- 2010⁄09⁄19(Sun)
- 02:30
奴隷ストライカー・隼人 慎也
「僕はみなさんの奴隷です。
奴隷ストライカー・隼人です」
隼人の奴隷宣言が終わると、控え室の選手達は静まりかえった。
目の前にいるのは、今日の試合で自分たちを苦しめ抜いた
相手校のエースストライカーだ。
その隼人が、後ろ手錠をされた上に、ユニの上から縛り上げられ、
自分たちの前に跪いている。
しかも自ら「奴隷だ」と言っているのだ。
誰もが何を言えば良いのか、何をすれば良いのか、分からなかった。
「つまり、何か。お前、俺達の言いなりになるって事か?!」
最初に口火を切ったのは、センターバックでキャプテンの成田だ。
力ずくで選手を引っ張るタイプで、
試合中でも、ミスをした選手には容赦ない言葉を浴びせる。
それが今日の試合では、隼人のフェイントに翻弄され、
易々とディフェンスラインを突破された。
面目丸つぶれなのだ。
「どうなんだ、おい!!」
隼人の髪を掴んで、顔を上げさせる。
間近で見る隼人の端正な顔が、成田には腹立たしかった。
“殴ってやろうか”
成田が行動に移そうとした時、背後で声がした。
「よせよ、成田」
トップ下の佐藤だ。
色白で、試合を終えてメガネをかけた姿は、
およそサッカー部員とは思えない。
サッカー部きってのインテリである。
「何だよ、佐藤。こいつ、自分で奴隷だって言ってんだろ。
ちょっと痛い目見せてやるぐらい、良いだろうが」
いきり立つ成田を無視して、佐藤はタヌキに視線を向けた。
「もし、俺達が隼人君を奴隷として認めないと言ったら、どうなるんですか?」
「えっ?!」
タヌキは一瞬、言葉に詰まった。
何を言い出すのだ。
人がせっかくエサを用意してやったのに、いらないとでも言いたいのか。
だが、タヌキはすぐに佐藤の意図を察した。
自分と隼人との間に、何らかの約束ができている事を見抜いている。
そして、約束が実行されない場合、隼人自身も困った事になると。
「まぁ、隼人君に慰労会への出席をお願いするにあたっては、
私も彼からの頼みを聞き入れる約束になっているのは事実だよ。
まぁなんだな、その一方がキャンセルになったという事は、
両方がダメになるという事だろうな」
“この答えで良いんだろ”
タヌキは佐藤に目で合図を送った。
佐藤も笑顔を返す。
憮然とする成田を横目に、佐藤は隼人の後ろに回ると、手錠を外し、
ロープを解いた。
「両方がダメになるって、そんな・・・」
唖然とする隼人の頭を、佐藤はしゃがんで優しくなでた。
「ごめんね。隼人君。
誰も君をいじめたりしないから、早く帰りなさい」
子供に言い聞かせるような声だ。
しかし、顔は笑みを浮かべていても、目は冷たく光っている。
「こ、困ります。そんな・・。
お願いです、僕をみなさんの奴隷にして下さい」
隼人は自由になった手を佐藤の前につくと、佐藤に頭を下げた。
「本気で言ってるのかな?」
佐藤は立ち上がって、目の前で土下座する隼人の後頭部を
スパイクで踏みつけた。
「本気にしては、ちょっと頭が高~いって感じなんだけど」
「すみません。本気です。
何でも言う事を聞きますから、みなさんで僕をいじめて下さい。
お願いします!!」
佐藤に踏みつけられ、隼人は床に額をこすりつける。
「ふ~ん。何でも言う事を聞くんだね。
僕らにいじめて欲しいんだね」
「は、はい。いじめられたいです。
ですから、お願いします。
僕を奴隷にして下さい!!」
「ヨシ、分かった」
佐藤は、ようやく足を上げる。
隼人の額は、床にこすれて赤くなっていた。
「それじゃ、奴隷の証として・・」
「待ちたまえ」
タヌキが佐藤の言葉を遮った。
たしかに佐藤は頭が良い。
最初の奴隷宣言は、いわば言わされた言葉だ。
それを佐藤は、隼人自身の意志で奴隷宣言させている。
だが、自分の意志であろうがなかろうが、隼人が奴隷になる事に変わりはないし、
佐藤の独演会に付き合うつもりもない・・・と、タヌキは思っている。
それに・・
「時間が惜しいのだよ。
隼人君は文字通りのシンデレラボーイなんだ。
我々の奴隷でいるのは今日一日。夜12時までだ」
見せ場をなくした佐藤が引き下がると、
隼人に命令して、両手を後ろに組ませた。
その手に、再び手錠がはめられる。
「縛るのは省略しよう。
それに、奴隷にはこっちの方が良く似合う」
タヌキは鞄の中から首輪を取りだした。
「成田君、これは君がしてあげなさい」
そう言って、タヌキは成田に首輪を渡した。
佐藤に顔を潰されただけでは可哀想だ。
キャプテンとしての顔も立ててやらねばという配慮だろう。
「うっす」
成田も機嫌を直して首輪を受け取った。
床に跪く隼人の首に、首輪がはめられる。
「ははは。良い格好だぜ。
犬になった気分はどうだ。
3回回って、ワンと吠えてみろ」
隼人は成田に言われるまま、身体を3回転させる。
「ワン」
顔を赤くする隼人に向かって、部員達の笑い声が浴びせられた。
「ヨシ、早く学校に帰ろうぜ。こいつを肴に慰労会だ!!」
成田は首輪に付いた鎖を引いて歩き始める。
隼人も四つん這いで続いた。
「おいおい、いくら何でも人目ってものがある」
お前はバカかと言いたいのを紙一重でこらえ、タヌキが成田を引き留めた。
その時、スーツ姿の男が入ってきた。タヌキの秘書だ。
タヌキに何やら耳打ちしている。
「うん。分かった」
タヌキは鷹揚に頷くと、秘書はいったん外に出て、
台車に縦長の段ボール箱を載せて運んできた。
人が中に座って入れるぐらいの大きさだ。
「入りたまえ」
タヌキに言われて、隼人が段ボールの中に入る。
「ははは。まるで捨て犬じゃん」
「でも、やっぱ奴隷は礼儀正しいよなぁ。
スパイク履いたまま正座かよ」
「偉いぞ、それでこそ奴隷ストライカー・隼人だ」
散々バカにされる隼人。
「あ、ありがとうございます」
隼人の声が震えていた。
「んっ、ちょい待ち」
控え選手の渡辺だ。
本人はムードメイカーを気取っているが、周囲はうるさいだけと思っている。
「声が出ちゃまずいっしょ、声が。
ほら、隼人。口を開けな。大きく、あ~ん」
言われるまま口を開ける隼人。
白い歯がまぶしい。
その口に、渡辺は自分のバックから取りだしたサカストを突っ込んだ。
さっきまで試合で履いていたものだ。
まだ温もりも残っている。
「うぐっ」
もう一足のサカストで口にフタをし、頭の後ろできつく結ぶ。
「こりゃ面白い」
他の部員が、今度はサカストの足裏部分を隼人の鼻にあて、
