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  • 2014⁄04⁄01(Tue)
  • 23:58

野外でオナ射君

 夜も更けて、日付も変わった時間帯。
 出歩く人影も無く、まるで道を照らす街灯と、遠くから僅かに聞こえる、幹線道路を走る自動車の音だけが、生命活動の証のようだ。
 そんな静寂と静止の世界を、一人の少年が歩いていく。
 
 あまり年頃の青少年が出歩いて良い時間帯ではないが、両親には近くのコンビニへ立ち読みしに行くと言ってある。
 しかし傍目には平静を装っているが、その顔には僅かに緊張の色が見て取れた。
 コンビニへ、軽い用事を済ませに行くといった風には、とても見えない。
(もしかしたら、エロ本でも買いに行ったと思われてるかも…)
 最も、彼はこれからエロ本購入より、もっと破廉恥な事をしようとしているのだが。
 
 タッ…タッ…タッ…
 響かない足音、意図的に音を潜めた足運び。やがて、少年の目的地が見えてくる。
 そこは電灯に照らされたコンビニではなく、住宅街に在りながら街灯の光も届かない、堀のようなコンクリート壁に囲まれた大型車両向け駐車場だった。
 その暗闇から少し離れた場所で、しばし逡巡するように足を止める。
 暗闇を前に佇む、1サイズ上のTシャツに、これまた幅の広い短パンという格好の少年。
 半袖上下でもまだ涼しいで済ませられる季節とはいえ、時間帯を考えれば少々軽装だ。
 そして、闇に慣れた目でなら少年の服装と共に、微妙にそわそわした雰囲気に気づいたかもしれない。
 
(誰も……居ないよ…ね…)
 ゴクリっ…唾を飲み込み、動きが派手にならないよう注意しながら、周囲を見回す。
 相変わらず人どころか犬猫の気配すらない…有難い事に。
 普段よりも早いテンポの心臓の鼓動と、胸や腹にズクンと重く圧し掛かる緊張感が、これからやろうとしている事の非日常性を良く表していた。
 何かを盗む訳でもないし、物を壊したり人を傷付けたりするのでもない。
 だが、これは好奇心で済ませられるラインを少し超えている。
 万が一、誰かに見つかったら、もしそれが警官だったら…お腹の重たい感覚が増していく。
 だが同時に、その重たい感覚の中に、違った趣の高鳴りがあるのも確かだった。
 初めてオナホールを買った時のような、新たな性の世界に対する畏れと緊張、背徳感、そして興奮がごっちゃになって押し寄せる。
(…いつまでも立ち止まってるだけだと、怪しまれる…)
 少年の足が、再び動き出す。その先にある黒一色に染まった駐車場へ、真っ直ぐ進む。
 やがて駐車場の一番端のコンクリート壁と、その隣に停められている大型トラックの間の隙間へ、するりと入り込んだ。
 そこは、街灯の残滓も届かない真っ暗な空間。
 暗さに目が慣れ始めていたお陰で、歩く分には支障は無さそうだ。
 しかし、少年にはその踏み越えた闇が、何か重大な一歩を踏み出した暗示のように思えた。

 少年が駐車場に踏み込んでから、歩数が10に届く前に最終目的地点に到達する。
 そこは駐車場の端、高いコンクリート壁とトラックに囲まれた角地だった。
 一番奥まった場所とはいえ、トラック一台分の奥行きしかない駐車場では、そこから表の道を容易に見る事ができる。
(………)
 少年の足が止まるのを待っていたように、脚がガクガクと大きく震え出す。
 寒いわけではない。夜間とはいえ、半袖短パンで過ごすのに支障は無い温度だ。
 恐怖でもない。誰かに脅迫されてこんな事をしている訳ではない…彼は、自分の意思でここまで来たのだから。
 自分の意思で、この場所でオナニーをする為に、やって来たのだから。
 
