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  • 2010⁄08⁄13(Fri)
  • 23:01

いらっしゃいませ

「いらっしゃいませ」
白いシャツに黒い蝶ネクタイをしめた、ジェルで髪を固めた男が
きっかり30度お辞儀をする。
俺はその男に軽く目礼して、後ろの脂ぎったオヤジたちに目前の部屋を示した。
「ここがそのレストランです」
俺の連れてきた男は3人で、はっきり言って接待だ。相手先の部長とその部下、
そして一人は俺の上司。先ほどのサービスマンが革靴を光らせながら近寄ってきて、
きりっとした声で「本日はいかがなさいますか」と言った。
「どんなのが好みですが?いろいろ種類があるんですよ。ここのウリなんです」
俺はそういいながら、サービスマンから渡されたメニューを一人ひとりに配った。
メニューには「細め」「太め」「中肉中背」「二重」「筋肉質」など
細かく書かれている。性格についても選ぶことができ、
「反抗的(※レイプが楽しめます)」なんていうのもある。
他の3人がそれぞれ好みのタイプを選ぶと、俺はそれをサービスマンにきちんと伝えた。
「あなた様はいかがなさいますか」
「んー、そうだな・・・接待なので、適当なやつでいいですよ。今日は楽しみに来たんじゃないので…」

「どうしますか。部屋を分けることもできますよ。もちろんこの部屋で、
 他の人のを味見しながらというのも楽しめますが」
俺がすっかり油の浮いた3人の男に言った。
3人とも「私たちはこういうところは初めてだから、部屋を分けて欲しいね」
と言ってきた。恐らく打ち合わせをしてあったのだろう。
戻ってきたサービスマンに声を掛けると、彼は壁にあったいくつかのボタンを押し
即座に4つの小部屋と一つのホールを作ってくれた。
「まもなくお料理が参りますので、少々お待ちください。御用がございましたら、ホール中央の
 ボタンを押してください」
サービスマンはそう言って慇懃に一礼し、どこかに消えてしまった。
俺は3人をそれぞれ小部屋に丁寧に押し込むと、自分の小部屋に入って
ネクタイを緩めた。

ここに来るのは3回目だ。正直、あまり好きにはなれない。
一番最初に来たときは、自分の好みズバリを選んでしまって
どうしてもダメだった。なんとか一口食ってみたが、やはり吐いてしまった。
そのときは別な会社の営業が連れてきてくれたのだが、
そいつは「すぐに慣れますよ。こういうものだと思えばね」と言って笑った。
二回目はだから、一番好きになれないタイプ、
ぶっちゃけると嫌いなヤツに似たのを選んだ。それならいけるかもしれないと思ったからだ。
思ったとおり吐き戻しはしなかったが、いい気持ちは最初だけだった。
最初。
遠慮がちなノックの音がした。
「し、失礼・・・します・・・」
「入って」
最初だけが楽しみかもしれない。俺は振り返って、入ってきた「もの」を見た。

真っ裸の、白い肌に、真っ黒なショートカットの細身の美少年がいた。
気の弱い性格設定らしく、少し震えて目が泳いでいる。
俺はほんとうはもうちょっと気の強そうなのが好きだ。
まあ、後のことを考えるとこれくらいがいいのかもしれない。
「おいで」
少年は俺の寝ているベッドの横まで歩いてきたので、
俺は腕を取ってくるりとその白い体を組み伏せた。
軽い。現実感のない体だった。少年は抗うことなく目をつぶって、
反射的になのか、シーツをぎゅっと握った。
体には陰毛の一本もない。ピンク色の男性器が露出している。
足を広げてやると、これまた美しいピンク色の尻の穴が見える。
本当に人間にそっくりだ。

彼ら――ここに組み伏せられている美少年、そして
上司たちの部屋に今きっといるだろう少年たち――は人間ではない。
人間と同じ姿をしているが、食用の人工生物である。
意識はあり、知能程度も幼児なみだが、人間とは認められていない。
もっぱら性欲処理用と食用になっている。このレストランは
その人工生物「ヒューマニクス」をフル活用したレストランで、
好みのヒューマニクスをまず性的に楽しんでから、その肉を料理にして出してくれるのだ。
彼らは誕生してから少量のタンパク質のみで成長するため、その肉は臭みがなく柔らかい。
だが、俺はどうしても人間を食っているような気がして、好きになれない。
肉だけならスーパーでも売っているが、それさえ俺はわざわざ食べたくはない。

