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  • 2013⁄02⁄12(Tue)
  • 23:10

学校でウンチはしたくないのに

男の子なら本当は誰でも経験するのに、誰もがしてないように振る舞う行為。悪い事ではないのに、決して堂々とは出来ない行為。どんなに素直で正直な子でも、この時ばかりは小細工をしようとしてしまう行為。

それが、学校でウンチをする事です。

誰にも見つからずにウンチをする事は、テストで100点を取るよりも難しい事かもしれません。テストで100点を取れる秀才君も、絶対にウンチを見つからないで出来る方法は考えつかないでしょう。

それでも、頭や要領のいい子はなかなかウンチが見つかる事もなく、友達の多い子は、仮にウンチを知られてもすぐに騒ぎは収まるものです。結局ウンチの事をいつまでもからかわれ続けるのは、要領の悪いイジメられっ子だけなのでした。
中学2年生の古川満(ふるかわみつる)君は、そんなイジメられっ子でした。学生として見てもちょっぴり幼く、とても可愛らしい美少年なのですが、学校の授業での要領は悪く、小学校の時からよく泣かされていました。

中学生になっても、小学生の時ほどしょっちゅうではないものの、からかいの対象にはよくなっています。それでいて大人のお姉さん達にはよく可愛いと言われるので、嫉妬を受けたりするのでしょう。

「あーあ、今度のテストもほとんど分からなかったなあ。テスト帰ってくる時、またみんなに見られて言いふらされちゃうよ…」

給食の時間、食堂で満君は空欄と自信の無い回答ばかりのテストの結果を想像しながら元気なくボソボソと口を動かして時間ギリギリに給食を食べ終えました。

後片づけ時の混雑を嫌って、他の生徒があらかたいなくなった頃にようやく食器を片づけ教室に戻ると、既にほとんど人はいなくなってました。男子は校庭や体育館に遊びに出て、女子もあちこちに散らばって好き勝手なお喋りをしにいっているのでしょう。

一部の生徒は教室でお喋りをしたり漫画を読んだりしていますがみんな友達と一緒です。満君だけが一人ぼっちの状態で教室にいるのはとても辛いものがありました。唯一の友達も委員会や部活で忙しいため満君は大抵お昼休みには学校の中をあてもなくウロウロするしかないのです。



イジメられっ子にとって、お昼休みは逆に苦痛の時間なのかもしれません。ですが、一人ぼっちでも良い事はあります。それは、ウンチがしたくなっても一緒にいる友達などの目が気になってトイレに抜け出せなかったり、トイレに行こうとしても友達がついて来るという悩みを抱えずに済む事なのです。

多くの生徒がどこかに遊びに行っている昼休みはほとんどの階で人影も少なく、普通の休み時間ならとてもウンチをしに行く事は出来ない、自分の教室がある階のトイレを利用する事も可能なのです。

(よし、誰にも会わないで行けそうだぞ)

給食を食べ終わってから急激に便意が高まり始めた満君は階の通路の一番隅っこの、奥まったところにある男子トイレに向かっています。

都合良く他の生徒の姿も無く、すんなりトイレにたどり着く事ができた満君ですがトイレのドアを開けるまでは油断は出来ません。ドアを開けてトイレに入ったら他の男子がいたのでは、絶対にウンチをする事は出来ませんから。

(うわあ、ツイてるなあ。全然人がいないよ)

男子トイレの中に入った満君は、中に誰も人がいなかったという幸運に喜んでこれからウンチをするという恥ずかしさも感じることなく急いで大用の個室に駆け込みました。

和式便器をまたぎ、カチャカチャと音を立てながらベルトを外して、ズボンとブリーフのパンツをまとめて一気に膝の下まで下ろすと満君のオチンチンとスベスベの白いお尻は丸出しになりました。

いよいよこれからウンチをしようという、とても恥ずかしい状態です。そして、腰を下ろしてしゃがみ込むと、満君は最も恥ずかしい体勢になりました。

しゃがむ事によってお尻の肉が自動的に左右に開き、谷間にある肛門が最も露出されるこの格好は、服を着ていても滑稽なのですから、下半身が丸出しの状態では、まさに恥そのものと言っても過言ではありません。

「ふんっ……ぐ!」

満君のすぼまっていた肛門の皺もゆっくりと伸び開き、菊のような見事な皺の花びらとなって、満君の力みに合わせて息づき始めます。まだウンチは顔を出していないのに、ちょっぴり不潔気味の肛門が香ばしい臭いを放ち、ほんのりと個室の中の空気を染めていきます。

ミチミチミチ…!

肛門の皺の中央が大きく開き、満君のウンチが顔を覗かせたと思ったら、あっという間にウンチの先端が肛門から顔を出して、ムリムリと音を立てながら吐き出されていきます。

ムリムリムリ…ムリリッ!  ベチッ!

スルリと肛門から吐き出された満君のウンチが湿った音を立てて便器の底に落下します。何本かの節目がある長さ15㎝ほどのそれなりに立派なウンチです。


その後、少量の軟便も肛門から吐き出した満君が一息ついて、さあお尻を拭こうかという時、満君は遠くから騒ぎ声が聞こえるのに気がつきました。

個室の中でしゃがんだまま耳を凝らして警戒する満君。声はどうやら男子トイレの外から聞こえてくるようです。

(マズい!誰かトイレに来ちゃうよ!)

どんどん大きくなる騒ぎ声の主は、満君と同級生の男子生徒でしょう。会話の内容まで聞き取れるぐらい声が近づいてくるのがはっきり分かり、さらにトイレの先には何もない状況では、もうこの声の主たちがトイレに入ってくるのは確実だという結論に、満君は恐怖を感じました。

絶体絶命。大用の個室に入っている状態で誰かにトイレに入られるというのはもはや自分がウンチをしたという事を証明している以外の何物でもありません。逃げる事も出来ず、自分を貶めようと手ぐすねを引いて待ちかまえている他の男子たちの真っ正面に出ていくしか、個室から出る道は残されていないのです。

あまりにも目立つトイレの個室。全てのドアが開きっぱなしのトイレにおいてドアの閉まっている個室というのはあまりにも異質な存在なのです。全ての男子がトイレに入った瞬間、まずその異質を感じるというぐらい、閉まっているドアは人目をはばからず、自らをアピールしてしまいます。

「あれっ!?ドアが閉まってるぜ!」

気づかないで。見つからないで。騒がないで。お尻を丸出しにしながら祈る満君の願いは容赦なく裏切られます。

「うわ、やべっ!誰かウンコしてるよ!」

個室のドアは、恥ずかしい自分の姿をみんなの目から守ってくれる味方の筈なのに、学校のトイレの個室のドアは、本当は味方ではなかったのです。

「ホントだ、くっせぇー! 勘弁してくれよー!」

立て続けに発せられる心ない大声に、震え上がりながら、自分がウンチをしている事がバレないように祈り続ける満君を楽しむかのように個室のドアは他の男子たちに向かってアピールし続けています。