 発端は、昼間に買い物に行く途中に、この駐車場の前を通った時。
 この駐車場の構造を見た瞬間、神の天啓か悪魔の囁きのように閃くものが頭に降って来た。
(ここでなら……)
 二方向を壁が完全に遮り、唯一表の道に面した側も、街灯からは死角になっている為、光が奥に届く事は無いだろう。
 屋外にありながらほぼ全方向を死角に守られ、なおかつ完全には密閉していない空間。
 オナニー大好きな少年にとって、以前から憧れに近い興味を抱いていた、野外オナニー。
 実際にやるのは無理だろうと諦めていたが、良好なポジションを近所で見つけられた…いや、見つけてしまったと言った方が良いだろう。
 改めて、最後の確認とばかりに周囲を見渡す。
 前後左右は問題無い、周りに二階以上の高い建物は無く、上から覗かれる心配も無い。
 目的地に到着し、周囲の確認も終わった。次は衣服を脱ぐのだが…
(ここで、本当に…しちゃうのかな……)
 やはり初めて屋外でオナニーをするとなれば、そう簡単にできるものでは無い。
(もし…してる時に誰かが来たら…)
 見られる可能性は限りなく低い、しかし可能性は可能性でもある。
 考えても埒の明かない事を考える思考を、激しい心臓の動悸が掻き乱す。
(でも………)

  ─ 暗い駐車場の片隅で、全裸の少年が高まった自分自身を握り、必死に扱き上げる…
  ─ 異常な環境での行為に、全身を羞恥で火照らせながら、それでも快感を貪る…
 
 思い描いていた妄想のようにはいかないかもしれないが、ここまで来たのだから、その興奮を少しでも体験してみたいというのが、少年の偽らざる本心だ。
(…だよねっ……ここまで来て、帰るなんて……)
 新たな性への興味に後押しされて覚悟が固まり、気分も少し楽になった気がする。
 なおも続く心臓の高まりも、もはや緊張から来るものだけではない。
 
 靴を履いたままでは、短パンから足を抜けない。まずはスニーカーに手を掛ける。
 結んだ紐はそのままに、踵の隙間に指をねじ込んで、強引に足を引き抜く。
 脱いだままの靴の上に素足で乗ると、短パンのゴムに手を掛けた。
 ここが境界線、脱いだらもう後には引けない…若干の躊躇に手が止まる。
 しかし、手が止まったのは少しだけ。握り締めたままの両手が下へ降りていき…
 スゥッ……ファサッ
 柔らかな衣擦れの音と共に足首に舞い降りる、短パンと白ブリーフ。
 少年の白く眩しい下肢と、若々しい牡の象徴が、夜空の下に晒された。

(ぬ、脱いじゃっ…た……)
 夜中とはいえ、自分の家から離れた屋外で、下半身を丸出しにするという行為。
 少年器官や尻に当たる夜風が、触覚でも自分の状態を知らせてくる。
 心臓の鼓動が一段と激しくなり、まるでのぼせた様に、頭に血が上ってしまう。
 しかし、まだ終わりではない。
 短パンとパンツから足を引き抜き、コンクリート壁の段差に引っ掛けるようにして置くと、今度はTシャツに手を掛ける。
 今度は迷わずシャツを巻くり上げ、裏返しになったシャツから首を抜き、次いで腕も抜いてしまう。
 シャツの中から現れたのは、あまり日に焼けていない玉の肌。
 脱ぎ終わって裏返しのままのTシャツを、表に直してからズボンの上にそっと置く。
(これで少しは素早く着替えられる…かな?)
 危険度という意味では短パンを先に履くべきで、そちらを上にした方が良いが、少年もそこまで頭が回る状態ではなかった。

 暗闇の中に浮かぶ、ともすれば中性的とも言える、綺麗な肢体。
 上半身は、半袖部分を境に薄い小麦色と白い肌に分かれ、その熱い季節にしか見れない色調は、場の雰囲気もあってエロティックなコントラストを醸し出していた。
 下半身の方は、長ズボンを履く事が多いせいか、爪先から太腿の付け根まで透き通るような素肌が広がっている。
 特に、いつもパンツに包まれている臀部や股間は、他の部分より一層白い、きめ細かな肌を晒していた。
 しかし、主役の肉棒はまだ棒と言える状態ではなく、緊張に縮こまっている姿は正にポークビッツと言えよう。
 睾丸も同じで、まるで叱られる幼子のように、身を縮めて頼りない姿を曝け出している。

(気温もこれくらいなら、裸でも大丈夫かな…)
 全裸の素肌にも心地よいと感じる、丁度良い気温。これなら裸での活動も問題無いだろう。
 脱いだ服を片付けると、コンクリート壁の角にある、丁度座れそうな出っ張りへ目をやる。
 表の道から丸見えの位置だが、この暗闇では何も見えないだろう。
(大丈夫、だよ…ね……) 
 他に座れるような物も無く、仕方なしに腰を預ける。
「…っ……」
 お尻と玉袋に感じる、コンクリートの冷たさ。身体のそんな箇所で、コンクリートのざらつきを感じるのも珍しい事かもしれない。
 浅めに座り、なるべく袋がコンクリートに接触しないように調整する。
 
