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  • 2011⁄06⁄16(Thu)
  • 14:27

かわいそうな猫 jkGtlJsm0

父さんが猫を拾ってきた。
しかし、それは別に珍しいことではなかった。
なぜなら父さんは、捨てられた猫や犬を見たら放っておけないらくし、見かけるといっつも拾ってくるからだ。
おかげでウチでの家には、犬が5匹、猫が7匹もいる。
食費代だけでもバカにならないのに!と母さんが毎度のことならが父さんを叱っていた。
説教されてる父さんは子どもみたいで少し可笑しい。
僕はそんな父さんが好きだ。
父さんが拾ってきた猫が怯えながら僕に近づいてくる。
なぜか知らないが、僕は動物に好かれるみたいだ。
まだ小さな子猫だった。
汚れて黒くなった顎の下を掻いてやった。
ゴロゴロと甘えてくる姿はとても可愛かった。
そして、とても可哀想だった。
僕は猫を抱き上げてお風呂場に行こうとした時だった。
ピンポーンとインターフォンが鳴らされた。
父さんをしかってる母さんの脇を通り、僕は玄関の扉を開けた。
立花雄亮だった。
「あら…どうしたの?こんな時間に」
母さんは立花雄亮を僕のクラスメイトとは気づいておらず、怪訝そうに立花雄亮に問いかけていた。
しかし立花雄亮は応えることなく、僕の家の玄関で倒れてしまった。
にゃあ~お。
子猫が鳴いた。

とりあえず僕は立花雄亮を僕の部屋に運んだ。
立花雄亮は僕のベッドですやすやと眠っている。
僕は立花雄亮を心配していた。なぜなら、彼がいきなり玄関で倒れたしまったからだ。
しかし、その心配は取り越し苦労に終わった。
彼に近づいてみると、大きな身体に似合わないスースーと小さな寝息をたてていた。
僕はため息をついて母さんに僕のクラスメイトだと説明して子猫を預けた。
そして、僕の部屋に運んだのだ。
彼は酷く窶れていた…ような気がした。
ガタイのイイ大きな身体をしていて、それに見合った横柄な性格をしていた。
たまに僕に話しかけてくるが、それだけで深く関わっていない。
彼女もいるらしい。しかし、名前はしらない。
僕は他人のことなどどうでも良かったのだ。
だが、冷たい人間というわけではない。友人の前では愛想良く振舞っている。
聞きたくも無い無駄な世間話にはちゃんと耳を傾けている。
だから友達もいる。でも、親友はいない。
別に必要もないが…。
そういえば思い出した。
僕はこいつに話しかけられると愛想よく振舞えなくなる。
いつもの僕。感情もなく、考えるだけの僕になってしまう。
だからこいつに冷たくあたってしまう。
こいつの横柄な性格を知ってるこいつの取り巻きたちは、はらはらと僕と立花雄亮の会話を聞いていた。
しかし、こいつは僕のことを「面白い奴」と言ってなにかと関わってきた。
話しかけられるたびに鬱陶しいと思っていたが。
こいつと話していると、なぜだか胸のあたりのモヤがすうっと抜けていく。
嫌いではないが、関わりたくはない奴だ。
そんなコトを思い出して僕はイラッと眉を顰めた。
しばらくそいつの顔を見つめていると、カリカリと扉を引っかく音が聞こえた。