「古川満君がここでウンチをしているよ!」と。


騒ぎ声の主たちは同級生の中でも意地悪な方で、満君の天敵とも言える少年たちである事は声で分かります。罵声の嵐が過ぎ去るまでは、一切物音を立てたくない恐怖心で満君はお尻を拭く事も、ウンチを流す事も出来ません。ひたすら黙って耐え続けるのです。

長い罵声の末、意地悪な男子たちはそろそろ授業の準備もあるという事でトイレから出ていきました。ドアが閉まり、足音が遠ざかるのを感じた満君は壁の下の隙間から個室の外を覗き込んでまで、誰もいなくなったのを確認すると大慌てで肛門を一回だけ紙で拭きます。

ズボンを穿き直して水を流し個室を出て数分その場で待機し、先ほどの男子たちが遠くに行ったであろうと判断して男子トイレを出ました。

これで少なくとも自分がウンチをした張本人だとは特定されないと、最悪の事態は避けられた事を安堵した満君が男子トイレのドアから廊下に出て教室に戻ろうとした瞬間、すぐ手前に先ほどの男子たちが待ちかまえていた光景を見て、固まってしまいました。

「アッハハハハハハハ!本当に満だったよ!」

思考が停止してしまったかのようにキョトンとした表情で、駆け足を止めて立ちつくす満君の顔にを見て、男子たちは大笑いです。

意地悪な男子たちがトイレから出たのは罠でした。安心させておいてウンチをした犯人を捕まえようという、あまりにも効果的すぎる罠に嵌った事を悟った満君は、自分がウンチをしたという最悪の事態を、最悪の展開で、最悪の男子たちに知られてしまった事に呆然として俯いて口も心も閉ざす事しか反応する事が出来ませんでした。

「満、学校でウンコしてんなよー! 普通家まで我慢するぜー!」

満君の周りを取り囲み、様々な罵声を浴びせる男子たち。まるで自分は絶対に学校でウンチをした事が無いような口ぶりです。

「これでお前、今日から一生ウンコマンだな! ウンコマン!ウンコマン!満君は正義の味方ウンコマンでーす! ギャハハハ!」

廊下中に響き渡りそうな大声で、ウンコマンと満君を囃し立てる男子たち。男子トイレの隣にある女子トイレに入ろうとしている女子が、何人かその側を通りかかりますが、みんな満君をチラリと見るだけで黙ったまま何事もなかったかのように通り過ぎてしまいました。

この場から逃げ出したくても逃げ出せない。そして誰も助けてくれない。死んでしまいたくなるような状況に思わず涙が溢れる満君。しかし、そんな満君にようやく助けが現れたのです。

「おい! お前たち、何をしてるんだ!」

その声を聞いて意地悪な男子たちはすぐに騒ぐのを止め、不機嫌そうな表情で舌打ちをしながらブツブツと文句を言い始めました。

「なんだよ、須藤の奴が来たぜ」

満君もその声を聞いて、心に希望の光が灯ってきました。その声は、満君の唯一の友達でもある、幼なじみの須藤卓人(すどうたくと)君だったのです。
-2-

「どうしてそんな事ばかりするんだ。いい加減にしろよ」

騒ぎ声を聞いたのか、たまたまトイレに行こうとしていたのか。とにかくトイレの前に駆けつけてきた卓人君は、満君を助けるためにいじめっ子を睨み付けました。しかし、たった一人の卓人君に対し、いじめっ子は5人も集まっているのです。

一見卓人君に分が悪い状況ですが、もともと遊び半分でイジメを行っていたいじめっ子達は、満君を守ろうとする卓人君の真剣な目に心が萎えて、わざと聞こえるようにコソコソと文句を言うぐらいですぐに退散してしまいました。

「まったく、アイツらは…。とりあえずもう大丈夫だよ、満君。いったい何があったの?」

呆れるようにいじめっ子達を一瞥した卓人君が満君に声をかけますが、満君は助けてくれた卓人君に駆け寄ろうともせず、その場でモジモジしながら俯いているだけでした。

イジメの原因が学校でウンチをした事というのは、自分を助けてくれた卓人君が相手でも恥ずかしくて言えなかったのでしょう。卓人君にまでウンチをしたことを知られることになってしまうのですから。

ですが、いじめっ子達の「ウンコマン」という騒ぎ声が耳に入っていた卓人君は、満君の様子を見てイジメの大方の予想はつきました。そこで満君から話を聞こうとするのを止めて、何とかそれを慰めようと話を切り替えました。

「アイツらはからかうかもしれないけど、気にすることはないよ。誰だってウンチはするんだからさ。…今度ウンチがしたくなったら僕に言いなよ。僕が見張りになってあげる」

色々話をして満君を慰めながらトイレを後にし、二人で教室の方へ歩いていきます。満君も泣くのはやめたものの、恥ずかしさからか卓人君の言葉に返事が出来ません。でも、卓人君は満君の気持ちを十分理解しているので、返事を求めたりもしませんでした。

それに、卓人君も満君もこの後のことが共通の心配になっていたのです。満君は、自分の教室に戻ったときにウンコマンと男子達に囃し立てられるのではないかという事を。卓人君は、満君がこの後またイジメられる事が分かっていながら、満君とクラスが違うせいでずっと守ってあげることが出来ないということが心配でした。

「…ごめんね。一緒のクラスになれなくて」

二人のクラスが違うのは、卓人君のせいではありません。でも、卓人君は申し訳ないという思いが一杯で、謝らずにはいられませんでした。

満君が教室のドアを開けて中に入ると、いじめっ子達がさっそく「ウンコマンが帰ってきた」とからかいます。満君は、教室の中ではもう一人でそれを耐えなければいけないのです。

「くそ…、くそっ! くそっ!」

満君の教室の前で立ち止まっていた卓人君も、いじめっ子の声を聞いて、満君を守れない悔しさで声を上げながら何度も廊下の壁を叩きました。



こんなにも真剣に満君を守ろうとする卓人君は、小さい頃から真面目で優しくて満君と仲が良かったのですが、満君とは逆に勉強ができて運動も得意な、いわゆる優等生でした。

真面目で優秀ということで先生達の評判も良く、部活は水泳部に所属して活躍し、2年生の学年委員長も務めるという、まさに2年生の中で一番といえる生徒です。それに、ただ運動が出来るだけではなく、やろうと思えば喧嘩も出来る根性も持ち合わせており、誰からも一目置かれる存在でした。

いじめっ子ですら卓人君の言うことに渋々とはいえ従うぐらいなのですから、同級生達からの人望も厚く、男女ともに自然と友達も増えていきます。それでも奢らずに真面目であり続け、さらにキリリと大人びた美少年なのですから、満君とは顔以外では月とスッポンとも言える関係です。

