- 2011⁄04⁄08(Fri)
- 03:56
太樹と紀久 修也
「タイキ、今日行っていい? いいの入ったから」
ニヤニヤ笑いを浮かべる修也の横には、華奢な体つきの一年生が立っている。話をしたことはなかったが、太樹も少年の顔だけは知っていた。常人離れした整った目鼻立ちは、人目を引かずにはおかない。もっとも本人にその自覚があるようには見えない。
「部活の後輩。こいつも行くから」
一年生を指さして修也が言うと、まだ本人は了解していなかったらしく、
「え? どこにですか?」
と無邪気な様子で聞く。修也の後輩ということは吹奏楽部だ。
「こいつの家。学校のすぐ近所だから」
修也はひょいとアゴで太樹を指して答える。学校に近く、親が留守がちな太樹の家には友人たちがよく遊びに来る。
「来たかったら来いよ」
太樹が校門を出ると、二人はそれぞれ自転車を押してついてきた。
家に入ると修也は、
「お邪魔しまーす」
と形ばかり挨拶してさっさとリビングに入りこみ、勝手にテレビの電源を入れる。このテレビの巨大ディスプレイこそが、修也のお目当てだ。もどかしげに学生カバンからディスクを取り出すと、慣れた手つきでセット、まもなく再生が始まった。修也はどこからか無修整のディスクを調達してくる名人なのだ。太樹もこれまでずいぶんお世話になっている。
きょうのそれは、男子校にやってきた新任女教師という、男子高生の太樹たちにとっては妙に生々しい設定だった。修也と太樹はテレビの前のソファに並んで腰を下ろし、「すげえ」「ありえねえ」などと言いつつ、早送りと再生を繰り返す。間もなく大画面に見入って黙り込み、もぞもぞとズボンの上から前をいじり始めた。
先に脱いだのは修也だった。ベルトをはずすと、下着まで一気に脱ぎ捨てて、じかにしごきはじめた。すぐに太樹も続く。冷たいソファの革が尻に気持ちいい。
「キク、お前も脱げよ」
修也の声で、太樹は一年生の存在を思い出した。キクと呼ばれた少年はソファには腰掛けず、修也の向こうの床にじかに座り込んでいる。
「いいですって」
「俺らだけ脱いでたらバカみたいだろ」
理屈にもならないことを言うと、修也は隣から一年生の上におどりかかった。
「わ! 何するんですか!」
手早くキクのベルトをはずすと、修也は強引にズボンを脱がしにかかった。キクはもちろん抵抗する。
「太樹、手伝えよ」
作品鑑賞を続けたい太樹は、
「好きにさしてやればいいじゃん」
と手を貸そうとしない。それでも修也は攻撃の手を緩めず、何とかズボンだけは脱がすことに成功した。
「うわ、なに触ってるんですか!」
「たってるじゃん。素直になれって!」
どうやら修也が急所に魔の手を伸ばしたらしい。太樹がのぞきこむと、キクが下着だけは脱がされまいと懸命に引っ張りあげる裏をかいて、修也は下のほうから手を突っ込みキクのそれをむずと握り締めている。必死に逃げる美少年と追い詰める先輩。まるで悪代官と町娘のようだ。太樹は思わず笑った。
ケータイの振動音がした。修也がさっき脱いだズボンのベルトからだ。修也はしばらく無視していたが、やはり気になって、にじり寄っていく。
「ちょっと、放してくださいよ」
なんと修也はキクの一部を握ったまま、電話のほうまで引っ張っていった。太樹はテレビの音を消した。片手でキクのモノを下着の外に引っ張り出そうとしながら、修也は、さわやかな好青年の口調で電話に応対している。切ったとたん、パッと手を放すと、
「バイト先からすぐ来てほしいって。当番の人がこれなくなったらしい」
と立ち上がった。
「断れば良かったんじゃないの」と太樹。
「でも、困ってるみたいだし、俺が逆に代わってもらうこともあると思うし」
根はなかなかいい人間なのだ。
しかし、すぐに駆けつけるのかと思ったら、そうはしない。
「ここまで見たのに、もったいないから」
と、テレビの音を戻すと、立ったまますごい勢いでしごきはじめた。
「猿だ、猿だ」
太樹が笑いながら言う。床に座ったキクは、自分のすぐ目の前で先輩が繰り広げる手と竿の高速運動を呆然と見ている。しばらくすると修也は、そんな後輩にちらっと視線を向け、
「キク、ティッシュ」
と言った。太樹がキクにティッシュの箱を投げる。箱ごと渡そうとするキクに修也は、
「四、五枚重ねてからくれ」
と注文をつける。キクはなんだか恥ずかしそうに、言われた通りにして渡した。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
修也はいつも最後、声が出る。絞りだすようにして、丁寧にぬぐうと、濡れた紙をキクのほうに差し出し、
「捨てといて」と、一転、穏やかな声で命じた。まだぼうっとしているキクは何も言わず受け取った。
ズボンをはいて修也があたふたと出て行ったあとも、キクはその紙を持っていた。
「ここに捨てなよ」
太樹が自分の脇にあるくずかごを示すと、立ち上がって太樹のほうに来た。捨てた後も手持ちぶさたそうに立っている。
「名前、キクってゆうの?」
「本当はノリヒサなんですけど、キクとも読めるからシューさんはそう呼ぶんです」
「修也帰ったけど、せっかくだし、見てったら」
紀久は素直に太樹の足元の床に座った。太樹のサッカー部で鍛えた右太もものすぐ隣に紀久の頭がある。ソファに座るのは遠慮したのだろう。好きにすればいいと思って太樹は、再び画面に集中した。
下半身だけ学生服を脱いだ生徒。しゃぶる新任女教師。太樹の好きな設定だ。興奮が高まってくるが、自分だけ前をさらして、ほとんど初対面と言っていいまじめそうな後輩の目の前で擦るのは、ちょっと恥ずかしい。