ロココかコロモのどちらかだろう。そう思い僕は腰を上げた。
扉を開けるとロココが入ってきた。
ロココは僕のスネに顔をすりつけてきた。
甘えているのか、身体を掻いて欲しいのかのどちらかだろう。
にゃあ~お。
ロココが甘えた声で鳴いた。
僕はロココを抱き上げ、ロココの顔に僕の頬を摺りつけた。
サラサラな体毛が気持ちよかった。
僕がしばらくロココと馴れ合っていると、後ろからギィッとベッドの軋む音がした。
振り返ると立花雄亮が腰を上げていた。
「よう。原口」
いつもより低い声で僕の名を呼んだ。
やはり少しだけ元気がなかった。
まあ、元気があろうと元気がなかろうと僕にはどうでもいいことなのだ。
ただ、早く家に帰っていって欲しいと。そう、願うだけだ。
ボリボリと後頭部を右手で掻いて僕に問いかけてきた。
「なあ、ここってお前ん家だよなあ…」
「そうだ」
こいつは誰の家だと思って駆け込んできたのだ…。
「まあ…いいか。お前の名前ってなんだっけ?みずき?」
こいつはなんて図々しい奴なんだ。
いや、そういう奴だったな。
「良くない。早く家に帰れ。お前なんかに教える名前なんてない、いいから帰れ」
いつもよりも強い口調で立花雄亮に家に帰ることを強いたが。
「まあ、そんな怒んなよ。みずき?みずきだよな」
「お前が家に帰ったら明日学校で教えてやる。だから早く帰れ」
僕はベッドの前まで行き、そいつを見下した。
猫を床におろし、そいつの腕を引っ張ったがびくともしない。
逆に僕がそいつに腕を引かれ、ベッドの中に入ってしまった。

「こ、らっ!離せ!」
僕は必死に抵抗したが、華奢な僕の腕では彼の筋肉質な腕を振り払うことなどできなかった。
そして、不意に肩を抱かれた。
「なあ、みずきだろ」
僕はもう抗うことも面倒くさくなった。
はあと深いため息をついて、彼に答えた。
「瑞希は妹の名前だ。僕の名前は桜蔵だ」
立花雄亮が瑞希と瑞希と吠えていたが、瑞希と言うのは僕の双子の妹の名前なのだ。
瑞希は僕と違って、なにも考えもせず。
ただ、直感で生きて。明るくて。みんなから好かれて。
僕とは真逆の性格をしているのだ。
ただ、僕は瑞希のコトもどうでも良かったから気にもとめていなかったが。
こいつがなんども瑞希瑞希と言うとなんだか少しムッとした。
だから教えたくはなかったのだが…。
それにしても、僕は子どもだな。
「桜蔵か。覚えた。これから使うな」
ぽんぽんと肩を叩かれた。
「どうでもいいが、はやく離してくれ」
ただ嫌だからと言う理由もあるが。
本当の理由は、こいつに抱き寄せられるのは恥ずかしいからだ。
不意に肩に回されてる左手が僕の後頭部をもち、立花雄亮の顔に近づけられ口づけをした。

「まあまあ…ん?どうした?」
どうしたもこうしたもない。
貴様今何をしたのだ。自分のしたことをこいつは分かっているのか。
「な…な…な…」
「何って…?キス?」
「かっ!かのじょがっ…いるだろうっ…!」
なんでこんなことをいってしまったのだろう。
初めてこいつに上手くのらされた気がした。
「へー知ってんだ。いるぞ。何人も」
ああ、こいつは最低なんだ。だから男の僕にキスなんかできるんだ。
僕が考え事をして眉を顰めていると、今度は立花雄亮の顔が近づいてきた。
「でもな。オマエが一番可愛いぞ。女なんかより何倍も可愛い」
みたいなクサイ台詞を吐ける男だ。
この台詞で何人の女子が堕ちたのだろう。
やはり女はバカなのか。他人と比べられてなにが嬉しいのだ。
すーっと彼の人差し指が僕の頬を撫でた。
「セックスしてもいいだろ」
そう吐き捨て、僕の首筋に顔を埋める。
ちゅうっと首にキスをして、僕の首を彼の舌が這った。
耳の裏まで這うと、次は僕の左頬にキスの雨降らす。
「や、めろよっ!ふざけるのもいい加減にッ…」
すると彼がTシャツの上から僕の乳首を思いっきりつまんだ。
「イッ…!」
「ふざけてできねーよ」
正論だ。なぜだかそう思ってしまった。
それはたぶん、彼の顔が真剣で息を飲むほど慄いたから。