二人を犬に例えるとすれば、卓人君は可愛くも凛々しいシベリアンハスキー、満君は可愛いだけの雑種、というところでしょうか。二人の身長まで小型犬と大型犬の差ぐらいあるのですから出来過ぎかもしれません。

それでも、卓人君にとって満君は今でも一番の友達であり、守ってあげたい幼なじみなのです。ですが、満君の方は自分と卓人君の成績の差をだんだん恥ずかしく思うようになっていたこともあり、さらに2年生になってクラスが変わったことで卓人君との距離を余計に感じるようになっていたのです。

小学生の時とは違い、卓人君は部活や学年委員で忙しくなり、一緒に帰ることも遊ぶことも少なくなりました。その上に卓人君に自分の知らない友達が増えていくことで、満君はいつの間にか卓人君に遠慮を感じてくるようになりました。

(僕なんかが卓人君と遊んじゃいけない。きっと卓人君は迷惑してる。イジメも、仕方がないから僕を助けてくれるだけなんだ)

卓人君は、満君に迷惑を感じるどころか、満君が遠慮を感じていることも気が付かないぐらい、昔と同じように満君のことを友達だと思っています。自分のやることが増えたせいで、満君と一緒にいる時間が減ってしまただけなのです。それでも、イジメられっ子の満君にとって不安を感じるには充分な変化なのでした。

周りの目も構わず、満君を優先する事も出来なくはありません。卓人君は強いのですから。ですが、卓人君も満君を思いながらも積極的に構いきれない、ある心の変化が起こっていたのです。それは、満君を好きなことでした。

卓人君は小学生の頃から女子には興味がありませんでした。女子と遊ばないということだけならほとんどの男子が同じですが、ほのかな憧れとか、好きだから苛めてしまうというような、思春期を間近にした男子の、女子に対する心の変化というものが全く無かったのです。

大勢でワイワイ遊ぶのが好きではなかった卓人君は、学校ではともかく、外では他に友達のいない満君と遊ぶ事が多く、二人っきりでのんびりと遊んでいることが卓人君には心地良かったのでした。

そして、二人っきりでいる時間が長かったことや、イジメられっ子の満君を守り続けていたことが、中学生になった卓人君の心の変化をおかしな形で現すことになったのです。

「手を繋げたら」「キスできたら」「デートできたら」思春期の男子が女子に対して思い始める気持ち。これを卓人君は満君に対して思うようになっていたのです。ただ、それがおかしいということは卓人君は分かっていました。

(僕がホモだって気付かれたら、満君も嫌がるかもしれない。だからそれに気付かれないように、友達の範囲を超えないように付き合わなくちゃいけないのかな)

それが、卓人君が満君に対して遠慮をさせる理由でした。具体的な線引きはありませんが、時折卓人君の脳裏に自分がホモだという負い目が浮かんできてしまうのです。ホモといっても、おそらく卓人君は満君のことが好きというだけで、他の男子でも好きになれるような事は無い筈です。



勉強も運動も全て優秀な卓人君にとって、満君は卓人君の弱点と言えるかもしれません。しかし、卓人君にはもっと重大な弱点がありました。それは、お腹を下しやすいということだったのです。

卓人君はもともと胃腸が弱いのでしょうか、それとも生真面目な性格がお腹を下させてしまうのでしょうか。あるいは、そのどちらでもあるのかもしれません。これが満君でしたら授業中に下痢になったり、下痢の時にトイレに他の男子が大勢居たりという不幸な目にあうのですが、幸い卓人君はそういう経験はありません。


満君がウンコマンとからかわれてから数日が経ち、いじめっ子達も意外とすぐにウンコマンの話題を忘れて満君も無事でいたある日の休み時間、卓人君はお腹が下痢気味なのを感じてトイレに向かいました。

これがイジメられっ子の満君と、強い卓人君の違いなのでしょうか。卓人君は学校で下痢をしてもその前兆を見極めるのが早く、ウンチをしに行こうという決断も早いのです。しかもほとんどの場合、みんながよく使う一番近いトイレに堂々とウンチをしに行くのですから凄い勇気です。

それでも、卓人君はウンチの最中にからかわれる目にあったことがないのだから不思議です。いつもたまたま人がいないとか、トイレに来た男子が大人しい生徒だったとか、堂々とウンチをするからこそ、かえって注目されないという強運なのかもしれません。

今回も卓人君は運良く誰もいないトイレに入り、誰の目も気にせず個室に入ることが出来ました。さすがにお腹が下り気味なのでやや足早に個室に入り、ドアを閉めてから便器を跨ぎます。

ズボンを脱ぐときは、お腹を下していても生真面目にベルトを外し、しっかりズボンを下ろしてからパンツも下ろします。凛々しくてもパンツは満君と同じ、この学年ではもう恥ずかしいブリーフというのが美少年の証明でした。

スネのあたりまでズボンを下ろした状態で足踏みをし、しゃがむ前に便器を跨ぐ足の位置をいったん整える卓人君の股間では、丸出しになった可愛らしいオチンチンがプルプルと揺れています。

ブリーフだったのは意外ですが、もっと意外なのは卓人君も満君のように陰毛がまったく生えていなかったことです。水泳で鍛えてほんのりと腹筋も割れて、中性的ながらもちょっぴり男らしさの出てきた卓人君の体も、「陰毛なんか絶対生えないぞ!」と言わんばかりに光沢を放つ、ツルツルな股間がそれを台無しにしています。

足下を確認したところで、卓人君はスッとお尻を便器の上に落とします。卓人君はお尻も丸々と言うよりはキュッと引き締まっていますが、水着の日焼け跡でお尻全体がクッキリ白いのが愛らしく、逞しさは薄く感じます。

ここでも卓人君は満君と同じように、剥き出しになった肛門の臭いを周囲に漂わせて、その臭いが自分の鼻にまで伝わってきます。ブリーフのパンツと小さなオチンチン、そして陰毛のまったく生えない股間と不潔気味な肛門は美少年の専売特許なのでしょうか。


ジョボボボボボボボボボボボッ!
ブピチ…ブップブプブッ! ブプリュッ、ブップブッブプッ!

卓人君がウンチを力むと、適度な勢いで出るオシッコとほぼ同時に、肛門から細長くも形が留まっていない柔らかウンチがゆっくりと顔を出し、すぐにオシッコに負けじと勢いを増してニュルニュルと連なりながら、軽快な空気音と共に吐き出されていきます。

ブリュリュリュリュッ! ブニュルルッ! ブスブシュ…ブパリュッ! ブプッ!

