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  • 2014⁄05⁄07(Wed)
  • 00:40

女の子のような少年

 春。
新入学の季節とゴールデンウイークを過ぎて、「フレッシュ」という言葉よりも
「板についてきた」という印象のほうが強くなってきた。
 朝の駅のラッシュは文字通り殺人的だ。人が溢れかえるホームに、人がすし詰め
の電車が到着する。その度に人の流れができ、入れ替わりをこなしていく。
「あっ!」
 あるホームの中ごろで、中年のサラリーマンと学生の肩がぶつかり、学生は大き
くよろめいた。
 サラリーマンは、その小さな姿に反射的に謝った。
「お嬢さ……ん、かな? ごめんね! ごめん!」
 急ぎ足で去っていくスーツ姿を見やってから、学生はひとりごちた。
「また、女の子って言われた……」
 鈴橋悠樹(すずはしゆうき)は、口をとがらせた。   
 真新しい白のブレザーにすがすがしいライトブルーのシャツ、臙脂色のネクタイ、
灰色のスラックス。
 私立清櫻(せいおう)学園の中等部は学業と生徒自身の人柄の良さが求められる。
互いに尊重しあう環境でなければ落ち着いて勉学に励めない、といったところだろ
うか。
 実際、悠樹はおとなしい性格だ。休憩時間に率先して運動を伴った遊びをするよ
うなタイプではなく、おとなしく読書をしている方が多い。この学校はそれを咎め
る人もいない。
 それにしても、こんな制服姿でも一見すれば誰もが「女の子……だよ……ね?」
恐る恐る尋ねてしまいたくなるほどの、女性的な顔とほっそりとした体つき。
 白い肌にわずかに染まった頬。耳が隠れる程度のさらさらした髪で、ぱっと見、
男子の制服を着たショートヘアの少女なのだ。
ほわっとした角の無い雰囲気をまとっていて、他人にどこか親しみを感じさせる。
だからしょっちゅう道を聞かれている。中校生男子の平均よりも身長は低めで、こ
の前小学校を卒業しましたと物語ってしまう体は、ラッシュ時にともすれば押しつ
ぶされてしまう。
(ああ、嫌だ。なんで僕の乗る電車は、こうも人が多いんだろう)
 自分もその中の一人であることを棚に上げて、一度入ったら身動きも出来なくな
る車中に今日も突入していく。いや、正確に言えば人の流れに入り流されていく。
 電車の中は、息が詰まる。
 これほど人の体温、匂い、圧力を密接して感じる空間というものは他に無い。
(制服が……暑い……)
 学力優秀な彼は、特待生として入学した。制服もほとんど無料に近いものではあ
る。ブレザーはいい生地を使っているが厚手で、少なくとも満員電車向きではない。
悠樹の家のような一般的な庶民を想定していない。送り迎えがやってくるような暮
らし向きの生徒のためのものだ。脱いでかばんに入れたら型が崩れてしまい母親に
叱られる。快適になるために、とにかく早く電車から降りたい。
 20分だけこの電車に乗ればいい。その間乗降が何度かあるが、自分の降りる駅
まで大抵乗ってくる人のほうが多い。何せ、手を離しても持ったカバンが落ちない
ほどなのだ。
 先頭車両の運転席側の壁に自分の右肩をつけて、寄りかかるようにして今日も押
しつぶされている。
 まわりの客に見習って、無我の境地に入り、苦しみをやり過ごすことを覚え始め
ていた。 (ん?)
 変な感触に気づいたのは、電車に乗ってすぐだった。
 自分の下半身に何かが触っているような気がする。
 意識をしていると、お尻の下からゆっくり上に上がっていき、一番上まで上がっ
て腰にたどり着くと、また下に下がっていく。
(手? ん? 何?)
 何度も何度も手は悠樹のお尻を上下に動いている。小ぶりな少年のお尻のライン
を味わうようにたどり、時折やわらかな肉をやさしく掴んでくる。
(これ……チカン……ってやつ、かな?)
