラジオ体操が好きではありません。

アイドルのようなダンスは好きでも、ラジオ体操は動きが格好悪く感じるのでしょう。真面目にやる方が恥ずかしいとばかりに、手を抜いた体操になりがちで、だらけた雰囲気になってしまいます。
「なお、川ノ原健一君と水村久斗君の二人には、模範演技としてみんなの前で体操を行ってもらいたいと思います。前に出て、壇上に上がって下さい」

まさかの指名に二人は驚きましたが、周りの女子達はホッとしていました。こういう時にラジオ体操をみんなの前でさせられるのは、誰もが嫌がっていたからです。

健一君と久斗君に模範演技をさせることは、あらかじめ決めてあったことなのでしょう。すぐさま学校の先生が二人の元に駆け寄り、戸惑っている二人を、壇上に連れて行きます。

校長先生や、学校の偉い人だけが上がる場所だと思っていた壇上は、いざ立ってみると、とても高い所にいるように感じました。そして前を見下ろすと、そこには自分達を見上げている大勢の女子達がいるのです。

みんなが二人を注目しています。女子の視線が、自分達のフルチン姿に注がれているのを感じた健一君と久斗君は、キョロキョロと周りを見渡しますが、どこを向いてもこっちを見ている女子と視線が合ってしまうことで、とても緊張してきました。

出来るものなら、今すぐ壇上から飛び降りたいぐらいですが、二人の恥ずかしさにはお構いなしに、ラジオ体操の音楽が始まってしまいました。これではもう、逃げ出すわけにもいきません。

(もういいや、とにかくラジオ体操をやればいいんだよね。恥ずかしくたって、すぐに終わるんだから)

注目を浴びた入場行進の次は、みんなの前でのラジオ体操と、緊張の時間が続きますが、緊張も続けば慣れていくものです。健一君も久斗君も、すぐに覚悟を決めて、両腕を大きく上げました。

純粋な二人は、女子とはまったく違って、ここでラジオ体操を一生懸命やらない事が恥ずかしい事だと、学校で教わったことを、とても真面目に考えていました。だから恥ずかしくても、やるべき事はしっかりやろうとしたのです。

姿勢を正しく、腕は真っ直ぐに伸ばし、大きく体を動かす二人の演技は大変素晴らしいものでしたが、一生懸命のあまりに、自分がフルチン姿だという事を忘れてしまっているのかもしれません。二人の小さなオチンチンは、とても無防備な状態で丸出しになっていました。

体を動かせば、オチンチンがプルプルと揺れて、足を開けば、股間にぶら下がっているフグリの形までよく分かってしまいます。さらに飛び跳ねたりすれば、オチンチンが上を向いたり下を向いたりの大忙しで、まるでプロペラみたいに回っていたりするのですから、女子達は笑いが止まりません。

健一君と久斗君の元気な演技にを見て、他の女子達も少しはラジオ体操を元気にやってくれるかと先生達は期待したのですが、女子達は二人のオチンチンを見る事に気をとられて、体操どころではありませんでした。

しかし、フルチン姿できびきびとラジオ体操を踊る健一君と久斗君の姿に、とても良いものを見る事が出来たと、先生達の心は癒されたのです。


「続いて、校旗掲揚を行います。両校の選手は誇りを胸に、今日一日の健闘と安全を誓いましょう」

ラジオ体操が終わると、そそくさと照れ臭そうに壇上を降りた二人でしたが、まだ列には戻らずに、校旗を揚げる柱の側で待機しているように言われました。

ラジオ体操の時もそうでしたが、みんなの前に出ることは、大勢の女子と目が合ってしまうことになり、それだけで恥ずかしくなってきます。健一君も久斗君も、二人で見つめ合うことは全然平気なのに、女性とは目が合うだけでも、ちょっぴり弱気になってしまうのです。

厳かな音楽が鳴ると、二つの旗がゆっくりと揚げられていきます。いかにも伝統のありそうな印が描かれた校旗と、大きなヒマワリがそのまま描かれた、幼稚園のような校旗が実に対照的で、グラウンドに和やかな笑いが広がりました。