それをもう一足のサカストで縛って固定する。
「そうだ。奴隷も一応、壊れ物だろ。
他の奴も緩衝材の代わりに中に放り込め!」
成田に言われ、他の部員も段ボールの中に
自分のサカストやスパイクを放り込む。
さすがのタヌキも、これには呆れた。
「ま、まぁ、死ぬ事はないだろ。
もしも死んだら、君らの足の臭いが凶器というわけだな」
段ボールのフタが閉じられた。
隼人は自分の運命が決まったような気がした。
ガタガタ。
勇人の入った段ボールを載せた台車を押して、
相手校の部員達が通路を引き上げていく。
試合に負けた悔しさと、隼人という戦利品を獲た喜びの入り交じった
複雑な表情をした者が多い。
段ボールの中では、隼人が悪臭に耐えていた。
放り込まれたサカストとスパイクが、異様な臭いと生暖かさを放っている。
せめてもの救いは、換気用に空気穴が何カ所か開けられた事だが、
外から中が見えるような大きさではないだけに、気休め程度の物だ。
だが、目の高さに開けられた空気穴の一つから、外の様子が見えた。
そこから急に光が入ってくる。
外に出たのだ。
「うぐっ」
口にサカストを突っ込まれ、声の出せない隼人が、
思わず声を上げそうになった。
陵北の部員が見えたのだ。
着替えを終えて引き上げていくのだろう。
「やぁ、君達。全国大会でも頑張って下さいよぉ」
タヌキが声をかけている。
「そうだぞ。
全国大会に優勝したら、県大会の決勝の相手が一番強かったって
言ってくれよな」
成田の声も聞こえる。
陵北の部員も何か言葉を交わしていたようだ。
もちろん、隼人が段ボールの中で縛り上げられている事など、
知る由もなかったからだが・・。
しばらくして、再び台車が動き出した。
隼人は首をひねって、自分の後ろ側にも開けられていた空気穴から
離れていく陵北の部員の姿を目で追った。
「あいつら、良い奴だよな」
そんな声が聞こえたような気がした。
数秒後、大きな笑い声が聞こえた。
「おい、隼人。聞いたかよ。
俺達、良い奴だとよ」
段ボールを揺すって大笑いする者もいる。
「そりゃ、我々は良い奴に決まっているじゃないか」
タヌキの声だ。
「我々は『奴隷にして下さい。いじめて下さい』という
隼人君の頼みを聞いてやるんだから」
「よ~し。俺は凄く良い奴になるぞぉ~」
渡辺の声に、再び大笑いが起きた。
それから、どれぐらいの時間が過ぎたのだろう。
隼人は暗闇の中で目を覚ました。
“眠っていたのか・・”
段ボールに入れられたはずなのに、今は横に寝かされていた。
どうやら、トラックの荷台らしい。
運転席側からわずかに光が差し込んでいる。
しばらくして目が慣れてくると、自分が寝かされていた横に、
乱暴に引き裂かれた段ボールの残骸があるのが見えた。
“どうしたんだろう?”
考える間もなく、トラックが停止した。
後部ドアが開き、一人の男が顔を出した。
秘書の男だ。
「歩けるかな。歩けるなら外に出なさい」
「は、はい」
秘書に促されて、隼人は荷台から降りた。
どうやら、スーパーの駐車場のような場所だ。
秘書は一枚の紙を差し出した。
簡単な地図だ。
「今の場所がここ。
そこの商店街を抜けて、電車の踏切を渡り、この工場の横の道を入ると
あとは、本校まで一本道だ」
「はい」
「君は奴隷になる覚悟はできているの?」
「は、はい。それは・・・」
ためらいがちに応える隼人に、秘書の言葉が覆い被さる。
「君の意思の最終確認なんだ。
本校までは自分で歩いてきなさい。
君の足なら30分で来れるだろ。分かったね」
隼人の返事も待たず、秘書は背を向けると、トラックの運転席に乗り込み、
トラックを発進させた。
一人で残された隼人は周囲を見渡した。
町外れの静かな場所だ。
農地が少しずつ宅地化されているようで、田んぼや畑の中に
ぽつぽつと真新しい住宅が建てられている。
隼人は駐車場を出ると、商店街の中を歩き出した。
スーパーは国道に面しているので、客足も少なくはなかったが、
国道と鉄道を結ぶ商店街は、スーパーに客足を奪われてか、
すっかり寂れていた。
コツコツ。
スパイクのままアスファルトの上を歩くのは違和感があったが、
歩きながら隼人は、それとは違う違和感を感じ始めた。
「えっ?!」
隼人はサッカーパンツの上から手で感触を確かめた。
「あっ!!」
隼人は、サッカーパンツの下に穿いていた物を、
眠っている間にすべて剥ぎ取られていたのだ。
「そ、そんな・・」
隼人は周囲を気にしながら、サッカーパンツの中に手を入れてみた。
直に肌に触れる感覚があった。
しかも、おそるおそるサッカーパンツの前を見てみると、
少しふくらんでいる。
隼人は自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
何か持ち物でもあれば、それで隠す事もできるのだが、
今の隼人には何もない。
冷や汗も流れ出した。
幸い、寂れた商店街に人通りは少ない。
隼人は道の左側を、身体の右側を前に出すようにして歩いた。
自分の恥ずかしい部分を少しでも隠す為だ。
しかし、そうやって意識すればするほど、
前のふくらみが大きくなっていくのが隼人自身にも分かる。
それからは無理に隠そうとはせず、少し足早に歩く事にした。
すれ違う人は、ほとんどが老人だ。
人の服装に関心など持っていない。
事実、すれ違う人は隼人に何の関心も示さず、通り過ぎていった。
やがて、鉄道の踏切が見えてくる。
“もう少しだ”
鉄道は山を縫うように走っている。
踏切の向こうには、何かの工場が見えるだけで、そこを過ぎれば山道になる。
人通りはないはずだ。
“急ごう”
隼人は足を速めた。
だが・・。
カンカンカン。
隼人が踏切にたどり着くわずか手前で、警報機が鳴り出した。
遮断機も降り始める。
走れば渡れただろう。
だが、遮断機が降り始めたら渡ってはいけないというルールを律儀に守った隼人は、
踏切に行く手を阻まれる事になった。
駅舎は踏切のすぐ左側、つまり隼人が立っている側にある。
見ると、大学生風の2~3人の男が、いわゆるウンコ座りをして
ハンバーガーを食べている。
隼人のサッカーパンツは、最近では珍しくなったショートタイプだ。
下の方から見られると、サッカーパンツの中まで見えてしまうかも知れない。
ユニフォーム姿で、しかもスパイクまで履いて公道を歩くのは珍しい。
それだけで好奇の視線を浴びるだろう。
隼人は反対側に移ろうとした。