「あの・・・お気に召しませんか」
少年が震えながらそっと尋ねてきた。
俺は我に返って少年を見た。泣きそうな顔をしている。
「ぼく・・・一度、返品されたんです・・・こんなつまらないのは、いらないって・・・
 あの・・・ぼく、だめですか?」
少年は声をくぐもらせながら、小刻みに震える手で俺のベルトを外しにかかった。
「お客様を、気持ちよくできないと、すぐに肉にするぞって・・・あの、ぼく・・・
 がんばりますから・・・」
少年は俺の性器をなんとか引き出すと、薄紅色の形のよい唇でそっと包んだ。
「んぅ・・・ひもちい、れすか?ん・・・」
いかにも慣れない手つきだ。これまでの二回は、どちらもそこそこ手馴れていた。
それが普通だと思っていたが、考えてみればどうやってそういう技術を身につけたのだろう。
「・・・こういうの、誰から教わるの?」
「・・・はんっ・・・ん・・・ぼくたち、しけんかん?から出ると、そういうビデオ、見ます。
 でも、ぼくは・・・あんまりうまくできなくって・・・」
少年はもう一度深く俺のチンポを咥え直すと、より深くのどを使い始めた。
「うぐっ、がほっ、す、すみませ・・・」
「・・・俺で何人目?」
目のふちに涙を溜めて、えづきながら必死で大きくなり始めた俺のチンポを舐める少年を見ていると、
たまらなくなった。
「二人目・・・」

「――こっちは?」
「あっ」
少年の口から無理にチンポを引き抜き、足を抱え込むと、
ピンクの尻穴が天井を向いた。人差し指でくるりとなぞると、その穴はヒクヒクと波打った。
「ヒッ・・・ん、してない、です。口だけで、ダメだって言われたから・・・」
「こんなのはもうされた?」
べろをその穴に押し当てる。こじ入れる。
「うあっ・・・さ、れ、て、な・・・あああっ」
舌を千切られそうなくらいに締め付けられる。ローションをたっぷり使わないといけない。
サイドボードにあったローションを手に取る。ここの付属のローションはなかなかいい。
たっぷりと穴に注いで指を入れてやる。せわしなく締め付けと弛緩を繰り返す肉の中に
ゆっくりと俺の指が埋まってゆく。少年は白い壁を見て口をぱくぱく動かしている。
声にもならないのか。
ヒューマニクスは性感帯もあるし、射精もする。人工生物だから、膣を備えたものまであるくらいだ。
そして普通の人間よりも敏感で淫乱。うまく作ったものだ。
前立腺を探し当て、しつこく指の腹でこすりあげると、彼は無意識なのか
俺のワイシャツを握り締めて力いっぱい自分のほうに引き寄せた。
「あああっ!や・・・んーっん!あああん」
腰がガクガクと震えている。彼のピンクの性器がますます赤味を帯び、透明な液をとろとろと流している。
中指と人差し指が抵抗なく入るくらいに緩んだので、
俺は自分のチンポをその潤んだ穴にあてがった。少しきついくらのほうがいい。

「・・・・・・い・・・」
ギチギチとチンポは中に入っていった。さすがに少年は顔をしかめて
涙をにじませたが、抵抗はしなかった。光を失った目でうつろに俺の顔を見た。
「痛い?」
痛いに決まっている。彼らには痛覚もある。だが俺は彼の感想を聞いてみたくて
わざと問いかけた。
「い・・・あの・・・は」
「ん?言ってごらん」
「あ、なたは・・・きもちい、ですか?ぼく・・・あなたを、きもちよくできてます、か?」
 
