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  • 2010⁄08⁄13(Fri)
  • 23:05

正月明け

正月明け、友人数名と旅行した際右腕を骨折した。
地元に帰ってからは不便の連続。
服を着るにしても難儀、食事をするのにも難儀、風呂入るのにも難儀だ。
冬休みが明け、学校が始まってからも更に不便さが増すばかりだ。
この春高校を卒業するというのに。

旅行前、早い時期に大学合格した俺は、毎日をぽけーっと過ごしてきた。
バイトも少なく、特にやることがなく車の免許をとったが、
それでも暇な毎日が続いたので何かできることがないかと考え、
肉体改造をすることにした。
肉体改造といっても夜中ジョギングしたりする程度だ。
とある夜中、日課であるジョギングをしているとき
後ろからスポーツウェアを着た少年が俺を追い抜いた。
俺はいつもなら誰かに追い抜かれてもそのままのペースで走っていたが、
今回の俺は違った。
少年を抜き返そうと思った。
抜き返したらきっと、
きっと自分に都合の良い展開になると期待した。

スピードを上げ少年を追い抜くと、案の定少年はぱっとこちらを見て、負けじと更に加速していく。
抜かれては抜き返すを繰り返すうちに少年はとうとう疲れ果ててしまったのか、足を止め、膝に手をつき息を切らしていた。
俺は少年のもとに歩み寄り声をかけた。「君めっちゃ速いなあ。危うく負けるとこやったわ。」
少年は不機嫌そうな顔をした。『別に・・・勝負なんかしてへんし。』
「嘘ゆうたらあかん。俺が追い抜く度に悔しそうな顔してたやん。」
『なんやねん年上やからって。そんなに勝って嬉しいか?』少年は頬をふくらませてすねりだした。
俺はその頬を人差し指でつつきながら言った。「まあ機嫌直してよ。ジュース奢ったるから。」
『そんなんして要らんし。』「ええから奢ったるって。自動販売機すぐそこやし。」
俺は少年の手をとり自動販売機に向かった。『なんで手握るねん!一人で歩けるわアホ!』
少年は俺の手を振りはらい、俺に次々に罵声を浴びせた。「うわ。アホとかカスとかゆわんといてよ~。
可愛い顔して言うことチンピラやな。」『だ、誰が可愛いねんアホ!』
・・・
数秒間の沈黙の後、俺は言ってやった。「お前。」『・・・な、何を真顔でゆうてんの?』
「だから、お前が可愛いって言ってるやん。」少年の顔がみるみる赤くなっていく。
『そ、そんなんゆうても俺から何も出えへんで?』「別に何も出していらんよ。その可愛い顔さえあったらええ。
それより何飲む?スポーツドリンクで良い?」

俺はジュースを二本買い、少年とベンチに座った。「はいポ○リ」『あ、ありがとう。』
少年は蓋を開け、勢い良く飲み始めた。よほど喉が渇いていたのだろう。
俺も蓋を開け、流し込むように飲んだ。
乾ききった喉が潤ってきた。

水分補給を終えた俺たちはアスファルトの上であぐらをかきながら他愛もない話をした。
俺は少年の名前を知りたい、関係を築きたいと思い、まずは自分から自己紹介をした。
「名前は章吾ってゆうねん。18歳の高3や。お前から見たらお兄ちゃんやな。」
『俺は翔やで。兄ちゃんとなんとなく名前似てるな~』
「歳はいくつ?」
『いくつやと思う?当ててみて。』

最初に見たときから大体12歳ぐらいとわかっていた。
少年期において一番色っぽい時期だと思っている。俺のストライクゾーンだ。
だから俺は翔にちょっかいをかけた。普段のジョギングでそこらのおっさんやおばちゃんに追い抜かれたとしても
抜き返すことなどありえない。抜き返したらお互い気まずくなるだけだ。
少年相手だからできた。翔だったから接近することができた。

『もし歳当てたら何か一つゆうこと聞いたるで』
俺は驚いた。翔のほうから俺に近づいてきている。
まさか翔のほうからチャンスを作ってくれるなんて思っていなかった。
『あ、お金ちょーだいとかだけはやめてな。』
「わかってるって。ほな言うで。ずばり12歳やな。」
『うわ早速当てられた~』
俺は心の中でガッツポーズを決めた。
「てことは今小6か?」
『ちゃうで中1やで。誕生日は3月やねん。
兄ちゃん正解したからお願い一つ聞いたるで。』