「ふぅ……」 
 なるべく音を殺しながら、呟くように息を吐く。
 すると、一息ついて落ち着いた事が切っ掛けになったのか、萎えたままだった欲情器官に芯が出来始める。
 まるで早送りのビデオで見ているように、牡肉がグングンと膨らむ。
 少し湿った夜気が表面の張ってきた陰茎に触れ、ここが野外である事を直接伝えてくる。
 しかし、そんな異常な状況さえ興奮材料としたのか、若幹は尚も膨らんでいく。
 やがて、膨張率七割ぐらいの大きさにまで達した肉柱。
 先端の包皮は亀頭をぴっちりと覆い、硬さもフル勃起には程遠いが、何とか扱けるだろう。
 股間に負けまいと、胸の乳首も小さな身体を精一杯尖らせる。
 準備完了、後は……始めるだけ。

 緩やかな夜風が、疎らな陰毛を撫でていく。
 股間をこそばゆく撫でる風に乗るように右手が動き、自身の勃起を軽く握る。
 指先に感じる、少しだけ柔らかさを残した、それでも馴染みの熱い弾力。
(ちょっとした興味で、してるだけで……変態って訳じゃ……)
 最後に、念仏のように言い訳をしてから、右手を根元に扱き下ろした。

 シュッ…シュッ…
 先端を覆う包皮を使った、緩やかな皮オナ。慣れ親しんだ牡の喜悦。
 その柔らかな感触が、野外で感じる初めての性感。
(ぼ、僕…外で、オチンチンを……)
 ドクン、ドクン…耳にうるさいぐらいの胸の鼓動。
 頭が淫らな熱病にかかったように火照り、軽くふらついてしまう。
(本当に、外で裸になって……気持ちよく、なってる……)
 意識の一部は、未だに自分がこんな事をしていると認識できていない様で、現実感が薄い。
 しかし、周りの光景と素肌に感じる外気の心地よさ、そして手を動かす毎に湧き立つ快感が、改めて外で恥ずかしい一人遊びをしているんだと、否応無しに認めさせた。
「…すっぅ、…ぅ………は、ぁっ……」
 時折周りを警戒しながら、音を立てないよう慎重に呼吸を繰り返す。
 密やかな吐息に紛れて、皮かむりのオチンチンを扱く音が僅かに聞こえてくる。
 シュゥ…シュッ…
 自らの包皮が生み出す、しめやかな快感。しかし…
 
 キョロキョロ…
 また首を振り動かして、周りに誰かいないかと人影を探す。
(誰も…誰も、来てないよ、ね……)
 いつ誰かが来るかもしれない、見つかるかもしれないという緊張感。
 それが少年から行為に集中する余裕を奪い、快感を十全に享受できないでいた。
「…ぅっ……っ……」
 囁くように小さな呻き声…しかしそんな僅かな音でも、絶対に声を上げる事はできない。
 緊張と快楽を両手に持ちながらの、綱渡りのようなオナニーが続く。
 
 しかし、直接的な性感とは別に、少年の違う部分はある種の昂ぶりを感じていた。
 性的に軽い受け属性で、ソフトM初級な少年にとっての、初の野外露出オナニー。
 まだ欠片のように小さいが、その性癖は野外で裸体を晒すという緊張感を、性的な興奮として受け止めていた。

「…っ…ん……」
 少しずつ状況に慣れてきたのか、牡の屹立が徐々に大きくなっていく。
 今まで手を扱き下ろしても露出しなかった亀頭が、鮮やかな穂先を露にする。
 丸見えになった尿道には、プクっと先走りの雫が浮かんでいた。
(んっ…だんだん…良くなって、きた…っ)
 小川のせせらぎの様な快感が、より大きな流れへ…
 緊張とのパワーバランスを崩すほどではないが、少年の興奮は確実に熱く高まっていた。
「は…あぁ…っ……」
 最初よりも大きくなった肉傘の縁を、とろみ汁を塗り広げるように包皮が刺激する。
 抑えた吐息に篭り始めた熱さ…それは快感から来るものだけでは無い。
(こんな、お外で…オチンチン、バキバキにおっ勃てて…っ!)
 禁断の野外行為に興奮した肉棒の剥き出しのカリ首に、直接指の輪っかを掛ける。
「…!…っ……」
 喉奥で声を抑えながら、欲望の薄汁に濡れた出っ張りを、やさしく慎重に扱き上げる。
 左手はほったらかしの玉袋へ伸び、白濁を溜め込んだ肉玉を、揉み解すように転がす。