彼が突然僕の腕を掴んだと思うと、あろうことか彼自身の股間に持っていった。
「な、何触らせんだよ!変態!!」
「これで本気だって分かっただろ」
確かにそれはその通りだった。
僕の手が触ったものは明らかに普通ではなかったからだ。
「お前顔真っ赤だな」
「当たり前だ!こんなことされて普通でいられ……いっ?!」
言葉が詰まったのは股間をわしづかみにされたからだ。
反射的に体を突き放そうとするが、まるで効果がなかった。
「でも、興奮してくれてるわけじゃないんだな」
当たり前だ!と、そう言おうとした口は彼の唇で塞がれていた。
ゆっくりと彼の顔が僕から離れていく。
「まあ、これからじっくり昂ぶってもらえればそれでいいけど」
背筋がぞくっとした。
それが何故かは自分でもよく分からなかった。

「嫌だ!!」と叫ぼうと口を開けた瞬間。
こいつを思いっきり突き飛ばそうとした瞬間。
コンコンと僕の部屋のドアがノックされた。
叩いてのは母さんだった。
「桜蔵。風呂出来てるから入りなさい」
僕はうんと答え、立花雄亮をどかしてベッドを降りた。
眠っていたロココが僕の足音に気付き、首を上げた。
「どこ行くんだよ」
僕は答えなかった。
「風呂か?」
僕は立花雄亮の質問に一切答えず、ロココを抱き上げ部屋の扉を開けた。
「僕が風呂入っている間に…帰れ」
言葉とともにドアを閉めた。
そして冷たい廊下にロココを降ろした。

僕がお風呂場に入ろうとした時、母さんがリビングから出てきた。
振り返ると、腕には父さんが今日拾ってきた子猫が抱かれていた。
「桜蔵、一緒にこの子も洗ってあげて。それから…」
母さんは一瞬僕の部屋を見た。
「あの子は…まだ、寝てるの?」
「あ、いや…」
僕は言葉につまり、一旦間をとった。
「うん。寝てるよ」
僕は顔を上げずにそう言って、風呂場に入った。
パタンと脱衣所の扉を閉める。
はあ。
思わずため息がこぼれた。

なんで寝てると言ったのだろうか。
別に隠すことでもないのに…。
僕は考えるのをやめることにした。
服を脱ぎ、子猫を抱き上げお風呂場に入った。
風呂蓋をとり風呂桶でお湯を掬い、肩にかける。
肌がヒリヒリするくらい、少し熱かった。
子猫には熱いだろうなあ…。
僕はそう思い、シャワーの柄に手をかけた。
少し温い、人肌くらいのお湯を出すと、子猫の身体にかけた。
子猫は暴れず、じっとおすわりをしていた。
どうやらシャワーは嫌いじゃないらしい。
全身にお湯をかけると猫用のシャンプーを手に出し、泡立てた。
そして子猫の身体を爪を立てず、指の中腹あたりでガリガリと掻いてあげた。
ゴロゴロと鳴いている。
どうやら気持ちいいみたいだ。
最後にシャワーを浴びせ、脱衣所に戻りドライヤーをかけてあげた。
真っ黒だった毛は真っ白な純白を取り戻し、毛並みはサラサラとしていた。
上等な子だなあ。微笑みながら乾いた子猫の身体をなでる。
そして、子猫を脱衣所から廊下に出した。