柔らかめのウンチは、肛門から吐き出される時にどうしても音が出てしまうのが難点ですが、トイレに人がいない場合、ちょっと力むだけでブリブリと止まることなく飛び出してくれる柔らかウンチは、かえってウンチを早く済ませる事が出来て美少年には有り難いのかもしれません。

ブプルプリプリッ、プリププッ、プッ、ブススス…  プシュゥゥゥゥ…

卓人君の肛門から、とても可愛い音を奏でながらどんどん飛び出してくる細長いウンチが便器に次々と積もって、もうすっかり山盛りの状態になったところで、最後に小さなオナラを出して卓人君のウンチが終わりました。

ですが、卓人君はそのままの状態で動かず、お尻を拭く紙を取ろうともしません。これはお腹が下痢気味の時はいったんウンチが終わったつもりでも、後からもう少し柔らかウンチが出てくるときが多いからです。

お尻を拭いたのにまた柔らかウンチで汚してしまっては、最初に拭いた紙が無駄になってしまいますし、何よりお尻はウンチを全て出し終えてから拭くものという生真面目さでしょうか。柔らかウンチでベタベタになった肛門も、便器に積もった山盛りウンチもそのままにジッとしている卓人君でした。

ちょっと間をおいて、卓人君がもうウンチも全部出ただろうとお尻を拭くために紙を取ろうとしたとき、トイレのドアが開く音がしたのです。これにはさすがの卓人君も一瞬動きを止めて、どんな男子が入ってきたのかそのまま様子を見ることにしました。

トイレに入ってきた男子はどうやら一人で、大騒ぎする様子はありませんが、何故かトイレに入ってすぐに足を止めています。もしかしたら個室のドアが閉まっていたことで、かえってウンチをしている人に遠慮するタイプの男子なのかもしれません。

いま吐き出したばかりとはいえ、もう卓人君のウンチの臭いは個室の外にはみ出してトイレに入ってきた男子も臭いを嗅いでしまったかもしれません。引き返すわけにも行かない男子は、その臭いに耐えながらいそいそと小便器に向かい、早く済ませてトイレから出ようとオシッコを始めたようです。

特に騒がれないと分かると、卓人君はすぐに安心して男子がオシッコを終えるのも待たずに紙を取ろうとします。紙を巻き取る時にガラガラと音を立てる粗末なペーパーホルダーもまた、こういう時にはウンチをしている男の子にとってとても恥ずかしい物のはずなのに、卓人君は堂々と音を立ててしまうのでした。


-3-

これが本来のトイレの光景なのかもしれません。個室のドアが閉まっていても誰も騒いだりせず、個室の中に居る人も普通にウンチをする。それだけのことなのに、どうして学校の男子トイレはそれが出来ないのでしょうか。

学校に通う女子は、体育の授業でブルマーを穿かされることや、制服がスカートだということを、男性の偏見や差別で縛られていることだとして反発する人が少なくありません。

それが、世の中の女性が男性に抑圧されてしまう原因なのだと言う人も居ます。子供のうちから男性に恥ずかしい思いをさせられ続けることで、社会に出てからも男性を押しのけて前に出ることが出来なくなっていると言います。

ですが、男子もまた毎日恥ずかしい気持ちを抱え続けているのです。トイレに行くことは常に羞恥がつきまとい、ウンチをすることは絶望と隣り合わせという恐ろしい環境の中で、男子は毎日を過ごしているのです。

ウンチをする事を恐れるようになった男の子は、普段の時からオドオドするようになってしまったりと、勇気という気持ちを奪われてしまい、その後の人生も寂しい物になってしまうぐらい大きな影響を受けます。

当然ウンチは恥ずかしい行為なのですが、トイレに行くことすら恐れるあまりに余計な苦悩を抱え込んでしまうのが悪い影響なのです。ウンチを恥ずかしがる男の子にとっては、便器が小用と大用に分かれている男子トイレに人生を抑圧されてしまうと言っても良いでしょう。

現実では男の子達の辛い思いを和らげるべく、学校でウンチをすることの恥ずかしさの象徴でもある和式便器を廃止して洋式便器を採用し、さらに小便器も無くして全ての便器が個室で仕切られた男子トイレという、かつて辛い思いをした男の子達には夢のような環境が整えられつつあります。

ただ、それはあくまでも現実の話です。この世界ではウンチを恥ずかしがる美少年のためを思うどころか、学校のみならず、あらゆる公衆トイレでいつまでも和式便器が廃止されることもなく、大用の個室も小便器と明確に別けられたままで、美少年をウンチの悩みで抑圧するための環境が強固にされているのです。


卓人君は、これまでの人生では卓人君の心の強さもあってか、美少年なのに奇跡的にも学校でのウンチで酷い目にあったことも無く、今回はトイレに人が入ってくるというハプニングがあったものの、何事もなくウンチを終えようとしています。

強運に恵まれているかもしれない卓人君は、お尻を拭くために一度立ち上がり、それから中腰の姿勢になって紙を巻き取っています。

ガラララッ、ガラララッ、ガララッ

ぞんざいに扱われ、随分と歪んだホルダーのせいでちょっと巻き取るのに苦労しましたが、軟らかいウンチで肛門がベトベトに汚れている事を考えて、多めに紙を巻き取った卓人君が今まさにお尻を拭こうとしたとき、またしても誰かがトイレに入ってきたようです。しかも今度は一人ではなく大勢の気配がします。

ゲラゲラとやかましくお喋りをしながらトイレに入ってくる男子の集団。その下品な喋り声とうるさい足音からすると、卓人君が入っている個室のドアが閉まっているのを黙って見逃してくれる性格では無さそうです。

その集団の声と足音を聞いた卓人君は、生まれて初めての感覚にまるで思考が停止したかのように体の動きが止まります。卓人君はそれが何の感覚かはハッキリ分かっていませんが、それは満君が何度も感じている、自分がウンチをしているのがバレて騒がれた上に、ウンコマンと呼ばれてしまうかもしれない恐怖という感覚なのです。

その感覚が何かは分からなくても、卓人君の心はしっかりと焦りを感じています。巻き取った紙を指でつまんだまま、お尻もオチンチンも丸出しの中腰で屈んだまま、個室の外はどうなっているのかが気になる一心で視線がドアへ釘付けになっています。汚れた肛門を拭くことなどすっかり忘れているかのようです。

とにかくどうしたらいいのか、卓人君には分かりません。今までの卓人君だったら堂々と用を済まして個室から出て行けたのでしょうけど、今回はまったく体が動かなくなってしまったのです。

今まで卓人君がウンチをしている時にたまたま入ってきた男子は、ウンチで弱い者イジメをすることがない大人しい男子だったり、卓人君と親しい男子ばかりでした。だから卓人君が堂々と個室を出て行けたのです。

それなのに今回の卓人君は身動きが取れないということは、トイレに入ってきた男子達が悪い性格だということを直感していたのかもしれません。このまますぐに出ていけばウンチの現場を押さえられて大騒ぎされる。だから少しでも自分の気配を消そうと体が硬直してしまったのでしょう。

大人しく、静かに個室に籠もって誰にも気付かれなければという美少年の防衛本能が働いたのかもしれない卓人君ですが、それは悲しく哀れな行動でしかありません。ドアの閉まった個室、トイレに漂う軟らかウンチの臭いは卓人君にはどうしようもないからです。


トイレのドアが開き、騒々しい男子の集団が入ってきた一瞬の間に、卓人君の全身には美少年の本能による直感が走り、危険を回避しようとしていますが、思考が直感に追いつくのは随分遅れています。この大ピンチの状態で卓人君の頭の中に浮かんだ考えはただ一言「どうしよう」だけでした。経験のない出来事には、さすがの卓人君も脆かったのです。

「おっ!満がションベンしてんじゃん!」

ドアの外から聞こえる声の主は、やっぱり数日前に満君をトイレでイジメて、卓人君に止められたいじめっ子達のグループでした。声の主は分かっても、どうすることも出来ない卓人君は、いまだに体を硬直させたままですが、咄嗟におかしな事に気がつきました。

(…満?)