なんとなく右手で紀久の頭をなで回すと、紀久は力なく頭を倒して太樹の太ももにもたせかけた。なんだかかわいい。太樹は、紀久の顔や首をなで続けた。形のいい目鼻、口元、アゴや耳の凹凸を楽しむかのようだった。そしてふざけて、紀久の口をこじ開けると、画面の女教師がしゃぶるのに合わせて、中指と薬指を出し入れし始めた。
驚いたことに紀久は、指の動きに応じるかのように、舌を動かしてきた。思わず覗き込んだ太樹と紀久の目が合い、紀久の顔立ちの美しさに太樹は改めて打たれた。
紀久は太樹の指を口から出し、太樹のたくましい両脚の間に体を入れた。向き直ると、太樹の目をまじまじと見つめた。
「太樹さん体格いいし、かっこいいって前から思ってました」
「前からって、俺のこと知ってたの?」
「部から何度か、サッカー部の応援に行ったし」
ある程度勝ち進むと、吹奏楽部が試合に来てくれることになっている。そんな折に紀久は太樹を見かけたらしい。
「紀久のほうがずっと男前じゃん」
太樹のことばを聞くと、紀久は眉をひそめて
「そんなこと全然ないです」
と、意外なほど激しい調子で否定した。そしてゆっくりとその美しい顔を太樹の屹立に近づけていく。
太樹は、部の後輩にしごかせたことはあるが、しゃぶってもらうのは初めてだった。男とはいえ、こんなきれいな子がしゃぶってくれるなんて。画面の女教師と、股間の美少年と。太樹は異様な興奮を覚えた。初めてらしくぎこちなかったが、伏し目がちに一生懸命奉仕してくれるな紀久がいとおしかった。その顔をもっとちゃんと見たいと思い、
「こっち見て」
と目を上げて自分を見るように命じる。が、紀久はすぐに恥ずかしそうに伏せてしまう。太樹は少し残酷な気分になって、両手で紀久の頭を持つと、下から腰を動かして攻め立て、欲望の赴くまま紀久の口の中に種を放った。
「きのうはありがとうございました。おいしかったです」
サッカー部の練習を終えて引き揚げようとしていたとき、太樹は吹奏楽部の一年生、紀久に声を掛けられた。きのうあの後、二人で一緒に買い物に行き、太樹は紀久に手料理をご馳走してやった。太樹の家は父子家庭で、いつも太樹が食事の支度をする。ニコニコ顔の紀久が、料理の礼を述べているのは明らかだったが、太樹は彼の口の中にぶちまけた自分の粘っこい体液を「おいしかった」と言われた気がして、柄にもなく赤面した。
練習中も、ふと紀久がサックスを咥えて練習しているのが目に入っただけで、昨日の記憶がまざまざと甦り、前を膨らませて、部の連中にさんざんからかわれた。紀久は音楽に入り込むタイプのようで、吹きながら盛んに上体を前後に動かしている。それが太樹の妄想を一層掻き立てた。
「きょうは修也は?」
「バイトで、もう帰られました」
紀久の丁寧な言葉遣いが感じよかった。
「修也と仲いいんだ」
「んー…でも…」
なぜか言葉を濁す。
「でも何?」
「シューさん、しょっちゅうお尻触ってくるし」
「えっ…」
「油断してると前ももんでくるし」
そう言って迷惑そうに眉を寄せる。太樹は昼休みの修也との会話を思い出して、ニヤリとした。
昼休み、食堂で太樹を見つけた修也は、開口一番、
「抜けた?」
と聞いてきた。きのう太樹の家に置いてきた「男子校の新任女教師」の感想を聞いているのだ。
「抜けた」と太樹。
「キクは? 抜いてた?」
「いや。結局、脱ぎもしなかった」
そう聞くと修也は残念そうな、ほっとしたような、複雑な表情を見せた。
「なかなか堅いな、あいつ。かわいい顔してるから、脱がして、見てやろうと思ったのに」
それで紀久を連れてうちに来たのか。太樹には、修也の魂胆がおかしかった。
「しっかり握り締めてたじゃん」
からかうと、
「あいつ多分、じかに触られたことないしな。初握りは俺のもんだ。次は初搾りだな」と、ばかなことを言ってうれしそうだ。
抜きはしてなかったけど、俺のをしゃぶってたぜ。しかも飲んじゃったし。言ってしまいそうになるのを太樹はこらえた。またやってくれる?と聞く太樹に、ほかの人に秘密にしてくれるなら、と紀久が約束したからだ。
暑い日で、日陰とはいえ屋外でサックスの練習をしていた紀久は汗だくになっている。もちろん太樹も汗だくだ。太樹は、紀久をシャワーに誘った。
「でも、タオル持ってませんから」
「貸してやる」
太樹が先に歩き出すと、紀久は一瞬ためらって小走りに追いかけた。
「太樹さんが練習してるの、見てましたよ」
「そうなの?」
自分も紀久を見たとは言わない。
「やっぱり太樹さんが一番かっこいい」
こういうことを、すっと言える紀久の素直さに太樹は感動した。
「そうだろ」。冗談めかして言うと、太樹は紀久の肩に手を回した。
脱衣室で裸になると、太樹は紀久が脱ぐのを待った。意を決した紀久がボタンを外し始める。最後の下着を取り去り、中のものがあらわになった。修也より先に見てやったぞ。太樹は思った。 太樹が貸してやると言ったタオルは、一枚しかなかった。しかもそれは太樹の左肩に無造作にかけられている。太樹が腰に手を当て、
見せ付けるようにしてシャワー室に入っていく隣で、紀久は両手で前を隠していた。
シャワー室は、練習を終えた運動部員たちでいっぱいだった。仲間同士話す声やふざけあう声でにぎやかだ。特段、二人に注意を払う者はいない。紀久は太樹のまねをして、上を向いて目をつむり、顔にじかに水を当てた。体を伝って流れる水が気持ちいい。
しばらくそうしていると、紀久は尻を、割れ目を指でなぞるように触られた。しっかりと意識的な手の動きだ。紀久はびっくりして、顔をぬぐった。太樹の方を見るが、まだ目をつむって顔に水を当て続けている。修也がよくズボンの上からそんな触り方をするので、ひょっとして修也がいるのかと思って見回したが、周りは知らない顔ばかりだ。