芸術については、あまり詳しくない健一君と久斗君ですが、二つの校旗を比較すれば、さすがに自分達の校旗が子供っぽい絵柄であることは理解できたようです。こんな所でも、ひまわり中学校の教育方針の不思議さを感じたのでした。


「続きまして、ひまわり中学校の川ノ原健一君と、水村久斗君の二人による、…ぼっ、ボッキ掲揚を行います」

「ボッキ」という言葉で思わずどもってしまったアナウンスに、女子達は一斉に笑い声を上げましたが、その言葉の意味に気が付いている女子は、殆どいないようです。

健一君と久斗君も、「ボッキ」という言葉の意味を疑問に思う事も忘れて、真面目そうな声でアナウンスをしていた女子の、思わぬ失敗にクスリとしましたが、その時不意に横から声を掛けられました。

「ハイ、君達、ちょっとこのお薬を飲んで、そこの柱の前に立ってちょうだい」

何かと思えば、この学校の先生が、二人に水と薬を差し出してきました。風邪を引いたわけでもないのに、どうして薬を飲まなければいけないのかとは思いましたが、学校の先生が持ってきたのですから間違いはないと、二人は素直に薬を飲みました。

薬を飲んだ健一君と久斗君は、指示された通りに校旗を揚げた柱の前に立ち、背筋をピンと伸ばして気を付けの姿勢をとりました。すると、校旗掲揚の時に鳴った音楽が、再び流れ始めます。

「ただいま、ボッキ掲揚の準備中です。もうしばらくお待ち下さい」

音楽が鳴っても何も起こらず、準備中と言われても、何をしているのか分かりません。健一君と久斗君だけではなく、整列している女子達も、みんながキョトンとしています。

しばらくは何も起こりませんでした。しかし、音楽が一周した頃、健一君と久斗君の正面にいる女子達が、何かに気が付きました。

「あれっ、ちょっと変じゃない?」
「ホラ、あれ、オチンチン。オチンチン何かピクピク動いてるって」

女子達にざわめきが広がっても、まだキョトンとしていた健一君と久斗君ですが、その直後に、二人は自分の体に異変を感じました。オチンチンがどんどん重たくなって、勝手に動き出したかのような違和感に気が付いたのです。

ボッキ掲揚の「ボッキ」とは、なんとオチンチンの勃起のことだったのです。二人が飲んだ薬は、美少年のオチンチンを強制的に勃起させる、『大勃起薬』でした。

大勃起薬を飲んでしまった二人のオチンチンの勃起は、もう絶対に止めることは出来ません。女子達だけではなく、二人も初めて見る、勃起していくオチンチンの姿に、グラウンドはもう大騒ぎです。ムクムクと風船のように膨らみながら、モリモリと元気良く勃ち上がっていくオチンチンを初めて見たのは、女子達だけではありません。健一君と久斗君も、自分のオチンチンが勃起していく一部始終を見るのは、初めてでした。

二人ともオチンチンが勃起したことはありますが、どうして勃起するのかは知りませんし、自分の意志で勃起させたこともありません。寝ている間に勃起していたり、気が付いたら勝手に勃起していたという状況ばかりです。

まだオナニーもろくに知らないのですから、そもそも「勃起させよう」と考えた事がありません。そのため、勃起していることに対しての恥ずかしさも、まだ良く分かっていないのでしょう。

しかし、二人がフルチン姿でみんなの前に登場してきた時よりも、さらに大騒ぎとなっている女子達の悲鳴や歓声を聞けば、少しずつ理解していくのでしょう。オチンチンが勃起をすることの意味と、それを見られる事は、小さなオチンチンを見られた時よりも、さらに恥ずかしいという事を。


バルーンアート等で使われる、棒状の風船のように、二人のオチンチンは太く、長く膨らんでいきます。大きくなると重さも増していくはずなのに、何故かオチンチンはゆっくりと持ち上がっていき、真下を向いてぶら下がっていた状態から、いよいよ水平になりつつあります。