すぐに名案が思いついた。
メアド交換だ。翔が携帯を持っていたのですぐに赤外線で交換した。
もし連絡先を聞かずに各自そのまま家路につけば、おそらく次は会えないかもしれない。
だからメアド交換は最良の手だった。メアド交換の後、俺と翔は立ち上がり再び走り出した。
そして三叉路で一旦立ち止まり、「バイバイ」と一言。各々の家路についた。

翔と出会ったあの日から2日後に友人と行った旅行先で左腕を骨折することになる。

翔と出会った2日後、
友人と日帰りでスキー場に行ってスノーボードをした。
メンバー全員とは幼い頃から馴染みがあり、家族ぐるみの付き合いで
よく一緒にスノーボードをしていた。

友人たちと滑っていると後ろからスキー初心者が猛スピードで俺に直撃。
俺は数秒間宙に浮き、着地の際に右腕を骨折した。
また今度一緒にジョギングしようと翔にメールを送った矢先の話だった。

地元に帰ってからまた翔にメールを送った。
<ごめん翔。腕の骨折れたからしばらく運動できへん。また俺の腕治ったら走ろな(^-^)>
返信はすぐに返ってきた。
<<なんでやねん!腕折れたくらいやったら走れるやん!甘ったれんな兄ちゃん!>>
おそらく普通の男ならこのメールを見て生意気なガキめ調子にのるなとしか思わないだろう。
俺は違う。生意気な翔が好きだ。好きでたまらない。
翔を自分のものにしたい。

<<そんなん無理やって~。腕を三角巾でぶら下げながら走るってなんか恥ずかしい(T-T)>>
<もうしゃーないなー(`д´#)ちゃんと悪いと思ってる?>
<<反省してまーす>>
<兄ちゃん・・・それ誰かの台詞ぱくってるやろ?>

そんな感じのメールのやりとりを終え、俺は明日の学校の準備にとりかかった。
準備といっても制服をベッドの横に置くだけだ。
なんせ大学受験を終えた高校生が3学期にやることといえば皆無に等しい。
勉強のべの字もない。なんせ授業以外でペンを持つなんてことはまずない。
利き腕が使えないのもその理由の一つかもしれない。
俺はとっとと準備を済ませ、ホットミルクを飲んで眠りについた。

翌朝、俺は朝食を軽く済ませ、ゆっくりとテレビを見ながらコーヒーを飲んだ。
全く関係ない話だが、ネ○カフェゴールドブレンド。俺はインスタントコーヒーといえばこれしか飲めない。
コーヒーを飲み終え、歯を磨き、ワックスで髪の毛をセットした俺は中1から着てるかなり小さくなった学蘭を、ギブスで固定された右腕からゆっくり着て家を出た。
高校は家の近くにあり、自転車で10分走ればすぐに着く。
だが利き腕が使えなく、自転車走行は危険と判断して3学期が始まってからはずっと徒歩で通学していた。
俺はお気に入りの音楽を聴きながら、ああ今日も平和だなと思って閑静な住宅街を歩いていると、遠くのほうで中学生らしき人影がいくつか見えた。
近づいてよくみてみると、何やら殴り合いの喧嘩をしている様子だった。殴り合いといっても一方的な気もする。なんせ1対3だ。リンチだ。朝っぱらからしょーもないやつ等だ。
ん?
まさかとは思った。
3人組のほうは3人ともニキビ面の不細工な中学生だ。
だが一方的に殴られてるのはまぎれもなく俺が愛してやまない美少年だ。
ほぼ殴り返す気力をなくし、鼻や口のあたりから血を流し、それでも3人に立ち向かおうとしているその美少年は翔だった。
俺の頭の中で何かが切れる音がした。

翔には悪いが、翔は俺のものだと思っている。
自己中。それはわかっている。
翔が俺のことをどう思ってるのかわからない。
けど、翔に俺のことを好きになってもらいたいし、俺は翔を愛している。

俺の翔がリンチされている。不細工な面をしたデブ・チビ・金髪に殴られている。
許せない。
俺は翔を救うべく、現場に近づき3人に喧嘩を売ることにした。
「はいどうも~翔ちゃん救出隊で~す!そこの3人!俺の翔ちゃんに何をやってるんですか~??」
翔を殴っていた3人が一斉にこちらに振り向き、なんだこいつはという目で睨んできた。