すると今度は、後ろから両方の胸の突起を触られた。びくっとして振り向こうとすると、太樹に抱きすくめられた。
「何キョロキョロしてんの?」
太樹の肉の感触に、紀久はどきどきした。
「さっきも太樹さんだったんですか」
「さっきって?」
「お尻触られたんですけど」
「触ってないよ」
そう言いながら太樹は、手のひらで紀久の尻を撫でた。
「やっぱり!」
「違うって」
笑いながら太樹は、紀久のわきや胸、尻や下腹を突っついたり撫で回したりした。そうして、紀久がじたばたするのをおかしがった。
「勃ってんの?」
「だって、触るから」
「若いな」
からかうように二、三度、紀久のそれをしごくと、太樹は紀久を解放した。そんな二人を周りの連中がニヤニヤしながら眺めている。美少年の紀久が体をいじられてバタバタしているのが、かわいかったのだ。
再び体を洗う間も、紀久の興奮は収まらなかった。初めて太樹に握られ、しごかれて、今までにないほど大きく、硬くなったそれは、隠そうにも手では隠しきれない。
「元気だな」
「立派なもんついてるな!」
太樹についてシャワー室を出て行くとき、左右からからかわれ、紀久は恥ずかしくてしようがなかった。
さっきとは別の脱衣室に出た。太樹に借りたタオルで体を拭いた後も、紀久のそれは天を突く勢いだ。
「そんなに良かったか?」
OBが寄贈してくれたマッサージ椅子に腰掛け、太樹は紀久を見ている。
「だいぶ恥ずかしいんですけど」
恨めしそうに紀久が言いながら、タオルで前を隠す。
「そのまま帰るわけにはいかないな」
太樹は立ち上がると、紀久の手から容赦なくタオルを奪い返し、左肩にかける。また紀久のそれがあらわになる。
「部室寄るから来い」
サッカー部の部室はその脱衣室から、いったん外に出てすぐ向かいの古い木造のクラブ棟にある。太樹は自分用のサンダルを置いていたが、初めてここに来た紀久の分はない。
「仕方ない。おぶってやる」
太樹の上体にしがみつき、背中に股間のたかぶりを押し付けて、紀久はひそかに快感を覚えた。脚を抱えられ、自然と後ろの穴が広がった。
向かいの建物にはいると太樹は、紀久を下ろし、近くの戸をたたいて名を告げた。
すぐに戸が開き、中から学生服を着た一年生が顔を出した。
「ああ、キク」
そう呼ばれて紀久は慌てた。
「コースケ!」
まさか同級生に、こんなところを見られるとは。そういえば昂介もサッカー部員だ。
「もう勃ってんの?」
昂介はニヤニヤしている。
「知り合い?」
太樹が尋ね、昂介が説明する。昂介の方も、太樹と紀久の関係を知りたそうだったが、太樹は無言で紀久の背中を押し、中に入れた。
太樹に続いて、奥の部屋に入ると、十数人の部員がいた。ほとんどは紀久たちと同じようにシャワーを浴びてそのまま来たのだろう、一糸まとわぬ生まれたままの姿だ。ただ寝転がっている者もいれば、雑誌を見ている者、古いテレビで再生したディスクに見入っている者、一心にしごいている者、後輩にしごかせている者もいる。紀久は、さっき昂介が「もう勃ってんの?」と言った意味が分かった。ここに来て、しごいたりしごかれたりするのは普通のことなのだ。
「修也の後輩」
同学年の部員に簡単に紀久のことを説明すると、太樹はテレビの前のこれまた古いソファに腰を下ろした。自分の脚の間、床の上に座るよう、紀久を促す。初めての場所で緊張しながらも、運動部らしい締まった体つきの裸の男たちに囲まれ、紀久のそれはさっきと変わらずそり返っている。一方、サッカー部員たちも、紀久の人目を引かずにはおかない端正な顔立ちと、滑らかで触り心地のよさそうな裸体に興味津々のようだ。
テレビに映っているのは、制服の女子高生と男の教師。きのう太樹の家で見たのとは男女逆の設定で、申し訳ばかりの修整が施されている。たちまち太樹の興奮が高まる。じっと画面に見入っていたが、紀久が前を手で覆い、緊張して固まっている様子を見て、ソファから床の上に腰を落とす。羽交い絞めするように後ろから紀久を抱くと、
「女子高生は、お嫌いですか?」
顔を寄せ、冗談めかして聞く。どう答えたものか、紀久が迷っていると、
「緊張してる?」
股間を隠している紀久の手に自分の手を重ね、握ったり放したりする。
「帰る前に出しとけよ。俺がしてやろうか」
そう言って、紀久の手を床に押し付け、隠したがっているものを露わにする。
「きのう舐めてくれたし」
ほかには聞こえないように小声で言うと、紀久の足の付け根や胸の突起をいじり始める。紀久の感じやすいところは、シャワー室で確認済みだ。
声を上げて紀久が身をよじり、体がほぐれると、太樹は自分の足で紀久の脚を開いて固定する。後ろから回した手で紀久の体の中心をしごき始めた。紀久は、背中に押し付けられた太樹のたかぶりが気になって仕方ない。
テレビでは女子高生が、後ろから抱かれ、いじられている。興奮した太樹は、自分の腰を紀久の背中に一層押し付けた。胸をいじり、着実に中心部を責め立てる。紀久は酔ったようになって、羞恥心を忘れた。密着した太樹の肉体と、その息遣いが心地いい。袋の付け根や、その下の穴のほうまでなぶられ、ついに紀久の体から白い粘液がドクドクと噴き出した。それは、紀久の整った顔を直撃し、紀久は目が開けられなくなった。
「自分のぶっ掛けてる」
と昂介のうれしそうな声がして、紀久は我に返った。やはり同級生に見られるのは恥ずかしい。手で口の汚れをぬぐい、
「拭くものもらえませんか」