オチンチンが大きく膨らむことで、オチンチンを包んでいた皮は、それについて行けずにどんどん剥けていきます。半分顔を出していた亀頭は、勃起が始まるとすぐに皮から飛び出して、ピンク色の不思議な形をした姿を露わにしました。

先端にある縦長の口が、どことなく可愛く見える亀頭ですが、それが異様に膨らんでくると、ちょっぴり怖くも見えてきます。小さい時は、オチンチンと亀頭の差は殆ど無かったのに、オチンチンが大きくなると、亀頭はそれ以上に大きく膨らんで、まるで別々だった物を後からくっつけたかのような、頭でっかちになってしまいました。

大きくパンパンに膨らんだ亀頭は、今や形まで小さい時とは違っています。特にカリの部分は鋭く広がり、まるで音を鳴らすベルのようにカサの広がった形となりました。

そんな亀頭の奇妙な形は、健一君と久斗君を遠巻きに見ている女子達の目を引きつけ、不気味さに悲鳴をあげて目を背けても、また覗き見ては悲鳴を上げるような、怖がっているのか楽しんでいるのかよく分からない状態です。

列の後ろに並んでいた女子も、騒ぎが気になって前に出てくれば、二人のオチンチンを見て大声を上げ、余計に騒ぎが大きくなって、もはや収拾が付きません。

騒いだり、大声を上げたりするのは一緒ですが、女子達の反応は本当に様々です。笑いながらではありますが、「不気味」だとか「怖い」と言う女子がいれば、「面白い」や「可愛い」と言う女子もいたりと、ありとあらゆる感情が、健一君と久斗君のオチンチンに注がれています。

(どうしよう、みんな凄い大騒ぎしているよ。いいのかな、僕のオチンチン、もしかしたら何かおかしな事になってるんじゃないの?隠した方がいいのかなあ。でも、ずっと気を付けをしてて、って言われてるし…)

フルチン姿で登場してきた時よりも、さらに大きな騒ぎになることで、二人は自分達が何かみっともないことをして、笑われているのではないかという気になってきました。

女子が下品に笑っている声は、気弱な美少年にとっては悪い影響が強く、特に同年代の女子と接した機会が殆ど無い二人にとっては、非常に不安な気持ちを煽るものでした。

もしかしたら、自分のオチンチンを笑われているのかもしれない事が分かっても、どうしてオチンチンが笑われているのかが分かりません。

笑い声の原因がはっきりしないことで、それを止める方法も見つからず、ただ笑われるのを耐えていなければいけないのは、非常に不安なことでした。

それでも、健一君と久斗君は先生の言うことを真面目に守り、勃起していくオチンチンを隠すのを我慢して、一生懸命気を付けを続けました。

自分のオチンチンを見て、下品に大騒ぎをしている女子達を見ても、できるだけ不安な気持ちを堪えながら、頑張って前を向き続けました。

「どうしてあんなに騒いでるんだろう」「どうして僕のオチンチンは笑われているんだろう」と考えている内に、二人の顔は少し赤くなってきました。

勃起が恥ずかしいという事を、少しずつ体で理解してきた健一君と久斗君ですが、二人のオチンチンの勃起は、もう止まりません。皮も限界まで剥けきり、もうこれ以上大きくならなくなったオチンチンは、後は上に向かって力強く起き上がっていくだけです。

グングン、モリモリ、すっかり逞しくなったオチンチンが、元気の良い音が聞こえてきそうな勢いで起き上がっていきます。

始めは遠くからでは見えないぐらい小さかったオチンチンも、今では誰が見ても形までよく分かるぐらい大きくなって、とても硬そうな感触まで、触らなくても分かるぐらいです。

オチンチンが真っ直ぐ空を見上げた所で止まり、完全に勃起が終わった時、あまりにも硬くなったオチンチンは、もうピクリとも動きません。それはまるで、工事現場のクレーン車のようにそびえ立ち、何が起きてもビクともしないような迫力がありました。