いじめっ子が呼んだ名前は、何故か卓人君ではなく満君の名前でした。しかもいじめっ子が指摘したのはウンチではなくオシッコの方でした。これはどういう事でしょう。

「おい満!ションベンしてんじゃねーよー」

「…え? そんな…、だって…」

卓人君がウンチをしている個室のドアが閉まっているというのに、いじめっ子達の声はこちらに向けられていません。さらにオドオドしている満君の声も聞こえてきます。卓人君もだんだん外の状況を理解し始めてきました。

つまり、卓人君がウンチをしているときに、最初に一人でオシッコをしに入ってきたのは満君だったのです。それで後から来たいじめっ子達は、イジメの対象である満君を発見したことで卓人君がウンチをしている事に気付かなかったのです。

卓人君にとっては幸運だったのかもしれませんが、満君はとても可哀想で仕方がありません。トイレにウンチの臭いが漂っていても、個室のドアが閉まっていても、満君はオシッコをしているのを見つかっただけでイジメの対象にされてしまうのですから。

「あ…ち、ちょっと…!やめて…やめて…!  うわあぁっ!」

まだ満君はオシッコが終わったばかりだというのに、早くもイジメが始まりました。いじめっ子は小便器に体をくっつけている満君の背後から近づき、肩を引っ張ろうとします。満君はまだチャックを上げるどころか出したオチンチンをしまってもいない状況で、身動きをとることが出来ません。

どんな事をされるのかは分からなくても、無意識にオチンチンをまず隠そうとする満君は必死に小便器に体を密着させて抵抗しますが、両手がオチンチンに触れている状態では踏ん張りも効きません。満君は呆気なくトイレの床の上に転がされてしまいました。

「ギャハハハハハ!満のチンコ丸見えー!チンコマン登場ー!」

大きく空いたチャックから出っぱなしだった満君の小さなオチンチンは、転がされる時に身を守るために両手をオチンチンから離してしまったせいで空中でプルンと振るえ、いじめっ子達に丸見えになってしまいました。

しかも満君が転んだ痛さでしばらく起き上がれないでいた時間も、まったく無防備の状態でオチンチンを丸出しにし続けてしまったのです。いじめっ子達は満君のオチンチンをたっぷり余裕を持って眺めることが出来てしまいました。

「いててて…。 あっ! や、やだーっ!」

ゆっくりと上半身を起こした満君がチャックからポロンとこぼれているオチンチンに気がついたときにはもう手遅れです。既にいじめっ子達全員が満君のオチンチンを確認してしまいました。

「ウヒャヒャヒャヒャ!満のチンコ、スッゲーちっせー! おい!満のズボン脱がしちまおうぜ!」

顔を真っ赤にしながら慌ててオチンチンを隠す満君ですが、オチンチンを見られないようにする事ばかりに頭がいってしまい、オチンチンをチャックの中にしまうことも忘れて、ただ両手で必死に隠しているだけの満君をいじめっ子達が取り囲み、まずは満君の両腕を押さえて無理矢理バンザイをさせて、オチンチンを再び丸出しにしてしまいました。

「いやだーっ!いやだ!やめてよーっ!」

オチンチンを丸出しにされても、懸命に両足をバタバタさせて抵抗しようとする満君ですが、その両足もいじめっ子達に掴まれてしまっては、もう叫ぶことでしか抵抗できません。しかし、その叫ぶという行為はかえっていじめっ子達を喜ばせてしまうのですから、もう満君には為す術がありません。

「あーっ!いやだーっ!いやだーーーっ!」

オチンチンがチャックから出ているのが邪魔になったものの、いじめっ子はほとんど手間取ることもなく満君のズボンのベルトをゆるめると、一気にズボンを抜き取ってしまいました。これでもう満君の下半身を守るものはブリーフのパンツしかありません。

いじめっ子達はここで容赦するほど甘くはなく、オチンチンをさらけ出されてしまった満君のその後の人生がどうなるかなどと考える事すらしない残酷さです。ただの男子には笑いの種にしかならないオチンチンの露出が、美少年にとってどれだけの絶望となるのかが分かってないのです。


満君がイジメを受けている間も、卓人君は体を硬直させたままでした。ただ、ドアの向こうで満君がイジメられていることはもう分かっています。いつもの卓人君だったら満君をすぐにでも助けに行く状況なのに、今はまったく体が動きません。

もちろん、それは卓人君がついさっきまでウンチをしていて、しかもまだ個室の中で下半身を丸出しにしている状態だったからです。下半身のことなら、ズボンを穿けばそれで済みますが、もし大用の個室の中から満君を助けに現れたらどうでしょう?とてつもなく格好悪いだけではなく、自分がウンチをしていたことを白状することにもなってしまうのですから体が動かないのも無理はありません。

普通の男子なら、満君を犠牲にすれば自分がウンチをしていたことは騒ぎにならないかもしれないと思い、満君を見殺しにしてでもトイレに潜み続けているかもしれません。しかし、満君の親友である卓人君がそんなことを思うわけがありません。

体が動かないのは、初めてウンチをしている時にうるさい男子が入ってきた緊張により、思考力が一時的に鈍っていただけで、満君を助けることを躊躇していたわけではありません。

自分がウンチをしていたことがバレるという不安や、大用の個室の中からいじめっ子達の前に現れなくてはいけない格好悪さを心配するよりも、満君を守ることの方が卓人君には重要なのです。

「あーっ!やだ!やだ!やだーーーーっ! わーーーーーーっ!」

「うわっ、くっせー満のパンツ!捨てちゃえ捨てちゃえ! ほーら!」

とうとう満君はパンツも脱がされてしまったのでしょう。これ以上ないという満君の絶叫と止まらないいじめっ子達の笑い声が、卓人君の思考回路を目覚めさせます。

(満君を助けに行くんだ!)