俺は一瞬頭が真っ白になってしまって、目の前の少年の髪に手をやった。
さらさらとひんやりした髪だった。
頬に触れた。滑らかな柔らかい頬だった。
「気持ちよく、ないんですか…」
大きな目からほろりとついに涙が一筋流れ落ちた。
俺はとっさにその唇を吸い、激しく腰を打ち込んだ。
「んぐっ!んっ、んっ、んー!」
熱い肉の壁は俺のチンポをビクビクと締め付けた。俺は叩き込むように
チンポをねじこみ、えぐり、食らい付いた。
「ひあっ!ん!あっ!や・・・」
少年はからだをのけぞらせ、顔を不自然にひねって喘いだ。腰が次第にいやらしく揺らめいて、
感じるところに俺のチンポを導いていく。ぐちぐちという粘液の音が部屋を満たしている。
「はあっ!あん!あ、ああ、」
「・・・どんな、気持ち・・・?」
「いいっ・・・あ、もっと!んんっ、して・・・!」
「変な、気持ち・・・?」
「う、ん・・・と、ける・・・いい・・・ようっ・・・」
ヒクッヒクッと強く締め付けられ、俺は限界を感じた。
「イクよ?」
「な・・・わかんな・・・ダメ・・になちゃ・・」
ビクンビクンと彼が大きく体を震わせた。ほとんど同時に俺も彼の中に吐精した。

彼がぐったりと放心している間、俺は壁に埋め込まれているモニタを見てみた。
実は各小部屋の様子が見られるようになっている。
まず自分の上司を見てみた。短髪の少年の背中に
ナメクジのように自分の体を這わせて後ろから入れているようだ。
『ケツマンコ気持ちいいだろう?ん?ホレ、ズコバコしてくださいって言いなさい』
相手の少年の顔はこちらからではよく見えない。上司のでっぷりと肥えた腹と
紫色に近いくらい上気したにやけた顔が見える。すっかりエロオヤジだ。
チャンネルを回す。取引先の部長の方が映る。部長は少年を
ベッドに横たわらせて、その股の間に顔を埋めている。ぺちゃぺちゃと音が
コンスタントに響いている。少年は何も言わない。その無反応が性格設定によるものなのか、
単に気持ちよくないだけなのかはわからないが、ともかく部長は
夢中で彼のチンポをしゃぶっている。
チャンネルをまた切り替える。その部下の方の小部屋。
『いやーーーーっ』
『大人しくしろ!豚め!』
少年は青あざだらけになっている。気弱で真面目そうに見えた部下のほうは、
髪を振り乱して少年を押さえつけている。ベッドは茶色っぽい汚れが
そこここについていて、よく見ると少年の足の間からまだ鮮血が滴っていた。
『舐めろよオラ。舐めろ!殺すぞ?あ?』
少年の髪を掴んで顔をあげさせ、すでに腫れあがってしまっているその頬を
また殴った。
『ううーーっ』
少年は泣きながらベッドに倒れこむ・・・
見ていられなくてチャンネルを回した。あんなやつだったのか・・・
モニタには、しかめっ面をして肩に毛布を引っ掛けた俺と
その横に腰掛ける少年が映った。
「起きたのか」
少年が隣に来ていることにそれで初めて気がついて、声を掛けると
少年はこっくりと頷いた。

「気持ちよかったですか?」
また聞かれたので、俺は「気持ちよかったよ」と返事をした。
少年は少し笑ったけど、晴れ晴れとした笑顔ではなかった。
「よかった・・・。ぼくも、気持ちよかったです。
 肉になる前に、お客さんに会えて、よかった、な。
 今の子・・・56号なんだけど、痛そうだったね・・・」
「56号?名前があるの?」
「名前じゃないです・・・番号があって。しけんかんから、出てきた順番・・・
 ぼくは、31号。」
「そっか・・・」
「あの・・・でも、お客さんが、そういうのがいいなら、
 ぼくのこと・・・殴ってもいいです・・・」
「痛いの嫌じゃない?」
「ん・・・でも・・・痛くして欲しい・・・かも」
俺は彼の目をふと覗き込んだ。少年はちらと俺を見返してまた目を伏せた。
「どうして?」
そういう性格設定の子なんだろうか?マゾヒスティックな?
「だって・・・あの・・・・・・お客さんの、好きにしてください・・・」
ピンポン、と明るい音が場違いに響いた。アナウンサーのような
歯切れのよい男の声が続いて流れ出した。
『最初のお楽しみはお済でしょうか。よろしければ、お食事の準備をさせていただきます。
 お済でない方は、ベッドの横にある黄色のボタンを押してお知らせください。
 30分後にお伺いいたします』
「痛くして欲しい?」
少年はもじもじと身じろぎをした。ピンク色のちんぽが少し膨らんで、
見る間に透明な液をとろりと吐き出した。
俺はキイロのボタンに軽く触れ、少年に手を伸ばした。