しかし、自動車が踏切の手前で止まり、反対側に行く事もできない。
さらに、隼人の後ろにも人が並んだので、隼人は身動きができなくなった。
もう一度、大学生の方に目を向ける。
視線が合った。
“見、見られてる”
咄嗟に視線を外す。
“お願い、見ないでください。恥ずかしい・・”
遮断機が上がるまでの時間は、隼人にとって地獄の苦しみであった。
隼人は遮断機が上がると、走って踏切を渡った。
反対側から来る人はいない。
隼人は工場までのわずかな距離を逃げるように走り、脇道に入った。
ここから工場に沿って歩く事になるが、工場を過ぎると山道だ。
隼人の後ろから来る人もいない。
隼人は立ち止まると、サッカーパンツの状態を確かめた。
サッカーパンツはすっかりテントを張ったようになっており、
一部にシミまでできている。
隼人の心に、再び恥ずかしさがこみ上げてきた。
“こんなシミなんて、見せたくない”
隼人はサッカーパンツの中に手を入れ、チンポを下に向けようとした。
だが、そうすればショートタイプのサッカーパンツから
はみ出してしまう。
“大丈夫だ。こんな道を人が通る事はないだろう”
隼人は意を決して、横チンを選んだ。
剥け始めた先端部分が、わずかにサッカーパンツの外に出た。
やがて、隼人は工場の裏に出た。
「わほー」
突然、声がした。
声のした方を向くと、工場とのフェンス越しに、中からこちらを見ている男がいる。
年は隼人よりやや上のようだが、一目で知的障害があるのが分かった。
「うぅ、わほわほ」
隼人を指さしながら、しきりに奇声を発している。
隼人のチンポは、ちょうど工場側にはみ出していたのだ。
工場を見ると、工場の裏は農地になっていて、
知的障害者の作業所として使われているようだった。
離れたところで、10人ほどの人が作業をしている。
「○○君。お仕事、まだ終わってませんよ~」
指導員らしき中年が声をかけているが、男は隼人の側を離れない。
「しこ、しっこ」
隼人が小便(おしっこ)をしようとしていると思ったようだ。
日頃は自分が注意されているのだろう、隼人が立ち小便をしようとしていると思い、
指導員に告げ口しているのかも知れない。
何にしても、隼人のチンポに注目している事だけは確かである。
隼人はチンポの位置を元に戻そうかと考えた。
だが、隼人と指導員の間には距離がある。
隼人が横チンだとは分からない距離だ。
むしろ、位置治しをする動作の方が変に思われる。
隼人はそう考え、横チンのまま歩き続けた。
「ちんち、ちんち」
男はなおもついてくる。
横チンとは分からないまでも、指導員や他の作業者も自分を見ているはずだ。
そう考えると、恥ずかしさが増してくる。
“でも・・・”
隼人は思った。
“これから僕は奴隷になるんだ。
これぐらいで恥ずかしいなんて言ってられないんだ”
隼人は歩く速さを緩めた。
“はい。これが僕のちんちです。よく見てください”
男はさらに隼人に着いてくる。
「ちんち、ちんち」
「ちんち、ちんち」
隼人は男の言葉に合わせ、声を出しながらチンポを指で弾いて見せた。
男は嬉しそうに笑顔を見せる。
“そうです。笑ってください。
僕はもっともっと笑われに行きます。
僕は・・・、僕は奴隷ストライカー・隼人ですから”
隼人はいよいよ山道に入った。
すぐに『これより学校所有地。部外者立ち入り禁止』の立て札があった。
“部外者立ち入り禁止・・。僕は・・?”
真面目な性格の隼人は思わず立ち止まってしまう。
“いいんだよ、僕は。奴隷なんだから”
隼人は立て札の横を通り過ぎた。
歩きながら、隼人は何気なくサッカーパンツに目を落とした。
ショートタイプのサッカーパンツから、チンポがはみ出している。
知的障害者に見られた興奮からか、少し勃起した状態だ。
ふと、隼人は中学1年の頃を思い出した。
練習後の後片付けを終え、同期の者だけで部室で着替えていた時だ。
部のお調子者が、いきなり「チン体検査ぁ~!!」と叫んで、
サッカーパンツの上から、隼人のチンポを鷲づかみにした事がある。
一瞬、呆気にとられて3秒ほど隼人はチンポを掴まれたままになっていた。
「うわぁぁぁ!!隼人のチンポ、超でけぇぇぇぇ!!」
お調子者がオーバーなアクションを取りながら手を離すと、
「本当かよ。どれどれ」と、他の部員も隼人の下半身に手を伸ばしてきた。
さすがの隼人も、「おい、やめろよ」と抵抗したが、多勢に無勢だ。
隼人は同期の者に下半身を触りまくられた。
それからは、互いにチンポの触り合いになったが、
「隼人が一番のデカチン」という結果だった。
隼人自身は、そういった悪ふざけには加わわらなかったので、
他人のチンポの大きさは分からない。
他の部員が、お調子者を羽交い締めにして、
「隼人もチン体検査してやれよ」と言っても、
隼人は「僕はいいよ」と断った。
それからも、他の部員は時々チンポの触り合いをして盛り上がる事もあったが、
隼人はそれに加わる事も、触られる事もなかった。
サッカー部では1年の夏からレギュラーになった隼人が、
誰からも一目置かれる存在だったのは確かだ。
だが、誰からも愛され、何事にも真剣に取り組む隼人の姿勢が、
そういった悪ふざけの対象から、隼人を除外していたのかも知れない。
しかし、奴隷にされる為に山道を歩きながら、隼人は考えた。
他のみんながチンポの触り合いをしているのを見て、自分は何を思っていたのだろう。
よくは覚えていない。
だが、一抹の寂しさがあったのは確かだ。
そう、自分も悪ふざけの輪の中に入りたかった。
みんなに押さえつけられ、チンポを触りまくられたかったのだ。
隼人は中学の部室で押さえつけられる自分の姿を想像してみた。
両手両足を大の字に押さえつけられている。
一人が隼人のサッカーパンツの中に手を入れてきた。
スパッツの上からチンポを握られる。
「あぁぁ」
思わず声を上げる隼人に、周囲を取り囲んだみんなの笑い声が起きる。
自分を笑い物にするみんなの顔が、一人一人浮かんできた。
後輩の顔もあった。
「キャプテン、感じてるんですか?」
小学校を卒業したばかりの新入部員の言葉に、また笑いの渦が起きる。
「つーかさぁ。隼人、勃ってきてるんだけど」
「えっ。本当?」
隼人のチンポを握った者が言うと、別の者がサッカーパンツ越しに触ってきた。
「お前らだけで楽しむなよ」
「みんなに分かるようにしろや」
「脱がしちゃえよ」
隼人の頭の上を、興奮した部員の言葉が飛び交う。
「よっしゃ」
一人が隼人のサッカーパンツに手をかけると、