さて、次は人間だ。
お風呂場に戻り、また風呂桶でお湯を掬い肩にかける。
やはり少し熱い。
まあいいか、と僕はふうと息を吐き石鹸を手にとり泡立てた。
顔につけ手の平でゴシゴシと擦り、お湯で洗い流した。
ふうさっぱりした。
僕は水に濡れて重たい前髪を上げおでこを出した。
あいつ、帰ったかな。そんな事を考えボディソープのボトルに手を伸ばした。
それから、スポンジを手にとる。
スポンジにボディソープの液をつけ泡立てると身体をゴシゴシこすりつけた。
すると不意にさっきされた事を思い出して、少し羞恥的な感覚に陥った。
ドキッと胸が弾んだ。
ドキドキと心臓が鳴り始めた。
厭らしい気分を消し去ろうと、僕は風呂桶にお湯を汲み身体を洗い流した。
でも、ドキドキと胸の高鳴りは消えない。
僕はもう一度ボディソープのボトルに手をかけ、液をだし自分の肛門に塗り始めた。
「ふっ…くぅ…」
これをするのは久しぶりだ。
しばらく塗ると、今度は人差し指を中に入れた。
「ふうっ…はっ…!あっ…」
思わず息が漏れ、声を出してしまった。
指で中をグリグリ押すと、堪らなく気持ちいい…。
そして、一本じゃたりなくなり、2本、3本と指を入れていった。

しばらくソレ…その行為をしていた。
人差し指でグリグリと中を押したり、中指を出したり抜いたり。
「あっ…はっ…ああっんっうぁ…」
久しぶりだったこともあるのかもしれない。
その快感に溺れてしまっていた。
しかし、それがいけなかったのだ。
「あっ、ああ…!たちっ…ばなあ…くっ」
ガラリとお風呂場の扉が開く。
僕は心臓が飛び出るほどびっくりしてしまった。
顔をあげると立花雄亮がいた。
なぜか、そこに立っていた。
「うっわー…エロいなあオマエ」
立花雄亮はニタニタとにやけ始めた。
「あ…あ、これは…」
「これはぁ?俺の名前呼んでさー…なにしてんだよ」
彼がこっちに向かってくる。
僕の前には彼のモノがある。
僕と違って、中2にふさわしい…それ以上に生い茂っていて中2に相応しくない大きさだ。
いや、そんなことはどうでもいい。
「な、なんで急に入ってくるんだよ!」
僕は驚いていたせいか、まだ指を抜いていなかった。
「なに人でオナってんだよ」
ニヤニヤニヤニヤ笑う。その顔が悔しくて腹が立つ。
「なあ、さっきの続きしようぜ」
彼は僕の肩に手を乗せた。そして、手をぐっと引いて僕を振り向かせキスをした。
しかも、深い…熱いキス。
僕と彼の舌が鬩ぎ合い、よだれの音がくちゅくちゅとより羞恥心を引き立てる。

はあっ…やっと彼の唇が離れた。
すると、僕のおしりの方へ手を持って行き、ためらうことなく僕の中に指を入れた。
「ん。よくほぐれてんな…」
ちゅっと僕の頬にキスをする。
「あっあ…!だっめ!…やめろばかぁっ!ぬ、ぬけよおっ!はあっ…あんっ」
彼のモノも僕のも、もう既にそそり立っている。
しかし、大きさが全然違って少しむっとした。
「可愛いチンコしてんじゃん」
そういい、立花雄亮は僕の中に入っている手とは反対の手で触ってきた。
「やっ!あっんぁあ…だめえっ」
「うわあ、すげえエロイかお…俺のも触れよ」
僕はやはり彼の真剣な顔が怖くて、逆らえなかった。
恐る恐る彼の…立花雄亮のソレに手を近づける。
凄く大きくて、凄く固かった。
彼のモノはもう向けていて、立派だった。
「なあ…もういれてえ…」
僕の瞼に口づけをし、そう聞いてきた。なんで彼はこんなにも上手いんだろう。
僕の中で動いてる指。僕のを扱いてる手。
彼の甘い口づけ。
なんで、こんなに上手なんだろう。
でも僕の考えはすぐ解決した。彼女としているんだろう。
いっぱい、いっぱいいる彼女と。
そして僕も。
僕もその一人なのだ。