二人の勃起が終わったのを先生が確認すると、放送係に手で合図を送ります。すると音楽が止まり、静かになった所で勃起掲揚の解説が読み上げられました。

「美少年の勃起したオチンチンは、元気と健康の証です。小さくて可愛い美少年も、本当はこんなに逞しい力を秘めているのだと、二人のオチンチンは教えてくれました。この逞しいオチンチンこそ、ひまわり中学校のシンボルとして、いつまでもみんなの記憶に残ることでしょう。皆さん、改めて健一君と久斗君の二人に、盛大な拍手をお願いします」

ダラダラと開会式を行っていた女子達も、オチンチンの勃起を見た事で興奮し、これ以上ないぐらい盛大な拍手を、健一君と久斗君に送っています。

いつもは全校集会で拍手を要請されても、気の抜けた拍手しかできなかったのに、今日は全然気合いが違います。とはいえ、それは二人を励ます純粋な拍手というよりは、勃起をしたオチンチンを丸出しにしている姿をからかい、囃し立てるための拍手だったのかもしれません。

そんな事には気が付いていない健一君と久斗君は、さっきまであんなに騒がれていたのに、今度は一転して大きな拍手をもらって、自分のオチンチンが勃起しているのはどういう意味なのか、ますます分からなくなってきました。

恥ずかしい事ではないかと思っていたのに、今はまるで元気の証として、良い事であるかのような解説を聞いたのですから、勃起に関する知識の無い二人にはしょうがないことでしょう。

(でも、ああ言ってくれたって事は、オチンチンの勃起って、悪い事じゃないんだよね。大丈夫だよね、オチンチン出してても)

恥ずかしさを感じつつも、「良いことなんだよ」と言われると信じようとしてしまう素直過ぎる二人は、きっと今日一日言われるがままに、勃起したオチンチンを元気の証として、丸出しにしてしまうのでしょう。
立派に勃起掲揚を終えた健一君と久斗君は、開会式が終わると二人のために用意された場所に移動して、次の出番がある競技まで待機している事になります。

遠足に出掛けた時のようにシートを敷いて、お母さん達と一緒に座っているだけでも、二人は今までとはまったく違う雰囲気にワクワクしてきます。

村の学校とは違う、本格的なグラウンドの造りもそうですが、そのグラウンドが狭く感じるぐらい大勢の生徒達が運動会に参加しているというのが、二人が憧れていた運動会の光景そのもので、とても嬉しかったのです。

開会式ではダラダラと行進していた女子達も、いざ競技が始まると負けず嫌いな生徒も多く、のどかで和気藹々としていた運動会しか知らない二人は、女子校ならではの乱暴な女子同士の勝負に驚かされました。

中学生になると、「運動会」は「体育祭」へと名前が変わり、競技も本格的になってきます。お馴染みの騎馬戦や組体操も、一歩間違えれば大怪我をする可能性もあるぐらい、危険さも増すのです。

本来は男子がやるべき競技も、女子校には当然女子しかいませんから、運動に自信のある女子が、男子の役割を担うような形で参加します。そんな彼女達は、下手な男子よりもよほど強くて頼れる存在だと言えるでしょう。

残念なのは、男子が見ていない場所での女子は荒れた行動が目立つということです。正式な審判がいないのを良いことに当たり前のように相手を妨害するどころか、揉み合って喧嘩騒ぎになる事も度々なのですから。

学校は別でも同じ中学生の健一君と久斗君がいるのに、女子は二人を男子としては見ていないのでしょう。こういう悪い所も普段通りの姿をそのまま出しているのですから、健一君と久斗君の笑顔も時折引きつってしまいます。

(こういうケンカって、本当にあるんだ。もし僕が普通の中学に入ったら、イジメとか、怖い先輩とか、どうなってるんだろう)