スパッツと一緒に一気に引き下ろした。
ピーンと勃った隼人のチンポがあらわになる。
「さすが隼人はチンポも姿勢がいいねぇ。
チンポも直立不動だよ」
「は、恥ずかしい・・。見ないで」
隼人の声は、部員の笑い声にかき消される。
「見ないでってねぇ。
こんな立派なチンポなんだったら、みんなに自慢できるよ」
「そうだ。みんなの見せ物にしようぜ」
「えぇっ、そんなぁ。許して・・」
隼人の言葉に耳を傾ける者はいない。
隼人は下半身丸出しのまま、グランドに連れ出される。
練習していた野球部員が、キャッチボールの手を止めて
連行されていくサッカー部キャプテン・隼人の後ろ姿を目で追っている。
隼人はサッカーゴールの前に連れてこられた。
両手を縛られ、サッカーゴールに吊される。
足は地面に着くものの、全く身動きができない状態だ。
両足も、白のサカストの上から縛られた。
まず、野球部員が集まってくる。
「へぇ。隼人って、立派なモンぶらさげてるよな」
最大級に勃起したチンポを握られる。
「あぁ・・。お願い、助けて」
チンポを鷲づかみにされながら、助けを求める隼人。
しかし、隼人の周りの人だかりは増すばかりだ。
野球部だけではなく、陸上部・テニス部なども集まってくる。
女子部員の姿もあった。
「隼人君って、可愛い顔してるのに、アソコは立派よねぇ」
「あれっ?さっきより大きくなってない?」
「見ないで、許して・・・」
顔を真っ赤にする隼人。
「キャプテン。女子の前なんですから、そんな事言わずに
シャキッとしていきましょうよ」
さっきの1年坊主が、下半身丸出しでサッカーゴールに縛られた
キャプテン・隼人の前にしゃしゃり出た。
「では、みなさんを代表して、僕からキャプテンに質問しま~す。
まず、キャプテン。みんなの前で、チンチン丸出しにされた今のお気持ちをどうぞ」
手でマイクを差し出すような格好をする。
「は、恥ずかしい・・」
「恥ずかしいというようなモノじゃないと思うんですが、
自分のチンポについて、どう思ってますか?」
1年生は、屈辱に顔をゆがめる隼人のチンポを指で摘むと、左右に振って見せた。
周りから笑いが起きる。
「どう・・って、普通かと」
「いえいえ、ご立派なモノですよ。
普段から皮は剥けているんですか?」
「もうやめて・・、恥ずかしい」
「普段から剥けているんですか?!」
1年生は隼人のキンタマを握りしめ、質問を繰り返した。
「あぁ・・・。やめて!!
違います。普段は皮を被っています」
「それじゃ、勃起したら剥けるんですね」
「は、はい。そうです。勃起した時だけです」
1年坊主にチンポを弄ばれ、恥ずかしい質問を受ける隼人。
「オナニーを始めたのはいつですか?」
「はい。小学5年ぐらいです」
「今はどれぐらいのペースでやっていますか?」
「し、週に3~4回・・」
「その時は何をオカズに・・、あっ、ちょっと待ってください」
1年生は急に質問をやめた。
「すみません、そこの方。そのメガネをかけた方。
そう、ちょっとこちらに来てもらえますか。
すみません、チョットだけ」
1年生に指名されたのは、隼人と同じクラスの3年生だ。
クラスメイトからはブタ松と呼ばれていた。
その名の通りの肥満体で、運動神経は皆無に等しく、
極限までブサイクを極めたと言われる顔は、
5秒以上直視できる者はいないとまで言われている。
「俺には家庭教師が二人ついている」が自慢なのだが、
10段階評価の成績表は、5段階評価だとしても立派とは言い難い。
性格も悪く、空気を読む事ができない。
つまり、隼人とは全てにおいて対極にあるクラスメイトなのだ。
ブタ松が周りの者に背中を押されて前に出てきた。
隼人の横に並ぶと、まさに究極の美と究極の醜の対比が見られた。
おそらく、ここにいる男全員にアンケートを採ったところで、
ブタ松より、下半身丸出しで縛り上げられた隼人になりたいと答えるだろう。
「あのさぁ。俺、家庭教師を待たせてるんだけど」
「まぁまぁ。お時間は取らせませんから」
ブーブー文句を垂れ始めたブタ松を1年生がなだめた。
ブタ松もそれ以上は文句を言わない。
おそらく、成績も良く、スポーツ万能で、女にも人気のある隼人が、
こうして恥ずかしいイジメを受けているのが嬉しいに違いない。
性格の悪さがにじみ出た結果だ。
「えぇっと、これから僕がキャプテンにいくつか質問します。
もし、嘘を言ってると思ったら、これでお尻をぶっ叩いてお仕置きをしてください」
1年生はブタ松に竹刀を渡した。
「では、キャプテンに質問します。
この人がクラスメイトからブタ松と呼ばれているのを知っていますね」
「えっ、あっ、はい」
ピシー。
ブタ松の竹刀が隼人の尻を打ち据えた。
「あぁっ・・」
事実なのだが、ブタ松の感情が許さなかったのだ。
「キャプテンもブタ松と呼んでいますよね」
「いいえ、僕は○○君と」
ピシー。
「あぁっ・・、本当です。僕は・・」
ピシー。
実際、隼人は人を侮辱するあだ名を使った事は一度もなかった。
だが、否定しても隼人は打たれ続け、
最後に「すみません。僕もブタ松と呼んでいました」と言って、強烈な一撃を受けた。
衆人環視の中、理不尽に尻叩きの刑を受ける隼人だが、
ブタ松の竹刀を浴びる度に、隼人のチンポは勃起していく。
質問を終えた1年生が、ブタ松から受け取った竹刀で隼人のチンポを小突いた。
「何か、ますます元気になっていきますねぇ。
どうしてなんですかねぇ??」
「・・・」
隼人が口をつぐんでいると、今度はキンタマを小突かれた。
「ひっ!!」
「どうしてなんですかねぇ??」
「そ、それは・・」
「それは?」
「う、嬉しいんです。苛められて」
隼人の言葉にどよめきが起きた。
主に女子だ。
「隼人君、苛められて嬉しいんだって」
「そんな子だったんだ」
隼人はそれを無視して言葉を続けた。
「う、嬉しいです。苛められて。
だから、だから、もっと苛めて下さい。
ぼ、僕を奴隷にして下さい。
僕は奴隷ストライカー・隼人です」
「奴隷ストライカー・隼人!!」
「何やってんだ、おい!!」
妄想の世界に入り込んでいた隼人は、自分を呼ぶ声で我に返った。
山道はあと30mほどの坂道を上がると、舗装された道に繋がっている。
その舗装道路に相手校のサッカー部員の姿がある。
「苛められるのが嫌で、逃げ出したのかと思ったぞ」
「すみません。今、行きます」
隼人は山道を駆けた。
サッカーパンツの中のチンポは完全勃起の状態だった