『章吾!?』
翔が俺の名を叫んだ。その瞬間ドキっとした。
初めて名前を呼んでもらった。

さあこれから殴りあおうというときに3人のうちのチビが、こちらを睨んでいた目を緩め、突然震えだし口を開いた。
「あかん・・・逃げよう。」
「は!?なんでやねん!首突っ込んできたこの高校生どつかなあかんやろが!」
デブに続いて金髪もチビに反論する。
「そうやそうや!この高校生、腕ぶらさげてんのにつっかかってくるんやで!?」
ところが、チビの様子はやはりおかしい。
「お前らこの人知らんのか?俺らの学校のあの4個上の人やぞ?ええから黙って引き上げよう。ほら早く行くぞ。」
まあお前がそこまでゆうんやったら・・・とデブと金髪はチビと共に俺と翔のもとから離れていった。
正直、ほっとした。
なんせ利き腕が使えない以上、喧嘩で勝てる気がしなかった。

翔は地べたに座りこんでこちらを見ていた。
翔は至るところから出血して制服も汚されている。
不謹慎ながら俺はそんな翔に萌えた。いかにもやんちゃ少年という感じの翔。
翔が俺好みの少年に更に一歩近づいた。

俺は翔の横に座り込んだ。
はじめて翔と出会ったときと同じように、アスファルトの上に座り込んだ。
「翔、大丈夫か?」
『大丈夫なわけないやろ!こんな血だらけになってるんやぞ!何考えてんねん!』
「反省してまーす。」
『・・・また誰かの台詞パクってる。それ章吾が思ってるほど面白くないで??』
「まじ?」
『まじ』
俺は左腕を自分の頬につけ、口を縦に大きく開きムンクの叫びのようなポーズをとった。
『章吾まじでおもんない・・・ふふ・・・ふふふ』
どうやら翔は笑いをこらえているようだ。
しかし我慢できなくなったのか、とうとう吹き出した。ムンクの叫びが効いたようだ。
それを見て俺も笑けてきた。安心からの笑いだ。
どうやら翔はそんなに深刻な状態じゃないのかもしれない。
俺は笑い転げる翔の体を左手で強く掴んだ。
当然のように翔は笑いをとめ、こちらを見る。
『な、何すん「翔。何があったか知らんけどとりあえず今から学校いけ。
学校行って先生にちゃんとこのこと説明するんやで?そんでちゃんと手当てしてもらえ。」

『その前に一つ聞いていい?』
「なんや。」
聞かれることの予想はついていた。
『章吾って中学のときどんなんやったん?なんやあいつらの話聞いてたら
章吾ってかなり凄い人に思えるんやけど。』

数年前俺が中学生だったころ、この地域の中学校はかなり荒れていた。
特に中学校同士の抗争が激しかった。
俺はそういうのに関わりたくなかった。自分の学校の不良にさえ自分から近寄ろうとは
しなかった。だが中立はすぐに捨てた。
俺がその当時愛していた少年(今のその少年はストライクゾーン外だ)
が他の学校の不良共にかつあげされていたのを目撃した俺はその不良共を蹴散らし
そいつらの学校に一人で乗り込み、血まみれになりながらも学校間の抗争を終結させた。
俺は大したことをしたつもりはなかったが、それは今でもこの地域の中学生の間で伝説として語り継がれている。

「ま、学校のドンみたいなもんやったねん。なりたくてなったわけじゃないんやけどな。
そんなことよりはよ学校いけ。」
俺は翔に手を振りその場を立ち去ろうとした。
『あ、章吾!待って!』

「なんや?」
俺は立ち止まり耳を傾けた。
『助けてくれたお礼がしたいねん。だからまたこの前みたいにお願い一つ聞いてあげる。』
「まじでか!?」
俺は嬉しすぎて仕方がなかった。
この前はメアド交換をしたが今回は大胆にいこうと思った。
もっと翔に近づきたいからだ。
「ほなね、今晩俺の家泊まって。」
『え!?』
「だから、俺の家泊まってくれへん?」

少し間を置き翔は言った。『・・・お、俺みたいなんが泊まりにいってええの?』
「ええよ。学校終わったらメールして。ここ集合やで。」
『よっしゃわかった。メールする。ほな学校行くわ。』
「ほな。」

俺は急いで学校に向かった。案の定遅刻した。
翔のことで頭がいっぱいだった俺は全く授業に集中できなかった。
翔のことしか考えることができなかった。
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