と頼む。うん、と太樹は答えたが、すぐには動いてくれず、紀久の脚を広く開いたまま、今出た液体を紀久の胸の突起や袋にゆっくりなすりつけている。サッカー部員たちのざわめきの中、紀久は、目を開けられず抵抗できない自分の、最も恥ずかしい部分が、彼らの視線にさらされて続けていることを強く意識した。
ようやくティッシュを渡され、紀久は目を拭いた。顔だけでなく、胸にも腹にも飛び散っている。
「飛ばしたなあ」
太樹に笑顔で言われると、憎めない。
「はい」
紀久もつい、照れたような笑顔で答えてしまう。
「も一度シャワー浴びる?」
紀久がうなずくと、太樹も立ち上がった。部室を抜け出すと、再び紀久をおぶって、シャワー室に戻った。
満員だったシャワー室に今は太樹と二人きりだ。太樹は備え付けのせっけんを泡立てると、素手で紀久の体になすりつけた。床にひざまずき、脚と、その間も丁寧に泡立てていく。男らしい粗い指で優しく触られているうちに、紀久のそれはまた大きくなってしまった。
「もっぺん、いけよ」
そういうと太樹は立ち上がり、返事も聞かずに紀久のそれをしごき始める。戸惑ったような紀久の顔がかわいい。紀久の口から小さなあえぎ声が漏れると、再び白い汁が噴き出し、ヒクヒク痙攣した。
「俺も洗って」
そう言われて紀久は、太樹が自分にしてくれたように、太樹の体にせっけんの泡をを塗りたくった。ひざまずき、脚にも塗るが、恥ずかしくて中央部はさわれない。
「そこもちゃんと洗えよ」
催促されて、ようやく紀久はそこに手を伸ばした。二度も出したのに自分のそれがまた硬くなるのが分かった。袋の付け根あたりのスジが痛い。
「後ろも」
太樹が後ろの穴の周りも洗ってくれたことを思い出し、紀久はそこにも指をはわせる。太樹のものが大きくなる。
紀久はひざまずいたまま、太樹をしごいた。せっけんのおかげで滑りがいい。紀久は、太樹のたくましい太ももが好きだった。無意識に太ももにほおを寄せようとすると、不意に太樹の先端が開いて、さっき洗ったばかりの紀久の顔は、再び、白い大量の粘液をまともに浴びた。
次の日。
「キクに手で抜いてやったらしいな」
修也が聞いてくるが、太樹は笑って答えない。
「何でお前にはやらせて、俺にはやらせないんだよ」
「知るか。あいつにも好みがあるんじゃないの」
「初搾りは取られたけど、初釜は俺がもらうかんな」
太樹は、引いた。
「初釜って・・・。お前、そんなシュミあんの?」
「やんなきゃ損だろ」
修也がニコニコしながら言う。
「損って・・・」
「そこらの女よりよっぽどかわいいじゃん、キク」
「確かに二枚目ではあるけど」
言いながら太樹は前日の盗難騒ぎを思い出した。
シャワーから脱衣室に戻った紀久が、裸のまま一生懸命何か探している。
「どうした?」
太樹が聞くと、
「ぱんつ、ないんです」
と紀久。
「ファンに取られたんじゃないか。シャワー中にケツ触られたって言ってたろ」
「人のぱんつ取ってどうするんですか。汚い」
「お前なあ、自分でどう思ってるか知らないけど結構男前なんだから、紀久君のぱんつ欲しいって奴もいるよ、たぶん」
紀久は理解しがたいといった様子で、首を横に振る。
「脱ぎたてほやほやで、シミ付きのなんか、ファンにはたまんないぜ」
「何言ってるんですか」
つい大きな声で言って、軽蔑したように太樹をにらむ。
「とにかく、ないもん仕方ないし。なんなら俺のはく?」
太樹は自分のを脱ぐふりをする。
「いくらなんでも、それは遠慮しときます」
結局、紀久は裸の上にじかに学生ズボンをはいた。
この後、太樹は紀久を自宅に連れて行った。休みでうちにいるはずの太樹の父親は、どこかに出かけて留守だった。チャンスだ。太樹が頼み、紀久がうなずいた。いつ親が帰ってくるかもしれないので、リビングではなく、太樹の自室に行く。小学生のときから使っているような古い学習机が、紀久には微笑ましかった。太樹は手早くズボンと下着を脱ぐと、皮をむいてベッドの上に仰向けに横たわる。片手で携帯を持つと、動画の再生を始める。たちまち股間のそれが鎌首をもたげる。太樹は、脚を開いて、
「頼む」
と紀久を促した。目は携帯画面の女に釘付けだ。紀久は、あんまりな気もしたが、太樹の脚の間に体を入れると、言われるままに口に含んだ。 前の日、新任女教師がやっていたように舐め上げたり、吸ったり、付け根をしごいたり、袋を撫でたりしてみる。太樹はチラッと紀久の顔を見たが、すぐに携帯画面に視線を戻すと、一心に見続けている。
紀久は、自分の方から犯してやれという気になって、両手で太樹の脚を押し広げると、咥えたまま激しく頭を上下させた。やがて、太樹は紀久の頭を制止すると、下から自分で腰を動かして、思うさま紀久の口の中に放った。
この日以降も、太樹は機会さえあれば紀久にしゃぶらせるが、いつも決まって黙って口の中に出す。紀久はどう思ってか、必ず、管に残っている分まで吸い上げて、飲み込むのだ。
「ここ、寝ろよ」
太樹がベッドを軽くたたいて促すと、紀久は太樹の隣に横たわった。太樹が手を伸ばして触ってみると、すでに二度発射している紀久のそこが、またもや硬く、大きくなっている。
「えっちだ」
とからかって、太樹はそこをさすり始めた。下着を着けていない紀久に、学生ズボンの生地が直接こすれる感触が新鮮だった。二度出した後だけに、快感のほかに痛みもあった。太樹は起き上がると、紀久の上に覆いかぶさり、片足を紀久の脚の間に入れ、裸の太ももで紀久のそこをさすった。そして、ふと、力を抜き、がくんと紀久の上に崩れ落ちると、すべての体重を紀久に預けた。
いつまでもこうしていたいような幸福感が、紀久を包んだ。太樹が自分のことを、せいぜい従順でかわいい後輩ぐらいにしか見ていないことは百も承知だ。紀久が恐る恐る手を回して太樹の上体を抱くと、太樹は黙って、体を押し付けてきた。紀久は泣きたいような気になった。