奴隷ストライカー・隼人です」
隼人の奴隷宣言が終わると、控え室の選手達は静まりかえった。
目の前にいるのは、今日の試合で自分たちを苦しめ抜いた
相手校のエースストライカーだ。
その隼人が、後ろ手錠をされた上に、ユニの上から縛り上げられ、
自分たちの前に跪いている。
しかも自ら「奴隷だ」と言っているのだ。
誰もが何を言えば良いのか、何をすれば良いのか、分からなかった。
「つまり、何か。お前、俺達の言いなりになるって事か?!」
最初に口火を切ったのは、センターバックでキャプテンの成田だ。
力ずくで選手を引っ張るタイプで、
試合中でも、ミスをした選手には容赦ない言葉を浴びせる。
それが今日の試合では、隼人のフェイントに翻弄され、
易々とディフェンスラインを突破された。
面目丸つぶれなのだ。
「どうなんだ、おい!!」
隼人の髪を掴んで、顔を上げさせる。
間近で見る隼人の端正な顔が、成田には腹立たしかった。
“殴ってやろうか”
成田が行動に移そうとした時、背後で声がした。
「よせよ、成田」
トップ下の佐藤だ。
色白で、試合を終えてメガネをかけた姿は、
およそサッカー部員とは思えない。
サッカー部きってのインテリである。
「何だよ、佐藤。こいつ、自分で奴隷だって言ってんだろ。
ちょっと痛い目見せてやるぐらい、良いだろうが」
いきり立つ成田を無視して、佐藤はタヌキに視線を向けた。
「もし、俺達が隼人君を奴隷として認めないと言ったら、どうなるんですか?」
「えっ?!」
タヌキは一瞬、言葉に詰まった。
何を言い出すのだ。
人がせっかくエサを用意してやったのに、いらないとでも言いたいのか。
だが、タヌキはすぐに佐藤の意図を察した。
自分と隼人との間に、何らかの約束ができている事を見抜いている。
そして、約束が実行されない場合、隼人自身も困った事になると。
「まぁ、隼人君に慰労会への出席をお願いするにあたっては、
私も彼からの頼みを聞き入れる約束になっているのは事実だよ。
まぁなんだな、その一方がキャンセルになったという事は、
両方がダメになるという事だろうな」
“この答えで良いんだろ”
タヌキは佐藤に目で合図を送った。
佐藤も笑顔を返す。
憮然とする成田を横目に、佐藤は隼人の後ろに回ると、手錠を外し、
ロープを解いた。
「両方がダメになるって、そんな・・・」
唖然とする隼人の頭を、佐藤はしゃがんで優しくなでた。
「ごめんね。隼人君。
誰も君をいじめたりしないから、早く帰りなさい」
子供に言い聞かせるような声だ。
しかし、顔は笑みを浮かべていても、目は冷たく光っている。
「こ、困ります。そんな・・。
お願いです、僕をみなさんの奴隷にして下さい」
隼人は自由になった手を佐藤の前につくと、佐藤に頭を下げた。
「本気で言ってるのかな?」
佐藤は立ち上がって、目の前で土下座する隼人の後頭部を
スパイクで踏みつけた。
「本気にしては、ちょっと頭が高~いって感じなんだけど」
「すみません。本気です。
何でも言う事を聞きますから、みなさんで僕をいじめて下さい。
お願いします!!」
佐藤に踏みつけられ、隼人は床に額をこすりつける。
「ふ~ん。何でも言う事を聞くんだね。
僕らにいじめて欲しいんだね」
「は、はい。いじめられたいです。
ですから、お願いします。
僕を奴隷にして下さい!!」
「ヨシ、分かった」
佐藤は、ようやく足を上げる。
隼人の額は、床にこすれて赤くなっていた。
「それじゃ、奴隷の証として・・」
「待ちたまえ」
タヌキが佐藤の言葉を遮った。
たしかに佐藤は頭が良い。
最初の奴隷宣言は、いわば言わされた言葉だ。
それを佐藤は、隼人自身の意志で奴隷宣言させている。
だが、自分の意志であろうがなかろうが、隼人が奴隷になる事に変わりはないし、
佐藤の独演会に付き合うつもりもない・・・と、タヌキは思っている。
それに・・
「時間が惜しいのだよ。
隼人君は文字通りのシンデレラボーイなんだ。
我々の奴隷でいるのは今日一日。夜12時までだ」
見せ場をなくした佐藤が引き下がると、
隼人に命令して、両手を後ろに組ませた。
その手に、再び手錠がはめられる。
「縛るのは省略しよう。
それに、奴隷にはこっちの方が良く似合う」
タヌキは鞄の中から首輪を取りだした。
「成田君、これは君がしてあげなさい」
そう言って、タヌキは成田に首輪を渡した。
佐藤に顔を潰されただけでは可哀想だ。
キャプテンとしての顔も立ててやらねばという配慮だろう。
「うっす」
成田も機嫌を直して首輪を受け取った。
床に跪く隼人の首に、首輪がはめられる。
「ははは。良い格好だぜ。
犬になった気分はどうだ。
3回回って、ワンと吠えてみろ」
隼人は成田に言われるまま、身体を3回転させる。
「ワン」
顔を赤くする隼人に向かって、部員達の笑い声が浴びせられた。
「ヨシ、早く学校に帰ろうぜ。こいつを肴に慰労会だ!!」
成田は首輪に付いた鎖を引いて歩き始める。
隼人も四つん這いで続いた。
「おいおい、いくら何でも人目ってものがある」
お前はバカかと言いたいのを紙一重でこらえ、タヌキが成田を引き留めた。
その時、スーツ姿の男が入ってきた。タヌキの秘書だ。
タヌキに何やら耳打ちしている。
「うん。分かった」
タヌキは鷹揚に頷くと、秘書はいったん外に出て、
台車に縦長の段ボール箱を載せて運んできた。
人が中に座って入れるぐらいの大きさだ。
「入りたまえ」
タヌキに言われて、隼人が段ボールの中に入る。
「ははは。まるで捨て犬じゃん」
「でも、やっぱ奴隷は礼儀正しいよなぁ。
スパイク履いたまま正座かよ」
「偉いぞ、それでこそ奴隷ストライカー・隼人だ」
散々バカにされる隼人。
「あ、ありがとうございます」
隼人の声が震えていた。
「んっ、ちょい待ち」
控え選手の渡辺だ。
本人はムードメイカーを気取っているが、周囲はうるさいだけと思っている。
「声が出ちゃまずいっしょ、声が。
ほら、隼人。口を開けな。大きく、あ~ん」
言われるまま口を開ける隼人。
白い歯がまぶしい。
その口に、渡辺は自分のバックから取りだしたサカストを突っ込んだ。
さっきまで試合で履いていたものだ。
まだ温もりも残っている。
「うぐっ」
もう一足のサカストで口にフタをし、頭の後ろできつく結ぶ。
「こりゃ面白い」
他の部員が、今度はサカストの足裏部分を隼人の鼻にあて、
それをもう一足のサカストで縛って固定する。
「そうだ。奴隷も一応、壊れ物だろ。
他の奴も緩衝材の代わりに中に放り込め!」