(いい感じ、乗ってきた、かも…っ)
 夜闇の中に浮かぶ、少年の白い裸体。
 その中心では、若い情欲に膨らんだ肉柱が、自らの右手に翻弄されていた。
 時々、思い出したように首を回して周囲を見回すが、もう普段の一人遊びとほとんど変わらない快感を得られている。
 徐々に増していく快感と昂ぶり。やっと軌道に乗ってきた孤独な快楽遊戯。
 しかし、まだ行為を始めてから五分も経たない内に、早くも最後の予兆が訪れる。
(もう…なの……!?)
 男というのは特殊な環境で事に及ぶ場合、大した快感が無くても簡単に発射してしまう事が多々ある。
 いつもなら、勃起の根元の奥にズンと来る感覚があるが、まるでその段階を飛ばして次へ進んでしまったようだ。
(もう少し、もうちょっと…野外でシコシコして、気持ちよくなりたい………けど…)
 気分が乗ってきところに、水を掛けるような射精感。もっとこのイケナイ快感を味わいたいという思いが、少年の中で膨らんでいく。
 しかし、野外でいつまでも時間を掛けるのも拙い。若幹を握りながら判断に迷っていると…
 タッ…
 僅かに聞こえた、重量物に乾いた何かを擦り付けるような音。
(…えっ………)
 背筋がゾクリと総毛立つ。遠くの幹線道路からの音ではない。
 タッ…タッ…
 先ほどよりも確かに聞こえるが、何かは分からない。
 タッ…タッ…タッ…
 時が経つごとに、よりはっきりと聞こえてくる音。
 タッ…タッ…タッ…タッ…
 もう疑いようも無い、間違い無くこの音は…
 
(誰かが、歩いてきてる!?)
 裏地の柔らかいスニーカーか何かを履いた、比較的体重の軽い人間が歩いてくる。
 この駐車場の近くに脇道は無いから、このまま正面を通り過ぎるか、途中の家に入るかどちらかだろう。
(なんで、こんな…)
 驚愕や恐怖を感じるより前に、今まで少しは治まっていた緊張感が、またぞろ顔を出す。
 お腹に圧し掛かる重圧、脚の震えもガクンガクンとまるで地震のように大きく揺れ動く。
(どうしよう、どうすれば……っ)
 今から着替えて逃げるのは、音の聞こえる距離からして難しい。
 下手に動かず、真っ暗な駐車場の奥に潜んだほうが、気づかれる可能性は低いだろう。
(このまま、じっとしていよう。そうすれば…)
 しかし、一箇所だけじっとしていられなかった部分があった。
 少年の右手が驚愕からか、無意識の内にピクッと痙攣したように動く…自身の高まりを、握り締めたまま。
 
「…!………」
 快感よりも驚愕から声を上げそうになる。
 奇跡的に声を欠片も漏らさないで済んだが、股間の勃起の方は、それでは済まない状況に陥っていた。
 元々射精への入り口付近に立ち止まっていたところへ、誰かが近づいてくる事へのショックと、右手の一扱きが最後の止め。
 自分の奥底からやって来る熱いモノ…後戻りできない昇天への一歩を踏み出してしまった。
(!!!)
 頭の中が、真っ白になった。
 外から内から大変な事態が迫り、少年の思考は大混乱に陥ってしまった。
 高まりすぎた緊張感にたがが外れたのか、若茎は萎びること無く大きさを保っている。
 そこへ絶頂前の最後の膨張が加わり、手の中に感じる肉棒は、遂にフル勃起に近い大きさにまでなった。
 ザーメンだけでなく、間近にまで迫った足音の主も、あと数秒と経たずに姿を現すだろう。
「…ふ…っ……はっ…っ……!」
 スローモーションのように感じる、猛りの中を駆け昇る精液の感触と、近づく足音。
 左手を口に当て、荒くなる息を必死に抑えながら、右手で勃起を握り締める。
 