様々な生徒が同じ場所に集まっているからこそ、喧嘩や争いが起こります。家族のように仲が良い親友としか学校生活を送ったことがない健一君と久斗君は、憎しみのある人間関係を初めて目にして緊張し、オチンチンが縮む思いでした。


「さあ、お待たせしました。最後に走るのは健一君と久斗君です。二人が憧れていた運動会の初種目、いったいどんな走りを見せてくれるでしょうか。健一君、久斗君、頑張ってください!」

二人が参加する種目は、進行を邪魔しないような簡単な競技に限り、その競技の最後にオマケとして参加するような形になっています。五十メートル走なら、女子の順番が全て終わった後に二人だけで走る事になります。

結果によって二人で別々に得点が加算され、最終的にどちらの得点が多いかを競うのですが、両校で会議が行われた時に、校長先生はそのやり方に疑問を唱えました。

「一生の思い出になるかもしれない特別な運動会で、二人の勝ち負けを決めることが本当に正しいのでしょうか?」

大の仲良しの二人とはいえ、優劣を示す得点に差がついてしまったら、関係がギクシャクしてしまうかもしれません。学校行事とはいえ上下関係ができてしまったら、その後の二人の人生にも影響が出てしまうかもしれないと、校長先生は心配しています。

「美少年はか弱い存在です。勉強が出来る方でもなければ、女子にも力比べで負けてしまうように、学校では男子からも女子からも下に見られています。だからこそ、美少年同士では優劣を決めるべきではないのです」

男子と女子がいる普通の学校生活では、どうしても美少年はテストや運動で差をつけられ、誰かに負け続ける体験しかできません。やがて自信も元気も失い、イジメられる可能性も高いことでしょう。

頑張って強くなって、イジメられっ子を見返してやりなさいとは言いません。勉強も運動も駄目でも、せめて明るく元気に育ってほしいと校長先生は思っています。そのために美少年だけの学校を作ったのです。

美少年だけの学校なら、勉強や運動のレベルはどこまでも下げられます。みんながテストで良い点を取って運動も楽しんで、美少年同士が仲良しの時間を過ごすことで、つらい人生をみんなで乗り越えていけるような教育が、校長先生の思いでした。

だからといって運動会から点数を無くしてしまうと、子供心に面白味は感じませんし、点数があるからこそ喜びという良い感情も発生するのです。そこで決められたことは、常に二人が同じ順位や点数を取れるようにすることでした。


「位置について、よーい、ドン!」

お馴染みの掛け声とピストルの合図と共に、健一君と久斗君が走り出します。本当だったら距離が短いので一生懸命走るはずですが、二人ともやけにスピードが出ていません。

最初の競技ということもあって緊張しているのでしょうか?いいえ、そうではありません。なぜなら二人は先生の指示で、駆けっこなのに手を繋いで走らなければいけなかったからです。

これならスタートもゴールも二人一緒です。仲良く走って二人とも一位になれば、喧嘩も争いも起こりません。頑張ればみんなが一等賞になれることで、美少年の誰もが幸せな気持ちになれるのです。

殺伐としているのが当たり前だった女子だけの運動会の中で、二人の手を繋いで走る姿が、ほのぼのとした笑顔を生みます。しかし、始めは微笑ましい笑いだけだったのですが、誰かがある事に気が付いた瞬間、女子達の笑い方が変わってきました。

「やだー、チンチン揺れてるー。ほら、あれ、ブルンブルンブルンブルン動き過ぎだってー」

勃起したままの二人のオチンチンは、長い棒の先端に大きな亀頭がついているバランスの悪さのせいで、歩くだけでもユラユラと揺れるのに、両足を大きく動かして走ったりすれば、それはもうどこかに飛んで行ってしまいそうなぐらい激しく揺れ動いてしまいます。

硬いバネやスプリングが、一度力を加えると激しく跳ね回るように、勃起して硬くなったオチンチンも、走っている間はとても収まりません。右に左に、上に下に、まるでUFOのような無茶苦茶な動きをしているのを見ると、女子達は笑いを堪えることができません。