成田に言われ、他の部員も段ボールの中に
自分のサカストやスパイクを放り込む。
さすがのタヌキも、これには呆れた。
「ま、まぁ、死ぬ事はないだろ。
もしも死んだら、君らの足の臭いが凶器というわけだな」
段ボールのフタが閉じられた。
隼人は自分の運命が決まったような気がした。
ガタガタ。
勇人の入った段ボールを載せた台車を押して、
相手校の部員達が通路を引き上げていく。
試合に負けた悔しさと、隼人という戦利品を獲た喜びの入り交じった
複雑な表情をした者が多い。
段ボールの中では、隼人が悪臭に耐えていた。
放り込まれたサカストとスパイクが、異様な臭いと生暖かさを放っている。
せめてもの救いは、換気用に空気穴が何カ所か開けられた事だが、
外から中が見えるような大きさではないだけに、気休め程度の物だ。
だが、目の高さに開けられた空気穴の一つから、外の様子が見えた。
そこから急に光が入ってくる。
外に出たのだ。
「うぐっ」
口にサカストを突っ込まれ、声の出せない隼人が、
思わず声を上げそうになった。
陵北の部員が見えたのだ。
着替えを終えて引き上げていくのだろう。
「やぁ、君達。全国大会でも頑張って下さいよぉ」
タヌキが声をかけている。
「そうだぞ。
全国大会に優勝したら、県大会の決勝の相手が一番強かったって
言ってくれよな」
成田の声も聞こえる。
陵北の部員も何か言葉を交わしていたようだ。
もちろん、隼人が段ボールの中で縛り上げられている事など、
知る由もなかったからだが・・。
しばらくして、再び台車が動き出した。
隼人は首をひねって、自分の後ろ側にも開けられていた空気穴から
離れていく陵北の部員の姿を目で追った。
「あいつら、良い奴だよな」
そんな声が聞こえたような気がした。
数秒後、大きな笑い声が聞こえた。
「おい、隼人。聞いたかよ。
俺達、良い奴だとよ」
段ボールを揺すって大笑いする者もいる。
「そりゃ、我々は良い奴に決まっているじゃないか」
タヌキの声だ。
「我々は『奴隷にして下さい。いじめて下さい』という
隼人君の頼みを聞いてやるんだから」
「よ~し。俺は凄く良い奴になるぞぉ~」
渡辺の声に、再び大笑いが起きた。
それから、どれぐらいの時間が過ぎたのだろう。
隼人は暗闇の中で目を覚ました。
“眠っていたのか・・”
段ボールに入れられたはずなのに、今は横に寝かされていた。
どうやら、トラックの荷台らしい。
運転席側からわずかに光が差し込んでいる。
しばらくして目が慣れてくると、自分が寝かされていた横に、
乱暴に引き裂かれた段ボールの残骸があるのが見えた。
“どうしたんだろう?”
考える間もなく、トラックが停止した。
後部ドアが開き、一人の男が顔を出した。
秘書の男だ。
「歩けるかな。歩けるなら外に出なさい」
「は、はい」
秘書に促されて、隼人は荷台から降りた。
どうやら、スーパーの駐車場のような場所だ。
秘書は一枚の紙を差し出した。
簡単な地図だ。
「今の場所がここ。
そこの商店街を抜けて、電車の踏切を渡り、この工場の横の道を入ると
あとは、本校まで一本道だ」
「はい」
「君は奴隷になる覚悟はできているの?」
「は、はい。それは・・・」
ためらいがちに応える隼人に、秘書の言葉が覆い被さる。
「君の意思の最終確認なんだ。
本校までは自分で歩いてきなさい。
君の足なら30分で来れるだろ。分かったね」
隼人の返事も待たず、秘書は背を向けると、トラックの運転席に乗り込み、
トラックを発進させた。
一人で残された隼人は周囲を見渡した。
町外れの静かな場所だ。
農地が少しずつ宅地化されているようで、田んぼや畑の中に
ぽつぽつと真新しい住宅が建てられている。
隼人は駐車場を出ると、商店街の中を歩き出した。
スーパーは国道に面しているので、客足も少なくはなかったが、
国道と鉄道を結ぶ商店街は、スーパーに客足を奪われてか、
すっかり寂れていた。
コツコツ。
スパイクのままアスファルトの上を歩くのは違和感があったが、
歩きながら隼人は、それとは違う違和感を感じ始めた。
「えっ?!」
隼人はサッカーパンツの上から手で感触を確かめた。
「あっ!!」
隼人は、サッカーパンツの下に穿いていた物を、
眠っている間にすべて剥ぎ取られていたのだ。
「そ、そんな・・」
隼人は周囲を気にしながら、サッカーパンツの中に手を入れてみた。
直に肌に触れる感覚があった。
しかも、おそるおそるサッカーパンツの前を見てみると、
少しふくらんでいる。
隼人は自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
何か持ち物でもあれば、それで隠す事もできるのだが、
今の隼人には何もない。
冷や汗も流れ出した。
幸い、寂れた商店街に人通りは少ない。
隼人は道の左側を、身体の右側を前に出すようにして歩いた。
自分の恥ずかしい部分を少しでも隠す為だ。
しかし、そうやって意識すればするほど、
前のふくらみが大きくなっていくのが隼人自身にも分かる。
それからは無理に隠そうとはせず、少し足早に歩く事にした。
すれ違う人は、ほとんどが老人だ。
人の服装に関心など持っていない。
事実、すれ違う人は隼人に何の関心も示さず、通り過ぎていった。
やがて、鉄道の踏切が見えてくる。
“もう少しだ”
鉄道は山を縫うように走っている。
踏切の向こうには、何かの工場が見えるだけで、そこを過ぎれば山道になる。
人通りはないはずだ。
“急ごう”
隼人は足を速めた。
だが・・。
カンカンカン。
隼人が踏切にたどり着くわずか手前で、警報機が鳴り出した。
遮断機も降り始める。
走れば渡れただろう。
だが、遮断機が降り始めたら渡ってはいけないというルールを律儀に守った隼人は、
踏切に行く手を阻まれる事になった。
駅舎は踏切のすぐ左側、つまり隼人が立っている側にある。
見ると、大学生風の2~3人の男が、いわゆるウンコ座りをして
ハンバーガーを食べている。
隼人のサッカーパンツは、最近では珍しくなったショートタイプだ。
下の方から見られると、サッカーパンツの中まで見えてしまうかも知れない。
ユニフォーム姿で、しかもスパイクまで履いて公道を歩くのは珍しい。
それだけで好奇の視線を浴びるだろう。
隼人は反対側に移ろうとした。
しかし、自動車が踏切の手前で止まり、反対側に行く事もできない。
さらに、隼人の後ろにも人が並んだので、隼人は身動きができなくなった。