 顔がかああっと熱くなる。焦りと恥ずかしさで、何をどうすればいいか、声も出
せずにいる。
 満員電車の混雑に乗じて身体を触る人がいることは聞いていた。でもその被害は
もっぱら女の人が遭うのであって、男の自分がこんなことをされるなど想像もして
いなかった。女の子と間違っている? と勘ぐったりもした。
 おそらく手の主は一人なのだろうが、周りを必死に見回してもそれらしき人がわ
からない。その手を押さえて、制することさえできない小心者の悠樹。そもそも満
員電車の強烈な圧力で、手を動かすこともままならないのだ。
(……くすぐったい、よぉ)
 他人から触られる慣れない感覚。それは少年の身体に、その度ごとに新しい何か
を呼び覚ましていく。
 その可愛らしい小さな双球の丸みを楽しんだ後、その手がそっと割れ目に滑り込
んで、恥ずかしいすぼまりを撫でた。
「……ん!」
 思わずきゅっとお尻を締めてしまう。熱を出した時、母親に座薬を入れられた時
を思い出すが、もっと違う、自分の下腹部にきゅうんと来る感じ。
 その入り口の周辺をほぐしては、穴の上を往復する指。執拗に責められていると
むずがゆい変な心持になる。
(あ……あん……や……あ……おちんちんが……なんで? ……あ……)
 急速にズボンの前で主張を始めるもの。窮屈な布地の中でも、早くも盛り上がり
を隠し切れなくなってきた。
 手は後ろから腰骨を過ぎて、前に回ってきた。そして躊躇無く悠樹の股間を触り
始めた。
(……なっ!? なに、するの!!)
 腰を引こうとしたが、このラッシュでは身動きが取れない。なす術もないまま、
自分を触る手の動きばかり意識してしまう。
 手は悠樹のズボンの上からペニスの位置を確かめ、まず攻めてきたのはその先端
だった。指の腹でピンポイントに敏感な部分をいじる。
(はぁ!……な……何、これえ……)
 絶妙な動き、強さ。おそらくは中指でねちっこく攻め、布地を通して刺激されて
いる。残りの指で陰茎を揉み解すと、それはさらに堅さを伴ってきた。
(やだなぁ、立っちゃった。……なんで、こんな……こんなこと、するの?)
 そもそも何故他人の身体を触るのか、全く意味が分からなかった。
 悠樹はまだ、性のことを知らずにいた。長男の彼のほかには小学校低学年の弟と
幼稚園の妹。友達からもそういう話は出てこない。自らも進んでこういったことに
興味をまだ覚えることも無く、読む本も図書館にある児童向けのものばかりだった。
 今のむずがゆい感覚は初めてのことではない。眠る間際とか、授業中とかなんだ
かあそこが堅くなってしまって、布地を突き上げてしまう現象。
 ばつが悪いけれど放っておけば収まること。ましてや積極的に触ろうなんて考え
もしなかった。
 悠樹の意思などお構いなく、あざ笑うかのように手は幼いペニスの形に沿って動
き、蠢き、刺激する。
 その手がいったん離れたかと思うと奥に潜り、親指と小指で先端を攻め、中指が
袋とお尻の穴の間の部分を溶きほぐすように擦る。
 むずむずむずっ!
「……ぁん!」
 ごく小さかったが、初めて出してしまった甘い声。静かに押し黙る周りの大人に
聞かせてはいけないと思っていても、つい漏れた声。
(何今の……おちんちんとお尻が、びくって……)
 自らの身体の反応でしか理解できない感覚。身動きが取れない中、腰を震わせる
電気のような歓喜。
 手はこれを何度も繰り返す。指の先は、ピンポイントで少年のツボを押さえ、悦
びをプレゼントしていく。咲く前の蕾が暴かれるように、むき出しにされる性感。
 刺激は徐々に大きく膨れ、悠樹は未知の感覚に魅了されて、うっとりと目を閉じ
る。
 手の指は、その先端の僅かに顔を出した粘膜を強くこじった。
「……ひゃ!」
 ついに、びくんっと身体を震わせてしまった。甘美なものが背骨を走った感じが
した。
(あっ、あっ! 僕、どうすればいいの。僕、どうなるの?!)

 大きな不安が少年を襲った。自分に起こっていることに戸惑うばかりだった。
 悠樹はまだ精通していなかった。男性の機能やその欲望をまだ知らなかった。学
校でも性教育らしい授業をおこなっていなかった。まわりの友人も好きなスポーツ
やゲームぐらいの話題はあったが、性的な話の機会も無いし、やはり悠樹のように
内気な性格な子が集まっていたので、恥ずかしい話をざっくばらんにしない。
 不思議なこの感覚。自分の身体が他人に操られ、むずがゆいのに、やめて欲しい
のに……もっと、して欲しい……。
 この満員の電車の中でそんな刺激を叩き込まれることに、苦痛なほどの恥ずかし
さと焦燥感と罪悪感と、それを打ち消しかねない多幸感と愉悦に身も心も砕けそう
だった。
 盛り上がっている肉をしごき始めた。布地をつかって擦るやり方は、悠樹の頭の
中を少しずつ蕩けさせ、目の前がかすむような気分だった。
 時折揉みしだき、先端を嬲り、また筒を上下に絞る――
 目と口がゆるく開いた少年の表情。恍惚の境地に陥った顔。
 ――手の主は、満足げに笑みを浮かべている。
「…………っ?!」
 それに気づかない悠樹は、ふいに腰を引いてさらに赤面した。小便ではないが、
先端から何かが滲み出た感覚があったからだ。それが何度も下りてくる指で先端辺
りに塗りこまれていく。
(ああ、僕、ちびっちゃってる……こんな電車の中で……パンツ汚しちゃってる)
 それが下着とこすれることで、また未体験の感覚を引き起こす。
「はぁ……ん…………ぁ……はぁ……」
 抑えられない切なげな吐息。脚までも、かすかに断続的に震える。一気に手は少
年を追い込む気だった。
 掴みながら上下に動く手。スラックスからすっかり形が分かってしまうペニスを
捕まえて離さない。
(なんだか……これ以上されたら……ああっ! どうしよう!)