ニヤニヤ笑いを浮かべる修也の横には、華奢な体つきの一年生が立っている。話をしたことはなかったが、太樹も少年の顔だけは知っていた。常人離れした整った目鼻立ちは、人目を引かずにはおかない。もっとも本人にその自覚があるようには見えない。
「部活の後輩。こいつも行くから」
一年生を指さして修也が言うと、まだ本人は了解していなかったらしく、
「え? どこにですか?」
と無邪気な様子で聞く。修也の後輩ということは吹奏楽部だ。
「こいつの家。学校のすぐ近所だから」
修也はひょいとアゴで太樹を指して答える。学校に近く、親が留守がちな太樹の家には友人たちがよく遊びに来る。
「来たかったら来いよ」
太樹が校門を出ると、二人はそれぞれ自転車を押してついてきた。
家に入ると修也は、
「お邪魔しまーす」
と形ばかり挨拶してさっさとリビングに入りこみ、勝手にテレビの電源を入れる。このテレビの巨大ディスプレイこそが、修也のお目当てだ。もどかしげに学生カバンからディスクを取り出すと、慣れた手つきでセット、まもなく再生が始まった。修也はどこからか無修整のディスクを調達してくる名人なのだ。太樹もこれまでずいぶんお世話になっている。
きょうのそれは、男子校にやってきた新任女教師という、男子高生の太樹たちにとっては妙に生々しい設定だった。修也と太樹はテレビの前のソファに並んで腰を下ろし、「すげえ」「ありえねえ」などと言いつつ、早送りと再生を繰り返す。間もなく大画面に見入って黙り込み、もぞもぞとズボンの上から前をいじり始めた。
先に脱いだのは修也だった。ベルトをはずすと、下着まで一気に脱ぎ捨てて、じかにしごきはじめた。すぐに太樹も続く。冷たいソファの革が尻に気持ちいい。
「キク、お前も脱げよ」
修也の声で、太樹は一年生の存在を思い出した。キクと呼ばれた少年はソファには腰掛けず、修也の向こうの床にじかに座り込んでいる。
「いいですって」
「俺らだけ脱いでたらバカみたいだろ」
理屈にもならないことを言うと、修也は隣から一年生の上におどりかかった。
「わ! 何するんですか!」
手早くキクのベルトをはずすと、修也は強引にズボンを脱がしにかかった。キクはもちろん抵抗する。
「太樹、手伝えよ」
作品鑑賞を続けたい太樹は、
「好きにさしてやればいいじゃん」
と手を貸そうとしない。それでも修也は攻撃の手を緩めず、何とかズボンだけは脱がすことに成功した。
「うわ、なに触ってるんですか!」
「たってるじゃん。素直になれって!」
どうやら修也が急所に魔の手を伸ばしたらしい。太樹がのぞきこむと、キクが下着だけは脱がされまいと懸命に引っ張りあげる裏をかいて、修也は下のほうから手を突っ込みキクのそれをむずと握り締めている。必死に逃げる美少年と追い詰める先輩。まるで悪代官と町娘のようだ。太樹は思わず笑った。
ケータイの振動音がした。修也がさっき脱いだズボンのベルトからだ。修也はしばらく無視していたが、やはり気になって、にじり寄っていく。
「ちょっと、放してくださいよ」
なんと修也はキクの一部を握ったまま、電話のほうまで引っ張っていった。太樹はテレビの音を消した。片手でキクのモノを下着の外に引っ張り出そうとしながら、修也は、さわやかな好青年の口調で電話に応対している。切ったとたん、パッと手を放すと、
「バイト先からすぐ来てほしいって。当番の人がこれなくなったらしい」
と立ち上がった。
「断れば良かったんじゃないの」と太樹。
「でも、困ってるみたいだし、俺が逆に代わってもらうこともあると思うし」
根はなかなかいい人間なのだ。
しかし、すぐに駆けつけるのかと思ったら、そうはしない。
「ここまで見たのに、もったいないから」
と、テレビの音を戻すと、立ったまますごい勢いでしごきはじめた。
「猿だ、猿だ」
太樹が笑いながら言う。床に座ったキクは、自分のすぐ目の前で先輩が繰り広げる手と竿の高速運動を呆然と見ている。しばらくすると修也は、そんな後輩にちらっと視線を向け、
「キク、ティッシュ」
と言った。太樹がキクにティッシュの箱を投げる。箱ごと渡そうとするキクに修也は、
「四、五枚重ねてからくれ」
と注文をつける。キクはなんだか恥ずかしそうに、言われた通りにして渡した。
「ああっ、ああっ、ああっ!」
修也はいつも最後、声が出る。絞りだすようにして、丁寧にぬぐうと、濡れた紙をキクのほうに差し出し、
「捨てといて」と、一転、穏やかな声で命じた。まだぼうっとしているキクは何も言わず受け取った。
ズボンをはいて修也があたふたと出て行ったあとも、キクはその紙を持っていた。
「ここに捨てなよ」
太樹が自分の脇にあるくずかごを示すと、立ち上がって太樹のほうに来た。捨てた後も手持ちぶさたそうに立っている。
「名前、キクってゆうの?」
「本当はノリヒサなんですけど、キクとも読めるからシューさんはそう呼ぶんです」
「修也帰ったけど、せっかくだし、見てったら」
紀久は素直に太樹の足元の床に座った。太樹のサッカー部で鍛えた右太もものすぐ隣に紀久の頭がある。ソファに座るのは遠慮したのだろう。好きにすればいいと思って太樹は、再び画面に集中した。
下半身だけ学生服を脱いだ生徒。しゃぶる新任女教師。太樹の好きな設定だ。興奮が高まってくるが、自分だけ前をさらして、ほとんど初対面と言っていいまじめそうな後輩の目の前で擦るのは、ちょっと恥ずかしい。
なんとなく右手で紀久の頭をなで回すと、紀久は力なく頭を倒して太樹の太ももにもたせかけた。なんだかかわいい。太樹は、紀久の顔や首をなで続けた。形のいい目鼻、口元、アゴや耳の凹凸を楽しむかのようだった。そしてふざけて、紀久の口をこじ開けると、画面の女教師がしゃぶるのに合わせて、中指と薬指を出し入れし始めた。