しかし、殴ったり蹴ったりはしたくなかった。
さっきの56号の痛々しい様子が頭に残っていた。
無論彼らは人間ではないので、たとえプレイ中に殺してしまってもいい。
それでもやはり、気持ちのいいものではなかった。
俺は少年の体をベッドから下ろし、両手をベッドにつかせた。
白い細い尻から、どろっと俺の精液が伝い落ちた。
俺はいきなりその尻穴に突き入れた。
「んはっ!あ・・・」
少年はすぐに体勢を崩して、上半身をベッドに投げ出す形になった。
力任せに奥まで入れる。腸壁を引きずり出すくらいに思い切り体を引く。
ベッドのふちのせいで少年は逃げることができない。指が真っ白になるくらい
強くシーツを掴んでいる。
「んん、いっ!ん」
俺の侵入を拒んでか、尻穴が固く締め付けられる。痛いくらいだ。
それでもガンガン突き入れる。いい体だ。
やがて少年は力尽きたのか、声も上げなくなってしまったので、
そこで一旦やめた。
モニタが切り替わっていないことに気がついた。
俺は彼の体を仰向けにすると、その幼いチンポを口に含んだ。
「ひっ」
「モニタを見て」
「あっ・・・」
恥ずかしいのか、彼は必死で逃れようと、体をずらしにかかったが、
吸ったりカリ首を舐め上げたりするたびに力を失って、
小刻みに震えながら俺の口に射精した。
「ふあっ・・・ごめんなさ・・・」

「こんなビデオ見せられるの?」
31号はこっくりと頷いた。
「舐めるのは、ぼくたちのほうだけど・・・何種類か、見ます。
 アナルセックスのことも、ちょっと」
アナルセックス、という単語が彼の口から出たことに驚いた。
「そんなことも勉強するの?」
「はい・・・自分で、動く、とか」
「どんなの?」
彼は少し逡巡した後、俺に「仰向けに寝てください」と言った。
言われたとおりにすると、彼はまず俺の体液に塗れたチンポを
丁寧に舐めた。やはりぎこちなかったが、さっき射精に至らなかったせいもあって、
すぐに芯が入った。
彼は一つ一つ確かめるように、自分の尻の穴に俺のチンポをあてがい、
そっと腰を下ろした。すっかりほぐれたその穴に、ぬるりと入った。
そして彼は深呼吸を一つしてから、腰を使い始めた。
やはりそれはフェラチオと同じくらいぎこちなくて、
すぐに抜けてしまう。彼は必死の形相で位置を直し、
体をゆらすが、うまくいかない。
俺は笑ってしまって、彼の肩を抑えた。
両手で彼の腰をがっちりと固定する。
腰を突き上げてやる。
「ひうっ」
集中したためか、萎えて小さくなっている彼のチンポをしごいてやる。
いやいやをするように彼の手が俺の手を止めようとするが、
全く力が入っていないので、俺はますます速度を速める。
突き上げるたびに彼の白い細いからだがビクンと脈打つ。モニタにそれが映る。
とろけそうな彼の顔を見ることができる。
「あ、はあ、また、あ、あ・・・」
ガクンガクンと体が揺れ、俺の手の中にあったチンポの先から
精液がぷっくりと吐き出された。俺ももう一度彼の中に射精した。