中腰の状態から一気に立ち上がった卓人君は、あっという間にパンツとズボンを穿き、ベルトを締めると即座にドアノブを引いて、いじめっ子達の前に姿を現しました。満君を取り囲み、夢中になっているいじめっ子達はまだ卓人君に気がついていません。

「やめろ!ふざけてるんじゃないぞ、お前達!」

怒った卓人君の声に、いじめっ子達は驚いて全員動きが止まってしまいました。突然怒鳴られたのもそうですが、何よりも卓人君の怒鳴り声が今までよりも凄みがきいていたことで、さすがのいじめっ子達もそれに恐怖を感じたのです。

「そうやって集団で一人をイジメないと何も出来ないくせに、恥ずかしくないのか!イジメられる方の気持ちが分からない奴なんて、最低だ!」

すっかり気圧されたいじめっ子達に肩を怒らせながら近づいた卓人君は、一番近くにいた男子の胸ぐらを掴んで怒鳴ると、そのまま思いっきり突き倒していじめっ子を完全に制してしまいました。

「またこんな事をしたら承知しないからな。 …さあ、早く出よう満君」

いじめっ子達に下半身を丸出しにされてしまったショックで、助かった今を喜ぶことも出来ずに涙をボロボロこぼし、オチンチンを隠しながらしゃがんでいる満君のために、ゴミ箱の側に投げ捨てられた満君のパンツとズボンを拾ってあげると、それを満君に手渡します。

そして満君が泣きながら何とかパンツをズボンを穿き終えると、卓人君は満君の肩に手を当てて優しく声をかけ、二人でトイレを出て行くのです。


満君が下半身を丸出しにされるという被害を出してしまったものの、いじめっ子達にオチンチンを見られただけの段階で助けることが出来たという、最低限の救いをとりあえず卓人君は満足しました。

「満君、もしこれをまたアイツらが言い触らすようだったら、今度は僕がアイツらを殴ってでも止めさせてあげるよ。その時はいつでも僕に助けを呼んで良いからね。…辛いだろうけど、今日の残りの授業、頑張って。終わったら一緒に帰ろうよ、待ち合わせしてさ」

イジメをいったん止めても、まだ今日一日の学校生活は終わっていません。満君は、卓人君に不満たっぷりのいじめっ子達と共にまだ授業を受けなくてはいけないのです。

オチンチンを丸出しにされたショックと、それを言い触らされるかもしれない不安の中で学校にいることはさぞかし苦痛でしょう。卓人君は、少しでも自分の存在が満君の希望になればと、色々話しかけて慰めています。

ただ、今の卓人君は、本当は満君の心配よりも自分の心配をしなければいけなかったのかもしれません。卓人君が忘れている大きな過ちを告げに、先ほどのいじめっ子達が卓人君を追いかけてきました。

「おーい、須藤!お前さあ、あの時ウンコしってただろ? …トイレに流し忘れてんじゃねーぞー!」

卓人君にとっては絶望的な事実を下品な笑みを浮かべながら告げると、まさに勝ち誇ったように一斉に大笑いするいじめっ子達。卓人君の頭の中は一瞬真っ白になってしまいます。

(………しまった!!)

自分の過ちにようやく気がついた卓人君は、側にいる満君のことすら忘れてしまうぐらい激しく動揺していました。

(続く)
-4-

「おーい、みんなー!須藤もウンコマンだったぜー!まだトイレにくっせー須藤のウンコが残ってるからさー!みんな見に来いよー!」

自分がウンチをしていたのにも構わず、満君を助けたいという気持ちで一杯だった卓人君はお尻も拭かず、便器にこんもりと積もったウンチを流すこともせずに急いでズボンを穿いて個室から出て行きました。

その卓人君の勇気で満君を助けることが出来たものの、卓人君はウンチの後始末を何もせずにトイレから出てしまったことが、この絶望を生んでしまったのです。自分を犠牲にしてでも満君を守りたいという卓人君の思いが、本当に自分を満君の犠牲にしてしまったのです。

今の卓人君は、いじめられっ子の満君よりも恥ずかしい思いをしています。ウンチをしたことをいじめっ子に知られただけではなく、流し忘れたウンチを目撃されてしまったのですから。しかも絶対に卓人君のウンチだと断言できる状況で。

あの時、トイレの水を流してから個室を出れば。いつもの冷静な卓人君だったらこんなミスはしていなかったはずです。しかし、初めて学校でのウンチの最中にいじめっ子が来たという事や、突然満君がイジメられたという事が重なって卓人君の冷静さを奪ってしまったのです。


大声で囃し立てるいじめっ子達に釣られて、教室の中から大勢の生徒が廊下に顔を出してきました。学年委員長の卓人君とウンコという単語の組み合わせはとてつもない意外性でみんなの興味を引き付けたのでしょう。

次々と廊下に出てくる生徒達は、始めは須藤という名字を聞いてもピンと来なかったものの、いじめっ子に囲まれて、廊下に出てきた生徒達を見て困った顔をする卓人君を見て次第に確信していきました。卓人君が学校でウンチをして、しかもそのウンチを流し忘れたのだということを。

さすがにみんなから人望がある卓人君だけに、いじめっ子の呼びかけに率先して行動を起こす生徒はいませんし、むしろ女子の多くは卓人君が恥ずかしい目にあわされている事を心配そうにしています。

「須藤君だってウンチはするのに、どうしてそんなに言われなくちゃいけないの」

ウンチをするとみんなにからかわれる満君とは違い、多くの女子に気を遣ってもらえるのも、今の卓人君にとってはあまり有り難みのないことです。今まで卓人君が体験したことのない、ウンチという弱みを握られてしまった混乱で女子達の同情に気付くこともなく、みんなにウンチをしたことを言い触らされている辛さだけしか感じることが出来なかったのですから。

自分がウンチをしたことがどんどん大勢の人に伝わっていき、あっという間に学年全員が知るところとなっていく気分はとても辛いものでしょう。例え同情してくれる生徒が多かったとしても、それでも結局はウンチをしたのを知られたことには変わりありません。

それよりも、卓人君とそれほど仲が良いわけではない一部の男子達がいじめっ子の呼びかけに反応してトイレに足を運ぼうとしていることが、卓人君の動揺を大きくしています。どんなに下品なものであっても、ウンチはやはり悪ガキ少年の興味を引き付けてしまうのです。それがクラスメイトのウンチであれば、なおさら絶好の標的になってしまうのでした。

「えー、マジ?マジウンコ残ってんの?」
「おー。すっげードロドロのウンコが山盛りだぜ」

一人が動くとそれに釣られてまた一人が動きだし、その小さな動きがやがては大きな動きとなってトイレに向かう人数を急激に増やしていきます。その動きを呆然と見ていた卓人君も、すぐにそれがとんでもない事態だということに気が付いて慌ててみんなを追いかけていきます。

急展開する事態に、もう卓人君は満君を構っている余裕すらなく、満君を置き去りにしたままトイレに走る卓人君と、この騒ぎを最期まで見届けたい野次馬根性で卓人君の後に付いていく男子達。ついには、卓人君を気遣う女子も遠巻きながらトイレに向かい始めたのです。