 少年は恐怖と悦楽に翻弄されながら、前歯を噛み縛っていた。
 積み上げられていく快感。経験したことの無い体感を次々に突破していくことに
本能的に危機を覚えていく。
 駆け上がっていく。熱くなり、蕩けてしまう下半身。

(ああっ! もう……だめええっ!)
 指が一際強く先端撫で擦った途端に、悠樹は爆発した。
「ふぅ! ……くふぅぅぅっ!」
 その瞬間眼球が裏返る想いがした。強烈な快感が撃ち込まれ、脳内は白一色に塗
り替えられた。
 どびゅん! どびゅん、どびゅ!
(ああ! なに?! これぇ! あっ! ああああ!) 
 ペニスから噴き出す未知のもの。熱いそれは下着に漏れ出て、それが幾度と無く
断続的に同じ量飛び出していく。その脈動の度に、腰が鋭く痙攣する。
(おしっこじゃない何かが! 何? 僕、どうなっちゃうの?)
 戸惑いと焦りで、涙が滲み出る。
(何が出ちゃったの? 僕、ぼく……どうなっちゃったの?! 止まらなかったら
どうしよう!)
 びゅう、びゅん! びゅ……びゅ……
 悠樹の心配をよそに、身体からの液体は量が減り、出る間隔も長くなってやがて
止まった。
「……はぁ!……ふぅ……ん……はぁ……」
 静まらない動揺の中で、必死に息の音を小さくする。襲ってくる気だるさと股間
のぬるつきの気持ち悪さ。すでに腰と脚に力が入っていなかったが、混雑のおかげ
で座り込まないで済んでいた。
 うまく定まらない目の焦点。だが、自分の痴態を眺めている視線に気づいた。
 女性。フレームのない眼鏡をかけている黒髪の年上の女性。少年の上気し呆けた
顔を見下ろしている。
 それから、静かに口角をあげて微笑んだ。さも、『私の手は気持ちよかった?』
とでも言いたげに。
 悠樹は口惜しかった。ひどい目に遭わされてどうすればいいか分からない自分が
歯がゆかった。
 なのに。女性の瞳の美しさと、少女のような残忍な微笑と、プレゼントされた最
高の快楽に、かしずきたくなる気持ちは何なのか。もっと近づいて、できれば抱き
しめてみたいこの感情は何なのか。
 駅に着いた。女性は人の流れに乗って降りて行く。慌てて後を追っていったが、
少年と何も関わりが無かったかのように、その姿はあっという間に人波に消えた。
 その後の悠樹は後始末が大変だった。
 まずズボンにまで股間の液体が染み出さないように注意しながら駅のトイレの個
室に入った。幸いホームの近くだったせいか、外側まで染み出してはいなかった。
 ところが下着の中はひどいことになっていた。
「うわぁ……」
 白いブリーフの中は、黄色みを帯びた白い粘液に塗れたペニスが縮こまっていた。
(これは、何なんだ……)
 パンツの前面全てに放出された大量のものは何なのかさえも分からずに、悠樹は
下半身裸になり、備え付けのトイレットペーパーで拭った。強く糸を引く、独特の
生臭い匂いの粘液に閉口しながら、湿り気を吸い出したペーパーをトイレに流した。
 洗面台でパンツを洗おうかとも思ったが、人が多いこのトイレで、その行為は恥
ずかしくて出来なかった。
 それでもしっかり湿ったパンツを仕舞うために、ペーパーでくるんで学生カバン
の中に入れた。それから手早く自分のペニスを綺麗にした。
 結局、直にズボンを履いてトイレを出た。
(これ、なんか、むずむずするっていうか……)
 歩を進めるたびに、大事なところがいつもと違う感じで擦れる。下着が無いだけ
冷えるような感覚に、知らず知らず心なしか内股になっていてうまく歩けやしない。
 30分を余計に使ってしまい、いつもならホームルーム開始5分前には必ず着く
はずが、もう1時限目が始まってしまっていた。
「あうう、初めて遅刻しちゃった……」
 ようやく閉められた校門にたどり着くと、そこに待っていたのは教員の緑川梨奈
(みどりかわりな)だった。
 ふわりとした雰囲気のお姉さんのような2年の国語の先生。色の白い肌によく似
合ったピンクのブラウスシャツと、紺のタイトなスカートが良く似合っていた。
 そのブラウスを突き上げている豊満なバストに、いいとこの温和な男子ばかりな
がら、思春期真っ盛りの全校生徒が注目してしまう。今日のような線のくっきり出
るスカートで、ウエストからヒップまでのラインと脚線美を披露していればなおさ