驚いたことに紀久は、指の動きに応じるかのように、舌を動かしてきた。思わず覗き込んだ太樹と紀久の目が合い、紀久の顔立ちの美しさに太樹は改めて打たれた。
紀久は太樹の指を口から出し、太樹のたくましい両脚の間に体を入れた。向き直ると、太樹の目をまじまじと見つめた。
「太樹さん体格いいし、かっこいいって前から思ってました」
「前からって、俺のこと知ってたの?」
「部から何度か、サッカー部の応援に行ったし」
ある程度勝ち進むと、吹奏楽部が試合に来てくれることになっている。そんな折に紀久は太樹を見かけたらしい。
「紀久のほうがずっと男前じゃん」
太樹のことばを聞くと、紀久は眉をひそめて
「そんなこと全然ないです」
と、意外なほど激しい調子で否定した。そしてゆっくりとその美しい顔を太樹の屹立に近づけていく。
太樹は、部の後輩にしごかせたことはあるが、しゃぶってもらうのは初めてだった。男とはいえ、こんなきれいな子がしゃぶってくれるなんて。画面の女教師と、股間の美少年と。太樹は異様な興奮を覚えた。初めてらしくぎこちなかったが、伏し目がちに一生懸命奉仕してくれるな紀久がいとおしかった。その顔をもっとちゃんと見たいと思い、
「こっち見て」
と目を上げて自分を見るように命じる。が、紀久はすぐに恥ずかしそうに伏せてしまう。太樹は少し残酷な気分になって、両手で紀久の頭を持つと、下から腰を動かして攻め立て、欲望の赴くまま紀久の口の中に種を放った。
「きのうはありがとうございました。おいしかったです」
サッカー部の練習を終えて引き揚げようとしていたとき、太樹は吹奏楽部の一年生、紀久に声を掛けられた。きのうあの後、二人で一緒に買い物に行き、太樹は紀久に手料理をご馳走してやった。太樹の家は父子家庭で、いつも太樹が食事の支度をする。ニコニコ顔の紀久が、料理の礼を述べているのは明らかだったが、太樹は彼の口の中にぶちまけた自分の粘っこい体液を「おいしかった」と言われた気がして、柄にもなく赤面した。
練習中も、ふと紀久がサックスを咥えて練習しているのが目に入っただけで、昨日の記憶がまざまざと甦り、前を膨らませて、部の連中にさんざんからかわれた。紀久は音楽に入り込むタイプのようで、吹きながら盛んに上体を前後に動かしている。それが太樹の妄想を一層掻き立てた。
「きょうは修也は?」
「バイトで、もう帰られました」
紀久の丁寧な言葉遣いが感じよかった。
「修也と仲いいんだ」
「んー…でも…」
なぜか言葉を濁す。
「でも何?」
「シューさん、しょっちゅうお尻触ってくるし」
「えっ…」
「油断してると前ももんでくるし」
そう言って迷惑そうに眉を寄せる。太樹は昼休みの修也との会話を思い出して、ニヤリとした。
昼休み、食堂で太樹を見つけた修也は、開口一番、
「抜けた?」
と聞いてきた。きのう太樹の家に置いてきた「男子校の新任女教師」の感想を聞いているのだ。
「抜けた」と太樹。
「キクは? 抜いてた?」
「いや。結局、脱ぎもしなかった」
そう聞くと修也は残念そうな、ほっとしたような、複雑な表情を見せた。
「なかなか堅いな、あいつ。かわいい顔してるから、脱がして、見てやろうと思ったのに」
それで紀久を連れてうちに来たのか。太樹には、修也の魂胆がおかしかった。
「しっかり握り締めてたじゃん」
からかうと、
「あいつ多分、じかに触られたことないしな。初握りは俺のもんだ。次は初搾りだな」と、ばかなことを言ってうれしそうだ。
抜きはしてなかったけど、俺のをしゃぶってたぜ。しかも飲んじゃったし。言ってしまいそうになるのを太樹はこらえた。またやってくれる?と聞く太樹に、ほかの人に秘密にしてくれるなら、と紀久が約束したからだ。
暑い日で、日陰とはいえ屋外でサックスの練習をしていた紀久は汗だくになっている。もちろん太樹も汗だくだ。太樹は、紀久をシャワーに誘った。
「でも、タオル持ってませんから」
「貸してやる」
太樹が先に歩き出すと、紀久は一瞬ためらって小走りに追いかけた。
「太樹さんが練習してるの、見てましたよ」
「そうなの?」
自分も紀久を見たとは言わない。
「やっぱり太樹さんが一番かっこいい」
こういうことを、すっと言える紀久の素直さに太樹は感動した。
「そうだろ」。冗談めかして言うと、太樹は紀久の肩に手を回した。
脱衣室で裸になると、太樹は紀久が脱ぐのを待った。意を決した紀久がボタンを外し始める。最後の下着を取り去り、中のものがあらわになった。修也より先に見てやったぞ。太樹は思った。 太樹が貸してやると言ったタオルは、一枚しかなかった。しかもそれは太樹の左肩に無造作にかけられている。太樹が腰に手を当て、
見せ付けるようにしてシャワー室に入っていく隣で、紀久は両手で前を隠していた。
シャワー室は、練習を終えた運動部員たちでいっぱいだった。仲間同士話す声やふざけあう声でにぎやかだ。特段、二人に注意を払う者はいない。紀久は太樹のまねをして、上を向いて目をつむり、顔にじかに水を当てた。体を伝って流れる水が気持ちいい。
しばらくそうしていると、紀久は尻を、割れ目を指でなぞるように触られた。しっかりと意識的な手の動きだ。紀久はびっくりして、顔をぬぐった。太樹の方を見るが、まだ目をつむって顔に水を当て続けている。修也がよくズボンの上からそんな触り方をするので、ひょっとして修也がいるのかと思って見回したが、周りは知らない顔ばかりだ。
すると今度は、後ろから両方の胸の突起を触られた。びくっとして振り向こうとすると、太樹に抱きすくめられた。