もう一度、大学生の方に目を向ける。
視線が合った。
“見、見られてる”
咄嗟に視線を外す。
“お願い、見ないでください。恥ずかしい・・”
遮断機が上がるまでの時間は、隼人にとって地獄の苦しみであった。
隼人は遮断機が上がると、走って踏切を渡った。
反対側から来る人はいない。
隼人は工場までのわずかな距離を逃げるように走り、脇道に入った。
ここから工場に沿って歩く事になるが、工場を過ぎると山道だ。
隼人の後ろから来る人もいない。
隼人は立ち止まると、サッカーパンツの状態を確かめた。
サッカーパンツはすっかりテントを張ったようになっており、
一部にシミまでできている。
隼人の心に、再び恥ずかしさがこみ上げてきた。
“こんなシミなんて、見せたくない”
隼人はサッカーパンツの中に手を入れ、チンポを下に向けようとした。
だが、そうすればショートタイプのサッカーパンツから
はみ出してしまう。
“大丈夫だ。こんな道を人が通る事はないだろう”
隼人は意を決して、横チンを選んだ。
剥け始めた先端部分が、わずかにサッカーパンツの外に出た。
やがて、隼人は工場の裏に出た。
「わほー」
突然、声がした。
声のした方を向くと、工場とのフェンス越しに、中からこちらを見ている男がいる。
年は隼人よりやや上のようだが、一目で知的障害があるのが分かった。
「うぅ、わほわほ」
隼人を指さしながら、しきりに奇声を発している。
隼人のチンポは、ちょうど工場側にはみ出していたのだ。
工場を見ると、工場の裏は農地になっていて、
知的障害者の作業所として使われているようだった。
離れたところで、10人ほどの人が作業をしている。
「○○君。お仕事、まだ終わってませんよ~」
指導員らしき中年が声をかけているが、男は隼人の側を離れない。
「しこ、しっこ」
隼人が小便(おしっこ)をしようとしていると思ったようだ。
日頃は自分が注意されているのだろう、隼人が立ち小便をしようとしていると思い、
指導員に告げ口しているのかも知れない。
何にしても、隼人のチンポに注目している事だけは確かである。
隼人はチンポの位置を元に戻そうかと考えた。
だが、隼人と指導員の間には距離がある。
隼人が横チンだとは分からない距離だ。
むしろ、位置治しをする動作の方が変に思われる。
隼人はそう考え、横チンのまま歩き続けた。
「ちんち、ちんち」
男はなおもついてくる。
横チンとは分からないまでも、指導員や他の作業者も自分を見ているはずだ。
そう考えると、恥ずかしさが増してくる。
“でも・・・”
隼人は思った。
“これから僕は奴隷になるんだ。
これぐらいで恥ずかしいなんて言ってられないんだ”
隼人は歩く速さを緩めた。
“はい。これが僕のちんちです。よく見てください”
男はさらに隼人に着いてくる。
「ちんち、ちんち」
「ちんち、ちんち」
隼人は男の言葉に合わせ、声を出しながらチンポを指で弾いて見せた。
男は嬉しそうに笑顔を見せる。
“そうです。笑ってください。
僕はもっともっと笑われに行きます。
僕は・・・、僕は奴隷ストライカー・隼人ですから”
隼人はいよいよ山道に入った。
すぐに『これより学校所有地。部外者立ち入り禁止』の立て札があった。
“部外者立ち入り禁止・・。僕は・・?”
真面目な性格の隼人は思わず立ち止まってしまう。
“いいんだよ、僕は。奴隷なんだから”
隼人は立て札の横を通り過ぎた。
歩きながら、隼人は何気なくサッカーパンツに目を落とした。
ショートタイプのサッカーパンツから、チンポがはみ出している。
知的障害者に見られた興奮からか、少し勃起した状態だ。
ふと、隼人は中学1年の頃を思い出した。
練習後の後片付けを終え、同期の者だけで部室で着替えていた時だ。
部のお調子者が、いきなり「チン体検査ぁ~!!」と叫んで、
サッカーパンツの上から、隼人のチンポを鷲づかみにした事がある。
一瞬、呆気にとられて3秒ほど隼人はチンポを掴まれたままになっていた。
「うわぁぁぁ!!隼人のチンポ、超でけぇぇぇぇ!!」
お調子者がオーバーなアクションを取りながら手を離すと、
「本当かよ。どれどれ」と、他の部員も隼人の下半身に手を伸ばしてきた。
さすがの隼人も、「おい、やめろよ」と抵抗したが、多勢に無勢だ。
隼人は同期の者に下半身を触りまくられた。
それからは、互いにチンポの触り合いになったが、
「隼人が一番のデカチン」という結果だった。
隼人自身は、そういった悪ふざけには加わわらなかったので、
他人のチンポの大きさは分からない。
他の部員が、お調子者を羽交い締めにして、
「隼人もチン体検査してやれよ」と言っても、
隼人は「僕はいいよ」と断った。
それからも、他の部員は時々チンポの触り合いをして盛り上がる事もあったが、
隼人はそれに加わる事も、触られる事もなかった。
サッカー部では1年の夏からレギュラーになった隼人が、
誰からも一目置かれる存在だったのは確かだ。
だが、誰からも愛され、何事にも真剣に取り組む隼人の姿勢が、
そういった悪ふざけの対象から、隼人を除外していたのかも知れない。
しかし、奴隷にされる為に山道を歩きながら、隼人は考えた。
他のみんながチンポの触り合いをしているのを見て、自分は何を思っていたのだろう。
よくは覚えていない。
だが、一抹の寂しさがあったのは確かだ。
そう、自分も悪ふざけの輪の中に入りたかった。
みんなに押さえつけられ、チンポを触りまくられたかったのだ。
隼人は中学の部室で押さえつけられる自分の姿を想像してみた。
両手両足を大の字に押さえつけられている。
一人が隼人のサッカーパンツの中に手を入れてきた。
スパッツの上からチンポを握られる。
「あぁぁ」
思わず声を上げる隼人に、周囲を取り囲んだみんなの笑い声が起きる。
自分を笑い物にするみんなの顔が、一人一人浮かんできた。
後輩の顔もあった。
「キャプテン、感じてるんですか?」
小学校を卒業したばかりの新入部員の言葉に、また笑いの渦が起きる。
「つーかさぁ。隼人、勃ってきてるんだけど」
「えっ。本当?」
隼人のチンポを握った者が言うと、別の者がサッカーパンツ越しに触ってきた。
「お前らだけで楽しむなよ」
「みんなに分かるようにしろや」
「脱がしちゃえよ」
隼人の頭の上を、興奮した部員の言葉が飛び交う。
「よっしゃ」
一人が隼人のサッカーパンツに手をかけると、
スパッツと一緒に一気に引き下ろした。
ピーンと勃った隼人のチンポがあらわになる。