 タッ、タッ…
 すぐそこにまで迫る足音。少年の白い樹液も、竿の中腹まで昇ってきている。
(ダメ、出ないでっ…出ちゃ…ダメぇ…っ!)
 しかし、このまま何もしなくても、少年の白濁液が虚空に吐き出されるのは明らかだ。
 決断の時。隠れる事を最優先に、お漏らしのような半端な射精をするか、それとも…
 タッ、タッ、タッ…
 少年自身の根元を握り締めていた指の力が若干抜け、上へと這い上っていく。
 牡の歓喜を前に、再び得られた肉の悦楽が、若幹の中を昇る奔流を加速させるのと同時に…
(!!!)
 街灯の淡い光に映る、薄い人影。身体が電気ショックを受けたように跳ね上がる。
 次いで、前に踏み出した足の爪先、明るい色のスニーカーが見えた。
 心臓が、ギターの早弾きのようなビートを刻む。

 右手筒が、クチュっと粘質の音を立てながらカリ首を扱き上げ、再び下ろされる。
 下ろされる手と交差するように、亀頭にまで上り詰める欲望エキス。
 その時に備え、腰を心持ち浮かせて、股間を突き出すような姿勢をとる。
 やがて、スニーカーの爪先が地面を踏みしめ、もう片方の足が現れた。
(来たっ……っ!…来ちゃっ…た…!!)
 少年が凝視する視界の中へ、近づく人影が足を踏み入れる。
 生足のミニスカート…微かに胸の盛り上がったTシャツ…年若いショートカットの横顔…
 十代らしき活発そうな印象の女性が、現れた。
(ぼ、僕っ…僕…ぅっ…!!)
 野外でしかも見知らぬ女性がすぐ近くにいる状況で、全裸になり自らを慰める…
 その淫らな認識が、少年の背筋を駆け巡るのと同時に、亀頭のすぐ下で反転した右手が、再び上へと昇ってカリ首を扱き責める。
 爆発的な興奮と、敏感な出っ張りを襲う肉悦…心身両方への強烈な同時攻撃に、堪える事は出来なかった。
 
「…っ!!…!!」
 ドピュルルウゥッ!!
 若幹の先端から背徳の証が、矢のような早さで飛んでいく。
 その勢いは、まるで少しずつ溜め込んでいた野外露出の興奮を、一気に吐き出したようだ。
(ダっ、ダメぇっ、そんなに飛ばしたらっ…んあぅっ!)
 視線の先の女性へぶっ掛けられそうなほど良い飛びの精液は、2メートルを優に越える距離を飛翔し、駐車場の地面と壁に、若々しい迸りそのままの直線的なキルトを作り上げる。
 地面に落ちた白濁がパタパタッと音を立てるが、それでも野外種付けの快感に支配された思考は、扱き続けるのをやめられない。
 左手も、少年のクルミを優しくマッサージし続けて、危険な射精を促していく。
 
 ドピュッ、ピュルゥッ!!
 今まで経験したことの無い興奮の中での射精。
 特異な昂ぶりそのままの勢いの絶頂汁が、猛スピードで尿道を走る感触は、掃除機か何かで強制的に牡ミルクを吸いだしているようだ。
(漏れちゃうっ、あぅっ!白いのっ、お漏らし、んっ、しちゃうぅ…っ!)
 第二射第三射と続いても、衰える事の無い絶頂感。
 ビュルビュルと快楽の飛沫を噴き上げるたびに、手の中に卑猥な律動が伝わる。
 手を上下に動かしながらでも感じ取れる、そのあからさまな肉棒の蠢きは、ひり出す本人も恥ずかしくなるぐらいに淫らな感触で…
(オチンチン、ブクゥって膨らんで、っ、エッチぃよぉ…!)
 自分さえも、興奮させる。

 ピュルッ!…ピュッ…プピュッ…!
 破廉恥な脈動のたびに、眉間にしわを寄せ、苦悶に似た表情が浮かぶ。
 しかし、それが苦しみから来るもので無い事は、少し潤んだ目と紅く火照った頬、そして喜悦に綻んだ口元が教えてくれた。
「…ん…っ!…んむっ………」
 緩む口元から漏れ出そうな声を、辛うじて残っている冷静な部分が必死に抑える。