女子達は卓人君をからかうつもりはありませんが、卓人君がウンチを流し忘れたという事を忘れてあげるだけの意志の強さはなく、ウンチを見たくはないけど卓人君が巻き込まれた騒ぎだけは見ておきたいというのが正直な気持ちでした。

「あの卓人君がウンチを」という思いもまた、女子の興味を引き付けてしまうのでしょう。あくまで卓人君が心配という建前も、卓人君にとって何の救いにもならないという事には気が付かないようです。

一方、取り残された満君は、さすがに自分を救ってくれた卓人君の緊急事態を無視して教室に戻るわけにも行かず、かといって自分が卓人君のようにみんなから卓人君を守ってあげることも出来るわけがないので、結局遠回しに騒ぎを見つめる女子達のさらに遠回しに騒ぎを見守ることしかできませんでした。


「うわ!すっげー…。マジでウンコ流し忘れてるよ…」
「きったねー!俺モロ見たら何だか吐きそうになってきた」

気持ち悪いと言いつつも見ずにはいられない悪ガキ男子達。それが知っている同級生の物であるならば尚更でしょう。しかも流し忘れという大失態のウンチなのです。一目見ておきたい気持ちが本当なら、それを見て気持ち悪くなるというのもまた本当なのです。

見ずにはいられないくせに、他人のウンチが気持ち悪いと思っているのですから悪ガキ男子は本当に困った物です。その気持ち悪い思いを八つ当たりするかのように卓人君を嘲笑する言葉を吐き出す男子達ですが、いざ卓人君がトイレに入ってきたら途端に口をつぐんでしまいました。

何も言わずにトイレに入ってきた卓人君のピリピリした雰囲気を見て、ウンチを見ていた男子達は慌てて道を空けました。しかし、卓人君を見るその表情は明らかに笑いを堪えており、優越感に満ちた悪意そのものです。

さっきまで自分がウンチをしていた個室に入った卓人君は、生まれて初めて、とても嫌な気持ちで自分のウンチを見ることになりました。先ほどは満君を助けることに夢中で確認する間もなかった自分のウンチは、改めてみるとあまりにもドロドロの下痢便です。

液状とまではいかず、かろうじて一本一本のウンチの繋がりは分かるものの、それが幾重にも積み重なっているせいで、まるで大失敗したソフトクリームのように無様な柔らかい固まりと化しているのでした。

(僕のウンチを見られた…! くそっ…!)

いつもウンチをした後に状態を確認し、見慣れているはずの自分のウンチも、今日は見るだけでも辛い悩みの種になってしまいました。後ろでクスクス笑う男子達に怒りながら、それでいてできる限り平静を装いつつ、レバーを踏んで水を流します。

バシャアァァァ…チョロチョロチョロ…コポポポッ

いかにも学校のトイレらしく、水流が調整されているのか整備がなってないのか、流れる水の勢いは頼りないぐらい弱いです。そのせいで何と卓人君のウンチは水を一回流しただけでは全て流れてくれなかったのです。それを見ていた卓人君の表情が曇ります。

(なんで…っ!)

空気混じりの軟便は、出した直後にすぐ水を流せば簡単に流れていってくれたでしょう。しかし、その軟らかさが故に時間が経つと自らの重みで潰れてゆき、便器の底にどっしりと密着してしまった今のウンチの状態は、非常に水で流れにくくなっているのです。

(くそ…! くそっ…! くそぉっ…!)

二回、三回と間隔を開けつつレバーを踏んで何度も水を流すと、ようやくウンチは全部流れてくれました。とても恥ずかしい状況に置かれてしまった卓人君は、トイレにいる限り何をやっても恥をかくことになってしまうのです。便器のレバーを何度も踏むことも、ウンチが一回で流れてくれないという恥になるのでした。

レバーを一回踏む度に、その恥ずかしさで卓人君の怒りは増し、ウンチが全て流れてもそれは治まらず、もうウンチを流し忘れた事実は消すことができないというやりきれない怒りでギュッと握りしめた拳を震わせるのでした。

「須藤、もうウンコ流し忘れちゃ駄目だぜ」

個室から離れ、トイレから出ようとする卓人君に、悪ガキ男子の一人がからかいの言葉をかけてきました。その瞬間、怒りで一瞬自分を制御できなくなった卓人君はあっという間にその男子に向かって振り向いた瞬間、男子の腹部を強烈に殴りつけたのです。

あまりに重い一撃に、殴られた男子が苦悶の表情でうずくまると、それを見ていた男子全てが完全に沈黙してしまいました。拳を握りしめたまま、うずくまる男子を睨み付ける卓人君の目はまるで鷹のように鋭く、鬼気迫るものがあったからです。

あの卓人君がキレそうになっていることを誰もが感じ取った事で、ひとまずこの騒ぎは無理矢理収められていきました。とりあえずもう卓人君にからかいの声をかける男子もいなくなり、卓人君がトイレを後にすると他の男子も授業が近いこともあってか、ぞろぞろと教室に戻りつつありました。

遠巻きに騒ぎを眺めつつ、男子トイレが一瞬にして沈黙した様子から何かがあったことは感じていた女子達は、教室に戻る卓人君に心配の声をかけようとするものの、不愉快な表情がありありと出ていた卓人君はぶっきらぼうに何でもないと答えただけで、後はほとんど無視の状態でした。

ただ、卓人君も集団の最後方に居た満君を目にしたときはさすがに自分の怒った表情を見られることを恐れ、必死にぎこちない笑顔を作りながら教室に戻ろうと声をかけたのです。満君のおかげで卓人君は少し自分に制御を取り戻すことができたのでした。


この騒ぎで休み時間もギリギリになり、卓人君のクラスも多くの生徒が授業のベルが鳴ってから教室に入ってきたことを騒ぎを知らない教師はおかしく思い、一番信用できるつもりで皮肉にも騒ぎの真っ只中にいた卓人君に何かあったのか聞いてしまったのです。

あまりにも不用意な教師の問いかけに教室中が妙な雰囲気になりましたが、まさか卓人君が「僕がウンチを流し忘れたからです」と馬鹿正直に答えるはずもなく、バツが悪そうに自分には分かりませんとお茶を濁した事で、何事もなかったかのように授業は始まりました。


一見普段通りに進んでいく授業の中、卓人君だけは非常に居心地の悪い思いがいつまでもくすぶっていました。それは言うまでもなく自分のウンチのことです。自分がウンチをし、それを流し忘れたということが同級生全てに知られてしまったという事実は、騒ぎが収まっても消えることはありません。

みんなが自分のウンチを知っているということが、これほど嫌な気持ちとして心に残ることになることを、卓人君は今日初めて知りました。そして、満君はいつもこんな辛い思いで学校にいたのだということも同時に気が付いたのです。