「何キョロキョロしてんの?」
太樹の肉の感触に、紀久はどきどきした。
「さっきも太樹さんだったんですか」
「さっきって?」
「お尻触られたんですけど」
「触ってないよ」
そう言いながら太樹は、手のひらで紀久の尻を撫でた。
「やっぱり!」
「違うって」
笑いながら太樹は、紀久のわきや胸、尻や下腹を突っついたり撫で回したりした。そうして、紀久がじたばたするのをおかしがった。
「勃ってんの?」
「だって、触るから」
「若いな」
からかうように二、三度、紀久のそれをしごくと、太樹は紀久を解放した。そんな二人を周りの連中がニヤニヤしながら眺めている。美少年の紀久が体をいじられてバタバタしているのが、かわいかったのだ。
再び体を洗う間も、紀久の興奮は収まらなかった。初めて太樹に握られ、しごかれて、今までにないほど大きく、硬くなったそれは、隠そうにも手では隠しきれない。
「元気だな」
「立派なもんついてるな!」
太樹についてシャワー室を出て行くとき、左右からからかわれ、紀久は恥ずかしくてしようがなかった。
さっきとは別の脱衣室に出た。太樹に借りたタオルで体を拭いた後も、紀久のそれは天を突く勢いだ。
「そんなに良かったか?」
OBが寄贈してくれたマッサージ椅子に腰掛け、太樹は紀久を見ている。
「だいぶ恥ずかしいんですけど」
恨めしそうに紀久が言いながら、タオルで前を隠す。
「そのまま帰るわけにはいかないな」
太樹は立ち上がると、紀久の手から容赦なくタオルを奪い返し、左肩にかける。また紀久のそれがあらわになる。
「部室寄るから来い」
サッカー部の部室はその脱衣室から、いったん外に出てすぐ向かいの古い木造のクラブ棟にある。太樹は自分用のサンダルを置いていたが、初めてここに来た紀久の分はない。
「仕方ない。おぶってやる」
太樹の上体にしがみつき、背中に股間のたかぶりを押し付けて、紀久はひそかに快感を覚えた。脚を抱えられ、自然と後ろの穴が広がった。
向かいの建物にはいると太樹は、紀久を下ろし、近くの戸をたたいて名を告げた。
すぐに戸が開き、中から学生服を着た一年生が顔を出した。
「ああ、キク」
そう呼ばれて紀久は慌てた。
「コースケ!」
まさか同級生に、こんなところを見られるとは。そういえば昂介もサッカー部員だ。
「もう勃ってんの?」
昂介はニヤニヤしている。
「知り合い?」
太樹が尋ね、昂介が説明する。昂介の方も、太樹と紀久の関係を知りたそうだったが、太樹は無言で紀久の背中を押し、中に入れた。
太樹に続いて、奥の部屋に入ると、十数人の部員がいた。ほとんどは紀久たちと同じようにシャワーを浴びてそのまま来たのだろう、一糸まとわぬ生まれたままの姿だ。ただ寝転がっている者もいれば、雑誌を見ている者、古いテレビで再生したディスクに見入っている者、一心にしごいている者、後輩にしごかせている者もいる。紀久は、さっき昂介が「もう勃ってんの?」と言った意味が分かった。ここに来て、しごいたりしごかれたりするのは普通のことなのだ。
「修也の後輩」
同学年の部員に簡単に紀久のことを説明すると、太樹はテレビの前のこれまた古いソファに腰を下ろした。自分の脚の間、床の上に座るよう、紀久を促す。初めての場所で緊張しながらも、運動部らしい締まった体つきの裸の男たちに囲まれ、紀久のそれはさっきと変わらずそり返っている。一方、サッカー部員たちも、紀久の人目を引かずにはおかない端正な顔立ちと、滑らかで触り心地のよさそうな裸体に興味津々のようだ。
テレビに映っているのは、制服の女子高生と男の教師。きのう太樹の家で見たのとは男女逆の設定で、申し訳ばかりの修整が施されている。たちまち太樹の興奮が高まる。じっと画面に見入っていたが、紀久が前を手で覆い、緊張して固まっている様子を見て、ソファから床の上に腰を落とす。羽交い絞めするように後ろから紀久を抱くと、
「女子高生は、お嫌いですか?」
顔を寄せ、冗談めかして聞く。どう答えたものか、紀久が迷っていると、
「緊張してる?」
股間を隠している紀久の手に自分の手を重ね、握ったり放したりする。
「帰る前に出しとけよ。俺がしてやろうか」
そう言って、紀久の手を床に押し付け、隠したがっているものを露わにする。
「きのう舐めてくれたし」
ほかには聞こえないように小声で言うと、紀久の足の付け根や胸の突起をいじり始める。紀久の感じやすいところは、シャワー室で確認済みだ。
声を上げて紀久が身をよじり、体がほぐれると、太樹は自分の足で紀久の脚を開いて固定する。後ろから回した手で紀久の体の中心をしごき始めた。紀久は、背中に押し付けられた太樹のたかぶりが気になって仕方ない。
テレビでは女子高生が、後ろから抱かれ、いじられている。興奮した太樹は、自分の腰を紀久の背中に一層押し付けた。胸をいじり、着実に中心部を責め立てる。紀久は酔ったようになって、羞恥心を忘れた。密着した太樹の肉体と、その息遣いが心地いい。袋の付け根や、その下の穴のほうまでなぶられ、ついに紀久の体から白い粘液がドクドクと噴き出した。それは、紀久の整った顔を直撃し、紀久は目が開けられなくなった。
「自分のぶっ掛けてる」
と昂介のうれしそうな声がして、紀久は我に返った。やはり同級生に見られるのは恥ずかしい。手で口の汚れをぬぐい、
「拭くものもらえませんか」
と頼む。うん、と太樹は答えたが、すぐには動いてくれず、紀久の脚を広く開いたまま、今出た液体を紀久の胸の突起や袋にゆっくりなすりつけている。サッカー部員たちのざわめきの中、紀久は、目を開けられず抵抗できない自分の、最も恥ずかしい部分が、彼らの視線にさらされて続けていることを強く意識した。