健一君と久斗君は、オチンチンのことを笑われているんだというのは何となく分かりましたが、どうしてそんなに笑うのかは分かりません。でも、二人はもうオチンチンを笑われることに慣れてきたようです。

よくよく考えれば、村の人達もオチンチンを見ればいつも笑っていました。それだけオチンチンは人を笑わせる物なのだということでしょう。なぜなら二人も自分達のオチンチンの形を変だ変だと言って笑いあっていたのですから。

さらに勃起をしたことで、オチンチンはとんでもない形になってしまったのです。自分で自分のオチンチンを見てもおかしいと思うぐらいなのですから、人に笑われるのも当然だと思えたのでしょう。

笑われると思えば恥ずかしいですが、オチンチンを見せればみんなを笑顔にすることが出来ると思えば、恥ずかしくてもいいやと開き直れる気がしてきました。そして二人は最後まで一生懸命走って、仲良くゴールしたのです。

「二人とも…ンフッ、…し、失礼しました。健一君も久斗君もとっても素晴らしい走りでしたね。二人とも一等賞です!皆さん拍手をお願いします!」

放送係の女子も思わず笑いを堪えきれなくなった事でまた大きな笑いが起こりましたが、先生がみんなに拍手を促したことで、とりあえずその場は収まり、二人はお母さん達のいる場所に戻りました。


あれだけみんなに笑われたオチンチンですが、あらためてじっくり見ても、やっぱり変な形です。あんなに短かったオチンチンがこんなに長くなって、先っぽについてる亀頭は、さらに奇妙な形が強調されているのですから。

「もう、オチンチンあんまり触ったら駄目でしょ。そこはオシッコをするところだから汚いわよ」

形が気になってしまい、何度もオチンチンを触ってしまう健一君と久斗君を二人のお母さんが叱ります。これはもう小さな頃からずっと言われていることです。

普段はあまり注意やお説教をすることが無い二人のお母さんですが、オチンチンを触ることだけは、意外と口うるさく注意する癖があります。

不思議な形に興味を持っているうちに、いつしかそれがオナニーの目覚めへと繋がっていくのは美少年なら仕方がないことですが、母親としては、本当はいけないことですよと、遠回しに教えてあげているつもりなのでしょう。

でも、オナニーを禁止するようなつもりはありません。目覚めてしまったらどんなことでも許容し、受け止めてあげるだけでなく、そんな息子の姿を愛おしむのが美少年の母親なのですから。
五十メートル走を始めとして、健一君と久斗君は、その後も様々な種目に参加して、一生懸命頑張りました。でも、得点はいつまで経っても二人一緒のままです。

スプーンレースや借り物競争など、走る種目はほとんど二人で手を繋いで走らなければいけないので、順位はいつも「二人で一等賞」ですし、それ以外の競技でも、二人の得点に差が出ないような仕組みで協議が進められています。

例えば玉入れでは、二人が一つのカゴを中心に左右に分かれて、それぞれ違う色のお手玉を投げ合いますが、最後に玉の数を数える時には、色の区別をしないで数えるのです。

「二十!二十一!…はい、合わせて二十一個の玉が入りました!二人が共に頑張って、沢山の玉を入れることが出来ました。皆さん、健一君と久斗君に拍手をお願いします!」

競技の度に沢山の応援と拍手をもらっても、得点があってないようなものでは、一生懸命頑張っても何か運動会とは違う感じがすることも事実です。

「なんか変だね。得点がずっと一緒だったらやっても意味が無いんじゃないかな」

勝ち負けがあるからこそ、得点を見て気持ちが入るということもあるのでしょう。最初から引き分けが分かっているのでは、決められた種目をただこなしているだけで、保護者の前で行うお遊戯と何ら変わりはありません。

そんな「二人で一等賞」が続く事にちょっと変だと思いつつも、いざ出番が来ると頑張ってしまうのは、沢山の女子の応援が二人を張り切らせてしまうからでしょう。

村の運動会で二人を応援してくれるのは、お母さんや大人達だけでした。同じ世代の女子の応援どころか、接した事すらほとんどない二人にとって、女子の声はとてもくすぐったくて心がポカポカしてくるような感触だったのです。