らだった。学生の頃に学園祭の準ミスグランプリに選ばれた美貌に、当然ながら人
気は高い。

 1時限目授業が無い梨奈が、遅刻チェックの担当だった。
 記録用紙に目を落としたまま、事務的に尋ねる。
「おはよう。遅刻よ。 学年と名前は?」
「は、はい、1年B組の鈴橋悠樹ですぅ……」
 声変わりのしていない子供っぽいか細い声に、つい目をあげた。
 さらさらの髪に、長い睫毛と大きな綺麗な目で見上げて。なで肩の細い体躯。
 すまなそうに小さな身体をさらに小さくしている悠樹を見て、梨奈は内心、心臓
を掴まれたような錯覚を覚えた。
(やだ、可愛い! 近くで見ると、ホントに女の子みたい!)
 学年が違うため話をする機会はなかったが、彼の存在だけは知っていた。
 遠目から、あれ、何で男子校なのに女の子がいるんだろう、と不思議に思ったこ
ともあったが、間近で見ても少女と言っても通用しそうな姿に、倒錯した感じが、
何故か彼女をドキドキさせていた。
「初めての遅刻ね。どうしたの、何かあったの?」
 訊かれて、悠樹は言いよどんだ。
(やっぱり、正直に言わなきゃいけないのかな)
 普通の生徒なら口にするのをはばかり、寝坊したといった当たり障りの無い言い
訳をしておくだろう。
 ただ、この純粋すぎる少年ははにかみながらも、正直に話してしまうのだった。
「……あの、今日、電車の中で身体を触られて……」
「えっ?!」
 全く予想もしなかった発言につい声をあげた。
「満員電車で身体が動かせなくて、お尻とおちんちんを触られて……」
「ちょ、ちょっと。痴漢にあったの?」
「はい……」
 済まなそうな顔をしながら話す悠樹。
(この子はなんで、こんな恥ずかしいことをペラペラ話すの)
 と彼に少し近づくと、微かにではあるが梨奈は男性の体液の特有の匂いを嗅ぎ取
った。
(やだ……アレの匂い……)

 梨奈は尋常で無いことを悟って、続きを促す。
「うん、それで?」 
「いっぱい触られておちんちんがカチカチになったのに、もっとしごかれて撫でら
れて……」
「なんで逃げなかったの?」
「満員で身動きできなかったんです」
(この子、抵抗も出来ずに触られてたの?)
 自分の動悸が早くなるのに気づく梨奈。つい唾を飲み込んで、続きを訊く。
「そ、それで?」
「いっぱい、いっぱいしごかれたら、僕、何か、ヘンな白いのを出しちゃって……」
「えっ……あなたが電車の中で射精しちゃったの?!」
 女性が衣服に精液をかけられることがあるので、梨奈はてっきり、加害者に精液
をかけられたものと勘違いしていた。
 悠樹は目をぱちくりとさせてから、訊き返す。
「シャセイって、何ですか?」
「それは……」
 周りの目をはばかってから、
「……精子を出すことよ」
「精子って、卵子精子の精子? 僕、精子出しちゃったの?」
「鈴橋君、もしかして……初めてなの? 今日初めて、精子を電車で出しちゃった
の?」
「はい。それで駅のトイレでパンツを綺麗にしてて、遅れました。ごめんなさい」
 梨奈は言い様の無い興奮を覚えた。この少女のような男の子は、無垢のまま、無
知なまま痴漢に遭い、初めての精通を電車の中で教え込まれたのだ。
(この子、何されても抵抗しなさそう……)
 自分の話していることの卑猥さも分からずに訥々(とつとつ)と話す純朴さに、
教師らしからぬ欲望を抱いてしまっている。
 数ヶ月前に恋人と別れ、その間自分で慰めた日々と生理間近ということが自分を
抑えられないほど熱くさせていた。
(――いたずらしちゃおう……)
「鈴橋君、お話したいから一緒に来てくれる?」
 もうかなりの時間になっているため、遅刻のチェックは必要なさそうだった。
 そんなことよりも、梨奈は猛烈に悠樹のことをチェックしたかった。
 本当に男の子なのか、それこそ隅々まで。

 悠樹の手を引いて、梨奈は階段の下にある薄暗い部屋に入った。普段、用具室と
して物置代わりに使われているところで、余分な教科書などが雑然と置かれている。
 ただし外からの光は屈折する特殊なガラスで入ってくるので十分明るいが、この
中の様子は窺い知ることができないようになっていた。
 ドアを閉めると梨奈はカバンを床に置かせ、悠樹の両手首を上に上げさせて壁の
ガラスにドンと押し付ける。