 ピュッ……ピュ、ピッ……
 量も徐々に少なくなり、僅か数滴にまで減った白い樹液だが、勢いは全く衰えていない。
 先ほどまでドロドロの劣情が弾ける様に通っていた尿道には、些か物足りないのは確かだ。
 それでも正面の女性が通り過ぎ、足音が遠くなっても、その幻へ向けて精を放ち続ける。
 しかし、無限に続きそうな欲望があっても、睾丸の中身はそうはいかない。
 過剰な放出に酷使された少年器官と精嚢が、悲鳴を上げる様に引きつった痛みを催す。
「はあぁぁっ…!はぁっ…っ、はあっ、はぁっ…っ!…ふ…あぁ…!」
 足音が完全に聞こえなくなると、今まで止めていた息をやっと開放した。
 肉棒は未だに全力に近い屹立を保っているが、そろそろ頃合だろう。
 最後に一扱きを入れて、肉幹から右手を離した。
「すうぅっ……はあぁっ……」
 最後にもう一回深呼吸…それを合図にするように、事後急に頭が冷静になる、いわゆる賢者モードへと切り替わる。
 冷静さを取り戻した少年を待っていたのは、青臭い匂いの充満した真っ暗な駐車場の一角。
 そして、そんな場所で全裸になっている自分だった。
「………」
 恥ずかしさ、後悔…それらを押しのけて、少年の中に満ちる圧倒的な思いは、
(早く、逃げないと……!)
 だった。
 
 一度周りを見回してから静かに立ち上がると、音を立てないよう注意しつつ尻と玉袋を軽くはたく。
 ある程度コンクリの小さな欠片や砂埃を落とすと、置いておいた短パンに手を伸ばす。
 しかし、既に半勃ち程度にまで小さくなった分身の先端には、欲望の雫がまだ垂れている。
(ティッシュはあるけど…もういいやっ)
 濡れた先端をそのままに、ブリーフごと短パンを履き、返す刀でTシャツに手を伸ばす。
 勢い良く頭を潜らせ、両袖に腕を通しながら、足だけでスニーカーを強引に履く。
 早着替え新記録を達成しそうなタイムで準備を整えると、最後にもう一回辺りを見回す。
(……)
 先ほどと同じく、人の影すら見当たらない…誰も見ていなかったと確信すると、正面の道路へ向かって足を進める。
 徐々にまた嫌な緊張感が腹に蘇ってくるのを感じるが、構わず出口前まで来ると、一旦そこで耳を澄ます。
(大丈夫、っぽい…かな)
 近くに人の存在を告げるような音は、一切聞こえない。
 意を決しての最後の一歩は、さり気なく見えるように気をつけながらも、どこかギクシャクした足運びになってしまった。
(良かった……誰も居ない)
 頭は動かさず目だけで周りを見渡すが、生物と呼べるものは電灯に群がる虫ぐらいだ。
 そうと分かると、競歩の選手のような早さで少年の足が動き出す。
(早くここから離れないと…!)
 脅迫観念に苛まれながら、恐怖を燃料にして深夜のウォーキングレースを駆け抜けた。

 次の日、学校帰りの少年は家に帰る途中、気まぐれから例の駐車場の前を通った。
 息も切れ切れに逃げ出した犯行現場へ、再び訪れる。まさに犯罪者の心境だろうか。
(………)
 そこには、昨日と変わらず停まっているトラックがあった。
 幸い周りに人はいない…スルっと自然な感じであの場所へと向かう。
 
 あれから家に帰った後、寝付くまでの数時間の間、もしも誰かに見られていたらという妄想が彼を苦しめていた。
 何とか寝入ってようやく落ち着いたが、再びこの場所に立つと内心ビクビクしてしまう。
(…昨日、僕はここで……)
 傍目には、十数時間前にここで淫らな行為が行われていたとは、とても思えないだろう。
 しかし、目を凝らして見ると、壁や地面には飛び散った精液の跡、そして何よりも匂い立つ精液の青臭さが、ここで何があったのかを如実に語っていた。
(こんなとこまで、飛んでる…)
 座っていた場所から3メートル近く離れた場所にまで、白濁の航跡が引かれている。
 まるで、犬のマーキングのような精液の撒き散らし具合だ。
 
(もう、こんな事はやめないと…昨日の一回で終わりに……)
 足を道路に向け、再び歩き出す。もうここには二度と来る事は無いだろう…
(………)
 でも、と思う。
 状況に慣れ始めてからの興奮、特に女の人が通りかかった瞬間の昂ぶりは、忘れたくても忘れられないものだった。
(同じ場所でなくとも、もっと良い場所でまた…)
 淫らな方向に傾き始める思考を、少年の理性が説き伏せようとする。

  ─ こんな事して良いはずがない…
  ─ このままじゃ変態になってしまう…
  ─ いつか警察に捕まるぞ…
 
 頭の中でぶつかり合う獣と理性を尻目に、家路を急ぐ少年。
 しかしその目は、まるで新たなポイントを探すようにキョロキョロと動き回り、時折吟味するように真剣な視線を送っていた。
 
 
 
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