二人とも女子にチヤホヤされること自体が初めてなので、照れくさくても凄く嬉しいのですが、それだけに女子の前で格好悪いことは出来ないと、自分達の種目で無性に張り切ってしまうのです。

実際はあらかじめ学校で「ちゃんと応援して盛り上げるように」と練習までさせられていた女子達が、意外に頑張ってくれている事と、既にフルチン姿で大勃起という物凄い恥ずかしい格好を晒しているのですから、今さら格好悪いも何もないのですが。


なんだかんだ言いながらも、何をやっても一等賞で褒められてばかりだった健一君と久斗君は、種目に参加するたびにニコニコの笑顔でした。しかし、そんな二人にも運動会の試練が訪れる時があるのです。

「それでは、綱引きの最後の試合は、美少年対女子のスペシャルマッチとして、健一君と久斗君のチーム対、井山早苗さんとの勝負を行います。美少年の二人が協力して、学校一の怪力と呼ばれる井山さんに立ち向かって、果たして勝てるのでしょうか?皆さんも応援してあげてください」

健一君と久斗君が参加する場合、一人でできる種目は二人が対決という形になりますが、チームを組んで行う種目では、それが出来ません。その時だけは二人がチームになって女子と一緒に参加することになるのです。

二人が戦うことになる三年生の井山さんは、ソフトボール部に所属する、大柄でちょっとぽっちゃりした体系の女子です。気は優しくて力持ちの人気者ですが、二人から見るとあまりにも体格差がありすぎて怖くなるぐらいでした。

ロープを体にグルグルと巻いて気合の入っている井山さんに対して、健一君と久斗君は一生懸命のつもりでもロープを握る手すら頼りなく、誰がどう見ても二人に勝ち目が無いことは明らかです。

あまりの見た目の差に、二人のお母さんも二人の勝ち負けを心配するどころか、強そうな井山さんの体格にすっかり感心しているぐらいです。力士が余興で子供と相撲を取るような、微笑ましい遊びにしか見えなかったのでしょう。

そんな誰もが和やかで楽しい雰囲気になっている頃、健一君と久斗君の二人だけは緊張と不安で顔色が悪く、口数も少なくなっています。付き添っている幸子先生が二人の不安を察知して、励ましの声を掛けても表情は晴れません。

幸子先生は二人が井山さんを怖がっていたり、怪我の心配をしているのではないかと思っていましたが、そうではありません。みんなが面白い余興だと思っているこの試合で、二人だけは真剣に勝ち負けの結果を気にしていたのです。

体格の差はもとより、男子の体でありながら女子よりも小さくて、か弱い存在とされている美少年の二人が、井山さんに敵わないことは当たり前だとみんなが思っています。でも、二人にとってはそうではありません。

みんなに美少年と呼ばれていても、自分は男子だと区別しているのですから、本能的に女子に負けることに大きな抵抗を感じ、恐れてしまうのです。

相手が三年生の先輩であっても、運動部に所属していても、体格が全然違っていても、それでも男子が女子に負けることは、みっともなくて怖いのです。しかも二人がかりで一人の女子と勝負をするのですから、負けた時の反動はさらに大きいことでしょう。

(負けたらどうしよう…。嫌だなあ…、負けたくない…)

自分が負けて馬鹿にされることばかり考えて怯えながら、漫画のような奇跡が起きることを願っている健一君と久斗君ですが、そんな弱気では奇跡は起こりません。

緊張でガチガチに固まっている二人の体は、勝負を開始するピストルの音が鳴った瞬間、井山さんの一引きでロープごと引っ張られて、宙を舞いそうな勢いで思い切り前のめりに転んでしまったのです。