「……いや、何、するの」
 理不尽な押さえつけに怯える少女のような少年。
(もっと男の子らしく抵抗して見せなさいよ! ますますどうにかしたくなる)
 弱弱しい抗議をしてくるいたいけさに、教員という立場も吹き飛んでいた。
 大学を卒業して、この学校に来て3年だが、生徒に欲情して、劣情に身体が勝手
に動いてしまったなんてことは初めてだった。
「いいこと、してあげる……」
 両手首を左手で握って、右手でその頬をそっと撫でた。それから、額、眉の間、
鼻先をたどる。
「グロスも塗って無いのに、ぷりぷりつやつやの唇しちゃって……」
 あごを上げさせて、そのまま、右から左まで、親指で悠樹の下唇をゆっくりとゆ
っくりと撫でた。
「あ……ふうん……」
 梨奈の指に降りかかる鼻息は熱い。少年の目は危うくうっとりとしそうになって
いる。
 手は髪の中に隠れている耳たぶを探って、触るか触らないかのタッチで縁をたど
る。
「ひゃっ!」
 くすぐったくて上げる声。それだって、少女のようなか弱いものだから、女教師
は自分の手の内に入れてしまったような気になった。
 だから、ほっそりした首筋を降りて、少年のネクタイを緩めた。
 さらに、上のボタンから、一つ、一つ、と外していく。はだけた中から白いT
シャツがあらわれて、そこに手を差し入れた。
 少年の平らな胸に手のひらを当てると、控えめな突起を見つけて。
 そこをやさしく指でさすった。
「ああん……緑川せんせいっ!」
 顔を上に向けて切なくあえぐ悠樹。その赤らんだ目元から、年齢にそぐわない色
香が滴(したた)った。
 指の腹で急速に尖る芽。そこから生まれる甘美に耐える少年。
「鈴橋君、電車でこんなこともされたの?」
「い……え……下半身……あぅ! ……だけです」
「こうされるとこんな感じなの、知ってた?」
「あん! ……はじめて……こんなの……はじめて」
「……ああ、本当に可愛い!」
 辛抱できない、とばかりに梨奈は悠樹の唇を奪った。愉悦の声をもらす緩んだ口
はやすやすと女教師の舌が忍び込むのを許した。
 ちゅば、ちゅ、ちょぷ……
 唇同士が擦れ合う心地良さだけでなく、歯茎を舌が滑る快感。口紅の甘い香り。
 強すぎる官能に、上げている手の指は強く組み合い、目をぎゅっとつむっている
少年。そうしないと何処かに吹き飛ばされそうな予感がした。
「……舌、出しなさい」
 人が変わったように低い声の命令に、少年が素直に舌を突き出すと、梨奈はその
舌を口に含んだ。
 吸い込んで、押し付けて、くるんで、絡めて……舐め上げて。
 手はTシャツを大きくたくし上げ、裾の部分を首の中に突っ込む。美少年の白い
肌の可憐なピンクの蕾。梨奈は逆の乳首を直接弄び始めた。
「へんへい……ぼく……どうなっひゃうの?」
「私に任せればいいの。痛くしないからね……」
 濃厚なキスと愛撫を施されて、電車で体験したあのふわふわした気分を再び思い
知っていた。同時に股間のものもズボンを強く押し上げているのは見なくても分か
り、目の前の教諭にいつ気づかれるか、それが気がかりだった。手は上で押さえつ
けられていて、隠す手立ては何も無い。
「ほら、おちんちん、こんなにしちゃって……」
「は、恥ずかしいよぉ……」 
「あなたのカラダは『オトナになりたい』って精一杯叫んでるの。オトナは、いっ
ぱい触って、味わって、相手を知るの」
 キスをやめた梨奈は、悠樹を見つめて諭した。それから自らのブラウスのボタン
を外す。
 全て外すとむっちりとした胸の谷間があらわれ、白の大きいブラジャーが少年の
目にはまぶしかった。
「あたしを……知りたい?」
 素肌を晒した女教師の言葉を、否定できるはずも無かった。豊満なバストに目を
釘付けにしたまま、何度もうなずいてしまう。
「素直で可愛い! ふふっ」
 悠樹の両手を押さえていた手で背中のホックを外して、緩まったブラの肩紐を外
す。
 カップが外れて全貌が明らかになったバストは、蝋のような滑らかな白さに、魅
惑的な盛り上がりで悠樹に向いていた。薄い色の乳りんの清らかさと、ぷっくりと
立ち上がっている乳首の、食欲をも覚える淫靡な形状のギャップに思考が止まるほ
ど見飽きなかった。
 薄暗いこの空間だからこそ、最高に映えて見える美だった。