彼はしばらく僕の中をいじって、指を抜いた。
「いれるぞ…」
そういうと、彼は自分のモノを僕の穴に押し当ててきた。
僕の肛門がひくひくとしているのがわかる。
きっと、彼のが欲しいんだ。
太くて、大きくて、硬くて、何人もの人の膣に入ったそれが堪らなく欲しいのだ。
自制心が効かなくなった。
「ん…いれてぇ…ねえ、いれてえっほしいよぉっ…!お前のが、ほしいよッ」
僕は仰向けになり、両手で両足の大腿を持ち上げ彼を誘った。
「やっぱり思ってた通り。オマエはエロいな…」
彼は少し腰を浮かせ、何回もしている仕方でズッと大きなソレを入れてきた。
「あっ…あッ…!」
ズッ…ズッと彼のモノが入ってくるのを感じる。
僕の中が熱くなる。彼のが熱いから、彼の熱を感じているのだ。
「んっ…すげえ、オマエん中ッ…トロけそう…」
根元まで入った。
「あ…すごいよぉ…入った……んあァッ!?」
彼はいきなり腰を動かし始めた。
ズリュッ…くちゅっと、いやらしい音を立てて…。
淫乱な僕はその音に反応する。その音とあわせて、淫乱な…いやらしい声をだす。
「あッ!ああっ!!ンッ!!あああっ、すごッ!!指でするより、んっ…気持ちいいよおォッ!!」
僕は彼のモノの虜になっていた。
「ああっ、すっ…げえだろ?…気持ちいだろ?なあッ!」
彼のピストンは次第に速くなる。
彼の太くて硬いのが、僕のイイトコロを懸命についてくる。
「ソコぉッ!すごいッ!すごいいよお!!いっ!んはあっはっはっああっ!」
僕は瞼を上げる。
彼の顔が目の前にある。真剣な顔をしていたが、さっきみたいに怖くはなかった。

彼は僕の視線に気付いた。
そして僕に甘い口づけをしてくれた。
すごい心が満たされていくのがわかった。
「いいぞ!俺もいいぞッ!アッ!い、くっ…!」
彼の腰の動きがまた速くなる。
僕も達しそうだった。
「ふぁっ!だめえっ!!中はダッ!!あアぁッ!!」
ビクッ!ビクン、と二人の身体が弾んだ。
彼は僕の身体の上にもたれかかってきた。
ハァ…ハァ…と熱い息と鼓動を感じた。
ふと気づくと廊下で子猫が泣いているのに気付いた。
にゃあ~お
と、懸命に鳴いていた。
寒いのだろうか。
寂しいのだろうか。
必死に鳴いていた。
とてもかわいそうな猫だ。
僕ははあっ…と息を吐いた。
「ああ…熱い」



おわり。

かわいそうな猫・その後

あれから二人はより近くなったかと言うとそうではない。
逆に疎遠になってしまった。
立花雄亮は僕に話しかけることはなくなったのだ。
目を合しても、すぐ横に向き。
廊下ですれ違ってもなんの反応も示さなかった。
ああ。やはり立花雄亮という奴はこうゆう奴だったのだ。
最低なのだ。
それなのに、僕は…。つーっと何かが僕の頬を触った。
「あれ?原口なんで泣いてんの?」
涙。
そう。悲しいのだ。あの時の子猫と同じように寂しいのだ。
「えっ…あ、目にゴミが入ったのかも…トイレ行ってくる」
「あ、でも授業始まるぞ…あ」
友人の言葉は僕の耳に入らなかった。
僕は急いでいた。寂しくて泣いていると誰にも思われたくなかったのだ。
僕はトイレに駆け込み個室の中に飛び込んだ。
そこで息を殺してないた。
あの時の子猫とは反対に、声を漏らさず鳴いていた。
ちくりと胸を何かがさして来る。
凄く痛いんだ。
痛い。
大粒の涙が僕の瞳からポロポロこぼれ落ちる。
声が出そうになるが僕は自分の腕を噛み付き、必死に声を殺した。
腕の痛みなんかより心が痛い。満たされていた心はどこにいったのか、僕は知らない。
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