「さすが隼人はチンポも姿勢がいいねぇ。
チンポも直立不動だよ」
「は、恥ずかしい・・。見ないで」
隼人の声は、部員の笑い声にかき消される。
「見ないでってねぇ。
こんな立派なチンポなんだったら、みんなに自慢できるよ」
「そうだ。みんなの見せ物にしようぜ」
「えぇっ、そんなぁ。許して・・」
隼人の言葉に耳を傾ける者はいない。
隼人は下半身丸出しのまま、グランドに連れ出される。
練習していた野球部員が、キャッチボールの手を止めて
連行されていくサッカー部キャプテン・隼人の後ろ姿を目で追っている。
隼人はサッカーゴールの前に連れてこられた。
両手を縛られ、サッカーゴールに吊される。
足は地面に着くものの、全く身動きができない状態だ。
両足も、白のサカストの上から縛られた。
まず、野球部員が集まってくる。
「へぇ。隼人って、立派なモンぶらさげてるよな」
最大級に勃起したチンポを握られる。
「あぁ・・。お願い、助けて」
チンポを鷲づかみにされながら、助けを求める隼人。
しかし、隼人の周りの人だかりは増すばかりだ。
野球部だけではなく、陸上部・テニス部なども集まってくる。
女子部員の姿もあった。
「隼人君って、可愛い顔してるのに、アソコは立派よねぇ」
「あれっ?さっきより大きくなってない?」
「見ないで、許して・・・」
顔を真っ赤にする隼人。
「キャプテン。女子の前なんですから、そんな事言わずに
シャキッとしていきましょうよ」
さっきの1年坊主が、下半身丸出しでサッカーゴールに縛られた
キャプテン・隼人の前にしゃしゃり出た。
「では、みなさんを代表して、僕からキャプテンに質問しま~す。
まず、キャプテン。みんなの前で、チンチン丸出しにされた今のお気持ちをどうぞ」
手でマイクを差し出すような格好をする。
「は、恥ずかしい・・」
「恥ずかしいというようなモノじゃないと思うんですが、
自分のチンポについて、どう思ってますか?」
1年生は、屈辱に顔をゆがめる隼人のチンポを指で摘むと、左右に振って見せた。
周りから笑いが起きる。
「どう・・って、普通かと」
「いえいえ、ご立派なモノですよ。
普段から皮は剥けているんですか?」
「もうやめて・・、恥ずかしい」
「普段から剥けているんですか?!」
1年生は隼人のキンタマを握りしめ、質問を繰り返した。
「あぁ・・・。やめて!!
違います。普段は皮を被っています」
「それじゃ、勃起したら剥けるんですね」
「は、はい。そうです。勃起した時だけです」
1年坊主にチンポを弄ばれ、恥ずかしい質問を受ける隼人。
「オナニーを始めたのはいつですか?」
「はい。小学5年ぐらいです」
「今はどれぐらいのペースでやっていますか?」
「し、週に3~4回・・」
「その時は何をオカズに・・、あっ、ちょっと待ってください」
1年生は急に質問をやめた。
「すみません、そこの方。そのメガネをかけた方。
そう、ちょっとこちらに来てもらえますか。
すみません、チョットだけ」
1年生に指名されたのは、隼人と同じクラスの3年生だ。
クラスメイトからはブタ松と呼ばれていた。
その名の通りの肥満体で、運動神経は皆無に等しく、
極限までブサイクを極めたと言われる顔は、
5秒以上直視できる者はいないとまで言われている。
「俺には家庭教師が二人ついている」が自慢なのだが、
10段階評価の成績表は、5段階評価だとしても立派とは言い難い。
性格も悪く、空気を読む事ができない。
つまり、隼人とは全てにおいて対極にあるクラスメイトなのだ。
ブタ松が周りの者に背中を押されて前に出てきた。
隼人の横に並ぶと、まさに究極の美と究極の醜の対比が見られた。
おそらく、ここにいる男全員にアンケートを採ったところで、
ブタ松より、下半身丸出しで縛り上げられた隼人になりたいと答えるだろう。
「あのさぁ。俺、家庭教師を待たせてるんだけど」
「まぁまぁ。お時間は取らせませんから」
ブーブー文句を垂れ始めたブタ松を1年生がなだめた。
ブタ松もそれ以上は文句を言わない。
おそらく、成績も良く、スポーツ万能で、女にも人気のある隼人が、
こうして恥ずかしいイジメを受けているのが嬉しいに違いない。
性格の悪さがにじみ出た結果だ。
「えぇっと、これから僕がキャプテンにいくつか質問します。
もし、嘘を言ってると思ったら、これでお尻をぶっ叩いてお仕置きをしてください」
1年生はブタ松に竹刀を渡した。
「では、キャプテンに質問します。
この人がクラスメイトからブタ松と呼ばれているのを知っていますね」
「えっ、あっ、はい」
ピシー。
ブタ松の竹刀が隼人の尻を打ち据えた。
「あぁっ・・」
事実なのだが、ブタ松の感情が許さなかったのだ。
「キャプテンもブタ松と呼んでいますよね」
「いいえ、僕は○○君と」
ピシー。
「あぁっ・・、本当です。僕は・・」
ピシー。
実際、隼人は人を侮辱するあだ名を使った事は一度もなかった。
だが、否定しても隼人は打たれ続け、
最後に「すみません。僕もブタ松と呼んでいました」と言って、強烈な一撃を受けた。
衆人環視の中、理不尽に尻叩きの刑を受ける隼人だが、
ブタ松の竹刀を浴びる度に、隼人のチンポは勃起していく。
質問を終えた1年生が、ブタ松から受け取った竹刀で隼人のチンポを小突いた。
「何か、ますます元気になっていきますねぇ。
どうしてなんですかねぇ??」
「・・・」
隼人が口をつぐんでいると、今度はキンタマを小突かれた。
「ひっ!!」
「どうしてなんですかねぇ??」
「そ、それは・・」
「それは?」
「う、嬉しいんです。苛められて」
隼人の言葉にどよめきが起きた。
主に女子だ。
「隼人君、苛められて嬉しいんだって」
「そんな子だったんだ」
隼人はそれを無視して言葉を続けた。
「う、嬉しいです。苛められて。
だから、だから、もっと苛めて下さい。
ぼ、僕を奴隷にして下さい。
僕は奴隷ストライカー・隼人です」
「奴隷ストライカー・隼人!!」
「何やってんだ、おい!!」
妄想の世界に入り込んでいた隼人は、自分を呼ぶ声で我に返った。
山道はあと30mほどの坂道を上がると、舗装された道に繋がっている。
その舗装道路に相手校のサッカー部員の姿がある。
「苛められるのが嫌で、逃げ出したのかと思ったぞ」
「すみません。今、行きます」
隼人は山道を駆けた。
サッカーパンツの中のチンポは完全勃起の状態だった
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