「先生のおっぱい、綺麗です……」
 棒立ちで思ったことを言ってしまう少年。
 女教師は少し照れながら、なおも悠樹を誘惑した。
「ほら、してみたいこと、してごらんなさい。あたしを知りたいんでしょう」
「え、い……いいの?」
「駄目なことは叱るから、どこまでできるか試してみれば?」
 ぷるん、と弾力を持って突き出されたもの。
(すごい、大きい……触ってみたい)
 おずおずと片手を持ち上げて、5本の指でそのふくらみの表面を触れてみる。
「……ん」
 ぎこちなく触れられて、かえって感じてしまう梨奈。
 指は気持ちよく肉に埋まって、そのなんとも言えないやわらかさに感激する悠
樹。手のひらに触れる乳首の感覚。揉むごとに触れる突起が手のひらをくすぐり、
梨奈もまた予期しない弄られ方に、だんだん息が激しくなる。
「……はぁ……あ……鈴橋、くうん……うまいじゃない?」
「そう、ですか」
 もう片手を空いている乳房に。同じ動きで揺らされる女教師の二つのバスト。
 それでも、おっかなびっくりの手の力に、つい焦れてしまう。
「……ね、乳首をもっと、指でくりくりして」
「くりくりって?」
「指で、いじって。やさしくつまんだり、ひねったり、回したり……いろいろ、
して」
 潤んだ瞳で、吐息交じりで囁かれて、悠樹はぞくっとした。自分がされたよう
にすればいいことに気づいて、何をしても許してもらえると嬉しさが湧いた。
 だから、右の乳首を親指と人差し指で根元から先端までやさしくさすった。
「ああん! ……そう、そういうの……好き……」
 先を親指の腹でこねて、他の指をわやわやとうごめかす。たっぷりとした膨ら
みはその度に、悠樹の思うように形を変える。
(食べたい……)
 絶妙な弾力のそれを口にしたい。味わいたい。
 昨日まで性愛のことを知らなかった少年が、本能的な欲望に呑み込まれて行く。
「先生……先生のおっぱい、おいしそう……」
「……いいよ、しゃぶってごらんなさい」
 すかさず、口に含んだ。せっけんの香りに包まれながら、やわらかく歯を立て
て、舌でねぶる。
 母乳が出ているのではないのに、舌をくすぐる乳首の硬さと乳りんの滑らかさ
に、わずかな汗が混じり、この上ない嬉しい味覚。
 弟と妹が母の乳房を吸っていた光景を思い出した。
「……あ……あ……ん……ね、音立てて、吸って……」
 ちゅば、ちゅ、ずるっ、ちゅう……
「……恥ずかしい! あぁ、やらしい音! あぁ!」
 梨奈は片手で悠樹の頭を愛おしそうに抱き寄せた。乳房を吸わせながら、少年の
スラックスのベルトを外す。
 ベルトを外しただけで手を離して、今度は両手で頭を抱いて、
「鈴橋君、もっとあなたのことが知りたいの。だから、知って欲しいならスラック
スを脱ぎなさい」
 女体の魅力に陶然となった年端のいかない男子の頭では、善悪や倫理などは何も
役に立たなかった。悠樹が自ら前のホックを外しファスナーを下ろすと、スラック
スは足元に落ちた。
 亀頭のほんの先端だけ露出した、成長途中のペニスが上を向いて屹立していた。
胸の鼓動にあわせて逞しく震え、まだ毛も生えていないそれ。すでに根元の袋は
きゅっと縮まっている。
 蒸れて精液の匂いが立ち上る幼茎。まだ色づきの少ないそれを見て、梨奈は急に
背徳感が沸き上がり、新たな昂奮を覚えていく。
「電車の中で、こんなに勃起させてたの?」
「“ぼっき”って?」
「そそり立つって意味。こんなにびんびんに、かちんかちんにしてたんだ……」
「だって、逃げられなかったんです」
「気持ちよかったんでしょ。昂奮しちゃったんでしょ?」
「いやだったけど……」
「白いのを出しちゃったってことは、気持ちよかったんでしょう?」
「……」
「どうなの?」
「……きもち、よかったです」
 困る悠樹の顔を見ると、逆につい追い詰めたくなってしまう。どこまでも、この
生徒を掌握したくてたまらなくなった。
「あたしも、鈴橋君のこと、いっぱいいっぱい知りたくなっちゃった……」
 しゃがみながら身体をずり下げていく。彼女の目の前に、少年のそそり立つもの
がある高さで止めて、手を裏に回し少年のさらさらした小さな尻をしっかり掴んだ。
彼の唾液で濡れそぼった乳房は、彼の太ももに押し付けられた。
(僕のを、先生が思いっきり見てる!)