「痛かった?」
俺がぐったりと体を投げ出している少年に聞くと、
彼は目を開けて俺を見上げた。
「痛くなかった・・・ちょっと痛かったけど、もっと気持ちよかった・・・」
「本当は、殴ったりとかして欲しいの?」
「ううん・・・」
俺はチャンネルを回した。他の3人はもう食事の準備に移っていた。
『お食事の用意ができました。ホールで皆さんで召し上がることができます』
上司たちはそれぞれ部屋を出て行った。俺はホールの映像に切り替えた。
『どの部位を注文しましたかな?』
『やっぱりアレでしょう。ち・ん・ち・ん。精力もつきそうじゃないですか?』
『私は尻の肉のソテーも頼みましたよ。脂がのっておいしいらしいじゃないですか』
『いや、実はねえ、最中に思わず太ももに噛み付いてしまいましてな。
 焼いてもらうことにしました。私の歯型がついてくるはずです』
『このヒューマニクスというやつは、何をやっても暴れなくていいですね』
『そうですねえ。女房なんかより数段いいよね。締まりもいいし、新鮮だしね、ハハ』
『実はね、首を絞めて殺してしまったんですよ。ウフフ。
 息の根が止まる寸前ですか、すごく締め付けてきてねえ。一度やってみたかったんです。
 人間だったらそんなプレイ怖くてなかなかね。でも合法ですよ。
 病み付きになっちゃいそうですよ』
『気をつけてくださいよお~。間違ってつい奥さんを!なーんてね!』

「・・・本当は、痛くして欲しかった、かな・・・」
一緒にモニタを見つめていた31号が言った。
「だって・・・ぼく、お肉にならなきゃいけない、でしょ。
 痛いほうが・・・56号みたいに、されたら・・・もうお肉になっちゃいたいなあって
 思うと思わない?」
俺は言葉がなかった。
「気持ちいいと・・・もっとしたく、なっちゃうでしょ・・・・・・
 ・・・でも、いっぱいしてもらったのかな・・・ぼく、お客さんに食べられるなら、いいかも・・・」
ピンポン、とまた例の音が鳴った。
『お客様、30分が経過しました。食材を引き取ってもよろしゅうございますか?』
モニタの中では男たちが口の周りをべたべたにして
笑いながら肉を食っている。
『おチンポのこのプルっとした感じがまたいいですなあ』
『こちらもジューシーでいけますよ』
俺はマイクのスイッチを入れた。
「あの・・・持ち帰りはできるんですか?」
『お肉のお持ち帰りでございますか?ご希望なら、部位をお取りわけしますが』
「えーと、肉っていうか、その、ヒューマニクスを、生きたままっていうか」
『ええ・・・お客様、あいにく、その、当店はレストランであってですね、
 そういったサービスは、ちょっと・・・』
「どうしてダメなんですか?どうせ俺の腹に入るなら、食わないで
 持って帰ったっていいでしょう」
『・・・少々お待ちください。確認してまいります・・・』
31号は不安そうに俺を見た。なかなかかわいい顔をしている。

『お待たせしました、お客様・・・ええと、お持ち帰りになられてもですね、
 そちらは食用のヒューマニクスでありますので、寿命が安定しておりません。
 また、返品等はお受けいたしかねますので、処分の際は
 お近くの生肉店等にご連絡ください。えー・・・ヒューマニクスが死亡した場合、
 人間と間違えられる可能性がありますので、遺棄は禁止となっております。
 ヒューマニクスのタグを同梱の上、動物用の焼却場にて処理してください。
 また、ですね、その・・・先ほども申し上げましたとおり、
 当店はあくまで食材を選べるレストランですので、
 食材の持ち帰りは例外でございます。他言無用の上、
 ご自宅に持ち帰られた後も、当店からの持ち出し品であることは
 伏せていただくようお願いいたします』
「帰ろうか」
俺は彼の白い体に上着をかけた。
31号は首をかしげて俺を見た。「食べないの?」
「うん。一緒に暮らそう」
「くらそう?くらそうってどういうこと」
「肉にならないで、気持ちいいことをいっぱいするっていうことだよ」
まずは名前を考えなければならない。服も用意しないと。
サービスマンがタグを持ってやって来たので、多目のチップを代わりに渡してやった。
「本日は、ご利用ありがとうございました」
「あの3人にはいいように言っておいて。領収証は会社へ」
「かしこまりました。またのご利用をお待ちしております」

もう俺はこないと思うけど。
俺は柔らかい白い手を引いて、タクシーを拾った。
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