「これは早い!あっという間です!井山さんが凄い力で二人を引っ張ってしまいました!思いっきり転んだ健一君と久斗君、怪我の方は大丈夫でしょうか!」

あまりにも簡単に引っ張られてしまった二人の姿に、会場のみんなは大爆笑でした。ここまで力の差がありすぎると、みんなも二人を可哀想と思うどころか、土に埋まった野菜のように引っ張られる姿が面白くなってしまうのでしょう。

でもそれは、健一君と久斗君を馬鹿にする笑いではなく、大人と子供の微笑ましい遊びを見て楽しんでいる笑いでした。誰も「女子に負けた男子」という目で二人を見てはいません。

しかし二人はそう思うことが出来ませんでした。女子に負けた恥ずかしさで頭がいっぱいになり、みんなの笑い声が刃物のように心に突き刺さります。

「追い詰められた健一君と久斗君!ここから巻き返すことが出来るのでしょうか!二人とも頑張って下さい!」

先に二勝した方が勝ちというルールによって、この後もう一度勝負が行われましたが結果は同じです。二人の実力が分かった井山さんは、今度はわざとロープを引かずに二人の必死な頑張りを眺めていますが、もちろん体はびくともしません。

そして二人が疲れて力が緩んだ瞬間に井山さんがロープを引くと、呆気なく足が崩れた二人は尻餅をついたまま引きずられて、そのまま決着がついてしまいました。

何一つ良いところが無い負け方に、再び起こったみんなの笑い声が心に刺さるだけではなく、地面に擦ったお尻もヒリヒリと痛みます。最後にみんなが拍手してくれましたが、二人は恥ずかしくて涙が出そうになるのを堪えるのに精一杯で、拗ねた子供のように不機嫌な顔をしています。

「はい、二人ともよく頑張りました。じゃあ元気良く胸を張って席に戻りましょうね」

二人が中学生になってから、つらく悲しい思いをしたのはこれが初めてかもしれません。二人の気持ちを察知した幸子先生は、傷ついた心を刺激しないように余計な励ましを避けて、淡々とグラウンドから二人を退場させると、このことを二人が早く忘れてくれるように願いました。


良い思い出になるはずの運動会での、つらくて恥ずかしい体験。これはフルチン姿の恥ずかしさとはまったく違う、美少年でも持っている男子のプライドを傷つけられてしまったのです。

美少年だけの学校を作ってイジメが起きないようにしたり、授業のレベルを下げて自信をつけさせたり、この運動会でも順位に差がつかないようにしていたのに、どうして校長先生は二人を女子と力で勝負させるようなことには反対しなかったのでしょうか。

「美少年同士で優劣がつくことはいけない事です。しかし、女子に負けることがいけない事だとは思いません。これは美少年が人生のどこかで体験しなければいけない『現実を知る』ということなのです」

幸子先生が尋ねると、校長先生はそう言いました。

美少年は勉強でも運動でも女子に敵いません。もちろん喧嘩だって負けるでしょう。学校の中だけならイジメで済みますが、悲しいことに世の中では多くの美少年が、変態女の犯罪に巻き込まれて命を落としている現実があるのです。

健一君と久斗君が運動会に参加している最中にも、どこかで誘拐された美少年達が奴隷として虐待されているでしょう。二人もいつそうなるか分かりません。

「そこまで美少年達が学ぶ必要はありませんが、自分が女性よりも弱い存在だということを、自然な形で知る機会をどこかで用意しなければいけません。その時初めて美少年同士に優劣をつけないことが活きてくるのです」

一等賞という良い事だけではなく、女子に負けるという悪い事もみんなが一緒になることで、自信も負い目も美少年同士で共有できます。それが悲しい運命の中でも美少年同士が支え合っていくことが出来る、心の財産になるのかもしれません。

自分の弱さや戒めは、周りが教えるだけでは理解できないでしょう。心に刻まれる実体験こそが、最高の教育なのです。時には悲しい思いをさせなければいけない事を知った幸子先生は、そういう時に二人の心の傷をどう癒すかという努力がまだまだ必要だと、気を引き締めました。

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