「せ、先生?!」
「あたしのこと、いっぱい分かったでしょ。次はキミのこと、教えて……」
 梨奈は、おもむろに陰嚢に湿らせた舌を突き立てると、ゆっくりと一番上まで舐
め上げる。
「うわっ! ……はあああ!」
 それを左右、正面……交互に、何度も。
 たったそれだけで、先っちょから透明な蜜が玉になって盛り上がる。
 それを見て、得意気に悠樹の顔を見やって微笑む淫らな女教師。
 上半身を上下させているから、固くしこった乳首も悠樹の太ももをなぞるのだ。
(……き、もちよく……なっちゃって……いいの?)
 弱る少年の表情を見つつ、下腹のあらゆる場所を舐め回す。ふぐりにそっと吸い
付くと、ちゅば、と音を立てて離し、それを茎の部分でやりながら、先端に近づく
ピンクの唇。
 彼女は舌を出すと、固くさせてから先端をくじった。
「あん!」
 電車で味わったあの感覚。それよりも今はダイレクトで、はるかに淫猥な光景だ。
 その舌で尿道口を穿つ。優しくそれを握るとそのまま上下左右に動かして、敏感
な先割れを蹂躙する。
「ああん! ……それっ……だめえ! ……んはっ!」
 面白いくらいに感じる悠樹に、見上げて尋ねる。
「ねえ、おちんちんって先っちょが剥けるの、知らないんでしょ」
(剥ける?!)
 びっくりした顔で見下ろす少年に、ふふん、と鼻を鳴らして、
「いーい? ふぉふぉ(ここ)の……」
 と舌で包皮の縁を、舌でなぞる。
「ふあっ?!」
「……皮を下ろすと、ふぉふぉの……」
 と亀頭の先端を早く舐め回す。
「それっ……感じるったらぁ!」
「……ところがにょって出てくるの。いつも出てるとすっかり大人のおち○ぽだよ」
(……そういえば、温泉で見たお父さんのあそこは形が違ってたような……)
 悠樹がオトナの性器のことを考えていると、梨奈は見上げながら、
「鈴橋君のオトナなところ、見せてね」
 と表皮をゆっくりと手で根元に押し下げていった。
「あっ! あっ! 怖いっ! こわいです!」
「だいじょぶ、大丈夫。やさしくやるからね」
 そのとおり、梨奈は慎重に事を進めた。ちろちろと、たっぷり湿らせた紅い舌先
で潤滑させながら、徐々に、中のピンクの粘膜を露出させる。果実のようなふくら
みが現われる度に、責める舌の陣地が増える。
「くっ……ああっ! すっごいぃ……はあ! はあ!」
 自分の身体なのに、他人に“改造”されてしまう感覚。怖いのに、口惜しいのに、
何故か、全身に心地良い鳥肌が立つ。
「それ!」
 と最後まで下ろすと、白い垢に塗れた傘が全部現われた。
「こんなになってるんだ……」
 昂奮の吐息と鼓動の中、暴かれた自分の一部分に興味津々で見入ってしまう悠樹。
しかしそんな悠樹を見ながら、梨奈は悪戯っぽく見上げた。
「キミにすごいプレゼントあげるね」
 と、ずる向けの亀頭を口に含んだ。
「あああああっ?! せ、先生!」
 美しい教師が、自分の排泄器官を口に入れたことに、つい素っ頓狂な声が出た。
 温かな口の中で長い舌が、亀頭と茎の境を舐め回す。垢をこそぎ落とすだけでな
く生まれて初めて外に出た粘膜が、舌のざらつきに刺激され翻弄されていく。
「はうぅっ! ああっ! せんせい! せんせい!」
 必死に訴えかける声。それに耳を貸さずに、絞った唇で茎を往復して、数度に一
度はちゅぽっという音を鳴らして、全部を出す。すぐにまた飲み込み、たっぷりの
唾液で亀頭だけを含み、舌でくるんで弄ぶ。
「……あうっ! それ、はっ!……くぁっ! ああっ!」
 かと思えば、手で茎をしごいて、すっかり垢が取れ去ったピンクの粘膜を、悠樹
が見えるように舌でねぶる。
 すぐに、口に含んで、じゅじょっ、ぞぞっ、じゅぽっ、と空気交じりの唾液で亀
頭を攻めた。
 集中的に先端を責められて、もうあの蕩ける感覚を矢継ぎ早に受けて、すぐそこ
までこみ上げてくるものが来ている。だが、健気な少年は懸命にその瞬間を抑えよ
うとしていた。
(先生の口に汚いもの、出せない! けどっ! もうっ! 出そう!)