いつも「頑張って」としか言ってあげられなかった自分が、満君を本当に守り切れていたのだろうかと、卓人君は反省しました。そんな一言でこの辛い思いを満君が耐え抜いていけると思っていた自分が甘かったと、卓人君は心の中で満君に謝りました。

クラスが違うという致命的な要因があっても、もっと自分が満君の救いにならなければいけないと卓人君は誓います。離れていても卓人君が居るから耐えていける。満君にそう思ってもらいたかったのです。

(もうただの友達じゃ駄目だ。僕は何があっても絶対に満君の味方なんだって、満君に思ってもらわなくちゃいけないんだ)

ただの友達ではないという感情を、満君に変と思われるかもしれないという不安を振り切って告白することで、少しでも満君に味方がいるという安心感を与えてあげられれば嬉しいと卓人君は思っているのです。

満君への告白を思い立った卓人君は、そう決心すると急に気分が高揚しだして機嫌まで良くなりつつありました。しかし、たった一つだけどうしても消えない居心地の悪さが残っていました。

(パンツが汚れちゃったかなあ…)

満君を助けたとき、ウンチを流し忘れただけではなく、お尻も拭いていなかった卓人君の肛門には柔らかいウンチのカスがベッタリとこびり付いたままになっていたのです。それが椅子に座ったことでパンツと肛門が密着し、ウンチのネットリとした冷たい感触が肛門に走ったことで洋助君はもう一つの失敗に気が付いてしまったのでした。



放課後、帰りのホームルームも終わった満君が帰宅しようと下駄箱に向かうと、そこには卓人君が待っていました。一緒に帰ろうと卓人君が声をかけますが、満君の方は今日の騒ぎを気にしてどことなく遠慮がちになってしまいます。

忙しい卓人君がこうやって満君と一緒に帰るのは本当に久しぶりのことでした。今日は満君と一緒に帰るために卓人君は学年委員の仕事を休んでまで玄関で待っていたのですが、それが逆に満君を心配させてしまうのです。

帰宅部のほとんど居ないこの学校では、放課後になってすぐに帰る生徒はかなり少なく、通学路を歩くのはまさに満君と卓人君の二人っきりと言って良い状態になっていました。

「いつも一緒に帰れなくてゴメンね。本当は毎日満君と一緒に帰りたいんだけど、そうもいかなくて」

学校を出て、周囲に他の生徒が見えなくなった頃、卓人君が満君に話しかけました。騒ぎのことは全く話題に出さずに努めて笑顔で話すのは、自分がもう大丈夫だよというところを満君に見せたかったのでしょう。

「…ゴメンね。今日、僕のせいで卓人君が…」

それでも、満君にとっては不安と心配が一杯です。自分のせいで卓人君が失敗をし、それがとんでもない事態を引き起こしてしまったのですから、責任を感じるのは当然でした。学校でウンチをしたことを知られる辛さを誰よりも痛感しているからこそ、その辛さを体験してしまった卓人君が心配なのです。

場合によっては、これでもう卓人君は自分と付き合うのを嫌がってしまうかもしれないという不安を感じていた満君は、卓人君の気持ちを知るのが怖いけど、気になって仕方がないという思いを抱えていました。

ですが、それこそ卓人君が一番心配していたことなのです。満君が責任を感じて自分に遠慮するどころか遠ざかってしまうのだけは絶対に嫌でした。だからこそ今日の内に自分の気持ちを全て告白しておきたかったのです。

「あの事はもう全然心配いらないよ。僕はもう大丈夫だし、あれが満君のせいだなんて思わないから。むしろ僕がからかわれたおかげで、満君がイジメられたことがみんなに忘れられたんだから、僕は良かったと思ってるよ」

卓人君の笑顔を見ても、満君はまだ安堵と不安が半分半分といった様子です。普通の友達なら、あんな目にあっては友達であっても恨みを感じてもおかしくないからでしょう。卓人君が優しいからこそ、自分のためにやせ我慢をしているのではないかと完全に不安が拭いきれないのです。

そんな満君を安心させるには、卓人君がとことん本音をぶつけるしかありません。ありきたりな慰めの言葉ではなく、友達以上の感情を抱いている卓人君にしか言えない言葉をぶつけるしかないのです。

一瞬沈黙した後、卓人君は周囲を見回してあたりに人影がないことを確認し、思い切って口を開きます。

「…僕は満君のことが大好きなんだ。大好きな満君を守るためなら、どんな事だってしたい。色んな都合でいつも一緒に居てあげることは出来ないけど、僕はいつだって満君のことばかり考えてるんだ」

友達の感情を超えた卓人君の言葉は、満君にも伝わりました。ですが、満君はその感情をどう受け止めて良いかが分からないのです。そこまでの好意を受けたことがないから、心はドキドキしているのにそれを嬉しさとして吐き出すことが出来ないのです。

「僕は絶対に満君の味方だよ。満君の支えになってあげられることが嬉しいんだ。だから何でも僕に話して。僕をいくらでも頼りにしてくれて良いんだよ。何があっても僕だけは満君の全てを受け止めてあげるから…。辛いときは僕の前で思いっきり泣いても良いよ。寂しいときは僕が抱きしめてあげても良いよ」

卓人君の思い、そして好意は全て満君に伝わりました。満君の返事はただ「うん」と言って頷くだけでしたが、それで卓人君には充分だったのです。そして最後に卓人君は満君の目をじっと見つめながら呟きました。

「……大好きだよ、満君」



その後、卓人君と満君は分かれ道でさよならをするまで一言も口を聞きませんでした。ですが、二人の仲は確実にただの友達以上の距離にまで密接していました。今はただ、その余韻を無言で噛みしめていただけなのでしょう。

全ての思いを告白した卓人君ですが、本当はどうしても言葉に出来なかった思いがありました。いくら満君のことが好きでも、満君を無理矢理自分と同じ所にまで引き込んでしまうわけにはいかないと自制心が働いてしまったのです。

本当の意味での友達以上という最後の一線は、自分の気持ちだけではなく、満君の意思も一緒に存在してほしいという卓人君の願いは、いつ叶うのでしょうか。卓人君はさっきよりもさらに慎重に周囲を確認し、本当に誰も側にいないことを確認すると我慢して引っ込めた思いを改めて言葉にしました。

「……愛しているよ、満君」


すぐに叶うことではないかもしれません。もしかしたら一生叶うことはない夢かもしれません。それでも、いつかは満君と恋人同士になれるかもしれないという希望を繋いだことを卓人君は素直に喜び、満足するのです。


もしかしたら現実になるかもしれない夢への第一歩を踏み出した卓人君は、家にたどり着いたことで今日はひとまずそれを忘れて、目の前の現実と向き合わなければいけません。

もう一つの大切な告白をすることによって、自分のしでかした失敗をお母さんに謝らなければいけないからです。

「……ゴメン、お母さん。パンツ汚しちゃった…」
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