ようやくティッシュを渡され、紀久は目を拭いた。顔だけでなく、胸にも腹にも飛び散っている。
「飛ばしたなあ」
太樹に笑顔で言われると、憎めない。
「はい」
紀久もつい、照れたような笑顔で答えてしまう。
「も一度シャワー浴びる?」
紀久がうなずくと、太樹も立ち上がった。部室を抜け出すと、再び紀久をおぶって、シャワー室に戻った。
満員だったシャワー室に今は太樹と二人きりだ。太樹は備え付けのせっけんを泡立てると、素手で紀久の体になすりつけた。床にひざまずき、脚と、その間も丁寧に泡立てていく。男らしい粗い指で優しく触られているうちに、紀久のそれはまた大きくなってしまった。
「もっぺん、いけよ」
そういうと太樹は立ち上がり、返事も聞かずに紀久のそれをしごき始める。戸惑ったような紀久の顔がかわいい。紀久の口から小さなあえぎ声が漏れると、再び白い汁が噴き出し、ヒクヒク痙攣した。
「俺も洗って」
そう言われて紀久は、太樹が自分にしてくれたように、太樹の体にせっけんの泡をを塗りたくった。ひざまずき、脚にも塗るが、恥ずかしくて中央部はさわれない。
「そこもちゃんと洗えよ」
催促されて、ようやく紀久はそこに手を伸ばした。二度も出したのに自分のそれがまた硬くなるのが分かった。袋の付け根あたりのスジが痛い。
「後ろも」
太樹が後ろの穴の周りも洗ってくれたことを思い出し、紀久はそこにも指をはわせる。太樹のものが大きくなる。
紀久はひざまずいたまま、太樹をしごいた。せっけんのおかげで滑りがいい。紀久は、太樹のたくましい太ももが好きだった。無意識に太ももにほおを寄せようとすると、不意に太樹の先端が開いて、さっき洗ったばかりの紀久の顔は、再び、白い大量の粘液をまともに浴びた。
次の日。
「キクに手で抜いてやったらしいな」
修也が聞いてくるが、太樹は笑って答えない。
「何でお前にはやらせて、俺にはやらせないんだよ」
「知るか。あいつにも好みがあるんじゃないの」
「初搾りは取られたけど、初釜は俺がもらうかんな」
太樹は、引いた。
「初釜って・・・。お前、そんなシュミあんの?」
「やんなきゃ損だろ」
修也がニコニコしながら言う。
「損って・・・」
「そこらの女よりよっぽどかわいいじゃん、キク」
「確かに二枚目ではあるけど」
言いながら太樹は前日の盗難騒ぎを思い出した。
シャワーから脱衣室に戻った紀久が、裸のまま一生懸命何か探している。
「どうした?」
太樹が聞くと、
「ぱんつ、ないんです」
と紀久。
「ファンに取られたんじゃないか。シャワー中にケツ触られたって言ってたろ」
「人のぱんつ取ってどうするんですか。汚い」
「お前なあ、自分でどう思ってるか知らないけど結構男前なんだから、紀久君のぱんつ欲しいって奴もいるよ、たぶん」
紀久は理解しがたいといった様子で、首を横に振る。
「脱ぎたてほやほやで、シミ付きのなんか、ファンにはたまんないぜ」
「何言ってるんですか」
つい大きな声で言って、軽蔑したように太樹をにらむ。
「とにかく、ないもん仕方ないし。なんなら俺のはく?」
太樹は自分のを脱ぐふりをする。
「いくらなんでも、それは遠慮しときます」
結局、紀久は裸の上にじかに学生ズボンをはいた。
この後、太樹は紀久を自宅に連れて行った。休みでうちにいるはずの太樹の父親は、どこかに出かけて留守だった。チャンスだ。太樹が頼み、紀久がうなずいた。いつ親が帰ってくるかもしれないので、リビングではなく、太樹の自室に行く。小学生のときから使っているような古い学習机が、紀久には微笑ましかった。太樹は手早くズボンと下着を脱ぐと、皮をむいてベッドの上に仰向けに横たわる。片手で携帯を持つと、動画の再生を始める。たちまち股間のそれが鎌首をもたげる。太樹は、脚を開いて、
「頼む」
と紀久を促した。目は携帯画面の女に釘付けだ。紀久は、あんまりな気もしたが、太樹の脚の間に体を入れると、言われるままに口に含んだ。 前の日、新任女教師がやっていたように舐め上げたり、吸ったり、付け根をしごいたり、袋を撫でたりしてみる。太樹はチラッと紀久の顔を見たが、すぐに携帯画面に視線を戻すと、一心に見続けている。
紀久は、自分の方から犯してやれという気になって、両手で太樹の脚を押し広げると、咥えたまま激しく頭を上下させた。やがて、太樹は紀久の頭を制止すると、下から自分で腰を動かして、思うさま紀久の口の中に放った。
この日以降も、太樹は機会さえあれば紀久にしゃぶらせるが、いつも決まって黙って口の中に出す。紀久はどう思ってか、必ず、管に残っている分まで吸い上げて、飲み込むのだ。
「ここ、寝ろよ」
太樹がベッドを軽くたたいて促すと、紀久は太樹の隣に横たわった。太樹が手を伸ばして触ってみると、すでに二度発射している紀久のそこが、またもや硬く、大きくなっている。
「えっちだ」
とからかって、太樹はそこをさすり始めた。下着を着けていない紀久に、学生ズボンの生地が直接こすれる感触が新鮮だった。二度出した後だけに、快感のほかに痛みもあった。太樹は起き上がると、紀久の上に覆いかぶさり、片足を紀久の脚の間に入れ、裸の太ももで紀久のそこをさすった。そして、ふと、力を抜き、がくんと紀久の上に崩れ落ちると、すべての体重を紀久に預けた。
いつまでもこうしていたいような幸福感が、紀久を包んだ。太樹が自分のことを、せいぜい従順でかわいい後輩ぐらいにしか見ていないことは百も承知だ。紀久が恐る恐る手を回して太樹の上体を抱くと、太樹は黙って、体を押し付けてきた。紀久は泣きたいような気になった。
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