 淫蕩な仕打ちに首を振りながら耐える少年に、梨奈は助け舟を出した。
「悠樹君、先生のお口に出していいよ」
「ええっ?! だって、臭くて、汚いよ」
「悠樹君のだったら……いいよ……出しても……」
 にこり、と笑いかける教師に、許しを得たと安堵の表情を受かべた。
 梨奈はすかさず、強い力で吸い付き、舐め回し、撫で回す。亀頭を唾液で泳がせ、
右手で精液を送り出すようにしごく。
 そして左手は、唾液で濡れたかわいらしい陰嚢を撫でてから、その奥の筋をいじ
る。
「うわっ! うあっ! なにっ! それはっ! はぁっ!」
 手は、いったん抜き去られ、お尻から割れ目をすべり、窮屈に絞った穴を捉えた。
そこをほぐすように指の腹で慰める。
「きたな、いっ! ところっ……ああっ! やめてえっ!」
 執拗にいじられることで生まれる甘い痺れ。汚いところを責められて嬉しがる自
分が恥ずかしい、のに、拒否が出来ない。
 それどころか再びよみがえる、こらえきれない、あの出てしまう感覚。
甲高く啼く悠樹。
「でちゃう! でひゃう! あっ?! ごめんなさ……ああああああ!」
 びゅん! びゅう! びゅう! びゅう! 
 思考が止まり、下腹部から全身に拡がる幸せ。噴き出すたびに女教師の口の中で
若いペニスが暴れた。自分の生臭い精子を女教師の口に注ぐ罪悪感さえ、快楽を増
幅させた。
「あっ! ああっ! せーしがっ! あっ……」
(す、すごい射精!)
 口腔にほとばしる粘液の固まり。梨奈は様々な男にフェラチオをしたことがあっ
たが、こんなに激しい勢いの射出は初めてだった。
 電車内ほどの量はないものの、狂おしいほどの快感に少年は酔っていた。
「あ……あ……はあ……はあ……」
 緩んだ口元、気だるく目を閉じた少女のような男子生徒は、力が抜けてずり落ち
て、床に尻をついた。
(悠樹君、すっごく気持ちよさそうな顔してる!)
 お尻をつかんで咥えたまま、こぼさないようにして口をすぼめた。悠樹の顔に顔
を寄せると、目の前で口のものを飲んで見せた。
 それから再びキスをした。当たり前のように舌と舌がからむ。
 口を離すと、濃い粘液の名残の長い糸が二人に繋がった。
「よかった?」
 微笑んだ梨奈に、こく、こくと頷く悠樹。 
「あたしのこと、わかった?」
 頷くことしかできない悠樹。
「精子、どんな味だった?」
「……へんな味……」
「あたし、飲んだんだよ」
「あ……あの……」
 謝罪なのか感謝なのか、どう答えればいいか分からず、口をパクパクさせる悠樹
をよそに、立ち上がって腕時計を見て、服を着る梨奈。
「ね、ケータイ貸して」
 手を出す梨奈に携帯電話を渡すと、自らの携帯電話と赤外線でデータを交換した。
「じゃね、2時元目は出るのよ。いいね」
 携帯電話を返しながら、こくりと頷くのを見届けて、教師は部屋を出て行った。
 そこに、1時限目終了のチャイムが鳴った。
 余韻が残る萎えた身体を物憂げに何とか起こして、悠樹は溜息をついた。
 あまりにも濃い数時間。
 女性に好きなように弄ばれ、強制的に射精させられて。
 自分のペニスを極限まで刺激すれば、中毒になりそうな快楽に身をゆだねる事が
できることを知った。
(きもち、よかったぁ……)
 立ち上がると、ズボンを履いて部屋を出て教室に向かった。数歩歩いたところで、
「……んあっ?!」
 まだ、内側から漏れ出そうになるぬるりとしたもの。
 慌ててトイレの個室に駆け込んで、中のものを搾り出した。
(今日早く帰ろう。で、おちんちん、しごいてみよう……)
 年上の女性からの手ほどきで、新しい発見をした悠樹だった。
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